今回のはなしでヴィレッタとコーネリアとの戦闘に決着がつき、いよいよオオサカ租界編でのラスボスが登場します。
重武装型ナイトギガフォートレス《タイタンローゼス》を駆り立ててアレンとガンダムアザゼルと激闘を繰り広げるヴィレッタ・ヌゥ。
そんな彼女の脳裏によぎったのは、いつかのゼロルルーシュを嵌めた直後の出来事だった。
『────この斑鳩にはアーニャを残していく。[[rb: ゼロ> ルルーシュ]]の身柄を受け取る者が必要だからな』
斑鳩の格納庫で、共にゼロルルーシュを嵌めたコーネリア・リ・ブリタニアからヴィレッタはそう告げられた。
『それでお前はどうする? 黒の騎士団に残るのか』
『っ・・・!』
弾かれたようにヴィレッタは、否定の言葉を叫ぼうとしたが、コーネリアはそれを見透かしたように自嘲気味に笑いながら言った。
『兄上も私も、ここでお前を罰するつもりはない。……いや、
『そんな・・・私は・・・』
『私が言うのもなんだが、世の中は爵位だけではないぞ・・・・・・・・・・・・・』
そう言い残して、コーネリアは専用の飛行艇に乗り込み、ヴィレッタを置いて去ってしまった。
ヴィレッタは自らが得た情報であるゼロの正体や彼の持つギアス能力を教えた結果、扇がシュナイゼルとの会談を行っていた藤堂や玉城の前に現し、[[rb:ゼロ >ルルーシュ ]]を裏切って追放する事態へと発展させる。その後は地位への執着心からコーネリアについて行こうとするも、迷いがあったのを見抜かれたのか、こうして彼女から諭され、結局は黒の騎士団へと残る道を選んだ。
だがその後、新生ブリタニア・ユニオンの参謀総長兼皇帝騎士となったライに知れたと同時に、扇たち共々殺意に似た怒りを買われることとなり、先の浅間山の戦いで彼の情報工作で
ついには「シュナイゼルたちブリタニアのスパイ」「捕まえた時点で殺すべきだった」と怒りに暴走する団員たちに命を狙われかけたことから、扇は苦渋の決断でヴィレッタを逃がす選択をとった。
『前にも言ったはずだぞ!私はブリタニアの男爵!そしてブリタニアこそが・・・シャルル皇帝の支配こそがこの世界の秩序だと!たとえどんな理由があろうと
そんな時、ヴィレッタはいつかの中華連邦の山中の時のような思いをぶつけ合う問答を扇と繰り広げた。
『
『・・・そうだよな。俺だって、
自嘲気味になる扇に、ヴィレッタは溢れる激しい感情を吐きつけた。
『だから今こうして、あの時と同じように殺されると知って私を逃がそうとするのか!?』
『それも前にも言ったはずだ・・・死ぬ時ぐらいは自分で選びたいから』
『私を殺す手だってあるはずだ!もう一度聞くぞ、そもそもなぜテロリストがブリタニア軍人を助けた!?』
中華連邦の山中では邪魔が入ってしまった為、最後まで続けられなかった問いをヴィレッタは叫ぶ形で投げかけた。
それに対し、扇は胸が張り裂けそうだと言いたげな表情で答えた。
『最初は・・・ブリタニアの情報を聞き出そうと思った。君を騙して、監視してでも。君と、暮らすうちに・・・』
しかしその扇の言葉を、ヴィレッタは怒号で遮った。
『言ったはずだぞ! 私は敵だと!!』
『わかってる!!でも・・・でもっ、好きなんだ!!』
『バカか貴様はっ!!』
扇もヴィレッタに負けないくらいの大声で返した。
『ああそうだ! わかってる、君は敵で、俺はただのバカだ!! 敵だけど……バカだけど、
真っ直ぐに見据えてくる扇と、扇の叫びに、ヴィレッタも胸が引き裂かれる思いとなった。
『そんなだから・・・私は、私たちは・・・
『────いたぞぉっ!!』
ヴィレッタの叫びに重ねて、若い男の怒声が響き渡った。
ヴィレッタと扇が振り返ると、ライフルを手にした黒の騎士団の制服の証である黒いバイザー付きの軍帽と軍服を着た若い男女が、いつの間にかこの格納庫の出入り口に立っていた。
『ヴィレッタ・ヌゥ!逃がすもんか!!』
『よくも僕たちの
『扇さん!?何をやっているの!?』
『扇さん、あなたまさか本当に・・・』
若い男女の団員たちは口々に叫び、戸惑いながらも、ヴィレッタを捕まえようと一斉に向かってくる。
『違う!やめろ、やめてくれみんな!! 頼むからっ・・・』
『扇・・・!あんた、やっぱりその女に抱き込まれたのか!!』
『ヴィレッタ・ヌゥ!黒の騎士団を壊したことを後悔して、死ね!!』
扇は必死に迫り来る団員たちを止めようとしたが、既にライたちの情報工作で最悪の状況ができあがっており、悲しいかな、この状況もまたそれに繋がってしまうものとなった。
それからはもう怒号や銃声、打撃音が、耳が割れるほどこだまするばかりで、何がどうなったかは全く覚えていない。
ただ最後に覚えているのは、格納庫に止めてあった脱出艇に扇によって押し込まれ、強引に斑鳩がから発進させられ、追っ手の団員たちが乗るナイトメア・モビルスーツ部隊の追撃を受けながらもなんとかその脱出艇で脱出できたことだった────。
現在、ルルーシュによるブリタニアの浄化という名前の粛清から逃れた兄弟姉妹、純血派の同志たちと共にこのオオサカ租界に集まったコーネリア率いる反乱軍と合流したヴィレッタだが、難攻不落と名高いオオサカ租界と天空大楼閣も、ライの執念と策謀、そしてルルーシュが集めた新生ブリタニア・ユニオンの精鋭たちの力を前にあっさりと突破された。
「うぐっ・・・!こんな、バカなっ!?」
最後に残った純血派の切り札であるこのタイタンローゼスによる必死の
