オーグメントと青春   作:鳥鍋

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次回、コラボ回投稿

今回で原作の流れが多少変わる…かもしれない?


大人の幸せ

 

「ふぅ、いい運動した…」

「お前がいい所全部持っていっただけじゃないか」

 

風紀委員達とショットガンを抱えたジャガーはゲヘナ学園への帰路に着いていた。斬り込み隊長と獣の食客の八面六臂の活躍で不良やヘルメット達がお縄に掛けられ成果は上々。委員達も心なしか浮き足立っていた。

 

「にしても戦い方が報告と違ったな」

「報告?」

「ブレードはこちらで預かっているとしても、叫びながらショットガンを撃って敵を叩き潰したのは正義実現委員会の剣先ツルギと同じだ。何故似ている?」

「せっかくだからマネしてみただけ。調印式でぶつかったし。それよりブレードはまだ戻らない?」

「盗聴機の入った武器など渡さない。アリウスからゲヘナへのスパイ行為を私達が見過ごす物か!」

「あー、修理に出した時か…。文句はベアトリーチェと聖園ミカちゃんに言ってくれる?それに盗聴機だけで良かった、爆弾とか後は…露骨な物は流石に気付くかな」

 

話している内に校門をくぐり抜ける、その直前にイオリが「げっ」と一言嫌な物を見たような態度で足を止めた。

 

「やぁ、イオリ。パトロールお疲れ様」

「来てたのか、先生」

 

ジャガーオーグはイオリに声を掛けた人物を外見で知っている。ネル以外のプラーナ達も同じく反応した。

 

「シャーレの、先生?」

「先生、何しに来たの?」

「人を探していたんだ。ヒナがイオリと一緒にパトロールしているって言ってたから」

「…それってもしかして」

 

先生はスマホを出して二人に画面を向けた。

 

『Fuck you Beatrice!!』

 

「この動画について聞きたい事があるんだ」

 

───

 

風紀委員会の本部にて机の上座に先生、下座にジャガーとヒナとイオリが緊張感の漂う空気の中で気軽に、あるいは姿勢を正していた。

 

「先生、その、用件は……?」

「どう考えてもボク、だよね。おおかたアリウスの事でも知りたいのかな?それとも敵だったのが何でのうのうと雇われて過ごしているか?」

 

ヒナが少ししどろもどろになりながら、ジャガーオーグは先生を複雑そうに見つめ予想を語る。

 

「君は何者?どうしてアリウスにいたの?」

「そうだな、順番に答える。だからこっちの質問にも答えてくれるかな」

 

先生は目の前の相手を知るべく手始めの質問をして、ジャガーの申し出にも頷き了承した。

 

「改めてボクはジャガー、元々別の組織にいたけど気付いたらアリウスの自治区にいて拾われた。戦ったのは一宿の恩?立場上便利だから食客を名乗る事にしたよ」

「……ここまで来て別の組織とか初耳なんだが」

「その辺ややこしいから置いといて重要なのはそこで何をしたか、でしょ?」

 

イオリの追及を押し止めて続きを話せるか確認する。

 

「そこで訓練…は少しサボったけど任務は断らずに参加した。物資略奪、破壊行為、そしてエデン条約…雇われたからそうしただけって言うには無理があるかな」

「ふん、情報提供と対アリウスの対抗手段として雇われた事をありがたく思え!」

「まぁ、そういう事。アリウスの中の様子は知ってる限り伝えたし、アリウススクワッド、あなたを殺しかけた人達の目的も共有していた」

「目的?共有?」

 

自分の悪業や知っている情報を軽く語り、イオリが釘を刺す。先生はスクワッドの話題について注目した。

 

「それなりに戦えるからスクワッドと任務をした、多分ボク自身のお目付け役も含めて。それで条約の調印を奪ったけれど…正直骨折り損」

「どういう事?」

「そうだな…スクワッドはETOを奪って復讐するってお題目だったけど、成功したところで…キヴォトス全土に消されるよね。あの聖徒会はゲヘナとトリニティ以外攻撃しないし。それに幸せって言っただけで凄く睨まれるような場所に未来の希望とか将来なんて…天下統一って冗談で言ったら『何言ってんだ』って顔された」

「つまり、アリウスはただ条約を奪う為だけに二校を攻撃した?」

 

ある程度彼女に説明したといえ、ヒナの確認を皮切りに話題を変える。

 

「そしてここからが本題。その命令、いやアリウスに思想を刷り込み、生徒を劣悪な環境に置いて夢も希望も無いただの手駒にして、あのミサイルを用意した全ての元凶がいる」

「それが……動画で言っていた……」

「あの動画は生存報告と今までの鬱憤も込めて投稿した。そう、茹でダコ頭の『ベアトリーチェ』」

 

