お待たせしました。14話目になります。
拙い駄文ですが、お楽しみいただければ幸いです。
こんばんは。ドラキュリアです。
今、与一を脱がせてるところです。
勘違いすんなよ。体を拭くために脱がそうとしてんだ。可愛い女の子ならよろこんでやるけど、野郎なんぞの体は拭きたくない。だけど、このままだと臭いし体が冷えたらマズいからやってんだ。俺は高熱を出して弱ってるやつを風呂に入れるほど鬼じゃない。ヴァンパイアだけど。
ちなみに、駆藤とブルースはアイリに案内されて浴場に行ってる。あいつらも泥だらけで汚くて汗臭いからな。
「……いいよ!僕は自分でできるから……!」
「ダメだ。脱げ。病人は大人しろ」
一丁前に恥ずかしがるなっての。こっちも野郎の裸なんか見てもうれしくねーよ。おら!脱げ!
ビリビリッ!
「ああっ!」
うわ、ほっそ。すごいアバラ浮いてる。俺の記憶が確かなら、こいつはオール・フォー・ワンの思い通りになるまいと、せめての抵抗で断食をしてたんだな。それにしても白い肌だな。俺や令裡と違う病的な白さだ。
…………何だか、こいつの体見てると前世を思い出してイラつくから早く終わらせよう。
指パッチンでお湯が入ったタライとタオル3枚を生成。驚く与一を無視してイスに座らせた。
「大人しくしろ。裸吊りにして拭いてやってもいいのだぞ?」
自分で言っといて何だけど、野郎の裸吊りとか地獄絵図だな。
「…………わかったよ」
渋々と、与一は大人しくなった。まずは腕からだ。
指先でタオルを摘んで優しく拭く。俺って体がデカいし怪力だから細かい作業が大変だ。それに与一の体は脆い。ちょっとでも力加減を間違ったらゾリッと皮が擦りむけたり、ポキッと骨が折れそうで怖い。
前世で動けないくらい風邪拗らせて寝込んでいた時は、母ちゃんに体を拭いてもらったな。母ちゃんありがとう。
「……1つ、聞いてもいいかな?」
「申して見よ」
何だよ薮から棒に。
「……どうして、ここまでしてくれるんた?」
そんなの決まってる。
「そなたを人質にするためだ」
「それは!うっ!?」
おい、立つなよ。まだ腕を拭き終わってない。
「勘違いするな。あの2人ではなく、そなたの兄に対してだ」
オール・フォー・ワンは与一に異常な執着を持っている。
作中でやつは主人公・緑谷出久から『ワン・フォー・オール』を奪い取って、全てを支配する魔王になろうとしていた。それと同時に、弟を取り戻そうと躍起になっていた。自分の手で殺した弟を。
それを逆手に取り、与一を盾にする。
俺は殺される前より強くなった。
勝てるかどうかわからないが、与一がいれば効果はあるはずだ。そのために、俺は与一たちをこの城に監禁することに決めた。
これが、
我ながらお粗末なものだと思うよ。オール・フォー・ワンは「自分のものにならないなら」と与一を殺している。盾にしても原作と同じ展開になる可能性は高い。
そこで「取り戻す」と思うように誘導する必要がある。今はそのための準備を進めている真っ最中。だから、与一に死なれたら困るんだ。
「そなたの兄は必ずこの悪魔城に来る。肉親を金庫に閉じ込めるほど執着する男が諦めるとは思えん」
「……僕たちのことといい、何で知っているんだ?」
「私の“異能”は怒り、憎しみ、悲しみ、恐怖、絶望など様々な負の感情や、邪な欲望の吸収。その応用で、心の闇を通して他者の記憶を読み取ることも可能だ」
ウソは言ってない。例えるなら、ONE PIECEの見聞色の覇気みたいなものだ。オンオフもできるから見聞きしたくないものはすぐシャットアウトできる。
「混沌とは人間の心の闇。私はそれを糧に、さらなる力を得て蘇ることができるのだ」
ヒロアカの世界は混沌に満ち溢れている。俺にとってこの世界は空気にプロテインが入ってて、息をするだけでも強くなれるような環境だ。
「……何が目的なんだ?」
「永き安寧を得たい。慎ましい願いであろう?」
俺はヴァンパイアとして永い夜を自由にのほほんと生きていきたい。
まず、ハーレムを作りたい。可愛い女の子たちといっしょに楽しく暮らしたい。それに、たまには外に出て旅行もしてみたいな。
