ドラキュラ?いいえ、ドラキュリアです   作:花の右人

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お待たせしました。6話目になります。
拙い駄文ですが、お楽しみいただければ幸いです。



6. これからの目標

 こんばんは、ドラキュリアです。

 今お風呂でゆっくりしています。

 

 レギオンに飲み込まれ、暗闇の中でもうダメかと思った時に運良く出せたデモニックメギドでヌチャヌチャの服は乾いたけど、全身カピカピで臭かった。

 死神(デス)にセレブの家にある風呂のように豪華で、銭湯並に広い浴場に案内してもらうと、すぐに着てるもの全部籠に放り込んでシャワーを浴びた。

 

 ヴァンパイアは日光や銀の他にも雨や川や海などの流水も弱点とされるが、シャワーを浴びてもダメージを受けることはなかった。シャワーくらいなら平気なのか、それとも魔王ドラキュラの力がある俺は特殊だから平気なのか、あるいは弱点ではないから平気なのか、まだまだわからないことだらけだ。

 

「失礼します、ドラキュリア様」

 

 早速頭を濡らそうとした時、死神(デス)が大きなブラシを片手に入ってきた。

 上は白い半袖シャツで下は水色の縞々パンツ。ローブ姿でわからなかったけど、太もももすごいんだな。ムチッと太くて、単眼猫もニッコリな太ももだ。

 

「背中でも流しに来たのか?」

 

「ええ。その前に髪を洗いましょうか」

 

 返事も待たず、手に持ったブラシを手渡してくる死神(デス)

 

「もう、髪を洗う前はブラッシングするように言ったじゃないですか」

 

「面倒だ。やる必要があるのか?」

 

「ありまさぁ!闘技場であれだけ汚れたじゃないですか。埃やフケやゴミがついたまま洗ったら、髪は傷みやすくなるんですよ。せっかく綺麗な髪をしているんだし、ちゃんとケアしてくださいな」

 

 ピシャリと言われ、慣れない手でブラッシングすると、「もっと優しく丁寧に!」と注意された。

 ブラッシングが終わって髪を濡らした後も、「泡をしっかり立ててから」とか、「髪をこすりすぎない」とか、「リンスは水を軽く落としてから」とか、いろいろ注意された。前世での髪を洗い方は、ワシャワシャやるだけで特に意識していなかった。女の子って髪を洗うだけでも大変なんだな。

 だけど、今世の俺は女でヴァンパイア。 ヴァンパイアは上品で美しい存在だ。ヴァンパイアになった以上、前世で好きになったヴァンパイアキャラに、そしてドラキュラに恥じないように身嗜みはしっかりしないとな。

 

「うん。これでいいです。前世は男だったから慣れないと思いますけど、今度から頭を洗う時は今言った通りにやってくださいね。髪は女の命なんですから」

 

 髪を洗って終わると、死神(デス)はバスタオルくらい大きな垢すりで背中を洗ってくれた。4m近い巨体だから当然、背中はとても広い。それを手際良く洗ってくれる。ここまで至れり尽くせりで、本当に死神(デス)には頭が上がらない。

 

「はい。後ろは終わりです。それじゃ、前やるんでこっち向いてくださいな」

 

「いや、いい。前くらい自分でできる」

 

「ダメでーす。ガシガシ肌が傷むような雑な洗い方するでしょう?女の子なんだから、丁寧に洗わないと」

 

 無理矢理前を向かされ、身体を洗われた。

 自慢じゃないけど、俺の胸はデカい。どれくらいデカいのかと言うと、片方だけでも人間の頭部の2倍以上ある。小さめのバランスボールが2つぶら下がってるようなものだ。耳朗ちゃんが見たら嫉妬のあまり血涙を流しそう。

 そんな胸を持ち上げられてアンダーを、谷間に肘まで手を入れて優しく丁寧に洗われた。死神(デス)曰く、「アンダーと谷間はデリケートなとこだから優しく丁寧に洗うべし」とのこと。死神(デス)もかなりデカいから説得力がある。

 恥ずかしかったけど、声が漏れるくらい気持ちよかったです。

 

 身体を洗ってもらうと、水深2m以上の深い湯船に肩まで浸かる。この身体だと水代だけでヤバい値段になりそうだ。

 

「それじゃ、あたいはこれで。何かあったらすぐ来ますので、ゆっくり温まってくださいな」

 

 死神(デス)はペコリと一礼して浴場から出て行った。

 

 銭湯のように広く、セレブの家にあるもののように豪華な風呂を1人で使っていると、セレブになった気分だった。まあ、城の主だからセレブだけど。

 

