ドラキュラ?いいえ、ドラキュリアです   作:花の右人

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4話にちなんで、死神(デス)の回です。我ながらしょうもない。
今回で他作品要素(技・能力・キャラなど)のタグを使います。
長々とお待たせしました。4話目になります。
拙い駄文ですが、お楽しみいただければ幸いです。


4. 死神(デス):オリジン

 おはようございます。ドラキュリアです。

 ただ今、悪夢から覚めたところです。

 

 どんな悪夢かと言うと、オール・フォー・ワンが渋い声で高笑いしながら俺をバラバラにして日の下にばら撒いて燃やす夢だ。現実で起きたことを夢の中で再現とか、マジで勘弁して欲しい。

 

 そして目を開けたら知ってる天井。また棺桶の中で眠っていました。これぞデジャブ。

 

「ドラキュリア様!!」

 

 死神(デス)の呼び声で俺は目を覚ました。そして俺を心配そうに見る死神(デス)の顔が見えました。

 身体を起こすと、おでこに乗っていた氷嚢がポトリと膝の上に落ちた。身体にはカーテンのように大きな毛布がかけられていた。そして、死神(デス)が俺の手を握ってくれていた。柔らかい手に悪夢とは別でドキドキしたよ。

 

「……死神(デス)よ。私を看病してくれたのか?」

 

「はい。あの後、倒れたドラキュリア様を運んで看病しました。ずっとうなされていたから心配しました」

 

 死神(デス)はそっと俺の手を離し、俺の膝に落ちた氷嚢を拾いながら答えた。

 

「目が覚めて何よりですよ。今のお加減はどうですか?」

 

「……まだ最悪だ」

 

 頭が痛いし、胸がムカムカ。腹痛と吐き気もする。身体が重いし、立つのも億劫だ。

 

「そうですか。まだ具合が悪いですか。それじゃあお薬を持って来ますから、少し待っててくださいね」

 

 氷嚢を脇に抱えながら死神(デス)はその場からフッと消えた。

 

 死神(デス)が消えると、握ってもらった右手を見下ろした。まだ暖かくて、柔らかい感触が残っている。

 

「懐かしいな……」

 

 ポツリと呟いて前世を思い出す。

 俺が子供の頃に病気で寝込んだ時、目を覚ますと横で母ちゃんが俺の手を握りながら眠っていた。夜通し俺を看病してくれていたんだ。

 死神(デス)には俺の前世の記憶と知識がある。もしかしたら、それで母ちゃんと同じように俺の手を握ってくれたんだろう。

 

「お待たせしました」

 

 死神(デス)がいつの間にか、となりに立っていた。その横にはワゴンカートがあり、俺が使っていたデカいグラスとそれより2倍以上デカい水差しが乗っている。物ごと瞬間移動できるのかよ。

 

「精がつく血です。さあ、飲んでください」

 

 受け取ったグラスに注がれた血を、一息で飲み干した。2回目になると、抵抗感は薄れてすぐ飲もうと思えた。

 

「これは何だ?」

 

 強めの苦味と酸味に少しの甘味がある味だ。例えるなら、グレープフルーツにバナナを入れて少しマイルドにしたジュースのようだ。

 

「筋肉質で体格がいい男の血と普通に健康な若い男の血のミックスです。苦くて酸っぱいけどしっかり飲んでください」

 

 説明しながらおかわりを注ぐ死神(デス)

 子供には飲みにくい味かも知れないけど、これはこれで美味しい大人の味だ。

 

死神(デス)よ。この血は最初に飲んだ血と同じ、人間の首を落として搾り取ったものなのか?」

 

 4杯目のおかわりを飲み干してから死神(デス)に尋ねる。

 

「ええ。これも首を落として搾り取った血です。やっぱり、気になりますか?」

 

「ああ。だが、今は抵抗なく飲めるがな」

 

 人間の生き血を啜るヴァンパイアが何を言ってるんだと思うが、気になるものは気になる。人間が家畜を屠殺して食べるように、ヴァンパイアも人間を殺して血を飲むのはわかっている。

 

「人間だった前世の倫理観が邪魔してるんですか?」

 

「そう言うことだ。ヴァンパイアに憧れていたのに、いざなったらこの様だ。我ながらバカバカしいと思う」

 

