今更になりますが皆さんは奪還のロゼ観に行きましたか?自分は1章を3回、2章をまだ1回ほどですが見てきました。ナイトメアの戦闘シーンやキャラたちの会話、そしてこれから先が気になるようなストーリーとどれをとっても最高でした!!ネタバレになるので感想は控えますが、これから主人公たちがどのように物語を進めていくのか楽しみです!!ちなみに今回量産機ですが奪還のロゼに登場した機体が出ます。
────ライ率いるルルーシュ皇帝軍がオオサカ租界にいるコーネリアたちに攻撃を開始する数時間前。
「────問題は《
アトラスのブリーフィングルームのモニターに表示された作戦マップを前に、ライは告げた。
エリア11の西部に位置する、ブリタニア・ユニオンの国民が住む階層都市のひとつ──かつては西日本の中心的都市と呼ばれた大阪府と呼ばれた地だ──オオサカ租界。この租界は大阪城を中心にする形で作られており、租界を囲むように展開されている分厚い防壁と潤沢な防衛設備によって難攻不落な要塞となっている。さらにオオサカ租界を守るために山岳地帯を利用して造られた3つの前線要塞基地が存在しており、それらの前線要塞基地にはオオサカ租界に負けず劣らずの性能を誇っているそれらには多数の砲台や対空戦車、ナイトメアやモビルスーツなどの機動兵器による部隊が配置されている。地上から攻めることも難しく、かといって空から攻めても十全に用意された対空防御の前に攻撃も侵入も許されず全て撃墜されてきた。
これによりこれまでオオサカ租界を取り戻そうと進軍を繰り返したレジスタンスや一部の日本解放戦線は外壁に辿り着く前に殲滅され、それらの出来事からオオサカ租界の守りと合わせて侵攻する側からすればこれらの要塞陣地も嫌がらせの如き地形と布陣であり、オオサカ租界の不敗神話を守り続けてきた。
そして今、新生ブリタニア・ユニオンが発足してからは、その新政権を嫌う旧ブリタニア・ユニオンの残党軍が各地から逃げ込んで籠城しており、天空大楼閣も含めたオオサカ租界と、その東、西、南にそれぞれ築かれた3つの山岳要塞を利用しての徹底抗戦を図っている。これにライは自らが管轄する第零騎士団、そして彼と同じ皇帝直属の騎士3人がそれぞれ管轄している第二機甲師団、第三機甲師団、第一混成師団、そしてルルーシュの親衛隊である深淵騎士団と連携する形で、難攻不落の要塞と名高いオオサカ租界を攻略すると宣言した。
「現在オオサカ租界内部にはコーネリア元皇女とその親衛隊、ヴィレッタ・ヌゥら純血派を中心とした反乱分子が、そしてそのオオサカ租界を守る3つの前線要塞基地にもかなりの戦力が揃っていることが密偵の報告から判明しております」
モニカはライからの報告に続く形でモニターを操作させるとそこには現在オオサカ租界を根城にしている反乱分子たちの中で優先排除目的であるコーネリア、ヴィレッタ、カーリー・ディゼル、イオク・クジャン、ジャスレイ・ドノミコルフ、ロード・ジブリールたちの顔写真が並ぶ。他にも厄介な敵としてダイヤモンドローズ騎士団やコーネリアの親衛隊、ジャスレイの側近、イオクに同行しているガエリオやジュリエッタなどのラスタルの配下などの顔写真が映っていた。
「今回の作戦目標は陛下の覇道を邪魔するコーネリア・リ・ブリタニアとヴィレッタ・ヌゥの2人の抹殺が最優先事項でありますが、カーリー・ディゼルを始めとした他の連中も可能な限りこのオオサカで始末したいところです」
モニカの言うように先に映された映像の人物たちは組織の代表であったり優秀な兵士または指揮官であるためにシュナイゼルたちとの最終決戦に向けてその数を減らすためにもこの戦いで始末しておきたいと誰もが思っているため、静かに同意するように頷く。それを確認してからモニカはモニターを操作してオオサカ租界の全体図とそこに青い光点として並べられた自軍の陣形を映し出す。モニカが光点のひとつひとつを指差しながら作戦内容を説明し始める。
「まず防衛の要となっている3つの要塞、茶臼山要塞をマリオとマーヤ。そして深淵騎士団からシュヴァルツ・ハーゼ隊が、道明寺要塞は私が率いる第三機甲師団と深淵騎士団からクレッセント・クーロン隊が、天王寺要塞はフォルネウス卿の第一機甲師団とミリアルド卿の第一混成師団で落としてもらいます」
モニカが要塞を落とす部隊を発表するが、名前が上がらなかった箒や楯無の部隊の団員たちや第零騎士団から不満の声が上がりかけたが、それを予想していたモニカはバンッ!と勢いよくテーブルを叩くことで黙らせる。
「静粛にっ、まだ話は終わっていません!!ライ卿と第零騎士団、深淵騎士団の桜花隊には3つの要塞を落とした後に攻めるオオサカ租界進軍の第一陣を担ってもらいます。ほかの部隊も要塞を攻め落とした後に補給を完了させ次第ライ卿たちと合流しオオサカ租界を落としてもらいます」
ルルーシュ皇帝軍の最強騎士であるライとその配下の第零騎士団と深淵騎士団の一部を温存する理由などを含め、細かい作戦内容をモニカが話し始める。
まず3つの要塞にそれぞれ部隊を分ける理由としては、茶臼山要塞にカーリーと黒の騎士団の零番隊、道明寺要塞にサリアたちダイヤモンドローズ騎士団、天王寺要塞にジャスレイとイオクがそれぞれの戦力を抱えていることが密偵からの報告で判明している。故にカーリーと零番隊と因縁のあるマリオ、マーヤ、シュヴァルツ・ハーゼ隊が茶臼山要塞を、機動力に優れているモニカの第三機甲師団とクレッセント・ムーン隊、そしてサリアたちと因縁のあるアンジュたちパラメイル部隊が道明寺要塞を、そしてナノラミネートアーマーのモビルスーツとロゴスから購入したモビルスーツやモビルアーマーを相手取るために同じナノラミネートアーマーモビルスーツを運用するアレンたち第一機甲師団とどんな機体でも対応できるようにミリアルドの第一混成師団、さらにジャスレイとイオクと因縁がある鉄華団とタービンズが相手取る形になった。
要塞から落とす理由としてはオオサカ租界攻略の際に後方からの襲撃を防ぐためなのと、外から囲むように攻撃を仕掛けることてコーネリアたちの逃走を防ぐ意図があった。ライたちを温存させるのはオオサカ租界攻略のためもあるが、零番隊やコーネリアたちを救助するためにZEXISやドライクロイツ、黒の騎士団、シュナイゼル軍などがやってくる可能性を考え彼らにはその襲撃に備えてもらう必要がある。
「───以上となります。各隊数時間後の進軍までに準備を整え休息を取りなさい。此度の戦いは来たる聖戦の前哨戦にすぎませんが、陛下の剣たる我らが無様な姿を晒すことなど決して許されません。その事を決して忘れないように」
『『『『『『『イエス・マイ・ロード』』』』』』』
モニカからの強い言葉にその場にいる全員が敬礼しながら応える。
────数時間後、堅牢な要塞都市であるオオサカ租界が炎によって包まれ大量の屍の山が築かれるのだった。
◆◆◆◆◆◆
────茶臼山要塞。山自体にかなりの大規模な改造が施されており、山の至る所にナイトメアやモビルスーツ、戦車などの兵器用出撃ハッチや対空固定砲台、巨大レールガンなど多種多様な武器が展開されていた。要塞自体もトーチカの機能を合わせ持った巨大な城壁とブレイズルミナスによる二重の防壁に守られ防壁の内側から絶え間なく降り注ぐ砲弾の嵐が迫る敵を阻もうとする。
『我らはルルーシュ皇帝と共にブリタニア・ユニオンと世界の浄化と再生を誓った存在!
