スーパーロボット大戦Z 魔王の降臨   作:有頂天皇帝

39 / 41
まえがき
はい12月は仕事が忙しすぎてクリスマスネタが思いつかないので来年に先延ばしにして本編進めることにしました。楽しみに待っていた人達はほんとにすみません・・・。今回はトランスフォーマー組とバディコン組のバトルを開始させつつ次の話に向けての準備になります。今年はもう少し投稿頻度をあげたいと思いつつ内定が決まったことで忙しくなりそうだからそれも厳しい・・・。これからも無理しない範囲で頑張りますのでどうかよろしくお願いします。


REBELLION STAGE29.未来を目指すもの、滅びへ進むもの

マリオたちによる扇派の黒の騎士団にたいする粛清が開始されたのとほぼ同じ頃、地球からはるか遠く離れた銀河系にある滅びた惑星【サイバトロン星】の金属生命体【トランスフォーマー】たちが長く続いた戦争を終わらせるべく【オートボット】と【ディセプティコン】の戦いは苛烈を極めていた。

 

『決着をつけるぞ、オプティマス!!』

 

『望むところだ!!』

 

オートボットのリーダーであるオプティマス・プライムとディセプティコンのリーダーであるメガトロンがそれぞれの武器であるエネルゴンソードとダークエネルゴンセイバーをぶつけ合わせ戦っていた。富士の噴火による被害が少ない場所でぶつかり合う両軍は攻防一体を繰り返していた。

 

オートボット側は長年続くディセプティコンとの戦闘で同胞を多く失ったことでその数は少なくNESTの援軍を合わせてもその数は圧倒的に劣るがそこは長年の戦闘経験と仲間同士による連携で戦えている。対するディセプティコンはこちらも数は少ないがメガトロン並の実力者であるザ・フォールン、センチネル・プライム、ロックダウン、クインテッサの存在によってオートボット側の戦力を削っていく。両者ともに少なくない被害を出しながらも互いに致命的な被害は出ていなかった。オプティマスとメガトロンの戦いの決着次第で戦局は大いに激変するであろうと誰もが予想していた戦場に彼らは姿を現した。

 

『────悪いが我々も混ぜてもらおうか』

 

『なにっ!?』

 

『ぬぅっ!?』

 

エネルゴンソードとダークエネルゴンセイバーをぶつけ合わせていたオプティマス・プライムとメガトロンを弾き飛ばしながらイグドラシル・プライムは姿を現した。そして現れたのは彼だけでなく彼の配下であるセイバーズと因縁の相手であるロックダウンとクインテッサがいることからこちらの戦場へとやってきたダイナボットたち【古代の戦士(ロストウォリアーズ)】か乱入してきてオートボットとディセプティコン双方に攻撃を仕掛けてきた。

 

『イグドラシル・・・・っ!!我らの前によく顔を出せたな!!』

 

『オートボットを裏切った貴様だけには言われたくはないなセンチネル』

 

この多元世界で何度も苦渋を飲まされたイグドラシル・プライムの登場に嫌悪を隠せないセンチネル・プライムがイグドラシル・プライムに攻撃を仕掛けようとするもそれをセイバーズの副官であるウルトラ・マグナスが妨害するように立ち塞がりセンチネルプライムの横っ面をソラスプライムハンマーで殴り飛ばす。

 

『ぐっ!?トカゲ風情が調子に乗るなっ!!』

 

『ギシャァァァァァァ!!』

 

ロックダウンはティラノ状態のグリムロックによる噛みつきを回避しながらその顔面に前腕部を変形させた大型キャノンによる砲撃を繰り返すが、グリムロックの顔が煤で汚れる程度で微々たるダメージすら与えられず、むしろ不快感を感じたグリムロックによってサッカーボールのように勢いよく腹部を蹴り飛ばされた。

 

『別の惑星のプライムか!!だが今更貴様程度が現れたところで無駄なことだ!!貴様も我が兄弟たちのように邪魔をするというのなら滅ぼすまで!!』

 

『させぬ!貴様が我らと同じプライムであるというのならそれを止めるのも老兵である私の使命だ!!』

 

かつてのプライムの1人であるザ・フォールンとセイバートロン星最後のプライムであるアルファトライオンは互いの武器をぶつけ合わせながら衝突し合う。互いにオプティマスやメガトロンたち以上に長く深い戦いを経験し続けた歴戦の戦士であるためにその迫力は凄まじくオートボットの勇士やディセプティコンの戦士たちですら気圧されてしまうものだ。

 

『おのれ・・・っ!!忌々しきプライムめが、奴が現れてから我らの支配が思うように進まぬ・・・!!』

 

インフェルノコンやシャークドロン、スチールジョーなどの様々な金属生命体たちを従えているクインテッサであるが、セイバーズたちの登場と同時にオートボットビーコンやディセプティコンビーコン、インセクティコンたち量産型トランスフォーマーたちの襲撃を受けてインフェルノコンたちの数は減らしていくことに苛立ちを隠せないでいた。

 

『どっすこーい!!』

 

『ちぃっ!?』

 