『所詮は地位を得るために男に媚びへつらってきた売女か、その程度の力でよく陛下に牙を向けられたものだ』
アレンはタイタンローゼスの左腕から引きちぎったガトリング砲をガンダムアザゼルの足元に落とすとそのまま踏みつけて破壊する。タイタンローゼスは自らよりも遥か巨大な相手とも真っ向勝負ができるほどの有り余るパワーをコンセプトにロイド・アスプルンドとセシル・クルーミーというブリタニア・ユニオン最高のナイトメアフレーム開発者が試作機として開発した強化パーツ《タイタスアーマー》をクインローゼスに装備させた機体であり、スペックだけなら次元獣やインベーダーなどの化け物とも互角に渡り合える性能を誇っており、実際にヴィレッタはこの機体でこれまでルルーシュ軍のナイトメア、モビルスーツ、モビルアーマーなど多くの敵を屠ってきた。しかし今回は相手が悪すぎた。厄祭戦時のガンダムフレームとモビルアーマーの2つの機体データと半壊していていたそれらの機体のパーツを元に開発されたハイブリッドガンダムフレーム、それがガンダムアザゼル。その性能は並のガンダムフレームを遥かに超えており機体の関節部や武装の一部にゲッター合金をコーティングすることでさらなる強化と耐久性を得ていた。その機体を操るのがかつてあのナイトオブワンのビスマルクがブリタニア・ユニオンの中で3指に入るほどのモビルスーツパイロットであると言わしめるほどの豪傑であるアレンであり、その上に阿頼耶識システムと薬物によるブーストを行っているのだからヴィレッタにハナから勝ち目などあるわけがなかった。しかしそれでもヴィレッタは諦める様子を欠片も見せずその瞳に確固たる意思を持ってアレンを倒すべくタイタンローゼスの右腕のチャージランスを唸らせガンダムアザゼルに向けながら突撃を仕掛ける。
『その程度の攻撃が、通用すると思うな!』
チャージランスの一撃がガンダムアザゼルに迫るが、その槍先がガンダムアザゼルに届くよりも先にチャージランスを右手で掴みメキっ!バキッ!と音を立てながら形を歪ませていく。このままでは危険だと判断したヴィレッタはすぐさまチャージランスをパージさせると同時に至近距離で両肩・両膝部に内蔵されているハドロン砲を展開すると同時に一斉に放つ。至近距離での一撃であったために回避は間に合わないと判断したアレンはウイングブレードを全面に展開することでハドロン砲を受け止め防御する。咄嗟の防御であったために6枚のウイングブレードのナノラミネート塗料がハドロン砲の熱によって溶け落ちてしまい刃の一部が赤くなっていた。しかしそれによってハドロン砲を防げたアレンはガンダムアザゼルの両腕でタイタンローゼスの両腕を掴むと強引に引きちぎった。タイタスアーマーの両腕を失ったヴィレッタは苦肉の策としてタイタスアーマーの足と背中のブースターを最大パワーで噴かせると同時に分離してタイタスアーマーをガンダムアザゼルにぶつける。
『ちぃっ!?』
ナイトギガフォートレス大の質量が勢いよくぶつかったのとタイタスアーマーに内蔵されていたユグドラシルドライブを自爆させた衝撃を真正面から受けた衝撃でガンダムアザゼルは思わず仰け反ってしまいアレンは苛立ちながら舌打ちをこぼすが、すぐさま
『なっ!?』
ヴィレッタは最後の武器であるMVSが折れてしまったことに驚愕するが、アレンは武器を失って呆然としているヴィレッタに対してガンダムアザゼルの拳をタイタンローゼスのコックピットへと叩き込むが、寸前のところでヴィレッタはタイタンローゼスの機体をそらすことでコックピットへの攻撃は回避出来たがその代わりに頭部と右腕が犠牲になりその拳の衝撃も受け流しきれずタイタンローゼスは勢いよく殴り飛ばされ地面を何度も跳ねながらビルに叩きつけられた。
『ガハァッ!?』
コックピットの中で激しく至る所に身体をぶつけていたヴィレッタはビルに叩きつけられた際に背中を強く打ちつけ、彼女の喉から息と血が吐き出された。コックピットの計器などに身体の至る所にぶつけたのか腕や足に青アザができており、額や腹部に壊れた計器の破片による切り傷などができており薄らと血を流していた。ヴィレッタは痛みに耐えながらひび割れた画面で外の様子を見ようとする。そして彼女が視線を上げた先に映っていたのは地獄だった。
『姉さん!』
『今助けに────』
『余所見をするとは、随分余裕だな?』
武装もろくに残っていない半壊状態のタイタンローゼスを見てヴィレッタが危険だと思ったクリウスはミシェヌ姉を助けるために指揮官ヴィンセントを飛ばそうとしたが、ヴィレッタが倒されたことで動揺して隙だらけになっているその姿を見逃す訳もなくヘルクはレギンレイズラーミナの双刃刀を振り下ろしてクリウスの身体を指揮官ヴィンセントごと真っ二つに切り裂き、すぐ隣でクリウスが殺されたことに目を見開いて驚いているミシェヌの指揮官ヴィンセントの胴体にライフルの銃口を押し当てるとそのままグレネードを放ち、ミシェヌは胴体を消し飛ばされそのまま指揮官ヴィンセントのユグドラシルドライブの誘爆に巻き込まれ爆散した。
『クリウス兄さん!ミシェヌ姉さん!?』
『よくもっ!!』
『煩い羽虫どもだ』
『いい加減己の運命を受け入れよ』
兄妹を目の前で殺されたことで頭に血が昇ったフェリシアとシュルヘは仇を討つべくヘルクに対してヴァリスと双剣型のMVSで攻撃を仕掛けようとするが、その攻撃が届くよりも先にマクスの辟邪・紅蓮の両手のハンドガンがフェリシアとシュルヘの指揮官ヴィンセントの四肢の関節を撃ち抜いて達磨状態に抵抗できなくなった所をキリガの辟邪・蒼天のトマホークアックスが横薙ぎに切り裂いたことで爆散した。