『『『イエス・マイ・ロード!!』』』
ラウラが号令を下すと共にシュヴァルツ・ハーゼ隊の旗艦であるライノセラスからシュヴァルツ・ハーゼ隊のモビルスーツであるサーペント、ドライセン、ヒルドルブ改、ガザG、グスタフ・カール、ドーベンウルフ、ジンクスIV、ギラ・ドーガ重武装型などの重砲撃型のモビルスーツとジガンスパーダ、ヴァルシオーガ、グルンガスト肆式たち特機が次々と出撃を開始する。それに続く形でマリオとマーヤもルルーシュから与えられた旗艦であるアヴァロン級浮遊航空艦《グリーテン》から2人の新型ナイトメアを先頭に元黒の騎士団メンバー達によって結成された部隊《
最初に先端を切り開いたのはイーニァとクリスカ、ラウラだった。
『やろうクリスカ、お兄さんの邪魔になる敵を全部排除しよう・・・!!』
『ああわかっているよイーニァ。ルルーシュの敵は全て焼き付くそう・・・!!』
『陛下より与えられし我らの力の前にひれ伏すがいい!!』
イーニァとクリスカの大型モビルスーツ《パーフェクトジオング・SB》とラウラのガンダムヴァーチェ・レーゲンがそれぞれ空中から、両腕の指から放たれる《5連装メガ粒子砲》とGNバズーカ・バーストモードによる大火力による砲撃が放たれた。その砲撃は城壁の外で防衛に参加していた零番隊のモビルスーツ隊のジンクス、トーラス、バイアラン、ウィンダムたち30機近くを尽く粉砕し、機体がいた地面はあまりの高熱によって地面は融解していた。あまりの威力と一瞬にして味方が葬られたことに零番隊と防衛部隊が戦慄するが、戦場でそのような無様な隙を見せることの愚かさを彼らはすぐにその身を持って思い知らされる。
『奴らの命を狩りとれ、《ペルセウス》・・・!!』
『目の前の敵を貫け、《アキレウス》!!』
マリオとマーヤはそれぞれの新たな機体である第九世代KMF《ペルセウス》と《アキレウス》がそれぞれ黒紫と灰色の閃光となって空に軌跡を描きながら突き進む。ペルセウスはルルーシュが命名した死神の鎌《ハルパー》と、ナイトギガフォートレス形態のアキレウスは先端にルルーシュが命名した長重槍《グングニル》をそれぞれの近接武器を用いて空中部隊である暁、グロースター・エア、ヴィンセント・ウォード、バビ、シグー、ジンハイマニューバー2型たちを次々と撃墜していく。
『おのれ・・・!なんという化け物ども!!』
『怯むなー!!なんとしてでも我らが要塞を守れえぇっ!!』
ルルーシュが誇る親衛隊とそれに並ぶ騎士団たちによる猛攻を前に、気圧されながらも誇りと意地で、零番隊と防衛部隊は防衛線を維持し、渾身の迎撃を続ける。
しかしそんな彼らに対し、パーフェクトジオング・SB、ガンダムヴァーチェ・レーゲン、ペルセウス、アキレウス以外からも攻撃が怒涛の如く叩き込まれた。フィカーツィア・ラトロワのジンクスIV[A]、マーティカ・ビャーチェノワのアトラスガンダム、エウルア・ゼフィロスのシグルドリーヴァ、シノン・へカーティアのスールズを先頭にシュヴァルツ・ハーゼとヴィシャス・ヴォルフの機動兵器たちが空と地上からによる同時波状攻撃を前に防衛側は本陣である租界から部隊を応援として次々と回しながら迎撃を繰り返しつつ、連続での一時後退を余儀なくさせられた。前線部隊を各個撃破しながらの茶臼山要塞への肉薄と、要塞正面への到達と共に戦力を分散させての包囲の狙いは、ひとまず成果をあげつつあった。
『なんという強大さ・・・しかも多勢に無勢。これでは戦にならぬし、コーネリア皇女殿下を守ることもできん!』
『
ついに前線部隊を壊滅させられ、完全に包囲された防衛部隊は、すぐさま茶臼山要塞外郭部に設置したすべてのブレイズルミナス発生器を最大出力で展開して籠城を決め込む。 そして防衛部隊はシュナイゼル・ナナリー率いる旧皇帝派ブリタニア軍本隊への救援要請を通信で開始した。
『このままでは我々もブリタニア軍と共倒れになる・・・。かくなる上は、我々も本隊に応援を送るしかっ!!』
『日本解放を目前にして、我々はここで死ぬ訳にはいかない!援軍の到着まで、なんとしても耐え凌がねば!!』
黒の騎士団分隊も苦肉の策とばかりに、本隊への救難信号を送った。
『籠城戦か。確かにその要塞の防御力を活かすならばその手が最も有効と言えるだろう』
ラウラはガンダムヴァーチェ・レーゲンによるGNガトリングガンで防衛部隊のジンクス、ザウート、バクゥを粉砕しながらブレイズルミナスによって堅牢な守りを固めている茶臼山要塞に視線を向けるも、その表情はどこか余裕を見せていた。
『だがこの程度の連中に時間をかける気はない。ジャガーノートの主砲を起動させろ!!』
『『『イエス・マイロード』』』
ラウラが後方で待機している先日ルルーシュから与えられた超兵器の一つである大型陸上艦《ジャガーノート級超大型陸上艦》の主砲であるレールガン方式で弾頭を打ち出す8000mm列車砲《カグツチ》の起動を命じると数十秒後、山を二つ超えたほど遠くから放たれたというのにラウラたちのいる茶臼山要塞にまで轟音が鳴り響き零番隊と防衛部隊が動揺するのと、茶臼山要塞を守っていたブレイズルミナスにカグツチから放たれた砲弾が衝突しブレイズルミナスを破壊したのはほぼ同時であった。
『ば、馬鹿なっ!?』
『ブレイズルミナスをたった一撃で・・・!?』
零番隊と防衛部隊は目の前でブレイズルミナスが砕けた事実に唖然とするも、戦場でそのような間抜け面を晒すような愚者が生き残れる訳もなく、ブレイズルミナスが破壊されて再構築される間に内部に侵入したシャルロットのガンダムキュリオス・エクレールと4機のジンクスIVから放たれたGNミサイルの嵐によってブレイズルミナス発生機構と共に爆散した。
