人見知りの魔法使いと気弱な剣士くん   作:SS好きのヨーソロー

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第2話 新天地での挑戦

「いやあ、伸一の奴顔真っ赤にしてたよなぁ」

「あはは、すごい照れていたよね」

「おいおい、二人とも・・・僕の失敗を楽しそうに話すのはやめてくれないか。こっちとしてはかなり恥ずかしいんだぞ」

「なんで急にあんなことしちゃったのさ?」

「・・・いや、なんだろうな。僕にもわからないんだ。

ただ、ほんの少し・・・」

「ほんのすこし?」

「・・・いや、何もない。それにしてもほんと、あれはセクハラじみていたよなぁ。白金さん完全に嫌ってるよな、あれ」

「んー、そういうふうには見えてないから大丈夫じゃないか?」

「うん、僕も見ていてそれは思ったかな。嫌だったらキッパリと言う子だし」

「そうかぁ・・・だといいんだけどな・・・」

「(・・・あれ、どっちかと言うと照れてたよな)」

「(だよね。伸一もルックスはいいからなぁ)」

「・・・ん?ふたりとも、どうしたんだ?」

「「いいや?何も?」」

「おぉう、はもるなよ・・・」

やれやれ、と頭を抱えながら家に帰る。

 

簡単な身支度と課題を終え、今日もNFOにログインした。

「・・・お、今日は僕が一番乗りってところかな?」

頭の中では、今日あった白金燐子さんのことがよぎってしまう。

そういや、りんちゃんことRinRinちゃんも似てたなぁ。

 

いかんいかん、そんなことを考えていては不純極まりないではないか。

「・・・はは、こりゃいつぞやの桐ヶ谷さんみたいだな」

全てが変わった世界樹の物語。それをつい思い出してしまう。

二人がまだログインしていないなら、やることはまず鍛錬だ。

「僕だけ実力不足で役立たずなんて、あっちゃいけないからな・・・!!」

そういや、二人がやってたミッションは下準備でドロップアイテムがひつようなはずだ。

ちょうど時間もあるしレベリングもしておきたかったところだ。伸び伸びと作業することにしよう。

 

目的の植物系モンスターを狩り始めてから約一時間半。

狩った数はもう少しで500に届きそうだった。

 

「・・・獲得アイテム数は・・・450うん、余裕で桁違いの数字になったねこれ。三人で分けても150ずつ。いやこれ必要アイテム数3の代物ですけどね。消耗品だからーと思ってやったけど・・・一人当たり五十個手に入れれるってのは馬鹿げてるよなぁ」

つい楽しくなってしまった。後半なんて連続コンボ数を競ってたからな一人で。ちなみに最高コンボ数126。指が滑って終わった。

 

ウィンドウを開きお手洗いと水分補給を終え戻るとちょうど二人が来ていた。

『あ、レコン!やっほー!』

『レコンさん、こんばんは』

「よお姫、りんちゃん。君らがミッション攻略するためのアイテム収集しといたよー」

『え、本当!?」

「ほんとほんと。今それぞれ送るわ」

てな訳で450、三人で割って150個のアイテムを渡す

『・・・えっと、レコンさん?これは・・・?』

りんちゃんの顔が引き攣っている。心なしかあこ姫ですら引き攣ってる。

『・・・えぇ?うそぉん』

「・・・いやあ、ははは。レベリングついでに集めてたら・・・こんなことになっちゃいました!てへ!」

『ちょっwwwてへ!じゃないよ!w

これ単純計算アイテム一人50個と交換だよ!一体何と戦いに行くのさwww』

『これはもはやレイドくんで挑む量・・・平均5個で足りるそうですよ。アイテム』

「えっ・・・まさかの三十人分かよ。そりゃレイドだwww」

 

思わず背もたれにもたれ笑う。なんだよ三十人分のアイテムって。何と戦うつもりなんだよそれは一体。腹が痛い。

 

 

 

ちなみに、ダンジョン自体はヌルゲーすぎました。こりゃダメだ。

『アイテムたくさんあるから引きこもれるねー』

『あこちゃん、時間・・・』

『あ、本当だ・・・』

「あ、じゃあ僕が代わりにやって・・・」

『あ、いいです。カンストしたアイテムは見たくない・・・』

「・・・(´・ω・`)」

『その顔文字やめて・・・じわじわ来ますwww』

てなわけで解散しましたとさ。

 

「あー、久しぶりに笑ったわ、腹痛え・・・」

あと口角。ずっと釣り上がってて痛いのこの上ない

あとりんちゃんが笑った反応をしていたのが心なしか嬉しかった。

・・・はぁ、僕は一体何を考えているんだ。

やれやれ、とため息を吐きながら日課のゲームを終える。

 

