ドラキュラ?いいえ、ドラキュリアです   作:花の右人

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ただいま戻りました。長らく大変申し訳ありません。
タイトルに因んで母の日に投稿したかった・・・
2ヶ月もノロノロしてる間に原作の終わりが近づいているし。

お待たせしました。17話目になります。
拙い駄文ですが、お楽しみいただければ幸いです。



17. 吸血鬼ものの作品で、母親がキッカケになるのってあるあるだよね

 こんばんは、ドラキュリアです。

 俺は今、とんでもない選択を迫られています。

 

「死に、たない……」

 

 俺の目の前には下腹部にナイフが深々と刺さり、大量の血を流した美女が横たわっている。

 

 遡ること少し前────

 

 目を開けると見慣れた赤が目の前に広がっていた。ここは玉座の間の奥にある俺の部屋の棺桶の中だ。中にはフワフワの赤いクッションがあって寝心地がいい。そして脇腹に柔らかく温かい感触。

 蓋を押し開けて体を起こして見ると、俺のとなりで令裡がヴァンパイアらしく胸の前で腕をバッテンさせた姿勢でスヤスヤ眠っていた。可愛い。あ、言っとくけど事後じゃないからな?添い寝だからな?

 

 この体に転生してから驚くほど寝相が良くなった。令裡のように胸にバッテンの姿勢で眠って目を覚ますと、姿勢が変わっていなかったくらいだ。おかげで令裡といっしょに寝ても寝返りを打って押し潰したり、寝ぼけて強く抱きしめて背骨をへし折ったりなんて事故は1度もない。

 

「……マップ」

 

 目をこすりながら、普段より低い声でマップを広げる。死神(デス)は食堂。アイリは与一たち継承者3人を案内しているのか、4人で食堂に向かっているのが見える。

 

「起きるか……」

 

 令裡を起こさないよう棺桶から出てそっと蓋を閉める。前回の反省を生かし、だれとも鉢合わせにならないように食堂前をタッチしてワープ。ドアを潜って食堂に入った。

 

「おはようごさいます。ドラキュリア様」

 

「うむ。おはよう。死神(デス)

 

 死神(デス)が右手に新聞紙、左手にカップを持って軽く挨拶してきた。

 

「昨日はありがとうございます。アイリといっしょに食べたアイスクリーム、とてもおいしかったでさぁ」

 

「それは何よりだ。休んで頭を冷やせたなら幸いだ」

 

 魔力も安定している。使い魔たちから送られてくる大量の情報を頭に取り入れてないようだ。

 

 コンコンコン

 

 ノックが3回。アイリたちが来たようだ。

 

「入れ」

 

「失礼します。そしておはようございます、ドラキュリア様。与一様、駆藤様、ブルース様をお連れしました」

 

 アイリの後ろから継承者3人が続く。

 

「ドラキュリア……」

 

 与一が俺を呼んだ。その顔には不安と困惑の色が見える。

 

「おはよう。いや、今の時間ならこんばんはだな。体の方はどうだ?」

 

「……おかげ様でもう大丈夫だよ。君に飲ませてもらったあの青い薬を飲んで少しずつよくなったよ」

 

 与一の顔色は昨日よりよくなっていた。ポーションは副作用もないし、虚弱体質にも効く。今はまだ量産できないけどな。

 

「それは何より。さあ、席に着け。まずは我が腹心を紹介しようか」

 

 目線を寄越すと、死神(デス)は席を立つ。

 

「あたいは死神(デス)。ドラキュリア様の腹心さ。よろしくな」

 

 ニッと口角を上げて、人当たりの良さそうな明るい笑顔を見せる死神(デス)。可愛い。だけど、その目の奥は全く笑っていない。魂を見てみると、血のように真っ赤っかだ。怒りや拒絶と言った負の感情で染まっている。内心では「何で来たんだ疫病神共が」と吐き捨てるのが聞こえる。

 

 与一たちは困惑・警戒しながら簡素に自己紹介して席に着くと、スケルトン・ボーイたちが食事を乗せたワゴンを運んできた。

 