「そのために、そなたの兄には滅んでもらう」
与一がハッとこっちを見た。
「あの男は全てを支配する「魔王」になるためなら、いくらでも他者の命を弄び、踏み躙り、奪う。死ぬのが衆生のためだ」
百害あって一利なし。弟の与一の前で言うのもあれだけど、あいつは生きてちゃいけない人間だよ。
それに、俺の感情的に殺したい。あの時受けた苦痛と恐怖を倍にして返さないと気が済まない。
「確かに……兄さんは自分を満たすためなら、笑って悪事を働く男だ。いなくなった方がいいと僕も思う……」
力なく小さな声だった。
与一はそれっきり体を拭き終わるまで口を閉じた。魂を見てみると黒が強めの灰色をしていた。
生きる価値のない極悪人だろうと、与一にとって唯一の家族。前世で1人っ子だった俺にはよくわからないけど、思うところはいろいろあるんだろう。
体を拭き終わると、令裡にやったように指差しで服を生成。与一はストライプのパジャマ姿に早変わりした。
「さっきのタライとタオルといい、まるで魔法みたいだ」
「魔法だとも。この城は具現化した私の精神世界。必要なものがあれば思いのままよ」
また指パッチンして今度はポーションと水差しとコップが乗ったお盆を出した。
「想像」を「現実」に。我ながら『魔王ドラキュラ』は、八百万の『創造』の上位互換だと思う。魔力がある限り何でも出せるチートだ。
青い薬を嫌そうな顔で何とか飲み干し、水を1杯飲むと与一の熱は引き、ホッとしたのかそのまま眠りについた。ポーションはセージが原料の魔法薬で、虚弱体質の与一に飲ませて大丈夫か心配だったけど、副作用やアレルギーがなくてよかったよかった。
だけど、このままずっと薬頼りにはできない。図書館に医学書はあるけど、今は勉強する時間と余裕はない。ちゃんとした医者を連れてきて診てもらう必要がある。
こいつにも、原作より長生きしてもらわないとな。
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「ここが浴場でございます」
メイドが開けた両扉の先には豪華絢爛な浴場が広がっていた。
姿が反射して映るほど光沢のある大理石の床。高い天井を支える大理石の柱。シャンデリアの光に照らされた色鮮やかなステンドグラスの壁画。爽やかな花や草木のアロマの香り。まるで、ヨーロッパの王族が使うような高級感の溢れる浴場だ。
「お着替えはバスローブがあるので、そちらをお使いください。では、私は外でお待ちします。ご用件があればすぐに来ますので、ごゆっくりとお楽しみくださいまし」
メイドはそれだけ言って、そそくさと脱衣所から出て行った。
あの後、ドラキュリアはアイリと名乗るメイドに俺たちを風呂へと案内するよう命令した。与一をやつと2人きりにしたくない思いで拒んだが、「臭くて汚いからまず風呂に入れ」という正論に何も言えず、ここへ案内された。
「リーダー、とりあえず入ろう」
「ああ。そうだな」
服を籠に放り込み、泥と汗に塗れた体をしっかり洗って湯に浸かった。「魔王」の拠点を襲撃してから3日ぶりの風呂だが、心が休まらない。
「なあ、リーダー。あの女は、ドラキュリアは信用できると思うか?」
となりでブルースは不安げに聞いてきた。
「信用できん」
ドラキュリアが何を考えているのか、まるで読めない。あの黒い瞳は人間らしい感情の光はなく、まるでブラックホールのように果てしない闇に満ちていた。同じ人間なのか疑わしいくらいだ。
「だが、今はやつに従わなければ俺たちは殺される」
それに、この城にいるのはやつとメイドだけじゃない。この浴場に向かう道中でバケモノを何体も見てきた。
人間の頭くらい大きな目玉に蠍の尻尾が付いた、風船のような形態のバケモノ。鎧を身に纏い、剣と盾で武装した骸骨。中にだれも入っていないのに1人でに動く、長槍を携えた毒々しい紫の騎士の鎧。宙を舞う髪が蛇になってる女の生首など、現実とは思えないようなものばかり。
(あれらもドラキュリアの“異能”で創り出されたものなのか?)