『あれれ?もしかしてあんたクインテッサッスか?よっしゃラッキー!!大物ぶっ潰してイグドラシル様に褒美のエネルゴンたくさん貰おーっと!!』

 

突然襲ってきたインセクティコンのリーダーであるハードシェルの拳をクインテッサは咄嗟に防御するも、ハードシェルは大将首に匹敵するほどの大物を前にしてテンションを上げながら攻撃を繰り返す。別の場所でもオートボットのジャズとセイバーズのサテライトによる格闘戦闘が、アイアンハイドとハウンドによる一世砲撃をアルマダスクリームがビークルモードで回避しながらナル光線キャノンで反撃をするなどトランスフォーマー3勢力は激しいぶつかり合いを見せていた。そんな中でオプティマス・プライム、メガトロン、イグドラシル・プライムというかつての友人たちは武器を構えながらも戦う訳でもなく話し始めていた。

 

『・・・こうして我らが話し合うのもいつ以来だろうな』

 

『イグドラシル、生きていたのだな・・・。惑星ガルダルの崩壊に巻き込まれてサテライトたちと共に死んだのかと思っていたが・・・』

 

オプティマス・プライムは亡くなっていたと思っていた友が本当に生きていてこうして目の前に存在し話せることに喜びと敵として対立してしまうことに悲しみを感じるもイグドラシル・プライムは

 

『運が良かったとしか言いようがないな。あの時、俺たちは惑星ガルダルの崩壊したのとほぼ同時に発生した次元震によって我らは別次元のサイバトロン星、セイバートロン星へと飛ばされた』

 

『『なっ!?』』

 

イグドラシル・プライムが次元震に巻き込まれたこともだがそれ以上にオプティマス・プライムとメガトロンは別次元にトランスフォーマーの母星があるといつ事実に驚愕を隠せないでいた。それを理解しながらもイグドラシル・プライムは話を続ける。

 

『我々は同胞であるトランスフォーマーたちを裏切りクインテッサ星人の配下に成り下がったセンチネル・プライムからセイバートロン星を取り戻すためにセイバートロン星のトランスフォーマーたちと戦い勝利し、私はマトリクスを託されプライムの1人となった』

 

イグドラシル・プライムはそう語りながら胸部パーツを解放しそこからプライムの証であるマトリクスを取りだし2人に見せた。

 

『我々の目的は私自身のマトリクスとオプティマスのマトリクス、2つのマトリクスを用いてのサイバトロン星の復活。そしてサイバトロン星とセイバートロン星での連合軍による侵略者であるクインテッサ星人の殲滅だ』

 

『『──────っ!?』』

 

イグドラシル・プライムの目的、それはオプティマス・プライムたちの母星であるサイバトロン星の復活と侵略者であるクインテッサ星人たちの殲滅であるということにオプティマス・プライムたちは動揺を隠せないでいた。もしそれが事実であり成し遂げられるのだとすればオートボットとディセプティコンによる長く続いた戦争にも大きな変化が、否展開次第では互いに争うのを止めて協力関係を築く可能性も僅かながら発生する。

 

『そのためにも皆をまとめるリーダーが必要になる。故にオプティマスとメガトロン。我々それぞれの組織のリーダーが戦い誰がトランスフォーマーたちを導くのかを決める必要が』

 

『それが貴様が俺にもオプティマスにも付かずに新たな勢力として敵対してきた理由か』

 

『そうだ』

 

メガトロンはイグドラシル・プライムがオプティマスの元に戻らなかったのかずっと疑問を感じていたが、その目的を聞いた事でようやく理解することができた。

 

『我らは同じトランスフォーマーであるが目指す先は異なる。故に目指す先を統一しその未来に進むためにもその邪魔をするものたちをこの地で滅ぼす』

 

『ザ・フォールンたちのことか・・・』

 

オプティマス・プライムはイグドラシル・プライムの言う邪魔者がザ・フォールン、センチネル・プライム、ロックダウン、クインテッサとその配下たちであることを察し、そのためにルルーシュたちの配下になったのだと理解した。

 

『さぁ戦うぞオプティマス、メガトロン。我らトランスフォーマーの未来を誰が導くのかこの一戦で決めようか』

 

こうしてイグドラシル・プライム、オプティマス・プライム、メガトロンを中心にセイバーズ、オートボット、ディセプティコンによるトランスフォーマー3大勢力が激しいぶつかり合いを始めた。それぞれが目指すトランスフォーマーの未来の為に彼らは戦うのだった・・・。

 

 

 

 

オプティマス・プライムたちがかつての仲間とぶつかり合っている頃、ディオと青葉たちシグナス組を中心としたZEXIS・ドライクロイツのメンバーはディオと青葉たち組にとって因縁の相手であるヒナ・リャザンとビゾン・ジェラフィルたちゾギリアのヴァリアンサー部隊と激しい戦闘を繰り広げていた。

 

『渡瀬青葉ァァァァァ!!』

 

『クソッ!お前なんかに構ってる暇はないんだよ!!』

 

ビゾンのネルガルから繰り出されるネクターバズーカによる砲撃を青葉とルクシオンネクストは回避しながら相棒(バディ)であるディオのブラディオンネクストを切り裂こうとしているヒナの乗るカルラに顔を向ける。

