スーパーロボット大戦Z 魔王の降臨   作:有頂天皇帝

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まえがき
今回はアレンとゼハート、そして鉄華団たちによる蹂躙劇となります。


第一話 悪魔の進軍

ルルーシュが第99代ブリタニア皇帝にして第3代地球連邦代表に就任してから1ヶ月の月日が流れた。

 

本来のルルーシュの計画ならばこの1ヶ月の間に地位を奪われた貴族や皇族たち、ナイトオブラウンズが襲撃を仕掛けてくると予想しそれをライとウォーダンたちが迎撃しその力を世界に見せつけるはずだった。 

しかし、それもルルーシュが即位してから一週間後に発生した大時空震によって計画が狂ってしまった。

大時空震によりこの多元世界にまたしても別次元の世界の国々がこの世界と融合してしまった。

宇宙にヴァース帝国、暗黒大陸にディガルド武国とキダ藩。そしてブリタニア・ユニオンに神聖ミスルギ皇国とギャラルホルンなどが出現したことで世界のバランスはまたしても崩れてしまった。

 

故にルルーシュはゼロレクイエムの成功とその後に人類が戦うべき相手に対抗する手段を残すためにも現在は戦力の増強と内政に力を入れていた。

戦力の増強として次元震によってこちらの世界に飛ばされた機体や戦艦、システムなどを回収し修理及びその技術を用いて既存の機体の強化や新たな機体や戦艦などの開発を行ったり、かつての戦いで破壊した量産型ゲッターGから秘密裏に回収したゲッター炉心を用いてゲッター合金の大量生産と製造したゲッター合金でコーティングした特殊弾頭などの製造、ZEXISやドライクロイツに所属するスーパーロボットやガンダムなどの特殊な機体たちの戦闘データを用いての新機体の開発、鹵獲したかつての敵勢力の機体を修復して再利用するなど様々な手を行っていた。

さらにルルーシュがかの『閃光のマリアンヌ』の息子であることからジェレミアのようなマリアンヌに憧れを抱いていた若い騎士たちやトレーズに忠誠を誓ったOZの兵士、そしてアロウズのやり方についていけなくなった兵士たちなど兵士の数を増やしていった。 

内政に関してもルルーシュとトレーズという優秀な指導者を筆頭にモニカやレディ・アン、新たに配下となったグライエン・グラスマン、クーデリア・藍那・バーンスタインなどを中心に行っていることで新皇帝が現れたことで混乱していたブリタニアはある程度の落ち着きを見せていた。

 

しかしルルーシュたちが戦力を整えている間にも世界はさらなる悪意によって否応なしに歩み始めるのだった。

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

「────反乱軍を監視する同士たちより、出火の準備が整ったとの報告が入りました!!」

 

帝都ペンドラゴン・格納庫。

ブリタニアの軍服に身を包んだ兵士からの報告を受けたオルガは肩越しに振り返ると共に言った。

 

「・・・感謝するぜ。敵は皇女殿下のご指示の通り、フォルネウス卿、ガレット卿と共に俺たち鉄華団が引き受ける。俺たちを迎え入れてくれた新帝ルルーシュのご期待に応えるために全力を尽くすぜ」

 

「ハッ!ご武運を!!」

 

兵士はオルガに敬礼をし、その場から立ち去った。オルガは未だ慣れないこの新しい職場の環境に苦笑いを浮かべるも直ぐにこれから始まる仕事を考え気を引き締め待機している仲間たちに声をかける。

 

「そういうわけだ。これから俺たち鉄華団のこの世界での仕事が始まる。気張っていくぞ!!」

 

「「「「「オォーーー!!」」」」」

 

オルガの掛け声に答えるように鉄華団の少年兵たちは声を上げる。そして彼らがモビルスーツに乗り込むのを確認したオルガは振り返ると、そこには自分の足で立っているオルガにとって大切な頼れる相棒である三日月・オーガスの姿があった。

 

「具合は大丈夫なのか、ミカ?」

 

「うん。久しぶりに動かすからちょっと違和感があるけどすぐに慣れるよ」

 

「そうか・・・」

 

オルガは無表情に右腕と右足を動かすミカからの言葉に笑みを浮かべる。三日月はかつての戦いの代償として右半身不随になり機体乗らなければ1人で動くことすらままならなかった。しかしそのことを知ったルルーシュがシュウ・シラカワやビリー・カタギリなどの優秀な科学者たち、そしてブリタニアの最新鋭の医療施設と医師たちを派遣し、その結果三日月は完全に治療され昔のように自分で身体を動かせるようになっていた。

その事に感謝しているオルガたち鉄華団はその恩を報いるためにもこのルルーシュから与えられた仕事を完璧にこなす為に尽力するのだった。

 

「オルガ」

 

「どうしたミカ?」

 

「ここが俺たちの場所なの?」

 

三日月はオルガに確認するようにジッと見つめながら尋ねる。オルガはその三日月の期待するような目から目を逸らさず答える。

 

「いいやまだだ。俺たちはもっと上に成り上がるんだ。こんなところじゃ終われねぇ」

 

オルガはニッと笑みを浮かべながら三日月に応えると三日月も静かに頷くとオルガと共に歩き出す。

 

 

神聖ブリタニア帝国・ゼフィロス空軍基地。

午後18時。

 

 

『───全機警戒を続けよ!悪逆皇帝ルルーシュに従う愚かな者共がこの基地に眠るシャルル陛下の遺産を狙っている事は明白!!何としてでもこれを死守しシュナイゼル殿下に届けるのだ!!』

 

空軍基地の司令塔にてこの基地の司令官であるシュライン・バルフェイム司令は基地にいる同士たちを鼓舞するように叫んだ。

現在この基地には皇帝に即位したルルーシュが貴族制を廃止したことで、貴族としての地位地位と領地の全てを奪われたブリタニアの旧貴族たち。そして今までの悪事が暴露されたことと、新たな総司令に就任したトレーズに不穏分子(邪魔者)とみなされ、地球連邦から追放されたアロウズ。

