青春が壊れた俺に現れた天使   作:あきこま

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こんにちは、あきこまです。
意外と反響良くて嬉しいです、高評価やお気に入り下さってありがとうございます!

やっぱ香織先輩無敵ですね…。


では、4話です!


4話

 

 

 

 結局行き先が一切分からないままなんだがとりあえずまた雪ノ下さん家に戻ってきた。

 

「夜ご飯食べるのどうしようか? 私の家にあるもので良ければなにか適当に作っちゃうけど?」

 

「あ、私かぶの漬物持ってきました」

 

「え」

 

 

 夜ご飯食べるかどうかも危ういのによく持ってきたなコレ。

 そんな視線を送ってると「明日明後日出かけるなら消費したいなって」という何とも現実主義な回答が返ってきた。

 

 

 1時間足らずで3人分の夕食を作り終わった一行は、それを頂き片付けの後少しの休憩に入る。ちなみにメニューは生姜焼き定食withかぶの漬物だったのだが普通に美味かった。専業主夫を目指すならこれくらいは作れなきゃならんのかと少し現実を見かけてしまった。

 

 

 満腹になって、少しソファで寝てしまっていたのか時刻は日付が変わる少し前くらい。

 

 目を開けた先にいたのは雪ノ下さん、ただカメラを構えてる雪ノ下さん……カメラ? 

 

 

「……あのー」

 

「ん? あー気にしくていいよ」

「いや無理だろ、それは無理がある」

 

 なんで目が覚めたら急に目の前の人にカメラを構えられなきゃならんのじゃ。千葉動物公園のレッサーになった気分だ。

 

 

 そもそもの話なんでカメラ向けられてるのかが謎すぎるのだがそれを問い質すと逆に「こいつ何言ってんの?」って顔された。

 

「何言ってんの?」

「言ったよ、顔だけじゃなく言ったよこの人」

 

「それを本気で言ってるなら、左斜め下を見てみなよ」

「左斜め下を? ……っ?!」

 

 そこには俺の左肩に首を預けている天使がいた。

 

「結構な時間そうしてるけど起きそうにないねー」

 

 

「……雪ノ下さん」

「なーに?」

 

「……先程の写真良い値で買わせて頂けませんか?」

「デート1回」

 

「……わかりました」

「よろしい♪」

 

 

 

 すぐさま俺の携帯がピコンと鳴り雪ノ下さんから写真が届いた事を知らせている。

 

 

 ……俺この人に連絡先教えたっけ? ……まぁいいか。

 

 

 

 雪ノ下さんから「もう出る準備できてるよー」と言う声を聞き先輩を起こしにかかったのだが。

 

「……すぅ」

 

 んーこれは起きそうにないですね……。

 

「中世古ちゃん起きた?」

「いえ、声はかけてますが起きないですね」

「体揺さぶったりしてみた?」

「……寝ている女性の体に触れるのは如何なものかと」

 

 

「そしたら、考えた方を変えよう。 この子は歯磨き後にソファで寝た妹ちゃんだと思ってみて」

 

 埒が明かないので、言われた通りにしてみる。

 

 数秒考えた後目を閉じて、再び開けた頃にはなんとびっくりそこには小町が居た。

 

「そして君はそこにいる妹ちゃんをこれから出かける為に下にある車まで運ぶ」

 

 流れ作業のように目の前にいる小町(?)の膝下と首元に手を添える。所謂お姫様抱っこの状態にして持ち上げる。

 

「……軽いな」

 

 自転車通学くらいしか運動をまともにしてない俺ですら軽いと感じるんだ、小町はこんなに軽かったのか。

 

 

「うんうん、いいよー比企谷君! 自意識の化け物も暗示に弱いのか? 

 

 

「?」

 

 

 なんか訳分からんこと言ってる人はさておきエレベーターを目指す。

 

 

「そういえばなんですけど」

「?」

「雪ノ下さん、家だけじゃなくて車まで買ったんですね」

「そうそう、うんとこしょが「どっこいしょしてるんですね?」……それもかなり」

 

 全て株のおかげと言うが一体いくら儲けたらそんな事言うのか。

 

「とは言ってもこの車自体はそんなに高くないのよ?」

「……まぁ実家にいた頃の高級車感は無いですけど」

 

 

 どちらかと言うとすごく庶民的な、どの家庭にもあるようなステーションワゴンタイプだろうか。

 

 

 後部座席に小町(?)を乗っけてシートベルトも着装し助手席に座る事に。

 

 

「そういえばなんですけど」

「今度は何?」

 

「そもそもこの旅の目的って元来小町と顔を合わせずらいって所から始まりましたよね?」

「概ねその通りだね?」

「なんで俺はさっき小町を運んで……?」

 

 後部座席を見てみると、そこに居たのは小町ではなく中世古先輩だった。

 

 段々と頬に熱がで始めて俺は正面を見て流れる風景を見つつ言う。

 

 

 

 

 

「いやぁいい眺めですね?!」

 

 

 

「比企谷君落ち着いて、今君がみているのは街灯に照らされた真っ暗な道だよ」

 

「そう言えばこの車ATじゃないんですね?!」

「お、ちょっと落ち着いたね。そう! せっかく乗るならMTじゃないと」

 