『『う、うわぁぁぁっ!?』』
『『撃て』』
続け様に兄妹を殺されたことで恐慌状態になったグレンダとサレンは敵を倒すことしか頭に残らず攻撃を仕掛けようとしたが、アミラとクルトのマリミラン兄妹による無慈悲な命令によって待機していた第二機甲師団たちのグレイズ、レギンレイズ、ランドマン・ロディ、ガルム・ロディ、ユーゴーたちによる一斉掃射が行われグレンダたちは僅かに生き残っていた純血派のメンバーたちの機体を蜂の巣にして爆散させた。これによってこの場で生き残っているのはヴィレッタのみとなった。
『クリウス、ミシェヌ、フェリシア、シュルヘ、グレンダ、サレン・・・みんな、みんな死んでしまった・・・』
ヴィレッタはうわ言のように兄妹たちの名を呟きながら見開いた目の端から涙を流す。自分を慕い付き従ってこんな場所にまで聞けてくれた守りたかった大切な家族。それがまるでゴミ屑のように殺された。しかも敵として見なされずただ邪魔だからと殺されその上その亡骸を踏み躙る姿を見せられたヴィレッタは怒りで震える手で操縦桿を握る。
『─────これが現実だヴィレッタ・ヌゥ。貴様の選択してきた結果がこの惨状を生み出した』
アレンはクリウスの指揮官ヴィンセントの頭部を踏み潰しながらガンダムアザゼルをタイタンローゼスに近づけさせるとその頭部を掴み持ち上げながらヴィレッタに対して容赦なくそう告げる。
『皮肉なものだな。貴様は貴族としての高い地位を求め多くのもの達を蹴り落としてきた。そんなお前がこうして大切な家族と仲間を奪われたった1人生き残った・・・』
アレンは全てを失ったヴィレッタに対して過去のブリタニアによって大切なものを奪われた無力だった自らのことを重ねそうになったが、売女であるヴィレッタと自らを一瞬でも重ねたことを不快に感じたのか無意識に操縦桿を握る手が強くなっていた。
『あぁ不快だ・・・。やはりお前はここで死ね』
『アレン・フォルネウスゥゥゥ!!』
アレンはガンダムアザゼルが握っているタイタンローゼスを壁に叩きつけた。コックピットブロックが壁に叩きつけられる直前、ヴィレッタは家族と仲間たちを奪ったアレンたちに対して怨嗟の声を上げるがその声がアレンに届くより先にコックピットブロックごとタイタンローゼスは壁にぶつけられ赤い血花を散らしそのまま機体の動力源であるユグドラシルドライブが誘爆し爆散した。
『アレン様。我々はクルシェフスキー卿と合流して残党共を皆殺しにしてまいります。アレン様は後方に下がって身体をお休み下さい』
『あぁすまないが頼む・・・』
ヘルクはそろそろアレンが投与した薬の効き目が切れると判断して下がるよう進言するとアレン自身もこれ以上の戦闘は近々行われる聖戦にも響くと考えその進言を受け入れ配下を何人か引連れながら大人しく後方に下がり、ヘルクたちはモニカやミリアルドたちに合流すべく進軍を開始した。
──────この時、コックピットブロックを完全に破壊したことを確認したからヴィレッタ・ヌゥを殺したとアレンたちは確信していた。しかし、ヴィレッタ・ヌゥとタイタンローゼスが完全に破壊される直前パイロットと機体が深い闇の中へと沈み込まれていたことに誰も気が付かないでいたのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ヴィレッタがアレンたちに討たれたのと同じ頃、ノネットとオルドリンたちグリンダ騎士団はドロテアとデシルの2人のナイトオブラウンズと激闘を繰り広げていた。同じナイトオブラウンズ同士であるノネットとデシルは互角の攻防を繰り広げているが4人がかりで攻め入っているはずのオルドリンたちはドロテア1人相手に苦戦を強いられていた。
オルドリンたちも優秀な騎士として多くの戦場で戦ってきた。しかし彼女たちが相手どっているのはナイトオブワンであるビスマルクに並ぶ豪傑であるドロテアでありその実力は実質ナンバー2とも言えた。
『ハアァァァッ!!』
オルドリンがランスロットグレイルのシュロッター鋼ソードでドロテアのパロミデスに切りかかるが、それに対してパロミデスは戦斧型のMVSで受け止めそのままパロミデスの出力に任せた力任せでランスロットグレイルを弾き飛ばしてメギドハーケンを射出しようと構えていたレオンハルトのブラッドフォードブレイブにぶつけることで追撃を防いだ。
『このぉっ!!』
パロミデスが戦斧を振り切ったのを確認したソキアはチャンスだと捉えてシェフィールド・アイの12基の
『ふんっ!!』
『ウッソォ!?』
ドロテアはパロミデスの両肩のフィンガーハドロン砲を展開すると同時に機体を回転させることでハドロン砲を薙ぎ払うように放ち、迫り来るACOハーケンを全てかき消した。防がれたことに驚いているのかソキアは思わず声を上げてしまうが、それに対してドロテアはパロミデスのフィンガーハドロン砲の砲身をシェフィールド・アイに向けると同時にハドロン砲を一斉に放射した。ソキアは咄嗟に回避行動を取らせたことで直撃は避けられたが全ては避けきれず右脚の一部が溶解してしまいバランスを崩してしまう。そのような隙を見逃す訳もなくドロテアはパロミデスのフィンガーハドロン砲をシェフィールド・アイに放とうとしたがその寸前に攻撃を中止してパロミデスを上昇させる。それによって先程までパロミデスがいた場所にハドロン砲が通った。ドロテアが視線を下に向けるとそこには半壊しているビルの上でメガハドロンランチャーを構えているティンクのゼットランド・ハートがいた。
