スーパーロボット大戦Z 魔王の降臨   作:有頂天皇帝

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まえがき
今回でグラハムと刹那の戦いにケリがつき、ファウンデーション王国側との戦闘もそこそこ進みます。奪還のロゼ地上波でいよいよ放送されたんですが録画し忘れたのでBluRay購入してから見直そうと思います。いやネトフリやアマプラとかDアニでも配信しろよって正直愚痴りたい気持ちが強いんですけどね・・・。奪還のロゼを思い出していくつかフジの決戦以降のネタを思いついたのでフジの話が終わったらそれを使って物語を書いていこうかなと考えてます。最近ChatGPTを利用してイラスト作成や機体設定の参考を求めたりしているのでそれらを上手く使いながら今後も頑張っていくのでどうかよろしくお願いします。


REVELLION STAGE.33 殺戮と業火の戦場【中編】

ルルーシュが出撃する少し前、ファウンデーション王国の部隊との戦闘を行っていたシンたちZEXIS・ドライクロイツメンバーはファウンデーション王国の親衛隊であるブラックナイツを追い詰めていた。

 

『クソックソックソォッ!!いい加減落ちろよ欠陥品がぁ!!』

 

『そんな攻撃が、通用すると思うな!!』

 

グリフィンのブラックナイトスコード・ルドラがシンのデスティニーガンダムSpec-IIに対して対モビルスーツ重斬刀を振り回すが、その攻撃をシンは余裕を持って最小限の動きで回避しながらデスティニーガンダムの武装である大型ビームソード【MMI-714 アロンダイト ビームソード】でグリフィンのブラックナイトスコード・ルドラを斬りつけていく。

 

その周囲ではほかのブラックナイツであるリデラート、リュー、ダニエルのブラックナイトスコード・ルドラもまたシンのデスティニーガンダムSpec-IIに攻撃を仕掛けているが誰の攻撃も当たらずそれ以上にシンのデスティニーガンダムSpec-IIの攻撃がグリフィンたちのブラックナイトスコード・ルドラに少なくない傷を与えていた。

 

無傷のデスティニーガンダムSpec-IIに対して少なくない傷が増えていくブラックナイトスコード・ルドラたち。それは機体性能ではなくパイロットの技力の差によるものだということが明らかに見て取れる。

 

実際シンとグリフィンたちの機体の性能はそこまで差がなく、寧ろ擬似太陽炉を搭載しトランザムも使えるブラックナイトスコード・ルドラの方が少しばかり性能が上だったりする。しかしそれを補ってあまりあるほどにシンとグリフィンたちにはパイロットとしての腕の差があった。

 

新人類と自称するアコードであるグリフィンたちはそう語るだけの実力はあり、イザークやディアッカなどを始めとしたコーディネーターのエースパイロットなどよりも基本性能(カタログスペック)を遥かに凌駕しており、これまでに多くの2つ名持ちのエースパイロットを討ち取ってきた経験がある。実際のところはアコードの精神干渉能力によって敵パイロットを一種の洗脳状態にして動きを鈍らせた上で一般兵士や無人機で弱らせた後にトドメを刺すことが多いためその実力に疑問を持たれていたりするが・・・。それでもスペックだけならばシンたちを上回っている。

 

しかしZEUTHとZEXISとして多くの戦場で自身を上回る強敵たちと数え切れない戦闘を繰り広げてきたという経験がシンにはあり、その才能と実力はキラやアスランたちエースパイロットと肩を並べるのにふさわしいものを持っていた。そして前回のオオサカでのアコードたちとの戦いの戦闘データとレイから提供してもらった過去のアコードたちの戦闘データ及びアコードに関する資料を徹底的に確認したことでシンはアコードの戦い方とグリフィンたちの戦いの癖などを見抜くことができた。

 

故にこれまで自身のアコードとしての能力にあぐらをかき数で攻めて弱らせてからトドメを刺すようなことばかりしてきたグリフィンたちと自身と仲間たちの力で多くの強敵たちと戦い抜きその全てを血肉に変えて実力をつけてきたシンには圧倒的な差があったが、グリフィンたちはそんなことにも気づかず自分たちが押されている理由に気づかず苛立ちを顕にしながらガムシャラにシンのデスティニーガンダムSpec-IIへ攻撃を続けていた。

 

『ちっ!ウザったいわね!!』

 

『デュランダル議長のお情けで選ばれた程度の奴が調子に乗って・・・!!』

 

『いい加減死ねよ・・・!!』

 

リデラート、リュー、ダニエルは自分たちが押されているという事実を認めずシンを罵倒しながら果敢に攻めるがその攻撃はどれもシンに届かずそれどころかシンによる反撃のアロンダイトによる一撃でさらにダメージを受けてはね飛ばされた。一向に責められないことにグリフィンたちが苛立ちを隠せないようにほかのアコードたちの多くもまたZEXIS・ドライクロイツを相手に苦戦を強いられていた。

 

『くっ・・・!?』

 

『コイツの戦い方、キラさんに似てる・・・?いや、今はそんなことを考えている暇はないな』

 

レイはアッガイ:CEでユイナ・アストレアの黒と銀をメインにしたカラーリングのストライクフリーダムガンダムに酷似したモビルスーツ【フォーリングフリーダムガンダム】と切り結んでいたのだが、ユイナの戦い方がどこかキラに似ているものを感じ眉を顰めるが、今は戦闘中であることから一旦そのことに対して意識を向けることをやめ戦いに集中することにした。

 

ユイナもまた純粋な技量でレイに劣るために無人機であるジンクス-Rやハンブラビ-Rたちを用いてレイのアッガイ:CEの足止めをして一応グリフィンたちの元へと向かわせないようにしていた。

 

『オラオラァ!もっと上手に躱せよ!!』

 

『このっ!!調子に乗らないでよね!!』

 

シンと合流しようとしているルナマリアのフォースインパルスガンダムSpec-IIを妨害するように立ち塞がるレオリオ・エスカノールの黒と金のカラーリングが特徴的なストライクガンダムをベースにした【キマイラストライクガンダム】の放つゲッター合金製の破砕球【ミョルニル・クラッシャー】を回避しながら高エネルギービームライフルで反撃するもキマイラストライクガンダムはその攻撃を回避する。互いに攻撃し合いながら距離を取るためルナマリアはシンの元へ迎えないでいた。

 

別の場所でもイザークのデュエルブリッツガンダムとディアッカのライトニングバスターガンダムはクロノ・ザビエルのブルデュエルガンダム弐式とヴェルデバスターガンダム弐式とパルファン・ロングシリーヌのヴェルデバスターガンダム弐式が、ムウのアカツキとジーク・シュミットのビャクヤが、ロウ・ギュールのガンダムアストレイレッドフレーム改とハクノ・ザビエルのノワールストライクガンダム弐式が、レメディオス・モルデュールとケラルト・モルデュールのブラックナイトスコードルドラはクリスティアのサンライトフリーダムガンダム、アグネスのルアルジャスティスガンダム、デュックのアルカナデスティニーガンダム、バリオスのアクターレジェンドガンダムとぶつかり合っていた。また、ファウンデーション王国の兵士や無人機たちを相手にほかのZEXIS・ドライクロイツのメンバーたちも戦闘を繰り広げていた。

 

その中でも特に激しい激闘を繰り広げているのはオルフェとイングリットの操るブラックナイトスコードカルラとアスランのインフィニットジャスティスガンダム弐式だった。互いの機体性能に差はほぼ無くパイロットの腕と経験はアスランが上回っているためアスランが優位に立つかと思われたが、戦況はアスランが少しばかり不利だった。それはオルフェ──正確にはイングリットが操作している兵器に苦戦を強いられているのがあった。

 

『落ちろ虫ケラがぁぁぁっ!!』

 