これらの連合軍がシュナイゼル・エル・ブリタニアの配下となり、現在はシャルルがかつて手に入れたギアス教団で修復された別次元の機動兵器たちをシュナイゼルの元へと届けるための準備を行っていた。

その情報はルルーシュたち皇帝の座を簒奪者とその協力者たちにも流れてしまったことを知っているシュラインは輸送作業を進めながら襲撃を受けた際に迎撃できるように基地の周囲を完全武装したブリタニア軍のサザーランドやグロースター、ヴィンセント・ウォードなどのナイトメア、アロウズのジンクスIIIやアヘッド、さらには基地で保管されていたサマセットやグラスゴー、フラッグ、リアルド、ジンクスなどの旧式の機体も出撃しており、基地の防衛システムである固定砲台や戦車、対空機銃、ミサイル砲台なども稼働しており並の軍隊では容易く壊滅させられる自信が空軍基地にいた誰もがそう考えていた。

 

『ここに集いし同士諸君よ!!我らは怨敵である悪逆皇帝ルルーシュを討つためにこの場に集った!!』

 

この場所に集いし貴族たちの代表であるオースティン公爵家の現当主であるボルフォルク・オースティンは金色の指揮官用ヴィンセントのコックピットの中からオープンチャンネルでこの場にいる兵士たちに声を上げる。

ボルフォルクの周りにはオースティン公爵家の親衛隊の指揮官用グロースター18機、オースティン公爵の長男であるクイント、次男のレイトル、三男のドレント、長女のシスティルがそれぞれ銀色の指揮官用ヴィンセントに乗り、さらにアロウズの英傑の1人として知られるアレク・ジャルコーン中佐のジンクスの数少ない後期生産型の機体で、指揮官用として装備や通信機能などの強化を施した《アドヴァンスドジンクス》と彼の頼れる配下たちのアヘッドが12機揃っていた。

 

『ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、そしてトレーズ・クシュリナーダが何をしようとしているのか、今や地球連邦の全ての人間が知っているだろう。我らは座して死を待たず! ルルーシュとトレーズを討ち、地球連邦を取り戻す!!』

 

ボルフォルクの言葉に続くようにコックピットの中でアレクがオープンチャンネルで兵士たちを鼓舞するように呼びかける。それと同時に、アレクが搭乗するアドヴァンスドジンクスの右腕が高く上がるのを見て、2人の演説を聞いた貴族や騎士たち、アロウズの士官や兵士たちも声を上げる。

ブリタニアの貴族はもちろん、アロウズの兵士や士官たちも、シャルルからの[[rb:恩恵 >お零れ ]]として与えられたその地位に胡座をかいて好き勝手やってきた。だからこそ、ここまで自分たちが[[rb:窮地 >どん底 ]]に追いやられたのもただの自業自得でしかないことを、彼らが気がつくことはおそらくないだろう。

そして基地内にいる全ての兵士たちの気力が最高潮にまで達したことで彼らは接近してくるルルーシュに使える反逆者共を返り討ちにし、その勢いでシュナイゼルと共にルルーシュやトレーズたちを[[rb: 処刑>嬲り殺し ]]にしてやると息巻いていた。

 

『─────騒ぐな、虫けら共が』

 

────熱狂していた兵士たちに冷水をぶっかけるかのような冷たい声が響いたかと思えば、上空からミサイル群が基地を襲う。それにいち早く気づいたバルフェイム司令は全員に迎撃命令を指示すると基地の防衛システムである固定砲台や対空機銃、さらには兵士たちが操るナイトメアやモビルスーツによる射撃兵装で迫り来るミサイルを撃ち落とす。しかし、全てのミサイルを撃ち落とすことは出来ず撃ち漏らしたミサイルは基地の防衛システムやナイトメア、モビルスーツを破壊し、ミサイル群が収まった頃には基地の防衛システムは三割近くとナイトメアとモビルスーツも30機近く破壊され、破壊を免れたものの装甲の一部や腕部などが破壊された機体の姿が見えていた。

状況を確認しようと司令室にいるオペレーターに声を上げようとしたバルフェイム司令が声を上げるより先にオペレーターは迫り来る敵軍を報告する。

 

「上空より敵モビルスーツを確認!!その数40!!」

 

「地上からも敵ナイトメアとモビルスーツが防衛システムを破壊しながら接近中!!」

 

「輸送部隊から救難信号!!現在敵モビルスーツによる襲撃を受けています!!」

 

オペレーターたちから上がる襲撃の報告にバルフェイム司令はギリッ!と歯噛みするがすぐに持ち直し部下たちに指示を出す。

 

「狼狽えるな!!襲撃が来ることはわかっていたことだ!!ボルフォルク公爵とアレク中佐に迎撃命令を!輸送部隊にはモビルドールたちを起動させ援護に向かわせよ!!」

 

「「「イエス・マイ・ロード!!」」」

 

バルフェイム司令の指示に従いオペレーターたちは行動に移る。シャルルの遺産が眠る場所の基地司令を任されるだけはありバルフェイム司令はブリタニア軍の中でも上位に位置する軍人であり、現に彼がこの基地に赴任してから数十回に及ぶ基地への襲撃を全て退け壊滅させてきた。惜しむらくは彼が徹底的な差別主義者でありブリタニア人以外の人間は下等な猿として見下し彼らの存在を奴隷としてか見ていないことから地球連邦軍の他国の軍人たちからは嫌悪されていたのは広く知れ渡られている。

 

「皇帝の座を簒奪しオデュッセウス殿下たちを幽閉した悪逆皇帝ルルーシュに付き従う愚か者共め。その罪、貴様らの命で償ってもらおう!!」

 

バルフェイム司令は自分たちの勝利は決して揺るぎはしないと笑みを浮かべながら迫り来るルルーシュの配下である兵士たちを見下すのだった。

────その余裕が砂上の楼閣のように容易く崩されるとも知らずに

 

『流石はゼフィロス空軍基地。建設されてから一度の侵攻も許さぬ難攻不落の基地とレジスタンスたちから恐れられることはあるな』

 

