スーパーロボット大戦Z 魔王の降臨   作:有頂天皇帝

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まえがき
ギリギリお盆に間に合った、のかな?昨日今日有給を使って早朝からコミケに参加して大量の戦利品をカバンに詰め込みながら帰宅して疲労が溜まりましたが待機時間で執筆を進められたと思います。
今回本編とは異なる方法でフレイヤ攻略しました。フレイヤリミネーターは確定してませんが今後の先のストーリーで登場するかもしれませんのでその時に出せたらいいなと思います。この作品のルルーシュはオリジナル機体だけでなく蜃気楼やナインボール=セラフ(隠しボス)、オリ機体を遠隔操作して引き連れています


REVELLION STAGE.35 虚無の皇子と仮面の皇帝

ビスマルク、アロウズ、ラスタル、ジーンを始めとした多くの戦力を失っているシュナイゼル連合軍であるが、彼らにはまだフレイヤという切札が残っているため多少追い詰められたところでフレイヤによる消滅で巻き返すことができてしまうためルルーシュ皇帝軍、ZEXIS・ドライクロイツの共通認識としてフレイヤの発射を阻止する為にもダモクレスの突破は最優先事項であり、戦力を分けながら攻略を続けていた。

 

しかし双方の軍の激しい攻撃を前にしてもダモクレスのブレイブルミナスを突破できず、その間にもフレイヤは放たれルルーシュ皇帝軍とシュナイゼル連合軍が次々と消滅していった。既に放たれたフレイヤの数は18を超えているが今も尚フレイヤは不規則に放たれていきそれはルルーシュ皇帝軍だけでなくZEXIS・ドライクロイツにもその脅威が襲いかかり、その弾頭は空をかけ、破壊の閃光を撒き散らす。

 

ガウマ『くそっ・・・!!ダイナゼノンのパワーでも砕けねぇのかよ!?』

 

暦『しかもなんか爆発するスピード上がってませんか!?』

 

夢芽『もしかして爆発のタイミングもコントロールできるんじゃ・・・!?』

 

蓬『なら余計早くダモクレスを突破しなきゃ・・・!!』

 

竜馬『テメェら!!もっとゲッターのパワーを振り絞れ!!』

 

拓馬『やってるに決まってんだろ!!』

 

ジンヤ『でも放たれ続けるフレイヤのせいで中々狙い通りに攻撃できないんですよ!!』

 

忍『ちっ!狙いが定まらねぇからか思った以上の威力が出ねぇ!!』

 

葵『あと何発食らわせればあの頑丈なブレイズルミナスを砕けるってのよ!!』

 

ロジャー『ここまで頑丈とは予想外だな・・・!!』

 

レントン『冗談抜きでキツすぎますよこれは・・・!!』

 

ランド『おまけにダモクレスからは絶え間なく増援が出撃し続けてやなる・・・!!』

 

クロウ『こっちは弾丸と装甲を削られまくってるってのにお構い無しにバカスカ撃ちまくりやがって・・・!!』

 

セツコ『このままじゃダモクレスを落とすよりも先に私たちの機体の方が持ちません・・・!?』

 

エッジ『クソッ!諦めてたまるかよっ・・・!!』

 

 

 

タマキ『どうすればいいのら!?これじゃ向こうのペースのままっ・・・!』

 

アサギ『アンジュ!スルガ!そっちはまだ片付かないのか!?早くふたりの火力もっ・・・!』

クロキ『やかましい〜〜〜!!これだけの数、1分や2分で始末できるかあああああっ!!!』

 

スルガ『くっそお!邪魔だ邪魔だぁ〜っ!!』

 

ケイ『ダメだわ・・・!ルルーシュ軍と合わせて外の敵も数が多すぎる!アンジュとスルガも動けそうにない!!』

 

イズル『こうなったら、オレたちでやるだけやるしかない!!』

 

アルト『やっぱり外に出ている連中も放っておけねえかよっ・・・!』

 

クラン『怯むなー!!ピクシー小隊、前へぇっ!!』

 

フリット『相手も思った以上に粘ってくるな・・・』

 

キオ『なんとか、打つ手を考えないと!でも、どうしたら・・・』

 

伊奈帆『皆さん、諦めないでください!』

 

ミツバ『グリッドマン!アズ!カレンさん!怪獣はまだ・・・くっ!?』

 

六花『ちょっと待っててください、あと少しでこいつらを・・・』

 

裕太『どうにかできます・・・からっ!!』

 

ボーラ『このヨロイ野郎ぉっ!!ふざけた真似しやがってえ!!』

 

アズ『いい加減、倒れなさいっての!!』

 

カレン『いつまでもしつこい────!!』

 

 

対するZEXIS・ドライクロイツのスーパーロボット部隊はもちろん、艦船も回避すると共に何度か集団で反撃に出ているが、ブレイズルミナスシールドを前に手も足も出せないでいる。そればかりか、外に展開してくる大量のナイトメア・モビルスーツ・モビルアーマー部隊の物量攻撃を前に後退させられていた。

そして新条アカネが生み出した怪獣たちもまた黒の騎士団残党の殲滅を優先しているのかZEXISとドライクロイツへ攻撃を仕掛けている数はかなり減っているがそれでもそれなりの数はいるために紅蓮聖天八極式やグリッドマン、ヒュッケバイン30たちもまだ手こずっていて、戻ろうにも戻れないでいた。

 

『・・・スーパーロボット含めて数十機でも突破できないなんてやっぱりダモクレスヤバイね』

 

『そうだねアカネくん。さて我らが総司令はどうやってあの頑丈な壁を突破する気なのかな?』

 

ダモクレスを突破しようとしているZEXIS・ドライクロイツの様子を見ていたアカネとアレクシス・ケリヴ(ニューオーダー) がそれぞれ言った時、ライは迫るシュナイゼル連合軍のヴィンセント・ウォードたちを破壊しながらエレボスから出撃しようとしているルルーシュに問いかけた。

 

『ところで・・・例の手(・・・)────準備は?ルルーシュ』

 

ライにそう聞かれて、回線の向こうからルルーシュが戸惑った声になる。

 

『・・・進めている。しかし、これは一種の賭けだ。確実に成功させられるかどうかは・・・』

 

『大丈夫。その賭けを成功させるために信じろ、ルルーシュ』

 

『・・・わかった。準備を急がせよう』

 

それで、ルルーシュとの通信は切れた。その時、アーサー・イルジオンの近くでシュナイゼル連合軍を蹂躙し、オープン・チャンネルでふたりのやり取りを聞いていたマリーカとムジナが、

 

『・・・本当に、やるのですか?陛下の言うように、成功させられる保証はないんですよ』

 

『失敗すれば、私たちだけでなく《ゼロ・レクイエム》も総崩れになる。そうなったら私も陛下に顔向けできないし、何のために、ここまで・・・』

 

