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「まっ、冗談よ」
「……ん?」
急に黒い笑顔を引っ込め、普通の笑顔に戻ったアイズ。
ベルはその変わり身の早さに置いてけぼりであった。
アイズは一回手を叩く。
「そう、それでね、今着々と古代の皆が集まっているでしょう?」
「まぁ、そうだな。今の所、私と君、ガレムス。あと、私は会う事はなかったが、フィンの4人だな」
ベルは一人ずつ名前を上げるたびに右手の指を開いていく。
アイズはベルの回答にうんうんと頷くと、ベルに近づきその右手に両手を添える。
「少なくともオルナ、フィーナ、エルミナさん、ユーリさん、クロッゾさんはこのオラリオに居ないみたい。私もオラリオ全域を見回ったわけじゃないから、あまり確かな事は言えないけど」
「なるほどな」
まぁ、それはそうだろう。
他みんなは兎も角、前から竜の谷に行って定期的に竜種を倒していたから獣人部族は壊滅してないはずだから、ベートは尚更オラリオには来ないだろう。
ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアはどちらも壊滅し、竜の谷の番人を担えるのがかなり激減した。
今では、僕とレベル7冒険者2人で倒している。ちなみに、僕はオラリオに来ているので、竜の谷は2人に丸投げしておいた。
「でもね、少なくとも4人見つけたわ」
「……4人? そんなにいるのか?」
待て待て、あと僕が知っているのはリュールゥくらいだぞ。後は誰がいるんだ?
「まず、
「あっはい」
アイズの微妙に刺してくる発言にヒヤヒヤしながら、その挙げられた名前を思い返す。
なるほど、フィアナという事はコーマック王国か。リュールゥから聞いた話によると、アルキティーネがコーマック王の正統な後継者だったか。どの国でも事情は違えど形は似たようなものだな……
「リューは【アストレア・ファミリア】に、リリルカは【ソーマ・ファミリア】に、ラウルとアナキティはどちらも【ロキ・ファミリア】にいるわ。折角だし会いに行きましょう?」
「いや、今僕は迂闊に外には出れなくて……」
今の僕は表舞台に出ることができない。理由は多々あるが、共通して言えるのは今この時点で僕の存在が広まってしまうと不都合しかないからである。
不都合というのはあくまで僕にとってであり、起きた不都合によって特にヤバいことが起きるわけじゃない。うん。多分。フレイヤ様が自制してくれるなら……。
ほんとに、フレイヤ様だけどうにかなれば問題ない! アポロン様とかは良いんだけど、フレイヤ様だけはマズい! あの
あの全自動デレ堕ち恋愛初心者め! 引き金は軽いのに引いた結果が核爆弾が放たれるのと同義だよやめてください!?
しかも一番ヤバいのは、今の僕に魅了に抗う手段が無いのだ。
【
ヘスティア様の眷属でもないから、【
フレイヤ様に魅了されても、僕は黒龍を倒せてしまうから、
あれ、見つかったら
今更ながら大分危険な綱渡りしてるんだな僕……。
「そっか、それなら仕方ないですね。じゃあ、ラウルとアナキティに会うだけにしましょうか」
「あっ、そこは譲れないのね」
「そうよ、今の私達に大事なのは仲間なんだから。折角貴方のおかげで楽しくなりそうなんだもの。やっぱり役者は多い方が良いわよね?」
器用にウインクするアイズ。中々なお茶目っぷりだな、このお転婆姫は。
ベルは軽くため息を吐き、諦めたように
「そうだな! とびっきりの『喜劇』にはみんなの協力が必要だな!」
そうだ。どちらにせよ、『幻想』を実現するのは僕だけでは無理だ。
だから今、僕は、僕自身の存在をかけて、ここにいるのだから。
何も取りこぼさない。
何も失わない。
誰も悲しむことがないように。
僕は、僕の
行こう。
これは、『最後の英雄』が望んだ『終わりの先の物語』。