 ヴァンパイアになった俺は、ヒーローたちのように不殺を貫くのは無理かも知れない。そう遠くない将来、人間をこの手で殺すだろう。乾きを癒すために。

 

死神(デス)よ。改めて、そなたには迷惑をかけた。その手を汚させてすまない」

 

 俺がこうして血を飲むことができるのは、死神(デス)が手を汚してくれているからだ。申し訳ない。

 

「え?別にそんな気にしなくていいですよ」

 

「何……?」

 

 真剣な俺ににへらと笑う死神(デス)

 

「安心してくださいよ。殺したと言っても、相手はろくでなしのクズばっかなんですよ。今飲んでいるこれも、最初に飲ませた血の持ち主とどっこいの悪党ですから、気兼ねなく飲んじゃってくださいな」

 

 水差しをポンポンと軽く叩きながらヘラヘラ笑った。

 悪党とは言え、人間の命を奪うことへの忌避感や罪悪感がまるで感じられない。改めてみて名前通りのやつだな。

 

「それに、今は超常黎明期!「異能」と呼ばれる力が物を言うこの時代、ヴィランは虫のように涌いて出てくるから、飢える心配はないでさぁ!」

 

 死神(デス)は両手を広げ、芝居かかったような動きでくるりと回りながら笑った。こいつ、どうしてこんなにテンション高いんだろう?

 それより、今サラリと言った「超常黎明期」と「異能」と「ヴィラン」の3つのワード。こいつには、俺が知っているヒロアカの原作知識もあるみたいだな。

 

「だからドラキュリア様。今はいっぱい血を飲んで元気になってください。そして力を付けたらいっしょにあの男の、オール・フォー・ワンの首を転がしましょう」

 

 死神(デス)は目と口を三日月のように歪めて笑った。

 

 

 

 ──────────────────────────

 

 

 

 私は死神(デス)。「深紅の石」に宿りし神であり、ドラキュリア様にお仕えするために生まれてきた永遠の僕である。

 

 私は目覚める前に長い夢を見ていた。それは1人の男の30年あるかどうかの人生だ。

 

 その中には、「悪魔城ドラキュラ」と呼ばれるゲームがあった。

 ヴァンパイアハンターの主人公が魔王ドラキュラを倒そうと悪魔城に乗り込む。そんなストーリーのゲームで、男が生まれる前から続く長いシリーズだ。その中で、死神(デス)と呼ばれるキャラクターが登場する。

 魔王ドラキュラに対して厚い忠誠心を持ち、滅ぼされた主を復活させるため、ありとあらゆる手段を用いて復活させようと奔走する、忠臣の鑑のようなキャラクター。

 

 その死神(デス)をモデルに「私」という存在は構成されたのだ。

 従来の「死神」に似た姿。主の敵の魂を刈り取る巨大な鎌と数多の暗黒魔術。命すらも主に捧げる鋼の忠誠心。

 それらを持って「私」という存在は男から、いや、ドラキュリア様から生まれた。

 

 前世のドラキュリア様はアニメ、マンガ、ゲームといった娯楽に力を注いでいた。私は初め、それが何なのか理解できなかったが、見ていく内に様々な知識を得て、ドラキュリア様と共に楽しく思えるようになった。

 そして、階段からの転倒を最後に夢が覚める時が来た。

 

 最初に聞こえたのは主の悲鳴だった。苦痛と恐怖と絶望に満ちた声だ。

 この時まだ肉体がなく、「深紅の石」の中にいた私に困惑する暇すら与えず、ドラキュリア様の記憶が流れ込んできた。

 記憶を通して今いる世界が「僕のヒーローアカデミア」の世界で、ドラキュリア様はラスボス、オール・フォー・ワンとの戦いに敗れた後だと知った。

 

 私はなんとかドラキュリア様をお救いしたかった。しかし、具現化するにはドラキュリア様の御意志と御力がなければ叶わぬこと。ドラキュリア様は私の存在に気づいておらず、さらに日光に灼かれて思考を割く余力も残されていなかった。