「疲れた……」

 

 フーッと長く息を吐き、お湯を掬って軽く顔を洗う。波が治まり、水面に映る自分の顔を見る。

 ルビーのように赤い瞳と切れ長のつり目。凛々しく細い眉。白人のように筋の通った高い鼻。セクシーな赤い唇とヴァンパイア特有の牙。

 ドラキュラとアルカードに似た顔立ちの妙齢の美女だ。

 

 次に身体を見る。

 シミ1つない雪のように白い肌。絹のようにきめ細かなウェーブがかかったセミロングの白い髪。立ってから下を見たらつま先が見えないほど大きな胸。見事に割れた腹筋とくびれたウエスト。女性らしく丸みのある大きめの尻。張りのある魅惑的な太もも。

 アスリートのように無駄のない引き締まった筋肉と、グラビアアイドル顔負けの豊満さを併せ持った肉体だ。

 

「変わったのだな」

 

 転生して1年1ヶ月の時間が経った。風呂に入って自分の顔と身体を見る度に自分は女に、ヴァンパイアになったのだと実感させられる。今は前世から憧れていた存在になれた喜びと興奮は冷めて、このヒロアカの世界でこれから先うまくやっていけるのか不安になってくる。

 

 俺はオール・フォー・ワンとの戦いに負けて殺された。おそらくまだ悪の帝王と呼ばれていない、全盛期どころかオールマイトとの戦いで弱体化した時よりも弱いオール・フォー・ワンに負けたんだ。

 復活を果たし、殺される前より強くなった今なら勝てるか?答えはNO。レギオン相手に苦戦してる時点で逆立ちしても勝てないだろう。

 それに、やつも強くなっている。こうしてのんびり風呂に浸かっている今も、他人から「個性」を奪って力を付けているはずだ。

 

 この世界でやることは決まった。

 

 

 

 悪の帝王オール・フォー・ワンを殺す。

 

 

 

 ここは人里離れた山奥だが、いずれだれかに悪魔城の存在を気づかれる。そこからやつに俺が復活したと知られるだろう。そうなれば、また俺を殺そうとやってくるはずだ。

 それに、敵はオール・フォー・ワンだけじゃない。他のヴィランとヒーローもいる。

 人間の血を口にしないと生きていけない性質上、ヴァンパイアは人類の敵だ。ヒーローやヴィランとの激突は目に見えている。それならやることは1つ。力を蓄えて、この世界を相手に戦える大勢力を築く。

 俺と死神だけでは有象無象を蹴散らすことはできても、オール・フォー・ワンや先の未来で生まれてくるオールマイトや緑谷出久たちに敵わない。それに、他のヒーローやヴィランたちも侮れない。今のままじゃ強大な個人の力と数の力に押し潰されるだろう。

 

 ドズル・ザビは言った。

 

「戦いは数だよ兄貴!」

 

 まずは大勢の味方を作る。

 見込みある人間を見つけて眷属に、ヴァンパイアに変える。さらに死神が見せた召喚術を習得し、ゲームに登場した魔物を大量に召喚して軍団を作って対抗する。

 今の俺はまだまだ弱いし自分の能力すら把握できていない。修行も並行していかないとダメだ。

 

「よし……!」

 

 リハビリも済み、もうゆっくりする時間は終わりだ。これからやることはたくさんある。

 

 風呂を上がると、白いワンピースを着た死神(デス)がカーテンサイズのでかいタオルを持って待機していた。「拭きますね」と一言、暖かいタオルで俺の大きな身体を頭からつま先まで丁寧に、あっという間に拭いてバスローブまで着せてくれた。さらに、キンキンに冷えた牛乳、ではなく血まで出してくれた。至れり尽くせりで王様になった気分だ。

 

死神(デス)よ。わたしは明日から修行を始める」

 

 そう告げると、死神(デス)は目を見開いた。

 

「そなたはわたしより1年以上長く、この世界で生きてきた。その間に習得した魔術を教えて欲しい。今日見せた召喚術も含めてな」

 

 血を飲み干してグラスを置くと、死神(デス)の顔を真っ直ぐ見つめた。

 

「オール・フォー・ワンを滅ぼす!そのために、力を貸してくれるな?」

 

 俺の問いに死神(デス)は柔らかい笑顔を見せた。

 

「そう言ってくださると思っていました。あたいは元よりそのつもりです」

 

 死神(デス)はワンピースの裾をつまんで軽く持ち上げると、膝を曲げて深々と頭を下げて恭しく一礼した。

 

「ドラキュリア様の御心のままに」

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
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