スーパーロボット大戦Z 魔王の降臨   作:有頂天皇帝

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まえがき
更新バカ遅くてすみませんでした・・・。更新速度少しでも上げられるように毎日数百でもいいから書き進めるよう心がけて投稿頑張りますのでお願いします・・・。今回はフジの決戦前に向けての準備回その1になります。前半ZEXISとドライクロイツが出てますが彼らのフジの決戦前の準備は次回以降になります。今回はルルーシュ陣営の方がメインとなります。


REBELLION STAGE21. 終演に向けた一夜

オオサカ租界での戦闘から2日後。各地でルルーシュ皇帝軍とシュナイゼル連合軍を始めとした勢力と戦闘を繰り広げていたZEXISとドライクロイツの全メンバーと次元震によって新たにこの世界に飛ばされたリュウセイ・ダテやキョウスケ・ナンブ、ルージ・ファミロン、真壁一騎などのメンバーが竜宮島に集まっていた。キラやベニオなど一部のメンバーは意識が戻っていないために会議に参加することは出来ていないが、ほとんどのメンバーが竜宮島に急遽建てられたブリーフィングルームに揃っていた。

そこではスメラギ、ジェフリー、ミツバ、ブライト、ダイテツ、レフィーナを始めとした艦長たちを中心に黒の騎士団と完全に手を切ったマグバレッジたちからまず現在の黒の騎士団の情勢について聞くことにした。

 

「・・・周知の事だとは思いますが、現在の黒の騎士団はシュナイゼル率いる旧皇帝派のブリタニア軍と結託したものの、未だ内紛状態が続いています。騒動の発端がCEOであるゼロがルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだったことに起因しているのですが、シュナイゼル・エル・ブリタニアとの密談と取引に扇事務総長と藤堂幕僚長らが独断で応じたこともまた起因となっています」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・やはり、か」

 

マグバレッジから伝えられる内容を聞いてロジャーとF.S.が表情を重くして唸る中、マグバレッジは続けた。

 

「さらに浅間山での日本解放戦線との戦闘時にて、独断でゼロを追放したことがライの策略によって明るみになってまったことが内紛を激化させるものとなりました。フレメヴィーラ王国とクシェペルカ王国の方々、そして神楽耶様たち超合衆国評議会の方々の力を以てしてでも騎士団のこの状況の改善は思うように進まない状況となっています」

 

「そんな中で、先日のアッシュフォード学園での会談の後、神楽耶様は黎星刻総司令と共に評議会を代表して和解案を提出されようとしたのですが、その前にシュナイゼルに先手を打たれてしまったんです・・・」

 

マグバレッジの言葉に続いて界塚伊奈帆も続けて言うと、スメラギが低い声で訊ねた。

 

「・・・それが、シュナイゼルからの引き続きの共闘の取引だということなのね?」

 

スメラギの問いに頷いた伊奈帆は、自分たちもカレンと一緒に黒の騎士団から脱退する前のことを話し始めた。

 

シュナイゼルの籠絡に乗せられて、かつては黒の騎士団の総帥リーダーだったゼロことルルーシュを弾圧・追放したことによる重責と、同じくかつての仲間であり、ルルーシュを守る新たな皇帝騎士のひとりとなったライが残した思いは、扇の在り方に大きな影響を及ぼしていた。

そんな中で、盟友(ルルーシュ)を殺しかけてまで追放したのを契機に、扇たちに深い失望と憎悪を抱いたライが仕掛けた浅間山での計略と敗戦は、黒の騎士団に激震を走らせた。

そうして騎士団の結束が崩れ始めるという危急存亡の状況下、扇は黒の騎士団の事務総長ふくしれいとして、破竹の勢いで戦力を拡大するルルーシュへの対抗に向けて、同じくルルーシュを一方的に弾圧・追放した玉城、杉山、南、統合幕僚長の藤堂、その配下の四聖剣こと朝比奈と千葉、そして総司令の星刻と共に慌ただしく準備を進めていた。

そうして歪な方向へと徐々に変わりゆく黒の騎士団(仲間たち)の姿を、伊奈帆やエルネスティ、デュークたち黒の騎士団に残ったZEXIS・ドライクロイツメンバーが複雑な思いで見つめていた中、エンブリヲを通してシュナイゼルから再度の共闘の取引が持ちかけられたことが、決定打となった────。

 

 

 

斑鳩・作戦会議室。

そこにはルルーシュを追放した張本人である扇、玉城、杉山、南、藤堂、朝比奈、千葉がいる。星刻、香稟、洪古、ラクシャータ、カレンら黒の騎士団の幹部陣、神楽耶や天子ら超合集国の評議会も集まっている。そしてマグバレッジを含めたZEXISとドライクロイツから黒の騎士団に残っている《銀鳳騎士団》のエルネスティ・エチェバルリア、アーキッド・オルターことキッド、アデルトルート・オルターことアディ、ディートリヒ・クーニッツ、エドガー・C・ブランシュ、ヘルヴィ・オーバーリたち。《デューカリオン部隊》の界塚伊奈帆、界塚ユキ、網文韻子、カーム・クラフトマン、ライエ・アリアーシュ、鞠戸孝一郎。《華撃団》の大神一郎、真宮寺さくら、エリカ・フォンディーヌ、大河新次郎。ジェミニ・サンライズ。デュークフリード、グレース・マリア・フリード、牧場ヒカル、ルビーナ・ベリル・ベガ、テロンナ・アクア・ベガという豪勢なメンバーが揃っていた。

 

「また団員たちが脱走したのですか・・・?」

 

黒の騎士団のオペレータである双葉結芽、日向いちじく、水無瀬むつきの報告に、天子は驚きに顔を強張らせた。

 

「は・・・はい。以前、扇事務総長たちとの口論を繰り広げた方々で・・・」

 

「先のシュナイゼル皇子との取引と、ヴィレッタ・ヌゥの一件で、彼らの間でどんどん事務総長たちへの不満と不信の感情が強まっていきます・・・」

 

「そしてブリタニア軍第七機甲師団の流言によって、フレメヴィーラ王国とクシェペルカ王国の方々、それに傭兵団の方たちの間でも不信感が強まってきていて・・・同盟及び契約を破棄するべきだという声が、後を絶ちません・・・!」

 

「なんだと!!」

 

「ライの野郎、卑怯な手を使いやがって!!」

 

深く俯き、泣きそうな声で報告してくる双葉、日向、水無瀬に、杉山と玉城は怒りに顔を歪めた。南、千葉、朝比奈、藤堂もだ。

 