不安がるマリーカとムジナ、そしてアカネに対してライはにべもなく無理やり激励するようにこう言い放つ。

 

「それでも俺たちには、もうこの方法しかない。ルルーシュを信じている、いや、恩義を感じているなら────お前たちも、命を、全てを懸けろ。いいな」

 

『『『・・・・・・』』』

 

マリーカ、ムジナ、アカネは納得していなく、安心してもいなかった。

だが、ライの言う通り、確かにこれしかないと認識させられたのか、3人がこれ以上は何も言うことはなかった。

 

 

『各機へ!これより皇帝陛下がダモクレスへの突入作戦を決行する!!』

 

ZEXIS・ドライクロイツがダモクレス突破のために攻撃を続けている中、ルルーシュ皇帝軍もまた各所でシュナイゼル連合軍、ZEXISと交戦を繰り広げておりそれらの各部隊に、ジェレミア・ゴッドバルトがサザーランド・オランジュのオープンチャンネルで呼びかける。

 

『手空きの部隊は、陛下の元へ急行してくれ! 繰り返す、これより皇帝陛下が────』

 

 

 

 

『────そんなこと言われても・・・!』

 

『────暇な奴が、いるわけないでしょって!!』

 

ソフィ・プロネとノレア・デュノクの気合の入った声と共に、ドドドドドッ、ビームライフルを《ガンダム・ルブリス・ウル》と《ガンダム・ルブリス・ソーン》がそれぞれ斉射し、シュナイゼル軍のヴィンセント・ウォードとファフナー・トローンズ・モデルの部隊を牽制する。

フレイヤの連射とダモクレスからの応援部隊の出撃によって態勢を立て直した人類軍の部隊が、右翼と中央目掛けて攻勢へと開始してきた。これ以上ルルーシュやライに策を使わせず、体勢を立て直させまいとする為の攻勢であることは明らかだったが、如何せん数が違う。火山の噴火やゼログライジス・レクスの原始解放(ゼロブラスト)でかなりの数を削られたが、精鋭であるダスティン・モーガンらアルゴス小隊含めた人類軍の精鋭たちと共にどうやら虎の子としてかなりの予備戦力を残していたようだ。

 

『そいつは同感だな・・・ッと!!』

 

『ミスルギはともかく、人類軍の連中はさすがにバカじゃねぇな!?』

 

イオ・ファルフォンスとレベッカ・リーことレヴィの声とともにそれぞれのガンダム【ガンダムフルメン】と【ガンダムヴルペス】が突進してくるシュナイゼル軍のゴーヴァンとアヘッドを次々と撃ち落としていく。

未だに人類軍も含めたシュナイゼル連合軍の精鋭、ZEXISのスーパーロボットと交戦していないせいか、アリシアの直属配下である【魔女の夜(ワルプルギスナハト)】の精鋭である彼らの機体に目立った損傷はない。しかし、アリシアとその配下である第三混成師団の部隊と共にこの中央でスレイン派の火星騎士と人類軍双方の部隊を食い止めていたため、パイロットたちの体力と気力ともに消耗が目立ってきていた。

 

『どうしますか・・・?これ以上食い止め続けてもこちらの戦力が低下するだけですよ』

 

同じく【魔女の夜(ワルプルギスナハト)】のメンバーであるルクス・アーカディアのガンダム【ガンダムドラッへ】が、ミサイルを放ちながら特攻を仕掛けてくるサザーランド・イカロスを切り裂きほかの向かってくるサザーランド・エアたちを撃墜しながら、その近くで戦っているアリシアに判断を仰いだ。

 

『・・・このまま受け身の戦いに甘んじていては、我々も長くは持たない。そして陛下も、乾坤一擲の覚悟で最後の策へと打って出られようとしている・・・』

 

デストロイガンダムのスーパースキュラをかわし、その頭部と胸部をゲシュペンスト・キメラのオクスタンランチャーとG-リボルバーによる同時撃ちで貫通して吹き飛ばしながら、アリシアは唸った。

 

『この時こそがまさに、絶好の好機・・・!!ルルーシュ陛下の道を作るために覚悟を決めて、攻勢に転じるまで!!』

 

『いいね、面白くなってきたじゃん・・・!!!』

 

新たに立ち塞がったデストロイガンダムを参式斬艦刀で両断しながらゲシュペンスト・キメラが一気に先陣を駆け始める。その後ろを守るようにして迫り来る敵機を薙ぎ払いながら、カムイ・クルーニクスのガンダムヴィルトゥスの拳が迫るファフナー・パワードモデルを粉砕する。

 

『ヴィエルジェ卿が突っ込んでいく・・・!!』

 

『これ以上の受け身は不利だということだろう・・・我々も行くぞ!!』

 

『おう!我ら第三混成師団の実力をシュナイゼルと人類軍に見せつけようぞ!!』

 

アリシアに感化された第三混成師団の兵士たちは機体と戦艦が動き出しそしてソフィたちワルプルギスナハトもまたアリシアの動きを見て彼女がどう判断を下したのか察したらしく、捨て身を覚悟で人類軍への反攻に打って出る。

 

 

 

『ヴィエルジェ卿の部隊が反攻を開始したようですね。ならば、私たちも・・・』

 

『ああ。俺たちも覚悟を決めなければな。各機、私とヴィエルジェ卿に続け!!』

 

『第三機甲師団も続きなさい!!我らで道を切り開く!!』

 

『イエス・マイ・ロードだ、ハーゲンティル卿、クルシェフスキー卿!!』

 

アリシア率いる第三混成師団の援護に回るべく、セレス率いる第四機甲師団の機動部隊、ティア率いる第二混成師団の機動部隊、モニカ率いる第三機甲師団それぞれの師団に所属する協力者及びラスティたち傭兵部隊含めた両師団の全艦隊も攻勢へと打って出た。

 

「来るか、ルルーシュの騎士どもよ・・・。破れかぶれの覚悟であろうが、お前たちがその気ならばこちらも受けて立つまでだ」

 

アリシア、セレス、ティア率いる3つのルルーシュ軍の機甲師団の反攻を、ファフナー・トローンズ・モデル【ラファエル】のモニターで見ながらダスティンが目を細める。

 

「この大攻勢こそが、ルルーシュの最後の抵抗というものだ!全戦力で迎撃!人類軍の名にかけて、ZEXISともども彼奴らを倒せ!!」

 

『『『了解!!』』』

 

ダスティンの号令と共に、同じ小隊であるキース・ウォーターやハインツ・ビットナーも含めた人類軍の全部隊も迎撃に打って出る。

 

 

 

「────間も無く、ゴディニオンの主砲及びフレイヤの射程距離に入ります」

 

