ドラキュラ?いいえ、ドラキュリアです   作:花の右人

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もうすぐ10月なのにまだ気温が高くてつらいです。熱いのはヒロアカの最新話のオールマイトだけで充分。
お待たせしました。5話目になります。
拙い駄文ですが、お楽しみいただければ幸いです。



5. リハビリでセクハラされた件

 こんばんは。ドラキュリアです。

 今は死神(デス)といっしょに闘技場に来ています。

 

 あれから1ヶ月、死神(デス)の手厚い看病を受けて自力で歩けるようになるまで元気になった。

 血を飲ませてもらっていく内に回復していき、悪夢にうなされる時は死神(デス)が手を繋いでくれたり、自分の胸に俺の顔を埋めて優しく抱きしめてくれたおかげで、悪夢を見ることはなくなった。めっちゃいい匂いがしました。

 

 歩けるようになってから、死神(デス)に案内されながら城の中を探検して回ったが、悪魔城は想像以上にデカくて広かった。

 莫大な量の本がある巨大図書館。彫刻が立ち並び、いろんな種類の花が咲き乱れる庭園。ステンドグラスが煌びやかなカトリックのような礼拝堂。無数の歯車が回る時計塔。花の装飾が多い豪華な宮殿。アンティークな家具が多いシックなホテルのような洋館と、大きな施設の集合体になっていて、さらに今挙げたところ以外にも、地下も含めたらまだ施設がある。

 悪魔城ドラキュラは横スクロールのゲームだ。ステージとなる悪魔城は縦に長く横に広い。それをリアルにすると奥行きもあるからゲームとは比べ物にならないくらい広大だ。とてもじゃないが、たった1ヶ月で全部事細かに見て回れない。

 こんな城を駆け回り、魔物たちを倒しながらドラキュラを討伐したベルモンド一族たちヴァンパイアハンターは、やっぱバケモノだったんだな。

 

 そしていくつもある施設の1つが闘技場。ローマのコロッセオのような外観の施設で、眺めがいい特等の最前席には城主用の玉座がある。

「月下の夜想曲」でアルカードが城主になったリヒター・ベルモンドと出会った、ボス戦のステージだ。

 

「今日はリバビリも兼ねてここで戦闘訓練をしましょう」

 

 死神(デス)はニコニコ笑いながら言った。

 

「ドラキュリア様は復活されて、前より強くなっています。どこまで力が高まったか調べましょう」

 

 指をパチンと鳴らすと10m先の地面に黒い靄が湧き、白い骸骨が這い出てきた。

 

「最初はスケルトンか」

 

 スケルトン

 魔力で動く骸骨。ジャンプしたり自分の骨を投げてくる。ゲームでは最序盤に出てくる魔物だ。

 

 ワラワラ這い出てくるスケルトン。その数はパッと見でも50体を超えてるだろう。ザコ敵でもこれだけ数が揃うとすごい光景だ。

 というか死神(デス)よ、召喚術も使えるんだな。ゲームでも死神(デス)は骸骨の僕を召喚していたな。他にも瞬間移動や変身とかの魔術を簡単に使っていたし、できてもおかしくないか。俺も使えるように後で教わろう。

 

「まずは肩慣らしにスケルトンです。それでは始め!」

 

 死神(デス)がパン!と手を叩いたのを合図に、スケルトンたちは一斉に自分たちの肋骨を躊躇いなくへし折り、俺目がけて投げつけてきた。

 人の骨は竹くらい硬いと聞いたことがある。それが大量に、それもかなりのスピードで飛んでくる。尖ってる先端に当たれば最悪突き刺さるだろう。

 だけど、それは人間だったらの話。ヴァンパイアにして魔王の身体の前では、そよ風に当たるようなものだった。

 

 顔はマントでガードして、試しにわざと受けたけど全く痛くない。まあ、痛くても並大抵のものは我慢できる自信がある。こちとら、刺されてバラバラにされて燃やされてるんだ。骨くらいなんだ。

 今度は一斉に突進してきた。ハンドボールのように走りながらジャンプして骨を投げつけてくるが、これも効かない。着地すると俺を取り囲んで詰め寄り、殴る蹴ると攻撃してきた。スケルトンの中には折った肋骨を逆手に持ち、尖った部分を突き立てる個体もいたが、これも効かない。骨を簡単にへし折れるパワーでも俺の身体は傷1つ付かないし、全然痛くも痒くもない。

 

 これじゃあマッサージにもならない、っておい!人様のおみ足を掴むな!後ろも尻を触ん──うわぁあああっ!!テメェッ!!どこに手ェ突っ込んでんだぁっ!!