 やっとの思いでほんの僅かに私の声がドラキュリア様に届いたが、私の声を幻聴と勘違いされてしまった。それに、気づいてもらったところでこの時のドラキュリア様に私を具現化させるだけの暗黒魔力は残っていなかった。

 そして、ドラキュリア様はこう仰った。

 

「お迎えの死神がやってきたのか?ドラキュラの腹心の死神のような骸骨だったら嫌だな」

 

「2度目の最期なんだからせめて、可愛いツインテールの巨乳の女の子がお迎えだったらいいのにな」

 

 それを最後にドラキュリア様の肉体は滅びた。

「深紅の石」も燃え尽きると、私は魂となって解放された。すぐに魂となったドラキュリア様に駆け寄って声をかけるも意識はなく、休眠状態に入っておられた。

 私はすぐにドラキュリア様を遠く、人気のない山々へと運んだ。この世界の闇を吸収し、復活された時には悪魔城も顕現する。今回のように都市部だと、オール・フォー・ワンに気づかれてしまう。

 

 山奥の洞窟にその御魂を隠し、私は肉体を具現化させるべく力を蓄えた。超常黎明期と呼ばれる今の時代は混沌に満ち溢れている。具現化するのにそう時間はかからなかった。

 

 ここで、ドラキュリア様の言葉を思い出す。

 

「骸骨だったら嫌だな」。

「可愛いツインテールの巨乳の女の子」。

 

 ドラキュリア様が嫌がるのであれば、人間の女の姿になるべきだ。幸いにも、生まれて間もない私に性別はあってないようなものだから丁度いい。

 前世のドラキュリア様を通して見てきた様々なアニメ、マンガ、ゲームのキャラクターをモデルとした姿になろうと、「可愛いツインテール」と「巨乳」の2つのワードを絞って最適なキャラクターを探し、「小野塚小町」という1人のキャラに行き着いた。

 

「東方project」と言うゲームに登場するキャラクターで、「可愛いツインテール」に「巨乳」。そして私と同じ死神だ。器としてこれ以上はありえない。

 ちなみにだが、前世のドラキュリア様はこの小野塚小町の同人誌で夜は何度も世話になっている。小野塚小町の姿を見たら、きっとおよろこびになるだろう。

 こうして私は、小野塚小町によく似た姿で具現化した。

 

 肉体を得た私はまず、ドラキュリア様の復活を速めるためにヴィランを大勢の集めた。

 街に繰り出せば小野塚小町の整った容姿に釣られ、愚かなヴィランたちがハエの如く集まってくる。その邪悪な魂を刈り取り、ドラキュリア様の糧として捧げ続けた。

 無論、オール・フォー・ワンに勘づかれないようにいくつも刈り場を設け、刈り取りすぎない程度にヴィランたちの魂を刈った。それを1年ほど繰り返して、その時が遂に訪れた。

 

 始まりは山々を揺るがす大地震からだ。ドラキュリア様の魂が眠る棺桶を中心に洞窟が崩壊し、周囲の土地が隆起した。山から大きく突き出るように巨大な断崖絶壁ができあがり、その頂上に巨大な城が現れた。ドラキュリア様の魔力の結晶にして混沌の産物、悪魔城だ。

 たった1年。されど1年。私には長く感じた。そして、生まれて初めて心から歓喜した。やっと、ドラキュリア様にお会いできると。

 しかし、この時の私は重大な事実を忘れていた。

 

 復活して間もないドラキュリア様は、精神的に衰弱していた。肉体に悪影響を及ぼし、自力で歩くのも難しいほどに。

 魂の状態の休眠期間の間、意識がなかったドラキュリア様は目が覚めてすぐ、オール・フォー・ワンに殺された時のことを昨日のことのように思い出し、凄まじい精神的ストレスに襲われたのだ。

 できる限り不安を感じさせないよう、小野塚小町のように明るく接したのだが、従来の姿を見せるまで私が死神(デス)であると信じてもらえなかった。

 精神的に不安定なのもあって、ドラキュリア様は私を敵ではないかと疑いになられていた。これには流石の私も顔には出さなかったが、内心ではショックを受けた。

 

「何故、オール、フォー・ワンとの戦闘時に助けに来なかったのか?」

 