「・・・まさか、ライの計略がここまでのものだったなんて」

 

「しかも、あの浅間山以降も色々と手を回していたとは・・・抜かったな」

 

デュークと星刻が重い表情でそれぞれ言った時、険しい顔で俯き黙り込んでいた扇が、ゆっくりと顔を上げた。

 

「・・・こうなったら、決着をつけるしか他にはない」

 

「えっ・・・?」

 

「扇さん・・・今、なんて?」

 

アディとカレンが、驚きの表情で扇を振り返った。

 

「神楽耶様。先日のシュナイゼルとの取引の一件・・・前向きに進めさせてもらえませんか」

 

「なんですって?」

 

扇の言葉に、神楽耶も驚きと険しさを綯い交ぜにした表情を見せる。

 

「もはや一刻の猶予もないということです。背水の陣を覚悟してシュナイゼルと同盟を結び、ライ、そしてルルーシュを断固討伐します」

 

「「「っ────!!?」」」

 

マグバレッジとカレン、そして評議会やZEXIS、ドライクロイツのメンバーたちが驚きを隠せずどよめく中、神楽耶が席を立ち上がり、険しい顔で制止の声を発した。

 

「お待ちなさい。そんな感情に任せた捨て身の行動を、わたくしたちが許すとでも思っていますか? それにこの状況になったのは、わたくしたち最高評議会に何の一言もなく、あなたたちが独断でゼロ様に処罰を下そうと重火器を向けたことにも原因があるでしょう」

 

「それは・・・シュナイゼルの真意を知りたくて、それに待ってる余裕もなかったからで・・・!」

 

「ゼロは、ルルーシュは俺たちを騙してたんだぞ!?処罰(仕返し)しようとして何が悪い!!」

 

「言葉に気をつけろ、玉城賛助官」

 

遣る瀬無い表情で気色ばむ杉山と玉城を、星刻が鋭い睨みと一言で制する。それに杉山と玉木がビクリとなって押し黙る中、鞠戸とエドガーが険しい表情でそれぞれこう口を開いた。

 

「・・・その気持ちはわからなくもないが、今のルルーシュはあんたたちが思うほど簡単に倒せる相手じゃない。実際、ギアスがなくても奴はゼロという戦略家としてこれまで数々の電撃的な作戦を生み出してきたんだ」

 

「そうです。それに先の海上要塞の戦いで、シュナイゼルの横槍も含めて我々はかなりの被害を受けています。ここは一度軍を退いて、神楽耶様や黎司令、そして他の幹部の方々と改めて今後のことも含めて話し合いをするべきかと・・・」

 

鞠戸とエドガーの言葉に、声こそどこか沈んでいたが、逆に断固としたものをも含んでいる言葉を朝比奈が発した。

 

「そんな悠長なことをしている暇はない・・・これ以上奴らの奸計ペテンで揺らがされる前に、ルルーシュとライを討てばいいだけのことだろう」

 

「いや! ダモクレスとフレイヤという切り札があるのであればむしろ好都合!奴らを利用して、ルルーシュどもを討ち破るまでだ!!」

 

千葉も気色ばむ形で朝比奈に同調してきた。利用という形でオブラートに包んでいるはいえ、スーパーロボットをも越える悪魔の超兵器フレイヤの存在を同調する千葉の言葉に、さすがにカレンや伊奈帆たちは一瞬、頭が真っ白になった。

同じく一瞬頭が真っ白になり、絶句させられながらも、大神が朝比奈と千葉に抗議する。

 

「・・・しかしながら、現在の黒の騎士団の戦力は、仮にシュナイゼル軍やドライクロイツら同盟の方々の力があったとしても、満足にルルーシュ皇帝軍と渡り合えるほどのものではありません」

 

「我々華劇団、デューカリオン部隊、銀鳳騎士団らや傭兵部隊の皆様方も含めて、騎士団の戦力は6万・・・それに対してルルーシュ皇帝軍の戦力は、150万前後は下らないとの報告があります」

 

さくらも大神の言葉に同調し、大河たち他の華撃団も右に同じだと頷いたが、藤堂が低く険しい声で唸るように言った。

 

「・・・戦いは数の多い少ないで決まる訳ではない。たとえ勝ち目がないとしても、我々が負けて、そして虚仮にされたままで終わるものか・・・!」

 

「藤堂幕僚長、お待ちなさい!あなたまで何を勝手に・・・」

 

「・・・そうだ。もはやくどくどとした会議をしている暇すら惜しい。今すぐにでもルルーシュとの決戦の態勢を万全にするべきだ」

 

「ああ。シュナイゼルに掛け合ってくる」

 

神楽耶がさらに険しい声で制止を叫ぶが、南に促されるように言われて扇が席を立った。

その時、扇たちを見ていた伊奈帆が、淡々とした声を発した。

 

「・・・愚策ですね」

 

その伊奈帆が発した言葉に、藤堂と扇も一瞬、今まで自分たちが勢いで進めてきた状況を忘れてハッとなった。カレンや神楽耶たちも、ハッとなった顔で伊奈帆を一斉に振り返る。

 

「なに?」

 

「なんだって?今なんて言ったんだ、伊奈帆!?」

 

険しい口調で問い返す扇に、伊奈帆は一度沈黙してから、さらに述べた。

 

「浅間山での戦いが終わったあと、黎司令やエレオノーラ姫たちが申し上げたはずです。感情に任せて無理な戦いをすることよりも、騎士団をまとめ直すのが先だと。その上真宮寺さんも仰った通り、圧倒的な戦力差。しかも相手は僕たちの数段上をいく策略をたてられるあのゼロ(ルルーシュ)。数に任せた戦いをしてくるだけでなく、また何かの策を仕掛けてくることは否定できません」

 

「伊奈帆────」

 

険しく冷たい表情で述べてくる伊奈帆に、扇はもちろん、藤堂や玉城たちも揃ってさらに気色ばみかけた時、カレンもゆっくりと席を立ち上がって、沈んだ声で言い放った。

 

「────扇さん。藤堂さん。申し訳ありませんが、私も伊奈帆同じ意見です」

 

「なに!?」

 

「紅月くん?今なんと言った!」

 

南が驚き、藤堂が険しい表情で見据えてくる。カレンはその藤堂の睨みに怯まず、真っ向から見据え返して言った。

 

