スーパーロボット大戦Z 魔王の降臨   作:有頂天皇帝

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前書き
今回の話は短めですがシュナイゼル陣営のフジの決戦に向けての準備回になります。今後登場予定のキャラたちや今まで出番の少なかったキャラも出てますがどうかよろしくお願いします


REBELLION STAGE22. 蠢く悪意

フジの決戦前日。ルルーシュ皇帝軍が決戦に向けて準備を行っているようにシュナイゼル連合軍もまた決戦に向けた準備を整えていた。シュナイゼルは元々所持していた直属の騎士団と皇卓の騎士(ナイトオブラウンズ)の親衛隊含めた40万の戦士。そこからルルーシュに反抗している旧貴族連合と彼らが所持する奴隷兵計60万、へスター・ギャロップら新人類軍が20万、ラスタル・エリオン率いるアリアンロッド艦隊30万、ディガルド武国のジーン大帝率いるバイオゾイド軍団50万、ヴィンデル・マウザー率いるシャドウミラー部隊8万、メキボスらインスペクター率いる部隊22万、メガトロンやザ・フォールンたちディセプティコン連合3万、スメラギ皇国から55万、オルフェらファウンデーション王国から32万の計300万もの軍勢を揃えていた。

 

現在判明しているだけでも戦力差は150万対320万の約2倍差がある。だが互いにまだモビルドールなどの無人機の大量生産や各地からの志願兵などの存在もあるためその数はまだ増える可能性はある。だが少なくとも数ではシュナイゼル連合軍が質ではルルーシュ皇帝軍が上回っているように思われる。しかしそれも今現在判明している分から判断しているものであるためにそれもきっかけさえあれば簡単に覆すことも可能である。

 

今わかっている範囲ではシュナイゼル陣営の切り札はフレイヤとナナリー。ラスタルはヴィダールことガエリオ・ボードウィンとジュリエッタ・ジュリス、そしてモビルアーマー。ジーンはバイオティラノと数体の特殊なバイオゾイド。ヴィンデルはアクセルとレモン。メキボスたちはトップである4人。ディセプティコンらはそれぞれの軍のトップであるメガトロン、ザ・フォールン、センチネル・プライム、ロックダウン、クインテッサ星人、スカージたち。ファウンデーション王国はオルフェたちアコード。そして神聖ミスルギ皇国にはエンブリヲがいる。

 

各陣営が腹に一物抱えながら迫る決戦に向けて準備をしている中、神聖ミスルギ皇国本国の地下にある皇族と一部のものたちしか知らない地下研究所に眠る巨獣────超大型ゾイド《■■■■■■》通称Dを神聖ミスルギ皇国皇帝であるジュリオは忌々しげに見上げていた。

 

「チッ!コイツの完成が間に合っていればアンジュやルルーシュたちに絶望を与えられたものを・・・!」

 

《D》は神聖ミスルギ皇国が次元震によって飛ばされた際に偶然近隣の海に沈みかかっているのをサルベージし、エンブリヲからの命令で修復及び改良したのだった。元々のスペックからしてエンブリヲの所有するラグナメイルに匹敵あるいは超える性能を持つこの超大型ゾイドにエンブリヲの持つ技術を全てつぎ込み、さらにはシュナイゼル連合軍による帝都ペンドラゴン制圧の際に破棄されたゲッターロボの残骸から回収したゲッター合金や開発途中の機体などのデータを用いて魔改造されたのだが一度も起動したことがない。修復と改造は完了しているのに起動ができない原因が全く分からず、そのために今回の決戦に参加させることができないでいた。

 

「そう気にしなくてもいいさジュリオ陛下。この獣がいなくとも私の力があればあの程度の小物、容易く葬って見せよう」

 

「お、おぉエンブリヲ様!!その通りですね!!」

 

