スーパーロボット大戦Z 魔王の降臨   作:有頂天皇帝

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まえがき
今回は三つの要塞での戦闘の中盤になります。オリジナル機の登場などありますがどうかよろしくお願いします。奪還のロゼ見ましたが来月でもう最終章とは時間が経つのはあっという間ですよね・・・




第十二話 要塞での戦闘

ライたち新生ブリタニア皇帝軍がオオサカ租界へと侵攻し3つの要塞を攻め落とすべく攻撃を開始する数時間前。ヨコハマゲットーの地下にある旧日本解放戦線が使用していた戦艦ドックを改修した黒の騎士団のアジトの執務室にて扇とカレンが激しい言い争いをしていた。

 

一時間前、西日本の中心部であるオオサカ租界と、オオサカ租界の中心部にハコダテ租界の中心に聳え立つ、総督府という名のブリタニアの支配の象徴として生まれ変わった高天神城改め《天空大楼閣(ヘブンズハイパレス)》に、ゼフィロス空軍基地を始めとした新生ブリタニア軍によって壊滅させられてきた基地や租界などから敗走してきた旧皇帝派のブリタニア軍と地球連邦の残党部隊、はては同じく浅間山から敗走し、本隊と逸れて流れ着いた黒の騎士団の分隊が集結・結託し、ゼフィロス空軍基地の旧皇帝派と浅間山での旧日本解放戦線殲滅作戦以来の大規模な抵抗勢力を組織しているという情報がもたらされた。

そしてその天空大楼閣に集結した黒の騎士団の分隊の中に、自分が隊長を務めている零番隊の隊員たちの数人、さらにはギアス嚮団殲滅戦で(温情から来た行動だが)ゼロによって追放同然に脱退された朱城ベニオと加苅サヴィトリがいるという情報をカレンが知ったのは、サヴィトリから密かに送られた援軍要請を斑鳩のブリッジで聞いた直後だった。その援軍要請が求められた理由として、オオサカ租界にライを総指揮官とし、モニカを作戦参謀とした大規模な征伐軍がブリタニアから派遣されたことにあった。

ライとモニカもだが、征伐軍の中にはアレンとミリアルドとその傘下の各機甲師団、はてはルルーシュの親衛隊である第零騎士団に鉄華団、タービンズ、パラメイル部隊など大勢のルルーシュ皇帝軍の客将たちが参戦しているとのことだった。そのため抵抗勢力は数こそ上で、3つの要塞と天空大楼閣も含めた地の利もあるが、ナイトメアも含めた将兵の力はライの征伐軍が大きく上回っている。その上で軍略に優れたライの力も合わさる形で攻め込まれたら、長くは持たないのは明白だろう。しかし────。

 

「どうしてですか!?あそこにはベニオやサヴィトリ、零番隊や合流できなかった仲間たちがいるんですよ!!」

 

カレンは扇たちに対して来そう詰め寄るも扇は暗く、そして苦しげな表情で答えることしかできなかった。扇の苦悩を示すかのように痛いほど握りしめられたその両の拳には、血が滲み出ていた。

 

「・・・わかっているはずだろう。決戦までもう3日しかない。その決戦に全てを賭けるしかなくなった今、これ以上兵力を割ける余裕は俺たちにはない・・・」

 

オオサカ租界(あそこ)には私の部下(仲間たち)がいるんです!! 今ここで彼らまで見殺しにしたら、扇さんたちは騎士団の中で信頼を完全に失ってしまう!!」

 

「うるさいな、俺だってできれば助けに行きたいんだよ!! あそこには千草・・・ヴィレッタが・・・っ・・・・・・」

 

「扇さん!!」

 

「・・・とにかく、もう俺たちには余裕がない。わかったら部屋に戻れ」

 

扇はそう言って会話を終わらせることにした。カレンは必死になって扇を説得するために会話を続けたものの結果は無駄であった。その後、カレンと同じように扇に対してオオサカ租界の黒の騎士団救出すべきだと進言しに来たマグバレッジ艦長や剣鉄也を始めとしたまだ黒の騎士団に協力していたZEXIS・ドラクイロイツメンバーだが、説得は失敗に終わりそれどれどころか扇はフジの決戦の日までカレンを含めZEXIS・ドライクロイツメンバーを拘束するように指示を出した。それに対してマグバレッジたちは扇たちを 完全に見限り、カレンを含めたZEXIS・ドライクロイツメンバーは扇たちの静止を振り切って強行突破でアジトから出航すると零番隊からの救援要請があったオオサカ租界へと向かう。

 

──────この時、彼女たちは知らなかった。オオサカ租界で待っている地獄のようなおぞましい光景と、それを生み出したかつての仲間たちと対面するということを・・・

 

◆◆◆◆

 

天王寺要塞にてアレン率いる第二機甲師団とミリアルド率いる第一混成師団、さらにルルーシュの協力者である鉄華団とタービンズ、ギャラルホルン革命軍が要塞にたてこもるジャスレイたち元テイワズ及び雇われた傭兵や海賊、イオクとクジャン家に仕えるギャラルホルンの兵士たちを一方的に殲滅していた。

 

「ユーゴ第3小隊隊長機撃墜、戦線を離脱!」

 

「百錬4、6番機戦闘不能!!撤退します!!」

 

「カス共が・・・!!!」

 

後方で待機している旗艦《黄金のジャスレイ号》には戦闘状況の全てが入ってくるが次々に入ってくるのは凶報ばかり、雇っていた傭兵たちの機体が次々と落とされ戦線から離れていく。数で言えばジャスレイたちの方が数倍以上の差があるが別組織の混成軍ということもあり指揮系統が統括されておらず、さらにトップが軍事戦略を理解せずこれまで物量で敵を倒してきたジャスレイと軍人としての基礎すらできていないイオクであるためまともな指示を出せるわけもなく次々と味方は討ち取られていくのだった。

 

「おい!クジャン家の坊っちゃんからの援軍はまだなのか!!」

 

「そ、それが向こうも向こうで余裕がないようで・・・」

 

「クソっ!役立たずのクソボンボンがっ!!」

 

ジャスレイはオペレーターからの返信に対して苛立ち混じりの舌打ちをしながらイオクに対して悪態を吐いた。本来ならば最新鋭機であるレキンレイズを100機近く用意しているイオクたちが早々に敵陣営を突破して母艦を落とす予定であったが、イオクたちは敵陣営を突破するどころか要塞をとび出た瞬間に次々と撃ち落とされその数を無駄に減らす結果に終わっていた。どうすべきかとジャスレイが必死に頭を回転させるがその間にも敵の攻撃は続いていた。