「そのタイミングで砲撃を。フレイヤを使われたらひとたまりもないわ」

 

チームラビッツの旗艦である戦闘母艦《ゴディニオン》の艦橋で、通信士ジュリアーノ・ヴィスコンティの報告を受けたスズカゼ・リンは、素早く他の通信士などの艦橋にいるスタッフに指示を出す。

 

「ダモクレスの行動予測パターンを1024通り算出」

 

「それにフレイヤによるランダム砲撃係数をインプット!」

 

同じく艦橋にいる通信士ジークフリート・フォン・ヴェスターナッハの報告を受けたスズカゼは、ついにこの号令を下す。

 

「主砲、用意!!」

 

スズカゼの号令に従い、ゴディニオンの艦首部に装備された主砲が起動、展開し、エネルギーを急速充填していく。その狙いはもちろんダモクレスだ。

 

「目標、ダモクレス・・・!放てっ!!」

 

スズカゼが大声でさらに号令を下した。同時にゴディニオンの主砲が、ダモクレスに向けて放たれる。青い稲妻を伴った高出力のレーザービームが、ダモクレスを派手に直撃する。そして派手な大爆発が巻き起こった。

 

「やったかしら!?」

 

「いえ!これは・・・」

 

ジュリアーノが、艦橋の正面の大窓の向こうの景色を見て息を呑んだ。

大爆発の炎と煙が風に吹かれて消え去った後、その向こうから姿を現したブレイズルミナスに守護されたダモクレスを見て、スズカゼは舌打ちした。

 

「ダメか・・・!高出力のブレイズルミナスと合わせて、図体がデカすぎるから破壊までいってない!」

 

その後もゴディ二オンに続くようにフレイヤを警戒しながらハガネやデューカリオン、ラー・カイラムなどZEXIS・ドライクロイツに所属している戦艦たちがダモクレスに対して砲撃を繰り返すもダモクレスは微動だにせず容赦なくフレイヤを放ち続けていた。

 

ダモクレスは先ほどのゼログライジス・レクスの一撃で防御能力を下げられ、さらにZEXIS・ドライクロイツの集中攻撃を間断なく受け続けているからこそ流石に無傷とまではいかなかったが、それでも他の艦船に比べるとその損傷は微々たるものだった。

 

「無駄だよ。ダモクレスは、この程度では落ちない」

 

そんな、ゴディニオンたちの砲撃をも見事に耐え凌いだダモクレスの防御力に、司令室でシュナイゼルがほくそ笑んだ時だった。

 

『ダモクレスの動きは止まった・・・!チャンスは今しかない!!』

 

ダモクレスがゴディニオンたちの砲撃に気を取られたその一瞬を、ルルーシュは見逃さなかった。

 

 

「敵新型部隊、接近中!!アーサー・イルジオンが追従していることから先頭の機体はルルーシュの可能性が高いです!!」

 

オペレーターからの報告に、シュナイゼルはやれやれとでも言いたげに首を振ってみせた。

 

「・・・フレイヤ発射口のブレイズルミナスを部分解除。照準は、接近中の敵部隊に変更する」

 

深々と指揮官用の席に身を沈めて、モニターに映し出されるルルーシュとC.C.の新型起動兵器【アジ・ダカーハ】の反応を見やり、がっかりしたようにこう言う。

 

「ルルーシュ・・・最後は突撃と来たか。まったく、興醒めにもほどがあるな」

 

「照準変更完了!!」

 

オペレーターが再び報告した後に、シュナイゼルは艦内通信でスイッチを握る少女に呼びかけた。

 

「────ナナリー。これでおしまいだ。できるね?」

 

『はい。シュナイゼルお兄さま』

 

艦内通信で、ナナリーも静かにそう返して来た。

 

「ブレイズルミナス、解除!!」

 

「今だよ、ナナリー」

 

シュナイゼルの合図を受けて、ナナリーがスイッチを押し、再び破壊の閃光・フレイヤが空を駆ける────。

 

 

 

『フレイヤが・・・!』

 

その様子にZEXISの中でいち早く気がついたのは、紅蓮聖天八極式のカレンだった。誰もがルルーシュに迫るフレイヤを目にして息を飲み、ルルーシュはフレイヤをどうするのかと動揺していた。

 

「ルルーシュ・・・これで終わらせる。平和の、完成だ」

 

その一方、向こう側の天空要塞ダモクレスの内部では、シュナイゼルが穏やかな勝利の笑みを浮かべていた。だがしかし、

 

 

『────来た!!』

 

通信空間に響き渡るライの声。そのライが操縦するアーサー・イルジオンは、マリーカのアザトース、アカネのアレクシス・ケリヴ【ニューオーダー】、ムジナのブラックダイナゼノン、マリーベルのランスロット・トライアル、遅れて合流してきたトレーズのトールギスII、ミリアルドのガンダムエピオンII、ジェレミアのサザーランド・オランジュ、ウィザードのアグラヴェインたちを率いるように進むアジ・ダカーハに追従していた。

 

先頭を進むアジ・ダカーハの周囲にはルルーシュ自らが操る無人機たちへの指示を中断しAI操作に切り替え、フレイヤ迎撃のための準備を始める。

 

「────フェンリル、全機展開!!」

 

ルルーシュはキーボード型のコンソールを操作しながらアジ・ダカーハの背部コンテナに収容している小型水晶型自律ビット兵器【フェンリル】を展開させていく。その間にもルルーシュを撃墜しようと襲ってくるシュナイゼル連合軍のガレスやアヘッド、デストロイガンダムたちを6基のガトリング砲に翼竜の翼を生やしたGNドライヴ[A]を搭載した無線誘導兵器【ドラグーン・スレイブ】から放たれるビームガトリングで近づくどころか攻撃しようとした瞬間に蜂の巣にして撃墜していく。

 

「ニーナからフレイヤは刻々とその組成を変化させることは聞いている」

 

一直線にアジ・ダカーハに向けて放たれるフレイヤから視線を逸らさずにルルーシュはコンソールを動かす手をより早める。

 

フレイヤの最大の問題点は────フレイヤが持つ膨大な攻撃範囲だ。リィザの情報通り、ダモクレスは、フレイヤを撃たないときはブレイズルミナスの障壁からに閉じ籠っているが、フレイヤとブレイズルミナスを同時に使えるほど完璧ではない。だから発射の瞬間は展開しているブレイズルミナスを解除しなければならない。言い換えれば、その瞬間は唯一、鉄壁の防御力を誇るダモクレスの弱点でもある。また、一度解除したブレイズルミナスを再び展開させるには意外と時間がかかり、そこをフレイヤの発射と破壊力でカバーしているようなものだ。

だからこそ、開発者であるニーナとミスルギに潜入していたリィザが手に入れた情報をもとにしてチェックメイトをかけるために、ルルーシュが導き出した結論は、ひとつだった。

────爆発の被害を広げないように封じ込める。

 

(本来ならば俺が環境データを入力し、次の0.04秒の作業をライにやらせるはずだったが流石に【フレイヤリミネーター】の大型化の開発に時間が足りなかったから今回のような力技で対応せざるを得ない・・・!!)

