お久しぶり、予告どおり今日から毎日投稿します。取り敢えずは、この戦いとエンディング直前までです。エンディング直前で一回アンケート取ります。そこから一週間置いてエンディング投稿し、そこから少し置いてから進みます。
「アカシア、砂嵐の中に空洞があってそこに皇帝とヘビがいる。角度は25秒後の位置から大体左に7度くらいで2キロ進んだ所がベスト」
『了解です、進路変更しました。戦況はどのような状況でしょうか?』
「言うまでもなく、ヘビの優勢。皇帝は徐々に押されて、もう三割はやられてる」
自身の瞳を幾何学模様に変じさせていたのから元に戻し、先ほど視た砂嵐の中の状況をララはアカシアへ伝える。アカシアはララの言葉を元に進路を確定させる。
『10秒後に砂嵐へ突入します。大きな揺れが来ると予想されます。各自、揺れに備えてください。10…9…8…』
「みんなー、シートベルト着けて手摺掴んでねー」
『7…』
「そんなに危険なのか?」
『6…』
「砂嵐ですからねー☆」
『5…』
「風とか凄く強いもんね!砂嵐に巻き込まれちゃうと周りが何も見えなくなって迷子になっちゃうんだよ!」
『4…』
「ユメ先輩は反省してください。貴女一回それで死にかけてるんですからね?」
アカシアの警告にララは座席に座る他のメンバーに注意を促す。緊張した面持ちでそれぞれが衝撃に備える。
『3…2……突入します』
「うお、揺れるねー」
「むっ……」
「「キャー!!」」
そして、車体が砂嵐に入ると同時に車内が揺れた。ガリガリと窓に叩き付けられて窓を削っているかのように勢いのある砂の雨が車内に響き渡り、余りにも強すぎる風が車体に襲い掛かる。
ところで、台風が来たら電車が止まるのは皆さんも知っていることだろう。では、何故電車が止まるのか?それは、至って単純。
「ララ!傾き始めてる!このままだとマズいぞ!脱線する!」
強すぎる風が車体を転覆させる程の力を持っているからだ。アズサの叫び声が車内に響き渡る。
「分かってる!予想はしてたけど、早すぎでしょ!アカシア!重力付加装置起動して!」
『重力付加装置起動します。車内左側に座られてるマスターとアズサさんは申し訳ありませんが、少し耐えて下さい。重力増加量は規定値のおよそ3倍です』
アカシアの言葉の直後、左側に座っていたアズサとララの身体がグンッと勢い良く地面へと向かって落ち始めた。
「くっ……」
「う、きっつー……」
「ララちゃん、アズサちゃん!だ、大丈夫!?」
「私は大丈夫です、少し身体が重くなっただけなので。アズサは大丈夫?」
「ああ、私も問題ない。少し驚いただけだ。直に慣れる」
アズサとララは加圧された重力に手摺を掴んで耐える。そして、数分が経過した頃には慣れたのか平然としていた。
「いやー、流石ヘイロー。三倍の重力もへっちゃらだ」
『マスター、慣れたところ申し訳ありませんが、もうそろそろで砂嵐を抜けます』
「マジか」
『マジです、3…2…1』
「ちょ、早すぎ!」
アカシアのカウントダウンに慌てるも、時既に遅し。今まで感じていた重力がフッと消えて、力んでいた身体が思いっきり前にぶっ飛んで顔面を目の前の座席にぶつける。
「痛ったぁ……」
「これは効くなっ……痛いぞ」
ララとアズサは二人して、目に涙を浮かべながらさすさすと鼻頭をさする。そして、二人は徐に窓の外を見る。二人の視線の先には、真っ白な機械でできた巨大蛇――ビナーがいた。
「あれが…ビナー…意外とカッコいいフォルムしてるね」
「本当に蛇のような見た目だな。だが、強そうだ。油断は出来ない」
「あの…ララちゃんもアズサちゃんもカイザーグループの人達がいるの忘れてない?」
「見えてないだけじゃないですかね☆」
ついでに、二人にはビナーの下にいるオートマタやら戦車やらで構成された特殊部隊は見えていないようだった。眼中に入ってないのだろう、弱すぎて。
「うわ、ミサイル乱射かー……それに、あの巨体だと体当たりでもキツイだろうね」
「そうだな、それに攻撃手段があれだけと言うことは考えにくい。他にも何かある筈だ」
二人は、窓から外の戦況を伺って敵の戦力を推測する。そして、遂にララはチラチラと映るカイザーの大規模部隊に目を向ける。
「うん、アレ邪魔だね。ちょっと片付けてくるから待ってて。と言うか、外出たらケガするからね」
「ちょっと、ララちゃん何するつもり?」
「えっと、普通にご挨拶をしようかと」
ララは重力から解放された身体の加減を確認して立ち上がる。止めに入ったユメの言葉にあっさりと返して、ララは通路に出てドアから外に向かう直前、振り返って口を開く。