オルフェの叫びに合わせて戦場の後方で待機している大型ドラグーン【ジグラート】から大量のビームとミサイルが放たれ、それに合わせてブラックナイトスコードカルラの遠隔操作兵器である8基の【OTOS-815/J サハスラブジャ】と周囲にいるジン-Rを始めとしたファウンデーション王国軍の無人機たちによる一斉砲撃がアスランのインフィニットジャスティスガンダム弐式を襲う。アスランは最低限の動きで全ての攻撃を回避しているが、それらの攻撃だけでなくオルフェのブラックナイトスコードカルラも近接戦闘用の白い長剣【OWC-QZ18 対モビルスーツ強化刀】2本を装備しながら斬りかかってくるためアスランはブラックナイトスコードカルラの対モビルスーツ強化刀をMA-M03D ビームサーベル アクータラケルタをアンビデクストラス・ハルバード形態にして受け流していく。

 

『随分と余裕がなさそうだな。そんなにラクスに選ばれなかったことが答えているのか?』

 

『黙れっ!!不完全な存在風情が彼女の名を出すな!!』

 

アスランはジグラートたちのビームを回避しながらオルフェに対してそう挑発するとオルフェを声を荒らげながらより激しく攻め立てるが、アスランは動きが雑になっていることからアスランは徐々に余裕を持って回避できるようになっていた。

 

オルフェは戦闘開始前にオオサカの時でやったようにラクスに対して求婚まがいの勧誘を行ったがラクスからの返信はないどころか代理として返答をしたカガリから『お前みたいなマザコン野郎と結婚なんて死んでも嫌だとよ、ヴァァァカ』と要約しただけでこうだが実際はもっとえげつない感じのことを言ってたし何ならルナマリアやメイリンたち女性メンバーも同乗して色々言いまくっていた。

 

あまりのえげつなさにシンたちはオルフェたちに言おうとしていた言葉を忘れるくらいだ。まぁアスランは容赦なく傷口に塩酸ぶちまけるタイプだから戦闘中もずっとさっきのようにオルフェを挑発して冷静さを失わせまくっていた。

 

そんな感じでそれぞれが戦っている中でシュラは離れた場所にあるグルヴェイグの看板の上でブラックナイトスコードシヴァMark-IIのコックピットの中からシンたちとグリフィンたちの戦いを静かに見ていた。

 

『予想以上に優れた戦士たちだなシン・アスカたちは。それでこそ狩りがいがあるというもの・・・』

 

シュラはオオサカで見た時よりも格段に動きが良くなっているシンやアスランたちに対してそう感想を零しながら合図が出るその時を待っていた。

 

『グリフィンたちが撃墜されるのと彼らからの合図が来るの、果たしてどちらが早いかな?』

 

シュラは既にグリフィンたちがシンたちを相手に敗北するのが確定事項だと判断しながら連中が倒されるのとシュラとココたちが契約を結んだ彼らからの合図が来るのとどっちが早いか楽しみにしながらその時が来るのを待っていた。

 

────その時が来たらかつての同胞をその手で始末することになっているが今のシュラにとってそのような些細なことはどうでもいいことであり、寧ろ欠陥品という烙印を押される前にこの世から消してやるのだから感謝して欲しいとすら思っていた。

 

 

 

 

富士五湖の中で一番の深さと透明度を誇る湖として有名である本栖湖上空。そこで2機のガンダムタイプのモビルスーツが衝突し互いの武器である剣をぶつけ合っていた。

 

『生きてきた・・・!私は、この為に生きてきたっ!!』

 

グラハムのガンダムルシファー・シェイドが、大型のGN背部の追加武装である【シェイドユニット】の両翼にあるGNブレードウイングの刃を右腕のGNソードの両刃に装填させた【GNルシフェルソード】を唸らせた後に刹那と沙慈のダブルオーザンライザー《セブンソード》目掛けて真っ直ぐに突っ込んでくる。

 

『たとえ悪逆皇帝の傀儡と成り果てようとも、この武士道だけはっ!!』

 

グラハムの叫びと共に、振り下されるGNルシフェルソード。

それを刹那と共にダブルオーザンライザー《セブンソード》の2本のGNソードIIで受け止める。GNルシフェルソードに流れる凄まじいエネルギーと、GN粒子が激しい火花を散らし合う。

 

『そうまでして・・・!』

 

『そうまでしてなのだ!!』

 

刹那の叫びを、グラハムは更なる叫びで一蹴した。

そしてGNルシフェルソードに乗せられる(重み)が厚さを増して、ガンダムルシファー・シェイドがダブルオーザンライザー《セブンソード》をGNソードIIごと真っ二つに叩き斬ろうとしてきたが、ダブルザンオーライザー《セブンソード》はガンダムルシファー・シェイドの右膝を蹴り付けて姿勢を崩させ、なんとかその剛撃をかわした。

 

『勝利だけが望みか!?』

 

『他に何があるっ!!』

 

距離をとりながらGNビームマシンガンとGNマイクロミサイルの同時射撃を連続で浴びせるダブルオーザンライザー《セブンソード》だが、ガンダムルシファー・シェイドは怯むことなく、シェイドユニットの両翼から分離させた8基のGNファングで迫るビームとミサイルを切り払う。

 

『決まっている・・・!未来へと繋がる、明日だっ!!!』

 

『この戦いに勝たずして明日などない!!』

 

ガンダムルシファー・シェイドが、ダブルオーザンライザー《セブンソード》にプロミネンスブレイドとプライクニルブレイドを同時に振り下ろす。

ダブルオーライザーのGNソードIIIがプロミネンスブレイドとプライクニルブレイドの刀身を切断し、それによって高熱と冷気を帯びる2本が砕けたことによって爆発が発生し、刹那と沙慈はそれに目をくらまされた。

 

『切り捨て・・・御免!光をも斬り裂く我が剛剣、受けてみよっ!!!』

 

闘志に激ったグラハムの雄叫びと共に、GNルシフェルソードを大きく構えたガンダムルシファー・シェイドが爆炎を突き抜けてダブルオーザンライザー《セブンソード》めがけて突撃してきた。

 

 

 

『チェストォォォォォォッ!!』

 

『オォォォォォォォォォッ!!』

 

ゼンガーとウォーダンは互いに口ではなく剣で語ろうと言わんばかりに雄叫びを上げながら斬艦刀を振るい、互いの全力をぶつけ合っていた。ダイゼンガーとシュヴェルトクリーガーが斬艦刀を振るう度にその剣圧によって周囲のものが吹き飛び、ゼンガーとウォーダンの戦いに割り込みその命を奪おうとした不埒者は二人の攻撃の余波に巻き込まれて機体が大破或いは絶命していき、気付けば2人の周囲を囲うように多くの機体の残骸による円が完成しており、二人は無意識にその中心で戦っていた。

 

『斬艦刀・五光連刃!!』

 

シュヴェルトクリーガーが光速に匹敵する速度で斬艦刀を振り下ろしたことで発生した5つの刃の斬撃波がダイゼンガーに迫る。それに対してゼンガーは迫る斬撃波を斬艦刀で一つ一つ弾き飛ばしながらシュヴェルトクリーガーに接近し斬艦刀を振りかぶる。

 

『斬艦刀・牙壊!!』

 

機体の重量も合わせた重い一撃による袈裟斬りはシュヴェルトクリーガーの身体に深い傷を作り、シュヴェルトクリーガーは数歩下がってしまうが、すぐに体勢を立て直しコックピットの中でウォーダンは獰猛な笑みを浮かべながら背中のドリルブースターを右拳に装着しドリルを回転させゲッター線の竜巻を生み出しながらその拳をダイゼンガーに向けて飛ばす。

 

『ドリルブーストナックル!!』

 

『ぬぅっ!?ダイナミック・ナックル!!』

 