 

「護衛の三番艦、推進機関を破壊され撃沈!!」

 

「要塞の防衛システム3割が破壊されました!!」

 

「チィっ!!あのデカ筒野郎共がっ!!」

 

ジャスレイは腹立たしげにモニターに映る天王寺要塞に対して砲撃を続けているダークブルーのモビルスーツ《青冥》たちを睨みながら歯ぎしりする。

 

────重砲撃型モビルスーツ《青冥》。新生ブリタニア・ユニオンと取引を行っている木星圏を中心に、主に小惑星帯の開発や運送を担う企業複合体《テイワズ》との交流の一環として互いの技術者が協力して開発したテイワズの次世代量産機。もう一機の次世代量産機である辟邪の支援を目的として開発されているため射撃兵装をメインに装備しているが、特に目を引くのは右肩の主力兵装である《ヒュージキャノン》である。ヒュージキャノンは砲弾を加速させるために火薬を燃焼させ、その急激な爆発をエネルギーとして加速させるための部分を薬室と呼ぶが、これを砲弾の通過にシンクロして順次点火させ、驚異的な加速を砲弾に与えるものを多薬室砲と呼ぶ。ヒュージキャノンは計21の薬室で構成されており、全体構造は折りたたまれた巨大な砲身と円筒状のガスタービンジェネレーターから成り、圧倒的な長射程を活かした遠距離からの射撃により、一定範囲に壊滅的ダメージを与える。このヒュージキャノンから放たれる砲撃によって既にジャスレイたちは8隻もの戦艦と120機のモビルスーツ、その他200以上の機動兵器などが撃墜され、要塞の防壁や防衛設備であったトーチカや固定砲台も次々と破壊されていた。

 

「クソッタレがぁ!!おい!デブリ共とロゴスの連中から買い取ったアイツらも全部出せ!!こうなったら全戦力で連中を叩き潰す!!」

 

ジャスレイはこのまま戦力を小出ししてても無意味だと悟ったのか持てる戦力を全て投入し鉄華団やタービンズ、ルルーシュ皇帝軍を叩き潰すと宣言する。それとほぼ同時にイオク側も同じ結論に至ったのか次々とモビルスーツが出撃する姿が見られた。

 

現在ジャスレイたち元テイワズの戦力は百里、百錬、獅電を始めとしたテイワズ製のモビルスーツ、海賊や傭兵、ヒューマンデブリたちのガルム・ロディやユーゴー、闇市場で取引されているグレイズ、ゲイレール、そしてロゴスから購入したデストロイガンダムやユーグリット、ウィンダムを中心としたモビルアーマーとモビルスーツ。その数は既に出撃している部隊のも合わせて5000を軽く超える機動兵器が重武装ヘリや装甲戦闘機、戦車などを引連れて第二機甲師団、第一混成師団、鉄華団、タービンズ、ギャラルホルン革命軍に対して攻勢に出た。

 

これだけの数ならば負けるわけがないとジャスレイはほくそ笑んだがその表情はすぐに崩れることになるであろう。

 

『オラオラァ!!道を開けやがれ!!流星隊のお通りだ!!』

 

マゼンタカラーの砲撃仕様のガンダムフレーム《ガンダムフラウロス》を駆るノルバ・シノは高らかに叫びながら両肩のレールガンで迫りくるガルム・ロディを牽制し、そのまま接近するとアサルトナイフのピック部分をコックピットに突き刺す。破竹の勢いで進むガンダムフラウロスに続くように20機のランドマン・ロディ、獅電がアサルトライフルを掃射しながら敵陣へと突き進む。

 

『どけっ・・・!!』

 

ブラウンカラーの重装甲のガンダムフレーム《ガンダムグシオンリベイクフルシティ》を駆る昭弘・アルトランドはサブアームに握らせたロングレンジライフルでユーゴー、マン・ロディのメインカメラを狙い撃ちして動きが鈍ったところを両手にそれぞれ握らせているグシオンハルバードを振り下ろして粉砕する。昭弘とガンダムグシオンリベイクフルシティに続くようにラフタ・フルクランドの辟邪、昌弘、アストン、デルマら昭弘の弟たちが駆るランドマン・ロディたちが迫り来るガルム・ロディやスローターダガーたちをトビクチブレードやハンマーチョッパーで返り討ちにする。

 

『准将たちの道を切り開く!!私に続け!!』

 

『『『『『はっ!!』』』』』

 

青のカラーリングの重装甲モビルスーツ《ヘルムヴィーゲ・リンカー》を駆る石動・カミーチェはその手に握る身の丈以上ある大剣《ヴァルキュリアバスターソード》を振るってウィンダム、マラサイ、 ティエレンを両断し、石動に続くように部下たちのグレイズ、グレイズリッター、シュヴァルべグレイズたちが取り巻きのヘリオン、ダークダガー、アッシマーたちを撃墜していく。

 

『さぁ行くよ!!』

 

『はい、姐さん!!』

 

ピンク色の辟邪を駆るアミダ・アルカと紺色の辟邪を駆るアジー・グルミンが先頭に立ってタービンズの百錬、漏影たちがザムザザー、ネモIII、ジムIIIたちを連携して撃墜していく。

 

ジャスレイやイオクたちと因縁深い鉄華団とタービンズ、ギャラルホルン革命軍が中心に本陣へと突き進んでいく。それを第二独立師団と第一混成師団が援護し次々と敵を撃墜していく。ジャスレイが自信を持って送り出した戦力も圧倒的な実力差を前に為す術なく討ち滅ぼされていくのだった。

 

『ねぇ俺たちはまだ動かないの?』

 

『まだだ三日月・オーガス。あの愚か者たちの事だ、追い詰められれば形振り構わず例の兵器を使用してくる。私たちはそれに警戒する必要があるのだからな』

 

後方の第二機甲師団と第一混成師団の本隊と共に待機している三日月・オーガスとマクギリス・ファリドはそれぞれガンダムバルバトスルプスレクスとガンダムバエルのコックピットの中で話し合っていた。鉄華団、タービンズ、ギャラルホルン革命軍のほぼ全戦力が投入されているが、三日月とマクギリスという切り札、そしてアレンとミリアルド率いる2つの師団の精鋭部隊がまだ動きを見せないでいた。それはイオクが所持しているであろう条約違反の兵器やそれに匹敵するであろうモノが出現してきた時のための備えでもあった。

 

─────そしてその予感は不幸にも的中するのであった。

 