「丁度いい。食事を取りながら今日の予定について話そう」

 

 運ばれてきたのは熱々のクロワッサン、瑞々しい夏野菜のサラダ、トマトがゴロゴロ入ったミネストローネ、フワフワトロットロのスクランブルエッグ。おまけにそれぞれトッピングの、バターやジャムやドレッシングやソースが3つずつ。そしてメインに、巨大な皿に乗った豚の丸焼きくらいでかい「うまい肉」。「うまい肉」以外、高級ホテルで食べる朝ごはんみたいなメニューだ。

 

「あら、いい香り」

 

 おいしそうな匂いで目が覚めたのか、令裡がヒョッコリと入ってきた。

 

「おはよう令裡。丁度いい時に来たな」

 

「おはようございますドラキュリア様。そして皆様方」

 

 令裡はニッコリ笑うと、軽い足取りで俺のとなりに席に着いた。俺をチラリと見てフフンとご満悦な表情。ほんと、こいつ可愛いな。

 

 席の並びは令裡、俺、死神(デス)、アイリ。向こう側の席では与一、駆藤、ブルースの順で座っている。俺の向こう側の駆藤は昨日と変わらず警戒心を隠さずにこっちを見ながら時折、与一に目線を向けている。もしもの時のために俺を監視、与一をすぐ逃すためドアに近い端の席に座らせたんだろうな。与一がおまえのことを「マイヒーロー」と呼んで慕うのも納得だ。

 

「全員揃った。では、いただくとしよう」

 

 手を合わせていただきます。死神(デス)たちも続いて食事を始めた。一瞬、あっけに取られた与一たちもその後に続く。だけど手をつけずに迷っている。

 昨日は駆藤とブルースに夜食を用意してやった。そして仕事が終わった夜明け前、寝る前に部屋をこっそり覗いて見たら、毒が入ってると思ったのか一口も手をつけていなかったんだ。わざわざ食事をいっしょにしてるのに、まだ疑うのかよ。ほら、スケルトン・ボーイたちがしょんぼりしてるぞ。蓋を被せられたまま手をつけられなかった夜食を片付ける姿が可哀想だったな。ちなみに夜食は捨てるのはもったいないから俺が全部食ったよ。冷めてもおいしかったです。

 

「案ずるな。毒など入れておらぬ。スケルトン・ボーイ。我ら4人に「うまい肉」を2切れずつ」

 

 トーション*1を腕に下げて壁際で立っている3体のスケルトン・ボーイたちは俺のオーダーに頷いて前に出ると、大きなフォークとナイフで丁寧に「うまい肉」を切り分けて俺たちの前に出し、ペコリと一礼して元の位置に戻った。

 

「うまい肉」をこれ見よがしに一口。牛肉ロースのステーキみたいな味と歯応えだ。さらに他の品も一口ずつ食べて、飲み物も飲んで見せた。どれもこれもうめぇ。

 

「どうだ?これを見てまだ疑うか?」

 

 全員で一口ずつ食べて見せると、死神(デス)と令裡とアイリはそのまま食事を続けた。3人ともいい笑顔でおいしそうに食べる姿は微笑ましい。俺は表情筋が完全に死んでるからうまいものをいくら食っても笑顔になれない。3人は俺の分も笑顔で食事をしてくれるからうれしいんだ。

 

「遠慮せずそなたらも食え。スケルトン・ボーイ。この者らに「うまい肉」を3切れずつ」

 

 再びスケルトン・ボーイズたちが「うまい肉」を慣れた手つきでカットして、与一たちの皿によそった。ほら、冷める前に食えよ。

 

「……いただきます」

 

 与一がフォークを手に取り、恐る恐る一口かじる。

 

「おいしい……!」

 

 気に入ったようで、そのまま1切れ食べて目を細めた。心配そうに与一を見ていた駆藤たちは呆気に取られる。そんな2人に念力でトングを浮かべて皿にクロワッサンやサラダを乗せてやった。

 

「だから言ったであろう。さあ、そなたらも食え」

 