黒のカラーリングで統一されたモビルドール《ビルゴII》を全面に押し出し、ビルゴIIが展開する電磁フィールド発生端末群《プラネイトディフェンサー》によってゼフィロス空軍基地の防衛システムと地上にいるサザーランド、グロースター、ヴィンセント・ウォードによる大型キャノン、ロケットランチャーなどのナイトメアの砲撃を防ぎ、ビルゴIIの後方から黒のカラーリングのジンクスIII、トーラスが基地に攻撃を仕掛けているのを上空で待機している龍を彷彿させる深紅のモビルスーツ《ガンダムレギルス》のコックピットの中でルルーシュの騎士の1人でゼハート・ガレットはゼフィロス空軍基地を見下ろしながらそう呟く。

 

『だが、この程度は想定内だ。予定通り我々はこのまま鉄華団とフォルネウス卿の部隊が基地に侵入するまで上空から攻撃を続ける』

 

『『『イエス・マイ・ロード』』』

 

ゼハートはルルーシュから貸し与えられた元アロウズの兵士たちに指示を出しながらもその視線は地上で暴れている4機のガンダムに向けられていた。

 

『・・・見せてもらおうか。悪魔と堕天使の名を司る別世界のガンダムの性能を』

 

 

場所は変わってゼフィロス空軍基地の周囲。基地の防衛システムである固定砲台や対ナイトメア機銃、基地の防壁の上に並ぶアサルトライフルやロケットランチャー、ザッテルヴァッフェなどの銃火器を構えたサザーランドやグロースター、ヴィンセント・ウォードたちナイトメアによる銃砲撃が地上を焼き付くさんとばかりに雨霰のように基地に迫る敵に向けて放たれていた。普通のモビルスーツやナイトメアならばかわすことは愚かまともに防御することも不可能なほど激しい銃砲撃の中、2機のガンダムタイプのモビルスーツが獣のような動きで銃砲撃の雨霰を掻い潜りながら接近していた。

その人間離れした動きと死を恐れぬ姿に恐怖した兵士たちの間で動揺が広がる。

 

『やるじゃんアンタ』

 

『君たちほどでは無いさ』

 

雨霰のように激しい銃砲撃をかわしながらコックピットの中で鉄華団のエースパイロットである三日月とルルーシュの騎士であるアレン・フォルネウスはそんな他愛ない会話をしていた。近接戦闘に特化した獣を思わせる三日月のガンダム《ガンダムバルバトスルプスレクス》は当たりそうな銃砲撃を手首部分に内蔵されている射撃兵装《腕部200mm砲》と背部の特殊兵装である《テイルブレード》で迎撃し、アレンが操る深紅・金の重武装タイプのガンダム《ガンダムアザゼル》は背部に背負っている小型の兵装自動生産機と連結している両腕の2連装のガトリング砲《プルウィアガトリングガン》による掃射と背中の6枚の特殊兵装《ウイングブレード》による斬撃によって接近を仕掛け、固く閉ざされた門の前までたどり着くとガンダムアザゼルはグッ!と脚部に力を込めたかと思えば勢いよくジャンプし防壁の上まで飛び上がる。想定外の動きに兵士たちが呆気に取られる中、比較的早く冷静さを取り戻した防衛部隊の隊長の1人であるメイロス少尉がヴィンセント・ウォードのコックピットの中から兵士たちに指示を出す。

 

『何をしている!!早くその痴れ者を撃ち落とせ!!』

 

『『『っ!?イエス・マイ・ロード!!』』』

 

その声に反応した兵士たちはすぐに武器を構えると上空にいるガンダムアザゼルに銃砲撃を仕掛けようとする。だが行動を起こすのが遅すぎた。

 

『死ね、皇帝陛下に逆らう愚かな反逆者共が』

 

アレンはそう呟くと同時にガンダムアザゼルの両腕のプルウィアガトリングガンと両肩部・両脚部に内蔵されたマイクロミサイルを一斉発射させる。その一斉砲撃は防衛システム粉砕し、抵抗していたサザーランド、グロースター、ヴィンセント・ウォードたちの機体を蜂の巣、または爆散などして破壊していく。ガンダムアザゼルが防壁の上に着地すると、そこには破壊され尽くしたナイトメアの残骸が転がっていたが破壊した数を上回るジンクスIIIやアヘッドたちモビルスーツが上がってくる。

 

『ふん、いくら数を揃えたところでこの俺と陛下が与えてくださった俺の新たな剣《ガンダムアザゼル》に敵うものか!!』

 

アレンはそう叫びながら両腕のプルウィアガトリングガンを反転させ超高出力のビームキャノン砲《サンダルフォン》を構えると同時に高出力のビームを放ち、迫り来るジンクスIII、アヘッドたちを飲み込みながら基地を破壊していく。そして基地にいたものたちがガンダムアザゼルに攻撃を集中しようとした瞬間、鋼鉄の門を砕きながらガンダムバルバトスルプスレクスが基地に侵入し、それに続くように鉄華団のモビルスーツである獅電とランドマン・ロディ計16機が雪崩込む。たかが十数機のモビルスーツなど取るに足らないとその銃砲身を地上にいるガンダムバルバトスルプスレクスたちに向ける。しかし、その照準が彼らを捕らえるより先に三日月たちは動く。

 

『邪魔なんだよ』

 

『なっ!?は、速───』

 

ガンダムバルバトスルプスレクスはGNバズーカを構えていたアヘッドの懐に潜り込むと敵を貫く大型マニピュレーターである《両腕レクスネイル》でアヘッドの胴体を貫く。そして血とオイルで汚れた爪をアヘッドの胴体から抜くと腰部に装備されている《超大型メイス》を両手で握るとそのまま振り回し、周囲にいたジンクスIII3機をピンボールを飛ばすように弾き飛ばし、装甲を砕かれた3機のジンクスIIIはサザーランド、グロースターなどのナイトメアを巻き込みながら壁に叩きつけられる。

 

『う、撃て!?奴らをこの先に進ませるな!?』

 