 

『雛・・・!おい、雛っ!!』

 

青葉が、スピーカー越しに大声でヒナに呼びかけた。しかしその声はヒナに届かずカルラはディオの命を刈り取るためにその鎌を振るう。だが、

 

『雛!!そのピンクのヴァリアンサーに乗っているのは雛なんだろっ!?』

 

『っ!?』

 

何度目かの青葉によるその叫びを聞いた瞬間、今の今まで虚ろだったヒナの顔に生気が戻り、同時に彼女はハッとしたものとなった。

同時にさっきまで展開されていたカルラとネルガルのカップリングが、解除された。

 

『なんだ、あのヴァリアンサー!?様子が変わったぞ!』

 

『どうなってるんだ・・・?』

 

『何をしている、ヒナ!?なぜカップリングを解除するんだ!!』

 

『あ・・・あぁ・・・』

 

突然のヒナの謎の行動にロックオンとアレルヤがどよめく中、突然カップリングを解除されたことに気づいたビゾンがヒナに向かって叫ぶ中、ヒナはわなわなと畏怖に顔を震わせていた。

 

 

 

「ふむ・・・これまでの戦いのデータから完璧になったと思ったが・・・」

 

エレボスの第一艦橋で、その様子をモニターで見ていたハーンは顎を軽く指で撫でた。

 

「外部要因に左右されるとは、まだまだメンタルに問題があるようだね」

 

不穏な笑いを浮かべながら、ハーンがコンソールパネルで何らかの操作をした。

 

 

『く・・・う、うぅっ・・・!!』

 

突然、カルラに走り始める電流。

その電流は内部のコクピットにいるヒナにも及び、ヒナは身を捩り、悶え、苦しみ始める。

 

『な、なんですかあれは・・・?』

 

『おい、何やってんだよヒナ・・・』

 

ラーシャやタルシムらもヒナの様子がおかしといなと思い思わず振り返り、ヴァリアンサー部隊にどよめく中、ビゾンが回線越しにハーンに向かって叫んだ。

 

『Dr.ハーン!!』

 

『ああ、見ているとも。それに彼女の障害ならさっき取り除いた。もう大丈夫』

 

『気をつけろ!俺のヒナに何かあったらどうするんだ!?』

 

『それは失敬。安心して思う存分に戦うといい。・・・ただし、ルルーシュ陛下も見ておいでなのを、忘れないようにね』

 

叩きつけるようにしてビゾンはネルガルの操縦間に指を走らせ、通信回線のコードを即座に切り替えた。パネルから不穏な笑いと共に流れていたハーンの声が途切れる。

 

『行くぞ!コネクティブ・ヒナっ────!!!』

 

『う・・・ううっ、うああああああっ!!!』

 

ビゾンの歓喜に震えている声と苦痛に満ちたヒナの悲鳴がほぼ同時に戦場に響き渡ると、カルラとネルガルのカップリングが半ば強制的に再開された。

 

 

「ゾギリア軍のヴァリアンサー、カップリングしました!!」

 

シグナスの艦橋のサブモニターで、カルラとネルガルの再カップリングを見た自由条約連合・特務士官補佐の奈須まゆかが叫んだ。

同じくサブモニターで、彼女の後ろからこの様子を見ていた自由条約連合の特務士官にしてヴァリアンサーの研究者エルヴィラ・ヒルが、険しい表情で叫んだ。

 

「やっぱりおかしい・・・!どう考えても、おかしいわ!あのカップラー、強制的にカップリングされてるとしか思えない!!」

 

『どういうことです、エルヴィラ博士!?』

 

通信回線越しに言ってきたティエリアに、モニターの中のカルラとネルガルを見据えながらエルヴィラは言った。

 

「エンファティアレベルを上げるための薬物投与・・・。場合によっては、意識を一方向へ向けるための精神制御・・・。ヴィルヘルム・ハーンならば、ルルーシュ皇帝のギアスとは似て非なるそれらの被人道的な方法で、無理矢理カップラーを養成することも有り得るわ!」

 

エルヴィラのその言葉に、青葉たちのあに動揺が走った。

 

『つまり、雛が敵に操られてるってことか!?』

 

『そして、そのバディはビゾン・ジェラフィルか・・・!』

 

青葉が叫び、ヒイロが唸った直後、少し離れた戦場でシュナイゼル連合軍の艦隊がライのアーサー・イルジオンのクラウ・ソラスによって撃沈されていた。

 

『うわっ!?』

 

『ラ、ライさん・・・!』

 

その光景を見たVツーガンダムのウッソ・エヴィンとガンダムキャリバーンのスレッタ・マーキュリーが思わず叫んだ。見るとそれによって発生した穴を第零騎士団たちがさらに食い破って被害を広げていくことで、さらに機体と戦艦などと共に大量の命が散らされていった。

 

『呑気に構えてる暇はない!これ以上ルルーシュやライたちの好きにさせてしまえば多くの死が生まれてしまう、どうにかしないと!』

 

『ああ・・・!そして、奥に神殺の英傑たちをはじめとした強敵たちがいることを考えれば、ここで足止めされている暇など我らにはない!!』

 

