オーグメントと青春   作:鳥鍋

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アンケートの意見はだいぶ参考になります

それとシン仮面ライダー要素書けてる?プラーナネルとSHOCKERの言及くらい?


仮面と刃

 

キヴォトスで混乱が巻き起こっている。不良生徒が犯行を重ねて、学園施設の幾つかが停止し、違法武器の流通が増加しているとの事だ。その原因は後で判明したがキヴォトスを統制する連邦生徒会長の失踪に依る物らしい。その情勢に何もしないアリウスでは無く、混乱に乗じて各地に襲撃を行っていた。

 

ある学園では深夜にインフラを破壊し、別の学校では武器弾薬を奪い物資を確保した。ある時はゲリラ戦で、またある時は敵地に潜入し主要施設で工作を実行した。その作戦等で特に活躍したのは、アリウススクワッドと呼ばれる小隊と食客として居座る獣の仮面の戦士だった。

 

───

 

「シッ!」

 

ライフルを向けた生徒の一人の脇腹に刃が触れ、微かに青く光る。続けざまに二人、三人と横から銃を向ける間も無く切り付けた。彼女らの向かって左側で残心する様刃を振るえば、切られた側から順番に銃を落とし力無く倒れた。無力化を確認したガスマスクの生徒達は撃ち方を止めて別の場所に移動する。それに合わせて下手人は通信機を取り出し、何を聞いたかどこかに音も無く走って行った。その後にはそこら中に響いた銃声が止み、撤収するガスマスク達の姿があった。

 

ジャガーオーグはこの作戦に既視感を覚えている。最初の襲撃任務もそうだが十字攻撃や後方部隊の鎮圧、同僚と組んだ時の作戦とほぼ同じだ。自分の戦闘スタイル的にこれが一番だしそれ自体不満は無い。むしろ矢面に立って侍の様切り伏せるのは耐久力に不安がある。ヘイローを持つ者より銃撃に強く耐えられる自信は無いし、同僚のやり方を猿真似しても自分に合わないだろう。仮にそれらしい不満があるとするならば、そこそこ以上の強者がいない事だ。美甘ネル以下でもニ、三合は切り結ぶ、と行かなくとも一撃で仕留められない相手が欲しい。でないとかつての真の強者に出会った時に、錆び付いたままの刃と技で立ち向かいへし折られる事になる。

 

≪そういうの会う方法知らない?≫

≪知らねぇ、適当に暴れてろよ≫

≪最強同士たまに会わないの?手合わせとか≫

≪マンガじゃねぇんだよ!≫

 

適当な遮蔽物だった物に座ってマスクに問い掛けても役立つ事は聞けない。そもそも頻繁に他の学園の生徒同士が戦う方が異常事態、実力を知らない方が健全だろう。そうなってもおかしくない混乱が進行形で起きているが。

 

≪今頃元の君も忙しそうだね≫

≪ミレニアムに来やがれ、C&C(あたしら)がぶちのめしてやんよ≫

≪本気のネルちゃんはちょっと楽しみかな≫

 

殺し合いにならない程度に、は贅沢だが考える程心躍る。命のやり取りや血飛沫とも関係ない『楽しい』で収まる一方的で無い戦いもいつかしてみたい物だ。

 

≪……あんたはめんどくせぇからダメだ≫

≪えー…≫

 

───

 

また別の任務だ。いつも通りに相手の生徒に不意打ちを仕掛け、オートマタは遠慮無く唐竹割りにすればいい。プラーナの(こも)って無い大型兵器との戦闘は課題だと思いながら刃を布で拭う。

 

「ジャガーオーグ、作戦時間だ」

「はいはい、すぐ行くよ」

「返事は『了解』だ」

「…」

 

『必要以上の会話』は禁止されているので口答えできないのがつまらない。仕方無いので気分を入れ換え刃を仕舞う。時間は日没前、作戦概要は幾つかの小隊に分かれ交戦、その隙を狙い側面や背面を自分が狙う。トリニティからクルセイダー戦車が貸し出された情報もあるから注意。不測の事態においては隊長のサオリが冷静に判断し、対応を行う。

例えば、たった今突入した直後にヘルメット団が乱入して自分達とぶつかった場合だ。

 

「どうする?」

「後退しろ!挟み撃ちになるな!」

「ボクは?」

「待機だ!大軍を相手できるか!」

「先に入って行ったお面の子は?取られるよ?」

「何?!……先行しろ、物資の奪取及び破壊を防げ」

「りょーかい」

 

軽快に走り、遠目で見た黒い和服の少女と同じ経路を辿る。単純に考えて向かうべき場所は資材置場か倉庫か、匂いを嗅いで進む事もできる。ともかく走って追い付きプラーナを奪えば終わり、ただし自分の様に単体でも戦力に自信がある場合を除いてだが。

と考えて曲がり角を曲がろうとしたのがいけなかった。一歩踏み出した途端に銃声が聞こえ、咄嗟に刃で防ぐ。それが連射に切り替わり、胴体を蜂の巣にされる寸前斜め前に飛び付く。すれ違いざまに相手の左脇腹に刃を振るうが、布地と肌を切り裂く感触は無く甲高い金属音が響くのみ。手持ちのライフルで右腕の刃を防いだままの体勢でジャガーのマスクと狐の面が数秒見つめ合う。

 

「狐さん、ちょっと一緒に遊ばない?」

「野良猫に構う暇などありません」

「ジャガーだよ!」

 

スッと後ろに刃を引いてから、左足で足払いしてなぎ払う。小手先に引っ掛かる相手ではなく、狐面は後ろに跳びこちらに何かを投げつけた。

 

「危なっ!」

 