ダイゼンガーのコックピット向けて放たれたドリルブーストナックルをそらすためにダイゼンガーの右前腕部を飛ばしたロケットパンチでシュヴェルトクリーガーの攻撃をそらすも、完全にはそらしきれずドリルブーストナックルはダイゼンガーの左肩を抉り左肩装甲の一部を破壊した。さらにダイゼンガーの右前腕部が戻るよりも先にシュヴェルトクリーガーはダイゼンガーの懐にまで潜り込み無防備な顔面に向けて膝蹴りをお見舞いした。予想外の一撃にゼンガーは驚きダイゼンガーはたたらを踏んでしまうがウォーダンは容赦なく追撃を仕掛けてくる。

 

『斬艦刀・山嵐!!』

 

横薙ぎに振るわれた斬艦刀がダイゼンガーの横っ腹に向けて放たれるが、ゼンガーは斬艦刀の峰でシュヴェルトクリーガーの斬艦刀を受け止めてそのまま刀身を滑らせてシュヴェルトクリーガーに向けて突きを繰り出す。ウォーダンはシュヴェルトクリーガーの首を傾げて繰り出された突きを回避。

 

先程からずっとこのように互いに攻撃を繰り返しては避け、あるいは最低限の防御をしてからの反撃をしておりゼンガーとウォーダンの互いの機体はかなり損傷しており疲労も溜まっていた。だが、そんなことが気にならないくらい2人は今この戦いに集中していた。

 

『凄まじいなウォーダン・・・!!あの時よりも強くそして洗練されているなっ!!』

 

『当然だ!俺は偉大なる陛下の剣の1つ、無様な姿を晒す訳にはいかないのだからな!!』

 

ゼンガーとウォーダンは互いにそう吠えながら自身の覚悟と信念を込めた斬艦刀を振り上げ、再び衝突させる。それによって発生した凄まじい衝撃波が周囲の残骸などを吹き飛ばす。

 

 

 

 

 

 

『アセム、お前は私にとってかけがえのない親友(とも)だ。それを私はあの時ようやく心から受け入れることができた』

 

『ゼハート・・・』

 

ガンダムレギルス改のフォトンビットによる大量の光弾をガンダムAGE-2・ダークハウンドに向けて放ちながら話しかけてきたゼハートの言葉に驚きながら回避するアセム。

 

『あの頃の私にとってヴェイガンの未来とイゼルカント様が目指す世界こそが全てだった。それを成し遂げる為ならば友情も愛も全て捨てることも覚悟してあの時あの戦場に立った。だが!』

 

『くっ!?』

 

過去を懐かしむように語りながらゼハートは容赦なくフォトンビットを展開しながらレギルスライフル改で砲撃する。それに対してアセムはガンダムAGE-2・ダークハウンドをストライダー形態に変形させて回避しながらビームバルカンでフォトンビットを撃ち落としていく。しかしそんなものはお構い無しに急加速したガンダムレギルス改は飛行状態のガンダムAGE-2・ダークハウンドの上から飛び蹴りでガンダムAGE-2・ダークハウンドの右翼に直撃し、体勢を崩されながらも即座にモビルスーツ形態へと変形しドッズランサーによる突きでガンダムレギルス改の右肩を抉る。しかし、そんなことは関係ないとでも言いたげにガンダムレギルス改はドッズランサーに貫かれたまま右腕を動かしガンダムAGE-2・ダークハウンドの頭部を殴り、左目のカメラアイにヒビを入れる。

 

『今の私は違う!!私は部下も愛するものも犠牲にせず陛下の成し遂げる大義を果たす!!そのためにもアセム、お前を倒して私は陛下の剣としての役目を果たす!!』

 

『その大義ってのはなんなんだ!!それはこれだけの犠牲を出してでもやらなきゃいけないことなのか!!』

 

レギルスソードとドッズランサーをぶつけ合いながら高速飛行格闘戦を行うガンダムレギルス改とガンダムAGE-2・ダークハウンド。機体同士の激しいぶつかり合いに合わせてパイロット同士の会話も激しいものとなり、2人の戦いの余波で周囲の機体や戦艦にもかなりの被害が出ていたがふたりはそれに気づかず目の前の相手に集中していた。

 

『そうだ!陛下の成し遂げる偉業を考えれば犠牲が出るのは必然!!この戦いも含めてより被害を少ないものにするにはこれこそが最前手だ!!それを邪魔するというのなら、ここで沈め。アセム!!』

 

『っ!!ゼハート!!』

 

レギルスソードとドッズランサーを勢いよくぶつけその衝撃によって互いに距離をとってから再び距離を詰めてぶつかり合うガンダムレギルス改とガンダムAGE-2・ダークハウンド。親友同士であるが敵同士でもあるふたりの戦いはまだ始まったばかりであり、より苛烈なものへとなっていくのだった・・・

 

 

 

 

『うぐぅっ・・・!!』

 

ネルガルのネクターランスの直撃を受けて、ルクシオンネクストが膝をつく。

同時にその衝撃が走るのを青葉は胸に感じ、喉に血の味すら覚えた。

サブモニターで、応援として駆けつけてくれたウッソ・エヴィンのV2ガンダム、スレッタ・マーキュリーのガンダム・キャリバーン、ガロード・ランのガンダムDX、ジャミル・ニートのガンダムX・ディバイダーもネルガルとの戦闘で小破小破している。ディオやオルドリンたちグリンダ騎士団ら近くの友軍機も、アルフリード・ガランドらゾギリア軍も含めたルルーシュ軍、他のシュナイゼル連合軍の相手で思うように動けないでいた。

 

『意外と簡単だったな・・・。さてお前たち、誰から死ぬ?そしてどうやって殺してほしい?』

 

この5機をネルガル1機でここまで追い込んでみせたことによる圧倒的な余裕に満ちた、ビゾン・ジェラフィルの死刑宣告。

だがそれでも、青葉とウッソたちは闘志を失わない。

戦える限りは、希望がある限りは。

 

『機体が動ける限り、そして仲間(ディオ)たちも近くで戦っている限り、まだ終わりじゃない・・・。みんな、最後まで諦めるな!!』

 

『はい、青葉さん!』

 

『やりましょう青葉さん・・・!!』

 

回線の向こうで、ウッソとスレッタが声を張る。それに合わせてガロードとジャミルも気勢を上げた。

それが、ビゾンには気に入らなかったらしい。

 

『バカどもが。庇いあっても、誰が助けに来ようとも死ぬ順番が変わるだけだ────!!』

 

その言葉が終わるか終わらないかのうちに、ネルガルが燃え盛る採掘場をバックにして、炎と煙と夕陽で赤黒く染まった天空へと舞い上がる。

その姿は名前の由来に選ばれた、かのメソポタミア神話における戦争や死、疫病、冥府の神の如く。

 

『5機相手に・・・!?』

 

ジャミルが、信じられぬと言った風に唸った。

ヴァリアンサーとはいえ重武装機のネルガルの機動力は、地上のそれに比べて著しく低いはず。

5機からの集中攻撃に耐えるのならまだしも、避けられるとは思えない・・・。

そんな常識的には有り得ない行動に、ジャミルの反応が僅かに遅れる。

それでも、パイロットとしての経験から来る本能が、ガンダムX・ディバイダーのビームマシンガンを発射────しかし。

そのビームマシンガンを発射される直前でかわした後、ネルガルがネクターバレットバズーカを乱射してきた。

 

『くそっ!!』

 

ガロードのガンダムDXがビームマシンガンを、スレッタのガンダム・キャリバーンのバリアブルロッドライフルからビームを放つが、ネルガルの回避機動を前にまたも外れ去る。

そんな2機の前に現れたに一撃を浴びせようと、ネルガルが急接近する。

しかし、ビゾンがスレッタのガンダム・キャリバーンへネクターバレットバズーカを撃ち下ろす前に、ルクシオンネクストの射撃がネルガルを襲う。

 

『お前の相手は俺だろがっ!?』

 

ルクシオンネクストのネクターライフルは見事にネルガルの装甲を穿ち、スレッタのガンダム・キャリバーンへ延びた火線をずらした。

だが、それがビゾンの気を引いてしまったようだ。

 