ブレイズルミナス発生機構が一部破壊されたことにより要塞の防壁に穴が空いた。それを見逃す訳もなくマリオとマーヤを先頭に次々と要塞に侵入しては敵機を破壊しながら防衛設備を破壊する。一度穴が空いてしまえばそれを防ぐことは難しく容易く茶臼山要塞内部にいた零番隊と防衛部隊は次々とその命を刈り取られていた。
『くっ!こんなところでくたばってたまるかっ!!各機、防衛線をしきながら後退しろ!!まだ生き残っている防衛設備を利用して本隊が来るまで何としても耐えるんだ!!』
零番隊の部隊長の1人である相良二尉は鳴月の廻転刃刀で迫るヴィシャスヴォルフの暁改を袈裟斬りして爆散させながら左腕のハンドガンで敵機の接近を防ぐように牽制しながらまだ生き残っている零番隊に声をかける。応答はまだないが彼らは同じ志を持つ黒の騎士団が、自分たちの信じる隊長である紅月カレンならきっと助けに来てくれるはずだと心から信じていた。故に相良二尉の言葉に反応した零番隊のメンバーはカレンたちの到着を信じて必死に抵抗を続ける。
──────既に扇たち本隊が零番隊を見捨て、来たるルルーシュたちとの最終決戦の舞台である富士山に向けて全部隊を進行させていることを知らずに彼らは来ない援軍をその命が尽きるまで無駄に待ってしまうのだった。
◆◆◆◆◆
(どこだ、あの女はどこにいる・・・)
零番隊の暁5機を引き潰しながら空を魔弾のように飛び続けるアキレウスの中でマーヤは自分と兄であるマリオにとって両親と妹の仇にしてこれまで何度も苦しめてきた怨敵である女、カーリー・ディゼルを探していた。要塞に侵入したマーヤだが今のところ遭遇している敵は今のところ有象無象としか遭遇できないでいた。
マーヤはカーリーもまた自分たちの命を狙っていることを理解しているため周囲の警戒を怠ってはいないもののあまりに動きを見せないため本当にこの要塞にカーリーがいるのか?と疑念を抱き始めたその時だった。正面から強烈なプレッシャーを感じたマーヤは己の直感に従いアキレウスを上昇させる。アキレウスの背後から強襲を仕掛けようとした防衛部隊のグロースター・エア2機、ヴィンセント・ウォード3機、ディン6機、零番隊の暁4機、エアリーズ2機、ヘリオン5機はマーヤの突然の行動に動揺するが、そんな彼らを無情にも茶臼山要塞から放たれた光の雨が機体を貫きそのまま機体は爆散した。
『ムーナ隊長!?』
『なんだ今の攻撃は!?何故味方である我々まで攻撃を・・・!?』
目の前で仲間がやられたことに防衛部隊と零番隊の面々は動揺し動きを止める中、マーヤは茶臼山要塞から放たれた光の発射先を睨む。
「《拡散構造相転移砲台》・・・!ルルーシュの機体である蜃気楼に搭載された兵器の独立武装化に成功していただなんて・・・!!」
マーヤは眼科で独立武装化された蜃気楼の主砲による光の雨に次々と貫かれ、爆発炎上して倒れていく暁やヴィンセント・ウォードなど零番隊と防衛部隊の機動兵器たちを見て、マーヤは驚きと怒りと焦りに歯を噛み鳴らした。
『─────ふふっ、ようやく見つけたわ。私の可愛い
その声が聞こえた瞬間、マーヤはアキレウスの全身をブレイズルミナスで覆わせようとしたが、それよりも先にアキレウスの増加装甲の右側を対ナイトメア専用大型ランスが貫く。
『ちぃっ・・・!!』
マーヤは舌打ち混じりに今にも誘爆しそうな増加装甲をパージすると後方に下がる。それと同時に増加装甲が増加ブースターごと爆発しその爆煙の中からナイトギガフォートレス形態からナイトメアフレーム形態に変形したアキレウスガ姿を現し、主武装であるグングニルを背中に背負い、代わりに両腕の大盾内蔵式大型MVS《ティルフィング》を構えながら目の前の敵───マーヤとマリオにとって怨敵であるカーリー・ディゼルと彼女の愛機であるマグダラを睨む。
『あらあら。今度の|機体《おもちゃ)は今までのよりも楽しませてくれそうじゃない』
『カーリー・・・っ!!』
マグダラのコックピットの中から聞こえてきた嬉しそうなカーリーの声を聞き、マーヤは操縦桿を強く握りながら目の前の怨敵を睨む。今にも飛びかかりたいのを必死に押えながらマーヤは敵の増援が居ないか周囲に目を光らせる。マーヤとカーリーの間にしばしの沈黙が流れたが、それは第三者によって破られた。
『先程の攻撃はどういうつもりかカーリー卿!!味方である我々まで巻き込むとは!!』
カーリーにそうくってかかったのはアヘッドを操る防衛部隊の指揮官であるマーグ・フルフェント男爵。彼の背後には5機のジンクスIII、エンプラスが待機しておりカーリーの問答次第ではすぐさま攻撃ができるようにその銃口をマグダラに向けていた。それをカーリーは煩わしそうに舌打ちする。
『鬱陶しいサルの分際で、私と私の可愛い甥っ子との楽しい団欒を邪魔しないでもらおうかしら?』
カーリーは苛立ちながらそう吐き捨てながらコンソールを操作して要塞に保管してあった
『カーリー卿!!何故応答しない!!もしそちらに反逆の意思があると言うのなら────』
しかしフルフェント卿が再度通告を言い終えるよりも前にアヘッドの胴体を巨大な刃が貫き、フルフェント卿は何が起こったのかも分からず絶命した。
『ふ、フルフェント卿!?』
『おのれ血迷ったかカーリー卿!!』
フルフェント卿の側近が真っ先に反応するとカーリーを仕留めるべくジンクスIIIをマグダラに向けて飛ばそうとするが、それを妨害するように巨大な刃に貫かれているフルフェント卿のアヘッドがジンクスIIIたちの前に投げ飛ばされると同時にそれは地面を砕きながら現れた。
