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「なんだと!?」
「ああ、やらかしてくれたよ。草壁中佐以下日本解放戦線強硬派がサクラダイト生産国会議の会場だったカワグチ湖のホテルをジャック。人質を取って立てこもっている」
この報告がロシア国家再生政府に上がったのはホテル占拠からわずか三分後、つまりブリタニアよりも早く事態を把握したともいえる。
「はぁ~。最近我がシベリアのサクラダイト鉱脈からの精錬と輸出がうまくいっているから今回の生産国会議にヴェルを向かわせたのだが完全に裏目になってしまったな?」
「ああ。一応草壁中佐もジャック後に同志ヴェルに気が付いて慌てて別室で拘束と見せかけて退避させて連絡を寄越させたそうだけどね」
「…そのホテルの警備責任国は?」
「ブリタニアだね。一応外周は我が国の装甲車部隊と歩兵が固めていたけど専用道路・ホテル内部は完全にブリタニア担当さ」
「その責任を問う形で現場指揮を我が国で掌握させろ!ことをうまい具合に動かせれば利用できるやもしれん!」
「ダー!」
数十分後…
カワグチ湖ホテル周辺
「…ということでそもそもの原因は貴国の怠慢に他ならない。なので以降は我がロシア国家再生政府軍が対処に当たらせていただきますので指揮権をいただきにまいりました!!」
「お待ちください!そもそもここエリア11は我がブリタニアの領域!貴軍は来賓の警護ということで派遣されたにすぎません!そのようなこじ付けで指揮権を渡すわけにはいきません!!」
両軍は絶賛もめていた。
そもそもブリタニアと再独立後のロシアとの関係は劣悪と言わざるを得ないとしか言えないほど悪化しており、今回のサクラダイト生産国会議の警護に関しても事前にひと悶着あったくらいなのだ。
おかげで警備はロシア及びその他の国々がホテルからだいぶ離れた範囲を警備し、ブリタニアの警護部隊がホテルそのものを警護することとなったわけだが。
そのため本国ロシアからの特命を受けて現場指揮権奪取のために交渉しに来たクラーラとギルバード・G・P・ギルフォードが大揉めしているわけである。
「同志クラーラ!放送を見てください!!」
「
そこには‥‥
『私は日本解放戦線の草壁である。これは我々日本国を搾取し続けてきたブリタニアへの反撃の
そして画面が切り替わると…
屋上に連れ出されたブリタニア政府要人が拘束された上で銃殺されホテル屋上から落ちていった。
「なんてことだ!」
「同志!先ほど本国より…」
ヒソヒソヒソ…!
「ん…。コーネリア殿下!」
「なんだ?」
「先ほど本国ロシアより報告が入りました。要求がのまれない場合ロシア人を三十分後に殺すと、このような事態になった原因は貴国にあると言わざるを得ません!!」
「なんだと!貴様!無礼であろう!!」
「これは殿下とロシアの対話である!貴様風情は黙っていろ!!」
「くっ…!」
「この責任はブリタニアにあることを五分後に我が国の広報部が記者会見で全世界に表明するでしょうね。今後我が旅団は独自の判断で人質救出を行う!」
そう言ってコーネリア直属部隊を一切近づけないようにロシア軍は布陣し、救出作戦(建前)を開始することとなった。
「同志ヴェールヌイ経由での交渉でもって同胞一千人の解放はともかく彼らをブリタニアに気付かれずに収容しなければならないか…」
そう。彼らは日本解放戦線の撃滅は考えておらず暴走した草壁一派をどうにか収容するのが本当の目的であったのだ。
「建前の関係上人質は無傷で救出せねばならないがどうしたもんか…」
「ご期待に添えるものかわかりませんが小官に妙案があります」
「なんですか?同志サンダーク。提言を許可しますから言ってみなさい」
「は、それは‥‥」
数十分後‥‥
ホテル内 日本解放戦線・ロシア代表交渉室
「なんと…」「なんとも人を食った‥‥」
「‥‥それで大丈夫なのでしょうな?」
「ああ。元々は君たちの独断で発生した事態とはいえ、これはチャンスでもあるわけだ。これを利用しない手はないさ」
「我らは絶対に殺さないとは…」
「ああ。暴走したとはいえ君たちは極東方面でもっとも信頼のおけるレジスタンスだ。ブリタニアに鉄槌を食らわせるには君たちのような軍経験者集団が必要なのさ。民兵は使い勝手がいいけども扱いが難しい」
「なるほど」
「ではそういうことで頼むよ?」
「ああ。一切承知した」
そしてホテル屋上にロシアの戦闘輸送ヘリMi-24ハインドが三機着陸。その腹に抱えていた本国ロシアからの増援部隊、『スぺズナヅ』を突入させた。
十分後、ホテル上層部を制圧、草壁中佐以下幹部を射殺。人質半数を確保。
十五分後、黒の騎士団により人質半数がすでに救出されていたのを確認。同構成員とスぺズナヅが突発的に交戦したが撤退。黒の騎士団の声明発表。
二十分後、ホテル下層に突入、敵KMFと交戦開始。
二十五分後、ホテル周辺に展開していたT-72M2モデルナ五両がBTR-80装甲車とともに前進。地上部分を制圧。
三十分後、ホテル地下のライフライントンネルに配置された対KMF超電磁式榴散弾砲を戦車がおとりになっている間に鹵獲、搭乗員二名を拘束。
三十五分後、ホテル解放を特務外交官警護任務を命じられ現場指揮権を奪取したクラーラが状況終了を宣言した。
以上が書類に記載される報告である。
これによりロシアはエリア11のブリタニアに大きな借りを作ることとなった。
とはいえ実体は大きく異なっていた。
人質を地上に降ろす役目をうけたハインド搭乗員や救助したスぺズナヅ隊員は終始嫌な顔をしていた。
≪なんで俺たちがブリタニアの豚共を救助せねばならんのだ!?≫
これが彼らロシアの本音だからである。
そしてスぺズナヅを乗せたもう一機はホテル前に展開するロシア軍に帰還したが最後一機は別の方向に飛び立った。
それは成田山脈に向かっていた。大勢の日本解放戦線のメンバーを乗せて。
次回 黒の騎士団