ジュリオはエンブリヲの言葉に感服し膝まづいていた。その後ジュリオはエンブリヲから新たな力として帝都ペンドラゴンと篠ノ之束の研究所から盗んだ大量のモビルスーツとナイトメアたち機動兵器たち、洗脳した野良ゾイドたちを与えてからジュリオと共にこの場から退出した。誰も居なくなった研究所の中で《D》の瞳が紅く輝いたかと思えばどこからともなく《D》の眼前に2人の少女と3人の青年が現れたかと思えば膝まづいた。彼女らの前には《D》の腕に座っている長い黒髪に紅い瞳を持ち、黒と紅のゴシックロリィタ風のドレスを身に纏った少女───ビーシュ・ドゥームズデイがいた。

 

「ふん、所詮は元はただの人間か。神を気取っているようだが我の存在に気付かぬ時点でたかが知れてる」

 

「そのようですねビーシュ様」

 

ビーシュが呆れたように自分たちの存在に気づかないエンブリヲを小馬鹿にするのをビーシュの配下であるピンク髪ツインテールの少女───リーニエが同意する。

 

「ビーシュ様。こちら本日分のゾイドコアと人間共になります。 どうぞお納めください」

 

「えぇ」

 

ピエロのような化粧をしている男性───メフィスはそう言いながらDの足元に山のように積まれた野良ゾイドから回収したゾイドコアとビーシュの前に目隠しや猿轡などで拘束している神聖スメラギ皇国の住人を差し出す。住人たちは突然攫われたかと思えばわけも分からずこんな場所に連れてこられていた。本来の彼らならば分不相応にもがなり立てて動物園の猿のようにギャーギャー喚き立てているだろうが鉛のように重苦しいこの空間に圧倒された彼らは言いようのない恐怖に圧倒され黙り込んでいた。そんな虫螻達のことなど微塵の興味もないのかビーシュは右手を軽くあげるとDの瞳が赤く輝き少しだけ口を開くとゾイドコアと神聖ミスルギの人間が薄白く輝いたかと思えばその光がDの口に吸い込まれていく。

 

光が失ったゾイドコアは完全に機能を停止し光を奪い尽くされた人間は枯れ木のようになって倒れたかと思えばその身体を砂のように散らした。全てのゾイドコアと人間から吸収し終えたDは口を閉じて瞳の光を消した。

 

「ちっ、この程度の雑魚共では大した補給にならぬな。やはり肥太った貴族か皇族の豊富なマナかドラグニウム鉱石が欲しいな」

 

「申し訳ありませんビーシュ様。貴族連中や皇族はフジでの戦いに備えているのか人が多く秘密裏に攫うことが出来ず・・・」

 

「ドラグニウム鉱石もまた最近はドラゴンの出現が少ないためにあまり数がなく・・・」

 

大した力を得られなかったことに対する苛立ちかビーシュは貢物として用意された果物を握り潰しながら悪態をつくと銀髪の眼鏡の男性───アレスと長いウェーブのかかった黒髪の美女──ラストはビーシュの機嫌を損ねてしまったことに冷や汗を流しながら謝罪をする。

 

「よい。これまでのそなたらの貢物のおかげで我の力は十分回復している。連中の決戦の舞台で多くのゾイドや人間が死ぬ。それらを喰らえば我は全盛期以上の力を得れるというものよ」

 

ビーシュはアレスたちにそう告げながら思い出すのはかつて自らの命を奪った忌々しき青き刃の獅子の因子を受け継いだ獅子のゾイドと分不相応にも破壊龍を名乗る2匹のゾイド。奴らを喰らい滅ぼさなければかつて人間如きに味わわされた屈辱を晴らすことは出来ないと思っていた。故にフジの決戦でも現れるであろう奴らを確実に仕留めるために手を尽くしていた。

 

「そのために貴様にも協力してもらうぞ?デビルガンダムよ」

 

「・・・・・・」

 

ビーシュはリーニエたちの後ろの壁によりかかっているデビルガンダムの分身体である白髪の男性───ゼーロンに声をかける。

 

「俺の目的はあの皇帝を名乗る男から半身を奪い取ることとこの地球から人間(害虫)共を駆逐し地球を浄化することだ。それを成し遂げるためにも貴様を利用させてもらう」

 

「構わないさ。我の目的はこの星ではなく惑星Ziであるからな。この偏狭の惑星くらいくれてやろう」

 

「ふん・・・」

 