『グオォォォォォォッ!!!!』
それは西洋のドラゴンを思わせる漆黒の巨竜のモビルアーマー《ワイバーン・レギオン》。かつてオルガ・イツカたち鉄華団の世界にて猛威を奮っていたモビルアーマーに対抗すべく人類が新たに生み出した機械仕掛けの化け物《キマイラシリーズ》の1体であり、本来ならば人類の守護者として運用されるはずだったそれらはモビルアーマーたちに搭載されている人類抹殺指令と開発者たちがプログラミングしたモビルアーマー殲滅の指令が混ざり合い、その結果人類とモビルアーマーのどちらも殲滅するべく行動する制御不能の怪物となってしまった。
厄祭戦にて破壊されたその機体が、時空と時を超えてエンブリヲの手によって蘇り、今こうしてカーリーの忠実な下僕として再び人類に牙を向こうとしていた。
『さぁ暴れなさいワイバーン・レギオン。私と私の可愛い甥っ子たちの
カーリーはそれだけワイバーン・レギオンに指示を出すとすぐにマーヤのアキレウスに向かって機体を飛ばす。マーヤもそれに対応すべくアキレウスの両手に装備しているティルフィングを構え直すと、マグダラに向けて斬りかかるが、マグダラはそれを左肩装甲に内蔵されている隠しブレード《ポーニングブレード》を受け止める。
『カーリー・ディゼル!!やはりお前の存在は許されない・・・!!』
眼科でワイバーン・レギオンによって敵味方関係なく襲う姿を見ながらマーヤはマグダラを強く睨みながら攻撃を続ける。アキレウスのティルフィングによる叩きつけるような斬撃をマグダラはポーニングブレードで受け流しながら右腕の電磁クローアーム《ハートブレイカー》による突きでアキレウスの装甲を削る。
『くっ・・・!?』
『許さない?許さないのはこちらの台詞よ。あれだけ可愛がってあげたのに私の元じゃなくてあんな小僧の元に行くだなんて、ね!!』
カーリーはそう叫びながらハートブレイカーの鉄杭が放たれ、アキレウスの右腕のティルフィングの装甲が弾け飛ぶ。だがそれに負けじとマーヤもアキレウスの右腕のティルフィングの刃をマグダラの右肩に叩きつけることで右肩装甲を破壊する。
『所詮は皇族争いに負けた負け犬の皇子!!今更表舞台に立ったところでなんの意味もない!!そんな負け犬の傍にいたらあなたたちまでダメになっちゃうわよ?』
『っ!!だまれぇっ!!』
ルルーシュを侮辱されたことに頭に血が上ってしまったマーヤは叫びながらティルフィングの刃をマグダラに振り下ろすも怒りに任せた大振りの斬撃がマグダラに当たる訳もなく、マグダラはバックステップで斬撃をかわすとポーニングブレードでアキレウスの両腕の装甲ごとティルフィングを斬り飛ばされてしまう。
『ほらほら、怒りと焦りは戦いには禁物だって言ってるでしょ? すぐに隙ができちゃう・・・ほらっ!!』
カーリーはさらに追撃を仕掛けるべくハートブレイカーを振り下ろし、アキレウスに強烈な一撃を叩き込み右肩部の装甲が凹んでしまった。
『ちっ・・・!!』
『ほらねぇ?いつもの冷静さがあれば、フェイントだってわかったでしょうに』
マーヤは舌打ちを鳴らしながら背中に装備しているグングニルを手に取り構えようとするが、それを許すカーリーではなく動きが鈍ったアキレウスに対してスラッシュハーケンを放つと右腕と左足を拘束する。
『また焦ってらしくない終わり方をしてしまう前に、私が先に決めてあげる』
スラッシュハーケンを巻き戻してアキレウスとの距離を詰めながらアキレウスの胴体にハートブレイカーによる一撃を叩き込もうとする。マーヤはアキレウスのグングニルで防ごうとするもマグダラのスラッシュハーケンが絡まっているため動きが鈍ってしまい防御が間に合わず、マグダラのハートブレイカーの一撃がアキレウスのコックピットを貫くとそう思った瞬間、マグダラとアキレウスの間を遮るように斬撃が振り下ろされ、マグダラはその斬撃を交わすためにアキレウスに刺していたスラッシュハーケンを外し、アキレウスの胴体を蹴り飛ばすことで距離をとることに成功し斬撃をかわす。
『あら、そういえばあなたもこの戦場にいたわね。私のもう1人の可愛い
カーリーは一瞬マーヤとの戦いの邪魔をした存在に対して不快げに睨むもその姿を確認するとそんな気持ちは邪魔した存在を見て消え去り、それどころかカーリーの心は歓喜に包まれていた。カーリーの視線の先にはアキレウスを庇うように鎌型MVS《ハルパー》の刃をマグダラに向けて構えている黒紫の機体《ペルセウス》が立っていた。
『兄さん・・・』
マーヤは目の前にいる兄・マリオとペルセウスの姿を見て手助けさせてしまったことへの申し訳なさとルルーシュの騎士として無様な姿を晒していたことに対する自らの不甲斐なさによる怒りによって顔を顰めていた。そんなマーヤの心情を理解しつつもマリオは今自分たちが何をすべきか冷静に判断を下しマーヤに命令する。
『マーヤ、この女の相手は俺がする。お前は下で暴れているトカゲを始末してこい』
『私はまだ・・・!!』
『目的を履き違えるな。この女は確かに俺たちにとって因縁深い奴だ。だが今の俺たちのやるべきことはこの女を殺すことだけじゃない』
『・・・・・・』