 

本来ならばニーナを確保した後にロイドを始めとしたルルーシュ側に所属している技術者たちによってフレイヤの爆発の被害を抑える【フレイヤリミネーター】と呼ばれる兵器の開発がフレイヤ対策の最有力候補だったのだが、開発に成功したのはナイトメアサイズのものであり100mに匹敵する巨大さを誇るライのアーサー・イルジオンとルルーシュのアジ・ダカーハでは使用するには小さすぎるためフレイヤリミネーターの大型化が考えられたのだが作成するには時間が足りないため断念し、ルルーシュ自らの手でフレイヤの爆発を抑えることにした。

 

「【アスガルド・ドラウプニル】展開!!」

 

ルルーシュがコンソールを動かすのに合わせてフェンリルたちが迫るフレイヤを囲みフェンリルのクリスタル部分の光を反射させて5基で1つの絶対守護領域の結界を作り、それを6つ作成しフレイヤを包むように六重に展開してフレイヤを囲んだ。

 

そしてフェンリルによる絶対守護領域の六重結界が完成したのと同時にフレイヤが爆発した。

 

 

白く輝く全てを消滅させる閃光が広がろうとするがそれを抑えるように紫の障壁が妨害する。複数の動力によって稼働しているアジ・ダカーハによってより強固となった絶対守護領域であってもフレイヤの爆発を完全に封じきることができなかった。だが、1つの結界が壊されでもすぐに外側の結界が爆発を抑えていく。そして30基のフェンリルが破壊された代わりに拡散しようとしていたフレイヤの爆発は小さなものになってしまい、小さな瞬きとなってしまった。

 

 

────フレイヤの爆発は、ルルーシュを巻き込むことなく消滅した。

 

 

 

「えっ・・・!?フレイヤが!?」

 

ドライストレーガーの艦橋で、その様子を見たミツバが指揮官席から思わず身を乗り出して。

 

『消滅、した・・・!?』

 

『ゼロのヤツ、マジでフレイヤを防いだってのかよ!?』

 

同じくヒュッケバイン30、ヒュッケバイン30thからそれぞれその様子を見たセインクラウス兄妹が、目を瞠った。

 

 

「フレイヤが・・・?」

 

同じくダモクレスの司令室で、カノンが唖然とつぶやく。続く言葉を口にしたのは、ディートハルトだった。

 

「・・・防がれ、た・・・?」

 

そして、この戦いが始まって以来、シュナイゼルがついに顔から笑みを消した。

刺すような眼光をその瞳に浮かべ、初めて忌々しいと言いたげな表情になり、こう呟いた。

 

「やってくれたね。・・・まさか、そんなおもちゃまで用意していたとは」

 

 

 

 

とはいえ、もちろんそれでルルーシュたちの奥の手は終わったわけではなかった。

ルルーシュたちの側から見れば、フレイヤを止めたとはいえ、たった1発。しかも今のフレイヤを防ぐためにアジ・ダカーハはフェンリルを全て消失してしまいもう一度フレイヤを放たれてしまえば同じ手段で防ぐことはできない。それに対してまだ敵の手には、フレイヤはいくらでも残っている。再びダモクレスのブレイズルミナスに生じていた突破口が閉じてしまえば、状況は振り出しに戻ってしまう。

フレイヤ消失の瞬間には、フレイヤを防いだ時にはすでに最大風速で飛翔しさせていたルルーシュの遠隔操作していた蜃気楼が、今にも閉じようとしていたブレイズルミナスの穴に取りついた。まず蜃気楼が、絶対守護領域を上下左右に発生させ、展開しかけていたブレイズルミナスの殻にぶつけることによって、穴を支える。

 

『ジェレミア────!!』

 

『イエス・ユア・マジェスティ!』

 

ルルーシュの合図を受け、ジェレミアのサザーランド・オランジュが真っ先に飛び込む。そして、ブレイズルミナスの内側に飛び込んだ瞬間、サザーランド・オランジュは6連ガトリングガンと4連リニアライフルを構え、オランジュユニットの全武装を展開した。

 

『はあああああっ!!!』

 

ジェレミアの裂帛と共に、サザーランド・オランジュの全武装からハドロンブラスターや銃弾、砲弾の嵐が連射される。その光弾と光線は、天空要塞ダモクレスをぐるりと円形に囲む装置の3、4本を一気に粉砕した。

その瞬間、その3〜4本の装置、もとい発生器を中心に展開されていたブレイズルミナスのシールドが揺らぎ、フェードアウトするように消滅していく。

 

「今だ────トレーズ、マリーベル!!!」

 

『『イエス・ユア・マジェスティ!!』』

 

ルルーシュが蜃気楼を飛び退かせながら、続けてトレーズマリーベルに号令を下す。

 

『目標! 天空要塞ダモクレス!!』

 

『全部隊、一斉砲撃っ────!!』

 

『『『イエス・マイ・ロード!!!』』』

 

『『『イエス・ユア・ハイネス!!!』』』

 

トレーズのトールギスIIのドーバーガン、トライアルがヴァリス・ハドロンブラスターモードを発射しながら号令を下した瞬間、集結していたグロースター・グリンダ隊、ヴィンセント・グリンダ隊、ジンクス・グリンダ隊、ビルゴ・グリンダ隊そしてダモクレスの周辺空域に進んできていたアザトース、ブラックダイナゼノン、アグラヴェイン、アレクシス・ケリヴ【ニューオーダー】をはじめとする大グリンダ騎士団、第零騎士団、ルルーシュ皇帝軍、OZによるダモクレスへの一斉集中砲火だった。

守りをこじ開けられ、無防備となったダモクレスが、最初の一撃である一斉攻撃を受けて、さらに守りをこじ開けられ、突き崩される。続けざまに放たれる、目も眩むばかりの無数の砲撃は、ブレイズルミナス発生器をさらに6本も破壊。

ついにダモクレスの防御陣もろとも外壁を貫き、その巨体を大きく震わせた。

 

 

 

 

「ああっ────!!」

 

 

艦内庭園を激しく揺らした数多の爆発と共に、ナナリーは悲鳴を上げた。

のみならず、その手にしっかりと握っていたフレイヤの発射スイッチも取り落としてしまう。

 

「か、鍵が・・・!フレイヤの鍵が────ああっ!!」

 

さらに繰り返される数多の爆音。庭園がまた揺れ、傾いた車椅子からナナリーはそのまま床に転げ落ちた。

 

「鍵は・・・鍵はどこにあるのっ・・・!?」

 

誰もいない艦内庭園の床に這いつくばり、ナナリーは必死に両腕だけを動かして、周囲を探している。

だが、伸ばした手の先に、目的のものはない。どれだけ無様に這いずり回っても。

 

「どこにあるの・・・!私が、私が撃たなければ・・・私がお兄さまをっ────!!」

 

見えない目。動かない足。

こんな時でさえ、自分の邪魔をする。

まだだ。まだ終わってないというのに。あと少しだというのに────。

最後まで役立たずの体、最後まで「役立たず」と周りから罵られ続けた、こんな脆弱な自分・・・。

 

(ふざけないで────私は・・・私はっ!!)

