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「ふぅ、こんなもので良いでしょう」
ベルは襲ってきた
ベルは縄で締め上げた
そんなヘルメス達とは対照的に、ベルはいい汗かいたなぁと若干輝いた顔で満足していると、空から声が降りてきた。
「ヘルメス様!」
右手に漆黒の兜を持ち、靴からはニ翼一対の羽を広げ、水色の髪に銀縁の眼鏡を掛けた理知的な雰囲気の女性が、その雰囲気とは正反対に切羽詰まった様子で空から降りてきた。
「良かった、ご無事でしたかヘルメス様! 私が持っているヘルメス様にお渡しした魔道具の番の魔道具が反応したのを見て急いで飛んできましたが、ご無事に何よりです!」
「おお! アスフィ、よく来てくれた! 念の為、救難信号を送ったんだが、敵にレベル4がいたから流石に無理だと思ったよ」
「レベル4ですか!? えっ、一体どうやって生き延びたんですか!?」
「まぁ、そこは彼が……」
そこで、眷属の1人が彼──ベルの方に目を向ける。それに釣られて他の眷属やヘルメス、アスフィもベルに目を向けた。
ベルは「ん?」とコテンと首を傾げる。
アスフィはまさか本当に?と思い、いやいやと顔を横に振る。ヘルメス達を見て、再度問う。
「こんな時に冗談を言うのはやめてくださいよ。あの子はどう見たって、5歳かそこらですよ? まさか、
「ただのヒューマンで、間違いなく5歳なんだよなぁ」
「……マジですか?」
「マジマジ」
「すぅ…………なんですかそれぇぇええええええええ!?」
天界にまで届くであろうアスフィの叫びは、されど誰にも届く事はなかった……
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「コホンッ、失礼、取り乱しました」
アスフィは少し頬を赤らめながら、咳払いをして話を戻す
「とりあえず、状況は理解しました。納得は少々しておりませんが……。それは兎も角、この
流石にかなり年下の子とは言え、君付けはレベルが高かったアスフィ。
ヘルメスはそんなアスフィを面白がりながら、アスフィが持っている兜を指差す。
「アスフィが持ってきてるソレ──『
「……門を通るだけなら姿を消す必要はないでしょう。わざわざ姿を消してまでベルの存在を隠そうとするのは何故ですか?」
「絶対にベル君の存在を知らせるわけにはいかないヤツが何人かいるからだ」
「……ヤツ?」
「まず、大前提にベルの存在を
アスフィ達は、ヘルメスの言葉の真意は読み取れずともその声と表情の真剣さから、事の重大さを認識した。
「オラリオが崩壊するとまではいかなくても、ヤバいのはチラホラいる。アポロンを筆頭とした美少年好きの男神達、アイツらはベル君を見つけたら即行で騒ぎ出すからアウト。それでフレイヤ様に見つかれば崩壊待ったなし。ということで、そいつらから間違いなくベル君の存在を秘匿しやすい力と名声を持っているのはロキの所しかない」
「まぁ、百歩譲って神ロキに所に連れて行くのは良いんですが、何故2年の間存在が知られてはいけないんですか?」
「残念ながら俺も詳しいことは分からない。何となく予想はつくが、
「だから、この『
「そういうことだ。だから、ベル君をロキのところに連れて行った後、お前に頼みがあるんだ、アスフィ」
「……ベルがすぐに身を隠せるような魔道具を作れということですか?」
「ああ、頼めるか?」
ヘルメスがいつになく優しい顔で言うもので、アスフィは少し面食らってしまった。アスフィは少し逡巡すると、ため息を吐いた。
「いつもはそんな風に聞かないくせに、何を一丁前に誠実ぶっているんですか殴りますよ?「えっ、理不尽」まぁ、やる事は
「エッ、それは……」
「良、い、で、す、ね?」
「……ハイ」
アスフィに笑顔の圧をかけられて肩を落とすヘルメスと、その様子を見て笑う眷属達とベル、「そうです、貴方はそれぐらいが貴方らしい」と誰にも聞こえない声で呟くアスフィ。
暗黒期と呼ばれるこの世の中でも、この7人の間には楽しさに満ち溢れた空気が広がっていた。