今茶臼山要塞の中でワイバーン・レギオンが敵味方関係なく暴れ回っている。ラウラやシャルロットたちも部下たちと共にワイバーン・レギオンに攻撃を仕掛けているが、ナノラミネートアーマーによってビームを弾かれ実弾もPS装甲によって防がれてしまっていた。故にラウラたちは攻撃を仕掛けて装甲を削る方向でワイバーン・レギオンの攻撃を避けながら攻撃をし続けていた。だが流石は厄祭戦時代に猛威を奮っていたキマイラシリーズの1体。その頑強な装甲で攻撃を受けながら殺戮を続けていた。このままの調子では勝てたとしてもこちら側にかなりの被害が出てしまい、それは来るべきフジの決戦に向けて戦力を揃えているこちら側としてはそれは避けるべき事態でありそれを避けるためにマーヤにラウラたちの援護するようマリオは指示を出す。
『・・・任せていいのね?』
『無論だ。コイツはこの場で殺す』
『・・・お願いね兄さん』
マーヤは確認するようにマリオに尋ねるとそれに対してマリオは即答する。それを確認したマーヤは己の手でカーリーを始末できなかったことに悔しさを隠さないものの今自分がすべきことを理解しているのかカーリーの始末をマリオに託すとワイバーン・レギオンに向けてアキレウスを飛ばす。
『あら?2人で挑まないのかしら。私は2人がかりでも問題ないのだけれど』
『お前ごとき俺一人で十分だ』
カーリーはマーヤが去っていくのを見てつまらなそうに呟きながらマリオに話しかけるもマリオはそれに対して適当に返す。
『釣れないわねえ。いいわ、その生意気な態度も合わせて私直々に躾なおしてあげるわ』
「やれるものならやってみろ」
カーリーとマリオが短いながらも言葉をかわし、近くの建物から瓦礫が落ち地面に落ちたのを合図にマグダラとペルセウスを機体を飛ばし互いの獲物をぶつけ合う。
自分たちから多くのものを奪ってきたブリタニアに対して復讐を誓った狂犬と自らの愛は間違っておらずそれこそが真の幸せだと相手に押付けることしかしない金カザリ。因縁深き両者はこのオオサカの地にて決着をつけるべくその牙をぶつけ合う。
◆◆◆◆◆◆
茶臼山要塞が襲撃を受けているのと同じ頃、他の防衛施設である同明寺要塞と天王寺要塞もまた襲撃を受けていた。その一つである道明寺要塞を守護を担う防衛部隊の中で主力として期待されていたエリア11・キュウシュウブロックでイレブンたちに悪辣非道を尽くしていた第11皇女フェルマル・ドゥ・ブリタニア、その婚約者ハーレン・シュニエル、第6皇子ベルエル・ガル・ブリタニア、その婚約者ミュラー・ニュクスを中心に彼女らに付き従うブリタニア軍兵士たちとエンブリヲが用意したダイヤモンドローズ騎士団と大量のモビルドールたちが進行してくるルルーシュ皇帝軍の第三機甲師団とクレッセント・クーロン隊を相手に抵抗するがその圧倒的な戦力差に今にも押しつぶされそうになっていた。
『くそっ!!反逆者風情が調子乗ってんじゃ、ねぇ!!』
ハーレンは搭乗機であるルルーシュ皇帝軍にて開発されていた指揮官機用にカスタムされたゲシュペンスト・Mark-IIIタイプSを用いて襲撃を仕掛けてくるサザーランドIIとクインローゼスの銃撃をかわしながらビームサーベルを振り下ろし、2機を両断して破壊する。だがその穴埋めをするかのようにサザーランドIIとクインローゼス、ガムテンによる新型量産ナイトメアたちの集団が次々とハーレンたちに攻撃を仕掛け、それによってハーレンの取り巻きのガムテン、サザーランド、ヴィンセント・ウォード計八機が撃破された。
『クソがぁっ!!』
強者である自分たちが追い詰められているという事実を認められないハーレンは怒りで額に青筋を浮かべながら迫り来るサザーランドIIたちをビームサーベルとライフルを取り回して撃破していく。明らかに苛立っているのを感じられるほどその動きには雑さが見えた。そしてそんな隙だらけの姿を見逃すものはここにはいない。
『─────戦場で冷静さを失ったものに勝利は無い』
「あぁっ!?がっ──!?」
突然オープンチャンネル越しに聞こえた淡々とした声にハーレンは苛立ちが混ざった怒鳴り声を上げようとしたが、突如襲ってきた強い衝撃によって顔と体を勢いよくコックピットの至る所にぶつけ顔や身体の至る所に青痣を作り鼻血を垂らしてしまう。ハーレンは誇り高きブリタニア貴族である自分を足蹴にした無礼者の姿を確認すべくモニターを睨む。
『ハーレン・シュニエル。己の自虐心を満たすためだけに多くの日本人を虐殺してきた罪、今ここで貴様の命を持って償わせよう』
そう氷のように冷たい声音で告げたのはハーレンが乗るゲシュペンスト・Mark-IIIタイプSと同じルルーシュ皇帝軍の指揮官機として開発された漆黒のナイトメア《コルニクス》を操る、かつてモニカの配下にしてロイヤルガードのエースパイロットを務める英傑の1人、ギラン・マクスウェル。ギランはコルニクスの両腰に帯刀している双剣型のMVSを構えるとゲシュペンストMark-IIIタイプSに斬り掛かる。それをハーレンはビームサーベルで受け流しなが左腕の三本の電極《ボルテックス・ステーク》に電撃を流し、コルニクスの胴体に突き刺そうと左拳を伸ばすがその拳がコルニクスに届くよりも先にコルニクスの両肩の触手状の計6本のハドロン砲の先端から放たれるハドロンスピアーによって左腕を焼き落とす。
『このっ!?』
『終わりだ』
ハーレンは左腕を落とされながらも抵抗しようと腰にマウントしているバーストライフルを取ってコルニクスに対して照準を合わせようとしたが、それよりも先にコルニクスは両腕部にブレイズルミナスを纏わせるとゲシュペンストMark-IIIタイプSの胴体を貫き、ハーレンの身体をコックピットごと押し潰した。
「ごぷぁ・・・(何故だ・・・何故誇り高きブリタニア貴族である私がこのような裏切り者に殺されるなど・・・)」
ハーレンは下半身を完全に潰され、上半身も計器などの部品が刺さった血まみれ状態で血反吐を吐きながら自らの死を認めず意識が無くなるまでの間、こちらを見下ろすコルニクスに睨んでいた。