 

こんな結果を、認めることはできない。

こんな結果は、絶対に許容しない。

何のために、兄と同じ阿修羅いばらとごうの道を────滅びを選んだと思っている。

ここで、こんなところで諦めてしまったら。

ここで自分が終わってしまったら、私が生きた証など、もうどこにも残らない。

 

 

(お願い、動いて・・・動いてよぉ・・・!!)

 

 

動け────。

探せ。動け。探せ。

動け探せ動け探せ動け探せ動け探せ探せ探せ探せ探せ探せ────!!

ほんの一瞬でいい────私に、あの鍵の姿をっ!!!

 

 

「────あっ・・・!?」

 

 

その瞬間、ナナリーは、自分の両目に熱い何かが入り込んでくるのを感じた。

そして、少女を閉じ込めていた檻には、ひびが入り────。

 

 

 

 

 

 

『ワラワラと虫みたいに沸いてきやがって・・・!!』

 

『流石はダモクレスですね。よくまぁこれだけの戦力を隠していたものです』

 

アルトアイゼンクリンゲとアズールリッターのコックピットの中でルシアとリルカが舌を巻きながらダモクレスのぶち開けられた穴はもちろん、外壁の各所に開いたシャッターなどの開閉口から溢れ出てくるナイトメアやモビルスーツたちを破壊していく。

 

『数がどれだけいようと関係ない。蹂躙するのみ』

 

『ダモクレスを制圧しフレイヤを確保すればこの戦場も我らの勝利が確定するものだ』

 

ゲシュペンスト・シヴァとグルンガスト帝式のコックピットの中でユーグと豊人はそう声を掛け合いながらダモクレスに着陸し先に暴れているルシアとリルカに続くようにダモクレス内部の敵ナイトメアやモビルスーツたちを破壊していく。そして彼らの後を追うように第零騎士団、深淵騎士団、ルルーシュ皇帝軍も続いていく。

 

『ようやくダモクレスへの道が開いたか・・・!ローラン、キア!!』

 

『承知した!総員、トレーズ閣下とルルーシュ陛下に続けぇっ────!!』

 

『了解だ! 各機、隊列は気にするな! 一気にダモクレスに雪崩れこめ!!』

 

『我々も出る!シュナイゼルとナナリーにこれ以上調子づかせはせんぞ!!』

 

ウィザードとアグラヴェイン、キアとトレーズの側近の1人であるOZのローラン・グランドのトーラス、キアのジャイオーン、マスクとカバカーリーを先頭にして、大グリンダ騎士団、OZ、ジット団、キャピタル・アーミィの部隊に続いて一気に接近。ダモクレスとその周囲にいるシュナイゼル軍の部隊とZEXIS双方に大攻勢を展開した

 

 

 

第二・第三・第四混成師団、第二・第四機甲師団と人類軍の戦域も含めたダモクレスの周辺空域の各所では、破竹の勢いで戦闘が勃発し、そして激化の一途を辿っていた。

 

『一体何が起こってるんだ・・・!?』

 

『野郎・・・!まさか中からダモクレスを破壊する気か!!』

 

グレンラガンのヴィラルとシモンも含めた数人が混乱している中、ロックオンが通信回線でミツバに呼びかけた。

 

『どうするよ、スメラギさん!?』

 

『手の空いている各機はダモクレスに攻撃を集中! 私たちのここでの最優先事項はあれの破壊とフレイヤの発射阻止よ! ブレイズルミナスの防御が張れなくなったこのチャンスを逃さず、次のフレイヤの発射までなんとしてでも仕留めて!!』

 

スメラギの鋭く厳しい号令に、スーパーロボットたちが我に帰ってその通りに動き出す中、

 

『ルルーシュ・・・!ライっ・・・!』

 

カレンは紅蓮聖天八極式のモニター越しにダモクレスを見据えた。

 

 

 

『第2ジェネレーター大破!第4・第5・第6・第10ジェネレーター大破!ブレイズルミナスの出力、40%に低下しています!!』

 

『データブロック、通信途絶!!第6フロート制御ルーム、破壊されました!!』

 

『下層左舷第3格納庫、制圧されました!ジャイオーンとカバカーリーを先頭にキャピタル・アーミィとジット団の部隊が侵入してきています!!』

 

『後方からも来ます!ロイヤルガードです! 鹵獲されたロイヤルガード機部隊が撃ってきています!! シュナイゼル殿下────!!』

 

その頃、ダモクレス中央の司令室にて、シュナイゼルはゆっくりと指揮官席から立ち上がった。

 

「大したものだね、ルルーシュ・・・まさか、私に最後の策を使わせるとは」

 

ブレイズルミナスの防壁を破られた時点で、シュナイゼルにはこのダモクレスに対する未練などなかった。

リィザ・ランドッグがルルーシュに情報提供した通り、ブレイズルミナスこそが、ダモクレスの唯一の弱点。あらかじめ防衛のナイトメア、モビルスーツ。モビルアーマーを前線への応援も含めてありったけの数を配備させ、迎撃に移らせているが、敵に肉薄された時点でもはや純粋な戦闘による勝利は危ういのである。

 

「では・・・」

 

「このダモクレスは、ルルーシュたちを捉えた檻となった」

 

通路を歩きながら、シュナイゼルは笑ってカノンの言葉に頷いた。

 

「私たちが脱出した後、このダモクレスそのものをフレイヤで消去(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)しよう」

 

「おお・・・!!」

 

「立派な棺桶だ。喜んでくれるだろうか、ルルーシュ、そしてマリーとライくんたちは・・・」

 

ディートハルトが、大仰なまでの感嘆の表情を浮かべた。

ルルーシュとマリーベル、そしてトレーズたちその一派を排除した後、脱出した自分たちは改めて「世界平和」構築のために、新たな拠点ダモクレスと戦力フレイヤを生産すればいい。

そういった思惑を込めてシュナイゼルがそう言うと、ディートハルトがこう問うた。

 

「それで?ZEXISはいかがされるのです?」

 

シュナイゼルが、ここで初めてディートハルトの言葉に反応した。

 