『流石は名高きグリンダ騎士団。その実力は確かなものだ・・・故に残念だ、その力を大義のためでなく自らのために使うというのだからな』
『エルンスト卿・・・!!』
ドロテアはオルドリンたちの実力を認めながらもその力を自らの私欲のために使う事は許されないことだと蔑むが、オルドリンたちはその言葉を否定しきれないと分かっていてもここでコーネリアたちを見捨てることは己の騎士として教示が許されなかった。故にここでドロテアを倒して何としてでもコーネリアの元へ向かわなくてはならないとオルドリンたちが気を張ったその時だった。
『────下がれオルドリン』
『えっ────』
上空から声が聞こえて思わず足を止めるオルドリン。そしてその声が聞こえたのとほぼ同時にパロミデスに巨大な白い影がぶつかりパロミデスを弾き飛ばした。
『その白い紅蓮タイプの機体、貴様ピースマークか!!』
『答える義理はない』
パロミデスに襲いかかった白いナイトメアフレーム───《烈火白炎》のコックピットの中でオルフェウス・ジヴォンはドロテアの言葉にそう返しながら烈火白炎の右腕の武装である《七式統合兵装右腕部》から2枚のブレードを展開させ鋏のような形状にさせた《参式荒咬鋏》でパロミデスに攻撃を仕掛けるが、ドロテアは戦斧を振りかぶることで参式荒咬鋏をはじき飛ばす。鋏が通じないと判断した一旦距離をとってオルフェウスは烈火白炎のブレードを収納してマニュピュレーターと入れ替わるように展開する射撃形態である《六式衝撃砲》へと変形させてパロミデスに徹甲榴弾を放つ。
烈火白炎。反ブリタニア思想の傭兵派遣会社に近い性質を持っているテロリスト派遣組織《ピースマーク》の中でもトップクラスの実力を誇るオルフェウスが紅蓮壱式をベースに自ら専用にカスタマイズされた機体。主武装である七式統合兵装右腕部は十徳ナイフのような右腕に計7種類の武装を内蔵しており、状況に合わせて瞬時に切り替えて戦闘を行うことが可能であり、さらに奥の手として頭部の角内部に搭載された小型のゲフィオン・ディスターバー《|拡散輻射波動装置 >ゲフィオン・ブレイカー》》はエナジー・フィラーの大量消費に加え、本機自体にも対策されていない事から、使用すれば本機も停止するというデメリットを抱えているものの、展開すれば半径100mのサクラダイトの活性化を停止させる事が出来るという強力なカードであった。
オルドリンは双子の兄であるオルフェウスが現れたことに動揺して機体を止めてしまい、オルフェウスとドロテアの激しい攻防を棒立ちしながら見入ってしまっていた。そんなオルドリンに対してオルフェウスはプライベートチャンネルを繋げた。
『お兄ちゃん・・・』
『ここは俺たちが食い止める。お前たちはコーネリアたちを救出に迎え』
『俺たち・・・?』
オルドリンはオルフェウスのオレたちという言葉に引っかかり思わず聞き買えそうになったが、それより先に爆発音が聞こえ、その方向に視線を向けるとそこにはデシルのギラーガカスタムをウイングパックを装備したオプティマスプライムがエネルゴンソードで斬りかかっている姿があった。よく見ると他にもバンブルビーやアイアンハイドたちオートボットたちとガルム・ロディやザクII、ティエレンなどのモビルスーツ、サザーランドや暁などのナイトメアフレームを運用しているウィリアム・レノックス率いるNEST部隊がドロテアとデシルが引き連れた部隊と戦闘を繰り広げていた。
『この鉄クズ野郎が!邪魔すんじゃねぇよ!!』
『貴様のようなゲスに鉄クズ呼ばれされる言われはない。その薄汚い顔を剥いでやる!!』
デシルはノネットを殺るのを邪魔したオプティマスに対して敵意を隠さずにギラーガカスタムのフォトンビットでオプティマスを攻撃しながら叫ぶが、それに対してオプティマスはエネルゴンソードとエネルゴンアックスで迫るフォトンビットを切り払いながらギラーガカスタムに接近しようとジェットパックのブースターを噴かせる。
『こちらドライクロイツ所属のNESTの隊長ウィリアム・レノックスだ!ここは俺たちが相手をするからあんたらはコーネリア皇女を救出しに行け!』
ドライセンを操るレノックスからの突然の命令にオルドリンたちは躊躇ってしまう。オプティマスたちオートボットとレノックスたちNESTとは偶発的に遭遇したディセプティコンを相手取る時に協力した時はあるが、基本的に所属する組織・国の問題から彼らの言葉を素直に受け取ることが出来ず対応が遅れてしまう。しかし、続いて告げられたレノックスの言葉にオルドリンたちは彼らが焦っている理由を理解した。
『数時間前にファウンデーション王国から核ミサイルを搭載した戦艦が出航した情報が届いた!!連中このオオサカにいる奴ら全員を核で消し飛ばす気だ!!』
『『『『『なっ!?』』』』』
レノックスからの言葉にオルドリンたちは驚愕のあまり目を見開いてしまう。多元世界になる以前から核兵器はその威力の高さと環境に与える悪影響の高さから兵器としての使用が禁止されている。故にこれまでこの多元世界ではどの勢力も核を武器として使用されることは一度たりともなかった。そんな核兵器をなんの躊躇いもなく使おうとするファウンデーション王国に対してオルドリンたちは新人類と名乗るオルフェたちに嫌悪感と怒りを抱いた。