一瞬にして10人近くの同士を殺した三日月のガンダムバルバトスルプスレクスを恐れた部隊長の1人であるモニック子爵は指揮官用グロースターのコックピットの中で声を震わせながら部下たちにガンダムバルバトスルプスレクスに攻撃を指示する。それに真っ先に反応した子爵の親衛隊である2機のグロースターが対ナイトメア専用大型ランスを構え、ガンダムバルバトスルプスレクスに対して突撃を仕掛ける。しかしその槍先がガンダムバルバトスルプスレクスに届くよりも先に迫るグロースターたちの前に白・黄・緑の高機動型モビルスーツ《辟邪》がスラスターを噴かせながら割り込むと銃身下部にブレードが装備されているライフル《パヨネットライフル》でグロースターの胴体を蜂の巣にするともう一機のグロースターから繰り出される対ナイトメア専用大型ランスの突きをスラスターを噴かしてかわすと反対の手に握るピック状の先端部が特徴的なブレード《トビクチブレード》でコックピットをピック部分で貫き、パイロットを絶命させる。

 

『三日月さん!フォルネウス卿!ここは俺たちに任せて2人は先に進んでください!!』

 

辟邪のコックピットからハッシュ・ミルディは三日月とアレンにそう叫びながらパヨネットライフルを掃射しながらスラスターを噴かして動き回り、それを援護するように鉄華団の獅電とランドマン・ロディたちもそれぞれの武器である格闘戦用の槍《パルチザン》、峰にハンマーを備えた鉈《ハンマーチョッパー》、そしてライフルなどを用いて敵ナイトメア・モビルスーツを倒していく。特殊な金属塗料を表面装甲に蒸着させた《ナノラミネートアーマー》で覆われているガンダムバルバトスルプスレクスを筆頭とした鉄華団のモビルスーツたちはジンクスIIIとアヘッドたちが放つGNビームライフルなどのビーム兵器から放たれるビームを反射させ、頑丈な装甲によって実弾すら防いでいた。

 

『・・・いいだろう。そう言うのならばここは任せよう』

 

『わかった。任せたよハッシュ』

 

『・・・っ!!はいっ!!』

 

この場は任せても問題ないと判断したアレンと三日月はハッシュたちにこの場を任せ、今作戦の目的の物であるシャルルの遺産の確保または破壊を果たすべくガンダムアザゼルとガンダムバルバトスルプスレクスを動かす。

ハッシュは憧れの人である三日月と1ヶ月という短い期間ではあるものの自分のことを鍛えてくれたアレンが任せてくれたという事実に歓喜し笑みを浮かべそうになるのを堪えて勢いよく返事をしながら辟邪のスラスターを噴かしてアヘッドに攻撃を仕掛ける。

この場をハッシュと鉄華団の少年兵たちに任せた三日月とアレンは立ち塞がる敵機を蹂躙しながら目的のモノが眠る地下へと2機のガンダムを走らせるのだった。

 

基地内部を悪魔と堕天使の名を司る2機のガンダムを中心に暴れ回るのと同じようにゼフィロス空軍基地の沿岸部にてシュナイゼルたちの元へ送られるアロウズやOZが使用していたトーラスやビルゴIIを始めとしたモビルドールの他、シャルルの遺産である別次元の機体や武器それをなど多種多様な兵器が輸送艦に運ばれる中、それらを強奪或いは破壊しようと迫る鉄華団のモビルスーツたちとルルーシュの配下になることを選んだ貴族たちの子飼いのパイロットたちが操るガレス、指揮官用ヴィンセント、グロースター、サザーランドなどのナイトメアたちを相手にゼフィロス空軍基地の防衛部隊である重武装型のサザーランドやグロースター、ティエレン長距離射撃型、リアルド・ホバータンクなどの銃砲撃に特化した機体たちと援軍として送られたモビルドールのユーグリッド、ビルゴたちが防衛ラインを築いていた。鉄華団たちがこの基地に来るよりも前に既に機体を乗せた輸送艦が数隻発進してはいるもののまだ相当数の輸送艦が残っており、その内の5隻は最初の上空からの攻撃によって轟沈れていた。

 

『クソっ!コイツら倒しても倒しても沸いてきやがる!!』

 

『無駄口叩くな!!コイツら全員ぶっ潰して任務を果たすぞ!!』

 

基地の防壁を利用して敵の銃砲撃を防ぎながら鉄華団のエースパイロットであるノルバ・シノと昭弘・アルトランドはそれぞれの愛機であるガンダム。射撃特化のマゼンダカラーの背部に砲撃ユニットを装備したライフルを構えるシノのガンダム《ガンダムフラウロス》と茶色の長距離射撃要ライフル《ロングレンジライフル》4本を背中のサブアームを含めて構える昭弘のガンダム《ガンダムグシオンリベイクフルシティ》は敵からの銃砲撃を耐えながら反撃して敵機を破壊するも直ぐに後方から援軍が現れ中々前に進めないでいた。 昭弘たちが攻めあぐねているとその声が届いた。

 

『下がれ。今からそこを狙撃する』

 

その声の主を知っている昭弘とシノはすぐに団員たちと騎士たちを後退させその場から離れる。ガンダムフラウロスとガンダムグシオンリベイクフルシティたちが下がっていく姿を見た防衛部隊は我らに恐れを生して逃げたか!!と自分たちの都合のいいことを考えながら追撃を仕掛けようと防衛ラインを超えた瞬間、赤黒いビームに飲み込まれ防衛部隊の半数以上が爆散した。

 

『相変わらずスゲェ威力だな・・・』

 

『あぁ・・・これが《ヨロイ》の力か・・・』

 

シノと昭弘はかつて彼らの世界で戦ったことのある強敵・モビルアーマー《ハシュマル》のビームと同等の威力を誇るビームを放った相手がいる方へと視線を向けながら思わぶそう呟いてしまう。シノと明弘たちから離れた場所にある建物の上にてモビルスーツ以上の長い銃身を持つ大型のビーム兵器《50mm94口径エナジーキャノン》を構える額に黒い2本の角を生やしたビームを拡散させる特殊な黒いマント《拡散マント》を羽織った赤い機体《ヴォルケイン改》の姿があった。