 フワフワ飛んできたトングにちょっと驚いてたが、皿に乗ったうまそうな料理に我慢できなくなってフォークに手を伸ばし、少し躊躇ってから「なんとかなれー」とばかりに大きく一口。毒が入ってないか確かめるようにゆっくり噛んで──

 

「うまい……」

 

 目を見開いて驚いてやんの。

 クロワッサンやサラダも一口ずつ食べて、気に入ったのか口に放り込んでいく。おい、そんなに早く食べたら喉を詰まらせるぞ。だれも取らないから慌てんな。

 早速ブルースが喉を詰まらせてやがる。慌てて水を飲み干してホッと一息。すかさずスケルトン・ボーイが水差しを持ってきておかわりを注く。皮と肉がない骸骨の顔だけど、うれしそうに笑ってるのが魂の色で見えた。

 

 与一たちの緊張感もある程度ほぐれた。会話はないが、ピリついた空気のない食事になった。いい感じで腹も膨れたところで、今日の予定を切り出した。

 

「今夜は医者を探しに行く」

 

 スケルトン・ボーイたちが食器を片付けていくのを横目に、和やかな空気は真面目なものへと早変わりした。

 

「死柄木与一の体を診察できる医師を見つけ出し、悪魔城に迎え入れる」

 

 与一は虚弱体質だ。人質として扱う以上、病気になったら困る。ちゃんとした知識のある医者を側に置いておきたい。

 それに医者は与一のためだけじゃない。俺らのためにもなる。ヴァンパイアの回復力と再生力に胡座をかいたり、ポーションに依存してたら、相澤の『抹消』や個性破壊弾のような無力化攻撃で痛い目を見るかも知れない。

 

「あたいたちはお留守番ですかい?」

 

 死神(デス)はこてんと首を傾げながら聞いてくる。可愛い。

 

死神(デス)たちには留守を頼みたい」

 

「んー、わかりました。あたいもいろいろやっときますんで、気をつけて行ってくださいな」

 

「ああ。1時間後に悪魔城を出る。それでは解散」

 

 パンと手を叩くと、それぞれ席を立って行く。死神(デス)は「小野塚小町」のテーマ曲を鼻歌で歌いながら軽い足取りで出て行った。

 

「ねえあなた、私といっしょに闘技場に行かない?来る日に備えて、私と訓練しましょう」

 

「まあ、うれしい。胸をお借りします令裡様」

 

「ふふっ。手取り足取りしっかり教えてあげるわ」

 

 令裡はアイリの手を引いて出て行った。うん、てぇてぇ。

 歩きながら美少女2人が手を繋いで歩くシーンを網膜のカメラに取って写真にして切り取り脳内ファイルに挟んでいると────

 

「待ってくれ」

 

 後ろから与一に声をかけられた。ったく、いいとこなのに何だよ。

 

「何故、僕のためにそこまでするんだ?」

 

 振り返ると真剣な顔で問いかけてくる与一。その魂から疑念と困惑の色が見える。もー、仕方ねーなー。

 

「死柄木与一よ。そなたはオール・フォー・ワンを滅ぼすのに必要な切り札、それまでに何かあっては困る」

 

 与一の前に歩み寄り、前世で幼い頃に母ちゃんが俺にしてくれたように、脇に手を入れて高い高いして目を合わせる。身長差が2倍以上だから小さい子供を抱っこしてるみたいだ。

 

「そなたは己の身を案じていればいい。やつと戦うその時までな」

 

 与一を床に下ろし、頭を優しく撫でて食堂を後にした。

 母ちゃんの真似してみたけど、何だか不思議な気分だ。

 

 

 ──────────────────────────

 

 

 

 食堂の両扉が独りでに閉まり、遠ざかっていくドラキュリアの背中を遮った。

 

「与一。大丈夫か?」

 

 マイヒーローが声をかけてくれた。ブルースも心配そうに僕を見ている。

 

「うん、大丈夫。少し驚いただけだよ」

 