『待ってくれ、クワトロ大尉!俺は雛をっ・・・』

 

カミーユに合わせてそう宣ったクワトロに、青葉が慌てた様子で叫びかけた時、ノネットがボールスの回線越しにどやしつけてきた。

 

『ぐだぐだ言ってる暇はない!あの子を救いたければあんたがやりな、渡瀬青葉!!』

 

『ええ・・・!そのフォローは私たちもするわ!』

 

『きっとあの子も、キミが助けてくれるのを待っている!』

 

『キミがそこまで思うほど大切な人なんだろ!? ならば迷うな!!』

 

『ノネットさん・・・みんな・・・』

 

オルドリン、ティンク、レオンハルトに背を押され、青葉は息を呑んだ。

 

『・・・雛がカップリング機に乗っていたのは想定外だったが、それら以外は当初の予定通りだ』

 

不意にそう言ってきたディオに、青葉はハッとなった。

 

『手を貸してくれるのか、ディオ?』

 

『そのつもりだ』

 

『でも、相手はカップリング機で、あの』

 

『なんだ? 今更尻込みするのか? 自信がなくなったのなら引っ込んでろ!!』

 

『何っ!?』

 

ディオの冷たい一喝に青葉は気色ばんだが、ディオはそんな暇も与えないかのように冷たく厳しい声で言った。

 

『頭を冷やしてよく考えてみろ。あんな無理矢理のカップリングに俺たちが負けると思うか?』

 

『っ!・・・負けねえ!!』

 

青葉は、ルクシオンネクストの操縦桿をグッと握りしめた。

 

『だったら決まりだ。そしてこの機を逃がしたら、もう雛を取り戻せるチャンスはないと思え。お前の持ち前の意地と根性を使ってでも必ず成功させてみせろ。いいな!?』

 

『ああ・・・!よっしゃっ!!』

 

ディオの檄を受けて、青葉は気合を入れ直すように自分の両の頬をパンッと勢いよく自分の手で張った。

 

 

「・・・彼らの覚悟も決まったようだね。まさにここが正念場というものだ」

 

倉光が、ディオと青葉の覚悟に安堵したように言ってから、エルヴィラがディオと青葉たちにこう呼びかけた。

 

「わかっているとは思うけど、無理やりなカップリングと言えどその力は凄まじいわ。その事を忘れずこちらも連携して撃退しなさい!!」

 

「各機へ!ゾギリアのヴァリアンサー部隊とカップリング機を撃退しなければ、我々に勝機はない! カップリング機は片方を止めればシステムも止まる!無理に倒そうと思うな、どちらかに攻撃を集中させるんだ!!」

 

『『『イエス・マイ・ロード!!』』』

 

ノネットの指示に、オルドリンたちグリンダ騎士団が斉唱し、士気を高めた。

 

 

「敵は引き続きルルーシュ皇帝軍とシュナイゼル連合軍だ・・・。それにシュナイゼルにはまだ、ダモクレスとフレイヤがある。両方の敵軍を撃退して、その上でフレイヤの発射を阻止できなければ、我々の負けだ。各機、それを忘れないでくれ」

 

倉光も、続けてZEXIS・ドライクロイツ部隊に呼びかけ、注意と士気を高めさせる。

 

 

突如始まったカップリングを行っているヴァリアンサー同士での戦闘。果たして青葉とディオは操り人形と成り果てているヒナを救うことができるのか・・・

 

 

シュナイゼル連合軍、ルルーシュ皇帝軍、ZEXIS・ドライクロイツの3つの勢力を主とする戦力が激しいぶつかり合いを開始してからそれなりの時間が経過した。ルルーシュ皇帝軍とZEXIS・ドライクロイツの勢いは凄まじくシュナイゼル連合軍は開戦する前に主戦力の一つであるラウンズとその直属騎士団を失ってしまったことで戦力の低下を余儀なくされ徐々に追い詰められていたが、シュナイゼルたちにはまだ幾分かの余裕があった。

 

「ルルーシュの手駒がこれほど優秀だったとは・・・」

 

「心配は要らないよ。私はね、一度だってルルーシュに負けたことはないんだ」

 

ダモクレスの司令室のモニターでルルーシュ皇帝軍の想定以上の実力にカノンが驚く中、シュナイゼルは手元のコンソールパネルに手を伸ばし、艦内通信回線を開いた。

 

「ナナリー、照準は合わせてある。フレイヤという力で平和を創るんだ」

 

『は、はい・・・!』

 

花が咲き誇り、蝶すら飛ぶ平和な庭園。

その中心で、ナナリー・ヴィ・ブリタニアは剣にも似た形をした、大量殺戮兵器のスイッチを押す。

 

「お兄様の罪は────私が討ちます!!」

 

瞬間、破壊の弾頭は空を駆けた。

 

 

ドォォォォォォンッ────!!!