 

────《ヨロイ》。それは1ヶ月前の大時空震によってこの世界に現れたこの次元の地球とは異なる次元の地球の技術によって造りあげられた機体の1つであり、『Yieldingly Operatable Robotized Overbearing Infantry >(自在に操作可能な自動化された威圧的な歩兵)』の略称である。それは武装したスーパーカーや戦艦など形状やサイズ等も様々であるが、基本的なイメージは人型の巨大ロボットである。その中でも強力なヨロイが最も初期に作られた7体のヨロイ《オリジナル7用ヨロイ》であり、その特殊なヨロイたちと同じように強力なヨロイの1つがこのヴォルケイン改である。

 

『何をしている。さっさと目的のモノを回収するなり破壊するなりしろ』

 

『わかってるっての!!そっちも援護頼むぜ!!』

 

ヴォルケイン改のパイロットであるレイ・ラングレンはシノと昭弘たちにそう言いながら右腕のガトリング砲《4銃身40mmガトリング砲》と左腕の銃砲《ラピットファイア・75mmエナジーブリットキャノン》を同時に発射して空の戦闘ヘリやフラッグ、ヘリオンなどの機体を撃ち落としていく。

その間にシノと昭弘たちはヴォルケイン改の一撃で崩壊した防衛ラインを掻き乱すようにガンダムフラウロスとガンダムグシオンリベイクフルシティを先頭に防衛部隊のナイトメアとモビルスーツたちを破壊しながら突き進む。そして輸送艦に乗り込み中身を確保しようとした瞬間、輸送艦の一部が内部から爆発し燃え上がる輸送艦の中からそれらは現れた。

 

異世界の軍事企業《アドゥカーフ・メカノインダストリー社》が開発したストライクダガーの上半身をセンサー兼自衛兵装ユニットとして流用しており、半人半虫のような外観を持つ拠点防衛用試作モビルアーマー《YMAG-X7F ゲルズゲー》12機と甲虫や甲殻類のような外観が特徴で、巨体ながら大出力のホバースラスターによって高い空戦能力を備えた大型モビルアーマー《YMAF-X6BD ザムザザー》5機、そして単機での対要塞攻略・殲滅を主眼において開発された巨大モビルスーツ《GFAS-X1デストロイガンダム》3機。これらの機体は本来ならばこの世界にはないはずの兵器だったが、ZEXISに幾度となく立ち塞がる謎の狂人アイム・ライアードと、キラやアスランも含めた《コーディネイター》と並ぶ超高度の人工生命体《イノベイド》のひとりであるリボンズ・アルマークの暗躍により持ち込まれた。その後に地球連邦はもちろん、ブリタニアでもギアス嚮団のような特殊な機関や部隊によって運用されている。特にデストロイガンダムはその高い性能から切り札として所持する勢力もあり、ギアス嚮団の嚮主(指導者)であり、ルルーシュとライと浅からぬ因縁を持つV.V.(ブイツー)も、ナイトギガフォートレス・ジークフリートと並ぶ切り札として数機導入していたこともある。

 

『ちっ!アイツら俺らに奪われるくらいならここで起動して俺たちを潰すってか!!』

 

『上等だ。だったら逆にこっちが返り討ちにしてやるよ!!』

 

シノと昭弘はそれぞれ近接武器であるピック状の先端部を持つ《アサルトナイフ》とグシオン専用の大斧《グシオンリベイクハルバート》を構えると先ずは目の前にいるゲルズゲーに攻撃を仕掛ける。

 

『おらぁっ!!』

 

ゲルズゲーとザムザザーによるビームの嵐をかわしながらシノとガンダムフラウロスはゲルズゲーに接近するとストライクダガーの胴体にアサルトナイフのピック部分を突き刺すとそのまま力任せに引っ張り、隣でビームライフルを構えていたゲルズゲーに投げ飛ばし2体を破壊する。それを許さないと言わんばかりにザムザザーが前脚の大型クロー《超振動クラッシャー ヴァシリエフ》を高速振動させながらガンダムフラウロスを挟みあげようと迫るが、ヴァシリエフがガンダムフラウロスを挟むより先に横からグシオンリベイクハルバートを振り下ろしたガンダムグシオンリベイクフルシティによってその胴体を両断する。

 

『油断するなよ、シノ』

 

『へっ!わかってるっての!!』

 

昭弘とシノは互いに背中を合わせながらそう言葉を交わすとそのまま機体に武器を握らせ暴れ回る。次々とゲルズゲーとザムザザーを破壊していく2機のガンダムを最優先排除対象と見たのかデストロイガンダムたちは2機のガンダムに攻撃を集中するように攻撃を仕掛ける。そしてその隙を着くようにヴォルケイン改の狙撃による援護とランドマン・ロディ、獅電、ガレス、指揮官用ヴィンセント、グロースター、サザーランドたちが援護攻撃を仕掛ける。互いの銃砲撃の嵐によって次々と破壊された機体の残骸が辺りに広がる。

 

『お、おのれっ!!薄汚い溝鼠どもがっ!!』

 

『だがまだだ!!我らにはデストロイガンダムが・・・』

 

防衛部隊は次々と破壊されていくゲルズゲーとザムザザーたちをみて怒りを隠せない中、唯一敵の銃砲撃を受けてもビクともせず逆に頭部の対空防御機関砲《イーゲルシュテルン》と顔面口部のビーム砲《ツォーンMk2》、両指の5連装ビーム砲《5連装スプリットビームガン》、背部のミサイルランチャー《6連装多目的ミサイルランチャー》などをそれぞれ一斉に放ち、ガレスたちナイトメアたちを次々と破壊していく姿を見て声を上げようとした瞬間、一機のデストロイガンダムの胴体を巨大な拳が貫き、動きが鈍ったデストロイガンダムの両腕が切り落とされる。思わず上を見上げるとそこには黒くカラーリングされ全身が鋭利的な巨大な腕部と脚部を持つ巨大ロボット《ディオスクリアIII》と魔狼を思わせる頭部に細身ながら堅牢な青い鎧を全身にまとった巨大ロボット《マーナガルム》が並び立っていた。