『自ら死を選びに来るか、渡瀬青葉!殊勝な心がけだな!?』

 

V2ガンダム、ガンダムDX、ガンダムX・ディバイダー、ガンダム・キャリバーンを無視して、ネルガルはルクシオンネクストへと雨のようなネクター弾と榴弾による砲撃を浴びせてくる。

 

『くっ・・・さすがと言いてえところだがっ・・・!』

 

上空からの砲撃にも関わらず、そのネクター弾と榴弾は少しずつルクシオンネクストの装甲を抉っていく。

ネルガルの装備するネクターバレットバズーカは、高威力のネクター弾と榴弾を使用し、さらに大型ストックによる最大の弾数が特徴である。その代わり、バズーカのカテゴリだけあって多少弾速が遅く、連射性も集弾性も悪いのだが、ビゾンはそれを逆に利用し、連射することでバラける砲弾を、まるでショットガンの如くに浴びせてくるのだ。

如何な高機動を誇るルクシオンネクストと云えども、その全てを避け切ることは不可能だった。

 

『これでどうだっ!?』

 

ルクシオンネクストに気を取られるネルガルへ、火線が延びる。

V2ガンダムの射撃に合わせて、ガンダムDXとガンダムX・ディバイダー、ガンダム・キャリバーンがネルガルの移動先を予測して動いて射撃を開始する。

ロックはされていないが、4方向から迫る射線。それは命中はしないまでも、ネルガルに回避行動を取らせる役割を果たした。

 

『ナイスアシストだ!』

 

そして、その隙を見逃さないのが青葉。

そんな彼が放ったネクターライフルの連射は、狙い違わずネルガルを直撃する。

 

『小賢しい真似をしてくれる!!』

 

叫び、再びルクシオンネクストの上空に占位せんと機体を操るビゾン。

だがそこへ、ガンダムXディバイダーのシールドである【ディバイダー】に内蔵された【19連装ビーム砲群 ハモニカ砲】から大量のビームが放たれた。それにいち早く気づき回避に移るも、距離が足りなかったのとタイミングが遅れたことで全てを回避し損ねてしまい、一部のビームがネルガルの左腕を被弾してその装甲が僅かに溶解する。

 

『チッ・・・!!』

 

『ナメてもらっちゃ、困るんだよっ!!』

 

ハモニカ砲を受けて舌打ちしながら後退するビゾンとネルガルに、体勢を立て直した青葉とルクシオンネクストがネクターブレードで一気に斬りかかる。

 

 

 

 

 

『────まさに重畳かな! それでこそ私が討つと心に誓った相手だ!!』

 

3連射されたライフルモードのGNソードIIIのレーザービームを回避し、ムラクモ改でGNソードIIロングの刀身を切り裂く。それに対してガンダムダブルオーザンライザーもまた半ば折れているGNバスターソードIIをムラクモ改に叩きつけて折ることに成功するもそれによりGNバスターソードIIも使い物にならなくなり破棄することになった。

 

短いながらも苛烈な戦闘により刹那とグラハムの機体は互いにかなり消耗していた。豊富な装備を揃えていたはずのガンダムダブルオーザンライザーはGNソードIIIを残して全て破壊されてしまい、ガンダム・ルシファー・シェイドもまた先程ムラクモ改が砕けたことによりGNルシフェルソードのみとなっていた。奇しくも互いに武器を1つ残すのみとなっているが互いに闘志は尽きておらず残った武器であるGNソードIIIとGNルシフェルソードをぶつけ合わせ互いに何度も衝突し合いながら空を駆け巡る。

 

オリジナルGNドライブ2基によるツインドライブシステムのガンダムダブルオーザンライザーは凄まじい性能をしているが、エイハブリアクターと擬似太陽炉を合成して作成した新型太陽炉【GNドライブ[A]】2基搭載したダブルドライブシステムのガンダムルシファー・シェイドもまたそれに匹敵するほどの性能を持つためにほぼ互角の戦闘を繰り広げることができていた。

 

『刹那っ・・・!』

 

『ああ、わかっている!ならばっ!!』

 

もうこれ以上戦闘に時間をかけるのは無理だと沙慈が叫んだ時、刹那も同じことを考えていたらしく、叫び返すと共に頷いた。

ガンダムダブルオーザンライザーはGNソードIII をソードモードに切り替えて一気に急加速を開始する。

 

『それを待っていたっ!!』

 

突撃してくるガンダムダブルオーザンライザーを迎え撃つようにGNルシフェルソードを構えながらトランザムを発動。後の事を考えず今目の前の戦いに勝利するというグラハムの想いに答えるように2基のGNドライブ[A]が限界まで稼働し、その機体全体をより濃厚な深紅へと染める通常のトランザムを上回るその力でガンダムルシファー・シェイドの性能を向上。本来の用途を上回るトランザムの使用によって機体各所から軋むような音が出ているがそんなことお構い無しにグラハムは自身の全力を出し切る勢いで刹那と左慈のガンダムダブルオーザンライザーに襲いかかる。

 

『うおっ!?』

 

『うぐ・・・!!』

 

今まで以上のガンダムルシファー・シェイドのGNルシフェルソードによる苛烈な連撃。ダブルオーザンライザーも抵抗するようにGNソードIIIを振り回し致命傷は避けるが、全ての攻撃を捌くことはできず装甲に数え切れない数の傷ができていく。それでもガンダムダブルオーザンライザーは負けじとガンダムルシファー・シェイドに対して反撃してその装甲を切り裂く。そして刹那もまたここが切り札の切りどころと判断してトランザムを発動させ機体を翡翠色に染め上げながらGNソードIIIを構えて勢いよく突撃する。

 

『意気や良し!少年────!!!』

 

回避行動も取らずに突っ込んでくるガンダムダブルオーザンライザーに対してガンダムルシファー・シェイドもまたGNルシフェルソードを構えながらトランザムによる加速の突撃を行う。その姿はまさに宙を切り裂く紅い流星と見間違うほど美しく、そして恐ろしいものであると遠目から2人の戦いを見ていたものたちは戦慄していた。

 

『オオオオオオオオッッッ!!!』

 

『────来いっ!!!』

 

ふたりの戦士は、雄叫びと共にそれぞれの剣を振り抜いた。

そして、ダブルオーザンライザーとガンダムルシファー・シェイドが背中合わせにそれぞれの剣を振り抜いた姿勢で固まった後、ダブルオーザンライザーは右肩から切り落とされ刀身が砕けたGNソードIIIと共に地面に落下し突き刺さった。

 

『くおあっ・・・!!』

 

ガンダムルシファー・シェイドはGNルシフェルソードを装備していた右腕を肩から切り落とされて失った上に左足と背中のシェイドユニットの右翼が砕け爆散し、無茶な使用によって限界が来ている2基のGNドライブ[A]もまた爆発寸前であり飛行もままならないままに近くの轟沈した出雲級航空戦闘母艦の看板の上に片膝をついた。

その瞬間、トランザムの発動によって場に溢れた大量のGN粒子が、刹那の目にあるものを見せた。

 

『これは・・・あの男の意識・・・!?』

 

直後、刹那はダブルオーライザーを中心に形成された量子空間に取り込まれた。

 

 

そして刹那と沙慈、グラハムが激闘に決着をつけようとしていたのと同じ頃。

青葉とウッソたちと激闘を繰り広げていたビゾンは、ネルガルのレーダーにこちらに向かってくる敵機と思しき赤い光点を視界に捉えた。

 

『渡瀬青葉のバディか・・・!』

 

メインモニターに映るのは、周囲の友軍の援護も受けてカルラたちゾギリア軍のヴァリアンサー部隊も含めた敵機の包囲を突破してきたディオのヴァリアンサー・ブラディオンネクスト。

それを見て、ビゾンは両目をさらに血走らせる。

 