「あの四番倉庫での時は扇さんたちの気持ちもあるからこそ強くは言えませんでしたが、ゼロ(ルルーシュ)を追放する前に、黎司令や神楽耶様たちにも話を持ちかけ、その前に冷静に考えるべきだと思っています。ですからここは一度・・・」

 

「ふざけんな!! 今まであんなことをされて冷めてろってのかよ!?」

 

「お前まで日和見になったか、カレン!!直人に恥ずかしいと思わないのか!?」

 

「────玉城さんたちこそ!!!」

 

玉城と杉山が声を荒げてきたのに対し、カレンも声を荒げ返した。

 

「玉城さん、扇さんや藤堂さんたちこそ・・・今の姿をお兄ちゃんや、卜部さんや仙波さんたちに見せられると本気で思ってるんですか!? 確かにゼロ(ルルーシュ)のやったことは私も認め難いと思っていますけど、今の扇さんたちはただの感情うらみで仲間みんなを巻き込んで突っ走ってるだけです!!」

 

「っ!!」

 

「なんだと!?」

 

「カレン・・・!!」

 

「紅月、お前っ!!」

 

速射砲の如きカレンの勢い良い言葉での反撃に、杉山が絶句し、玉城が思わずキレて、扇と藤堂も我慢の限界に達したのか、怒声を放とうとした。

しかしその時、カレンに掴み掛かろうとした玉城をデュークが止めて、大神がカレンと伊奈帆に向かって大声をあげた。

 

「辞めるんだ玉城!カレンと伊奈帆も挑発するんじゃない!!」

 

「身内通しで争っている場合じゃないだろう!!」

 

「「「っ・・・・・・!!」」」

 

デュークと大神の言葉に玉城、カレン、伊奈帆は押し黙ってしまうが、今の3人の言葉ですっかり扇たちとカレンたちの間に険悪な雰囲気が流れてしまい、エルネスティがゆっくりと席を立ち上がり、浮かない表情ながらもこの場をまとめるように扇と藤堂に言った。

 

「・・・扇事務総長、僕たちがなんとか騎士団の団員たちを説得まとめます。藤堂幕僚長も、皆様方も、それでよろしいですね?」

 

「エル!!」

 

「おい!! お前たちまで何を勝手にそんなことを・・・」

 

カレンと星刻がエルネスティに向かって叫んだ。それに扇は、湧き上がった怒りをどうにか抑えつけるように大仰に嘆息した。

 

「・・・ああ。時間が惜しい、すぐに掛け合ってくる」

 

「扇さん!!」

 

「扇っ!!」

 

カレンと星刻が叫んだが、扇は振り返ることなく会議室を出ていってしまった。

 

 

 

その後、話し合いは結局物別れに終わってしまった。エルネスティや大神、デュークたちの説得によって黒の騎士団団員たちの崩壊は免れたもののラスティを初めとした傭兵団の半数近くは扇たちを見限ったのかエルネスティたちの説得も届かないでいた。

 

「・・・どうしてもダメですか」

 

「すまないなエルネスティ。だが、今のゼロ無き黒の騎士団にそこまでする義理は俺達にはない。ましてや傭兵だからと下に見て容易く切り捨てるような奴らにはな」

 

「それは・・・」

 

機体と荷物を纏めて去ろうとするラスティに思いとどまってもらおうと声をかけたエルネスティたちだったが、浅間山での戦いとその後のいくつかの小規模な戦いでの扇たち今の黒の騎士団連中が傭兵をどのように思っているのか理解しているラスティはろくに雇用契約を守ろうとしない扇たちを見限る選択を取った。

 

「既に俺たちは新しい雇用主を見つけている。次に会う時は戦場だろうが、その時は刃を向け合わないことを祈ろう」

 

「ラスティさん・・・」

 

ラスティたちの次の雇用先を理解してしまった大神たちはそれに対して強く言うことも出来ず、彼らが去っていくのを黙ってみるしかできなかった。これによって扇たちは黒の騎士団が雇っていた傭兵団の中でも特に強い《ヴェスパー》を中心とした18の傭兵団との契約を無理やり破棄されてしまった。これによって扇たちの意思はより強固になってしまい、カレンと神楽耶たちの制止も虚しく、シュナイゼルとの再度の共闘関係は扇たちによって成立されてしまった。

それに深い失意と不安に陥る中、界塚ユキは人気のない斑鳩の食堂で、扇がこう呟いていたのを耳にしたという。

 

「絶体絶命、そして因果応報なのは、俺だって承知している。だけど、賽は投げられた以上、このまま黙って退くことなど、俺にはできない。それでは死んでいった仲間たちに顔向けができない・・・」

 

それを耳にしたユキが食堂の中を覗き込むと、扇は食堂のテーブルのひとつに腰掛け、両肘をつきながら、深く翳った表情でさらにこう呟いたという。

 

「俺たちの誇りのため、ルルーシュとライとの戦いはもう避けては通れないんだ。そうだ・・・俺たちは勝つ。勝たなければならない。たとえ、どれだけの犠牲を払ったとしても・・・ルルーシュと同じ轍を踏んだとしても・・・!」

 

 

────ここまで、マグバレッジから黒の騎士団の現状を聞いて、スメラギたちは言葉を失った。

 

「・・・その後、結局救援は間に合いませんでしたが、今回のオオサカの戦いで取り残された味方を見殺しにしたことと、フレイヤを利用してまでルルーシュ皇帝とライたちを倒そうとしている姿勢から、黎司令と神楽耶様たちは、カレンさんと共に私たちを今の騎士団と共にいさせるのは危険だと判断を下されました」

 

「はい。黎司令たち神楽那様たちと協力してなんとか最後まで崩壊と暴走を抑えるつもりでいますが、もはや彼らの手にも負えなくなってきています。我々としても恥ずかしい話となりますし、状況は困難を極めますが、万難を排してでも、シュナイゼルやナナリーと共に彼らを止めてほしい、と・・・」

 

マグバレッジと伊奈帆がそう締め括ると、スメラギがゆっくりと席から立ち上がった。

 

「話はわかったわ。あなたたちも覚悟と準備をしておくはもちろん、体を休めるだけ休めておいたほうがいい」

 

マグバレッジと伊奈帆にそう言いながら、スメラギは近くの窓へと歩み寄る。

 

「恐らく地球の人々が静かに眠り、良い夢を見ることができるのは、今日も含めたこの3日限りとなるだろうから」

 

スメラギが見据えた窓の向こうの夜景は、嵐の前の静けさを彷彿とさせるほど冷たく静かなものとなっていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

