黒の騎士団の創設宣言以降、日本解放戦線は揺れていた。
そりゃそうだ。一応死者は一名のみとはいえ人質を射殺してパフォーマンスを行ったせいで日本人からの支持も急落している現状、双方ともに責任問題となっていた。
そもそも強硬派の独断専行であったので組織内でも反発があったのだ。
とはいえ新たなスポンサーとなっているロシア国家再生政府としては瓦解されては困る。
そのため、新たな懐柔策を取った。
「これが…」
「はい。我が祖国よりあなた方に供与されるMig-21バラライカになります」
ナリタ要塞の極秘格納庫にロシア軍の誇る戦術機が一個中隊分鎮座していた。
これはロシア軍にて新型として生産・配備が進められているMig-29ラーストチカやSu-27ジュラーブリクによって余剰機となってしまっていたバラライカだったがガングートの指示を受けて日本解放戦線の維持のために供与品として極秘ルートから搬入されたのだ。
「これほどの支援をしていただけるとは‥‥しかし貴国は大丈夫なのでしょうか?」
日本解放戦線の幹部の一人が心配するが…
「問題はありません。というか我が国としてはあなた方の統率力が不安ですがね‥‥」
「あはは…」
これには片瀬少将も苦笑いであった。
エリア11 トウキョウ租界 ロシア大使館
「なるほど…それで何とかまとまりそうなのかい?」
「ああ。むしろ武器の運送ルートが嗅ぎ付けられないかが心配だけどね?」
「ああ、それは大丈夫さ。なんせ外交特権を用いて輸送部隊を偽装させたからね」
大使補佐のヴェールヌイにそう話すのはロシア国家再生政府エリア11特命大使『バラライカ』である。
彼女の名は世界初の戦術機の名と同じではあるがれっきとした元女性軍人で予備役の身であるにもかかわらず大使としてエリア11(日本)に赴任してきたのだ。
おまけに彼女はマフィア『ホテルモスクワ』の大幹部でもあるので裏社会のルートにも精通している。
その関係で日本解放戦線への物資運搬がいまだにブリタニア側に知られていないというわけだ。
「それで他に伝えることがあるんだろう?」
「ああ。さっきここを探査していた大尉から盗聴器を回収したっていっていたのと『サムライの血』の残存部隊を捕捉したんだよ」
「ほぉ。なら日本解放戦線に合流させるのかい?」
「まぁね。先方は黒の騎士団を予定していたようだけど物資の提供をネタにゆすったら快く承諾してくれたよ」
とヴェールヌイは悪い顔で答えた。
「ふふふ。まぁその方があいつらの身のためだろうね、まぁとにかくばれないように頼むよ?」
「ああ」
それから数日後、ナリタ要塞攻防戦が始まることとなった。