『こいつを落とせば、奴は戦えまい!!』

 

『確かに、その通りだ。だが、お前は重大な考え違いをしている』

 

向かってくるブラディオンネクストの外部スピーカーから、ディオの声が応える。

 

『青葉に勝てないお前が、俺に勝てるものか・・・!そして青葉は俺の相棒(バディ)だ! お前ごときにやらせはしない!!』

 

ディオの凜とした叫びと共に、ブラディオンネクストがネクターライフルを連射してくる。

それを好機と見たか、または増援が来た事によって意気が上がったのか。

満身創痍の一歩手前となったルクシオンネクスト、V2ガンダム、ガンダム・キャリバーン、ガンダムDX、ガンダムX・ディバイダーも一斉に攻撃を仕掛けてきた。

 

『この程度────』

 

ブラディオンネクスト、そしてルクシオンネクストからのネクターライフルの連射を後方へのジャンプでかわし。

そこへ放たれたV2ガンダム、ガンダム・キャリバーン、ガンダムDX、ガンダムX・ディバイダーの放つ高火力のビーム砲撃を難なくシールドで防いでのける。それから反撃を仕掛けようとしたビゾンだが、その視界に、もはや目前まで近づいたブラディオンネクストのネクターライフルのビームが再び閃いた。

 

ドォォォンッ!!

 

『────チィ!!』

 

咄嗟の反応で胴体への直撃をシールドで防いだのは、さすがはアルフリード隊、もといゾギリア軍のエースであるビゾン・ジェラフィルといったところか。

しかし、ネクターライフルは序の口に過ぎない。

ディオ、そして青葉の本命は────。

 

『なにっ!?』

 

『『うおおおおおおっ!!!』』

 

紫電の勢いで突き出された、紅と蒼に輝くそれぞれネクターブレードの光刃。

必殺のタイミングで同時に繰り出されたそれは、ネルガルに連続で斬撃を叩き込み、派手に吹っ飛ばした。

その渾身の連続攻撃でもネルガルの撃破には至らなかったが、ディオと青葉の狙いであったそれに到達するのには十分なものとなった。

 

 

『うおおおおっ・・・!!ヒナァァァァッ!!!』

 

 

────ネルガルとカルラのカップリングが、解除された。

 

 

 

『デカップリングした・・・!』

 

『ああ!そして雛も止まった!!』

 

オルドリンたちグリンダ騎士団とシュナイゼル連合軍と乱戦を繰り広げていたカルラも、ネルガルの一時的な撃破に合わせるようにして動きを止めた。

ルクシオンネクストの通信回線から流れるディオの声に、メインモニターでそれを見た青葉も力強く頷いた。

 

『マジかよ!?』

 

『あのビゾンがやられたんですか!?』

 

『さすがは連合のカップリング機・・・といったところか』

 

オーガのタルジム・ヴァシリー、クリシュナのラーシャ・ハッカライネン、アルシエルのアルフリード・ガラントの眉を顰めながらの苦々しげな声が聞こえてきた中、青葉は半壊したデストロイガンダムのすぐそばで膝をついたカルラに向かって叫んだ。

 

『雛!俺の声が聞こえるかっ!?』

 

『あお・・・ば・・・』

 

通信回線の向こうから聞こえてきたヒナの声は虚ろなものだったが、そのすぐ後、

 

『青葉……? 青葉っ……!』

 

正気を取り戻したのか、助けを求めるような声でヒナは青葉を呼んできた。その様子を見て、回線の中でアムロが叫んだ。

 

『デカップリングの影響で正気を取り戻したか!』

 

「待ってろ、雛! 今行くっ!!」

 

青葉は、ルクシオンネクストをカルラへ向かわせようとした。

 

『渡瀬、青葉……!!ヒナは渡さんっ!!』

 

態勢を立て直してきたネルガルから、ビゾンの叫びが聞こえてきた。

 

『エレボス・第二艦橋聞こえるか!?応答せよ、Dr.ハーン!!もう一度、カップリングだ!!』

 

『や、やめてビゾンっ・・・!!』

 

再びヒナとカップリングを行い次こそ青葉の命を刈り取るためにDr.ハーンにカップリング要請を行うが、それに対してヒナが怯えた声で叫ぶ。

 

『何を言っている、ヒナ!? お前はルルーシュ皇帝を・・・ゾギリアを裏切るのか!?』

 

恫喝するビゾンに、ヒナは怯えと迷いの色こそあるが、ハッキリとした響きの声で返した。

 

『・・・Dr.ハーンにおかしな薬を打たれてからも、おぼろげに記憶がある・・・!ルルーシュ皇帝のギアスのように人の心を操ったり、無差別に市民を攻撃したりするようなゾギリアは、私の愛したゾギリアじゃない!お父様も嘆いていた・・・! ゾギリアがおかしな風に変わっていくのを!!』

 

『ヒナ!?連合につく気かっ!』

 

ここで初めて、ビゾンの声に怯えが芽生えた。それを感じたのか、ヒナは悲しげに声のトーンを落としながら、さらにこう返した。

 

『違う・・・。私は、本当のことが知りたい・・・』

 

『雛っ・・・!?』

 

青葉も思わず息を呑んだ。

 

『私は幼い頃の記憶がない・・・。もしかしたら、青葉の言っていた弓原雛という子が本当の私かも知れない・・・。だから、私は・・・青葉と行く! お父様と私の愛したゾギリアは、もうこの世にないから!!』

 

『ヒナ・・・』

 

ついに毅然とした叫びとなったヒナの声に、青葉が思わず息を呑んだ時だった。

 

『ヒナアアアアアァァァァァッッッ!!!』

 

ビゾンが、錯乱の叫びを迸らせた。

 

 

 

 

「────大丈夫だ、ジェラフィル中尉」

 

 

エレボスの第二艦橋にて、モニター越しに戦いの様子を見ていたハーンが不敵な笑みを浮かべてこう告げた。

 

「君のその機体には、様々な試験的な装備が搭載されている。そしてそのひとつとして、リャザン少尉のカップリングを強制する機能もある」

 

『ハーン・・・!』

 

第二艦橋の通信回線に、エルヴィラの憤った声が割り込んできた。

 

『あなたはカップラーの意思を無視した、カップリングを可能としたのね!?』

 

「ほう、エルヴィラか・・・久しぶりだな。君の開発したコックピットシステムは見事だったよ。だが、そのように既成概念に囚われるのは、科学の進歩を止めてしまうなぁ?」

 

ハーンは不敵な笑いを浮かべた。

 

 

「ルルーシュ皇帝陛下はそれを理解してくださり、私に新たな叡智を授けてくださった。そしてその叡智の産物が、まさしくこれなのだよ────!」

 

 

 

 

 

『やるぞ・・・っ!!コネクティブ・ヒナっ!!』

 

ビゾンの叫びと共に、カルラに電流が再び走る。

 

『うっ、ああ・・・あああああっ!!』

 

ヒナがまた、カルラの中から苦悶の悲鳴をあげる。

その様子は、ルクシオンネクストの青葉にも見えた。

 

『雛っ!雛ああぁぁっ!!』

 

『このままじゃ、また同じことの繰り返しになる!』

 

『だったら今のうちにあの紫の機体を落とせば・・・!』

 

無防備な状態になっている青葉のルクシオンネクストとヒナのカルラに攻撃を仕掛けてくるルルーシュ皇帝軍とシュナイゼル連合軍を迎撃しているガンダムサバーニャのロックオン・ストラトスとガンダムハルートのアレルヤ・ハプティズムが叫んだ。しかしそれを、エルヴィラが焦った声で遮った。

 

『駄目……! この状態で下手な刺激を与えれば、逆に彼女の精神が破壊される可能性もある!!』

 

『なんだと!?じゃあ、どうすれば・・・!』

 