『正確な時間は分からないが少なくともファウンデーションの親衛隊連中は後1時間もしないうちにここに辿り着く!その前にこの戦場から撤退するためにもコーネリア皇女たちを救出しろ!!』
『情報感謝するよレノックス大尉。聞いたね!そういう事だから何としてでも早急に殿下を救出するよ!!』
『『『『イエス・マイロード!!』』』』
レノックスからの情報を聞いたノネットたちは今の自分たちがかなり危険な状況に陥っていることを理解してオルフェウスとオプティマスたちの助力に応えるためにも何としてでもコーネリアたちを救出すべくすぐさま行動を移し、オルドリンたちはグランベリーに帰投すると同時にコーネリアたちがいるであろう天空大楼閣へ向けて出航した。当然ドロテアとデシルも黙って見ているだけなわくノネットたちを追いかけようとしたが、オルフェウスとオプティマスたちに妨害されそれも失敗に終わった。
──────予定外の助っ人の登場によってドロテアたちを振り切ってコーネリアたちの救出に向かうことができたオルドリンたち。彼女たちによるコーネリアたちの救出が間に合うのか、それともコーネリアたちが命を落とすのが早いかは誰にも分からないことであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『────お願い。どうかわかって、お姉さま・・・』
それがかけがえのない妹で、唯一無二の家族であるユーフェミア・リ・ブリタニアの別れの言葉になってしまったのを、コーネリア・リ・ブリタニアは今でも痛いほど覚えている。
あの《行政特区・日本》の独立宣言が行われた日の夜。ユーフェミアと交わした会話。その後、コーネリアはつとめて妹のことを避けた。顔を合わさなかった。面会を申し込まれても、職場を理由に拒絶し、特区についての話は全てダールトンにさせていた。ユーフェミアの側は特区準備の多忙さの中にあっても、何度も何度も姉との対話を望んでいたと言うのに。感情の赴くままに、コーネリアはその全てを跳ねつけた。だから、それが別れの言葉。
分かってほしいと、理解してほしいと懸命に訴えかけていた妹。それを自分は全く顧みることなく冷たく突き放したまま、あんな形での二人の時間は終わった。一時はどんなに対立していたとしても、コーネリアはユーフェミアの姉で、ユーフェミアはコーネリアにとって最愛の妹であったはずなのに・・・。
その後悔と自責の中での茫然自失は、やがて、モニター越しに映る、各地で炎が上がっているオオサカ租界の街並みを見た時から姿を変える。ある一点に向けて感情が怒涛のように注ぎ込まれて、同時に心が、頭が氷のように冷めきっていく。その氷の如き感情が、後悔と自責を一気に封じ込めた。
かつて、ユーフェミアがその罪を許そうとしていたひとりの男にして、弟。自分よりもその残酷な境遇を知っていたからこそ、皇女としての自分と引き換えに、自分の身を全て投げ出してまで、ユーフェミアはその弟────ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと、その妹のナナリー・ヴィ・ブリタニアを救おうとしていた。それほどのことを、私の愛するユフィは、彼らのためにしようとしていた。それが理解できず、むしろそれなのにその妹の厚意に報いたことを思えば、コーネリアは心を焼き尽くすほどの殺意と怨念を抱えていた。しかし────。
『あなたにとってユフィ姉さまは、私にとってルルーシュ兄さまがそうであったように、唯一無二の家族と呼べる存在だった。だからこそ、9年間私たちとお付き合いがあったのに、私たちを見捨てた。ルルーシュ兄さまの変化の理由を知ろうとしなかった』
『どうして8年前、私たちを見捨てたのですか? 成人していたコゥ姉さまなら私たちを守れたはずなのに、どうしてカンボジアで会うまで放置していたのですか』
まるでルルーシュの気持ちを代弁するかのように、ナナリーから吐きつけられたあの静かなる怨嗟が、コーネリアの殺意と怨念に水を差し、一気に冷やしていった。
そして後に残ったのは、混迷だった。自分は一体、今まで何をしていたんだ。何をするべきだったんだ。何をすれば、あの時ユーフェミアも救うことができたというのか・・・。
『姉上こそ、私の母、《閃光》のマリアンヌに憧れていたくせに。────だが結局、姉上は何もなさらなかった。何も。私の母がああなるまで・・・ナナリーがああなってしまうまで』
ブラックリベリオンの時、あのトウキョウ租界の政庁屋上で、ゼロの仮面を脱ぎ捨てて正体を明かしたルルーシュも、冷酷な弾劾を投げかけてきた。
その言葉に、憧れの存在だった《閃光》の異名を持つ伝説の[[rb:騎士 >パイロット ]]、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアの憧憬と、彼女に師事した日々のことを、コーネリアは思い出した。そして、ユーフェミアとは別の後悔と自責が湧いて出てきた。
そうだ。確かに自分は進んで師事するほど、マリアンヌに憧れていた。だというのに、なぜ彼女が死ぬ日に「護衛をとけ」と言ったのに二言三言文句を言っただけで引き下がってしまったんだ? そしてユーフェミアがあれだけ優しくしていたルルーシュが変わってしまったことを調べようとしなかったんだ?
