ようやくプロローグが終わります。四話です。
前回のあらすじ
私、天裏ララ!キヴォトスすげぇ面白そう!
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アビドスって結構ヤバい奴に狙われてるんじゃね?
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せや、アビドス入ったろ!ユメパイセン、アビドスいーれーて
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ホルス「私は反対です」
「ちょーっと、私とお話しない?」
「動かないで」
私は何とかピンクの髪した幼女――ホシノちゃんに話し掛けてみるけれど、まぁ話が通じなさそうでムリそうだね。と言うか、この子、私のこと警戒し過ぎじゃない?私、何かしたっけ?
「ホシノちゃん!何してるの!?」
「ユメ先輩は黙っててください」
と言うか、こういう子って地球でも結構見たね。こういう子は自分のテリトリー――つまり、ホシノちゃんで言えばアビドスだね。アビドスを守る為にこうやって異物である私を警戒して威嚇する。
そういう子は大抵過去に何かしらがあった場合が多いんだよ。大人であれば、詐欺にあって借金した。とか、付き合ってた相手
――家族。または、それに類する存在を失うこと。
恐らく、ホシノちゃんもこれだろう。さて、もう少し思考を続けてみようか。確かに、彼女が警戒している理由は分かった。だが、何故私にこうして銃を押し付けているのかが分からない。
ここで私は一つカマを掛けてみることにする。
「そんなに大人のことが信用出来ないかな?ホシノちゃん」
そんな私の言葉にピクリと銃口が揺れる。どうやら当たりみたいだね。ユメさんとの話を盗み聞きされていたみたいだ。
「動揺したね。図星かな?」
「……うるさい」
私の煽りにそう言ったホシノちゃん。取り敢えず確認はまだ終わってない。そのまま、煽ってもいいが、撃たれて終わりだし、ここからは別のアプローチを仕掛けようかな?
「私みたいな『大人』には頼りたくないのかな?」
「当たり前でしょ!今まで私達が信じても、すぐに裏切って騙されて!いっつもそうだ……大人は自分の利益しか考えない……。それに、これは私達の問題。あなたには関係ない」
「そっか……」
ホシノちゃんの言葉にズキリと胸に痛みが走る。確かに、ホシノちゃんの言う通りで殆どの大人は得するか否かで動くかどうかの判断をする。
正直、何も言えない。だって、私達『大人』が悪いのだから。確かに、アビドスの問題に私は関係がないかもしれない。でも、だからと言って
「私が見捨てる理由にはならないよ」
「何を言ってるの?」
「私は何があっても君たち子どもの味方だよ」
「は?本当に何を言って――」
「今は信じなくてもいい。私がここにいる間は私のことを監視してもいいし、私のGPSも追跡してくれて構わないよ。これならどうかな?」
私が背中に突き刺さる視線を出来るだけ無視しながら言葉を言いきる。これで受け入れてくれれば良いんだけど……まぁ、難しそうかな?
しかし、私の一抹の不安はユメさんが振り払ってくれた。
「私からもお願いしたいな?」
「……ユメ先輩」
「ダメ……かな?」
わーお。もしかしてユメ先輩ってヒトたらし?ホシノちゃんも銃口ぷるぷる震わせて葛藤しているみたいだし、これは勝ちなのでは?ガハハ、今度こそ風呂入ってくる。あ、でもお湯ってあるのかな?まぁ、ないか。
そんな野暮ったいことを考えていると、背中に押し付けられていた物が下ろされるカチャッという音が鳴り、背中に解放感を感じる。まぁ、睨み続けられてるんですけどもね。
「分かりました。ただ、不審なことをしていたら直ぐに殺すから」
「分かった。それで構わないよ」
ふぅ……一先ずは大丈夫そうだね。ここで私は初めてホシノちゃんの顔を見るために振り返る。
薄い桃色の髪のショートカット。右目は金色、左目は青色のヘテロクロミアのすっごい可愛い美少女。まぁ、目付きが凄い悪いんだけどね。
そして、私は目線をホシノちゃんの顔から少し上に向けると同時に固まった。
「……ホルスの目」