 

「鬱陶しい」

 

 前を手で軽く払うと、スケルトンの頭や上半身が粉々に砕け散った。流石はヴァンパイアボディ。4m近いデカさも相まって凄まじい怪力だ。

 

 内心とは裏腹に、右足側のスリットから手を突っ込まれて鼠径部を触られても「鬱陶しい」の一言で済ませているけど、これは自分の意思で言ってるんじゃないんだよね。

 今世初の第1声、オール・フォー・ワンと出会った時に頭の中で思うように自己紹介できなかったことがあったでしょ?死神(デス)とコミュニケーションを取っていくうちに気づいたんだけど、俺の口調や言葉、そしてある程度の行動はドラキュラらしい言動に変換されるんだよ。

 

 試しに死神(デス)に、

 

「見た目は小野塚小町。おっぱいは大野塚大町だね(笑)」

 

 って言ってみた。だけど現実じゃ、

 

「小野塚小町を模したその姿、改めてこの目で見ると実に美しいぞ」

 

 という、口説き文句に変換された。

 死神(デス)は俺の前世を知ってるから、ある程度俺の内心をわかってくれるから、照れながら怒るんだよ。かわいい。

 

 また、アルベドのおっぱいを揉みしだいたモモンガ様の如く、死神(デス)のたわわなおっぱいを触ろうと両手を動かすと、社交ダンスのように右手は腰に回して左手は手を取って優しく軽やかに身体を抱き上げるという、少女マンガのようなイケメンムーブになる。

 抱き上げられた死神(デス)は「きゃんっ!」と声を上げて目の前に俺の顔があることに気付くと、髪と目と同じくらい顔を赤くして「もう!下ろしてください!」と怒るんだよ。かわいい。

 

 ヴァンパイアの魔性は、その姿を見たり声を聞いたり手に触れた人間を惹き寄せて虜にする。ドラキュラも同じで、作中だとテンプテーションという魔法で女性を魅了している。

 そして俺自身、ヴァンパイアは上品で優雅で美しいイメージが強い。もしかしたら、そのイメージが反映されているのかも知れない。

 

 “個性”「魔王ドラキュラ」

 ドラキュラっぽいことがだいたいできるぞ!!ただし、言動もそれっぽくなる!!キザなやつだ!

 

 脳内での説明ありがとう、プレゼント・マイク。いや、山田先生。

 まあ、威厳あるクールビューティーな外見とは裏腹に、童貞くさくて冴えない野郎な俺の本性を隠してくれるから助かるんだけどね。

 というか、ドラキュラも鼠径部を触られても俺のように落ち着いた声で相手を殺すとか、想像したらすごいシュールな絵面だな。

 

 なんてバカなことを考えている間に、残るスケルトンも軽く蹴散らしてあっという間に骨の山ができあがった。

 

「流石ですドラキュリア様!」

 

 死神(デス)が笑顔で拍手してくれた。めっちゃうれしい。

 圧倒的なパワーで敵を圧倒し、かわいい女の子に手放しで褒めてもらえる。これが「俺TSUEEE!!」か。気持ちよくて最高だぜ!!

 

「スケルトンじゃ相手にならないみたいだし、今度はこれを出しますね!」

 

 そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。

 

 死神(デス)の指パッチンが響いた直後、大きな地震が起きた。地響きを立てて闘技場の中心から、赤く光る肉の塊のような何かが顔を出した。

 砂を落としながら空中に浮かび上がったのは、巨大な丸い肉の塊。よく見てみると、無数の人型の肉塊が集まってできたグロテスクな魔物だ。

 

 レギオン

 多くにして1つなる者と呼ばれるステージボスだ。その攻撃方法は──

 

「ヴヴウウアァァァ」

 

 人型の肉塊がボトボト落ちてきた。肉塊はゆっくりと起き上がる。その顔には目や鼻やと言ったパーツはなくのっぺりしている。口があるところにぽっかりと穴が開いているだけ。そこからくぐもった唸り声を発している。おぞましい姿だ。

 そんな亡者たちがゾロゾロと俺に向かって殺到してきた。

 

 うわああぁぁぁっ!!キモい!キモい!キモい!こっち来んな!近寄んな!!ていうかなんでレギオン!?もっとマシなチョイスなかったのかよ!?