 

 

一気に広がる破壊の極光。発射先にいたルルーシュ皇帝軍のナイトメア・モビルスーツ・モビルアーマー部隊、さらに逃げ遅れたシュナイゼル連合軍部隊の一部まで呑み込み、一瞬にして原子レベルにまで分解してしまう。

 

『っ!?あの光は・・・!?』

 

『あれは、トウキョウで見た!』

 

ルルーシュ皇帝軍、シュナイゼル連合軍双方と交戦を繰り広げていたダンクーガノヴァMAXGODの飛鷹葵と、ファイナルダンクーガの藤原忍が、その破壊の極光を前にして息を呑む。

 

『間違いない・・・!フレイヤだ!!』

 

Hi-νガンダムのモニター越しにそれを見て、アムロ・レイも表情を険しくする。

 

 

 

「────そして、援軍も間に合ったようだ」

 

シュナイゼルが、別の場所を写したモニターの映像を見て目を細めた。

 

 

『なんだ!?』

 

『上空から何か来るよっ!』

 

同じく北川ZEXIS・ドライクロイツ部隊、オルドリンらグリンダ騎士団と共に戦闘中だった龍虎王のブリットとクスハが南東の空を見上げて叫んだ。

 

『ラトゥーニ、それに皆様!!あちらの方の空がすごいことになってますわ!?』

 

『えっ!?』

 

同じくルルーシュ皇帝軍、シュナイゼル連合軍と戦っていたフェアリオン・タイプGのシャイン・ハウゼンが、近くのフェアリオン・タイプSのラトゥーニ・スゥボータ、ビルドファルケンのゼオラ・シュヴァルツァー、ビルドビルガーのアラド・バランガへと大声で呼びかけた時だった。

 

 

フレイヤによって消し飛ばされたルルーシュ皇帝軍のいた上空からガロイカやメギロート改、レストジェミラたち無人機部隊で構成された一個師団並みの戦力を持った部隊が現れる。

 

『インスペクターの無人機・・・!』

 

『まさか、インスペクターまでもがこの戦場に来るとは・・・!!』

 

インスペクターの登場にダイゼンガーのゼンガー・ゾンボルトとアウセンザイターのレーツェル・ファインシュメッカーが驚きの声をあげた。

 

『地球の猿どもがっ・・・!!今日こそ貴様ら銀河の病原菌どもを根絶やしにしてくれるっ!!』

 

『頭に血が登りすぎるなよヴィガジ。まぁ今日ここで蹴りをつけるってのは俺も同じ意見だが・・・』

 

インスペクターの幹部であるメガガルガルガウのヴィガジとグレイターキンのメキボスは何度も地球侵略を妨害してきたZEXIS・ドライクロイツ、ルルーシュ皇帝軍への敵意を強く抱きながら同じ幹部であるシルベルヴィントのアギーハとドルーキンのシカログもまた気が高ぶっているのか進軍する動きが早かった。

 

その様子はエレボスにいたルルーシュたちにも見えていた。

 

「ここで増援だなんて・・・!!」

 

「これはますます厄介になっちゃいましたねぇ~」

 

セシルが悲痛な声をあげ、ロイドがあっけらかんとした様子で言った。そしてハーンが、ルルーシュを振り返って意味深な笑いと共にこう言葉をかけてきた。

 

「・・・ですが、これもライ卿とあなたにとっては想定内の状況(・・・・・・)。違いますかな?」

 

「・・・・・・」

 

ルルーシュの口が動いた。しかし、言葉は出てこなかった。

 

 

「ルルーシュは黒の騎士団とZEXISを過小評価していたようですね」

 

ダモクレスのモニターでこの状況を見ていたディートハルト・リートが、勝ち誇った表情でシュナイゼルにそう言った。

シュナイゼルはそのディートハルトの言葉を無視しながらも、彼と同じく初めて勝ち誇った笑みを顔に浮かべた。

 

「ルルーシュ、もし私を倒そうと考えているのなら、君はそこまでだよ。仮面を使いこなせない人間に勝利はない」

 

 

シュナイゼル連合軍に新たな戦力が追加されたのととうとうフレイヤを使用し始めたことにより戦況はまた混沌と化してしまう。それによって勝利を確信するシュナイゼルであるが、フレイヤの威力を見てもまだルルーシュが不敵な笑みを浮かべていたことを彼は知らないのであった・・・。

 

 

 

「いよいよ大詰めになってきたわね」

 

主戦場から北西に向けて離れた場所にあるとある情報管理施設から、ソレスタルビーイングのエージェント・王留美(ワンリューミン)は、モニター越しの決戦の様子を見て言った。

 

「そしてあれが《エレボス》・・・。ギリシャ神話の地下の暗黒神の名前を冠した艦ですか。ルルーシュ皇帝も、とんでもないものを手に入れてきたものね」

 

「お嬢様・・・ここにいては危険です」

 

護衛兼執事の青年・紅龍(ホンロン)が、留美に言った。

 

「でも、この戦場でしか、ソレスタルビーイングに安全にコンタクトを取る手段はないわ」

 

「しかし・・・」

 

「私の指示が聞けないと言うの、紅龍?」

 

「・・・・・・」

 

紅龍は思うところがあるのか、押し黙ってしまった。

そんな紅龍に一瞥もくれず、留美はモニターに映る決戦に目を戻した。

 

 

「さあ戦いなさい、ソレスタルビーイング。この聖戦を生き残ることができたのなら、私があなたたちに世界を変える方法|(・・・・・・・・)を与えるから」

 