ビーシュの言葉にゼーロンは鼻を鳴らして無視をする。ビーシュとゼーロンは互いに求め合う惑星が違うからこそ手を組むことができたのだろう。ルルーシュの元にいるデビルガンダム───ウィッシュはドモン・カッシュとレイン・ミカムラの2人から愛を知ったことで人類と共に歩む道を選んだ。グレート・ウォンやウルべ・イシカワを始めとした人間の醜い欲望に汚染されたことで人類を抹殺して地球を浄化することを選んだゼーロン。互いに全盛期の力を失っていることで大幅に性能が落ちているがそれもパイロットを確保するか力を吸収することで全盛期以上の力を得られるだろう。

 

『その同盟、俺たちも一口噛ませもらおうか』

 

「「「「「っ!!」」」」」

 

どこからか聞こえてきた声に反応したリーニエたちがビーシュを守ろうと彼女の前に立ち塞がる。その声を発した存在は隠密を解除してその姿を晒した。そこに居たのは紫色のボディを持ったトランスフォーマー《ダブルフェイス》と漆黒のトランスフォーマー《スカージ》、そしてトランスフォーマーたちの母星であるサイバトロン星とセイバートロン星を侵略しているクインテッサ星人と傭兵であるロックダウンがいた。トランスフォーマーたちの出現にリーニエたちが警戒している中、ビーシュは余裕を崩さずダブルフェイスたちを見ていた。

 

「ふん、ユニクロンの下っ端風情が何用だ。それも負け犬のクインテッサ星人を連れて」

 

『貴様・・・!』

 

『止めろ。今は無駄に争っているときでは無い』

 

クインテッサ星人は見下された怒りでその手に握る杖をビーシュへ向けようとするがスカージがそれを抑える。ダブルフェイスとスカージはユニクロンと呼ばれるオートボットとディセプティコンとは異なる第三勢力の超大型トランスフォーマーに仕える存在であり、今回ビーシュたちの前に姿を現したのもユニクロンの意思であった。ちなみにビーシュがクインテッサ星人を負け犬と乏したのはイグドラシル・プライム指揮するトランスフォーマー連合軍によって侵略中だったセイバートロン星から追い出され多くの同胞を失ったのだからそう言われても仕方がないだろう。

 

『俺たちの目的を果たすためにも戦力は多い方がいい。お前たちもそうは思わないか?』

 

ダブルフェイスはビーシュとゼーロンに対してそう同盟の提案をしてくる。何らかの企みを隠していることは明らかであったが自身の力に絶対の自信を持つビーシュとゼーロンはそれもまた面白いと考え、その同盟を受けることにした。

 

「いいだろう。人間共を駆逐するまでの間だが貴様の言う同盟に乗ってやろう」

 

「この地球を手に入れられるならば俺はなんでもいい・・・」

 

『決まりだな』

 

──── こうしてここに人間とは異なる種族であるビーシュ、ゼーロン、ダブルフェイスが主導の異星種族による同盟が結ばれることとなった。彼女らの同盟が果たしてこの先どのような影響を与えるのか・・・・・・

 

 

 

ダモクレスの内部に用意された庭園の中、フレイヤ発射のスイッチを手に持つナナリーはガラス張りの天窓に移る満月を見上げていた。それを離れた場所で黙って見ているのはスザク、ジノ、アーニャ、アドルフの4人の皇卓の騎士(ナイトオブラウンズ)とナナリーの筆頭騎士であるアリスだった。

 

「・・・ルルーシュお兄様は昔から優しい人でした・・・」

 

「ナナリー・・・」

 

ナナリーは過去のルルーシュとの思い出を思い出すようにポツリポツリと話し始める。ナナリーにとってルルーシュは母であるマリアンヌ・ヴィ・ブリタニアが死んでから唯一残った血の繋がった大切な家族でありルルーシュがいたからこそ今ナナリーはこうして生きていられた。目も見えず歩くこともできない本来ならば切り捨てられるような弱者である自分を見捨てず優しく見守り育ててくれた優しい兄、ルルーシュがいたからこそ多くの人に優しくされ話をすることができた、ルルーシュにまた会いたいと思ったからいきなりの皇族復帰からの総督の就任も頑張れた、またルルーシュの優しい目で見られながら微笑んで欲しいからと努力した。