『こちらギラン小隊。主力の一つであるハーレン・シュニエルの始末を完了した。これより奪われた機体を回収しつつ敵戦力の殲滅を続ける』
『了解しました。回収部隊を派遣しますので貴官らはそのまま愚かな反逆者たちの殲滅を続けてください』
『承知した。我々はこのまま偉大なる皇帝陛下の慈悲を理解せず愚かにも刃を向けた肥太った豚共の駆除を続けさせてもらう』
ギランは後方で待機している第三機甲師団の母艦であるアヴァロン級浮遊航空艦《ウェールズ》のオペレーターからの指示を聞くとこちらに向かってくる回収部隊を確認するとガムテン、サザーランドII、クインローゼス、ヴィンセント・ロイヤルガードたちナイトメア部隊を引き連れて道明寺要塞の中心部へと進行する。それはギランだけでなく彼と同じく元ロイヤルガードにしてモニカに付き従いルルーシュを
『各機そのまま砲撃を続けろ!!溝鼠どもに皇帝陛下に逆らった愚かさをその身を持って味わわせろ!!』
『『『『『イエス・マイロード!!』』』』』
剣戟仕様にカスタマイズされた《クインローゼス・カスタム》を操る女傑フェリシア・アルレッキーノが大型キャノンを構えるサザーランド、グロースター、ヴィンセント、ガムテンによる一斉砲撃が砦を盾にたてこもる防衛部隊のザウート、ザクII、ティエレン、ガンタンクIIたちを襲う。
『進め!!誇り高きブリタニアの騎士として、その真の姿を堕落に落ちた
身の丈ほどある巨大な戦斧を巧みに扱い、武器を構えて攻撃してくるサザーランド、グロースター、ダガーLたちを両断する重装甲の《ヴィンセント・アームズ》を操る野獣のような大男アドウ・サージェルスは重武装に固めているサザーランド・アームド、グロースター・アームド、ヴィンセント・ウォードたちを引き連れながら突き進む。
『英雄たちよ、我らが王のためにその身を粉にして戦うが良い』
タワーシルドを構えるヴィンセント・ウォード、クインローゼスを引連れながら近接武装も使用できるようにカスタマイズされた《ガレス・ヒュドラ》を操る女傑カルカ・べサールスが両腕から発生させたハドロンブレードでガブスレイ、ネモIIIのコックピットを貫く。
『ギャハハハハハ!!テメェらみたいな威張ることしか能のない
獰猛な笑みを浮かべながら犬歯を剥き出しにする少年アイク・ミシュテイルスはスパイク付きのナックルガードを装備した《サザーランド・ブレイク》でディジェ、ヴィンセント・ウォード、リック・ディアスのコックピットを的確に殴り潰しながら打ち漏らしの敵を上空からサザーランド・イカロス、ヴィンセント・ウォード、ガレスによる航空部隊が殲滅すべく銃砲撃の嵐を繰り出す。
『偉大なる皇帝ルルーシュ陛下・・・御身の名のもとに逆賊共に正義の鉄槌を下します』
重装甲の戦車モドキのナイトギガフォートレス《デスペラード》を操る女傑ミリーナ・セイントスは人型の上半身の両腕に握らせている4連装グレネードキャノンと両肩部のミサイルポッドによる斉射とそれを援護するようにガレス、カーペンタリー、サザーランドIIたちによる砲撃で要塞の防衛施設ごとその近くにいたティエレン、ゲルズゲー、ウィンダムたちを爆砕していく。
5人の聖騎士を筆頭に純白の聖騎士団は皇帝に使える忠実な騎士としてその勤めを果たすべく愚かな反逆者たちに鉄槌を下していく。そこにかつての仲間への慈悲も情けもなく、己が騎士道に従い敵を打ち滅ぼさんとしていた。そしてそれは彼らを付き従わせている者、モニカ・クルシェフスキーにも言えたことだった。
『・・・1度だけ言いましょう。今すぐ武器を捨てて投稿しなさい。そうすれば命だけは保証しましょう』
モニカは《
それに対してフェルマルは自らの愛機である緑のカラーリングのギャプラン、ベルマルは高機動型ガルバルディα、ミュラーはベルガ・ダラスの武器をそれぞれ構えながらモニカに対して怒りに任せて怒鳴る。
『巫山戯るなっ!! わたしたちのお父様にラウンズの誰よりも忠誠を誓いながら、お父様に後ろ足で砂をかけた裏切りの騎士の分際で・・・調子に乗らないでよね!!』
『父上の期待を裏切ったクソアマがっ!!ルルーシュに媚び売ってまでその地位に縋る売女の分際で俺たちに偉そうな態度を取るんじゃねぇよ!!』
『所詮剣を振るしか脳の無い女。我ら誇り高きブリタニアの尊さすら理解出来ぬ蛮族ね!!』
フェルマルたちはそうモニカを侮蔑するように叫ぶと同時にギャプランと高機動型ガルバルディαはビームサーベルを、ベルガ・ダラスはショットランサーを構えてフローレンス・フィオーレに対して斬り掛かるがそれに対してモニカはルルーシュから命名された赤黒い大剣《グラム》で切り払い、それと同時に両肩のハドロン砲《ハドロンバレット》から繰り出すハドロンスピアーでギャプランとベルガ・ダラスの肩部の装甲を溶解させた。
『このぉ!!』
機体に傷をつけられたことで頭に血が登ったフェルマルはギャプランの両腕のムーバブル・シールドを構えてビームを放ち、それに続くように高機動型ガルバルディαはビームライフルを、ベルガ・ダラスはショットランサーからヘビーマシンガンの銃弾、さらにフェルマルたちの配下の騎士たちが操るマラサイ、バーザム、アッシマー、リゲルグ、ガルスJ、バウたちがビームライフルによる一斉射撃をモニカとフローレンス・フィオーレに向けて放つ。
『所詮自らの力ではなく与えられた力で威張ることしか能のない小物・・・。口を動かすのではなく手を動かして私の首を獲りにきたらどうかしら?』