 

時は遡ること30分ほど前。ジャスレイと同じように後方で旗艦である《スキップジャック級戦艦》のブリッジでイオク・クジャンは味方が為す術なく屠られいくのを歯ぎしりしながら見ていた。

 

「えぇい!!何をしている!!我ら正義の番人であるギャラルホルンがあのような悪党を相手にいつまで手間取っている!?」

 

イオクは次々と部下が為す術なく撃墜されるのとこちらの攻撃が敵に対して全くと言っていいほど有効打を与えられずにいることに苛立ちを隠せないでいた。これまでルルーシュ新生軍を相手に何度も戦ってきたことはあるがその全てが惨敗の結果に終わっており、無駄に戦力を減らされ拠点や物資を奪われるばかりだったためにジブリールやオルフェなど一部の人間たちからは役立たずと罵られ、一兵卒からも舐められるようになっていた。

そしてあまりに損害を出しすぎたためにラスタルからもこれ以上庇いきれないのと生かすよりも死んだ方が扱いやすいと判断したために手土産代わりに新型量産機であるレギンレイズたちとさらにフジの決戦にて使用予定の決戦兵器の試作機たちをイオクに渡しオオサカ租界の防衛を命じた。それをイオクはラスタルから頼られていると思い上がって何としてでもルルーシュ軍と鉄華団たちをこの地で滅ぼすのだと躍起になっていた。

 

───故にイオクは自らの組織が禁忌としている兵器たちを使用することになんの躊躇いも見せないでいた。

 

「モビルスーツを全機前に出せ!!それからダインスレイヴ隊と天使たちの起動も急がせろ!!」

 

「し、しかしダインスレイヴは条約で禁止されておりますし、それに天使たちは完全に制御しきれているとは・・・」

 

「構わん!!これは正義の行いだ!!我らギャラルホルンの正義を奴らに知ら占める必要があるのだ!!」

 

オペレーターがイオクに対してダインスレイヴらの使用に否定的な言葉を言おうとしたが、イオクが強く言い切ってしまったためにそれ以上言えなかった。ここでもしイオクに対して怯むことなく強く意見を言えイオクがその意見を受け入れることができたのならば彼らの運命も変わっていただろうが、そのような未来は決して訪れない。

 

そしてグレイズ、グレイズリッター、レギンレイズが次々と出撃していく中で後方から遅れて出撃するのは左腕を丸ごと巨大なクロスボウのような形をした砲塔《ダインスレイブ》に換装したグレイズが32機と巨大な鳥を思わせる白き巨大な翼を持ったモビルアーマー《ハシュマル》、蟹のような甲殻類を思わせる紅色のモビルアーマー《アナネル》、そして大量のプルーマを引き連れていた。

 

「さぁ我らの正義の一撃を受けるがいい!!ダインスレイヴ、発射!!」

 

イオクはダインスレイヴ隊が配置に着いたのを確認すると高らかに発射命令を下した。要塞の防壁の周囲に展開したダインスレイヴ隊は頭部を展開し大型の望遠レンズで前方の敵を捉えると一斉に高硬度レアアロイ製の専用弾頭《ダインスレイヴ》が放たれた。それは瞬時に先頭を進んでいた空を駆け第二機甲師団のレギンレイズ、辟邪、ガルム・ロディたちモビルスーツや後方で援護射撃を行っていた青冥を貫き爆散させた。

 

『《ダインスレイヴ》!?馬鹿な、条約禁止兵器を使ったってのか!野郎!』

 

名瀬はタービンズの母艦である《ハンマーヘッド》から見えたイオクたちの繰り出した攻撃を見て思わず目を見開きながら叫んでしまった。ダインスレイヴとは高硬度レアアロイ製の特殊KEP弾を電磁式射出機で投射するレールガン。ナノラミネート装甲を容易く貫通するそれは、あまりの威力ゆえ条約で使用を禁じられていたはずのものだ。過去にそれを使われ自分の家族や弟分であるオルガたち鉄華団に多くの犠牲者を出した忌むべき兵器を使用したイオクに対して名瀬は怒りを隠さず奥にいるであろうイオクを睨みつけていた。

 

「ただじゃすまさねぇぞ。・・・この借りは高くつくぞイオク・クジャン!!」

 

名瀬が怒りに心を燃やしダインスレイヴ隊が次弾装填している中、第二機甲師団と第一混成師団の精鋭部隊と三日月、マクギリスがいよいよ動き始めようとしていた。

 

『まさかイオク・クジャンがここまで愚かとはな・・・それにまさかモビルアーマーの制御にも成功しているとは・・・』

 

『どうでもいいよ。いつも通り敵は潰すだけだ』

 

マクギリスと三日月は敵機を蹴散らしながらこちらに向かってくるハシュマルとアナネルを見ながらそれぞれ機体の武器であるバエルソードと超大型メイスを構えながら各々の獲物を睨み、機体を発進させる。

 

『《鋼鉄の野獣(シュタール・ベスティエ )》、敵を喰い散らかすぞ』

 

『《閃光の神風(グリント・ゼファー )》、敵陣を荒らします』

 

レギンレイズにユーゴー、辟邪、そしてレギンレイズ・フレームの量産機《サングリーズ》などを中心にした血のように真っ赤な真紅のカラーリングで統一された機体で編成された《鋼鉄の野獣》とトーラス、サーペント、ジンクスIV、ギャンシュトローム、ギャプランなど中心にした穢れのない純白を思わせる白いカラーリングで統一された機体で編成された《閃光の嵐》がマクギリスと三日月に続いた。

 

『『───────っ!!』』

 

ガンダムフレームであるガンダムバルバトスルプスレクスとガンダムバエルの存在に気づいたハシュマルとアナネルは先制攻撃と言わんばかりにガンダムバルバトスルプスレクスたちに向けて口部からビームを放った。それに対して5機のレギンレイズがタワーシールドを構えるとハシュマルとアナネルのビームを防ぐ。ナノラミネートアーマーが施されているタワーシールドははビームを拡散させ防ぐことに成功したが反射したビームは要塞の施設や破壊された機体の残骸に当たり爆散する。

 

『あの蟹みたいなのは俺がやるよ』

 

『では私はハシュマルを貰おう。健闘を祈る三日月・オーガス』

 

三日月とマクギリスは敵からの攻撃を防いでもらいながら進んで互いの獲物を選ぶと二手に分かれて行動した。

 

『────!!』

 

『硬いな。だけど関係ない』

 

