お待たせしました。15話目になります。
拙い駄文ですが、お楽しみいただければ幸いです。
こんばんは、ドラキュリアです。
後のワン・フォー・オール2代目、3代目継承者たちを眷属に勧誘してます。
こいつらは俺の予想通り、オール・フォー・ワンから与一を奪って逃げてる真っ最中だった。そして、その道中にこの城にやってきた。俺たちというイレギュラーによって、原作が変わったようだ。
こうなったら、もう原作なんか知ったこっちゃないな!!
こいつらがここに来たせいで、俺たちの計画がメッチャクチャになっちゃったよ!!マジふざけんな!!こちとらあと半年かけて修行と
は!?「そんな事俺たちに言われても」だって?無責任なこと言ってんじゃねぇ!!おい、何が「まずい」だよ。筒抜けなんだよバカタレ!
見た目は大人!!けど、生まれてまだ1年半のベイビーだぞ俺は!!まだ成長できてない時に、こいつらはああああああぁぁぁッッッ!!!
…………はぁ、こいつらに八つ当たりしても仕方ないし、切り替えよう。
とりあえず、お前らには俺の眷属になって働いてもらおう。
今この悪魔城に必要なのは、強く賢い味方だ。
俺と
そこで思いついたのが眷属化だ。
何も召喚にこだわる必要はない。召喚がダメなら眷属のヴァンパイアを作ればいい。
この半年間で修行と並行して、俺の血によるヴァンパイア化の研究もやってきた。
どれくらいの血液量でヴァンパイアになるか試したり、肉体がどれほど頑丈なのか拷問にかけたり、免疫能力を確かめるため薬品や毒をかけたり注入したり、ヴァンパイアの弱点であるニンニクや銀や十字架や日光がどれほど効果的か耐久テストもしてきた。
まあ、与える血の量が多すぎると細胞が変異に耐えきれずにグジュグジュになって死んだり、耐久テストで人間なら即死するような扱いに5回くらい耐えたけど、それ以上やったら流石に生命力が尽きてそのまま死んだ。
ちなみに、ニンニクを食べさせたら丸1日くらい腹痛で悶えていた。俺の場合、クソマズいくらいで済んだけど。
え?「人の心とかないんか?」って?ねーよんなもん。ヴァンパイアぞ?我、魔王ぞ?
安心しな。モルモットにしたみんなヴィランだ。死ぬのが世のため人のためになるくらい反吐が出るようなクズばっかだ。なおさら心は痛まないな。
閑話休題。
とにかく、何100ものヴィランの命でヴァンパイア化の実験データをたくさん取った結果、与える血の量や摂取した人間の素質にも依るけど、並のヒーローより強力なヴァンパイアになれることがわかった。そこからさらにトレーニングや実戦を積み重ねれば、俺や令裡に匹敵するヴァンパイアになる可能性もあるんだ。
さて、ここで月並みな質問だ。お前らに問おう。
「力が欲しいか?」
──────────────────────────
「……どういう意味だ?」
「私の血を受け入れ、ヴァンパイアになれと言っているのだ」
俺の問いにドラキュリアは淡々とした声で答えた。
「我らはあの男との戦いに備えて力を蓄えている真っ最中。そこにそなたらがやってきて歯車が狂ったのだ」
どこか責めるような物言いだった。すると、ドラキュリアは視線を俺の横、ブルースに向けた。
「「そんな事俺たちに言われて」だと?」
ブルースの体が微かに震えた。
「何がまずい?言ってみろ」
バカな!こいつ……!心まで読めるのか!!
俺の思考まで読んだのか、ドラキュリアは今度は俺に視線を向けた。
「私はこのような姿をしているが、この世界に生まれ落ちてまだ1年と半年。まだ未熟でやつと戦うには力不足。その穴を埋めるために力ある眷属が必要なのだ」
そう言ってドラキュリアは小さくため息をついた。
生まれ落ちて1年と半年?ここに来た時間のことを言ってるのか?
「この部屋に来る道中に、魔物たちを見たか?」
魔物……あのバケモノたちのことだな。
「私と腹心はあれらを召喚することができる。だが、今の力量ではあの男との戦いに加われるほどの力と、人間のような知性と理性を併せ持った者は召喚できぬ」
「だから、代わりに俺たちに人間をやめてバケモノになれと?」
「具体的に言えば、そうなるな」
頭を抱えるのを堪えた自分を褒めてやりたかった。
目の前の大女以外にもバケモノを作り出せるやつがいる。それだけでも最悪なのに、人の生き血を啜るバケモノになれと迫られた。「NO」と言えばどれほど楽だろうか。
与える“異能”が限定される、奪い返されないだけで、「魔王」と何ら変わらないやり方だ。
「案ずるな。容姿が極端に変わることはない。それはこれまでの実験で実証されたことだ」
「実験だと……?」
不穏なワードに眉を顰めた。
「我らの糧となるヴィランたちを用いた実験で数多くのデータを得た」
ドラキュリアは捕らえたヴィランをヴァンパイアに変え、拷問のような耐久テストをしてきたと語った。如何にヴァンパイアの肉体は生命力と再生力と耐性があるのかを。
「…………人の心はないのか?」
今まで黙っていたブルースが口を開いた。その顔は嫌悪感に満ちていた。
「ない。私はヴァンパイアの魔王だぞ?あると思っているのか?」
ドラキュリアは返す。「何を言ってるんだ?」と言わんばかりだ。
「案ずるな。モルモットと言っても全てがヴィラン。それも、悪意と欲望に満ちた精神の持ち主ばかりだ。死ぬのが衆生のためになるような者たちを利用しただけだ」
悪びれる様子もない。全て、「「魔王」を倒す」という大義名分のためにやってきたのだろう。
ある意味で、ドラキュリアは俺と同類だ。
俺も「魔王」を倒すためにその手先となったヴィランを何人も殺してきた。共に戦ってきた仲間を見捨てて犠牲にしたことも1度や2度じゃない。
こんな俺を与一は「ヒーロー」と呼んでいるが、俺の手は赤黒く汚れている。口が裂けてもそんな清く正しい存在だと名乗れない。
苦しい言い訳になるが、俺には綺麗事を言って手段を選り好みする余裕も、命の取捨選択をする力もなかった。
対してドラキュリアはどうだ?ヴィランしかモルモットにしていないのがもし本当なら?「魔王」にも対抗できるのではないかと思うほど絶大な力を持っているんだ。できてもおかしくない。
つくづく自分が嫌になる。大義を言い訳にして仲間を犠牲にする無力な自分に、「魔王」よりマシかも知れないが、大悪党に変わりない目の前の大女に嫉妬してしまっている自分に反吐が出そうだ。
「ヴァンパイアとなれば今以上の力を得られる。当人の素質次第でもあるが、鍛錬と経験を経てそこからさらに力を得られる。私とまだ1人しかいない眷属にも匹敵するほど成長できる可能性もあるのだ」
ヴァンパイアの力が如何に強大であるかドラキュリアは語った。
並の“異能”を遥かに超える身体能力。“異能”とは別方向で世の理から外れた魔術。1部の弱点を除けば不死身の肉体。“異能”が物を言うこの時代において、破格の力と言えた。
「そなたらに問おう」
ドラキュリアは一息ついてから、底の見えない黒い瞳で真っ直ぐ俺たちを見つめながら口を開いた。
「力が欲しいか?」
恐ろしいほど魅力的な甘い声だった。
ドラキュリア「ヴァンパイアはいいぞ。可愛い女の子にもなれるぞ」
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それではまたお会いしましょう。