モニカはフェルマルたち見下すように冷淡な声でそう告げた後、フローレンス・フィオーレを後退させグラムを上段に構える。
『ほざけ!この裏切り者がっ!!』
『調子に乗ってんじゃねぇよこのクソ売女が!!』
その挑発に乗って、フェルマルとベルマルも勢いよく踏み込んだ。通常の機体に比べて専用にカスタマイズされているだけあって、2人のモビルスーツは規格外と言っていいほどに速かった。しかし────。
『────ハアアァァッ!!!』
剣士が居合を放つ際に出すそれと同じ、より鋭く力強いモニカの裂帛。
フローレンス・フィオーレがグラムを勢いよく振り下ろすと同時に赤黒いエネルギーが混ざった閃光が斬撃の衝撃波のように迸る。
さらにそのパワーとスピードは、フェルマルとベルマルの動体視力、ギャプランと高機動型ガルバルディαのオートターゲットも含めた視認機能を凌駕した。
『あ・・・?』
『は────』
気がつけば、ビームサーベルと一緒にギャプランの両腕が消えて、さらに高機動型ガルバルディαごとベルマルが薙ぎ払う軌道で貫かれ、叩き斬られていたのだ。
『う、うわあああああ・・・!?』
タッチの差でベルマルを巻き込んで高機動型ガルバルディαが爆散したのに合わせる形で、フェルマルが跡形もなくなった自らのギャプランの両腕を見て悲鳴をあげた。
『所詮は部下に守られ安全な場所でしか力を振るえない脆弱者・・・。あなた方の誇りは霞よりも軽いものですね』
高機動型ガルバルディαを切り捨てたことでこびりついたオイルを薙ぎ払うことで拭い捨てながら両腕を失ったギャプランにゆっくりと接近する。
『さあ、命が惜しければ大人しく投降しなさい・・・それとも、ここで賊徒の汚名を背負ったまま果てたい?』
「・・・は、はんっ・・・。舐めてくれるじゃない、モニカ・クルシェフスキー・・・」
メインモニター越しに突きつけられたグラムを見て、フェルマルは芯から震え上がったが、最後の悪あがきとばかりに背筋を伸ばした。
「死んでも言うもんかぁ・・・!腐っても私は、ブリタニアの皇女なんだぁっ!!」
そう叫んで、フェルマルが残った兵装であるムーバブル・シールドの銃口をフローレンス・フィオーレに向けようとする。
しかし、そんなものがラウンズの時よりも、そして極限まで研ぎ澄まされたモニカに通じるはずもなかった。
『所詮はシャルル・ジ・ブリタニアと同じ平和を乱す畜生・・・。地獄でその罪を贖うといい』
絶対零度の声で死刑宣告をした後、モニカとフローレンス・フィオーレは、ビームライフルが放たれるよりも早くギャプランに袈裟懸けの斬撃を振るう。
「く・・・くそおおおぉぉぉぁぁぁあああっ・・・!!!」
フェルマル・ドゥ・ブリタニアは、弟ベルマルと同じく最後まで自分の敗北と非を認めることもないまま、ギャプランごと袈裟で一刀両断され、爆炎に呑まれて散っていった。
『う、嘘・・・私たちが裏切り者に負けるだなんて・・・』
フェルマルとベルマルが一瞬にしてその命を散らしたという事実にミュラーは顔を青ざめさせながら恐怖で奥歯をガチガチとならせていた。しかしそのような明らかな隙を見逃すほどモニカは甘くなく、フローレンス・フィオーレのカメラアイを輝かせ機体を一気に加速するとベルガ・ダラスへと接近しながらグラムを振りかぶる。
『あ、アァァァァァァっ!?』
恐怖で錯乱したミュラーは武器を捨てなりふり構わずモニカから背を向けて逃げ出そうとするも間に合わず、フローレンス・フィオーレのグラムによって胴体を両断され上半身と下半身に別れながらミュラーは恐怖に引き攣った顔のまま機体の爆発に巻き込まれてその体を消し炭にした。
『そ、そんな・・・フェルマル皇女たちが・・・』
『これが《神殺の英傑》の力・・・』
『か、勝てるわけが無い!!』
フェルマルたちが一瞬にして敗北したことにより彼女達の配下である騎士たちはモニカの圧倒的な強さに恐れ、彼女達の断罪の刃から逃げるように闇雲に逃げ出そうと行動するものまで現れていた。当然、そのようなことが許される訳もなくモニカは容赦なく配下たちに敵対した存在全ての殲滅を命じる。
『この拠点に厄介な敵は残りはダイヤモンドローズ騎士団のみ。アンジュ、あなたたちに任せますよ』
モニカは離れた場所で戦っているであろうアンジュたちのことを思いながらもルルーシュに歯向かう愚かな反逆者たちの征伐に取り掛かった。
──────皇帝への秘めたる想いを隠しながらもブリタニアの騎士としてその使命を果たすべくその刃を振るうのだった。
◆◆◆◆◆◆◆
「──────では予定通り我らはZEXISとドライクロイツが現れたら攻撃を仕掛けるでよろしいかな?」
『えぇ。黒の騎士団本隊は動かないでしょうが、お人好しのZEXISとドライクロイツなら生き残りの黒の騎士団の残党を救いに行動するでしょう。そのスキをついて彼らに攻撃を仕掛けて欲しいとシュナイゼル殿下の依頼です』
ファウンデーション王国の王宮の広間にて、宰相であるオルフェはシュナイゼルの側近であるカノンからZEXISとドライクロイツへの襲撃を依頼されていた。あと数日でルルーシュ皇帝軍との決戦を控えているため横槍を入れる可能性があるZEXISとドライクロイツの戦力を少しでも削るためにファウンデーション王国に協力要請を依頼したのだった。
「それでコーネリア皇女殿下たちへの援護は本当に必要ないのですね?」
『・・・問題ないわ。それは別部隊が行うからあなたたちはZEXISとドライクロイツの方に集中してくれればいいわ』