・・・いや、どれだけ考えても答えは出ないし、仮に出たとしても何かが変わることはない。
帝国の概念に信じきり、自分と妹と帝国が全てだと信じきり、
そんな自分に残された
『この上は、差し違えてでもルルーシュどもを討つ・・・!』
────それが自分が、ユフィに、ルルーシュに、ナナリーのためにできる最後のけじめだ。
これまで何もせず、あるがままの流れに身を任せ続けてきたことから、落ちるところまで落ちてしまったが故の昏い覚悟を露わにするコーネリアの言葉に、裏でその言葉を聞いていたエンブリヲは愉悦そうに笑っていたのだった。
─────時は戻って現在、モニカ率いる第三機甲師団と深淵騎士団の精鋭たちとコーネリア率いるブリタニア軍は激戦を繰り広げていた。どちらも数え切れないほどの戦場で死線を潜り抜けてきた実戦経験豊富な戦士たちが揃っており主君への忠誠も高い事から士気は高い。その中でも一際激しく死闘を繰り広げているのはそれぞれの軍の大将であるコーネリアとモニカであった。
『────死に晒せぇぇぇぇっ!!!』
猛然と突っ込んできたロムルスのブレイズランスを、フローレンス・フィオーレはグラムで防ぎ切る。ブレイズランスが激しい火花を散らして、グラムとぶつかり合い、互いに激しく装甲を削り合った。
『魔女にふさわしい姿になりましたね、コーネリア殿下。ですが』
モニカが操縦桿を捻るとフローレンス・フィオーレの両肩のハドロンバレットの砲身をロムルスに向けると同時に発射する。それをコーネリアはロムルスのブレイズランスのブレイズルミナスを展開させることで防御すると同時に脛部追加装甲を展開させることで現れた大型クロー《レイザークロー》をつま先から刃を飛び出させて下から蹴りあげるようにフローレンス・フィオーレに斬りかかるが、既のところでフロートシステムを後ろへ吹かせて素早く回避。同時に両腕に内蔵された鋭い鉤爪状の大型クロー型MVSを展開させると同時に背部のフロートユニットに内蔵されている3つの刃がついた12基の円盤状の小型ビット兵器
『っ!?』
コーネリアはゾディアックエッジと大型クローの攻撃に驚き一瞬目を見開くが、すぐに右腕に握っているブレイズランスで大型クローとゾディアックエッジを弾き飛ばすことで防御する。それによって機体へのダメージは最小限に防げたがその代償としてブレイズランス1本がボロボロに傷つきブレイズルミナス発生機構にも深いダメージを負ってしまった。
『小癪っ!!』
コーネリアは喚きながら、爆発しそうになっているブレイズランスを破棄すると代わりに腰部にマウントしていたアサルトライフルを右手で構えると同時にフローレンス・フィオーレに向けて発射する。この時、ゾディアックエッジの攻撃によってロムルスの右腕の関節部にヒビが入ったことでアサルトライフルから銃弾を放つ度に右腕の関節部が悲鳴を上げるがコーネリアにそれを気にしている余裕はなかった。
『その程度の攻撃が、私に通用すると思いですか!!』
モニカが叫んだと同時にハドロンバレットの砲身をパージしてハドロンエネルギーの刃を展開すると同時に右腕にグラム、左腕にシザーシールドを装備してロムルスに斬りかかる。
『ぬううっ・・・!!』
コーネリアは忌々しそうに歯噛みしながら、アサルトライフルの発射を中断してフロートシステムによる瞬間的な後退で回避する。だが休む暇も与えず、フローレンス・フィオーレはグラムとハドロンブレードで斬りかかりながらシザーシールドで鋏みかかる。これによってすこしずつロムルスの装甲が斬られていき、一部はハドロンの熱によって溶けていた。
『何故だ!?何故私があんな裏切り者如きに圧倒されるっ!!』
コーネリアは吐き捨てながらロムルスの両肩にあるブラスタータイプのハドロン砲、両腰のショットタイプのハドロン砲、両脚部のミサイルポッドを乱射する。だがそれの悉くはフローレンス・フィオーレによってかわされ、12基のゾディアックエッジによって迫るミサイルポットが切り裂かれ空中で爆散する。そしてゾディアックエッジの刃がロムルスの両肩・両腰のハドロン砲に突き刺さって爆発させて破壊する。
手負いでありながらもコーネリアは強かった。ルルーシュの母親であるマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアに憧れ、己を鍛えに鍛えてきたブリタニアの屈指のナイトメア乗りである彼女と、エンブリヲから与えられた贈り物で、かつてのコーネリアの愛機であるグロースターをも越えるスペックと高い格闘性能を誇るロムルス。もしも第一次トウキョウ決戦の時のようにルルーシュとC.C.が相手だったら、成す術もなくガヴェイン、いや、蜃気楼ごと粉砕されていたことだろう。
しかし、対する相手であるモニカ・クルシェフスキー、その乗機であるフローレンス・フィオーレはそうではなかった。搭乗者であるモニカは卓越した身体・戦闘能力とラウンズとして培ってきた圧倒的な操縦技術を併せ持っていて、フローレンス・フィオーレはランスロットを製造したキャメロットも含めたブリタニア・ユニオンの技術陣とビアン・ゾルダークシュウ・シラカワたち別次元の優秀な技術陣たちによる総力を結集して作り上げた、《神殺の英傑》に与えられしライとルルーシュたちの専用機に次ぐ12機の最高傑作のひとつ。
ロムルスに負けず劣らずのパワーとスピードを持つ機体と、それを操るモニカというトップクラスのナイトメア乗りがいるからこそ、コーネリアを真っ向からやり合い、そして圧倒できている。