 

『あれは《カタクラフト》!?第四機甲師団と共にエリア14で我らが同士たちの軍勢を殲滅したという!?』

 

『《火星騎士》共か!おのれ、宇宙に潜む騎士もどきどもがっ!!』

 

今から1ヶ月前に突如としてこの世界に名乗りを上げた、ヨロイと同じく別世界の技術で造り上げられた機体に特殊な力を発揮させアルドノアの力を解放させる動力源《アルドノアドライブ》を搭載した機体《カタクラフト》を有する国家《ヴァース帝国》とカタクラフトにのる騎士《火星騎士》。その中でヴァース帝国を見限った《ザーツバルム伯爵》を筆頭とした火星騎士の一部が神聖ブリタニア帝国同盟を結び、その手腕と素質を見込んだルルーシュから手厚い待遇(持て成し)を得ている。その後はルルーシュの期待に応えるかのように、ブリタニア旧皇帝派、そしてアロウズや黒の騎士団を始めとした反乱軍を急襲し、数多の反ルルーシュ軍の拠点を奪取・壊滅させてきている。

 

『ザーツバルム卿。ここは私がお相手を・・・』

 

『任せよう。ウォロク卿』

 

マーナガルムの操縦者であるウォロク卿はディオスクリアIIIの操縦者であるザーツバルム卿にそう声をかけると赤いマントを翻しながらマーナガルムは鋭い鉤爪を展開するとそのまま急降下し、デストロイガンダム三枚おろしのように切り裂く。最後の一機となったデストロイガンダムがその質量をぶつけるようにその右拳を振り下ろす。

 

『切り裂け、我が鋭き刃よ』

 

ウォロク卿はアルドノアドライブを起動させるとマーナガルムの鉤爪が月光のような美しい光を纏い、マーナガルムが両腕を振るうと鉤爪から白い光を纏った三日月状の斬撃波が飛ばされデストロイガンダムの右腕、胴体、頭部を切り裂き爆散させる。これによって起動していたモビルドール及び防衛部隊の機体を全て破壊し尽くし、輸送艦に乗せられていた機体と運ばれる途中で倉庫に収納されていた機体たちの確保に成功した。

 

 

「馬鹿な・・・」

 

バルフェイム司令は顔を青白くさせながら司令室から至る所から黒煙を上げる半壊しているゼフィロス空軍基地を見下ろしていた。今まで何者の侵入を許したことの無いゼフィロス空軍基地に侵入を許したばかりか防衛設備を全て破壊され、基地に揃っていた300近くの精鋭たちもその数を20程度に減り、さらにはシュナイゼル殿下に届けるべきシャルルの遺産を含めた数多の機体のうち7割近くが鉄華団とルルーシュ軍の手によって破壊及び強奪されてしまっていた。

 

「こ、これは夢だ・・・こんなことが現実なわけがない・・・我ら誇り高きブリタニア軍が、あのような簒奪者と溝鼠どもに敗北するなど・・・」

 

バルフェイム司令はヨロヨロと覚束無い足取りで後ずさりながら目の前の現実を認めたくないと言わんばかりに呟く。今まで勝利の美酒しか味わっていない典型的なブリタニア軍人の1人であるバルフェイム司令にとって自らが追い詰められるなどなかった彼にとってこのような苦境は経験したことの無いものであり、どうすればいいかなど思いつくはずもなかった。

 

「ぼ、ボルフォルク卿及びジャルコーン中佐の反応ロスト・・・」

 

「わ、我が基地のナイトメア及びモビルスーツ部隊の反応が全て消失致しました・・・」

 

顔を青ざめたオペレーターたちが唇を震わせながら基地にいた全ての戦力が殲滅させられたことを語る。その報告に司令室にいた全ての人間が敗北してしまったことを理解してしまい沈黙する。しかしその中でバルフェイム司令だけは敗北を認めきれず喚き散らしながらあるシステムを起動させようとモニターを操作する。

 

「まだだ!せめてこの地にいる簒奪者共たちを殲滅する!!」

 

「そ、それは!?」

 

バルフェイム司令が起動させようとしているシステムに気づいた副司令は顔を青ざめながら小さい悲鳴を上げる。バルフェイム司令が起動しようとしているのはこの基地の地下に眠る大規模戦略兵器《サイクロプス》による基地の自爆であった。それの起動を意味することは敵だけでなくこの基地にいる味方ごと皆殺しにするということであり、それを悟った副司令とオペレーターたちは我先にと司令室から逃げ出し少しでも基地から遠くへ逃げようと走り出すが、それも無意味な行為となる。

 

「ふひひひっ!!オール・ハイル・ブリタ─────」

 

引き攣った笑みを浮かべながらバルフェイム司令がサイクロプス起動のスイッチを押すより先に司令室がビームによって消し飛ばされたことで司令室の全員が死んだ。

 

『────基地の制圧完了。これより基地内部の捜索を開始する』

 

指令部にビームライフル《レギルスライフル》を向けていたガンダムレギルスはその銃口を下ろし生き残っている配下たちにゼハートはそう指示を出すと降下する。

 

────ブリタニアが有する堅固な基地の1つであるゼフィロス空軍基地は僅か2時間足らずで壊滅したのだった。さらには同日にて《神殺の英傑》たちが各地のブリタニアの植民地及びアロウズの基地などを襲撃し壊滅させたとの報告が上がり、《神殺の英傑》たちとその配下、協力者たちの[[rb: 武力>力 ]]、そしてそんな彼らを従えているルルーシュに対しての恐ろしさが瞬く間に世界に広まるのだった。

 

◆◆◆◆

 