三日月はガンダムバルバトスルプスレクスの超大型メイスをアナネルの頭部に向けて振り下ろすが、アナネルはそれを右腕のクローで受け止め跳ね返すとそのままガンダムバルバトスルプスレクスを握り潰そうと腕を伸ばすが三日月はガンダムバルバトスルプスレクスのブースターを噴かせて下がって回避する。三日月はガンダムバルバトスルプスレクスの超大型メイスの一撃を受けても傷1つないアナネルの右腕を見ながらそう呟くもやることは変わらないと言わんばかりに武器を構え直すとアナネルへの攻撃を再開する。

 

『三日月・オーガスの援護をする。彼の邪魔にならない程度にモビルアーマーへ攻撃せよ』

 

『『『『了解!!』』』』

 

サングリーズのパイロットであるレイオスは高硬度レアアロイ製の双槍《ツインブレード》でプルーマの胴体を貫きながら部下たちに三日月の邪魔にならない程度に援護を行うように指示を出す。それに従って部下たちはプルーマの排除を行いながらアナネルの注意を引くように散開して攻撃を繰り返す。それはアナネルにとってなんのダメージにもならないものだがガンダムフレームという最優先事項を狙いながらも煩わしさから両腕のクローを振り回して叩き潰そうとするもその攻撃は当たらず、大振りに振っていることによる隙をついて三日月はガンダムバルバトスルプスレクスの超大型メイスをアナネルに叩き込む。

 

『──────!!』

 

右腕の関節部分に超大型メイスが叩き込まれたことでヒビが入りアナネルは機械的な悲鳴を上げるがそれを無視してガンダムバルバトスルプスレクスに対して口部のビームを放つが、ガンダムバルバトスルプスレクスはしゃがんでビームをかわすとそのまま懐に入り込みがら空きの胴体にレクスネイルを突き刺し力任せに装甲を引き剥がす。

剥き出しになった中身に直接攻撃を叩き込もうとした三日月だが、流石にそれを許す訳もなくアナネルはガンダムバルバトスルプスレクスに対してプルーマを襲撃させて距離をとらせる。

 

『ちっ・・・!!』

 

アナネルに追撃を仕掛けようとした三日月ら邪魔されたことに苛立ち混じりの舌打ちをしながら迫るプルーマたちに対してテイルブレードで弾きとばし、がら空きの胴体に手首部分に内蔵されている《腕部200mm砲》の銃弾を叩き込んで破壊する。

 

三日月たちがアナネルを相手に苦戦しているようにマクギリスたちもまたハシュマルやプルーマを相手に苦戦を強いられていた。ハシュマルの動きは以前鉄華団と共に火星で戦闘した機体と同じ動きなためハシュマル単体ならば問題ないが、大量のプルーマたちも同時に相手取る必要があるために思うようにハシュマルに攻撃を届かせることができないでいた。

 

『流石は厄祭戦で暴れたモビルアーマー、一筋縄ではいかないか・・・っ!!だがっ!!』

 

マクギリスは襲ってくるプルーマを両手に握る2振りの剣《バエルソード》で斬り捨てながらテイルブレードを振り回しながらビームを放って周囲ごと破壊するハシュマルを睨む。《閃光の神風》のギャンシュトロームたちがシールドを用いてハシュマルの攻撃を防いでくれているため味方の被害を抑えられているが、何度もビームとテイルブレードの斬撃を受け止めていることでシールドにヒビが入り始めていた。

 

『モビルアーマーを倒してこそバエルとアグニカ・カイエルの名を引き継げるというものだ・・・っ!!』

 

マクギリスはそう叫ぶと同時にプルーマを踏み台にしてハシュマルに斬りかかる。ハシュマルは接近してくるガンダムバエルに対してテイルブレードを飛ばす。マクギリスはバエルソードで迫るテイルブレードを弾き飛ばしながら接近しその首元にバエルソードを突き刺そうとするが、それよりも先にハシュマルの右脚のクローがガンダムバエルを捕え勢いよくその胴体を蹴り飛ばす。

 

『ぐっ・・・!?流石はモビルアーマーっ!!』

 

寸前にバエルソードを交差させて防御したことでダメージを抑えることに成功したが、威力は抑えきれずコックピットに勢いよく身体を叩きつけたマクギリスは口端から血を垂らしながら獰猛な笑みを浮かべて追撃を仕掛けるべくスラスターウイングを噴かせてハシュマルに接近する。

 

『ガンダム乗りは血気盛んな者が多いな。だが、我々は我々の務めを果たすのみだ』

 

ジンクスIVを操るカムイ・フィルメンタはハシュマルのビームをGNフィールドで防ぎながらサーペント部隊によるガトリングの嵐でプルーマとハシュマルたちに対してダメージを与えていく。

 

────血に飢えた獣と誇り高き輝く風は2体の悪魔と共に殺戮の天使と魔剣の名を持つ兵器を破壊すべくその牙と刃を振るうべく突き進むのだった。

 

◆◆◆◆◆◆

 

三日月たちがモビルアーマーを相手に暴れ回っていたのと同じ頃、茶臼山要塞でワイバーン・レギオンを相手取っているマーヤとシュヴァルツ・ハーゼ隊はその力を存分に奮っていた。

 

『はぁぁぁぁぁ!!』

 

マーヤはアキレウスのグングニルを振るってワイバーン・レギオンの右脚部の装甲を破壊する。ワイバーン・レギオンは既に両脚部・頭部の装甲が破壊され内部のコードが剥き出しになっており、さらに片翼も斬り落とされていることで死に体と言ってもいいほど破損していた。だがそんな姿になってもワイバーン・レギオンは暴れ回ることを止めないでいた。

 

『くっ!?いつまで動くつもりよこの化け物!!』

 

『とっととくたばりなさいよね!!』

 

ワイバーン・レギオンの両腕のバレルアーム《インドラ》から放たれるビームとダインスレイヴをかわしながらエウルアとシノンはそれぞれの愛機であるシグルドリーヴァとスールズのコックピットの中で悪態をつきながらワイバーン・レギオンに対して攻撃を仕掛ける。

 

『─────!!』

 

ワイバーン・レギオンは剥き出しになったカメラアイを赤く輝かせながらインドラによる射撃とヒートテイルブレードを振り回して接近しようとしたドライセン、グスタフ・カール、ドーベンウルフたちの胴体を切り裂きながら重砲撃を繰り返していたヒルドルブ改、ジガンスパーダ、サーペントたちを打ち貫く。

 

『このぉっ!!』

 