そうしてモニカとコーネリアが激しい激闘を繰り広げているのと同じように第三機甲師団、深淵騎士団とコーリア親衛隊もまた激闘を繰り広げていたが徐々に第三機甲師団と深淵騎士団が優勢に傾き始めていた。
『第一次トウキョウ決戦とは立場が逆転したようだな』
『死ぬ前に聞かせてもらおうじゃないかしら。ねぇどんな気分なの?』
ガンダムアスレイ・陽炎の虎徹と鬼切、ストルムセイバーガンダムの2振りのヴァジュラビームサーベル改でコーネリア軍のナイトメア・モビルスーツを切り捨てながら箒と楯無が嘲りも込めてギルフォードへ問いかけてくる。
『元黒の騎士団の番犬どもが戦の最中に無駄口を叩くか。我々と姫様は、貴様らとは違う!!』
それをランスで凌ぎながら、ギルフォードが叫び返す中、
『ぐああああっ!!コーネリア、殿下を・・・守、っ・・・』
すぐ近くから爆発音と、断末魔が聞こえてきた。
ギルフォードがハッと振り返った先には、グラストンナイツの1人であるデヴィット・S・ダールトンが、クインローゼスもろとも篁唯依の天叢雲の近接戦闘長刀弍式であっさりと撫で斬りにされたところだった。カルラの背後で、撫で斬りにされたデヴィットのクインローゼスが爆砕し、デヴィットは炎の中で肉片ひとつ残さず一瞬で燃え尽きる。
『デヴィット!!』
『おのれよくもっ・・・!!』
兄弟であるデヴィットの仇を討とうと、エドガー・N・ダールトンとバール・L・ダールトンが、それぞれのクインローゼスを唯依の天叢雲へと突進させる。だがそこへ、今度は御剣冥夜と御剣悠陽の天叢雲が立ち塞がってきた。
『遅いっ!!』
突如現れた2機の天叢雲に驚き、エドガーとバールが突進を中断しようとした矢先、冥夜と悠陽のそれぞれの天叢雲の近接戦闘長刀弍式を突きを繰り出した。
『落ちなさいっ!!』
悠陽の声が響く中、エドガーとバールのクインローゼスのコックピットを貫く一撃によって身体を両断され、エドガーとバールもデヴィットの後を追うようにして死亡した。
『エドガー!バールっ!!おのれ!よくも我らが兄弟たちをっ!!』
アルフレッド・G・ダールトンが仇を討とうと天叢雲たち目掛けてクインローゼスを突進させた。
だが立ち塞がってきたのはギランのコルニクスだった。
『貴様らにも信じる正義と主君がいるのだろう。だが、我らの正義の邪魔をするというのなら排除するのみだ』
アルフレッドのクインローゼスは、コルニクスの両肩の6本のハドロン砲から放たれるハドロンスピアーによって焼き落とされ、無防備となった胴体に2本のMVSを突き刺し身体を貫かれたアルフレッドは絶命した。コーネリア軍の両翼の片翼をになっていた亡き将軍・アンドレアス・ダールトンの美しくも強い子飼いの騎士たちはたった1人を残してあっという間に
『死守しろっ、なんとしても!! ここを破られたら────我が軍は完全に崩壊するっ!!』
だが、そのギルフォードら親衛隊の力をもってしても、戦場全体は変えられない。それを最も的確に言い表したのは、デヴィットを倒してきた結依たちの天叢雲と、クインローゼスのランスで鍔迫り合いを演じるクラウディオだった。
『姫様やギルフォード卿の軍事的手腕が劣っているわけではない・・・!しかしそれ以上に奴らの力が我らを上回っている!!このままでは我らだけでなく姫様の御命も・・・!!』
租界軍の崩壊は、終極に達しようとしておりコーネリアとモニカの戦いもまた終わりを迎えようとしていた。
『この、青二才の軟弱者どもがぁっ!!』
ミサイルポッド、ハドロン砲、そしてブレイズランスと武装を全て破壊され、装甲も半分以上削り取られたコーネリアは、血を吐くような叫びと共に最後に残された切り札を起動させた。
『死なば諸共・・・!冥土の土産に、裁きの刃をその目に焼き付けていけ!!』
4本のMVSを1つの大剣に合体させハドロンエネルギーを刃に纏わせた兵装《デモリッシュソード》がその膨大な熱量によってロムルスの周囲に陽炎が発生させた。
『それがあなたの切り札ですか。いいでしょうならばこちらも切り札を切らせてもらいましょう』
一瞬、その凶悪さと苛烈さに息を呑みかけたモニカだが、モニカもまたグラムに内蔵されている小型のゲッター線カートリッジを起動させることでハドロンエネルギーとゲッターエネルギーの2つのエネルギーを纏わせ迎え撃つ姿勢を取る。
『捉えたぞ!! お前たちの命は、私の手の中に────!!!』
防御と攻撃の同時をとり、真っ向から迎え撃とうとするフローレンス・フィオーレを見て、コーネリアの瞳が、表情が、かつて第一次トウキョウ決戦でルルーシュを追い詰めた時のように鬼火のように激しく燃えた。
『コーネリアぁぁぁっ!!』
『仇ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!』
最大戦速でフローレンス・フィオーレめがけて突撃するロムルス。フローレンス・フィオーレもまたグラムの刃に全エネルギーを纏わせた最大火力を叩き込もうとする。
しかし────。
その衝撃は一瞬だった。
フローレンス・フィオーレが真っ向から迎え撃とうという姿勢があったのも含め、復讐に命を燃やすコーネリアにとっては外しようのない距離であった。否、たとえ外れる距離であったとしても、今の彼女なら当てただろう。だが、なぜかデモリッシュソードがフローレンス・フィオーレに届くことはなく、そればかりかフローレンス・フィオーレの目と鼻の先の距離でロムルスの動きが止まっていた。
それより先、わずかに速くコーネリアのロムルスを貫いた鉤状のハーケン。それは目の前にとらえたフローレンス・フィオーレのものではない。
『な・・・に・・・?』