「ん?ララちゃん何か言った?」
「……いえ、何も。これからよろしくね?ホシノちゃん」
「私はお前とよろしくするつもりはないから」
あら冷たい。
にしても、砂漠にホルスの目の
となると、ユメさん……いや、ユメ先輩はオシリス、ラー、イシスとかだろうか?もしユメ先輩がオシリスだったのなら……いや、ここは現実だ。一先ず、こんなろくでもない長考は後にしよう。それに、オシリスはホルスの父親なんだ。ユメ先輩な筈がない。
私が思考を脇に置いてユメ先輩に話し掛けようと振り向くと、丁度ユメ先輩が私に紙の束を渡すところだった。恐らく、入学関連の書類だろうね。
「ララちゃん。この書類渡しておくから書いといてくれる?」
「分かりました。直ぐに書き上げますね」
「よろしくね!じゃあ、ホシノちゃん。私は書類片付けてくるからララちゃんに学校案内よろしくね!」
「何で私が――」
「ララちゃんのこと見張るんでしょ?」
「む……」
「じゃ、よろしくねー」
ユメ先輩はホシノちゃんを言い負かして部屋から出ていった。そして、ユメ先輩と言う潤滑剤がいなくなったことで元から気まずい雰囲気が更に酷いことになる。
完全に凍りついた空気の中、私はユメ先輩から貰った書類を書き進める。日本語でいいのは楽だね。
今の私は住所も無ければ身分証明も出来ないし親族なんていない。の、ないない尽くし。そんなんだから、直ぐに書類は埋まって後はユメ先輩のサインと教師……はいないからユメ先輩のサインだけを貰えば終わりになった。
「ねぇ、ホシノちゃん」
「……なに」
「書類、書き終わったからユメ先輩に提出したいんだけど……」
「それで?」
「ホシノちゃんに案内して貰えないかなーって。後、ついでに校舎の案内して欲しいかな。って」
「……」
私がホシノちゃんに話し掛けると相変わらず冷たい反応が返ってくる。本当に警戒されてるなー。書類書いてる時もずっと睨んでたし……ちょっと怖かったのはここだけの話。
ホシノちゃんは無言で立ち上がると扉の前まで歩いていった。そして、扉の前で一度私に顔を向けるとそのまま出ていった。どうやら、ついてこいと言ってるみたいだね。最低限のコミュニケーションしか取ってくれなくて私悲しい。
ユメ先輩のいる生徒会室へ向かうまでの間、私達の間には通る部屋の名前を呼ぶホシノちゃんの声だけがあった。
私だって余りにも気まずかったし、少しでも打ち解けれればと話し掛けてみたけど睨みで一喝されちゃったんですよね。本当にホシノちゃんの過去に何があったんだろうか?
まぁ、一応推測は立ってる。
ホシノちゃんのヘイローはホルスの目。つまり、小ホルスに関わる宿命に近いものを与えられた可能性が高い。知らんけど。
まぁ、そうだと仮定しよう。そして、幼少期のホルスで家族に関わるものは父親であるオシリスが冥界へ向かったことだろうか?
ホルスの叔父であるセトに一度殺され蘇ったものの死者である事実を覆すことは出来ず冥界の神となったオシリス。このことから、もし彼女が本当にホルスの写し身だったのなら
私はこの仮説は殆ど合っていると考えている。理由としては些か薄いかもしれないが一応ある。それは、この学校の校章だ。
アビドスの校章は三角の中に円が書かれたもの。砂漠に三角と言えば地球に住んでいた私からすればピラミッドを表しているとしか思えない。そして円はエジプト、ピラミッドと分かれば、自ずとそれが太陽を示していると分かるだろう。
恐らく、ここはエジプト神話を元にした世界。もしくは、私という存在が認識出来る形で再現されている神話そのものであろうことは予想出来た。神話、それは親子による争いや裏切りから戦争などなど、あらゆる争いを背景にした残酷な歴史。
つまり、私が予想するにこの世界は地球みたいにのんびりほのぼのと暮らせるような世界ではなく、争いなんて当たり前(正解)。人の生き死になんて日常の世界なのだろう(場合による)。
この推測を立てた私は改めて決意する。
キヴォトスでは甘っちょろい考えは捨てて私の手が届く物だけは必ず守り抜く。そのつもりじゃないと――
――誰かが死ぬ
バチン
「……痛っ」
私の頭の中で何かが切り替わるような音がした。
バリバリバリバリィ!