ジャガーオーグが机に伏せていた紙切れを裏返すと、バランスは完璧ではないが特徴を捉えた、要するに絵の上手い小学生レベルのベアトリーチェの似顔絵と全身図が描かれていた。

 

───

 

「なんか無駄に高圧的でボクも警戒していた」

「隙あらばスクワッドや生徒を使ってボクを懲罰するか殺そうとしてたよ」

「あれはボクの嫌いなタイプの上司、殺したらスッキリするかも」

「給料も楽しみも何も無かった、福利厚生の無い場所でやってられるかっての」

 

───

 

「彼女の人柄はそれ位、何をしたいか知らないけど崇高を求めているとか大人の義務がどうとか。あとは分からない」

「そうか、ありがとう」

 

先生はジャガーオーグの説明を無言で聞き、その目に強い感情を抱いている様に見えた。その意志の強さに既視感を覚え、かつての宿敵を思い出した。

 

「じゃあこっちも質問するよ」

「どうぞ」

「シャーレの先生、あなたは全ての生徒の味方って言ったのは本当?」

「その通りだよ」

「自分を殺そうとした相手でも?」

「事情があるのなら助けるよ」

「ベアトリーチェをどう思う?」

「アリウスの事を主導したのが大人である彼女なら、全力で敵対する」

「その理屈だと、ボクはどうなる?生徒ではなく大人と呼ぶには組織にいい様にされて、アリウスに雇われる前も後も人を傷付けたボクは?」

「……分かっていてやった事ならその償いはするべきだと思う。それが傷付けた人の為にも、君の為にもなる」

「…取り返しの付かない事も多いけど、幸せに繋がるなら。先生、あなたの幸せは何?」

「生徒のみんなが、希望を持って幸せに生きていける様にすること。それを守る事が大人の責任だからね」

 

ジャガーは先生の意志と幸せを知った。そして安堵した。シャーレ、それに繋がる連邦生徒会にいきなり目の敵にされなかった事を。

 

「そっか…責任か。イオリちゃんの足を舐めたとか変な噂は聞いたけど凄い大人だと思うよ」

「な!おい、その話をするな!」

「え、ウソ?!マジで?」

 

イオリは恥ずかしそうに声を荒らげ、先生は顔色を変えた。その状況にヒナはため息を吐いた。

 

「えー…」

 

───

 

「もしもサオリさんに会ったら言って欲しいんだ。『退職金を手伝って』ってね。それと、『"IF YOU WANT TO BE"?』」

「『"HAPPY,BE."』君がアズサ達に伝えた言葉だね。覚えておくよ」

 

先生にそう言い残してお開きになった後、ジャガーオーグは自室のベッドで横になっていた。

 

「あれが先生か…足の件本当だったんだ…」

≪大人ってのは無茶な事言い出すんだな≫

≪ひ、久しぶりの先生、はわわわわ……≫

≪先生は必死だったから恥を忍んでそうした、らしい≫

 

プラーナ達の声を聞きながらその人柄について振り返る。自分に危害を加えた相手を含め生徒であれば大人の責任の元、全力で助け支えようとする。それでいてあの眼差(まなざ)しならば、地獄を作り生徒を虐げた相手には真っ向からぶつかるだろう。アリウスに雇われながら自分の思想を変えず都合のいい立場に居座り、それ故にスクワッド達と深く分かり合えなかった自分と大違い。その時が来ればアリウスが変わる、そんな気がする。

 

≪そうやってあの人はアビドスを、小鳥遊ホシノを救ってみせた。大人として、カイザーコーポレーションの悪意を対策委員会と共に払いのけて≫

 

実績もあるならこの見込みも間違い無いのかもしれない。仮面ライダーが絶望と歪みを叩き潰すなら、先生はそれらを生徒と共に背負い乗り越える。それがキヴォトスに求められる『大人』だ。

 

「それにしても…」

 

先生と対面して違和感と言うかむずむずする事があった。プラーナ的な感覚で、何と言うべきか。

 

「…まぁいいか」

 

ジャガーはマスクを外し、自分の幸せを考える事にした。子供のまま憎しみで時の止まった、□□と共に至れなかった大人としての幸せを。




先生の思想ってこんな感じ?意外と難しい

修行回があるとしてどれだけ書いて欲しい?

  • ダイジェストで要点だけ
  • 誰にどう鍛えられたか丁寧に
  • その他は感想でどうぞ
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