ロムルスに穴が開く。コクピットを直撃こそしなかったものの、もはや機体を動かすことなどできない致命傷がネメシスの動きを止め、衝撃で飛び散ったコクピットの機材の破片が、皇女の体に突き刺さり、その軍服を深紅に染める。
機体後方を映すモニターに、ガンダムタイプのモビルスーツ───《ロードアストレイダブルリベイク》が映っていた。
未知の戦力であるロードアストレイダブルリベイクの登場にコーネリア軍も第三機甲師団も深淵騎士団の誰もが困惑しているとロードアストレイダブルリベイクから声が響き渡った。
『アハッ♪アハハハハハハっ!!』
狂気のこもった女性の笑い声が戦場に響き渡った。誰もがその狂気を前にしてどう動くべきか分からず立ち止まっている中ただ1人、箒はその声を聞いて驚きのあまり目を見開いていた。
『姉・・・さん・・・?』
ロードアストレイダブルリベイクから聞こえたその声は箒の姉でありブリタニア・ユニオンから超特級危険人物として指名手配されたマッドサイエンティスト《篠ノ之束》だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「はぁ・・・はぁ・・・!!」
オオサカ租界の地下通路をジブリールは必死に逃げていた。ミリアルドたち第一混成師団と戦闘を繰り広げていた彼とロゴスの兵士たちであったが、数は圧倒的にジブリールたちロゴスが上回っていたのだが実力はミリアルド達の方が圧倒的に上回っていたために彼らはあっという間に殲滅されてしまった。ジブリール自身は護衛であったデストロイガンダムを盾にして半壊したジェノサイドガンダムから脱出して逃げ延びることに成功した。しかしジブリールが逃走しているのを見ていたミリアルドたちは街を破壊しながらしらみ潰しにジブリールを探しているため見つかるのもそう時間はかからないだろうとジブリールは考えており、必死に逃げながら何とか自分が生き残るためにこの地下に眠っているある機動兵器が格納されている場所へと向かっていた。
「ミリアルド・ピースクラフトめ・・・っ!!今に見ていろ、これさえ起動すれば貴様も上にいる連中全員倒すことなど訳が無いっ!!」
ジブリールは恐怖で顔を引き攣られせながらも狂気が宿った瞳で地下格納庫の扉の前に着くとパスワードを入力して扉を開きその中へと入っていった。そしてその格納庫の中心には大量のケーブルが繋げられている巨大な悪魔の翼を持った超巨大機動兵器《ミクトラン》が鎮座していた。このミクトランという機体は時空震によって別次元からこの多元世界に飛ばされた兵器の1つであり、それをギアス教団が秘密裏に回収しV.V.がギアス教団のフラッグシップ機として改修していたのだがミクトランが完成する前にルルーシュとZEXIS・ドライクロイツたちによる襲撃を受けてギアス教団が壊滅したことで日の目を浴びることはないと思われていたが、それに待ったをかけたのがエンブリヲだった。
生き残りのギアス嚮団と接触していたエンブリヲは、開発途中段階とはいえミクトランの圧倒的なスペックに興味を示し、駒として利用できないかと思いついた。さらにV.V.の影武者として用意されていたとあるギアスユーザーにV.V.の死体から回収した脳を移植したことで蘇生したV.V.の四肢を切断してリユース・P・デバイスと5度の阿頼耶識システ厶の施術を施した上でミクトランのコックピットブロックのシステムと四肢を繋げ、機体内部に蓄えていた膨大なエネルギーを生命維持装置とすることで半死半生の[[rb: 屍人>ゾンビ ]]として無理やり生きながらえさせらた状態の生体部品使われていた。
この機体は完成しているとはいえまだ起動実験もろくに行っていない。そんな機体がまともに起動するのかジブリールには分からないことであったがスペックだけならばコーネリアのロムルスやヴィレッタのタイタンローゼスなどの機体よりも遥かに上回っておりこれならばミリアルドたちを倒すことも不可能ではないと考えていた。
「さぁ目覚めろミクトラン!!そして地上の奴らを皆殺しにしろ!!」
ジブリールは高らかに笑いながらミクトランを起動させるためのレバーを勢いよく下ろした。するとミクトランのあちこちから起動音がなり始め、ケーブルが次々と抜け落ちていく。上手く起動したことにジブリールは歓喜の声を上げながらミクトランを見上げる。
「フハハハハ!!さぁミクトランよ、愚かな野蛮人共を滅ぼ────」
ジブリールが最後まで言う前にミクトランの腕が振り下ろされ、ジブリールは潰れたトマトのように地面に真っ赤な染みを作るのだった。
『ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!ル゛ル゛ーシ゛ュ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛!!』
目ミクトランのコックピットの中でV.V.はルルーシュへの恨みを叫びながらミクトランは目覚めるのだった。
─────冥府より蘇った死者は生者への怨みを抱きながら地上へとその姿を現すのだった。
あとがき
いよいよオオサカ租界編の話も終わりが近づいてきました。ヴィレッタとコーネリアがどうなったかはまた先の話で語らせてもらいます。ジブリールの末路は水星の魔女で有名なシーンの一つであるガンダムエアリアルの「やめなさいっ!」をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。オオサカ租界編のラスボスはファウンデーション王国、篠ノ之束、ミクトランになります。予定としてはオオサカ租界編は2、3話で終わるようにして今年中に投稿したいと思います。