 

常人に比べればナナリーの努力など大したものでは無いと感じるだろうしそれだってまともな結果を出していないことから多くの人から反感を買う結果となった。それでもナナリーは愚かだと間違っているとわかっていてももう後戻りできない場所にまで来てしまったことと、マリオたちからこれまでのナナリーの行動を否定されたことによる多少のヤケ、そして今自分がやるべきことを自分なりに考えた結果をここにいるナナリーが信じることの出来る数少ない味方であるスザクたちに伝えようとしていた。

 

「目も見えず歩くことも出来ない役たたずの私をお兄様は1度たりとも見捨てることなくこれまで育ててくれました。今思えばアッシュフォード学園に通っていた頃もお兄様が裏で色々と手を回してくれたからほかの人たちから悪感情を向けられることがなかったのだと思います」

 

「・・・・・・」

 

ナナリーが言うように過去にナナリーたちが通っていたアッシュフォード学園には多くのブリタニア人が通っておりその中には貴族やそれに連なるもの達も多くいた。そんな中でブリタニアではナンバーズに並んで弱者とされるナナリーが彼ら彼女らから陰湿なイジメや嫌がらせなどされなかったのはルルーシュがそういったことを未然に防いでいたのとそういったことが起こらないように裏で徹底的に行動をしていたことをアリスは知っていた。

 

「これから私がやろうとしていることは間違っていることかもしれません。だけどこのままシュナイゼルお兄様が望む通りに動くだけよりはマシな選択だと思ってます」

 

「ナナリー様・・・」

 

ナナリーは不安を誤魔化すように手に持つフレイヤの発射スイッチをギュッと強く握る。それをアーニャは静かに見つめる。シュナイゼルの目的を全て理解している訳では無いが少なくともシュナイゼルたちが勝利しても世界に平和が訪れるとはナナリー達には思えなかった。だからこそナナリーはシュナイゼルとルルーシュの2人のどちらかが勝利して世界の命運を握ることなどあってはならないと考えている。そのためにナナリーはシュナイゼルからフレイヤの発射スイッチを手に入れたのだ。

 

「ナナリー皇女、私があなたに協力するのはあくまで私の部下の安全を確保するためだ。それが果たせられるのならば私はあなたのためにこの剣を振るうことを躊躇わない」

 

「はい、わかっています。それでもあなたが力を貸してくれるのはこちらとしても心強いですから」

 

アドルフがシュナイゼルの元にいたのは部下たちの命運を握られていたからにほかなく、それがなければシュナイゼルにもルルーシュにもどちらの陣営にも加わらず静観するつもりだった。しかしシュナイゼルの方が一枚上手でありアドルフが気づいた時には部下たちがシュナイゼル陣営に組み込まれていたから他のラウンズたちと同じようにシュナイゼル陣営についた。しかし、ナナリーがシュナイゼルに自身の安全を守るためにアドルフとその部下たちの指揮系統を譲ってもらったことで監視が緩まった。その事に感謝しているからこそアドルフはナナリーの進む道が茨の道だとわかっても協力することを選んだ。

 

「今のルルーシュは嫌い・・・それにナナリー様は友達だから協力します・・・」

 

「ありがとうアーニャさん」

 

アーニャはシュナイゼルにも前皇帝であるシャルルにも強い忠誠を誓っていた訳では無い。ブリタニア貴族の1人として皇族に対する忠誠をしっかりと持っているが彼女の戦う理由は失われた記憶を取り戻すため。シュナイゼルについたのもその記憶を取り戻す手助けをしてくれると言われたから合流したが、それも疑わしいために記憶よりも先に友人であるナナリーのためにその力を貸すことを選んだ。

 

「自分は正直迷っています・・・。ですが、フレイヤによる支配を企むシュナイゼル殿下も今のルルーシュ殿下のどちらのやり方も認められません。だから・・・」

 

「わかっていますジノさん。それでも力を貸していただきありがとうございます」

 