 

 俺を仲間に加えようとしてるのか、亡者たちはゆっくりとした動きで俺に手を伸ばしてくるのを蹴りで撃退していく。吹っ飛ばされた亡者は燃え上がり、骨も残さず消えていく。

 

 勘弁してくれ。こんなやつら触りたくねーよ。ヒィッ!足触られた!!キモい!!

 ヌルッとした手でふくらはぎを触られた。キモすぎて鳥肌が止まらない。

 

「ドラキュリア様ー!そいつらは殺しても殺してもキリがないですよー!!」

 

 観客席で死神(デス)が声をかけてきた。あいつ、いつの間にあそこに!?高みの見物かよ!!

 

 死神(デス)の言う通り、亡者たちは殺しても殺してもキリがない。レギオンは亡者たちの外殻を剥がし、中心にいる本体を叩かないと倒せない。作中トップクラスに入るキモさも加わって、とても厄介な強敵だ。

 ステージには高いところに浮いてるレギオンを攻撃するための足場があるが、この闘技場にそんな都合のいいものはない。

 空を飛べないことはないが、今まで療養して自分の力を試せなかった俺にできる攻撃手段は、ヴァンパイアの身体能力を活かした肉弾戦と蝙蝠に変身する近距離戦闘だけだ。

 魔王ドラキュラのバトルスタイルは火球・ヘルファイアを放つ遠距離攻撃が基本だが、今の俺に出せるのかわからない。出せたとしても、レギオンはボス級の魔物。にわか仕込みのヘルファイアが通じるかどうか。

 

「是非もなし」

 

 亡者たちを蹴り払い、空を飛んだ。

 今は使える手札で戦う。外殻を壊して中心にいる本体を倒すだけだ。

 レギオンを超えて上空から見ると、その姿がよりハッキリと見えてきた。

 

 うわあああぁぁっ!キモいキモいキモいキモいキモい!やっぱ無理!変な臭いもするしこれ以上近づきたくない!!

 遠くからだと皺だらけの脳みそに見えなくもないが、すぐ近くで見るとモゾモゾ蠢く大量に湧いたウジのようだ。集合体恐怖症の人が見たら狂って死ぬんじゃないかと思うくらいおぞましい。もうヤダ。

 

「ドラキュリア様ー!負けないでくださーい!!」

 

 下の闘技場から死神(デス)が大きな声で応援してくれた。

 ……これは、応えなきゃな!女の子に応援してもらえたんなら頑張らないと!!

 

 薄い赤い光を放つ亡者の集合体。モゾモゾ蠢くその姿は精神的嫌悪感を凄まじい勢いで高めていく。

 ああ。やっぱキモい。触りたくない。でも、ここで逃げちゃダメだ。腹を決めろドラキュリア。おまえは魔王ドラキュラの力を持ってるんだ。ステージボスの1体や2体、なんぼのもんじゃい!!

 

(いざ、南無三──!)

 

 勢いよくレギオンに急降下。ミサイルが落ちたような衝撃を起こし、大量の亡者たちが吹き飛び外殻の5分の1が消し飛んだ。

 全身が血や薄黄色の変な汁に濡れてぶよぶよした感触に包まれた。

 

(ぎゃああああああぁぁぁっっ!!!キモい!!臭い!!いやああぁぁっ!!!)

 

 爪を突き立て、一心不乱に亡者たちを掻き分けて本体を目指す。レギオンの本体は8本の触手が生えた内臓のような姿だ。触手を見つければこっちのものだ。

 

「ヴヴウウアァァァ」

 

 無数の腕が俺の身体を掴んだ。足首、ふくらはぎ、太もも、腰、腹、胸、肩にビッシリと、亡者たちが本体を守ろうと纏わりつく。

 

「触るな、無礼者め(ああああああああッッッ!!!キモいぃぃぃッッッ!!!やらしい手つきで触んじゃねぇぇぇッッッ!!!)」

 

 一見、全く動じてないように見えるが内心では大狂乱。すぐに無数の腕を引きちぎって振り払い、腕を振るい、足場を爪先で蹴り掘った。

 

「見えた」

 

 体感的に4分の1くらい削ったところで俺の身体くらい太い腸のような肉の管の先端に、アーモンド型の肉塊が付いたものが顔を出した。レギオンの触手だ。

 よっしゃっ!後はこれを辿れば、ん?

 触手の先端がパカっと2つに割れて、緑色の中身が顔を出した。断面が発光する。

 あ、ヤベッ。レギオンは触手から──

 

 緑色の光線が飛んできた。すぐにマントで防御したが飲み込まれ、上空にぶっ飛ばされた。

 いってぇっ!!オール・フォー・ワンと戦った時ほどじゃないけどいってえっ!!