 この質問を受けた時、私は人生で2度目の凄まじい無力感に襲われた。すぐに理由を述べ、頭を垂れて深く謝罪した。

 すると、ドラキュリア様は大きな声で面を上げるように命じられた。その魂からわずかに負の感情が漏れ出るのを感じた。罪悪感だ。

 ドラキュリア様は私の心情を汲み取ってくださった。私をオール・フォー・ワンの手先ではないかと疑った御身を恥じ、私に対して罪悪感を抱いたのだ。そして私に、「非があるのは私でそなたは悪くない」 と仰った。

 その後、ピークに達した罪悪感がストレスを加速させ、再び体調不良を起こしてドラキュリア様は気絶してしまわれた。

 

 私はドラキュリア様を癒すべく復活を見越して集め、拷問にかけていたヴィランの首を刎ねた。

 ドラキュリア様は魔王ドラキュラと同じ力を持ち、人間の負の感情を糧にして力を得る。それならば、悪党に極限の恐怖と絶望と苦痛を与え、搾り取った生き血にその邪悪な魂を混ぜ込めば、極上の栄養ドリンクになるのではないかと考えたのだ。

 私は人間をヴァンパイアに変える「深紅の石」に宿し者。ヴァンパイア同様、血の味に理解がある。ドラキュリア様をよろこばせるために、魂を刈りながらヴィランを食材にして上質な味の血を作る研究も並行してきた。

 精がつく酸味と苦味と甘味のある血を用意してお出しすると、ドラキュリア様はお気に召したようですぐに飲み干し、4杯もおかわりなされた。努力が報われてホッとした。

 

 落ち着かれたドラキュリア様は、この時のご自身の心情を語ってくださった。

 曰く、「血を飲むことに抵抗はないが、前世の人間だった時の倫理観が邪魔して人の死に未だ抵抗感がある」。

 曰く、「ご自身のため、私に手を汚させて申し訳ないと思っている」。

 

 ドラキュリア様は人間だった。この世界に転生して間もないのもあって、精神はまだ人間のまま。悪人と理解しつつも、人間の死に思うところがあった。

 そして、惨たらしい2度目の死を迎え、PTSDになってもおかしくないほどのトラウマを抱えて苦しんでおられるのに私を気遣ってくださった。

 ドラキュリア様の心情を考えていなかった上に、気遣わせてしまった自分に不甲斐なさと激しい怒りを感じた。

 それと同時に、ドラキュリア様は「前世」から変わらず心優しいお方であると再認識できた。

 

 出出しで大きく転んだが、これでドラキュリア様の体調は良くなっていくはずだ。

 ドラキュリア様は力を蓄え、いつかあの憎きオール・フォー・ワンを倒し、魔王としてこの世界に名を響かせる。それを考えると、舞い上がるように気分が高揚した。

 その未来を現実にするため、「あたい」はドラキュリア様をお支えする。

 

 あたいは死神(デス)。ドラキュリア様の永遠の僕。

 ドラキュリア様のためなら、幾万の魂を刈り取る覚悟で戦おう。

 





死神(デス)(小野塚小町)

ドラキュリアの分身にして永遠の僕。
悪魔城ドラキュラに登場する死神(デス)をベースに創られた存在のため、生まれながらにしてドラキュリアに対する忠誠心が強い。
ドラキュリアが前世で東方projectを嗜んでいて、小野塚小町は性癖に刺さり、同人誌を買うほど好きなキャラだったからその姿になった。

・独自解釈と独自設定

キャッスルヴァニアの死神(デス)曰く、「我が主がいる限り、我は何度でも蘇る」とのこと。
死神(デス)がドラキュラが蒼真に転生した後も復活できたのは、ドラキュラが「深紅の石」でヴァンパイアになった時に、2人は悪魔城より強力な魂の繋がりができたからなんじゃないかなと思いました。
死神(デス)はドラキュラと別々の存在だけど、切っても切れない繋がりがあるからドラキュラの魂さえ無事なら一蓮托生にならない、 分身のような存在だとわたしは解釈しています。

この解釈から、死神(デス)(小野塚小町)はドラキュラの力を持って転生したドラキュリアの分身であり、常闇の黒影(ダークシャドウ)と似て異なる存在という独自設定です。

改めて、最後まで読んでいただきありがとうございました。
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