こんばんわ、あきこまです。
思いの他書けました。コレからは他の小説も合わせて更新急ぎます…。
よろしくお願いします。
あの後、宿に帰り密かに布団に潜ろうとしたら部屋で待ち受けていた天使に捕まり別部屋に連行された。 別に中世古先輩がいた訳ではなく同部屋の戸塚に誰もいない部屋に連行されて説教という名の事情聴取を受けた。
そこはさすが天使、事情を説明したら「ゆっくり休んで!」と部屋に戻してくれた。
あのまま別部屋で戸塚ルートを迎えてもいいんじゃね? と思ったがそれは言いっこなし。
翌日の3日目はつつがなく終了へ向かい、無事に新幹線で関東へ帰り帰路に着いた。
夜を迎え、明日は学校があるが今の俺には悩みがひとつあった。
そう、自分の手元にある1枚のメモ紙が原因だ。
「電話しないと……ダメか」
いつもの俺なら「どうせスパムだ」と破り捨てるだろうが、相手は実際会っておりしかも俺はお世話になってしまっている。申し訳なさから電話をする事にした。
「もしもし?」
「あー……えっと」
「……もしかして、比企谷……くん?」
「……はい」
「よかった! 電話くれたんだね?! 多分してくれないかなぁと思ってたから……」
「普段の自分ならそうしてました」
「もう! それは言わなくてもいいの!」
電話口でささやかな笑い声が聞こえる。どうやらお気に召してるらしい。
昨日の別れたあとの事、今日あった事、中世古先輩の仲のいい二人の事、うちの小町の事、普段の総武高校の話等気づいたら1時間経っていた。
「じゃあ、そろそろ寝るね?」
「はい、すみませんこんな時間まで」
「ううん! 私は今日君が電話をしてくれただけで十分だよ」
「……そうすか」
「あ、そうだ」
「はい?」
「明日ってその、君の部活は活動あるの?」
「あるとは思いますね、何も聞いてないので」
「そっか、じゃあ明日楽しみにしててね?」
「……?」
じゃあね、と電話を切った中世古先輩。最後の一言はなんだったんだろうか。
翌朝になりいつも通り小町が用意してくれた朝ご飯を食べる。
嫌だなぁ、行きたくないなぁと思いつつも今まで通りと思って食べていたご飯の時間は小町にとってはそうでは無いらしく、俺に何かあったという認識らしい。
だが勘違いしているのは、小町は俺に恋愛絡みでいい事があったように捉えてる。
……そんなわけあるかよ。
俺にそんな事が起こるだろうと考えてる相手は小町にとって年上の先輩で兄と同じ部活に所属しているあの二人、と考えてるのだろうか。
小町自身が仲のいい二人なのだからそちら聞けばいいのでは無いだろうか、何故俺に聞くのか。そこはやはり兄から聞きたいとか考えてるのだろうか。
「で? 何があったの?」
小町は何時もよりしつこかった。
「しつけぇよ、いい加減にしろ」
俺自身自分の口から出たあまりにも何時もより低い声にびっくりしていた。
なんなら近くでキャットフードをカリカリしてたかまくらも一度食べるのをやめて上を向いていた。
「っ! ……何その言い方!」
「別に普通だろ、実際しつこかったしウザかった」
漬け物を口に放りながら俺は「俺イライラしています」というアピールをしているいや、してしまっている。俺自身小町との争いは全くもって望んでいないのだが今日ばかりはちょっと頭に来ているようだ。
「……ふーん、じゃあもういい聞かない」
「そうしてくれ」
小町は「先に行くから鍵かけて」とだけ言い残してリビングから姿を消した。
玄関ドアが開く前になんか言ってたが俺は聞く耳を持たなかった。初めてではなかろうか、小町にハッキリと抵抗の意思を示したのは。
ただでさえ学校に行くのが憂鬱なのに朝の喧嘩でさらに行きたくなくなった。
このままサボっても良いのでは? と思ったが1時間目の授業はファーストブリッドの持ち主なので嫌々ながらも行く事にした。
学校に着いた後、俺は自分の席からクラスメイト達を観察する。