エルヴィラの説明を聞いてディオも焦った声になる中、僅かに目を瞑った後に青葉は、意を決した表情で叫んだ。

 

『雛・・・!今から俺たちでカップリングするぞ!!』

 

『え・・・っ・・・?』

 

強制カップリングによって頭が締め付けられるような激痛に襲われて苦しみながら、青葉からの突然の提案にヒナが驚いた様子で応じてきた。

青葉は思い切った様子で、さらに叫んだ。

 

『大丈夫だ、雛!今のお前と俺ならばできるはずだ! 俺を信じろ、もう時間がない!!』

 

『青・・・葉・・・』

 

覚悟がこもっている青葉の力強い言葉を前にヒナが息を呑んだ後、ビゾンが狂気と激情の叫びを迸らせた。

 

『うおおおおおっ!!! コネクティブ・ヒナァァァァッッッ!!!』

 

『行け、青葉っ!!!』

 

同時にディオが、叫びで青葉の背を押してきた。

その瞬間、青葉は息を大きく吸い込んで、この言葉を大声で叫んだ。

 

 

『コネクティブ・雛────!!!』

 

 

直後、青葉も、別の場所にいる刹那が取り込まれたトランザムの空間と同じそれへと意識を飛ばした────。

 

 

 

 

「・・・ここは・・・」

 

グラハムも気づいた頃には、トランザムの空間にいた。

 

「私は、既に涅槃にいるというのか・・・」

 

「────違う」

 

目の前から、声が聞こえてきた。

グラハムが振り返ると、そこに刹那が立っていた。

 

「ここは、量子が集中する場所だ」

 

「少年・・・! 何を世迷い言を!」

 

グラハムが食ってかかろうとするが、刹那は落ち着いた表情でそれを遮った。

 

「わかるような気がする。アムロ大尉やカミーユの言っていたことの意味・・・。イオリア・シュヘンベルグがガンダムを・・・いや、GNドライヴを造ったわけが・・・」

 

「何っ!?」

 

「武力介入は、このための布石・・・。イオリアの目的は、人類を革新に導くこと・・・」

 

刹那はここで、自分が口にした言葉を噛み締めた。

 

「そう・・・俺は、変革しようとしている」

 

「変革・・・?」

 

グラハムが聞き返そうとした時、辺りは光に包まれていく。

 

「それが、君が会得した極みだというのか────?」

 

グラハムの問いが最後まで終わらないうちに、彼の視界と意識は光に包まれた。

 

 

 

同じ頃、青葉もカップリングで作られたと思しき光の空間に、意識の中で漂っていた。

 

 

「青葉・・・」

 

穏やかな少女の声が聞こえてきた。

前を向くと、そこにヒナ・リャザンが立っていた。心から穏やかな表情を浮かべていた。

 

「雛・・・!俺のことがわかるのか!?」

 

青葉が呼びかけると、ヒナは頷いた。

 

「私は最初、あなたを憎んでた・・・」

 

「・・・そうだな」

 

「でもあなたは、私をずっと信じてくれていた・・・。だから今度は、私があなたを信じるわ、青葉」

 

「雛っ・・・!」

 

感極まるあまり青葉が息を呑んだ時、ヒナは穏やかで優しい笑顔のまま、この言葉をこう呟いた。

 

 

「────アクセプション」

 

 

 

 

現実へと戻ってきたグラハムは、装甲低下と機能異常の警告音をうるさいくらいに鳴り響かせるガンダムルシファー・シェイドのコクピットで項垂れていた。

 

「・・・戦う者のみが到達する極み。私は、それを求めていた」

 

グラハムは、のモニター越しに右腕と武装を失い、ガンダムルシファー・シェイドと同じく傷だらけとなったダブルオーザンライザーを見据えた。

 

「君はかつて、私に歪みがあると言った。だが、君とて戦うことしかできない存在・・・。だからこそ、私は望んだ。君と戦うことを」

 

グラハムは、操縦桿を思い切り引き上げ、ガンダムルシファー・シェイドをふらつかせながらも立ち上がらせた。

 

「そして・・・私は敗れた・・・。さあ、とどめを刺すがいい・・・!」

 

『・・・・・・』

 

ダブルオーザンライザーの刹那からの答えはなかった。

 

「やれ、少年・・・!!私をその砲火で貫き砕き!!その手に勝利を掴んでみせろ!!」

 

グラハムが激しく縋るような叫びをあげた後、刹那は沈黙を破った。

 

『俺は・・・生きる』

 

「っ!?」

 

刹那のその言葉に、グラハムは驚きに目を見開いた。

 

『生きて、明日を掴む。それが俺の戦いだ』

 

「生き、る・・・」

 

『そうだ・・・生きるために戦え』

 

刹那のその言葉は静かだったが、鋭いものだった。

その静かで鋭い刹那の言葉が胸に突き刺さるのを感じ、グラハムが大きく目を見開く中、第一独立師団のフラッグ・エアレイド部隊を引き連れながら部隊長であるヴァイス・マッシェルが駆けつけてきた。

 

『グラハム卿・・・。この場は一度後方にお下がりを!!』

 

「っ・・・」

 

撤退を促すヴァイスの言葉に、グラハムはギリッと奥歯を痛いほど噛み締めた。そして、

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉっっっ────!!!」

 

雄叫びと共に、ガンダムルシファー・シェイドを全力で羽ばたかせ、ルルーシュ皇帝軍の艦隊のほうへと向かっていく。

ヴァイスとフラッグ・エアレイド部隊もグラハムを護衛するためにその後に続いた。

 

 

 

「グラハム・エーカー・・・その魂は、まだ闇の中に囚われたままか・・・」

 

トールギスIIのコックピットから映るモニターから、グラハムが撤退していく様を見て、トレーズが冷然とした呟きを投げかけ。

 

 

 

『あの男・・・このまま、歪みの中に果てるのか・・・』

 

ダブルオーザンライザーのメインモニターで、撤退していくガンダムルシファー・シェイドの後ろ姿を見て刹那も冷然とした響きの呟きを発した。

 

 

 

『おい!まだか、青葉っ!?このままでは・・・!』

 

『もう大丈夫だ、ディオ 今、届いたっ!!』

 

ブラディオンネクストから厳しい声で叫んでくるディオに、ルクシオンネクストから青葉が歓喜の叫びで応えた時。

電流が迸るカルラのコクピットで、苦悶に顔を歪めていたヒナは、ゆっくりと目を見開いた。

 

『アク・・・セプ・・・ッ・・・!』

 

ヒナのその目の見開きは、かつてアルフリード隊の紅一点にして気高い戦士としての活気と凛としたものに満ち溢れていた。

そして、Dr.ハーンに仕掛けられた薬とカップリングの強制機能による支配を振り払うかのように、カルラをルクシオンネクストへと向けさせ、勢いよく叫んだ。

 

『────アクセプション!!!』

 

そのヒナの魂の叫びに応えるかのように、カルラを覆っていた凶々しい電流が吹き飛ぶようにして消え去った。

同時にカルラのカップリング機能が再起動した。しかしそれはネルガルではなく、ルクシオンネクストとのカップリング機能だった。

 

『なっ・・・!?』

 

ルクシオンネクストとカルラの翼が呼応するように眩く輝くのを見て、オーガの中でダルシムが驚きの声を発した。

 

『アルフリード中佐、これはっ!』

 

『ああ・・・!』

 

ラーシャ、そしてアルフリードたちだけでなくこの戦場にいる誰もが驚きに息を呑む中、ヒナはカルラをルクシオンネクストへと進めた。

 

『雛っ!』

 

カルラのサブモニターに、驚きと喜びが綯い交ぜになった青葉の顔が映る。

ヒナはその青葉の顔を見て、自分の胸元をギュッと握りしめた後にこう言った。

 

『私はあなたの言う弓原雛ではないかも知れない・・・。でも、青葉・・・私は、あなたといきます』

 