スマホを確認すると、どうやらメッセージが届いていたようだ。

送り主はユウから。

『伸一、バイト先のことだけど早速話がしたいってさ。明日行けるか聞かれたけど行けそうか?』

「明日か、大丈夫だよ」

『OK、なら明日CiRCLEに行ってくれ。場所はLINEでまた送っとくわ』

「あぁ、頼むよ」

そして住所を確認する。楽しみな気持ちを抱きながら、寝るのだった。

 

 

次の日、学校終わりにて。

スマホで確認した住所を頼りに、道を進んでいく。

ここら辺は本当に来る機会がない。物珍しい光景に目を奪われながら、目的地へ向かっていると何やらたくさんの荷物を持った人を見かけた。

なかなかの荷物だなあれ。一人で運ぶにはちょっと厳しいだろ。

・・・時間の指定はされてなかったよな。学校終わりに、って話だったし向こうには少し長引いたって言い訳するか。

 

そう考え、その人に声をかけた。

「お姉さん、よければその荷物持つの、手伝いますよ」

 

 

「え?あぁ、いいよいいよ!気にしないで!」

「いや、気にしないでっていっても結構荷物あるじゃないですか・・・」

「はははー、スタジオまで持っていかないといけないからさー」

「僕のじいちゃんがいってたっすよ。重いものを女性に持たせるなって。

で、これスタジオってところまで持っていきゃいいんですよね?」

「えー・・・本当にいいの?」

「やらない善よりやる偽善ってやつです。ちょうどいい運動になりますよ」

荷物を手に取る。すると相手も感謝の言葉を述べながら場所を案内してくれた。

「ありがとー、こっちなんだー!」

 

「しかし、すごいですねぇ。この荷物は・・・フライヤーですか?」

「お、そうそう!知ってるのー?」

「いえ・・・雑学として知ってるだけですよ。

あ、でもこのRoselia、ってバンドは知ってます。うちの友達のお姉さんがベースをやっているみたいで」

「あ、リサちゃん・・・だから悠真くんか!

あれ、もしかして君って長田伸一くん?」

「・・・ええ、そうですが。あれ、ひょっとしてCiRCLEの・・・」

「そうそう!月島まりなです!すっごい、こんな偶然あるんだねー!」

「はは、そうですね。僕自身行くのは初めてでしたから。ラッキーでした。やっぱ善はやっとくべきっすね」

もしかしたら迷子になっていた可能性もあったのだ。そう考えれば手伝った結果場所まで案内してもらえるというのは幸運なことだろう。

「あはは、なんだか悠真くんの言ってることはピッタリ当てはまるなぁ」

「・・・と言いますと?」

「伸一くん、優しいんだって」

「・・・いえ、僕は当然のことをしたまでで」

「あ、それについても言ってたよ。

伸一くんが優しいって言われるとあいつ否定しますよーって笑ってたからさー」

「あのバカ・・・余計なことまで」

「ふふ、仲良いんだね」

「・・・まあ、あいつとは結構長いつきあいになりますから」

「そうなのー?」

「はい。僕が中学校卒業する前にゲームで知り合って、そこからよく遊んでるんです」

「あ、前にそれ聞いたことあるかも。月くんもいるんだよね?」

「えぇ、あいつだけ出会う期間はずれましたけど、よく三人でゲームしてたんです」

「月くんも助けてくれてるからなぁ。とってもいい子だよね!」

「そうっすねー・・・ツッキーは物穏やかって言うんですかね。ユウが引っ張ってくれて、ツッキーが一緒に着いてきてくれて」

「ふふ、そして君が気弱な雰囲気をしているくせに、常に冷静に物事を判断しているもんね?」

「まったく、これじゃ僕のプライバシーはないみたいなもんじゃないですか」

「えへへ、そうだね!

それでさ、長田伸一くん。君を採用しようと思うんだ」

「・・・いいんですか?」

「あ、もちろん後できちんとした契約書類は見せるよ?それをみて嫌だったらやめてくれてもいいし。

ただ、君のことは悠真くんや月くんからよく聞いてたから一緒に働ける人だなって思ったの」

「・・・なんだか、照れくさいなぁ」

「おいおい〜、慣れてもらわないと困るぞー少年?

っと、ついたよ!ここがCiRCLE!」

「ここが・・・CiRCLE」

カフェが隣接しており、ぱっと見ではライブハウスのように見えない、おしゃれな建物。看板にはCiRCLEという文字がある。

 

僕の、新しいバイト先

新しい、人生の始まり。

 

「・・・長田伸一、心機一転一からがんばります」

にっ、と笑い建物に入る。

これからだ。これからが始まりなんだ。

 

「ようこそCiRCLEへ!新しいスタッフを心より歓迎するよー!」

 

 

 

 

 

CiRCLE、この建物は内部もおしゃれな雰囲気を醸し出しており、僕のイメージするライブハウスとは異なる見た目だった。

 

「とりあえずまずは荷物運んでくれてありがとう!