 

 

同時刻。戦場の一角で微かだが変化が生じていた。

 

「っ・・・!!」

 

ジェレミア率いる皇帝軍の配下の1人としてダモクレスに向かって進撃していたルイス・ハレヴィが、専用機であるレグナントのコクピットで突然表情を変えた。

その時、通信パネルが音声のみを表示した。

 

『どうした、ハレヴィ准尉?』

 

その通信パネルから流れてくるアンドレイ・スミルノフの声に、ルイスは唸るようにして答えた。

 

「・・・来る」

 

『来る?』

 

『なに?敵がか?』

 

通信パネルの中からさらに聞こえたジェレミアの声。ルイスは瞳に炎を燃え上がらせた。

 

ママとパパを殺した(・・・・・・・・・)あいつ(・・・)が・・・来る・・・!』

 

 

 

『あ・・・あぁ・・・』

 

 

暁改直参仕様のモニターの向こうで、目の前の惨状を目の当たりにした杉山は、恐怖に慄いていた。

目の前と、辺りに死屍累々と転がっているのは、爆発炎上している騎士団員たちも含めた無頼、無頼改、暁、雪華をはじめとした友軍機の残骸だった。

その残骸の中に、爆発炎上していないものがわずかほどだが何機か転がっていた。しかしほとんどは上半身と下半身を分断されるという大破状態に陥っており、そのコクピットブロックの破壊された開閉口から、パイロットの団員たちが吐き出され、死屍累々と地面に倒れていた。サリアのクレオパトラとジルのレイジアとの激闘で破壊されたビルドラプターとノワールストライクガンダムと、ロザリーとクリスのグレイブ:ロザリーカスタムとハウザー:クリスカスタムとの激闘で同じく破壊されたテキサスマックがあり、それぞれの破壊された愛機のそばに倒れている杉山の後輩である騎士団員たちの姿もあった。彼らは死んでいるのか、気を失っているのか、どちらかわからない状態になっている。その証拠に、体のあちこちだけでなく、頭からも血が流れ出ていた。

 

「ああ、あ・・・あっ・・・」

 

そんな中、杉山の視界がモニターの向こうに映るマーヤのアキレウスの姿を捉えた。

 

『きゃああっ・・・!!』

 

アキレウスは無造作に、グングニルで暁の1機を貫いた。同時にその中にいた女性団員の悲鳴が聞こえた刹那、その暁は爆発した。

恐怖と絶望に頭も心も塗りつぶされた杉山だったが、それを見た瞬間に頭が一瞬で沸点を超えた。

 

『あ・・・ああっ────うああああああっ!!!』

 

杉山は絶叫しながら、アキレウスに向かって、腕のハンドガンとバズーカ、そして内蔵式機銃を乱射しながら突進した。それに気づいて、冥夜が指揮する部隊の鬼夜叉数機がそれぞれの銃器で一斉射撃を杉山の暁改直参仕様めがけて浴びせてくる。

 

『ああああああああああああああ────!!!』

 

鬼夜叉の銃器を大量に被弾して、武器や機体のあちこちが爆発し機体全体に炎を纏いつつもアキレウスに向かって突進する暁直参仕様。

ゼロと並ぶ裏切り者と仲間の仇という、その2つの事柄のみが杉山の頭を支配していたのだ。

その執念ともいえる復讐心が、杉山の暁を動かしていると言っても過言ではなかった。────が、その盲目的なまでのマーヤへ向けられた怒りが、ついに果たされることがなかった。

 

────ガシッ。

 

突如割り込んだマリオのペルセウスの左腕が、杉山の暁改直参仕様の頭部を無造作に掴んだ。

それだけで、杉山の暁改直参仕様は突進と攻撃を止めた。そして、両手から銃器がぽろりと零れ落ちると共に、機体はそのまま宙へと吊り上げられる。

 

『今一度聞こう。最期に何か、言い残すことはあるか』

 

ペルセウスの中から、マリオが聞いてくる。

涙と鼻水をとめどなくあふれさせながら、杉山は全身の力を声帯に込めて、こう大声で罵った。

 

『俺の────俺たちの黒の騎士団は、ゼロやお前らなんかに負けるもんかぁァァッッッ!!!』

 

その叫びに、マリオは「そうか」とだけ答えた瞬間、ペルセウスは、炎と煙に包まれた杉山の暁改直参仕様を、無造作に前へと放り投げた。

その先には、巨大な牙が並ぶ鰓を開けて待機しているデスレックス・ノヴァが待機していた。

 

『最後はそいつの餌にでもなって終わるんだな』

 

マリオがそれだけ短く言うと、デスレックス・ノヴァは頭部と胴体だけとなった暁直参仕様を一口で噛み潰し、それによって杉山は身体を押し潰されながらズタズタに切り裂かれる感触によって痛みで苦しみ、最後には機体の爆発に巻き込まれて肉片を残さないほど燃え尽きてしまった。

 

『い・・・のう、え・・・』

 

暁が爆発するまでの刹那。

杉山賢人の脳裏に最期に浮かんだのは、レジスタンス時代の戦友で、恋人のように思いあった女性の騎士団員────井上直美の笑顔だった。

 