 

 と言いながら雪ノ下さんは軽快にクラッチを繋ぎシフトレバーを動かす。あぁ、だからか。

 

 

「それで今日はパンツスタイルなんですね」

「ありゃ、気づいた?」

 

 

「まぁ、過去会った時の大体はワンピースかロングだったと記憶していたので」

 

「感想言ってよぉ結構期待してたんだぞぉ? 君がどう思ってるか聞けるの」

 

「いや……そんな軽々言えないでしょそんな事」

「女の子はそういう気軽な感想も楽しむもんだぞ?」

 

「……本当に?」

「個人によるけど」

 

「なんだよそれ……」

「ほら言うでしょ? 人には人の乳酸菌って」

 

「おもくそ受け売りじゃねぇか……」

 

 

 

「まぁ一人で乗る時は全然スカートでも乗るけどね、今日はお客さんいるし刺激が強いかなーって」

「……」

 

 

 

 頭の中にはいつものロングスカートスタイルで運転をする雪ノ下さんの姿が……浮かぶな。

 

 

 

 

「比企谷君、想像した?」

 

 

 その通りであるから何も言えない。なんか雪ノ下さんの掌で転がされまくってる気がする。

 

 

 

 いつの間にか、街灯だらけの道も気づくと遮音壁しか見えなくなってきていた。たまに景色もちらっと見えるが真っ暗な為まともに視認できるのは遮音壁くらいだろう。

 

 

 車が停車したのがわかった。遮音壁だらけの道で止まるとすれば俺の中に浮かぶのは2択であり、片方はまず無いだろうなぁと考えた元でもう1つの可能性を口にする。

 

 

SA(サービスエリア)か?」

 

「お、正解。起きてたかね少年」

 

「正確には相模湖過ぎた辺りですかね」

 

「結構前から起きてるじゃない……お姉さんの喋り相手してくれたっていいじゃなーい」

 

 

 

 

 とてもじゃないけど言えない。あんだけ恐怖の対象として見ていた雪ノ下さんが運転する姿がかっこいいと思った事など墓場まで持っていかないとならない。

 

 

「休憩ですか?」

「そうねー、あと御手洗とかも済ませといた方いいよー」

 

「となると……」

「頑張れ比企谷君♪」

 

 クソっ、めちゃくちゃ楽しんでやがるこの人。

 

 俺に車の鍵を預けて雪ノ下さんは先に店の方へ向かっていった。

 

 となると後ろの人(中世古先輩)は俺が起こさないといけない訳で……。

 

 

 後部座席の扉を開けて先輩を起こしにかかる。

 

先輩……中世古先輩

 

「……すぅ」

 

 

 

 これ起きるの? 本当に。もし中世古先輩が1日何時間は確実に寝るとか考えてる人なら余計な事してるんじゃね? 

 

 そう思いながらも多分ここで1回起こしとかないと後々不味いかなと思いもう一度、今度は揺さぶりも加えて。

 

 

「……中世古先輩?」

 揺さぶりをする為に肩に手を置いた時である。肩に置いた手に先輩の左手が添えられた。

 

 

 

「……起きてたんですか?」

「車が止まるくらいからかな? 意識は起きてたけどどうにも目を開けるのがね……」

 

 思いの他しっかり寝ちゃってたよー、なんて言う中世古先輩。添えていた手を解除してシートベルトを外す。だがそのまま降りてくれる訳ではなく伸ばされた両手。

 

「え?」

「……抱っこ」

 

 

 ……今のは聞き間違えだ、そうに違いない。

 

「……中世古先輩?」

「抱っこ、してくれないの?」

 

 

 

 言外に「さっきはしてくれたじゃない」なんて事を言ってそう。この人雪ノ下さん家出た時実は起きてたんじゃないか? とも思えた。それと同時に、本当に寝ぼけてるんではないかという目もしていた。

 

 

「……自分で歩いてくださいよ」

 

 そう言いつつ、先輩の体をこちらに引き寄せる。

 手の他に足も外へ出してくれていたので体を引き寄せるだけで立たせることができる。

 

 

 大変だった、先輩を引き寄せる時の俺の脳内は……この子は小町この子は小町この子は小町この子は小町この子は小町この子は小町、多分こんな感じだったと思う。

 

 

 そうしないと意識してしまう……こちとら中世古先輩の手の柔らかさですら思い出すだけで悲鳴をあげそうだったのだがら。ホントなんなのこの人、俺を殺しに来てる? 

 

 

 

 

 

 

 なんとか先輩を雪ノ下さんに引き渡して自分も御手洗に向かう。鏡に映る自分を見た時は想像以上に……顔が真っ赤だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





比企谷くんの御手洗に向かった後。



「中世古ちゃん、家出た時起きてたでしょ?」
「え?!いやー記憶がちょっと…」

「正直に言ったらいいものあげるよ」サッ

「!……起きてました///」

「素直でよろしい!それに寝ぼけが入ってたとはいえあんな大胆な…案外やるねぇ」

「///!!!」ポカポカ


2枚の写真と多少の揶揄によって雪ノ下陽乃が顔を真っ赤にした中世古香織により軽く殴られ続けるという異様な光景があった。




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