もしそうならやつは与一の言葉通り、「魔王」に対抗できる存在になのかも知れない。
だが、やつがこちらの味方になると思えない。
(変身能力と不死身の巨体、城やバケモノを創り出す力を併せ持った“異能”の持ち主が、格下の俺たちにどんな利用価値を見出したのか見極める必要がある。城に上がり込んだ上に攻撃してきた俺たちを殺さなかったのはただの気まぐれじゃない。何か理由があるはずだ)
結局、考えてばかりでリラックスできなかった。
風呂を上がると、メイドに与一がいる客室に案内された。応接間のように豪華で、3人で使うには広い部屋だ。入ってすぐに目に入ったのは、ドラキュリアの後ろ姿。窓の向こうのバルコニーで優雅にワイングラスを片手に月を見上げている。そして、天蓋付きの豪華なベッドに与一が横になっていた。
「与一……!」
慌ててベッド駆け寄ると、与一はパジャマ姿で静かに寝息を立てている。汗はかいていない。そっと額に触れると、体温は平熱まで下がっている。
何事もなく安堵したその時だ。突然大きな影に覆われた。慌てて振り返ると、いつの間にかドラキュリアが俺たちの背後に立っていた。
「案ずるな。薬を飲んで眠っているだけだ」
俺たちを見下ろしながら淡々とした声で言うドラキュリア。応接間の時のように瞬間移動できるのを思い返す。
ドラキュリアは与一を一瞥すると、ベッドの天蓋に下げられたカーテンを閉めてこっちに向き直り、「座れ」とテーブルを指差す。促されるままブルースと2人、テーブルを挟んでドラキュリアと向かい合った。
「……それで、俺たちをどうするつもりなんだ」
テーブルの向こうでいつの間に用意したのか、その巨躯に合った大きな肘掛けイスに座り、頬杖をつくドラキュリアに問いかける。
「私が望むもの、それはオール・フォー・ワンの死。そなたらと同じだ」
ドラキュリアは感情の光が見えない目でこちらを見つめながら、淡々とした声で質問に答えた。
(復讐か……)
感情がないように見えてあるようだ。特に負の感情が。
ドラキュリアは1度「魔王」と戦い、敗れたと与一から聞いた。死を偽装したか、あるいは殺されても復活できる手段を用いたか、今は身を隠して力を蓄えているのかも知れない。
「今度は私が質問しよう。死柄木与一は兄から私のことを聞いたようだが、そなたらはどこまで私のことを死柄木与一から聞いた?」
ドラキュリアは頬杖の姿勢を解き、手を前に組んでわずかに前のめりになった。自分のことをどこまで知っているか。姿を隠していた身としてはかなり重要だろう。
黙っていても仕方ないから全てを打ち明けた。半年前に京都の
「なるほど。そういうことだったのか」
ドラキュリアは納得したように頷くと姿勢を解き、体をイスに任せて目を閉じる。情報をまとめて整理して考えているのだろう。数秒で目を開いた。
「駆藤、そしてブルースよ。私の眷属になれ」
現在の心境
ドラキュリア「原作など知ったことか!」(ꐦ°᷄д°᷅) ノ =͟͟͞͞
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