刹那、私の頭に電流のような激しい痛みが迸る。
『――メせ――い!ユ――ん――!』
「っ!……これ、は?」
頭の痛みと共に洪水のように流れ込んでくる私が持っていない記憶。砂漠に血塗れで倒れ伏す薄い水色の髪を持った女性。そして、女性のすぐ側で声を掛け続ける桃色の髪の少女。
考えなくても分かる。これはユメ先輩とホシノちゃんだろう。そして、恐らくこれは未来の光景。
――バチバチバチ
それと同時に流れ込んでくる大量の情報。
空に浮かぶ巨大な戦艦。荒野と化した何処かの街。紅に染まったキヴォトス特有の円環が浮かぶ空。倒壊した建物に地を覆う屍の山。
キヴォトスを襲う終焉の数々が脳に流れ込んでくる。まるで、私が見てきたかのような光景だった。一体、どういう原理なのかを考察しようとした。
と、そんな時だった。
「着いた。ここが生徒会室」
「……あ、ありがとね。ホシノちゃん」
「外で待ってるから早く終わらせてきて」
「分かったよ。なるべく早く終わらせるから!」
ホシノちゃんに話し掛けられて、深い思考に潜り込む前に意識を切り替えて返事を返す。
相変わらず冷たいホシノちゃんにお礼を言って三回ノックして「うーん」と言う返事が返ってきたのを確認してから入る。
「ユメ先輩。書き終わりました…よ……は?」
「……すぅ……すぅ……」
あれ?さっき返事してたよね?何で寝てるのさ。え、もしかしてさっきの「うーん」って寝言!?そんな馬鹿なあり得る訳ないで……いや、ユメ先輩ならあり得る、のか?
ま、まぁ、その話は置いといて、取り敢えずユメ先輩を起こしますか。
「おーい、ユメせんぱーい。起きてくださーい」
「……んゅぅ……は!ふぁえ?ふぁらふぁん?どうひたの?」
ユメ先輩は大きく欠伸をしながらそう聞いてくる。
この人が生徒会長ってマジ?いくら存続危ういアビドスでももう少しまともな子はいないの?………………いないからユメ先輩なのか……。
私は目を擦っているユメ先輩に書類を渡して改めて要件を伝えた。ユメ先輩は意外と早く書類に目を通し終えると、引き出しの中からビニールに包まれた制服と一つの拳銃を取り出して私の前に置いてこう言った。
「確認しました。ようこそララちゃん。アビドス高校へ。私はあなたを歓迎します」
そう言ってユメ先輩はニッコリと人好きのする笑みを浮かべた。そして、私は名実ともにアビドス高等学校の一年生として二度目の青春のスタートを切るのだった。
さて!この素晴らしい世界を欲望の赴くまま存分に楽しもうじゃないか!!
――――――
ララがユメと話し終わるのを待っていたホシノは、先ほどの光景を思い出す。
生徒会室への道を先導していたホシノだったが、突如聞こえたララの呻き声に目を向けたのだったが、その時、ララは。
「あの女、さっきヘイローの目みたいなのが閉じてた。あいつは何者なの?」
ララの知らないところで、ホシノのララに対する警戒が更に高まっていた。
おまけ
名前:天裏ララ
所属:アビドス高等学校一年 アビドス生徒会役員生徒会長補佐
年齢:15(28)
誕生日:4/20(キヴォトスに来た日)
神秘:《未完なる全知の目》現在、過去、未来、分岐の先などありとあらゆる世界線の森羅万象あらゆる事象を見通すことが出来る目。子どもが持つには余りにも過ぎた力であるそれは、余りにも不完全で発動するタイミングも見える光景も何もかもがコントロール出来ない。
《????》
性格:好奇心の塊。未知を既知へ変えることを悦びとするヤバい奴。研究は睡眠や食事よりも優先度が高く、不健康な生活を送っている癖して、自分のことは棚にあげて他の子の健康を気遣うヤベェ奴。
何処ぞのアリウス生徒と同じで自分の身体は所詮は器だと考えているため、普通に自分の身体で研究のために薬や機械を埋め込むキチガイ。
外面は真面目な風に見えているが、中身は重度のアニメ、ゲーム大好きなオタクなため、割りと頭の中は愉快なことを考えている。
次回は月曜日
アンケートどん。
今回のアンケートは話の流れ的にはどれを選んでも変わりません。結末を大きく左右させるようなアンケートは先に告知するようにしますんでその時はよろしくお願いします。
ララちゃんは
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ゲヘナで観光する
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トリニティでお菓子を食べる
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ミレニアムでゲームする
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アビドスで書類仕事