 

 チクショウ。キモすぎて大事なことを忘れてた。亡者共を引っ剥がして終わりじゃない。レギオンは触手から炎やビームとか出してたよ。

 でも、本体はもう目の前だ!

 

 空中で体勢を立て直して急降下。レギオンの触手を狙って腕を引く。

 俺を撃ち落とそうと先端が開いてビームが放たれるが、紙一重に躱わす。直線的な攻撃だ。2度も当たらん。

 

「受けてみよっ!!」

 

 ビームが消えた直後を狙って触手を斬り裂く!先端から付け根まで真っ二つだ。

 

 

 

「ギギイイィィィィッッッ!!!」

 

 

 

 足元から本体の悲鳴が鳴り響いた。うっさ。

 へへっ、ザマァ見ろって──ヘブッ!!

 

 のたうち回る触手を見て内心ほくそ笑んでいたら、不意打ちで横っ面を殴られた。その場で踏みとどまったから倒れなかったけど。つーかだれよ。人様の御尊顔を殴るアホは?

 

 視線を上げると外殻を突き破って生えてきた6本の触手が、俺に向かって先端を開いていた。ヤベェ、怒らせたみたいだ。

 すぐ避けないとって、またか!!

 足元から亡者共が纏わりついてきた。先ほどとは比べ物にならない勢いで殺到する。ビームを放とうとする触手に目を配りながら亡者たちを蹴散らすもキリがない。

 しつこすぎるって──うおっ!?

 後ろから触手が亡者ごと俺に巻き付いてきた。そうだ。もう1本残っていたんだ。つーか、触手と俺の身体の間に潰された亡者たちの肉と体液がヌルヌルしてキメェッ!!

 

 そんなこと考えながらもがくが脱出に間に合わず、6本のビームが俺に向かって迫っていた。

 さっきとは比べ物にならない衝撃に視界が一瞬暗転した。

 あまりの威力に巻きついていた触手も半分以上消し飛び、俺は勢いよく投げ出された。

 さっきよりいってぇっ!目の前がクラクラする。

 まさか、触手を1本と外殻の一部を犠牲にしてまで攻撃するなんてな。改めてゲームとは違うと思い知らされた。

 何とか身体を起こすが、立ち上がる前に触手が迫ってきていた。またかよ!しかも数増えてる!!

 

 今度は手足にガッチリ巻きついて中心まで引きずられる。それだけじゃない。レギオンが激しく震え出した。外殻の亡者たちが一斉に動き、俺が削ってできたスペースを無事な亡者たちて埋めようとしている。

 

「アアアアァァァッ」

 

 俺の周りにも亡者たちが集まり出してきた。触手で動けない俺の身体に次々としがみつく。やめろ!!くっつくな離れろ!!

 ヤバいヤバいヤバいヤバい!!このまま俺を圧死させるつもりか!!臭くてキモいやつらに押し潰されて死ぬとか嫌だ!!

 

 マトリックスの増殖したスミスのように亡者たちは俺に群がり、覆い被さっていく。ヌルヌルで臭くて重苦しい中で、俺の視界は完全に真っ暗になった。聞こえてくるのは亡者たちのうなり声と粘液のヌチャヌチャとキモい音。

 

 大丈夫!落ち着け俺!集中!!この状況を打開する方法はたった1つ!

 ドラキュラの必殺技を出すことだ!!

 レギオンの弱点は炎属性!!そしてドラキュラの技といえば、ヘルファイアやダークインフェルノやマナフレアのような炎属性!!相性バッチリだ!!

 それでこいつらを焼き尽くすんだ!!

 

 ………………

 重いッ!!苦しいッ!!それに臭くてキモいぃッ!!!

 こんなんで集中できるかぁッ!!!

 あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!も゙お゙お゙お゙お゙や゙だあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!お゛ふ゛ろ゛は゛い゛り゛て゛え゛え゛え゛!!!