オオサカ租界での激戦から三日経った夜。シュナイゼル率いる連合軍とルルーシュ率いる皇帝軍によるフジの決戦まであと2日に迫っていることで各地にてその決戦に合わせて各勢力もまた動き出していた。

 

「六番ドッグのゲッター‪α‬、γ、βたちの詰め込み急げ!それが終わったら次はステルボンバーだ!!」

 

「十三から二十六番のライノセラスの弾薬と燃料の補給完了!すぐに発進させて次のライノセラスたちの補給始めろ!!」

 

「ホエールキングたちへのゾイドの移動急げ!大型ゾイドたちの投入がまだあるんだぞ!!」

 

「よし!新しいゲッター合金製の弾倉が来たぞ!!早く詰め込み作業に取り掛かるぞ!!」

 

現在エノシマ要塞では地上・地下両方のドッグで各師団の整備兵一同があちこち走り回りながらフジの決戦に向けての準備に取り掛かっていた。早朝から開始されていたがそれでも終わる様子を見せないことから膨大な数を捌いていることがわかりそれほどの数を次のフジの決戦で必要としているのがよく分かる。ある意味今のここは作業員にとって正念場と言ってもいいほどの戦場であり彼らは戦士たちが100%以上の力を絞り出して戦えるために手足を動かすのだった。

しかしそんな彼らでもそれらの姿を目にしてしまえば一瞬だが足を止めてしまう。

 

「総員、敬礼!!」

 

いち早く彼らの来訪に気づいた整備長が全員に指示を出すと同時に整備兵たちも作業の手を一旦止め、今到着したペガサス級戦艦《アークナイト》から降りてきたルルーシュ皇帝の筆頭騎士たちである《終焉の騎士(ナイトオブゼロ)》と《神殺の英傑(エインヘリアル)》。そして彼らの配下である騎士たちに対して敬礼を行う。整備兵たちの敬礼を受けながらライたちは威風堂々たる姿で歩んでおり、その騎士として誇りのある姿を見て誰もが固唾を飲んで黙って見ていた。

 

(あれがルルーシュ皇帝の筆頭騎士である《終焉の騎士》と《神殺の英傑》たち)

 

(この目で見たからこそわかる。ヴァルトシュタイン卿らかつての皇帝騎士たちとは明らかに別格だ)

 

(彼らがいるならば陛下の覇道が約束されたも当然だ)

 

新参である一部の兵士たちはライたちの姿を初めて見るために抑えらているだろうが、それでも他とは圧倒的に違うと分からされてしまうほどの威圧感を前に無意識に背筋を伸ばし冷や汗を流す。そしてそれは彼らがそれだけの強者であると本能的に察してしまいライ達がいるならばフジの決戦でのシュナイゼル連合軍との戦いでの勝利も確実だと考え、少し浮かれていた。しかしそんな整備兵たちの浮かれ気分を一括するように整備長がギロリと彼らを睨みつけるとすぐさま気持ちを入れ替えた。

 

「・・・壮観だな」

 

「確かにな。これ程の大艦隊、かつて私が仕えていたヴェイガンよりも優れているだろう。流石は陛下としか言えないな」

 

ライに続いて歩くアレンとゼハートはドッグを埋め尽くす勢いで出撃と補給を繰り返す戦艦や機体を横目で見ながらそう呟く。ルルーシュに仕える前は軍に所属し部隊を率いた経験のある彼らだからこそこれほどまでの軍勢を揃えるのは並大抵ではないことがよくわかり、これ程の戦力を揃えているルルーシュの偉大さをまた感じていた。

 

「ようやく我々の力を振るう時が来たというものだ。これまでは雑魚どもを蹂躙してただけというつまらないものでしかなかったしな」

 

「そうだな。これでようやく我らも本気を見せることが出来る」

 

エスデスとベイルはようやく愛機たちの本気を振るうことが出来る相手が現れてくることに楽しみを隠さず残虐な笑みを浮かべながら無意識に手に力が入る。

 

「「・・・・・・」」

 

戦うべき相手のことを考えているのか無言で歩みながらも抑えきれず溢れた燃えるような闘気を纏うグラハムとウォーダン。その瞳の先には己の宿敵である男の姿しか捉えていなかった。

 

「ねぇあのゴミはちゃんと処理したのよね?」

 

「問題ない。しっかりと情報を抜き取ってから元の場所に返しておいた」

 

先日エノシマ要塞に侵入していたミスルギ皇国からのスパイをどうしたのかクロノアに確認するアリシア。それに対してクロノアは応えながら尋問した際に使用して血で汚れたナイフを綺麗にしていた。

 

「私たち全員が1つの戦場に揃うなど今回が初めてですね」

 

「そうですね。故に私たちが陛下の顔に泥を塗るような真似は決して出来ません」

 

「然り。今の混沌とした世界に我々と陛下の力を知らしめ、ゼロレクイエムを確実なものにするためにもフジでの決戦は死力を尽くさねばならぬ」

 

「えぇ。そのために陛下は全ての戦力を此度の決戦に投入するために切り札たちを切る覚悟を見せたのですから」

 

モニカ、セレス、ミリアルド、ティアは互いにフジの決戦に備えて決意を改めて固めながらルルーシュがフジの決戦に向けて用意した奥の手達のことを思い浮かべていた。

 

(準備は7割がた完了。部下やモニカたちの士気も問題なく高い。ルルーシュとC.C.の専用機も既に完成して試運転も済んでいる。その上でルルーシュが新たに手にした手駒たちの存在。それら全てを合わせればルルーシュの目指す世界へと辿り着くこともできるだろう)

 

ライはモニカたちの会話を聞きながら今の戦力のことを頭の中でまとめ今後のことを考える。今ルルーシュの持つ戦力は数と質を揃えている勢力としてはこの地球圏内でも頂点に達しているのはまず間違いないだろう。数ならばシュナイゼル率いる連合軍、質ならばZEXISとドライクロイツが同格あるいは彼らの方が上回っているかもしれない。だがそれでもライはルルーシュの指揮能力と皇帝としてのカリスマ、《終焉の騎士》ライとモニカたち《神殺の英傑》を初めとした優秀な配下たち、ロイドやビアンを始めとした優秀な科学者たちが生み出した優れた兵器たちなどが揃っている。

 

