国家再生政府の復讐   作:島田愛里寿

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プロローグの復讐の始まりで決起が2009年になっておりましたが辻褄が合わなくなってきていたので2012年に変更しました。


第三話

軍事パレードから三年後の皇歴2014年。

 

 

ロシアは再興を果たしていた。ウラル以西の重工業地帯もEU時代以上の活気を取り戻し各都市群も地下に巨大かつ堅牢な地下要塞を有しつつもEU時代よりも活気を取り戻していた。

 

 

各地で再開発が進み、政府の監視下に置かれつつも新規に都市計画もスタートするなど新たな投資先としてEUの政治家や富裕層からの金が流れ込むことで大規模に発展していっている。

 

 

そんな中、ロシア国家再生政府の中枢たるオムスクの地下総司令部にガングートはいた。

 

 

「ふぅ…これでこの書類は完成だな。しかし、EUの腐敗はひどいな?まさかパンツァー・フンメルが我が国のマフィアに横流しされていたとは…」

 

「まったくだね。ま、隠ぺい工作がずさんだったのもあって哨戒部隊で鎮圧できたのが救いかな?」

 

 

ガングートは国家元首として書類を整理しつつタシュケントとヴェールヌイに話していた。

 

EUからの支援が入ってきて国家が復興したのはうれしい限りであるが、腐敗したEU軍人が入り込んで犯罪行為を行ったりロシアマフィアに武器を横流しする事態が多発しており国家再生政府軍を総動員して摘発を行わなければならない事態に陥っておりガングートは頭を抱えていたのだ。

 

 

「まったく…我が国のドイツ人部隊の方は?」

 

「ああ、彼女たちは大変優秀だよ。なんせEUへの義勇軍としてアフリカ戦線で大活躍中だからね。おまけについていったヴェアヴォルフ大隊も現地のEU軍の規律を叩きなおしているみたいだし」

 

「…まぁアフリカ戦線の兵士の性根を叩きなおしてもこっちの方にはあんまり効果はないが‥‥まぁこれでアフリカ方面の戦局は膠着状態にまでは持ち込めるだろう」

 

 

そう。ガングートは経済支援等をしてくれたEUに恩返しと言わんばかりに再建した軍の中でも優秀な部隊を義勇軍として派遣しており、その中に戦術機を装備したドイツ人部隊である第666戦術機中隊と憲兵隊所属のヴェアヴォルフ大隊が混じっていたのだ。

 

 

バラライカを主力とする第666中隊は鬼神のごとき戦いぶりを見せていたが、友軍のEU軍が全く頼りにならずほとんど義勇ロシア軍にまかせっきりにするという事態が多発していたので、ヴェアヴォルフ大隊はまず友軍の士気と性根を叩きなおして軍としての規律を守らせるということを再教育することが任務となってしまい、現地も国家再生政府軍も国家再生政府上層部も頭を抱えていた。

 

 

 

 

「そうだねあのベアトリクスなら精鋭とはいかなくてもまともな軍レベルまで規律を戻してくれるだろうさ。おっと報告があったんだった。新型戦車が完成したよ」

 

「ああ、三年前に報告があった奴だな?どんな戦車なんだ?」

 

 

「まぁそれは正式採用版ができてきてからのお楽しみということで。一応コードネームは『アルマータ』で決まったよ」

 

「アルマータか…なんか嫌な予感がするがまあいいか。さて、最大の問題はこれなんだよなぁ…」

 

そう言いながら彼女は机に最後に残っていた未処理の書類に目を向けた。

 

 

それには『国内に残留しているエリア化された旧国家の国民の処遇問題』と書かれていた。

 

 

 

ここで現在のロシア国家再生政府の状況を説明しよう。ロシア国家再生政府の現領土は現実のロシアに準じているがクリミア半島はEUの管轄のままであり、黒海の港はロストフ・ナ・ドヌーのみとなっている。

 

極東方面は日本がエリア11となってしまった影響で下手に手を出せないこともあってクリル諸島(千島列島)のみ領有し、樺太の領有については北半分は領有しているが南半分は外交問題や緩衝地帯の確保という国防上の観点から未所属となっている。

 

 

旧日本人への差別意識はロシア人の中に無いわけではないが同じエリア化という植民地状態の日本への同族意識から差別というより擁護するべきという主張の持ち主が大半であるのでエリア化された者達への支援を行うべきと言う論調もある。

 

 

とはいえ難民であるのに代わりはないので国内の治安悪化を懸念し、居住区を隔離するべきとする意見もあることからガングートも対応に苦慮していたのだ。

 

「う~ん。EUと同じく隔離したほうが楽なのは確かだがそれでは反発も強くなるしブリタニアのくそ野郎共と同じになってしまうからなぁ。かといって無制限に受け入れたらそれはそれで治安悪化しそうだし…」

 

 

いかにブリタニアへの復讐心の元に団結した国家とはいえ国家元首には平時には国民の権利や安全を守らなければならないのだ。

 

 

そのためガングートは旧日本人らへの対処にも頭を悩ませていた。

 

 

EU(ポーランド管区)とロシアの国境線 国境警備隊駐屯地

 

 

「はぁぁ‥‥やれやれ。今日もかよ」

 

 

「愚痴を言うんじゃない。EUが見捨てた避難民の受け入れ作業なんだ。きびきび働け」

 

「へいへい」

 

 

ロシアとEUの国境線沿いの検問所や駐屯地では毎日のように難民の受け入れ申請が行われていた。

 

なんせ2009年頃からEUと神聖ブリタニア帝国は戦争が続いているのだ。2009年の一時期ロシアを渡すことで休戦したがすぐに再度交戦が行われるようになってしまい、各地で難民が発生している。

 

そこで労働力が必要なロシアが引き受けているわけである。




次回 日本解放戦線
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