 女の人に抱き上げられて頭を撫でられたのは、生まれて初めてだ。脇の下と頭に触れたドラキュリアの手はヒンヤリと冷たかったけど、それが不思議と心地よかった。

 “異能”を無理やり渡された時に感じた兄さんの手は硬くてゴツゴツしていて乱暴だったのに対して、ドラキュリアの手は柔らかくて花に触れるかのように優しかった。

 

 頭を撫でられて、かつて兄さんと読んだコミックのワンシーンを思い出した。それは主人公のヒーローの過去の回想で、幼い頃のヒーローが母親に抱き上げられたり、頭を撫でられるシーンだ。当時の僕はヒーローがどうしてホッとした表情を浮かべていたのかよくわからなかったけど、そのシーンは何故かとても印象的で今でよく覚えている。そして、ドラキュリアに同じことをされてヒーローの気持ちが少しわかった気がした。

 

 今思い返すと、食事前に令裡と呼ばれた黒髪の女の子がドラキュリアのとなりに座ると、回想のヒーローのようにうれしそうに、安心したように笑っていた。似ていないけど、もしかしたら親子なのかな?

 

「母親か……」

 

 僕と兄さんには物心つく前から「母親」と呼べる家族はいない。お互いが唯一の肉親だ。だけど、僕は兄さんといて心休まることはほとんどなかった。

 兄さんは昔から僕を親代わりに育て、いろんなものから守ってくれた。だけどそれは、異常な執着によるものだ。兄さんの悪行を止めようとするなら「躾け」てきたし、僕の行動を全て把握しないと気が済まない。兄さんはそんな男だった。

 

 食事中に見たドラキュリアと令裡は僕たち兄弟とまるで違った。ドラキュリアはずっと無表情だったけど、令裡の皿に食事をよそってあげたり、口を拭いてあげたり、ニコニコ笑いながら語りかける彼女の話に耳を傾けたり、ずっと和やかな雰囲気だった。これも、ヒーローが家族と過ごした幸せな過去のワンシーンを再現したように見えた。

 

「…………羨ましいな」

 

 もしも僕と兄さんに「母さん」と呼べる人が側にいてくれたら、違う未来もあったのかな?

 

 

 

 ──────────────────────────

 

 

 

 昨日と同じように体を縮め、黒髪黒スーツになって夜の空を飛ぶ。ヒンヤリした夜風が気持ちいい。

 

 高いビルの屋上の貯水タンクの上に降り立ち、フェンスの向こうに広がる街を見渡す。大停電が起きたかのように暗い。まだ日が落ちて間もないのに暗い。灯りは数えるくらいしか見えない。歩いている人や走る車もだ。それに、夜風に乗って微かに血の匂いもする。オール・フォー・ワンに殺される前に眺めた街ほどじゃないけど、京都の街も荒れているみたいだ。

 

 とりあえず、病院を探そう。次に学校や警察署や消防署当たりの大きな建物とその周りを調べてみよう。特に学校の周りはクリニックや医院がありそうだし。

 

「できることなら呼吸器内科の医者を、さらに欲を言えば栄養士を確保したい」

 

 与一はよく咳き込んでいたから、肺や喉に詳しい医者。あのヒョロヒョロ白モヤシな体を食事で改善できるように栄養士。大きな病院と学校を探せば見つかると思う。とはいえ、一晩で俺だけで周るのは非効率。そこでこれだ。

 

「スケルトン・マウス」

 

 タンクの下に魔法陣を展開。ドライアイスの煙のように黒い靄がモクモクと吹き出し、大量のスケルトン・マウスがゾロゾロと這い出てきた。何千、何万と数え切れないくらい大群だ。

 

「行け。使い魔たちよ。医者を見つけろ」

 

 スケルトン・マウスの群れはカタカタ骨を鳴らしながらドアに殺到する。白くて長いカーペットみたいだ。群れはドアを押し倒して吸い込まれるように闇の中へ消えていった。

 

 一息ついてタンクに腰を下ろし、足を組んでもう1度街を見渡しながら思考をまとめる。

 ぶっちゃけ、与一の寿命を伸ばしたいと思うのは俺のわがまま。個人的な感情からくるもので、死神(デス)たちも忙しいのにそれに付き合わせられない。

 他にも、与一を生かして「やりたい事」があるんだけどね。

 