カランと軽い音と共に落ちたそれから逃げるよう元の曲がり角に跳んで戻る。角に丁度隠れたタイミングで聞き慣れた爆発音が轟いた。慎重に覗いてみれば黒焦げの壁と床以外何も残っていない。爆薬や硝煙の匂いが邪魔だが彼女が逃げた方向にジャガーは走り出した。

 

───

 

倉庫前に狐面の彼女が立っていた。どこかから持ってきたのか電子機器の張り付いた箱をその扉に接着させる。そしてリモコンの様な物のスイッチを押し、爆風と共に綺麗に割れて吹き飛んだ。そこで仕事を終えたかの様に振り向いて、立ち去る直前におもむろに発砲した。着弾はしたらしいが、返ってきたのは高い金属音だけだった。

 

「…仕事早いね、凄いよ君」

「世辞は結構、去りなさい」

「そうは問屋が卸さないってね」

 

銃剣とブレード、二つの切っ先が向けられ互いを外さない。両者の表情は見えないが視線はただ真っ直ぐ、打ち倒すべき大敵を見据えていた。

 

≪どう見る?≫

≪手抜けるヤツじゃねぇなアレ≫

「…シッ!」

 

唐突に地面を蹴り進んだのはジャガー、右腕の刃でみぞおちを突き刺す直前に正面からマズルフラッシュを感じ、左のガントレットで防ぐが視界を自ら塞いでしまう。腕の甲に衝撃が走ったと思えば左肩にも重い一撃がぶつかり、気付けば元の位置に狐面はいない。咄嗟に振り向けば彼女は頭や心臓、足など急所を狙って撃ち、捉えられ無いよう移動し続けている。瞬間スピードはジャガーが有利だが、直線的な動きで狐面には触れられない。射撃の中で一拍おいて撃たれる弾丸も通常より重く、急所に当たれば大ダメージは避けられ無いので油断できない。なれば先程よろしく斜めに走り出し、切り裂く様に右腕を突き出す。繰り返しと見た狐面は再び銃を盾にするが、刃は突如仕舞われ広がった左腕が目前に近づく。すなわちラリアットを銃で受け止めるのは間に合ったが、力では負けて体勢が崩れる。

 

≪近接戦は鍛えたからね!≫

≪だからってあたしに勝てると思うなよ?≫

 

目線が下になった相手の首筋に右の刃を向けた所で戦いの喧騒が急に止んだ。殺す気なら刃を進めればいい。叩き伏せる事も出来るはず。条件が一方的な話であればだが。

 

「引き分け…かな」

「……」

 

狐面の左手はジャガーの喉に外された銃剣を向けていた。ただの刃物で死ぬオーグメントで無いが、急所はその限りでは無い。ましてや自分と互角に渡り合った相手の技なら切り裂く事も可能だろう。事態が膠着した以上どちらかの援軍を待つ事になった。

緊張感の中で20数えた頃だろうか。ジャガーの背後から二人程の足音と気配を感じる。

 

「ジャガーオーグ!」

「サオリさん!状況は?」

「撤退!トリニティから援軍が到着、両軍が攻撃された!」

「はいはい、了解!仕事が早いね!」

 

狐面に向けた刃を仕舞い、彼女から視線を外さずサオリとアツコの方まで後退した。

 

「またね、狐さん!」

 

物資に手を付けないまま三人は去って行った。取り残された狐面も物資奪取はままならないと考えて、通信機から撤退命令を出すのであった。

 

───

 

「と言う訳で、邪魔して来たのは七囚人の一人、狐坂ワカモだから失敗はお咎め無しで頼むよ」

「何故貴方が勝手に生徒の処遇を決めるのですか」

「ボクが苦戦した、失敗は仕方無い、でしょ?」

 

ベアトリーチェへの報告でサオリを遮る様、勝手に賞罰の交渉を始めたジャガーオーグに彼女は指と口元をひくひく動かす。

 

「そもそも生徒との必要以上の会話は禁じました。下がりなさい、これ以上は処罰に当たります」

「マダムさんは関係ないでしょ?生徒じゃないし」

「いいえ、支配者である生徒会長です」

「そこは校長か理事長にしようよ…」

 

げんなりした態度を隠さず吐き捨てる。生徒会長に何の価値があるんだとこだわる理由が分からない。

 

≪知らねぇのか、生徒会長は権力あるんだよ≫

≪先生方いないの?≫

≪BDあるから要らねぇ≫

 

支配者として都合がいい立場なのは納得した。それは置いといて話を続けようと手を挙げた。

 

「はい!質問いいかな?」

「……良いでしょう」

「ぶっちゃけ今の戦力で単騎でボク以上のヤツに勝てる?」

「戦闘を有利に進める為の戦略や戦術を備えれば問題ありません」

「唐突に七囚人がダース単位で出て来ても?」

≪12人だろそれ……≫

「……独断行動は許しません。その為にスクワッドと作戦を共有する事を命じたのですから」

「作戦の範囲なら好きにしてもOKって事?」

「それならば構いません」

「そっか、もう下がるよ、皆のお咎めは無しでよろしくー」

 

言うだけ言って呑気な足取りで部屋から出て行った。最近は任務が多いのでいちいち預けるブレードを持ったままだったのを注意する者は誰もいなかった。

 

「生徒って歳かよ…マダムなのに…」

 

その愚痴を聞く者もいなかった。強者との楽しい時間が台無しだった。




一対一の戦闘描写難しい
これからのジャガーの戦いが不安になりそう

アリウス生徒は戦闘後の報告書はどれだけ書けそう?

  • 学習してないから無理
  • そもそも報告書を書かなくていい
  • 小学生の作文レベルで書ける
  • 新卒社員レベルで書ける
  • しっかりした報告書を書ける
  • その他は感想で意見をどうぞ
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