「まぁ、多少過激なご挨拶ですけどね」
準備しといて下さいね。と言って、ララは三人の前から消えた。
「やーやー!皆さま、ご機嫌麗しゅう」
リニアから砂漠へと降り立ったララは、拳銃のサイレンサーを外して天へと向けて一発発砲して注目を集めると、そんなことを言う。
カイザーもビナーもシーンと静まり返り、ララに視線を集める。ララは両手を広げて揚々と語り出す。ララの言葉はこの静かな砂漠に良く響いた。
「君たちは、私達にとって大きな大きな障害だ」
「ゴミ同然と言っても構わない」
ララは目の前に集まるカイザーとビナーと言う排除すべき敵達を見下すようにして見渡す。
「だから、今日ここで纏めて処分することにしたよ」
刹那、目の前の敵達から膨れ上がるように殺気が溢れだし、ミサイルが砲弾が、銃弾が、ララへと向かって注がれる。
「今日の天気は生憎と砂嵐。録に前も見えない残念な天気さ」
だが、ララはまるで全ての攻撃が見えているかのようにステップを踏んで避ける。
「これから始まる戦いには余りにも相応しくない」
ララは右手を拳に握り変えて、人差し指のみを立てて天を指す。顔は獰猛なまでに笑顔を浮かべていた。
「今から降るのは雨さ!」
そのララの言葉と同時に、砂漠にキィィイイインッと言う航空機のエンジン音が聞こえてきた。
「爆弾の、いや――」
そして、フィールドのようにして上下左右四方八方を砂嵐で囲まれた空間に何十何百と言う爆撃機が現れる。「対空用意!」と言うカイザーのオートマタの檄や、ビナーが対空用のミサイルを発射させる。本来であれば、爆撃するために一度速度を落とす必要があり、その速度が落ちたところを狙う対空攻撃。だが、爆撃機の速度は一切落ちることなく突撃してくる。
「――爆撃機の雨、かな?」
地響き。何十何百と続いて立て続けに起こった爆発が、地面を揺らして砂漠の砂が捲れ上がる。阿鼻叫喚とばかりの悲鳴や絶叫が砂漠に響き渡り、更に砂嵐を破ってきた爆撃機がビナーやカイザーの軍へと突き刺さる。そんな広範囲の爆撃機による自爆特効での被害は甚大だった。
「やっぱり、ヘビは硬いね。皇帝は、脆かったみたいだけど」
所々に焦げた箇所はあれど、殆ど無傷のビナー。ビナーは反撃とばかりに、ミサイルを撃つ程の余力は全然ある。だが、問題はカイザーの方だった。
黒焦げになった戦車やオートマタからはバチバチとスパークや炎が迸り、周囲には焼け切れなかった穴だらけ炎を噴かして真っ黒になった爆撃機、クレーターなんて数えきれない程多く存在する。辺りには焦げ臭い臭いが充満し、黒煙がメラメラと立ち上っている。そんな地獄絵図とも呼べる砂漠で、既に動いているカイザーの者は一人一台としていなかった。
カイザーPMCが誇る最強の部隊デカグラマトン大隊は今ここに壊滅した。天裏ララの介入から、僅か10分にも満たない出来事だった。
「ナイス、アカシア」
『光栄です、マスター』
「これが、ララの戦い方なのか?」
ララがアカシアと会話をすると、プシューッと音を立てて扉が開き中からは完全武装のアズサが降りてきて、ララの隣に立つ。そして、ララは二人足りないことに気付く。
「あれ?ユメ先輩とノノミちゃんは?」
「あの二人は、この光景に見慣れていないだろうから、一旦眠らせてきた」
「……あぁ、そうだった。完全に私とアズサ基準で戦略立ててなぁ……。ごめん、ありがとう助かったよ」
アズサがユメとノノミを気絶させてきたようだ。それもその筈、普通の少女であれば、この地獄絵図を見て正気を保てる訳がない。普通のようにしているララとアズサの方がおかしいのである。リアルな戦場を経験しているララと、内乱の真っ只中にいたアズサ。この二人だから耐えれるのである。
「んじゃ、少し落ち着くまでは私達二人で頑張ろうか?蛇退治だよ、アズサ」
「ああ、任せろ」
二人は、銃を構えて突撃した。迎え撃つは、巨大な蛇ことビナー。ビナーがミサイルを放ち、ララの拳銃の銃弾が弾頭を狙い撃ち、二人に迫ることなく爆発する。
ここに、アビドス砂漠の支配を巡った戦いの火蓋が切って落とされた。
サラバ、カイザー。次に会うのは何時なんだろうね。
おまけ どうやってカイザーを戦場に引っ張り出したの?
黒服「今、ビナーが此方へと向かってきてますよ」
理事「そんなの、アビドスの連中に対処させればいいだろうが」
黒服「クックック、残念ですが、アビドスの方々は地下に逃げられてしまいましたよ。貴方もご存じでしょう?彼女らが地下に施設を作っていたのは。彼女らは地下にシェルターを作ったんですよ(ただの地下鉄の駅)」
理事「チッ、使えないガキどもめ!」
大体こんな感じ。黒服万歳。