そんなことよりゲームしようぜ! 作:ミカサ
四天王最弱ゲーム。
これは、悪役の最弱四天王とそれに挑戦する勇者だったり戦士だったりな善役に分かれて、適当に演技しながら魔法の光を当てあうゲームだ。
魔法の光を当てると、服が良い感じに爆発のエフェクトを出して壊れていく。
もちろん、危険性は皆無だ。魔法の光も人体には害はない。
光は害がないので、我愛羅の絶対防御も作動しない。たとえ発動しても、遠距離戦ゆえに逃げやすいのもあり、我愛羅でも楽しく遊べる数少ない遊びである。
「この世の全ては魔王様のものなのだ! はーっはっはっは!」
『初めてなのに、上手いねーサスケ。さすが忍び』
『演技力では負けない……!』
『我愛羅いっけー!!』
ミカサはもういないので、広い空間はもう利用できない。
我愛羅、ナルト、みらいの三人では頑張っても、四畳一間の空間を作るのが精一杯だ。
だから、サスケを含む四人は、広い砂漠……砂の里の外れで遊んでいた。もちろん結界構築済みであり、ばれることはない。はずである。
歓迎の接待プレイなので、サスケに勝つわけにはいかない。
今も我愛羅達は飛行術を封印して遊んでいた。
しかし、ここは我愛羅のホーム。先輩でもあるし、凄いところを見せなくては。
だんだん興が乗ってきた我愛羅は、ノリノリで悲鳴をあげた。
「夜叉丸っ 夜叉丸―っ」
「ふふ、諦めろ……。素っ裸にしてやるぜ! うちは奥義! 豪火球の術!」
豪火球の術と言いつつ、紅いレーザーである。ノリノリか。
我愛羅の服が吹き飛ぶ……かと思われたとき。
我愛羅は光に眼を焼かれるどころか、暗い影が落ちたことに気づいた。
「貴様……」
「えっ」
「えっ」
「えっ」
「や、夜叉丸……」
すっと抱き上げられる。初めてのことに我愛羅は目を丸くする。
更に、隣の大人にマントを羽織らされ、我愛羅は恐る恐る顔を上げた。
「父様……」
やばい。
「け、結界張ってあったってばよ?」
「悪かったな、我愛羅。結界を破るのに時間が掛かった。お前達は……木の葉か?」
左を見る。
忍者がいっぱい。
右を見る。
忍者がいっぱい。
「逃げるってばよ!」
「にがさん!」
大変な事になった。
ここは我愛羅が止めるべきなのだが、恥ずかしい所をよりにもよって父親と育て親に見られたという羞恥が勝ったようだ。
中二病を発症しているところは誰にも見られたくない物である。
魔女界ではデフォルトのゲームらしいが。確かに楽しんでやっていたが。
我愛羅はいろいろな驚きとショックでさめざめと泣き出した。半裸で。
「我愛羅様……! 許すまじ、木の葉!」
夜叉丸が夜叉になっていた。
どうしようこれ。どうしようもなくなって、ナルトも泣いた。
なんとか逃げ切り、怪我をしたサスケを担ぐ。
い、胃が痛いってばよ。急いで飛んできたのと、部屋に人が入ってくるのは同時だった。
ガッデム。傷を癒やす時間もないってばよ。
サスケを怪我させたこと、絶対怒られる……!
「サスケ! どうしたんだ、サスケ!」
「あ、遊んでいたら、ちょっと……転んだってばよ」
誤魔化そうとするも、サスケは空気を読んではくれなかった。
いいふくめる時間もなかったのだ。
「兄さん……ちょっと遊んでたら、大人の忍者が来て……」
「サスケ……!」
あっ これあかんやつだ。
俺は頭を抱えたってば。
「うちはと言うだけで子供を傷つけるなど!」
「うちはへの差別が目に余る……!」
違う。違うんだけど説明できない。
俺ってばまだ7才である。あうあうしているうちに事態はどんどん悪くなっていく。大人が続々と集まりだした頃、サスケはようやく我に返った。
「違う……違うんだ。兄さんっ 俺、悪役ごっこしててっ 大人が真に受けちゃって!」
「庇わなくて良いんだ、サスケ」
どうしよう。
顔を青ざめさせた俺とサスケが顔を見合わせると、上空に仮面の男が現れた。ミカサの変化した姿である。忍者は飛べない者が多いので、すぐわかった。
「俺の名はうちはマダラ! 九尾事件で暗躍してたけどサスケに見破られたので口封じに来た!」
「なんだと!?」
「サスケを!?」
「うちはマダラ!?」
「喰らえ九尾を操りし写輪眼!」
幻術が広がる。魔法と併用した強力な物だ。
ミカサは逃げて、後には混乱だけが残った。
その後、なんとか有耶無耶にして胸をなで下ろした頃、イタチが俺を呼び出した。
「なんだってばよ」
「本当の所を教えて貰おうか。ミカサはどこにいる?」
「知らないってば」
「動きでわかる。あれはミカサだ。それに独断で風影の息子を襲った責任も取って貰わねばならない。知っていることは全て言え」
サスケか? サスケなのか!?