世界を支配する覇王とその配下である騎士というまさに世界が認める邪悪な存在と言っても過言ではないだろう。それでも確実に勝利を得ることが出来ないと言わざるを得ないのだからシュナイゼルやZEXISを始めとした敵対組織たちの厄介さが分かる。故にルルーシュたちは誰もが勝率を1%でも上げるために決戦の時が来るまで手を抜かずに尽力を尽くしていた。フジの決戦はあくまでルルーシュの目的である《ゼロレクイエム》を成し遂げるための第一歩でしかなく、フジの決戦でシュナイゼルたちに勝利したところでリボンズやガイオウを始めとした敵がまだまだ残っている。だからこそ次の決戦でルルーシュたちの持てる全ての戦力を投資しつつもそれ以降の戦いに備えて戦力を失わせないことを前提にして戦う必要がある。

 

そのことを考えた上で、ライもまた己が成すべきことを考えながらモニカたちと共にルルーシュたちが待っている場所へと歩みをすすめる。その様子を遠くから既にエノシマ要塞で待機していたもの達が見ていた。

 

「キヒヒ!あれが王様が選んだ騎士様たち!!一緒に戦う時が楽しみだなぁ!!」

 

柵の上から飴玉を噛み砕きながら楽しそうにライたちの歩く姿を見ているのは《特務機関MJP》のデータを盗み、そのデータを元に生み出した大量の《JURIA-SYSTEM》を搭載した兵士たちの中での唯一の生き残り、《ホワイトゼロ》のパイロットである白髪の赤と緑のオッドアイの少年《ユウキ・ミズシノ》は楽しそうに笑う。

 

『流石はイグドラシルの奴が認めただけはあるか

。他の人間共とは明らかに格が違うようだな』

 

『仰る通りですぜダークネス様。奴らの力があればいずれ来る厄災たちとの戦いにも役に立つでしょうね』

 

トランスフォーマー専用の大型宇宙戦艦《ネメシス》のブリッジのモニターからライたちを見ているのは先日地球に来たばかりの元ディセプティコン《ダークネス》と《ゼフュロス》はそう話していた。

 

『『『グルルルルル・・・・・・』』』

 

ホエールキングへと詰め込まれていくゾイドたちの中で最も気性が荒くジェノスピノとオメガレックス、そしてルルーシュが用意した切り札のゾイドを除けばトップに君臨するほどの力を持つゾイド《ジェノザウラー》、《ジェノブレイカー》、《バーサークフューラー》たちが唸り声を上げながら戦う時を今か今かと心待ちにしていた。

 

他にも新たにルルーシュの元へと加わった勢力や元からルルーシュの配下となることを選んだものなど多くの兵士たちがライたちがトレーズやマリーベル、ジェレミア、ビアンなどのルルーシュ皇帝軍の中でも部隊をまとめるものやその補佐、または優れた能力を持つものたちが集まっている場所へと向かっているのを見て本当に決戦が迫っているのだと理解させられ、気が引き締まっていた。

 

─────地獄だろうと冥府だろうとどれほど危険な場所だったとしても関係なく、主のためにその(ちから)を振るうことを躊躇うことがない戦士が、狂信者が、騎士が、科学者が、兵士が、聖者が、暗殺者が、残虐者が、様々なもの達は死の気配が漂う戦場へと足を運ぶ覚悟を既に持っていた。これは互いの利益関係だけを求めていた黒の騎士団のようなまともに信頼関係を築かず利用し合うだけの薄氷のようなものでもなく、ZEXISやドライクロイツとの素性を明かさずとも多くの戦場を共に戦ってきたことによる信頼と信用から結ばれる友情や仲間意識などと呼ばれるものと違う、ルルーシュの圧倒的なカリスマと能力によって彼らを魅了、または心酔させたからこそできるのだろう。

 

 

ライたちがエノシマ要塞に辿り着いてから一時間が経過し、エノシマ要塞のブリーヒィングルームにライとモニカたち《神殺の英傑》を初めとした50名以上の人間及びトランスフォーマーが揃っていた。ここに集まった他の面々はルシア、リルカ、フラム、三日月、レイ、アンジュ、イグドラシル・プライムを始めとした十二騎士団の直属部隊や親衛隊、その協力者たち、アルフリード、キア、マスク、ザーツバルムら同盟国・同盟組織の主要人物たち。そしてマリーベルやビアン、ロイド、ビリーなどの指揮官や技術者たちだ。今この場にはルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの精鋭の大半がこの室内にある。そう言っても過言ではないだろう。また、この演説は他の場所でも閲覧できるようにエノシマ要塞内の至る所にあるモニターにも流されていた。

 

「────本日、あなたたちに集まってもらったのは他でもありません。旧ブリタニア・ユニオン宰相シュナイゼル・エル・ブリタニアについてです」

 

マリーカと共に演壇に立ったマリーベルが、咳払いをひとつして、おもむろに言葉を紡ぎ出した。

 

「シュナイゼルを知らない者はここには居ないでしょう。ナナリー・ヴィ・ブリタニアを籠絡し、同盟軍による手によってペンドラゴンの民間人含めた大虐殺も含めたあの男の卑劣なる暴挙については、今更語るまでもありません。1週間前、ルルーシュ皇帝陛下が出された最終通告を無視し、全てのフレイヤ弾頭を多数搭載した天空要塞ダモクレスを盾にして徹底抗戦の構えを取ったことを知っている者も多いと思います。────そこで、です」

 

マリーベルが言葉を切って下がったところで、マリーカが前へと進み出る。

そして、マリーカは室内をぐるりと見渡す。皆、次に続くべき言葉を待ち、マリーベルに代わって演壇に立つマリーカに視線を集中させる。

 

「我々は先日の皇帝陛下の下知に従い、卑劣なるシュナイゼル、そしてナナリーをはじめとする彼に与する賊徒全てを討滅するべく、ここエリア11のフジにてダモクレスに総攻撃をかけることを決定した!これは我が神聖ブリタニア帝国の戦力のほぼ全てを投入する、ルルーシュ陛下が即位されて以来の大作戦である!!」

 

一瞬、室内は水を打ったように静まり返る。

次の瞬間────歓声と怒号、拍手がブリーフィングルームを支配した。

 

「静かに!静かになさい!!」

 

パンパン、とマリーベルが手を叩いて注目を集める。

 

「・・・ついては、本作戦にあたってルルーシュ皇帝陛下、並びにトレーズ総司令より御訓辞があります。静粛に聴くように」

 

マリーベルが、モニターのスイッチを入れた。

すると、ルルーシュ皇帝軍の旗艦であるエレボスの艦橋最上部の謁見の間で玉座に座るルルーシュ、左隣と右隣のそれぞれ用意されたと思しき豪奢な椅子に座るトレーズ、その左右にそれぞれ控えるようにして立っているジェレミアとレディ・アンの姿が、モニターに表示された。