ジノは上記の2人とは異なり、ナナリーのためでも部下のためでもなく1人のブリタニアの貴族として成すべきことをなすべくナナリーについた。正直なところナナリーが次の皇帝に相応しいかと言われたらジノ自身も即答はできない。しかしあのトウキョウ租界で甚大なる被害を出したフレイヤを良しとしているシュナイゼルも、かつてのブリタニア軍よりも苛烈に敵対するものたちを虐殺していくルルーシュの蛮行も許せないものである。故に2人に敵対することを選んだナナリーに協力することにした。

 

「スザクさん」

 

「・・・・・・」

 

「私はあなたの事を決して許しません。あなたがお兄様のことを信じてくれてれば、私たちのことを裏切らなければ、言いたいことは山ほどあります」

 

「ナナリー・・・」

 

ナナリーにとってスザクは兄の親友であり、自分にとっても兄を除いて初めて信頼できると思った男性であった。8年ぶりにアッシュフォード学園で再会した時は心の底から嬉しかったものだったのは今でも記憶に残っている。だがルルーシュが正体を隠してゼロとして活動していたとしてもスザクもまた自分がランスロットのデヴァイサーであったことを隠し、義姉であるユーフェミアの騎士となりそのユーフェミアがルルーシュの手によって殺害されたことを怨みルルーシュを父であるシャルルに売りナナリーと離れ離れにさせたこと、ルルーシュが記憶を取り戻していないか確認するために自分を餌にしようとしたことなど様々なことをスザクはナナリーにしてきた。

 

スザクなりの考えがあったこともルルーシュがスザクの思いを踏みにじってしまったことがあるのも否定はしない。だが、ナナリーにとって世界はルルーシュがいたからこそ色づいていたと言っても過言ではない。だからこそナナリーはルルーシュがブリタニアを、世界を強く憎んでいることを知っていながらその手を取らなかったスザクに対して敵意を抱くようになっていた。それを理解しているからこそスザクはナナリーに対して負い目を感じているので何も言えないでいた。

 

「ですが、これらのことはスザクさんだけじゃなく私にも問題があったから今回のようなことが起こったのも事実です。私はまたお兄様たちと一緒に暮らしたいです。だからスザクさん、力を貸してください」

 

「イエスユアハイネス」

 

しかしそれでもナナリーはかつての過去を共に過ごした日々を取り戻すためにスザクの力を借りることを選び協力を頼んだ。スザクもまた自らの過ちと自分で考えて行動してこなかったことがルルーシュとナナリーが敵対するという結果を作ってしまったことにようやく気づいていた。だからこそその責任を取るためにもスザクはナナリーのために協力することを選んだ。

 

「ナナリー・・・」

 

「アリスちゃん・・・」

 

「私はナナリーの騎士。だからナナリーが選んだ道をどこまでも一緒にいくからね」

 

「ありがとうアリスちゃん・・・」

 

ナナリーの筆頭騎士であるアリスはナナリーの前で膝まづきその手を取って優しく声をかける。元ギアス嚮団の特殊名誉外人部隊《イレギュラーズ》に所属していた人工ギアスユーザーであるアリスは最初はナナリーのことを過去になくした妹と重ねて守ろうとしていたが、ナナリーと深く関わっていくうちにナナリーの人柄に絆され今ではナナリーを守るために筆頭騎士になることを選んだ。

 

 

─────盲目の姫は自らの無知を理解しながらも足りない頭で必死に考えアリスたちという協力者を集めシュナイゼルとルルーシュの謀略を破壊するために虎視眈々と行動を起こそうとするのだった。

 

 

「────いよいよ我らの求める決戦の日が近づいているな」

 

ファウンデーション王国親衛隊ブラックナイトスコード親衛隊隊長専用母艦であるバルドル級惑星間航宙戦艦のブリッジにてシュラはオルフェたち他のアコードとは違う、シュラにとって真に信頼すべき仲間であるものたちを集め決戦前の酒宴を開いていた。先日のZEXISとドライクロイツとの戦闘で気が高まっているのかシュラはお気に入りのワインであるシャトー・カントメルルを堪能しながら集まった彼らとこれからの話をしていた。