鉄華団が保有する強襲装甲艦《イサリビ》。ビアンを中心とした技術者たちによって大型テスラドライブ搭載され地上での運用も可能にしただけでなく、装甲の強化や武装の追加などが行われ並の戦艦以上の性能へと改造されたイサリビのブリッジの艦長席に座っている鉄華団団長のオルガ・イツカは鉄華団の参謀であるビスケット・グリフォンと共に団員たちから任務の達成報告と鉄華団団員たちの安否の報告を受けていた。幸い今回の戦闘では機体が何機か半壊したものの団員たちから重傷者や死者は出ておらず、オルガたちは安堵していた。

 

「流石は鉄華団の皆様ですね。ルルーシュ様のお認めになられた通り素晴らしい戦果を挙げられましたね」

 

オルガたちの隣で一緒にモニター越しに戦闘を見ていたメイド服姿のマリーカは鉄華団に対してそう言いながらオルガに頭を下げる。そんなマリーカの態度にあまり慣れていないオルガたちは一瞬微妙な顔をするも、すぐに割り切って話を続ける。

 

「それで、今回の俺たちの仕事はこれで終わりでいいんだよな?」

 

「はい。現在回収班がこちらへ向かっておりますので彼らがこちらに到着するまで待機してもらいますが、警備などはフォルネウス卿とガレット卿を中心とした部隊が行いますので、鉄華団の皆さんにはこの後定期検診を行ってもらいます」

 

オルガはマリーカに対して確認するように尋ねるとマリーカはそう答える。ギャラルホルンの所有していたものや鉄華団の少年兵たちの体を調べたりなどして阿頼耶識システムについては多少の理解をしているルルーシュたちだが、その危険性などを完全に理解しきれていないことから戦闘終了後や数日おきに定期検診を行い阿頼耶識システムに異常が発生していないかなどを確認している。ビアンたちのおかげで三日月の体が以前のように動かせるようになったが、それでも突然以前のように動かせなくなる可能性もあるためこうして定期的に検査を行うことになっている。

 

「正直なれないんだが、ミカを治してくれたアンタらの頼みだし、俺らとしても団員たちのことを見てくれるのはありがたいしな」

 

オルガはマリーカからの指示にそう答えながら素直に従うことにする。正直ナディ・雪之丞・カッサパやマクマード・バリストン、名瀬・タービンなど一部の人間を除いてまともな大人を知らないオルガたちにとって阿頼耶識システムを見ても嫌悪感を抱かず、自分たちのことを真摯に考えてくれるビアンやバン大佐、ジェレミアなど多くの大人たちには動揺を隠せなかったが、今では少しずつその事にもなれるようにしている。

 

「それでは私はルルーシュ様への報告がありますので失礼致します」

 

マリーカはオルガたちに対してそう告げるとブリッジを退出する。マリーカの姿が見えなくなったのを確認してからビスケットはオルガに対して進言をする。

 

「・・・オルガ。これ以上あの人たちと関わるのはやめた方がいいんじゃないかな?」

 

ビスケットは以前からオルガに対してルルーシュたちとの関係を断つことを相談していた。それは別に彼らが鉄華団に名を変える前の組織『CGS』に雇われた頃の雇い主であるマルバ・アーケインや一番組のハエダやサザイなどの腐りきった大人のようにオルガ達を捨て駒のように使い捨てされるのではないかと恐れている訳では無い。むしろ結果を重視しているルルーシュは鉄華団に対して相応の報酬を払うだけでなく、ルルーシュを含め半数以上の人間が阿頼耶識システムに関して忌避感を感じず普通に接してくれたり、日常生活でもフォローしてくれる人たちもいる。故にビスケットとしてもルルーシュたちに対して不満を感じるどころか恩義を感じていた。しかし・・・

 

「これからもあの人たちからの依頼を受け続ければもっと危険な戦場に行くことになる。そうなったら団員たちの犠牲者が増えるし、下手すればオルガだって───」

 

「そんなことはわかってる」

 

ビスケットはこの先もルルーシュに従えば鉄華団の団員たちから多くの犠牲が生まれるのではないかと、そしてその犠牲の中にオルガも含まれてしまうのではないかと不安と恐れを抱いてそう言いかけるのに対してオルガはビスケットの進言に答えるように静かに話し始める。

 

「確かにお前の言う通りこれからもアイツから依頼を受け続ければウチの連中からも少なくない犠牲は出る可能性は否定できねぇ。だけどな、アイツらにはデカい借りもある上に、アイツらの敵の中には俺たちが落とし前をつけなきゃならねぇ奴らがいる」

 

「それは・・・そうだけど・・・」

 

オルガは険しい顔をしながら前を睨み、その言葉にビスケットも何も言えず言葉を濁す。ルルーシュたちによって三日月の身体を治して貰っただけでなく団員たちの阿頼耶識システムの調整やそれに合わせてのモビルスーツたちの改修、さらにはここにいるビスケットや昭弘の弟の昌弘、オルガの兄貴分である名瀬やその恋人のアミダなどかつてオルガ達がいた次元の世界で死んだはずのものたちがこの世界で重症の状態で半壊状態のハンマーヘッドとホタルビで発見され、ルルーシュたちのおかげで一命を取り留めた。それがオルガたちがルルーシュたちに感じているデカい借りであり、そしてそんな彼らを殺した原因の一端であるものたちがシュナイゼルに組にしていると知っているからこそオルガたちは引くに引けないと考えている。それをわかっているだけに強く言えないビスケットは口篭るのを見てオルガはフッと笑みを浮かべながらビスケットに向き直る。

 

「心配すんな。無茶してでも連中に落とし前をつけさせようなんてことはしねぇ。無理してウチの団員たちから犠牲なんて絶対に出させねぇ」

 

「オルガ・・・」

 

オルガのその言葉でビスケットはオルガが落とし前をつけることにやっけになって頭に血が上っていないことが分かり押し黙る。

互いに鉄華団の未来のことを考え、再会してからも何度か意見がぶつかり合ったオルガとビスケットだがそれでも2人が、否、鉄華団の目指す未来は同じものであった。故にビスケットはオルガを止めるのではなくオルガと共に歩み、鉄華団のみんなの未来を勝ち取ることを選ぶのだと決意した。