 

『────よくぞ集まってくれた、忠実なる我がブリタニア・ユニオンの同志たちよ。本来ならば直接我々が諸君と言葉を交わすべきだったのだが、多忙の身の為このような形になってしまい残念だ』

 

皇帝としての白い帽子と衣装に身を纏ったルルーシュは、モニター越しにマリオとマリーベル、ライ、十二騎士、ザーツバルムとアンジュ、三日月ら直属部隊のメンバーたちを見回し、年相応の少年とは思えない、皇帝としての威厳さに満ちた声で宣言した。

続けてトレーズが、モニターに集まる一同を見据えて、同じく地球連邦総司令として威厳に満ちた声で宣言する。

 

『諸君らも知っての通り、シュナイゼル・エル・ブリタニアはナナリー・ヴィ・ブリタニアを新たなるブリタニアの皇帝にして地球連邦代表に掲げ、無能なる先帝シャルル・ジ・ブリタニアとその時代を尊び、フレイヤによる無秩序な破壊と侵略活動を繰り返す稀代の梟雄である。それに対して我々はシャルルによって汚され、退廃したこの地球をあるべき姿へと戻す使命を背負っている』

 

『そう。だからこそこの世界にもはや害悪しかもたらさないナナリーとシュナイゼルら梟雄どもの軍勢を滅ぼさなくてはならない。諸君らは明日のフジの決戦にて、その正義の刃となれることを誇りに思って奮闘してほしい。我々からは以上だ』

 

「「「イエス・ユア・マジェスティ!!!」」」

 

最後にルルーシュが玉座から立ち上がってさらに宣言してきたことに、マリーベル、マリオ、ライそして十二騎士たちが席から立ち上がって大声と共に敬礼し。

 

「「「オール・ハイル・ブリタニア! オール・ハイル・ルルーシュ!」」」

 

「「「オール・ハイル・ブリタニア!! オール・ハイル・ルルーシュ!!」」」

 

「「「オール・ハイル・ブリタニア!!! オール・ハイル・ルルーシュ!!!」」」

 

バン、ヘルク、アンジュ、ジャオウガ、ビゾンをはじめとした十二騎士の親衛隊・直属部隊のメンバー、その他この室内に集まった全員が大声でルルーシュへの讃歌を叫ぶ。

こうして、あの即位式でギアスをかけられた者たちによるものとは違う熱狂と興奮の渦が、室内を疾り抜けた。

 

「────先ほど発表された通り、今回の作戦の指揮は僭越ながらこの私が任された。全軍への直接指揮は初めてだが、どうか宜しく頼む」

 

ルルーシュとトレーズの訓辞の後、ライが全員に向かって頭を垂れる。

パチパチと拍手が響いたので、マリーカが手を前後に軽く振ってそれを制し、ライにも席に戻るように手で促した。

そうしてライが席に戻り、マリーベルがさらにモニターのスイッチを押してフジの全体図と、そこに青い光点として並べられた自軍の陣形を映し出す。マリーカが光点のひとつひとつを指差しながら説明する。

 

「それでは、編成と本作戦の内容を発表すします。主隊は第零騎士団、第一・第二・第三機甲師団、左翼にマリーベル殿下率いる大グリンダ騎士団と第四機甲師団と第一混成師団、右翼に第二・第三混成師団、後衛には自分が深淵騎士団とユミル卿とエーカー卿率いる第一・第二独立師団と共につき、皇帝陛下の本隊の護衛にあたります」

 

十二騎士の中で名前を挙げられたのは、アレン、ゼハート、モニカ、セレス、ミリアルド、ティア、アリシア、ウォーダン、グラハムのみ。

名前を挙げられなかったベイルとエスデス、クロノア、そしてジャオウガたちその直属部隊が不満を騒ぎ立てかけた時、マリーカが厳しい顔と声で一喝した。

 

「まだ発表は終わってない、静かにしなさい!!先日、《破滅の龍帝軍》なるものを戦力として陛下に与えられた第一機獣師団、セイバーズを始めとした速攻を仕掛ける部隊を多く抱える第二機獣師団と隠密能力の高い第三独立師団には、別の配置についてもらう。その配置の理由として、本作戦の内容はこの通りとなる。ライ卿!」

 

「了解した」

 

それから説明役がライに切り替わったところで、話題は細かい作戦行動へと移ってゆく。

ブリタニア・ユニオンの参謀総長としてライが、黒の騎士団・ZEXIS時代に参謀の先達であるルルーシュの意見、トレーズやマリーベル、ザーツバルムなどルルーシュ皇帝軍に在籍している指揮官の中でも特に優秀なものたちの意見も取り入れながら今日までに綿密に練り上げた作戦計画を概略すれば、こうなる。

 

まず、シュナイゼル軍からは高い可能性でビスマルク・ヴァルトシュタインら《皇卓の騎士(ナイトオブラウンズ)》とその直属部隊が先陣を切って、ライ、ゼハート、アレン、モニカが守る中央を突破しようとしてくる。これに対してライ、モニカ、アレン、ゼハート、箒たち深淵騎士団部隊長たちで対抗し、最優先でナイトオブラウンズを撃滅してシュナイゼル軍の出鼻をくじく。

 

次にシュナイゼル軍と、十中八九乱入してくるであろうZEXISとドライクロイツの動きに注視して、牽制をかけながら攻勢を展開していく。この対応(うごき)の理由については、シュナイゼルはダモクレスとフレイヤという切り札を持っているのはもちろん、ルルーシュとの度重なるチェスの対局において、シュナイゼルはルルーシュが防御よりも攻撃が好きだという性質だと思い込んでいる。だからこそ、牽制をかけながら軍を進めていけば、きっとそのわずかな隙をついてフレイヤを使い、さらに後詰めの戦力を投入して一気に両翼を砕きにかかるに違いないということだ。そんな中でZEXISとドライクロイツもシュナイゼルはもちろん、ルルーシュも倒しに全力で向かってくることもまた然りである。

 