 

「っけ、ようやくあの連中とおさらばできるってわけかよ。せいせいするぜ」

 

「それには同感だね。彼らって自分たちこそが至高の存在だって疑わないから鬱陶しかったんだよね」

 

シュラの言葉を聞いて最初に反応したのは彼と同じアコードである丸い黒サングラスをつけた短髪の黒髪の男性──レオリオ・エスカノールはオルフェたちにたいしてそう悪態をつきながら机の上に置かれているつまみを乱暴に鷲掴みして口の中に放り投げるように食べ、その隣でココは優雅にチーズと白ワインを堪能していた。

 

「それで何時アイツら裏切るの?」

 

「俺たちは何時でも奴らと戦う準備は出来ている」

 

シュラにそう問いかけたのは前髪をぱっつんとし、ウエスト辺りまで伸びた長い薄茶髪の毛先が巻かれウェーブヘアとなっているスレンダー体型の表情が乏しく愛想に欠ける印象の辛辣な美少女──クロノ・ザビエルと毛先が少しはねた焦げ茶髪の地味な印象な様で端正な顔立ちの冷静な性格の少年──ハクノ・ザビエル。2人はスコーンと紅茶を堪能しながら迫る戦いに向けて強い決意を抱いていた。

 

「そう焦る必要もない。我らが暴れる時はオルフェたちが無様を晒した時だ」

 

「ZEXISとドライクロイツもオルフェたちに思うところがあるだろうし少しは譲ってあげないとね」

 

「俺たちは彼らが暴れた後に現れる、そういうことでいいのか」

 

先日のオオサカ租界での一件でオルフェたちとキラたちは少なからず強い因縁関係ができていた。故にフジの決戦で彼らが衝突するのは目に見えているためZEXISとドライクロイツがオルフェたちと戦い、オルフェたちが無様に負けた時に本性を表すのが最も効果的だとシュラは考えていた。

 

「くくっ、ようやくだ。ようやく俺たちの好きに暴れる日が来る。アコードの力に溺れた愚図共を排除し真の強者のみが世界を統べる日が・・・!!」

 

シュラにとってオルフェやグリフィンたちアコードの力に溺れた連中は嫌悪の対象でしかない。別にシュラはアコードの力全てを否定する訳では無い。力は使いようであるためアコードの力もシュラの持つ強さの1つだと判断すればいいものだ。だがオルフェたちはアコードの力こそが絶対だと盲信しておりこれまで格下や弱った連中ばかりを相手取っていたためにその感情がより強くなっていた。故にシュラはアコードの力前提で戦いそれに満足して胡座を書いているようなオルフェたちを嫌っていた。

 

「・・・・・・・・・」

 

「フッ、君としてはキラ・ヤマトやカガリ・ユラ・アスハたちのことが気になるかな?」

 

「そのようなことは・・・」

 

壁際で待機している長い茶髪の憂いた表情を浮かべている紫色の瞳を持つ美少女───ユイナ・アストレアにシュラがそう声をかけるがユイナは顔を逸らしているだけだった。彼女はアウラがかつてユーレン・ヒビキが生み出したスーパーコーディネーター如き自分でも容易に創れると豪語しておきながら通常よりも多少能力が高いコーディネーターとしてユイナは生まれてしまった。それに強い怒りを抱いたアウラは最初は殺処分しようとしたがそれをすれば自分がユーレンに劣ると認めるようなものだと考えていたアウラは処分するのをやめてオルフェたちアコードと比べるためのモノとして最低限生かしてやることにした。

 

それ故にユイナはオルフェたちにとって自分たちの愉悦感を満たすためのサンドバッグのような扱いをずっと受けていた。そのためにユイナは自分に自信がなかったし自分にはなんの価値もないと思っていた。だからユイナはルルーシュにその存在を認められ生きていてもいいと認められていてもなお未だ自分に自信を持っていなかった。それをシュラたちは理解はしているがこれは本人が乗り越えるべき問題であるために口を出すべきではないと判断していた。

 