今飲み物入れるねー。あ、飲みたいのはそこのメニューから選んで!」

メニューを渡される。いやまじで普通のカフェにしか見えないのだが。

 

あ、コーラある。

「コーラで」

「早いね決めるの!?」

「いやぁ、コーラがあったら反射的に声に出てしまうんですよ」

「えぇ・・・その反応はもはや恐怖だよぉ。まあいいや!すぐ用意するねー!」

すると、月島さんは手慣れた様子で用意していく。

「月島さん、すごい手慣れてますね」

「ふふーん、でしょ〜?あ、私のことは気軽に下の名前でいいよー。私も下で呼んでるしー」

「あ、じゃあそうしますね。

 

この建物って、すごいライブハウスって雰囲気がしないんですよね。あ、もちろんバカにしてるわけじゃないんですけど・・・」

「言いたいことはわかるよー。この見た目はあえてしてるの!

伸一くんのイメージしてるライブハウスってさ、ちょっと怖い感じの建物じゃない?」

「あ、はい。そんな感じです」

「でしょ?まあ普通はそうかなってなるんだけどね。このCiRCLEはあえてそんな雰囲気をとっぱらったのよ。ライブハウスや音楽に興味ある!って子が気軽にここに来れたらいいなーって。ほら、女の子ってやっぱり色々危険だったりするじゃない?」

「・・・まあ、否定はしませんね」

事実不審者の目撃情報や注意事項を学校で聞くことも少なくない。

それを抜いても、音楽の世界には危険なものが混ざっていても珍しい話ではないのだ。

「そんなイメージとは無縁の場所がいいなーって!」

「すごいいいと思います。僕も興味自体はあるんですけどちょっと怖くて行けませんでしたもん」

「でしょー?だからここはやっぱり比較的ガールズバンドが多いの。というかほぼガールズバンド。常連ばっかり」

「僕が知っているのはRoselia・・・あ、そういえば今日名前の聞いたハロー、ハッピーワールド!それに後知り合いが知ってるAfterglow、ですかね」

「おー、結構知ってるじゃん!」

「あんまりは詳しくないですよ」

「あとはねえ、Pastel*Palettesとか、Poppin'Partyとか。MorfonicaやRAISE A SUILENってのもいるんだよー」

「おぉ色々いるんですね」

「ここは特に結びつきが強くて、合同ライブなんかがあったりするの!」

「ふむふむ・・・」

「みんなそれぞれスタイルは違うけど音楽に一生懸命だから人気も高いんだよー」

「一生懸命な人間は見ていて気持ちいいですよ。推したくなる気持ちもわかります」

「ここのスタッフはそう言う流れを支える仕事!つまり縁の下の力持ちってわけ!だから大変なこともあるけど・・・」

「その分やりがいも大きい・・・」

「そのとーり!まあ別にミスとかは全然あると思うし、慣れないこともあると思うからまずは楽しんで!それで一生懸命頑張ろうね!」

「はい。改めてよろしくお願いします!」

書類を渡され、記入していく。

 

「今日って大丈夫だったりする?」

「そう言うこともあろうかとフリーにしてあります!」

「さっすがー、偉いぞ!じゃあ早速制服の採寸から始めよっか!」

というわけで、バイトの制服を採寸したり、書類に記載をすることからだ。バイト自体は初なので、どれも新鮮すぎる。

 

シャツを着、出る。

「おー、似合ってるじゃーん。これは集客率アップよ!」

「やめてくださいよ恥ずかしい・・・」

さて、じゃあ今日はそれで働こっか!」

 

まずは、基本的に仕事としてスケジュールの管理かららしい。

音楽スタジオにはそれぞれイベントがあったり、また各バンドの練習として使用されることがあり、それをスケジュールとして確認することが大切なのだそうだ。

ダブルブッキングしかねない箇所をマーカーで線を引き、各々に連絡をし調整。それをメモに書いておき後で実際にスケジュールに登録。

大切であり、必要不可欠であるからこそ責任などは重大だ。

 

次に、新入荷のものの運搬や開封し並べていく仕事だ。

チラシの配布掲示や機材の調整器具をレンタルしているらしい。

どれもこれも、簡単に覚えれる仕事ではないが、やりがいはある。

「うんうん、様になってるよー。問題なさそうだね!」

まりなさんも納得したように頷く。

時計を見ると、もう二時間が経過していた。

搬入や品出しなど、思った以上に時間が進んでいたようだ。

「よーし、とりあえず今日はここまで!今日の分は出勤日数にカウントされてるから、これからよろしくねー!」

「はい、これからよろしくお願いしますね。お疲れ様でした!」

ぺこりと頭を下げ、更衣室で着替える。

新しい経験は、新鮮でとても楽しく有意義なものになったのだった。

「・・・よーし!長田伸一!これから頑張りますか!」

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