さらに一方でライの撹乱作戦で結束を崩され、空中分解の危機まで追い詰められていることから、黒の騎士団もこのシュナイゼルの攻勢に乗じて一気に攻めにかかってくる可能性が出た。それを予期したライは、先日のオオサカの戦いで投降してきたダイヤモンドローズ騎士団の5人を斥候として黒の騎士団に偽の投降をさせ、後衛につかせる形で誘導できるところまで誘導していく。そうして伸び切った戦線をベイル率いる第一機獣師団が横から突きにかかり、《破滅の龍帝軍》と呼ばれる新戦力を大量投入しての襲撃(逆落とし)をかけ、黒の騎士団と、あわよくばZEXISとドライクロイツも撹乱・分断しにかかる。

 

そして一方シュナイゼルが後詰めの戦力を投入したり、軍団を前線まで進めてきたところでフジに仕掛けておいた策を発動し、旗艦である《クロノス》とその護衛艦の最大火力による同時攻撃で正面からシュナイゼル軍はもちろんのこと、ダモクレスにも大打撃を与えにかかる。ダモクレスは超高出力のブレイズルミナスで守られているため、おそらくこの最大火力砲撃でも落としにはかかれないが、その守りに綻びを与えることは期待できるし、何よりシュナイゼル軍と、ZEXISの陣形を乱し、ダモクレスへの突破口を開きにかかれる。

 

そこでジェレミアやアンドレイ、新条アカネ、ムジナ、イングラム、ルイスたち皇帝直属部隊を先頭にして皇帝直属部隊もシュナイゼル軍への一斉突撃(逆落とし)を横からかけて、さらにダイヤモンドローズ騎士団の5人も背後に回り込ませたクロノアたち第三独立師団と共に黒の騎士団に奇襲をしかけ、前から楯無率いる本隊で挟み撃ちをかけて一気に揉み潰す。あとは他の機甲師団と大グリンダ騎士団の戦力集団投入による突撃戦をかけてシュナイゼル軍を撃滅し、ZEXISとドライクロイツを牽制しつつ、ロイドとセシル、そしてニーナが覚悟すべてをかけて用意した、たった一度きりのフレイヤへの対抗策を実行に移すだけだ。

 

ダモクレスは構造上、フレイヤ発射とブレイズルミナス展開はさすがに同時にはできないため、フレイヤをルルーシュの本隊へ向けて撃たせて1発だけでも無効化すれば、突入できるチャンスは十分にある。そして《エレボス》の砲撃がうまいことダモクレスの守りに綻びを入れていれば、突入のチャンスはさらに大きくなる可能性がある────。

 

 

「────旧悪の時代を尊ぶ梟雄どもを前に後退した者に明日を望み、今日を生きる資格はありません。皆、覚悟してフジでの決戦に臨みなさい。以上です!!」

 

「「「イエス・マイ・ロード!!!」」」

 

そんなマリーカの言葉と全員の復唱と共に、最終軍議(ラストブリーフィング)が終了したのが1日前。

エノシマ要塞一帯では、海底に臥竜の如く身を潜めている《エレボス》を中心にして厳重警戒態勢が敷かれていた。異世界の戦士たちと彼らが操る機動兵器も大量参戦させることで、シャルル・ジ・ブリタニア時代よりも精強と言っていいほどの神聖ブリタニア帝国軍の部隊が地上と空、海を埋め尽くさんばかりに布陣ならんでいる。

ゼハート・ガレット率いる第一機甲師団とゼハートの元に加わったザーツバルムたち元ヴァース帝国の火星騎士によるカタクラフト部隊。アレン・フォルネウス率いる第二機甲師団に加わった、三日月・オーガスや昭弘・アルトランドたち鉄華団と名瀬・タービンやラフタ・フランクランドたちタービンズによるナノラミネートアーマーのモビルスーツ部隊。

モニカ・クルシェフスキー率いる第三機甲師団に加わった、アンジュやヒルダ、サラマンディーネたちによるパラメイル部隊。

セレス・アルカディア率いる第四機甲師団に加わったヒナ・リャザンやビゾン・ジェラフィル、アルフリード・ガラントたちゾギリア軍のヴァリアンサー部隊。

ベイル・ヴォルフガング率いる第一機獣師団に加わったグリムロックやストレイフたちダイナボット部隊とルルーシュから与えられた古代ゾイド部隊。

エスデス・フリューゲル率いる第二機獣師団に加わったジャオウガたち獣人部隊とイグドラシル・プライムたちトランスフォーマー部隊《セイバーズ》。

ミリアルド・ピースクラフト率いるゼクス・マーキス時代の部下だった元OZの兵士たちを中心とした第一混成師団に加わったマクギリス・ファリドたちギャラルホルン革命軍によるモビルスーツ部隊。

ティア・ハーゲンティル率いる別次元の機動兵器であるパーソナルトルーパーたちを中心に構成された第二混成師団とマリオ・ディゼル、マーヤ・ディゼルたち元黒の騎士団の部隊に加わった新たに雇ったラスティを始めとした傭兵団たち。

アリシア・ヴィエルジュ率いる特機と呼ばれるスーパーロボット級の機動兵器たちを中心に構成された第三混成師団に加わった地下組織などによって生み出された改造兵士たちの部隊。

ウォーダン・ユミル率いる第一独立師団に加わったビアン・ゾルダークが結成したノイエDCと呼ばれる別次元の組織。

グラハム・エーカー率いる第二独立師団に加わった元アロウズの兵士たち。

クロノア率いる第三独立師団に加わった元暗部の兵士たち。

その他にもシュナイゼルとナナリーによって行われたペンドラゴン制圧、あるいはオオサカの戦いでコーネリアが見殺しにされたことに恐れをなした者たちが、細々ながらも集結しており、その規模はさらに巨大かつ強大なものへと変化していた。

 

 

 

 

時は再び流れ決戦前日。ほぼ全ての艦隊と機体の補給及び最終チェックが完了し殆どの舞台が出撃を終え、現在エノシマ要塞にはルルーシュ皇帝軍の旗艦であるエレボスを筆頭に各師団の旗艦と僅かな護衛艦を残しているのみとなっていた。

 

「随分と大所帯になってきたな。流石はルルーシュ陛下と言うべきか・・・」

 

第二機甲師団の旗艦であるスキップジャック級戦艦の改造艦《ヤタガラス》の医務室で阿頼耶識システムのメンテと追加の薬物を受け取りながら現在フジへと向かっているルルーシュ皇帝軍の大部隊を映像越しに見ながらそう呟く。その彼の近くには同じように阿頼耶識システムのメンテを行ってもらっていた三日月と昭弘、シノもおり彼らもまた同じようにモニターに映っている映像を見ていた。そして彼らは客将である証として笛の紋章が刻まれたマントを鉄華団の制服の上から羽織っていた。

 