 

 

『す・・・杉、山・・・・・・』

 

『杉山あああぁぁぁっ!!!』

 

不知火のブリッジから、レジスタンス時代の戦友の壮絶な最期を見た扇が呻いて。

悲しき激情に駆り立てられ、玉城は悲痛な絶叫をあげながら、先ほどの杉山同様暁改直参仕様をペルセウスへと突進させた。

 

『やらせないよ・・・!』

 

シャルロットの【ガンダムキュリオスエクレール:GNアームズTYPE-KE】が、ペルセウスを守るようにして玉城の暁改直参仕様に向かって進み出てきた。

ガンダムキュリオスエクレール:GNアームズTYPE-KEは左右の大型ミサイルコンテナと両肩部の大型GNキャノンを構えながら両腕の大型GNドリルアームズの槍を回転させる。

 

『くそおおおおおおおおおおっっっ!!!』

 

玉城は両手のランチャーをガンダムキュリオスエクレール:GNアームズTYPE-KEに向かって乱射するが、激情に身を任せての出鱈目な乱射であるため、ガンダムキュリオスエクレール:GNアームズTYPE-KEには1発も掠りもしなかった。

対するガンダムキュリオスエクレール:GNアームズTYPE-KEは、GNミサイルとGNキャノンによる乱射をする。それだけで玉城の暁改直参仕様を一撃で粉砕した。そして、いつものようにイジェクションシートを射出する暇もなく、玉城の暁も爆発炎上し、玉城が乗るコクピットブロックが業火に包まれる。

 

『なあ・・・なんでなんだよ・・・。なんで俺ばっかり・・・こうなるんだよ? 俺は・・・俺たちは・・・一体、どこで・・・何を、間違え、て────』

 

それが、玉城真一郎が最期に残した一言となった。

 

 

 

カレン、エッジやアズたちZEXIS・ドライクロイツの仲間たちが必死に扇たちの元へと向かう中、杉山と玉城真一郎の最期を、ドライストレーガーの艦橋のモニター越しでミツバは見ていた。

 

「皆が・・・死んでいく・・・こんな・・・!」

 

カレンたちが必死になって突破しようとしているシュナイゼル連合軍とルルーシュ皇帝軍の壁の向こうで、かつての仲間たちを囚え、命も含めた全てを奪い続ける蒼き地獄しのおり。

その惨憺たる光景と、それを作り出したかつて多くの戦場を共にし多くの敵を倒してきたはずの仲間であったマリオたちの恐ろしさを前に、ミツバ・グレイヴァレーは畏怖と悲痛に声を震わせた。

 

 

「た、玉城機・・・ロストしました・・・」

 

不知火のブリッジで水無瀬からそう報告を受け、扇は顔面蒼白になった。

これでもう、何人もの仲間が死んでいったのか・・・?

モニター越しに前方を見ていると、前陣のナイトメア、モビルスーツ、そしてスーパーロボットと艦船いずれも壊滅状態で、中陣の藤堂や大神たちの部隊も凶暴な魔狼(ヴィシャスヴォルフ)、深淵騎士団のナイトメア、パラメイル、スーパーロボットを始めとした様々な機体や艦船から容赦ない攻撃を受けている。

 

『敵部隊、前陣を突破! 中陣第一防衛ライン、持ちませんっ!』

 

『アキレウス及びパラメイル部隊が前進してきますっ!!』

 

『ご命令を・・・!事務総長、ご指示をっ!!』

 

日向や双葉らオペレーターが悲鳴をあげて叫んできて、南ら他の幹部陣も顔面蒼白となり、どよめき、体を震わせる中。

 

「お、俺が・・・俺が、やったのか・・・?俺が、玉城を、杉山を、みんなを・・・」

 

仲間へと指示を出す余裕もなくただ呆然と、扇が口を開いた。

ややしばしの間を置いて。

指揮官席の肘掛けを掴む手が、ガタガタと震え始めた。

 

 

 

『藤堂中佐! また新手です!!』

 

大河が、焦った声で藤堂と大神に叫んできた。

ゼログライジス・レクスによる原始解放(ゼロブラスト)による一撃と富士の噴火によって旗艦である斑鳩を始めとした黒の騎士団側に甚大な被害を与え、それによって生じた隙を狙ったかのようにマリオとマーヤ率いる凶暴な魔狼とマリーカ率いる深淵騎士団による蹂躙によってさらに甚大な被害を与えられ、撤退しようにも逃げる暇すら与えられないでいた。

 

『なんなんだ、これは!? 全く勝負にならない!』

 

『こ、こんなのとまともに戦ってられるか・・・!』

 

『みんな、撤退!撤退するのよ!これ以上は無駄死にでしかない!!』

 

そして挙句には、戦意を喪失した団員たちがナイトメアやモビルスーツなどの機体ごとさっさと撤退を開始する始末である。

 

『おい! お前たち、どこへ行く!?それでも日本解放の同志か!!』

 

『皆さん!?そんな、これでは扇司令たちを守りきれないですっ!』

 