暴れ回るワイバーン・レギオンが放つ銃弾の嵐を掻い潜りながら接近したシャルロットはガンダムキュリオス・エクレールのGNドリルランスの刃を回転させながらワイバーン・レギオンの頭部に突き刺す。回転する刃によってコードを切り裂きながら装甲を粉々に砕き、そのまま頭部のエイハブリアクターを破壊し爆散させる。3つある内のエイハブリアクターの1つが破壊されたことでワイバーン・レギオンの動きが明らかに鈍っており、好機と見たラウラはここで一気に決めるべく生き残っている全部隊に攻撃命令を下した。

 

『ここで決めるぞ!!全機、目標はワイバーン・レギオン!!銃身が焼けるまで撃ち続けろ!!』

 

『『『『『イエス・マイロード!!』』』』』

 

ラウラはガンダムヴァーチェ・レーゲンのGNガトリングガンで頭部の亡くなったワイバーン・レギオンに向けて放ち、その装甲を削っていく。長時間の戦闘によってナノラミネート塗料が剥がれ始め、エイハブリアクターが1つ破壊されたことによる電力不足によってPS装甲が展開出来なくなっていることでワイバーン・レギオンの防御力が激減したことによってラウラたちの攻撃が有効打となり得ていた。

 

『───────!?』

 

頭部がなくなったワイバーン・レギオンは抵抗しようとインドラから銃弾とビームを乱れ打ちしようとするが、それをさせないと言わんばかりにグルンガスト肆式とヴァルシオーガたちが無理やり押さえつけることでワイバーン・レギオンが撃つよりも先にバレルアームを引きちぎり、残っていた左の翼と尻尾も引きちぎられたことで武装を全て失ったワイバーン・レギオンは最後の悪足掻きとして残っている2つのエイハブリアクターを暴走させて自爆しようとしていた。

 

『させるかぁ!!』

 

胴体と胸部のエイハブリアクターが搭載されている部分が赤く輝き始めているのに真っ先に気づいたマーヤが胸部にグングニルを、胴体にMVSを突き刺してエイハブリアクターが爆発する寸前に機能停止させることに成功しワイバーン・レギオンは動力源を完全に破壊されたことによって完全に機能を停止した。

 

『あら?まさかアレが倒されるだなんてね。すこし負け犬皇帝の坊やの配下たちを甘く見ていたかしら?』

 

『余所見を、するな!!』

 

上空でマリオのペルセウスと戦闘を繰り広げていたカーリーはマグダラのコックピットの中でワイバーン・レギオンが倒されたことに少しだけ驚きの声を上げるもそこまで興味もないのかすぐに視線を外す。マリオはハルパーを振りかぶってマグダラの身体を両断せんとするが、それをマグダラはポーニングブレードで防ぎ返す刃でペルセウスの右肩を貫く。すんでのところで下がったことにより貫通まではいかなかったが、ペルセウスの右肩装甲にヒビが入った。

 

『くっ!?』

 

『ほらほらァ!!どうしたのかしら!!威勢が良かったのも最初だけ!!』

 

マリオはカーリーとマグダラに対して果敢に攻めているもののカーリーの巧みな操作技術によってダメージが最小限に抑えられてしまい、それに対してカーリーからのカウンターを含めた攻撃によってペルセウスはダメージは蓄積しており既にエナジーも半分以上使い切ってしまっていた。

 

(分かりきっていたがやはり強い・・・っ!!ペルセウスでもここまで追い詰められるとはっ)

 

マリオはルルーシュから与えられた新たな剣であるペルセウスでもまだカーリーの首を取れないことに苛立ち混じりの舌打ちを零しながらも冷静にマグダラの動きを見ていた。何度も戦場で相見えシュミレーションシステムで何度も確認してきたことでマグダラの動きに遅れをとることがなかったが、それでもまだマリオの刃はカーリーの命を狩り取れないでいた。

 

『ふふふっ!!まさかここまで楽しませてくれるだなんて、嬉しいわ子犬ちゃん(リトルパピー )!!』

 

カーリーは心底嬉しそうに狂気の笑みを浮かべながらポーニングブレードでペルセウスに斬りかかる。それに対してマリオはハルパーと両腰部のコアルミナスブレードで防ぎながらマグダラに攻撃を仕掛ける。両者1歩も引かない一進一退の攻防を繰り返し、互いの装甲に少なくない傷を作っており一見互角のように見えるがエナジーウイングやハドロンなど使用しているためにペルセウスの方がエナジーの消費が激しく長期戦になればマリオの方が不利になるのは目に見えていた。

 

『でも流石にお痛が過ぎるわね。《非国民(ナンバーズ )》なんていうサルたち畜生を引き連れて私に歯向かうだなんて、ね!!こんなことなら、あの中華連邦でまとめて捕まえた時から、私が側についてでもしっかり逃がさないようにするべきだった・・・』

 

『・・・・・・』

 

マグダラの外部スピーカーとペルセウスの通信回線を通して流れてくる、カーリーの独り善がりな恨み言。

それを、唸りを挙げて襲い来るマグダラのランスをハルパーで受け止め、捌きながら、マリオは険しい表情をしている。

 

『そう・・・この不愉快な事態を招いたのは、私があなたたちを甘やかしすぎていたから。だからその甘やかしはやめて、身も心も完全に私のものに────!!』

 

そして怒りの色が消えるや否や、いつもの狂気に満ちた響きのあるものへとカーリーの声が戻った後、マグダラが勢いよく両肩装甲からスラッシュハーケンを撃ち出してくる。

 

『・・・やはり、ますます不愉快でしかないな』

 

マリオがそう吐き捨てると、ペルセウスはハルパーでラッシュハーケンを打ち返し、エナジーウイングから紫の光弾をマグダラに向けてばらまく。

広範囲に及ぶ文字通りの弾幕である上に速度もあり、いかにグロースターやヴィンセントのような精鋭型の主力機でも回避するのは難しいその紫の光弾を、マグダラはいとも容易く回避してみせた。

 

『お前の存在は俺たちにとって害悪でしかない。だから、ここで死ね』

 

マリオはカーリーに対してそう吐き捨てるように言うのと同時に背中にマウントしている2連装ライフル《レーヴァテイン》を構えてマグダラに向けてブラスタータイプのハドロン砲を放つが、マグダラは周囲の建物やまだ戦闘中の防衛部隊や零番隊の機体を盾にしてハドロン砲をかわす。そしてハドロン砲が途切れた瞬間を狙ってマグダラが再びスラッシュハーケンを打ち出す。牽制程度に放ったそれをカーリーはマリオなら容易くかわすだろうと判断したが、それに対してマリオはレーヴァテインを盾替わりにしてスラッシュハーケンを防ぐと同時にスラッシュハーケンのロープ部分を掴んで勢いよく引き寄せてきた。