 原作だと与一はあと2ヶ月後には殺される。この世界が原作の流れ通りに動くなら、俺たちもその流れに飲まれているなら、与一を人質に取った俺もいっしょに殺されるだろう。もちろん殺される気はないけど、正直やつに勝てる気がしない。ボス級の魔物とデスマッチを何度も何度も繰り返したり、何100人ものヴィランの血と魂を飲んで肉体強化に励んだけどやつに届くかどうか。

 

「是非もなし」

 

 不安だけど負けるつもりはない。だから今は勝つために死ぬほど準備を進めている。あとは全力を尽くすだけだ。

 

「チュー」

 

「……ん?」

 

 足元からネズミの鳴き声。見下ろすとスケルトン・マウスが1匹、俺を見上げていた。

 

「思っていたより早いな」

 

 大丈夫かな?この近くに病院やクリニックや学校とか、「医」のつく職業の人間がいそうな建物は見当たらない。まあこの際、チラシとか新聞とかこの街の地図とか情報なら手がかりになるからうれしいんだけど──ッ!!!

 

 血の匂いがする。風の乗った匂いより濃厚で、「何か」混じっているけど新鮮な生き血の匂いだ。

 壊されたドアの方を見ると、さっきまでゾロゾロと降りて行った群れが戻ってきた。──その背中に血まみれの女性を乗せて。

 慌ててタンクから飛び降りると、スケルトン・マウスたちは俺の前に女性を運んできてそっと下ろした。

 

 医者らしい白衣を着た20代後半か30前半の美女で、おでこを出した茶色がかったミディアムボブと吊り目が特徴的な女性だ。

 額は裂けて血が流れているが、問題はそこじゃない。下腹部の中心にナイフが突き刺さっていた。

 

「ん……?」

 

 下腹部の刺し傷をよく見てみると、流れる血の色が薄い。それにサラサラしている。アンモニアの匂いはなく、膀胱が傷ついて漏れた尿と混ざったわけでもなさそうだ。

 

「まさか……」

 

 ヴァンパイア・アイを凝らして傷を見る。傷のその先、女性の体内に消えかけの蝋燭の火のようにとても小さな魂がある。それも2つ。

 

「妊婦か!」

 

 妊娠何ヶ月なのかわからない。小さな穴が開いた風船のように、傷口から出血と共に羊水が流れて腹が縮んでいるのかも知れない。

 

 マズいマズいマズいマズいマズいマズいッッッ!!!

 どうするッ!?ポーションを飲ませたら母親は助かるかも知れないけど、赤ちゃんたちは助からねぇッ!!!どうすれば────ッ

 

「うう……っ」

 

 女性が苦しそうにうめき声を上げてうっすら目を開いた。

 

「死に、たない……」

 

 俺を見上げ、震える手を伸ばす。

 

「助けて……私の、あ、赤ちゃんを……」

 

 膝をついてその手を握る。出血と共に体温も抜けていて冷たい。

 その魂は死の恐怖に染まっている。自分が死ぬ以上に胎の子供たちの死を恐れているの伝わってくる。

 

「……許せ」

 

 こうなったらできることは1つ。

 爪で手首を切り、血が流れる傷口を女性の口に当てた。

 

*1
執事やウェイターが持つ白いタオル。




・ドラキュリア

内心でよく「母ちゃん」と言ってるからわかる通り、前世はマザコン。「母ちゃん」にしてもらったことをそのまましている内に母性が芽生え初めていることにまだ気づいていない。

・与一

なんやかんや言いながら世話を焼いてくれるドラキュリアに戸惑いながらも包容力を感じている。育ててくれた兄がアレなのもあって、年上(外見と精神)の女性に母性を求めている。

与一が過去に読んだコミックの回想は本作の独自設定。
引子ママ然り、冷ママ然り、志村ママ然り、そしてオールマイトのママ。みんなオリジンに深く関わっているから、「母親」はヒロアカでかなり重要なワードの1つだと思うんですよね。

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