リメイク版:白兎は理想を抱え、幻想へと走る   作:幻桜ユウ

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第三話 ようこそ、【ロキ・ファミリア】へ

 

 

 

 

 

 ◾️◽️◾️◽️◾️

 

 

 

 「んで、ここにその少年を連れて来たっちゅうわけか」

 

 「ああ、どうかな?」

 

 

 オラリオ内、『黄昏の館』──【ロキ・ファミリア】の本拠地(ホーム)の客間にて、誰にも悟られてはならない会談が開かれていた。

 

 片方、【ヘルメス・ファミリア】から、神ヘルメス、副団長アスフィ、預かり少年ベルの3人。

 

 もう片方、【ロキ・ファミリア】から、神ロキ、団長フィン、副団長リヴェリア、先2人に並ぶ最古参ガレスの4人。

 

 その内、神ヘルメス、ベル、神ロキ、フィンが椅子に座り向かい合っていた。ちなみに、ベルはずっと『漆黒兜(ハデス・ヘッド)』をかぶっており、ずっと姿を見せておらず、神ヘルメス達視点からはベルのことが見えないので、アスフィがずっとベルの手を握っている。ベルの姿は見えないが、見えているなら姉弟のように見えなくもないだろう。

 

 閑話休題

 

 さて、別にこの会談特に一触即発の空気が流れているわけではない。しかし、神ロキにはある一つの疑問があった。ベルの目的はもう既に()()()から知っているし、手段は分からないがベルが()()に来れたことに疑問はない。

 

 だが、()()()()()()()()? 彼をそこまでさせる動機(こころ)は? 彼は一体、幻想(なに)を見ているのか? その疑問だけはロキの頭を悩ませてしょうがない。

 

 だから、ここで聞いてみるのだ。未だに自分達に姿を見せない『()()()()()()()()()()

 

 

 「ベル・クラネル。ジブンは一体、この先にどんな未来を描いとるんや?」

 

 「……ロキ様、僕が望むのは、()()()()()何も変わっていません」

 

 

 ベルはロキの目をしっかり見て、そして身につけているその兜を両手で外す。そして、()()()、その確かな眼をもって、確かな声をもって、ここに、神に、人に、世界に改めて宣誓する。

 

 

 「僕は、英雄になりたいです」

 

 『!』

 

 

 その揺れる白髪、覚悟を秘めた深紅(ルベライト)の瞳、神を前にしても強かなその笑顔。その姿に僅かに瞠目したフィンとガレスの2人。その2人は思い出した、遥か古き彼方に『彼』と意思を共にしたその記憶を。

 

 

 「良いね、さすがの気迫だよ。あの時は終ぞ会う事は叶わなかったがよくリュールゥ達から話は聞いていたよ」

 

 「やはり貴様は変わらんなぁ! その姿を変えてもなお変わらぬその大言、相変わらずだな!」

 

 

 フィンもガレスも笑う。いつかのように、楽しそうに。そんな様子を見て、ベルは少し呆けていたが、すぐにそう言うことかと納得した。

 

 

 「全く、やはり付いて来てたのかキミたち。この様子からすると、他にも来てそうだなこの暇人どもめ」

 

 「自ら多忙に突っ込んでいってる君に言われたくないなぁ。役目を終えた君が、再び役目を取りに行くのは最早気味が悪いぞ、この英雄主義者」

 

 「だが、それこそがこやつらしいとも言える。どれだけ弱くても、気味の悪さは誰にも負けなかったからな」

 

 「言いたい放題だなキミたち、それが戦友にかける言葉か?」

 

 

 急にとんでもない速度で同級生くらいの距離感になった3人組。この状況に置いて行かれた4人は目が点になって思考が【ウィン・フィンブルヴェトル】している。

 

 一通り笑った後、フィンは咳払いして場を整える。

 

 

 「さて、ロキ、()()()()僕はベルを歓迎するよ。ガレス、君はどうだい?」

 

 「皆まで言わずとも、賛成に決まっておる! これからどう変わっていくのか楽しみじゃ! のう、リヴェリア?」

 

 「ハァ、全く。急にどうしたんだお前達は? まぁ良い、私は元より賛成している。特に問題はない。この中で1番渋っているのはロキ、お前だけだからな」

 

 

 リヴェリアはそう締めくくり、ロキの方を見た。何やら、ぐぬぬと唸っているようだが、ここまでくれば残された道は一つしかない。

 

 ロキは諦めたように椅子の背もたれに身体をダランと預けて、降参するかのように右手を挙げてヒラヒラとさせる。

 

 

 「分かった分かった、ウチの負けや! こんなんどうしようもないわ、根っからの英雄気質め、()()()はこれを見抜いてたっちゅうわけか! かぁ──、ほんまに悔しすぎる──! 誰が分かんねんこんな『未知』!」

 

 

 まさに五体投地。ジタバタする様は、小柄な容姿も相まって駄々をこねる子供のよう。

 

 ロキは右手を自分の顔にかぶせ、その指の間から眼をのぞかせベルを見る。

 

 

 「……ええで、ここまで来たならもうやらなきゃあかん。ウチらをここまで引っ張って来たんや、気張れよベル・クラネル。もうホンマに何が起きるのか神ですら見通せんぞ」

 

 「はい、百も承知です。幻想(ユメ)を見た僕にできるのは、理想(イシ)を抱いて止まらず走り続けることだけですから」

 

 「……ハッ。ほんなら、見せてもらおか。ジブンの新たな『眷属の物語(ファミリア・ミィス)』を」

 

 

 ようこそベル・クラネル、この【ロキ・ファミリア】へ。

 

 

 

 

 

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