ヒナのその穏やかで力強い表情を見て、青葉がさらに顔を輝かせた。

 

『し、信じられません! 3人でカップリングしています!』

 

『青葉くんとディオの完璧なカップリング・・・!それはふたりの人間がひとりになったと言える!あのゾギリアの少女は、その一人になった人格とカップリングしているんだわ!!』

 

3機によるカップリングを前にシグナスからまゆかとエルヴィラが驚きの声を出し合う中、ビゾンが絶叫してきた。

 

『バカなっ・・・!?何故だ、ヒナ!?何故だあああああぁぁぁぁぁっ!!?』

 

『大丈夫だと言っているだろう、ジェラフィル中尉。君には別の力を与える』

 

ハーンが笑いながらそう言った直後、ドクン・・・と、ネルガルを中心に心臓の鼓動のような音が響き渡った。

 

『ウ・・・オ・・・』

 

それにヒナ、青葉、ディオがそれぞれの機体と共に振り返った瞬間だった。

 

『ヴオオオオオオオッッッ!!!』

 

ビゾンの凶々しい咆哮と共に、ネルガルが強制的にカップリング機能を再起動させてきた。

 

『なに!?』

 

『ひとりでカップリングを起動させた!?』

 

そう叫んだアルフリードとラーシャ、そしてオルドリンやオルフェウスたちもあまりもの展開に驚きを隠せない。そんな中、近くの空からその様子を見ていたアムロがエルヴィラに言った。

 

『エルヴィラ博士!どういうことなんです!?』

 

『わからない・・・!どうなってるの、これは!?』

 

シグナスの回線の向こうでエルヴィラが言葉を失う中、ハーンが得意げかつ不敵に言った。

 

『驚いたかね? そう、これこそが《スタンドアローンモード》さ』

 

スタンドアローンモード。ハーンによってネルガルに搭載されていたその機能に、エルヴィラは耳を疑った。

 

『スタンドアローン!?カップリングとは違うの!?』

 

『その通り。システム内に造り上げた擬似人格とのリンクで、カップリングを発生させるのだよ。まだ試作段階だけど、うまくいったようだ・・・ルルーシュ陛下には、感謝の一言しかないなあ!』

 

ハーンが高笑う中、グラン・ジュデッカに取り込まれエンブリヲの走狗となったカーリーや生きる屍としてデビルガンダムに取り込まれたヴィレッタとは似て非なる形で魔獣と化したビゾンは殺意も孕んだ雄叫びを挙げ続ける。

 

『ウオオオオオオオ・・・!!! ヒナァァァ!! 渡瀬青葉ア!! 俺はっ・・・俺はぁぁっ!!!』

 

『っ・・・』

 

『ビゾン・・・!』

 

アルフリード、ラーシャ、ダルシムたちビゾンのことをよく知るゾギリア軍がさらに息を呑む中、ヒナは胸が痛むのを感じた。しかし、そのヒナを激励するかのように青葉が勢いよく叫んできた。

 

『やるぞ、雛!俺たちの力で、あいつを止めるんだ!!』

 

『青葉!俺もいるのを忘れるな!』

 

『ははっ!最高のバディを忘れてなんているものか!』

 

『殺してやる・・・!!殺してやるぞ、ふたり共ォォォ!!』

 

青葉が声を弾ませる中、さらに殺意を孕んだ雄叫びをビゾンが挙げ続ける。そんな中、アムロと同じく近くの空からこの光景を見下ろしていたヒイロがビゾンに言った。

 

『・・・ビゾン・ジェラフィル。感情に従うことと感情に呑まれることは違う』

 

『黙れえ、ヒイロ・ユイっ!!!お前に俺の何がわかるうっ!!?俺は・・・ヒナを守りたかったんだあァッ!!!』

 

わずかだが悲痛も感じられたビゾンのその叫びに、ヒナはまた胸が痛むのを感じた。しかし、その感傷を振り切るかのようにヒナはゆっくりと頭を振った。

 

『・・・ありがとう、ビゾン』

 

ヒナは、カルラの操縦桿を握りしめた。

そしてカルラをルクシオンネクスト、ブラディオンネクストと共にネルガルに勢いよく突進させる際、ヒナは決意の叫びをビゾンに向けて放った。

 

『だから、ビゾン・・・!あなたは私が止める!!』

 

 

 

 

『クソクソクソォ!?なんでこっちの攻撃が当たんねぇんだよ!!』

 

齢一桁の子供が自分の思い通りにいかないからと周りに当たり散らかすようにがむしゃらに対モビルスーツ重斬刀を振り回すグリフィンだが、そんな新兵でも避けられそうなほど稚拙な攻撃がシンにのデスティニーガンダムSpecIIに届く訳もなくグリフィンが一度対モビルスーツ重斬刀を振るのに対してシンは最小限の動きで5回アロンダイトを振るい反撃するだけでなくグリフィン以外にもリデラート、リュー、ダニエルを含めた計4人のブラックナイツを相手に一人で余裕を持って対処していた。

 

そんな事実を認めたくないと言わんばかりにグリフィンたちはシンへの攻撃を続けるが、これまで本当の意味でエース級の敵と真っ向から戦ったことのないグリフィンたちアコードらが歴戦の戦士であるシンの相手になる訳もなくどの攻撃もシンのデスティニーガンダムSpecIIに届くことはなく逆に返り討ちにあって自身を傷つける結果ばかりとなり、自分たちがいいように弄ばれているように感じたイラつきが治まらず自分たちが最も得意とする連携攻撃でデスティニーガンダムSpecIIを撃墜すべくアコードの秘められた力を用いて攻勢に出る。

 

『シンクロアタックだ!行きますよ!』

 

『了解!』

 

『ぶっ潰してあげる!キャハハハ!』

 

リュー、ダニエル、リデラートはシンへの憎悪を込めながらブラックナイトスコードルドラを突撃させる。それに少し遅れてグリフィンのブラックナイトスコードルドラも突撃するが、グリフィンはシンに対してアコード独自の洗脳能力を発動した。

 

『────闇に堕ちろっ!!』

 

オオサカ租界でキラを洗脳状態に陥れ、ZEXIS・ドライクロイツに被害を与えた忌々しい悪魔の言葉だ。精神を狂わせればこの生意気なシンも一溜りないだろうとこれまで多くの名付き(ネームド)パイロットたちの命を奪ってきたという実績からグリフィンは実行した。

 

 

────彼らは知らない。シン・アスカがこれまで歩んできた戦場を、家族、友人、守りたかった少女、恩人、仲間を含めたシンにとって大切な人達や関わってきた多くの人々を失いながらも心折れずに必死に足掻き戦ってきたという事実を。管理された狭い世界で自分たちこそが至高の存在と思い上がったぬるま湯に使っているだけのろくに精神が成長していないグリフィンたちが耐えることなどできるわけがない地獄をこれから見せられることを・・・。

 

 

 

──────ここから、出ていけ!!