 

鉄華団のようにルルーシュに対しての借りを返すのと共通の敵がいるから協力するもの、レイのように己の復讐を果たすために互いに利用し合うもの、他にも多くのものたちがそれぞれの思惑を持ってルルーシュに従う彼らはルルーシュにとって貴重な戦力であるものの必ずしも善意で協力した味方ではなく下手をすれば裏切り敵対する可能性を含んでいるもの達もいた。しかしそれすらも飲み込んでルルーシュは彼らを利用することを選んだ。

それがどのような未来になるかはまだ誰もが分からないでいた。

 

◆◆◆◆◆◆◆

 

エリア18・旧イスラム共和国

 

第二皇女コーネリア・リ・ブリタニアによって制圧された中東の砂漠の国。その上空を第一独立師団の旗艦であるスペースノア級戦艦《シロガネ》が2隻の大気圏内用空中戦闘母艦《グレイストーク》、地上を3隻の陸上戦艦《ライノセラス》が進んでいた。シロガネのブリッジにて艦長を任されているバン大佐は大型モニターに映っているルルーシュに対して定期連絡を取っていた。

 

『予定通りエリア18に辿り着いたようだな』

 

「はっ!道中インベーダーや旧アロウズなどの襲撃を受けましたがこちらの被害を最小限に抑え迎撃に成功しております」

 

『そうか。ならば近隣の部隊から補給物資を届けるように連絡しておこう。他にも必要な物資があれば届けさせよう』

 

「感謝致します」

 

バン大佐はルルーシュにそう礼を言って頭を下げる。バン大佐たち第一独立師団がこのエリア18に来ているのは先日、ペンドラゴンにて開発中のルルーシュ専用機に搭載予定のとあるシステムがこのエリア18に時空震が発生する可能性があるという計測を出した。故にその調査を兼ねてウォーダンたち第一独立師団をルルーシュは派遣することにした。スーパーロボット級の性能を誇る量産型グルンガスト弐式やジガンスクードなどの特機を中心に編成されている第一独立師団は数は少ないもののその戦力は他の師団にも決して劣らぬものであると自負できる。

 

『今回はあくまで調査だ。転移してきた存在がこちら側に引けるならば良し、敵対するならは被害を抑えつつ戦闘データを収集せよ』

 

「承知致しました」

 

『では吉報を期待している』

 

ルルーシュはバン大佐にそう告げてから通信を切り、モニターの画面が消える。それを確認してからバン大佐は一息つく。

 

(今回は調査だけと言っていたが、陛下も何かあると判断したから第一独立師団だけでなく彼の者たちを派遣した。それもただの援軍ではなくウォーダンたち神殺の英傑(エインヘリアル)に匹敵する程の力を持ったあの男まで寄越したということからそれが伺える)

 

「少しいいかバン大佐」

 

バン大佐がこれから向かうであろう場所に対して一抹の不安を感じているとルルーシュからの援軍として送られた1人であるイングラム・プリスケンが話しかけてきた。

 

「イングラムか、何の用だ」

 

「ビアンからの伝言だ。ウォーダンの機体の調整が終わったそうだ。今ほかの機体たちの最終チェックも行っているそうだが予定地点に到着する前には完了するそうだ」

 

「承知した」

 

バン大佐はイングラムの報告を聞きながらも、イングラムを警戒する素振りを見せていた。互いに面識がある訳では無いが元は互いに敵対する組織に所属していたもの同士であり、その上イングラムは洗脳されていたとはいえ異星人に味方していた。それ故にどうしても疑いの目を向けずにはいられないでいた。そのことを理解しているからイングラムも理解しているため特に反応を示さない。伝え終えたイングラムも退室しようとブリッジから去ろうとした直後、ブリッジに警告音が鳴り響いた。

 

「何があった!!」

 

「11時の方角にて次元震の反応を確認!!それと同時に戦闘が始まりました!!」

 

「映像出ます!!」

 

バン大佐は思考を戦士のものへと切り替え、オペレーターに確認を取る。そしてオペレーターからの報告とモニターに映った映像にバン大佐とイングラムは目を見張った。

 

「これは・・・!?」

 

「SRX・・・」

 

モニターにはシロガネと同じスペースノア級戦艦《ハガネ》とヒリュウ級戦闘母艦《ヒリュウ改》、さらに鋼の戦神の二つ名を持つスーパーロボット《SRX》、ビアンの娘であるリューネ・ゾルタークが操る《ヴァルシオーネ》、シュウと因縁のあるマサキ・アンドーの操る風の魔装機神《サイバスター》、ウォーダンの因縁の相手であるゼンガー・ゾンボルトの操る《ダイゼンガー》などの姿が映っていた。

 

 

─────近いようで遠い別次元の世界にて、フラスコの住人たちは今、再会を果たそうとしていた。





あとがき
今回は鉄華団たちをメインに戦闘してもらいましたがどうでしたでしょうか?オリジナルの機体であるガンダムアザゼルとマーナガルムに関しては今後投稿する予定の機体設定にでもまとめますので待ってもらえるとありがたいです。
今回はアレンとゼハート自身が抱えている騎士団を使用せずルルーシュが今後の試金石も兼ねてルルーシュに忠誠を誓ってきた貴族の配下や元アロウズの兵士たちを使わせた他、《ガン×ソード》のレイ・ラングレンも協力者として登場させました。今後も他作品のキャラをルルーシュたちの協力者として登場させたり、ZEXISの新たな仲間として登場させる予定です。
それから参戦予定の《革命機ヴァルヴレイヴ》のパイロットたちのRUNEをどうするか悩んでいたのですが、熱気バサラやランカ・リー、シェリル・ノームたちの歌の力を使えば代用できるのではないかと考えていますがどうでしょうか?同じように《蒼穹のファフナー》のパイロットたちの同化現象への対策としても使ってもいいでしょうか?また、敵として人類軍を登場させるつもりですが、アルゴス隊などを徹底的に潰して絶望させてもいいでしょうか?
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