 

『なっ!?』

 

まさかの行動に思わず驚きの声を上げるカーリーだが、機体の馬力に圧倒的な差があるためマグダラの抵抗も虚しくペルセウスによって引っ張られてしまった。それによってバランスを崩したマグダラに対してマリオはペルセウスの右肩の折り畳み式グレネードキャノンを展開すると同時にマグダラに向けてグレネードを発射する。それに気づいたカーリーは寸前にスラッシュハーケンのロープをポーニングブレードで斬ることで引き寄せられるのを防ぎ、急上昇することでグレネードを回避する。

 

『まさかそんな乱暴な手を使ってくるなんてね・・・。随分と野蛮な子に育っちゃったわね』

 

カーリーは感心したように笑いながらそう言うが、その目は鋭くマリオとペルセウスを睨んでいた。

 

『黙れ・・・っ!!お前のせいで、俺たちは・・・ルルーシュは・・・』

 

マリオがメインモニター越しにマグダラを揃って睨みつける。

すると、マグダラの中でカーリーはマリオの怒りの視線を感じたのか、嘲るように笑い飛ばしてきた。

 

『ああ、それについて気持ちは察するわ、マリオ。それは吐き気もするでしょうね。なにしろ、私はこれまで自分のためにあなたたちやゼロの邪魔をしてきて、そのせいでブラックリベリオンも御破算となり、黒の騎士団もバラバラになった!』

 

『・・・・・・』

 

『そして今、無能な黒の騎士団貴族やのサルどものどさくさに紛れて、あまつさえここまで乗り込んできた!そんな戦場を、大局を引っ掻き回すだけの血に飢えた魔女としては、黙って目を背けるか、今度こそ殺すしか他にないものねえ!?』

 

これまでの自分の行いを敢えて認め、挑発(嗤い)とばしてくるカーリーに、マリオは自分の中で何かが勢いよく焼き切れるのを感じた。

 

『・・・そうだな。確かあんた、カーリー・ディゼルって言ったっけ?母さんの (・・・・) 姉だった人(・・・・・ )

 

マリオがわざとらしく初めて会ったかのような感じで呼びかけると、そのまま続けてわざとらしく他人を装った感じでこう言い放つ。

 

自分の体を機械にしてまで(・・・・・・・・・・・・ )若さを保ち、自らの妹への愛と夢、そしてブリタニアの貴族としての傲慢と欲望にしがみついて生き続ける魔女。見境なく猿や豚ほかのにんげんの血を浴び、肉を喰らってははしたなく生き続ける、ブリタニアの貴族らしい実に醜悪な在り方にしがみつきたいようで・・・』

 

『あらあら。そこまで心外な言われようとなるほど、すっかり嫌われちゃったのね。でも・・・』

 

自分から焚き付けておきながら、カーリーはしおらしい振る舞いになる。

 

『やはり実らない恋慕、そして届かない親心ほど残酷なものはないわね、可愛い我が甥に可愛い我が姪。「もう二度と会うことはない」────そんな、実に詩的なフレーズを乗り越えて、再会しにやってきてあげたというのに。そちらは相変わらず私を視野に入れていなく、入れていたとしても獣か何かの扱いをしている』

 

『今更伯母ぶっての御涙頂戴か?それに視野にならこうして入れてるだろう』

 

マリオが冷たく吐き捨てる。

 

『だからこそ、あんたも俺たちが憎んだブリタニアの一部>(・・・・・・・・・・・・・・・)となり続けているからこそ……不愉快なんじゃないか。その声もその顔も、悪趣味な金カザリと合わせて1秒だって見ていたくないのに』

 

『それはまた、随分と無体な言い草ね。こっちは甥姪(あなたたち)愛しさにここまで這い上がってきたというのに』

 

カーリーの声が、自嘲気味にフッと笑う。

 

『母親と同じ血を引く実の親戚( 家族)だからこそ、子供は親心に報いる器があってのものだと思うけどねぇ』

 

揶揄うようにそう笑うカーリーに合わせ、マグダラがハートブレイカーを構えた。

それを見て、マリオの表情と瞳から感情()が消えた。

 

『・・・そう。だったら最後ぐらい報いてあげるよ伯母さん。その機体に触れることすら穢らわしかったけれど、望み通り今度は踊ってやる。思う存分に』

 

氷のように無表情だったが、マリオの口元は笑みに歪んでいた。

 

『ルルーシュが浄化(破壊)したところで避けては通れないとわかっていても、私たちの復讐()の始まりとなったあの日を思い出す不愉快な出来事の連続で、いい加減に我慢ができなかったところだったんだ。だからこそ、貴様なら・・・』

 

その笑みは、天使のように美しく。

 

その笑みは、悪魔のように残酷で。

 

『お前が相手なら何の遠慮もなく、思う存分、この(ペルセウス)を振るうことができるっ────!!!」』

 

 

────そして何より、血に飢えた復讐者の笑みとして、恐ろしいものだった。

 

 

◆◆◆◆◆

 

ハルパーを突き出して超加速してきたペルセウスを、マグダラはハートブレイカーで受け止めてみせた。

夕焼けと炎によって茜色に染まりゆく空を震わせる衝撃が巻き起こったその瞬間、ペルセウスとマグダラの凄まじい剣戟と撃ち合いが幕を開ける。

 

『機械仕掛けのそのどす黒い腹の中を見せてみろ、魔女っ・・・!!』

 

『あら、これはまた結構やるようになったじゃない! でもやっぱりまだまだ足りないかしらっ!?』

 

射撃と近接、双方で猛然とマリオとペルセウスに攻めかかられても、カーリーとマグダラは全く動じた様子を見せない。

 

『ほらほらァ!!そんな生温い攻撃じゃ、私の命に刃を届かせるだなんて夢のまた夢よ!!』

 

マグダラはペルセウスのハルパーによる斬撃をポーニングブレードで切り払い、がら空きになった胴体にハートブレイカーの強烈な一撃を叩き込んでくる。これには流石のペルセウス、そしてマリオも一瞬だが反応が遅れて、ペルセウスの胸部の装甲を削り取られてしまった。爆発と共に、黒紫に輝く鎧の一部が吹き飛ばされる。

 

『くっ!!』

 