胃が痛い胃が痛い。
なんとかごまかす方法は……。
「兄さん! 見て見て! ナルトの箒、凄いでしょ!」
俺の箒だってば。そういえば、箒で遊ぼうか、どうしようかと四天王最弱ゲームの前に話題に出した気がする。
俺は箒にまたがり堂々と木の葉の空を飛ぶサスケに、そっとエクトプラズムを吐いた。
口止めする時間がなかったのだ。
ま、魔法の事ばれたら、忍者になるのやめにならないかなーなんて……
『無理だろ』
九喇嘛の声が、冷たく響いた。
一方、我愛羅はフルフルしながら夜叉丸達を見ていた。
数日ショックで引きこもっていたが、戦争の危機と聞き飛び出してきたのだ。
「我愛羅様」
びくり、と我愛羅は震える。
「頑張りましたね……。あんなに怖い思いをされたのに。」
現在進行形で怖い思いをしている、と我愛羅は言いたかった。
駄目だ。言わなくては、ナルト達が大ピンチである。
子供のゲームで戦争を起こしちゃいけない。
我愛羅は胃がきりきりと痛むのを感じた。
自分達が良くないことをしていたのはよく知っている。
どれだけ少ない情報で相手を満足させられるか。それが問題だった。
「わ、悪い人ごっこしてただけなんだ。戦争はやめて……!」
「我愛羅様。そこまでして相手を庇うなんて……。あんな変態のゲス野郎、我愛羅様が気にしなくともよいのです」
我愛羅はリアリティを重視して、魔力で構築した服の下に服を着なかったことを後悔した。
どうしよう……!
そんなとき、ナルトの最強の術を思い出した。
――お色気の術。男相手にはとりあえずこれが通じるってばよ!
我愛羅は手早く印を切る。
「夜叉丸……。お・ね・が・い」
「あはは。それどこで習いました? そんな破廉恥な術、まさか実践されてませんよね?」
事態が悪化した……! 夜叉丸がなんだか怖い!
我愛羅はとりあえず変化を解いて、おろおろとする。
『ぜーんぶ話しちゃえばいいんじゃねぇの? 怪しい奴らと付き合ってたのはお前が悪い』
守鶴の言葉に、我愛羅は躊躇しつつも、口を開いた。
「夜叉丸。怒らないで聞いてくれる?」
「いいえ、怒ります」
ショックを受ける我愛羅だが、頭を撫でられてそっと顔を上げる。
「でも、我愛羅様はちゃんと話してくださると信じてますよ。強い子ですから」
その言葉に勇気を絞り出す。そっと、記録石を出した。
今までの四天王最弱ゲームの録画である。
「本当に、遊んでたんだ。これ、記録」
映画のワンシーンだけをかき集めたようなそれに、中二病が満載されたそれに、我愛羅は顔を真っ赤にしながら一緒に視聴した。
友達と笑ってみる分には良いけど、親に見せるのは非常に恥ずかしい。
「四天王最弱ゲーム、って言うんだ。光を当て合うだけだから、危険もないし、だから……」
「我愛羅様。これ、いつ録ってたんですか? これ近場ではないですよね」
「……こっそり家を抜け出していた」
「まさか、木の葉まで遊びに?」
「少し」
「これに使っている玩具はありますか?」
我愛羅は観念して玩具を差し出した。
光を出すステッキに、空を飛ばせる緑の精霊石に、変身の腕輪。
我愛羅はそれをつけてみた。
我愛羅の体が光に包まれ、その間に服が格納されて、光のリボンが体に結びついて実体化していく。よくある魔法少女の変身シーン的なアレである。
「我愛羅様。この変身の腕輪ですが、お着替えの仕方が破廉恥だと思うんですよ。お色気の術と言い、悪役ごっこと言い、悪いお友達にいっぱい教えて貰ったみたいですね。……ちょっとお勉強の時間を増やしましょうか。まずは知らない人と夜遊びしない所から」
「ごめんなさい、夜叉丸……!」
「風影様からもお話があります」
「ええー!」
我愛羅はがくりと項垂れた。
「お説教終わったじゃん?」
「カンクロウ……!」
「我愛羅、酷いことされたんじゃなくてなんだか安心したじゃん。面白そうだから、その絡繰、見せるじゃん」
「カンクロウ……! あの! 一年後に、四天王最弱ゲームの大会があるんだ! それで、チーム戦で出たくて……!」
「それは出ないじゃん……。出させもしないじゃん……」
「よそで恥をさらすな」
テマリからも、ザクっと言われた。
「我愛羅様? 詳しいことをお聞きしましょうか……」
早くも大会参加禁止令を出された我愛羅は、泣いた。
説教で足が痺れたってばよ。
我愛羅の方もあらかたゲロったらしい。
写輪眼まで使われて調査されるとは思わなかったってば……。子供に幻術を使うなんて。
おかげで九尾と仲良くしていることも魔法のことも、ミカサのことも一通りばれたってば。ミカサが何か知っていたらしいことも、そもそも九尾が写輪眼で操られていたことも、マダラがうちわの人間攫って何かさせてるらしいことも。
結局、大人間でなにやら難しいやりとりがあって丸く収まったってばよ。
喧嘩は終わったようで良かったってばよ。
「ということで、魔法学の先生となるナルトだってばよ。他の授業では普通に生徒として皆と一緒に学ぶからよろしくだってばよ」
ほんと、どうしてこうなったってばよ。