その味方の撤退を目の当たりにして、千葉とエリカが混乱しながら部隊をまとめようとするが、もう中陣の黒の騎士団の士気も半分を切っており、戦線を維持しきれなかった。

 

『こちらロデオスター、ジェミニ!ガンバレル=ソードとミサイルの残弾がほとんど・・・!』

 

『こちら光武二式、真宮寺! もう装甲がもちません・・・!!』

 

最初は生き残りの団員たちの士気も高く心が折れていなかったこともあって抵抗することはできていたが、徐々に戦力を削られ定期その上で幹部である杉山と玉城が死亡したことで形成は圧倒的不利になっていた。

 

『藤堂さん、状況は圧倒的に不利です。このままでは俺たちまで・・・!』

 

『っ・・・ええいっ!!』

 

大神にそう言われた藤堂は、斬月のコクピットブロックを思い切り片手で殴った。そして、苛立ちと怒りを大きく抑えるかのように、

 

『・・・不知火と、後陣の黎司令たちにも連絡を送れ。西側から包囲を突破し、黎司令たちと合流して疾風となり、蓬莱島まで撤退する!!』

 

『しかし藤堂さん!蓬莱島に撤退したところで・・・!!』

 

『聞き分けろ、千葉!!尻尾を巻いて逃げるのではない!次の、いや、次の次のルルーシュとの戦のために撤退する!!殿軍は私が全力で務める! 完全に囲まれる前に味方を一人でも多く生きてここから脱出させるんだ!!』

 

反論しかけた千葉を大声での一喝で黙らせ、藤堂と斬月は目の前に迫ってきた指グロースター・アビスを一刀両断にする。

しかし、撤退などそうは問屋が卸さないとばかりに、次々と凶暴な魔狼と深淵騎士団の機動兵器部隊が立ち塞がり、艦隊と共に攻撃を仕掛けてくる。

 

『さて、新次郎・・・俺や藤堂中佐と共に、死地に入る覚悟はできたか?』

 

大神のその一言に、大河は叔父が何を言っているのか理解できなかった。

しかし、それもわずか一瞬のことだった。

 

『・・・はい。一郎叔父。ぼくも、仲間たちの為に命を賭す覚悟はできています』

 

大河も覚悟を決めてフジヤマスターを、大神の光武二式と共に、斑鳩の殿軍となるべく率先して迫り来る敵を蹴散らす藤堂と斬月の元へと向かわせた。

 

『さくらくん!エリカくんたちと共に味方をまとめるだけまとめて、先に行け!俺は新次郎と藤堂中佐と共に殿軍となる!!』

 

全滅を覚悟しながらも必死の奮戦を続けていた中、大神から届けられたその通信。

大河と同じく、さくらは大神のその言葉が一瞬理解できなかった。

確かに藤堂の斬月と、まだ戦う気力も武器もある藤堂直属の部隊と協力すれば、包囲網の一角を崩す可能性はある。

だが。

 

『何を言われるのです!?大神さんたちを置いて逃げられる訳ができるはずがない!!』

 

『全滅するよりはマシです!!ぼくたちが敵を引き付けるから、早くっ!!』

 

反論するさくらに、新次郎が有無を言わせぬ剣幕で捲し立てる。そして通信が偶然にもオープン・チャンネルモードになっていたことで、それはエリカとジェミニにも聞こえた。

 

『嫌です!!大神さんを見捨てるなんて、できません・・・!』

 

『ボクも同じ気持ちだ!仲間を見殺しにして逃げるなんて、サムライにあるまじき振る舞いだ!!』

 

『そうですよ大神さん、大河少尉! 諦めないでください!! まだ希望はあります!!』

 

それでも、エリカ、ジェミニ、さくらは断った。

例え勝てる見込みがなくても、このふたりとなら共に最後まで戦って死ぬ。────それが、彼女たちが異なる時の流れでそれぞれ大神と大河と出会い、共に笑い、共に泣き、共に怒り、共に戦って育み続けた絆から、いつの日か心に刻んだ誓い。

 

『バカ!みんなで死んでどうするんだ!?せめて君たちだけでも生きろ!!』

 

『ぼくと、一郎叔父まで仲間殺しにさせるつもりなのかっ!!』

 

大神と大河は、それでもさくらたちに味方をまとめての離脱を勧めた。

例え自分たちが死ぬとしても、これまで共に育み続けた絆だからこそ彼女たちには生きてほしい。────それこそが、いつの日か大神と大河がそれぞれ心に刻んだ誓い。

そしてそれは、相反するふたりの願い。

美しき皇帝ルルーシュの参謀によって作られたこの絶望的な戦場で、気紛れな女神はどちらの願いを聞き遂げるのか。

────その答えは、まだ出ない。




あとがき
今回登場したガンダムキュリオスエクレール:GNアームズTYPE-KEは前回の紅椿や龍章鳳姿と同じ方が送ってくれた設定を元にした追加装備になります。ほかのIS組の機体にも追加装備がありますので今後の話で登場させていきます。次回ではガンダムOOの悪女と呼ばれるとある少女の末路を書く予定ですが、その流れは原作とは異なるつもりなので納得して貰えるよう頑張る予定です。今年も色んな小説に手を出す予定なのでどうかよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。