マリオは体勢を立て直すべくペルセウスを後退させるのに対し、マグダラも改修型のフロートユニットを吹かしてペルセウスに追撃をかけてくる。そしてペルセウスの目と鼻の先まで接近したところでポーニングブレードて斬りかかってくる。

 

そのマグダラの姿を見て、マリオは一瞬だが、中華連邦の戦いで揃って機体をあの一撃で破壊され、鹵獲される光景をフラッシュバックさせた。そう、させた中────。

 

『────そう来ると思っていた』

 

マリオがモルガンの後退を中断させ、逆に勢いよく前へと加速した。

それにカーリーが驚きのあまり、動きを止めた一瞬を、後方から接近した機体(・・・・・・・・・・ )が見逃さない。

 

『くたばれぇっ!!』

 

後方から接近した機体───アキレウスはマーヤの叫びと共にグングニルをマグダラに向けて突き出す。その一撃をその機体ならではのスペックとカーリーの超反応でギリギリのところで身をかわすことでマグダラのコックピット部分を貫かれることは避けられたが、グングニルはマグダラの右腕を貫き爆発させる。

 

『うぐぅうっ・・・!?』

 

巻き起こる爆発。頭突きを浴びせられたような形で、マグダラが仰け反る。右腕の爆発によってフロートユニットの右翼、右足が半ばまで破壊されてしまっていた。そしてカーリーが体勢を立て直すよりも先にマグダラの目の前まで接近したペルセウスがハルパーを振りかぶり、フロートユニットの左翼部分ごと左腕のハートブレイカーを切り裂いた。さらに自らダメージを受ける覚悟でゼロ距離でのグレネードキャノンが放たれ、ペルセウスの胴体を軽く融解しながら残っていたマグダラの左足を破壊した。

 

『うあああああああああっ!!!』

 

一瞬であった。

ほんの一瞬で、マグダラは胴体とコクピットブロックだけを残した、ただの物体(オブジェクト )に成り下がった。警報音が耳を劈くほど鳴り響き、カメラを破壊されたモニターのいくつかの箇所が砂嵐になる。そんな中、闘志が、執念が、(ヴァニエラ )への愛情が、マリオとマーヤへの歪んだ執着に駆り立てられていてか、カーリーは諦めなかった。

 

(この私が・・・こんなところで終わる!? いいえ、そんなはずは・・・まだよっ!!)

 

何かまだ武器はないか、どこか逃げられる術はないかとカーリーはコンソールパネルを弄って探す。

だが、それは徒労に終わった。悲しいかな、すでにユグドラシルドライブは停止しており、いかに黒の騎士団とシャルル時代のブリタニア軍、そしてZEXISとドライクロイツを翻弄した特別製といえども、胴体のみになった機体に使える武器などありはしなかった。

 

『『さようなら。二度と、俺(私)たちの前に姿を見せるなよ(見せないで)』』

 

オーディオ・システムから聞こえてきた、絶対零度のマリオとマーヤの声。

それに耳を打たれ、カーリーが動きを止めた時、彼女の視界を満たしたのは、名状し難い色取り取りのエネルギーの煌めきだった。

ペルセウスとアキレウスの二機から放たれたエナジーウイングの光弾がマグダラに当たったそのすぐ後、茜色の空に巨大な爆炎が巻き起こった────。

 

◆◆◆◆◆◆

 

───時は遡ることライたちルルーシュ皇帝軍がオオサカ租界に進軍を開始する5時間前。オオサカ租界総督府《天空大楼閣(ヘブンズハイパレス )》のある一室でエンブリヲが目の前に集めた5人の女性に呼びかけてきた。

 

 

「────間もなく、この五稜郭にルルーシュ皇帝が派遣した神聖ブリタニア帝国の征伐軍がやってくる。総指揮官はルルーシュ皇帝の最強の騎士である《終焉の騎士>(ナイトオブゼロ)》のライ、参謀は元ナイトオブラウンズの《女帝の騎士(ナイトオブエンプレス )》のモニカ・クルシェフスキーだ」

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

その5人の黒みがかった紫色の軍服を着た女性────エンブリヲご自慢の親衛隊(ハーレム )であり、アンジュとタスクたちの元仲間である《ダイヤモンドローズ騎士団》のサリア、クリス、エルシャ、ターニャ、イルマは、引き締まった表情でエンブリヲを見ていた。

 

「君たち、《ダイヤモンドローズ騎士団》の使命はわかってるね?」

 

エンブリヲが訊ねると、オレンジ色の長髪とグラマラスな体型、そして母性溢れる雰囲気が特徴的な女性・エルシャが最初に答えた。

 

「私たちの役目・・・それは、エンブリヲさんをお守りすることです」

 

「ありがとう、エルシャ。その言葉と覚悟があれば、シュナイゼル皇子も君の望みを叶えてくださることだろう。君の愛する子供たちに未来を」

 

続けて、そばかすと水色のショートヘアが特徴的な少女・クリスが言った。

 

「私たちの役目・・・それは、エンブリヲくんの敵のルルーシュ皇帝とマリーベル皇女たち、そしてZEXIS及びドライクロイツを叩き潰すことです」

 

「ありがとう、クリス。君は私の大切な友達だ。そしてその言葉と覚悟があれば、シュナイゼル皇子も君を友達と認めてくださることだろう」

 

続けて、5人のリーダー格である紺色のツインテールが特徴的な少女・サリアが言った。

 

「私たちの役目・・・それは、エンブリヲ様に従わないアンジュに罰を与えることです」

 

「ありがとう、サリア。ダイヤモンドローズ騎士団は君に任せよう。そしてこの戦いは私だけでなく、シュナイゼル皇子も見ている。シュナイゼル皇子も君たちに期待してくださっている以上、無様な真似は晒さないようにね」

 

さらに続けて、紫のミディアムヘアの少女・ターニャと、オレンジのミディアムヘアの少女・イルマが、うっとりした表情でエンブリヲに擦り寄るように言った。

 

「エンブリヲ様・・・私たちの生命も未来も・・・」

 

「全てをあなたに捧げます」

 

「ありがとう、ターニャ、イルマ・・・信じているよ」

 

最後にサリアが、ひと呼吸おいてこう言った。

 

「これよりダイヤモンドローズ騎士団は出撃の準備に入ります。私たちの全身全霊を懸けて、任務を遂行することを誓います」

 

「サリア、クリス、エルシャ、ターニャ、イルマ・・・。期待しているよ」

 

「・・・では、失礼します」

 

サリアのその言葉と共に、エンブリヲの黒き親衛隊ハーレムは部屋を出ていった。

その後ろ姿を見届けて、エンブリヲがフッと冷たく笑って鼻を鳴らすと、

 