 

 

シンの意識へとアクセスしたアコードが降り立ったは、燃え盛る紅蓮の街。降り積もる雪を散らすかのように襲い来る、絶え間ない破壊の振動と爆炎から逃げるように彼らは駆け出した。ここは何処だ、何処なのだ。見回した彼らが陰った空を見上げると、そこに輝くのは巨大な人影。

 

炎に照らされて足元しかハッキリしないが、間違いなくそれは巨人だった。影によって黒く染ったその表情は伺い知れず、代わりにギラリと輝く双眸が彼らのことを射抜いていた。その異名は破壊の化身、シンにとって忘れられない記憶の一つ。四人へと向けられた指先から、数え切れないほどの光線が放たれて彼らへと向かってくる。

 

これは、恐怖。失敗を知らない彼らアコードにとって初めての感情だった。それ故に彼らはこの感情を理解出来ず、結果として大きな動揺へと繋がった。

 

『こいつの闇は・・・』

 

『深すぎる!』

 

リューとダニエルが恐怖で顔を青ざめさせながら歯をガチガチと鳴らしてシンの精神に侵入していたアコードたちがその場から逃げようとした瞬間、アコードたちは紅蓮の街から一転してなんの光もない暗闇へと飛ばされた。何が起こっているかわからず困惑しているグリフィンたち未知の衝撃が襲い、どす黒い感情が噴き出し、渦巻いて、周囲を押し包む。全身がカッと熱くなり、次に何かに引きずり込まれるような虚ろな感じがグリフィンを襲ってきた。

 

何かの気配を感じ、下を見ると、先程見たシンの闇──ゾンビとなったシンの家族が、ハイネが、ヨウランが襲い掛かってきた。無数の手は、活きのいいグリフィンが羨ましいと言わんばかりに群がり、次々と色んな場所を掴んでいく。

 

『な・・・何だよコレッ!?』

 

腕、耳、脚、そして首。どれだけグリフィンたちが抵抗しようとも、伸び出た腕は彼を離そうとはせず、むしろ力強く引きちぎろうとする。

ダメ押しと言わんばかりに更なる恐怖がグリフィンたちに迫ってきた。

 

『わるいやつ・・・やっつけなきゃッ!!!』

 

『『『『『逃さないと、言ったろぅ!!!』』』』』

 

『さて、君は僕に負けたサーペンタイン師団長を馬鹿にするという事は、彼よりも僕に勝てる勝算があると言ってるようなものだよね?なら、その証拠を僕に示してみなよ・・・』

 

『『『『ひィ゙ッ・・・・・・!!?!?』』』』

 

全長15mくらいの巨大な怪物のような姿となったステラが、グフイグナイテッドやザクウォリアー、ジンなどのザフト軍のモビルスーツ軍が、そして凄まじい威圧感を放つアーサー・イルジオンがグリフィンたちの背後に迫ってきた。

もはや悪夢としか言いようがない。それでも生存本能がフル稼働しているグリフィンたちは他の人間のことなどどうでもいい、自分が助かればいいと言わんばかりに必死にもがく。すると、彼の正面に光が差した。

 

(───あそこに行けば、逃げられるかも知れない・・・)

 

本能的な閃きに従い、グリフィンたちは何とかゾンビ達の拘束を振り解き、光の中に飛び込んだ。そして、彼らの視界に無数のデスティニーガンダムSpecIIがアロンダイトを構えながら迫る姿が視界いっぱいに広がっていた。

 

『え?え?』

 

周囲の景色は変わり、先程襲っていたゾンビや巨大なステラの姿は影もない。確かにグリフィンたちの願い通り、悪夢からは逃れられた。その代わりに入れ替わるように見えてきたのはミラージュコロイドによる光線屈曲による残像現象による無数の分身を含めたデスティニーガンダムSpecII本機が精神が追い詰められているグリフィンたちを襲う。

 

『分身は──こうやるんだぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

シンはオオサカで尊敬しているキラを精神汚染で暴走させ、更にこのフジでも自分の心に土足で踏み込んだ怒りも合わせてこれまで好き勝手言いまくっていたアコードたちを刈り取るべく叫びながら分身体に紛れてリデラートのブラックナイトスコードルドラに接近しアロンダイトを勢いよく振り下ろし袈裟斬りする。

 

『キャアァァァァァーーーッ!?』

 

運良く動力炉である擬似太陽炉が爆発しなかったのとコックピットギリギリに届かなかったことで絶命は避けられたのだが、凄まじい爆発と先程まで見せられていたシンの闇、さらに初めて感じた死の恐怖を前にリデラートは発狂してしまった。本来ならば全てのパイロット否戦場に出るもの全てが感じ次第に克服していく死の恐怖であり、幾度となく死線を潜り抜けた名だたるエースパイロットならば当然の如く克服しているものである。が、アコードは違う。

 

『リデルーッ!』

 

『あぁあああああ・・・!!』

 

『いやだあああーっ・・・!!』

 

思考を繋ぎっぱなしにしていたことでリデラートが感じていた死の恐怖を直に感じてしまったリューたちは錯乱し初めて死を目撃した新兵のようにがむしゃらにシンから少しでも離れようと逃げていく。彼らは、いつもいつも窮地に陥ることなく戦いに勝利してきた。機体に損傷を受けることも無く、ただ楽なままに。だからこそ死という終わりへの備えが出来ていない、死の覚悟を決めていない。子供のまま育ってしまった哀れな青年たち、それがアコードなのかもしれない。

 

『うぉああああああ!』

 

負けない、負けるはずがない。シンの叫びは、情けない自分への訣別だった。あのオオサカで錯乱したキラを止めることもできずグリフィンたちアコード相手でもろくに抵抗できず無様に敗北した。尊敬するキラを始めとした上官たちやレイやカミーユたちのように頼れる仲間、そして何よりも今のシンにとって最も大切で愛しているルナマリアを守るためにもシンは持てる力以上の力を引き出し戦うことを再度決意するように操縦桿を握る手に力を込めながらグリフィンたちへ攻撃を続ける。

 

両肩部の簡易式ドラグーンのビームブーメラン【RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン】を無数の分身体たちと共に投擲しダニエルのブラックナイトスコードルドラの両腕両足を刻んでいき、次に大型ビームランチャー【M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲】を構えながら薙ぎ払うようにビームを放って周囲にいた機体を囮にして逃げようとしていたリューのブラックナイトスコードルドラの両足を消し飛ばしながら敵モビルスーツであるファウンデーション軍の敵機を消し飛ばす。そしてダニエルとリューがやられているうちに離れているファウンデーション王国の母艦である【ヴァナヘイム級惑星間航宙戦艦 グルヴェイグ】へと逃げ込もうとしていたグリフィンのブラックナイトスコードルドラの頭部を掴み近くにあったバルドル級惑星間航宙戦艦の甲板に叩きつけそのまま掌に内蔵されているビーム砲【MMI-X340 パルマフィオキーナ 掌部ビーム砲】で頭部を爆散させる。

 

運良く、否今の彼らにとって運が悪いことにシンの攻撃は彼らの命を取るまでには至らなかった。秘密裏に同盟を結んでいるリボンズ・アルマークを始めとしたイノベイター側から提供された擬似太陽炉とガンダニュウム合金などによって機体の強度が上がっていたからこそグリフィンたちは助かったのだろうが、本当の死の恐怖を知ってしまった彼らはもう戦うために武器を取ることも、アコードのお得意の洗脳能力も使えないと何の役にも立てない欠陥品もいいところだろう。故に────

 

 

(最後ぐらい、これ以上の醜態を晒さないように息の根を止めてやらないとなぁ?)

 

グリフィンたちの無様な姿を見ていたシュラは慈悲と表向きに言いながらも用済みになった欠陥品(ゴミ)をようやく処分できることに内心の悦びを隠しきれずに三日月のように口端を動かして笑みをつくる。

 

 

──────ようやく裏切りの黒騎士が動き出そうとしていた。人類を超えた人類として生み出された存在でありながらそれらを全て否定し自らの力だけで最強の座を求める修羅になるべく同胞を切り捨て自らが選び抜いた真の戦士たちと共に新たな道を歩み始めようとしていた。

 





あとがき
本当はキラも出したかったんですけど区切りがいいので今回はこれで終わりです。次回もファウンデーション王国との戦いの続きを書きつつほかの戦場も書こうと思います。前にも話しましたがある程度今後の流れはできているので書いているうちにズレたりすることはありますがそれを元に物語は書いていきます。そしてフジの決戦が落ち着いたらそろそろ本格的にキャラや機体の設定をまとめていきたいと思います。書いていてキャラや機体の名前が増えたりするけどそれらがどのようなものなのか全然説明をせず話が進んでいるので流石に書かなくては・・・。書きたいものは多いのですが順番に地道に書いてエタらないよう頑張りますのでどうかよろしくお願いします。
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