「まぁいい。予定通り俺たちは連中からの合図が来たら好きに暴れていい許可を得ている。故に俺は強者との血で血を洗うような闘争をするつもりだ。お前たちも好きにしろ」

 

シュラはフジの決戦で現れるであろう強者たちの存在に、そんな彼らとの死闘に心を震わせ赤ワインが注がれたグラスを掲げながらそう話す。レオリオたちもまた各々の目的を成し遂げるために、そしてオルフェたち他のアコードと異なる意思を持っている彼らを受け入れてくれたシュラとルルーシュのために敵対するものたちを殲滅することを選んだのだった。

 

────裏切りの黒騎士たちは創造主の押し付けた願いを切り捨て自分たちの求める未来に進むことを選んだ。彼らが進む未来が明るいものかそれとも闇に包まれているのか定かではないが、それでも自らの道を自分で選択することは決して間違いでは無いとこれだけは言えるだろう。

 

 

『─────何の用だ人間』

 

「そう殺気だつなよ。そっちにも良い提案を持ちかけに来てやったんだぜ?」

 

ディセプティコンの戦艦にてメガトロンは来訪者であるインスペクターの幹部であるメキボスとシャドウミラーズのトップであるヴィンデルと対面していた。周囲にはバリケードやブラックアウト、クランクケース、ハチェット、クロウバーなどのディセプティコンの一般兵士たちが武器を携えて待機しておりメキボスたちが妙な動きをすれば即座に始末できるようにしていた。一歩間違えたら命を落としてしまうような状況でありながらもメキボスは余裕な態度でメガトロンと対峙していた。

 

「今俺たちは共通の敵がいるからこうして協力関係を築けている。だが、それも連中を倒したら簡単に破棄するような薄っぺらい関係だ。どうせ殺し合うんだって言うなら被害を抑えるために敵を始末してからがいいだろ?だからそれまでの間だけの同盟を組もうってわけさ」

 

『話にならんな。貴様らインスペクター、いやヴォルガは俺たちと同じこの宇宙を支配することを企む連中だ。貴様らと手を組む利益などない。ましてやそこの虫けらも含めるなど論外だ』

 

メキボスはルルーシュたちを倒した後のことを考えてメガトロンに同盟を持ちかけてきたが、メガトロンにとってインスペクター及び彼らをまとめる組織《ヴォルガ》のことを信じることも出来ずその同盟を結ぶことに否定的だった。その上でただの人間であるヴィンデルもその同盟に含めるというのだからその考えはより強くなるというものだ。

 

「随分と偉そうに言うものだな。オートボットに敗北を繰り返しているだけのクズ鉄人形風情か」

 

『ふん、虫けら風情が言うではないか。永遠の闘争などという愚かな考えを持つような猿は口だけは達者なようだな』

 

「貴様・・・!!」

 

ヴィンデルとメガトロンは互いに嫌悪を隠さずに睨み合う。異星人によって滅ぼされた自分の星を経験のあるヴィンデルと卑怯な手を使う上に自分が正しいと信じてやまないヴィンデルの存在が気に食わないメガトロンと互いの相性が最悪だからこそこのようなことになっているのだろう。

 

「おいおい今は互いに言い争ってる場合じゃないんじゃないか?俺たちが争ったところで他の連中が得をするだけになるぜ」

 

「ちっ・・・!」

 

メキボスの言葉にヴィンデルは舌打ちをして黙る。メガトロンもまた決戦が近づいている状態で見下している相手とはいえ戦力が減るのは得策ではないと考えそれ以上は何も言わなかった。

 

「別に仲良く手を繋いで戦おうって言ってるわけじゃねぇ。ただ面倒な敵を始末するまでの間は互いに手を出さねえって契約を結ぼうってだけの話さ」

 

メキボスはそう言ってくるが、その目は決して友好的なものではなく隙があればその首をとると言わんばかりに剣呑さがあった。当然それに気づかないメガトロンではなくメガトロンもまたメキボスから強かさを感じ取り警戒心を強める。

 

『・・・それは貴様個人の意思か、それともウォルガ全体の意見なのか』

 

「これは俺たちインスペクター側の意見さ。といっても他の連中はあまりいい顔しなかったがな」

 