オルフェはカノンに対して確認するようにコーネリアを始めとした現在オオサカ租界でライ率いる新生ブリタニア軍と戦闘を行なっている部隊を助けるのか確認するが、カノンは一瞬歯切れの悪そうにしつつも問題ないと答える。それに対してオルフェは何も言うことなく応答する。
『・・・それではZEXISとドライクロイツの対応はそちらにお任せしますね』
『了解しました。それでは吉報をお待ちください』
カノンはそう告げると通信を切った。映像が消えたのを確認するとオルフェはカノンに対して浮かべていた笑みを消して他者を見下すような顔を浮かべる。
「───旧人類風情が、新人類である我らアコードに対してあのような態度を取るとはなんと無礼な」
自分たちこそが人類を導く優れた存在であると信じて疑わないオルフェにとってナチュラルやコーディネーター、そして不遜にもオルフェたちアコードたちと同じく人類を導く存在と嘯くイノベイターなどの下等種族は虫酸の走る存在でしかない。故にオルフェやアウラたちはフジの決戦の勝敗が着き次第、弱まった勢力に対してファウンデーション王国の全戦力を用いて殲滅し世界にアコードこそが人類の導き手と知らしめようと考えていた。
「わかっているなシュラ。お前とブラックナイトはZEXISとドライクロイツを始末しろ。あんな劣等種共アコードであるお前たちならば容易く捻り潰せるだろう」
「了解した」
「間違っても先日のような無様を晒すなよ」
「・・・・・・」
オルフェは近くに控えているファウンデーション王国の親衛隊《ブラックナイト》の親衛隊隊長であるシュラ・サーペンスタインに対してZEXISとドライクロイツの殲滅を命じる。それに対してシュラは忠実に答えるがオルフェはどこかそんなシュラを見下していた。シュナイゼルと同盟を結ぶ前、ファウンデーション王国とルルーシュの新生ブリタニア・ユニオンが会談を開いたことがあるのだが、その際に親善試合としてシュラはライとサーベルによる実剣を用いた決闘とモビルスーツを用いた決闘を行ったが結果はどちらもシュラの惨敗で終わってしまった。
それによってシュラはアウラやオルフェだけでなく部下であるグリフィンたちからも見下されるようになっていた。
「今回は私も出る。リボンズ・アルマークとの取引で得た擬似太陽炉を搭載した我らの機体の実験相手にZEXISとドライクロイツは丁度いい」
「ああ・・・」
オルフェはシュラにそう一方的に告げ、それを聞き終えたシュラは広間から退出する。そして周囲に人がいないのを確認すると能面のような表情を崩し、苛立ち混じりの顔になって愚痴を吐き始めた。
「────
シュラにとって最強の戦士になることはアコードの使命として与えられた役目であるから目指すのではなく、自らの意思でその力を得たいと願っているものだ。故に役目を押し付けるアウラも自分たちの与えられた力に溺れその力を伸ばすことすらしないオルフェたちはシュラにとって嫌悪の対象でしかなかった。
「───おやおや。ご機嫌ななめだねシュラ」
「姉上」
オルフェや無能な部下たちに対して苛立ちを隠せないでいるシュラに声をかけたのは長い銀髪の美女《ココ・サーペンスタイン》。シュラはココの姿を確認すると苛立ちの表情を消して笑みを浮かべる。ココもまたアコードの1人にしてブラックナイトの一員であるが主な役割はモビルスーツを始めとした兵器や武器の管理をする武器商人として働いている。シュラにとってココは血の繋がりだけでなく信頼できる人物として慕っており、彼女のおかげでシュラはアコードの力に溺れなかったと言っても過言ではない。
「オルフェの方は例のお姫様とスーパーコーディネーターくんにご執心みたいだけどシュラは誰か気になる相手はいるのかな?」
ココはシュラにそう尋ねるが、彼女自身はシュラがなんと答えるのか予想出来ているのか笑みを浮かべていた。
「無論全てです。アコードもイノベイターもスーパーコーディネーターも関係ありません。私にとって強者は全て己が糧として喰らい、最強の戦士になるための踏み台でしかないのですから」
ココの言葉に対してシュラはそれにフッと笑みを浮かべたと思うとすぐに獰猛な笑みを浮かべる。その答えに満足したココは三日月のように口を開き笑みを浮かべる。
「相変わらずだねシュラ。まぁそのための舞台と私たちのための準備はそろそろ整うから楽しみにしていなさい」
「えぇそのつもりです」
ココとシュラはそう言いながら互いに笑みを浮かべていた。世界の主導権を握るべく暗躍しているファウンデーション王国の中でシュラとココを始めとした一部の人間たちはその定められた使命とはかけ離れた己が求める未来のために行動し始めようとしていた。
────2人の帯刀しているサーベルの柄にはギアスの紋章が刻まれていることを、2人の同盟者以外知らないことであった。
あとがき
今回はオリジナル編であるオオサカ租界編の開幕となりました。本格的な戦闘はこれからになり多くの勢力がそれぞれの思惑を持って戦闘するために混沌となるかもしれませんが、フジの決戦に比べたらまだマシになると思いたい。カーリーやダイヤモンドローズ騎士団との戦闘は次回から本格的になりますが最後の1つの要塞である天王寺要塞での戦闘は一方的な鏖殺になる可能性があります。ケツアゴとたわけは徹底的に叩きのめして絶望させてから死んでもらいたいなと個人的に思ってます。最後のシュラですが彼は本編のなんちゃって武人気取りとは異なり今作で最強の戦士の地位をひたすら求める武人キャラにしました。なので自らの力で手に入れたわけでもなく与えられた力で胡座をかいているだけのほかのアコードを見下している。それではまだまだオオサカ租界での戦闘は続きますのでどうかよろしくお願いします!!