「・・・まぁ全員が本心からルルーシュ陛下に忠誠を誓い従っているわけではないがな。ほとんどの人間がシュナイゼルが所持するフレイヤを、そしてあのオオサカ租界での戦いででコーネリア・リ・ブリタニアが見殺しにされたのを恐れているか、それとも何か別の思惑を持っている者たちばかりだ」

 

「そうだろうな」

 

アレン、三日月、昭弘、シノとは別の場所である第一機甲師団の旗艦《ファ・ザード》の食堂にてモニターの映像を見据えながら、ザーツバルムとゼハートは会食をしながら話していた。それは壁際で待機して話を聞いていた客将の証である塔の紋章が刻まれたマントを羽織るフラムやウォロクたちもまた同意見であるのか静かに聞いていた。ザーツバルムの言葉通り、フレイヤ弾頭への恐怖に屈した者はともかく、先日のライの情報工作もあるが、オオサカ租界でコーネリアが見殺しにされたことでナナリーとシュナイゼルに畏怖と憤慨を覚えた者たちはわかりやすいが、他の理由で加わった者たちはに内心それぞれの思惑を持っており、決して油断できるものではなかった。

 

「─────だがそんなことはどうでもいい。シュナイゼルやナナリーがそうしているようにこちらも利用できるものはとことん利用すればいい。逆に我々の敵になるのだったら、その時に潰してしまえばいいだけの話だ」

 

「そうだな。そのためにオレたちがいるんだからな。ルルーシュ陛下の敵は、オレたちが全てブッ倒す」

 

発進準備を整えているウルトラザウルスとギルドラゴンの様子を見ながらエスデスとベイルはそれぞれの武器であるサーベルとナイフを握る手を強くする。彼ら彼女らにとって木っ端連中の考えることなど些事に過ぎず、何か起こるようならばその時に叩き潰してしまえばいいという強者だからこそ言える強気な態度をとっていた。

 

「《破滅の龍帝軍》とやらの連中の手綱はしっかりと握っているのだろうなぁ。もし厳しいようなら私が代わってやろうか」

 

エスデスはルルーシュ自らの鬼札の1つを託されたベイルに多少嫉妬の籠った目で睨みながらそう聞くが、ベイル自身もルルーシュから信頼されて託されたのだからそう簡単に譲る訳にはいかなかった。

 

「問題ない。頭である奴が陛下とライ卿に屈したのだから今のところ反抗する様子も見せず配下たちも奴に従っている現状特に苦労することは無い」

 

ベイルの淡々とした言葉にエスデスはチッ!と舌打ちしながらも渋々納得することにした。今更作戦開始前に急な部隊変更を行う訳にはいかないから半分冗談だったのだろうがそれでもルルーシュから軍を直接与えられたことに1人の恋する乙女として嫉妬するのを抑えられなかったのだろう・・・、2人はフッと小さな笑みを浮かべたかと思えばそのまま残虐な笑みに変えて来たる決戦での戦いに飢えていた。

 

「─────明日の決戦にはあの男も必ず戦場に出る」

 

「・・・・・・・・・」

 

スペースノア級万能戦艦シロガネの内部にある修練場にて素振りを繰り返しながらウォーダンは超えるべき壁とも呼べる生涯の宿敵《ゼンガー・ゾンボルト》とのこの世界での決着を求め刃を研いでいた。それはウォーダンと同じように決着をつけるべき相手がいるグラハムも同じ気持ちであるのか瞑想をしながらその時に備えていた。

 

「・・・いよいよ、明日ですね。明日でシュナイゼルとナナリー、そしてZEXISとドライクロイツも・・・」

 

第三機甲師団の旗艦であるアヴァロン級浮遊航空艦《ウェールズ》の艦橋にて、ビゾンが艦橋の正面の窓に立っているモニカとセレスの背に声をかけた。

ビゾンの横にはヒナ、アンジュ、ヒルダ、タスクらモニカとセレスの配下となった精鋭たちが揃い踏みしており、空調から吹いてくる風で彼らがゾギリア軍の軍服とアルゼナルのパイロットスーツの上に羽織っているマントが静かにはためく。

 

「明日の決戦で、陛下と我々全員の機体が揃う」

 

「えぇ。これまで陛下は戦場に出ても開発途中であったために蜃気楼で出撃していましたが明日は違います。私たちは皇帝ルルーシュが誇る無敵の騎士団としてその力を世界に示す」

 

モニカとセレス互いに笑みを浮かべ合い、ビゾンたちを振り返った。

 

「ああ・・・そうだ。早く来い、ZEXIS・・・ドライクロイツ・・・そして、渡瀬青葉・・・!!」

 

「・・・ヤバいわね。らしくもなく、明日が楽しみになってきたわ」

 

「やっと与えられた大一番だ。思う存分、暴れてやろうぜ・・・!」

 

ビゾン、アンジュ、ヒルダ、タスクも互いに笑みを浮かべ合いながら決戦の時を待ち望むのであった。・・・ただひとり、ヒナが虚ろな表情で夜の明かりに仄暗く照らされた艦橋と、その艦橋に集まった一同を見渡しているだけだったが。

ちなみに決戦の舞台を待ち望んでいるのは、エスデス、ベイル、ウォーダン、グラハムたちだけではない。他の場所で待機しているスザクやライら他の十二騎士、マスクやキア、マクギリスら客将たちも同じ気持ちであり、着々と迫りつつあるシュナイゼルとナナリーたち、そしてZEXISとドライクロイツとの決戦を待ち望んでいた。

しかしこの決戦は、これから始まる地球、そして宇宙を舞台にした最後にして最大の聖戦の序章にすぎず、地球と宇宙、全ての人類にとって生存を勝ち取るための戦いの始まりとなる。

それゆえにスメラギ・李・ノリエガが言ったように、地球の人類が静かに眠り、良い夢を見れるのは、今夜が最後となるのは、言うまでもない────。

 

 




あとがき
はい。久しぶりの更新なのにあっさりしてるかもしれませんが申し訳ありません・・・!外伝を投稿しなければ各勢力のフジの決戦前の準備の様子を出すために戦闘シーンしばらくないので申し訳ありません!予定としては次回はシュナイゼル陣営含めた敵対勢力側の準備している様子やリボンズやガイオウを始めとした第三勢力の企み、またはZEXIS・ドライクロイツ側でのフジの決戦に向けての準備を書きたいなと思ってます。キャラ紹介兼ねた外伝の方は思いついたら書き進めるので何卒・・・!!
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