「────随分と大した手並みじゃないか、エンブリヲ」

 

不意に飛んできた女の声に、エンブリヲが視線を巡らせた。

いつの間にかそこへやってきていたのか────ダイヤモンドローズ騎士団が出ていった部屋の戸口にもたれかかり、腕を組んでこちらを見ている妙齢の褐色肌の美女を見て、エンブリヲは冷淡に微笑んだ。

 

「おや。これはこれは、マダム・ヴィレッタ・・・おいでになるならば、一言欲しかったですな」

 

「何を言う。呼んでもいないのにお前が勝手にあの連中を引き連れて、ここへやってきたのだろうが」

 

ヴィレッタ・ヌゥは憤然と眉を吊り上げ、腕を組んだままエンブリヲへと近づきながら問うた。

 

「お前の目的はなんだ?ルルーシュとライに負けてここに隠れるしかなくなった役立たずの我々やコーネリア皇女に首輪をつけて監視に来たのか、それともシュナイゼル殿下に命令されて我々を始末しにきたとでも言うのか」

 

「いえいえ、滅相もない・・・。負け戦続きで自棄になりたくなる気持ちもわからなくもありませんが、そういう自虐的な物言いはよくありませんよ。せっかくのその美貌が艶消しとなりますから」

 

「・・・嫌味のつもりか?」

 

「本心ですよ。よろしければ、マダム・ヴィレッタ・・・あなたもいかがですかな? めくるめく快楽をご用意いたしますが」

 

「冗談ではない・・・遠慮させてもらう」

 

憤然とした面持ちのまま首を振るヴィレッタに、エンブリヲがさらに冷淡に微笑みかけた。

 

「ほう、火遊びはお嫌いと?記憶を失っていたとはいえ、あの黒の騎士団の副司令と体での関係を持っている( ・・・・・・・・・・・)ことにありますかな」

 

「っ・・・!!」

 

「おっと、私としたことが戯れが過ぎたようだ。まあ、ご安心ください・・・あの子たちにああは言いましたが、ここに来たのはシュナイゼル皇子やナナリー皇女とはなんら関係はありません。あくまで私個人の意思ですよ」

 

エンブリヲの不遜な言葉に色めき立ったヴィレッタが、すぐにその怒気を鎮めて大きく嘆息する。

そのヴィレッタの表情を愛おしそうに見つめた後、エンブリヲは踵を返した。

 

「敵は同じルルーシュ皇帝、そしてライ。せいぜいお互い利用し、そして楽しもうではありませんか」

 

そう言い残して、エンブリヲは悠々とした足取りで部屋を出ていった。

その後ろ姿を険しい表情で睨んでいたヴィレッタは、必死で湧き上がる怒気をどうにか寝かしつけるかのように、再び大きく嘆息した。

 

「状況は劣悪。扇とシュナイゼル殿下に応援を求める考えもあるが、ライによってもうそれも期待はできそうにない・・・絶体絶命の危機というものか。いや、このまま座して死を迎えるつもりはない」

 

ヴィレッタは、鈍色の天井を見上げて、グッと拳を握りしめた。

 

「シャルル皇帝陛下・・・どうか、我らにご加護を・・・!」

 

 

サリアたちがエンブリヲから声をかけられていたのと同じ頃、第一機甲師団の母艦であるウェールズの格納庫にてモニカは協力者であるアルゼナルメンバーのアンジュ、タスク、ヒルダ、ヴィヴィアン、ロザリー、そしてサラマンディーネ、ナーガ、カナメとアンジュの侍女であるモモカ・荻野目がいる。

 

「────先程エンブリヲがダイヤモンドローズ騎士団と共に租界軍と接触を取ったことが部下からの報告で判明しました」

 

モニカからの報告にアンジュたちが驚きに目を瞠った。

 

「彼女たちの相手は約束通りあなたたちに任せます。エンブリヲの甘言に誑かされ親衛隊(ハーレム )に落とされた彼女たちの目を覚まさせるか、始末した上でエンブリヲを倒す。それに間違いは無いですね?」

 

「えぇ問題ないわ。予定より早いし、元お兄様も含めたミスルギの連中もいないのが心残りだけど・・・とりあえず今回はサリアたちとエンブリヲで我慢して、全力でやらせてもらう」

 

アンジュはそう答えながら、グッと拳を握りしめる。

 

「戦うのはあんただけじゃないよ、アンジュ」

 

「そうだぜ!少なくともクリスの奴だけはあたしたちがぶん殴るっ!」

 

ヒルダとロザリーも笑いかけながら、同じくグッと拳を握りしめる。

 

「俺はアンジュの騎士だ。アンジュが進む道に一緒に進むし君を守るよ」

 

「私もアンジュリーゼ様のためならなんでもします!!」

 

タスクとモニカもアンジュに笑みを浮かべながら、誓いの言葉を述べる。

 

「───この戦いはあくまでルルーシュ陛下の大願である《ゼロ・レクイエム》を成し遂げる障害を排除するための前哨戦でしかありません。それを忘れないように」

 

モニカはアンジュたちにそう強く言い含める。彼女にとってアンジュたちは大切な仲間であるが最優先事項はルルーシュであることから最悪の場合はサリアたちをこの地で始末することを考えていると言外に伝えているためアンジュたちはそれを理解しているため素直に頷くのだった。

 

─────竜を狩り生きてきた世界から見捨てられた少女たちは醜悪な世界の調律者を名乗るものによってかどわかされたかつての仲間を取り戻すために戦場を舞うのだった。

 




あとがき
今回の戦闘でカーリーが退場しましたが生死は不明です。この先登場する可能性は少なからずありますのでどうかよろしくお願いします。今回の話で登場したハシュマルとアナネルは厄祭戦時に破壊されギャラルホルンが封印していたものをラスタルがAIのシステムを書き換えてギャラルホルン以外の敵を襲うようにしているため運用に成功している。なおこの2機は試作機であるため暴走する可能性が非常に高くそのことを知らされていないイオクはラスタルから貴重な戦力を与えられたと舞い上がっていた。次回はアンジュたちクロスアンジュメンバーの戦闘メインになると思います。先日のニンダイでは新作のスパロボ情報はありませんでしたがそろそろ新作スパロボ出て欲しいですよね。最新のロボットアニメから復活のルルーシュやSEEDFREEDOM、グリッドマンユニバースなど個人的に参戦して欲しいなと思ってます。皆さんはどんな作品が参戦すると思いますか?
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