いつも通りの日常がそこにはあった、多少浮ついていたり俺への罵詈雑言の陰口で賑わっているかと思っていたがどうやらあの告白の事に関しては葉山が上手くやったのだろうか誰も吹聴していない様だ。三浦に至ってはそれすら知らないだろうが。それに後者に関しては俺の自意識過剰と言われればそこまでである。
戸塚も俺に挨拶をしてくれた、誰も吹聴していないなら唯一部外者で事情を知るのは彼だけだろうがそんな彼もいつも通りにしてくれた。
放課後になり、直ぐに教室を出る。後ろから視線を感じたが気にすることでは無い。
何となく奉仕部に行く気にならず自販機でコーヒーを買って階段の踊り場で一服する。
なんか一服と聞くと大人の様に感じるがそんな大層なものでは無いし、いつも買う黄色と黒の危険色では無く今日は黒一色。
「苦ぇ」
何時だったか、人生は苦いんだからコーヒーくらいは甘くなんてことを言った気がする。
今日の場合は人生は苦いがコーヒーも苦い、何それいい事何も無いじゃん。
放課後から既に1時間は経過している。ようやく奉仕部の部室前にたどり着く。
一呼吸おいて俺は扉を開けた。
中にいた2人は片方驚き、片方は下を向くだけだった。
「……来たのね」
「……おう、まぁな」
沈黙がどれくらい続いただろうか、俺が長く感じているだけだろうか。
扉を開ける前は二人の、主に一人の話す声がハッキリと聞こえていたからこの沈黙の原因は間違いなく俺だろうな。
あの後、雪ノ下から一方通行な言葉が飛んできたがその中でも頭に刺さった言葉。
「変わらないと、そう言うのね」
俺は空返事で「おう」だの「ああ」だのしか言ってなかったからその他の言葉は全然入ってこなかった。が、変わる変わらないは確か雪ノ下と俺が入部の時に軽い論争になった時の話題だったか。
あの時から俺らは考え方を変えちゃいない。
なぜ変わらなきゃならん、人間そうそう変わるもんじゃないだろう。と。
その後も言われるかと思っていたが顧問でありラストブリッドの持ち主である平塚先生が依頼人を連れてきた事によって話はリセット。
文化祭や体育祭などで顔を合わせている城廻先輩が今回の依頼人らしく、内容は生徒会長選挙に立候補ではなく推薦で立候補させられたやつをどうにか落とせないかと。かなりの無茶ぶりだ
しかも当の本人は男転がすことしか考えてなさそうな1年生、ここは何でも屋じゃないでしょうに……。
控えめに平塚先生に非難のの目線を送ると、私もお手上げだのジェスチャーがやってきた。つまり教師陣も目を当てられない状況と言うことか。
ひとまず案を持ち寄ってまた明日、ついでに雪ノ下と俺は別々の方法を採ることにという事になった。解散となったので帰宅……なのだが……。
「帰りたくねぇなぁ」
お家大好きフリスキーな俺からこんな言葉が出るとは思ってもなかった。
昇降口をすぎた辺り、もうすぐ校門という所で人だかりが凄くなる。具体的に言うと2クラス分くらいの人数が校門前にいる人物に興味を示している。
「ゲッ」
校門前で注目を集めてオロオロしていたのは、2日前に京都で会って昨日電話した女子大生だった。
「……!」
やべぇ目が合った、マズイこの人数でそれは「おーい! 比企谷くーん!」……遅かったか。
昨日の「楽しみにしててね?」ってそういう事だったのか。謎の人だかりの注目を何する事ぞ、中世古香織が俺に向かって手を振りながら走って来た。
「よかったぁ! やっと会えたよ」
「すいませんちょっとこっちに!」
「え? あ、比企谷くん?!」
つい咄嗟に中世古先輩の手を引いて総武高前を去っていく。
そこからしばらく歩いて立ち止まるまで、先輩の手のやわらかさを感じることは無かった。心無しか先輩の顔に赤みが生じていたが気の所為だと思う。
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