メガトロンは確認のためにメキボスに確認を取るがメキボスは肩をすくめてそう答えるだけだった。それをメガトロンは疑わしげに見るがそれが本当か嘘か判断できないためここはメキボスが企んでいるであろう策を探ろうとした。

 

『・・・俺の敵はオプティマスだ。やつに手を出さないというのなら考えてやらんこともない』

 

「交渉成立だな」

 

メガトロンはそう最低限の譲歩を見せてメキボスたちと手を組むことを良しとした。だがあくまでもメガトロンにとっては宿敵であるオプティマスたちオートボットとの戦いに横槍を入れられたくなかったから同盟を良しとしただけであり邪魔をするならば即座に始末する気でいた。交渉が完了したと判断したメキボスはこれ以上ここにいてもメガトロンの気を悪くするだけだと考えヴィンデルと共に退出した。メキボスたちの姿が見なくなったのを確認したメガトロンたちはブラックアウトたちに退出するよう命令を出すと1人呟いていた。

 

『奴ならどうしたのだろうな・・・』

 

メガトロンが頭に思い浮かべたのは宿敵のライバルのオプティマス・プライムではなく、かつてまだオートボットとディセプティコンが戦争を起こす前、メガトロンとオプティマス───当時の名はD-16とオライオン・パックス──の共通の友人であったイグドラシルのことであった。誰よりもトランスフォーマーたちの未来を考えているオートボットだった。最後までオプティマスとメガトロンの仲を修復しようとしオートボットとディセプティコンの戦争を止めようとしたが力及ばず止められなかったのだった。その結果イグドラシルはオプティマスたちオートボット側に組みしてしまったがきっかけさえあればイグドラシルはディセプティコンに着いていた可能性もあるため惜しいと今でも思っている。

 

そんなイグドラシルが人間と手を組んでいると聞いた時は耳を疑ったが、もしかしたらまだかつての願いであるサイバトロン星の復興とオートボットとディセプティコンの和解を考えているのではないかとメガトロンは邪推してしまう。

 

『いや、今更か・・・。奴とオプティマスとはもう戦って勝利を得ることでしか分かり合うことはできぬ・・・』

 

メガトロンはかつてのともであるオプティマスとイグドラシルをこの手で殺すことに躊躇いはないが、多少なりとも思うところがあるのは事実であった。それでも互いにもう止まれなくなる所まで来てしまったのだからどちらかが勝利してトランスフォーマーたちの未来を勝ち取るしかないのだ。

 

 

────異星人たちと別次元の人間は互いに信頼関係があろうわけがなく、敵を始末する時に邪魔をしなければ構わない程度の薄っぺらい同盟を結んだ。彼らの同盟がどのような動きを見せるのかはまだ誰にも分からないのであった。

 

そして彼らが同盟を結んでいるようにシュナイゼルもまたへスター、ラスタル、オルフェ、ジーンらと同盟を結びいざと言う時の備えをしていたのだった。このようにして悪意を持つものたちが蠢く中でそれぞれの悪意が虎視眈々と自らの野望を抱いて各々が好き勝手動こうとしていた。目の前の敵を倒すことに協力する姿を見せてはいるものの腹の中は真っ黒な連中ばかりであった。彼らの悪意がどのようにフジの決戦で動くのか、それはまだ誰も知る由もないことであった。





あとがき

どうでしたかね?冒頭の超大型ゾイドは何なのかは何となくわかる人はいるかもしれませんがこちらはとあるユーザー様から頂いたオリジナルゾイドの設定を元にしたものを登場させてもらいました。なので本編でその姿を現わした時にはその変化に驚かされるかもしれません。登場したビーシュ含めたオリジナルキャラたちはフジの決戦かあるいはその先で出番がある予定なのでその時に詳しい設定を出そうと思います。次回はZEXIS・ドライクロイツ側の決戦準備回にしようと思います。それが終わったらようやくフジの決戦に入れます。最近XやYouTubeで政治関連の話を聞いていて苛立ちがつのるので架空国家を使っての外伝書こうかなと思ってます。そっちは書けたら書こうと思いますので特に気にしないでください。
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