「あのドライクロイツと連合して、黒の騎士団以上に強大な戦力になったとはいえ、彼らも所詮後ろ盾を持たない一部隊に過ぎない。ルルーシュのように世界全てを敵に回して戦うことなど、できるはずもないよ」

 

そのシュナイゼルの言葉を聞いた後、今度はカノンが首を傾げながらこう訊ねた。

 

「・・・恐れながら、我々がここを脱することができたとしても、トロモ機関にはそこまでの余力はありません。ローゼンバーグにしても・・・」

 

「今や世界中がルルーシュの敵だ。そのルルーシュを消し去ったシステムとなれば、様々な組織が喜んでフレイヤを作ってくれるだろう」

 

「それはテロリズムにも繋がりませんか? 一応、ナナリー様のご意見も聞きに、ここでお迎えに・・・」

 

カノンがそう言いかけたところで、そこまで沈黙していたディートハルトが含み笑いと共に、こう口を開いた。

 

「必要ありませんよ。彼女がいるからこそ(・・・・・・・・・)、ルルーシュはこのダモクレスに突入を仕掛けたのですから」

 

その残酷な一言に、カノンがハッとした表情を浮かべる。

しかし、ディートハルトにではなく、やはりシュナイゼルに尋ねた。

 

「ま、まさか・・・!見捨てるのですか!?」

 

カノンはこう言ったが、実際はそのナナリーも最初からこのダモクレスを破壊する気だった(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)のである。しかも、やり方に関してはシュナイゼル以上にナナリーのほうが過激であるのは、言うまでもないことになりつつあった。

シュナイゼルはまだ役に立つ自分の腹心は生かしておくつもりであるし、自分自身も死ぬつもりなどなかったが、これまでのシュナイゼルの仕込みによって完全に自暴自棄にもなったナナリーは、まとめて全員殺すつもりでいる。

 

「世界平和とひとりの生命・・・哀しいことだが比べるまでもないよ」

 

「それでこそです、シュナイゼル殿下!」

 

ディートハルトが、シュナイゼルのその言葉にまた感嘆の表情を浮かべる。

その点を考えれば、この場の会話はいささか滑稽ですらあったが、ともあれシュナイゼルはカノンの言葉にそう答えたのだった。

 

 

やがてシュナイゼル、カノン、ディートハルトは脱出艇に辿り着いた。

エレベーターで上がり、やや手狭なブリッジに足を踏み入れたところで、しかしシュナイゼルは不意に眉をひそめ、歩を止めた。

 

「・・・・・・」

 

ブリッジ正面にある液晶モニター。なぜか、シュナイゼルが指示を出す前から、そこには電源が入っていた。

灰色の画面。そこに光が灯り、パッと3人の人間の姿が映る。背後に従っていたカノンやディートハルトが目を見開いた。

 

 

『御機嫌よう・・・と、これは先ほど陛下が仰ったことばかりでしたね』

 

『あなたがたがここに来ることも、すでにわかっていましたよ』

 

 

モニターの中でそう答えたのは、銀髪の少年と桃色の髪の少女。

そして、その二人を両側に従える形で椅子に座った、艶やかな黒髪をしたひとりの少年も、おもむろに口を開いた。

 

 

『待っていたぞ・・・シュナイゼル』

 

 

鋭い眼差しでモニターを見上げていたシュナイゼルが、フッと息を吐いて、それからモニターの前のシートに腰を落ち着けた。

 

「・・・そうか。チェックメイトをかけられたのは、私のほうか」

 

自嘲気味につぶやいた後で、シュナイゼルは画面のルルーシュ、ライ、マリーベルを見上げた。

 

「そしてどうやら私は、君のことを過小評価しすぎていたらしい。だからこそ、教えてほしい。なぜ、私の策がわかったんだい?」

 

『それは違いますわ、シュナイゼルお兄さま。陛下が読まれたのは、策のほうではありません』

 

マリーベルが微笑んでそう答えた。続けてライが、腕を組んで不敵な笑いを浮かべてこう言った。

 

『勝つ気はなく負けない(・・・・・・・・・・)ようにしている。・・・トレーズ司令も仰られたあなたのその本質を、陛下は読まれたのです』

 

「なに・・・?」

 

ライがそう答えた時、ルルーシュの手には、チェスの駒が握られていた。ルルーシュはそれを一度空中に放り投げると、回転しながら落ちてきた駒を器用にキャッチする。

 

『朱禁城での対局、トレーズの失脚、パング・ハーキュリーのクーデター、そして黒の騎士団への情報リーク・・・。特に黒の騎士団への情報リークはなかなかに手際が良かったが、あの時に確信したことがある。結局、あなたは状況に合わせるだけで、必然ではなく最善の手でしか打たない。仮に黒の騎士団がクーデターに失敗したとしても、それは扇たちの失敗であって、あなたの負けにはならない。あなたは常に負けないところ────安全圏でゲームをし続けている。つまりそういうことだ』

 

シュナイゼルが目を閉じ、薄く笑った。

 

「ほう・・・では、その安全圏で最善手を選択し続けることが、間違っていると?」

 

『最も善い手が、やらなければならない一打であるとは限らない。たとえ悪手であっても、それを打たねばならない時が必ずある。だが、あなたにはそれができないということさ』

 

「だから、私がダモクレスを放棄すると分かったのかい? そして、黒の騎士団やナナリーを捨て駒にするということも」

 

そのシュナイゼルの問いへの答えに代わって、ルルーシュは不意にその名をもう一度呼んだ。

 

『シュナイゼル────その涼しい顔をしていられるのも、今のうちだ。あなたには今度こそ、負けてもらうことになるからな』

 

そのルルーシュの不敵な言葉に、シュナイゼルはゆっくりとまぶたを開けた。

 

「つまり・・・私を殺すと?」

 

シュナイゼルの端的な問いに代わり、ルルーシュは一呼吸おいて再び口を開いた。

 

『質問したい。あなたはダモクレスで世界を支配にぎりたかったのか?』

 

「違うよ。私はただ皆が望むことを、平和を創りたいだけだ」

 

『平和を創る?人の本質を、無視してでも・・・?』

 

「見解の相違だね」

 

『あなたはフレイヤの恐怖をもって、今日という日で世界を固定しようと考えた。しかし、変化なき日常を、生きているとは言わない。それはただの経験だ』

 

「しかし、そのつながりを知識というが・・・」

 

シュナイゼルが逆に問うと、ルルーシュはフッと笑った。

 

『・・・やはり、あなたは優秀だよ。優秀すぎるがゆえに見えていない(・・・・・・・・・・・・・・・)。そう、皇帝シャルルは過去を求めていた。自分が失ってきた過去を。そして、あなたは今日を。だが、俺は明日が欲しい』