 

 ドラキュリアの中で圧迫感、不快感、嫌悪感、すべてがピークを超えた。その瞬間、ドラキュリアを中心に暗闇に光が走った。

 

 

 

 ──────────────────

 

 

 

「ドラキュリア様……」

 

 一回り小さくなっていくレギオンを見上げながら死神(デス)は主の名を呼んだ。その目は憂いを帯びていた。

 

 ドラキュリアは前世では戦闘とは無縁の一般人だった。魔王の力を得ても使いこなせなければ宝の持ち腐れ。いつかオール・フォー・ワンと戦わなければならないのに、今のままではまた殺されるのがオチだ。そうならないために、荒行染みた戦闘訓練をしなければならない。

 

 死神(デス)がレギオンを出したのは、ドラキュリアの力を引き出すためだった。

 魔王ドラキュラは人の心の闇を力に変える。ドラキュラと同じ力を持つドラキュリアなら、他者から闇を吸収するだけでなく、自身で高めることも応用として可能ではないかと考えた死神(デス)は、見るだけで精神を擦り減らす悍ましい外見をした魔物を、レギオンをぶつけることにした。

 

 レギオンより強く、殺傷力が高いステージボス級の魔物を出すと、オール・フォー・ワンに殺された時のトラウマを再発する可能性がある。例え訓練でも主に必要以上の痛みと恐怖を与えるようなことはできなかった。その代わりに、嫌悪感と不快感を高めることで闇の力を引き出す方針に決めたのだ。

 主のために心を鬼にして強力な魔物をぶつけるか、スケルトンのような弱い魔物を少しずつぶつけるか。レギオンはその間を取るように丁度いいものだった。

 

 だが、ドラキュリアはレギオンに飲み込まれてしまった。

 亡者の外殻の4分の1ほど剥ぎ取ったところで、レギオンは触手を使ってドラキュリアを拘束した。

 ドラキュリアが復活する前から、小間使いや番兵として魔物を召喚をしてきた死神(デス)は、魔物たちがゲーム知識にはない攻撃パターンがあることを知っていたため、ドラキュリアのように驚きはしなかった。

 前もってゲームと全く同じではないと、一言警告していればよかったかも知れない。

 

「今、助けに行きま──ッ!!これは!?」

 

 大鎌を出してところで異変が起きた。

 レギオンの中心から強大な気配が迸る。ドラキュリアの暗黒魔力だ。それがどんどん高まっていくのを感じる。

 レギオンは外殻の亡者たちをバラバラ落とすほと激しく震えながら、耳をつんざくような悲鳴を上げた。その巨体に赤黒い光明がいくつも差し込んで一瞬縮むと、黒い炎が吹き出した。

 

「マズいッ!!」

 

 死神(デス)は瞬間移動で闘技場から脱出した。脱出した先は悪魔城の本丸である玉座の間。城を激しく揺るがすほどの地震に驚きながらも窓の外を覗くと、闘技場がある場所に巨大な黒いドームができていた。

 時間にして10秒ほどドームは轟音を響かせ、窓を揺らすほどの衝撃波を放って消えていった。

 

「あれはまさか、デモニックメギド?」

 

 デモニックメギド

 

 黒い炎の大爆発を起こす、魔王ドラキュラ最強の必殺技だ。

 ゲームだとステージとなる玉座の間の半分以上を飲み込む広範囲攻撃だが、今見たものはそれの比ではなく、ローマのコロッセオのように巨大な闘技場を完全に飲み込むほどだ。

 

「ドラキュリア様!!」

 

 慌てて闘技場に戻ると、死神(デス)は目を見開いた。

 闘技場は影も形もなく、まるで隕石が落ちたかのようなクレーターを残して消滅していた。地面とわずかに残っている残骸はガラス状に溶けて発光しているのみ。人間なら近づけないくらいの熱量が、この場所で起きた爆炎の恐ろしさを物語っていた。

 闘技場の中心地だったであろうその場所に、クレーターの中心地にドラキュリアが座り込んでいるのが見えた。

 

「ドラキュリア様、ご無事ですか!?」

 

 すぐに駆け寄ると、ドラキュリアは全くの無傷だった。火傷はおろか、衣服に焦げ1つ付いていなかった。

 ドラキュリアはゆっくりと顔を上げた。

 

死神(デス)よ。湯浴みの準備するのだ。今すぐに」

 

 相変わらず無表情だったが、その表情はどこか酷く疲れているように見えた。

 




魔物図鑑

・スケルトン

魔力で動く骸骨。骨を投げてくる。
シリーズ皆勤、最序盤に出てくる雑魚敵。
ソルジャー、アーチャー、ブレイズと種類が多い。

・レギオン

多くにして1つなる者。
無数の亡者たちの集合体で、亡者の外殻の下に隠れた本体は8本の触手が生えた内臓のような姿をしている。
悪魔城ドラキュラに登場する魔物の中で、トップクラスに入る気持ち悪さ。集合体恐怖症の方は閲覧注意。

今回は善逸ばりに叫んでてうるさい。
主人公の姿か?これが・・・・・・

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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