 

「それはどうかな。明日は今日より悪くなるかもしれない・・・」

 

『いいや、よくなる。たとえどれだけ時間がかかろうと、人間は幸せを求め続けるから』

 

ルルーシュの言葉に、シュナイゼルが呆れたように、ハハハハハ、と笑い返してきた。

 

「それが欲望につながるというのに・・・愚かしさも極まったね。それは感情にすぎないよ、ルルーシュ。希望や夢という当てのない虚構・・・」

 

『それが皇族という記号で世界を見下してきたあなたの限界だ。俺は何度も見てきた。不幸に抗う人を。未来を求める人を。みんなが幸せを願い、抗い続けてきた・・・!ギアスも、仮面も・・・その根源は・・・!!』

 

「矛盾だよ。他人の意思を否定し続けてきた君が、ここにきて他人の意思を、存在を肯定するのは・・・」

 

だが、反論しようとしたところで、シュナイゼルはふと吐息した。今度は苦笑めいた表情が浮かび、かぶりを振った。

 

「・・・いや、もういい。どの道、この場で水掛け論にしかならない議論などに意味はないだろう。早く私を殺したまえ────ただし、君も、ライくんもマリーも、フレイヤで消える」

 

すでに、シュナイゼルはこのダモクレスを自爆させる指示を機関のオペレーターに伝達している。

 

「君たちが消え、私も消える。世界は振り出しに戻り、あるいは次の平和がそこから生まれるかもしれないな。しかし、もはや私には無関係のことだ」

 

それに対し、モニターの中でルルーシュがククッと笑った。

 

『なんとも清々しいまでの空虚な内側じゃないか。そんな空虚(空っぽ)でよくここまで宰相が務められたものだ、と言っておこう。だからこそ、あなたに────』

 

と、その瞬間だった。

椅子に座っていたシュナイゼルの肩に、そっと手が置かれる。

 

「────!?」

 

シュナイゼルが、さすがに目の前のモニターから目をそらして、振り返る。

そして、その不敵と言っていいほどの悠然とした表情が、今度は完全に崩れた。

 

 

 

 

「だからこそ、あなたに────俺は、『ゼロに仕えよ』という言葉をプレゼントしよう」

 

 

そこに、ひとりの少年が立っていた。モニターに映っているものと全く同じ姿。彼の弟、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。

その両目は、赤く輝いている。黒の騎士団時代からの作戦参謀と、もうひとりの妹と同じ、忌まわしき棘と業の道を歩む運命となった、呪われた「王」の力。

ギアスの輝きを、宿していた。

 

「なに・・・!?」

 

「最後の最後で不覚を取ったな、シュナイゼル・エル・ブリタニア」

 

驚きを隠せない兄を見下しながら、ルルーシュが傲然と言い放った。

 

「君は・・・最初から、私を殺すのではなくっ・・・!?」

 

しかし、シュナイゼルの言葉と驚愕は、そこで途切れた。

瞳から羽撃く魔眼(ギアス)の光。

それがシュナイゼルの目に飛び込み、全ての意思を支配した。

 

「で、殿下っ・・・!!」

 

悲鳴にも似た声を挙げたのは、脱出艇に数人程度配備されていた警備兵たちによって取り押さえられたカノンだった。もちろん、その警備兵たちの目にもギアスをかけられた者特有の赤い光が宿っている。

 

「やっとその表情が完全に崩れたわね、シュナイゼルお兄さま────いいえ、シュナイゼル・エル・ブリタニア。陛下の予告通り、これで今度こそあなたの敗北です」

 

上がってきた後方のエレベーターから、ひとりの少女が悠然と進み出てくる。その後に続いてきたのは、もうひとりの少年だった。

 

「仮面の扱い(かけあいとばかしあい)なら誰にも負けないと驕っていたようですけどね・・・。生憎と、あなたが思っているほど僕たちは未熟な子供じゃないんですよ」

 

そこにいたふたりは、同じくモニターに映っているものと同じ、ライとマリーベル・メル・ブリタニアだった。

ふたりが愕然としたまま固まっているシュナイゼルに追い打ちの一言を浴びせるのを見て、懸命にカノンがもがくが、羽交い締めにした彼らの手はびくともしない。そしてカノンの横では、ディートハルトが床に組み伏せられていた。

 

「し、しまった・・・!!なぜ気づかなかったんだ!? シュナイゼルの思考を読んだ録画(・・・・・・・・・・・・・・・)だと・・・っ!!」

 

ディートハルトが、大仰に驚愕に表情を引き攣らせて叫んだ。

実際にはルルーシュは、ライとマリーベルと共にこの場に最初からいた。そこで3人はシュナイゼルの返答に合わせた自らの言葉を選び、同時に画面の映像を操作していた。そこであらかじめ録音していた言葉と映像とを重ねて、背後で駆け引きをしていたというわけだ。

 

「他の警備兵なら来ないわ。クルシェフスキー卿とソレイシィ卿、そしてキャピタル・アーミィとジット団の部隊がすでにこの艦を把握しているもの」

 

マリーベルが冷ややかな笑みを浮かべて、ディートハルトを見下しながらそう言った時、椅子に座っていたシュナイゼルが、すいと立ち上がった。

 

「────何なりと御命じください、ゼロ様」

 

そして、深々と、ルルーシュに向かって頭を下げた。

それに対し、ルルーシュは淡々と述べた。

 

「シュナイゼル。自分が殺されるという高慢(思い込み)が、あなたを敗北へ誘ったのだ。そして・・・これで計画の第一段階はクリアだ」

 

その時、パン! という乾いた銃声が室内に響いた。

ライとマリーベルがハッと振り返ると、ディートハルトが兵士に向かって発砲し、その拘束から強引に抜け出していたところだった。

 

「ぬうっ────動くなぁっ!!」

 

どうやら懐に銃を隠し持っていたらしい。それで床に取り押さえられていたところを一瞬の隙をついて反撃し、拘束から脱出したのだろう。

取り押さえていた兵士が声もなく崩れ落ち、その体をはねのけると、ディートハルトはすぐさま立ち上がり、ルルーシュに向けて銃を構えた。

恐怖と動揺にはげしく引きつった顔で、震えた腕で────。

 

「ゼ、ゼロ・・・!!お前の物語は、すでに完結している・・・!!お前は生きていてはいけない存在だっ────!!!」

 

無様な姿を晒すディートハルトを目にしてライは、思った。・・・見る影もないとは、よく言ったものだ、と。

出会った当初はブリタニア人でありながら黒の騎士団に入団してきて、「その時は、煮るなり焼くなりどうぞご自由に」と言い放つほど不敵さと余裕に満ち溢れていたのに。

まああのブラックリベリオン以来、秘密主義的単独行動が目立つようになったルルーシュだからこそ、それまである程度理解を示していたけれど不満に思うようになり、不信感を募らせていくのは当然のことだが。

でも、この男、いいや、この程度の小者さんりゅうに、盟友ルルーシュを否定する権利なんてない。そう思ったライは────。

 

────パキンッ!!

 

気がついた頃には、ライは腰に差していた騎士剣を勢いよく引き抜いていた。

その骨を断ち切る音の後、次にライの視界に入ってきたのは、血しぶきと、ディートハルトの拳銃を持つ右手首だった。

 

「ぐああああっ!!?」

 

ディートハルトは絶叫した。足元に転がる、銃を握ったままの自分の右手と、右腕の切り口から滴り落ちる鮮血に、恐怖と驚愕に目を見開き続ける。

ライは、騎士剣を手にしたままディートハルトをゆっくりと振り返った後、ディートハルトに向けてもう一発剣を振るった。

 

「があっ・・・!!!」

 

ドビシュッ!!と、ディートハルトの右肩から左脇腹にかけて、深々と剣による斬りつけが浴びせられる。ディートハルトの着ていた黒いジャケットとパンツは、あっという間に鮮血で真っ赤に染まった。

 

「ゲボッ・・・グッ。な、なんの、真似だ・・・!?」

 

口から血を溢れさせ、切り落とされた右手首を抑えながら、ディートハルトは愕然と赫怒が綯い交ぜになった表情でライを見据えた。

騎士剣を唸らせた後、ライはディートハルトを冷めきった眼差しで見据えた。

 

「心底見下げ果てた男になったな、ディートハルト・リート。いつからあんたはそんな腑抜けた三流役者になったんだ? 僕も情けない同僚を持ってしまったし、何よりルルーシュ陛下が本当に気の毒でならない。あんたみたいな無能者を使わなければならなくなったことにな」

 

苛烈で冷酷なライの言葉に、ディートハルトは痛みを通り越して激しい怒りに身を震わせた。

 

「ゼロ(ルルーシュ)の、七光りのくせに・・・何を偉そうな戯言を吐かす!?この、若造がぁっ!!」

 

「黙れこの道化がっ!!」

 

ディートハルトの苦し紛れの罵倒を、ライは魂からの一喝で相殺する。そして、騎士剣をディートハルトの鳩尾めがけて突き刺した。

 

「ゴブッ────グハッ!!?」 

 

肺を刺し貫かれるディートハルトだが、そこへさらに放たれた銃弾が、ライの肩のすぐ横をすり抜けて、ディートハルトの心臓を直撃する。

見ると、ルルーシュのそばにいたシュナイゼルが、険しい表情になって銃を引き抜き、ディートハルトめがけて発砲していた。

 

「残念だが、ディートハルト・リート・・・君は用済クビだ」

 

血飛沫がさらに飛び散る中、シュナイゼルが冷然とそう言い放ち、ライが剣を引き抜いたと共に、一気にズタボロにされたディートハルトが叫び声と共に再び倒れたところで。

 

「お前のような三流の道化如きに、俺の存在を否定する権利はない」

 

ルルーシュが、冷酷で傲然な眼差しを向けて言い放ち。

 

「あなたの役目はもう終わったわ、ディートハルト・リート。あなたの望みは決して叶わない・・・ルルーシュ陛下のおかげで、一時の夢を見られただけでも有り難く思いなさい」

 

マリーベルも、さらりと髪をかきあげて、冷酷で傲然なる一言を投げつける。

こうして、シュナイゼルに撃たれ、ルルーシュとマリーベルにも容赦ない言葉を浴びせられたことに、自らの流した血の海の中でディートハルトは驚愕と赫怒に目を大きく見開いたが、直後に恐怖と絶望がその表情を満たしていく。

一方、兵士に取り押さえられたままのカノンはそのマリーベルやルルーシュ、さらにライでもなく、銃を撃ったシュナイゼルを悲痛な眼差しで見つめていた。

 

「シュナイゼル殿下・・・。ご自身の命にすら執着がなかった方が・・・これが、ギアスの力・・・」

 

カノンが悲痛と恐怖に声を震わせる中、ディートハルトは最後の力を振り絞って、惨めたらしくもルルーシュにこう哀願した。

 

「ゼ、ゼロ・・・。せめて、最後は・・・ギアスを、私にも・・・」

 

「くだらんな。いつからそんな腑抜けになり下がった? ライの言う通り、俺も情けない駒を拾ってしまったものだ」

 

ルルーシュが、とどめの一言をこう投げつける。

 

「ディートハルト・リート。お前には、ギアスを使う価値もない。そしてあの世でせいぜい歓迎してもらえ・・・この世界に、お前を必要とする奴は誰ひとりとしていなく、お前が求める真実はなにひとつとして存在しない」

 

「・・・!!!」

 

ルルーシュのその言葉とどめに、ディートハルトは一瞬さらに大きく目を見開くと。

そのまま目を閉じて、動かなくなった。

 

「予想通り、興醒めな幕切れだったわね。ほら、ライ卿。あなたも見てみなさい?このどこまでも間抜けな死に顔を」

 

小馬鹿にした表情で、ディートハルトの死体をマリーベルが軽く足蹴にする中、ルルーシュはライを振り返った。

 

「かつて、螺旋王は自らの力を後世に語り継がせるために、ヴィラルを語り部に選んだ。本当だったら最後の情けとしてこの男にやらせてやろうかと思ったが・・・王留美にその役を任せることにしよう」

 

ルルーシュは、傍らに控えるシュナイゼルに向き直った。

 

「では、シュナイゼル。ダモクレスの自爆をすぐに解除してもらおうか」

 

「分かりました。自爆は私が緊急システムで停止させましょう。しかし、フレイヤの制御スイッチはナナリーが・・・」

 

「「「っ!!?」」」

 

ライも、マリーベルも、ルルーシュも、シュナイゼルのその一言に、心から驚かされた。

まさか、ナナリーがそこまでフレイヤに関わっているだなんて────。

 




あとがき
なんかスパロボYの方で白夜月虹影師と蜃気楼蛟という新機体が登場しましたがこちらで登場させられるかな・・・?多分次回でダモクレスでナナリーとの会話を行うと思いますが、その後にフジの決戦後編として先に扇やまだ生き残っているシュナイゼル連合軍の主力たちとの戦いをある程度終わらせてからオリジナルの結末を迎えようかなと考えてます。前々からフジの決戦の終わり方は決めていると言ってますがもしかしたら賛否両論になるかもしれないため原作を知っている人達は気をつけてくださいとしか言えません。無茶苦茶にならないように書き続けますが自分のやってみたいことをやりたいので変えるつもりはないので無理のない更新頻度でこれからも執筆をしていきます。それではまた次回もよろしくお願いします!!
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