オーグメントと青春   作:鳥鍋

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アリウスらしい戦闘描写とキャラ再現はできていますか?


襲撃任務

 

「情報部の特徴と照らし合わせて侵入したのはティーパーティー?のパテル派代表、聖園ミカ。その気になれば和解とかできそうな立場、だってさ」

「それが使いを出す訳でもなくわざわざ寝ぼけた事を言いに来た者ですか」

「複雑な道を迷わず来たんだ、ボク以上にただ者じゃないよ」

 

顔を覆い隠す異形達がステンドグラスの元で報告と情報交換を再び行っていた。ただ者ではないの部分で相手が少し反応したのがジャガーオーグには気になった。

 

「警備体制とカタコンベの経路を見直す必要がありそうですね」

「その辺は知らないから下がっていい?」

「待ちなさい、ミレニアムに行く前の約束を果たしていません」

「何だっけ…バイクとベルト?」

「説明出来ないのですか?私に貢献しない者はアリウスに不要です」

 

この情報交換には何人もの武装したアリウス生が同席していた。彼に否と言わせて逃げられない様にする為だろう。ガスマスク越しの無機質な視線はSHOCKERの構成員よりも冷たく感じる。

 

「そうじゃなくて…感覚的な話交えるけどそれでもいい?」

「ふむ……続けなさい」

 

多少空気感を緩和させて、わざとらしく咳払いをして話始めた。

 

「ベルトの正式名は忘れた。けどオーグメントのエネルギーに関連する装備。ボクの試作型よりそっちの量産型の方が構造が分かりやすいと思うよ?」

「エネルギーとは?」

「SHOCKERではプラーナって呼んでる。空気中の微生物とか他の生物のエネルギーみたいな感じ?ジャガーとかバッタのプラーナを人に組み込んでジャガーオーグとかバッタオーグになる、いつでも空気中から吸えるから腹減らない、ってトコかな」

「貴方が食糧を食べようとしないのもプラーナがあるからですか」

「そうだよ。機械改造もあるからその辺単純じゃないけど…後は科学者じゃないから知らない、そっちで調べて」

「そうですか……、人間にもそれが存在すると言う事ですか」

「あー、うん、あるけどそれが?」

「あえて言うなれば……儀式の補助程度にはなるでしょう」

「儀式?…まぁいいや、こっちも聞いていい?」

 

急にオカルトめいた話になって馬鹿馬鹿しくなったが、これだけ質問して帰る事にした。

 

「何でしょう」

「今更だけどアリウス(ここ)SHOCKER(ボク)って相性悪いかなって」

「それがどうしたのですか」

「いや、SHOCKERの方針言ったでしょ?幸せの為に仕事するボクとトリニティ憎しの教育で馴染めて無いよね」

「それが何だと言うのです。貴方も生徒も私の命令に従えばいい。相性など関係ありません。それと幸福などとふざけた事は生徒達の前で話さない様にしなさい」

「あ、そう?ボクを集団行動させたいなら気を付けて。今日は帰る」

 

回れ右で足早に部屋に帰ろうとしたが、背後から待ったが掛かる。

 

「待ちなさい。貴方の欲しがった仕事があります」

「技術に関してネタ切れだよ?」

「いいえ」

 

ベアトリーチェが扇子を指揮する様に動かし、控えていたアリウス生の一人が箱を抱えて此方に歩く。

 

「SHOCKERのオーグメントとしての実力を使いなさい」

 

箱の蓋を開けると、鞘でもある甲の部分が長いガントレットが二つ、交互に入っていた。

 

───

 

新しい任務が言い渡された。内容はトリニティ系列の中規模な学園の物資奪取並びに警備オートマタや生徒の無力化。実行時間は夜間。スクワッドメンバーとアリウス生数人が参加し、そこに自分も組み込まれた。その前に多少のミーティングが行われる。

 

「要するに君達は正面から戦って、ボクとサオリさんで侵入して後ろからドン!だね。同僚とやったよソレ」

「同僚?」

 

ヒヨリに聞かれたので少しオーバーに答える。

 

「ソイツもオーグメント。バズーカぶっぱなす軍人みたいにウザくて厳しい奴。ここに来てたらもっと厳しくなったんじゃない?」

「この前は一発も当てられ無かったのに……そんなすごい人がもう一人?……うわぁぁん!今度こそ姫ちゃん以上にバラバラにされちゃいます?!」

「……ヒヨリ」

「はっ、ご、ごめんなさい……リーダー」

 

ふざけ過ぎたと言うかおふざけが延焼して邪魔になったらしい。

 

「ボクもごめん。そいつ自爆したからそんな事にはならないよ。多分」

「多分って何ですか?!」

「それより目的は物資だよね?運ぶ手段とか時間制限も考えてる?」

「警備人数と輸送ルートは把握済みだ。敵を排除する事だけ考えろ」

「了解。スパッと終わらせよう」

 

右手のガントレットの刃を半分伸ばした。と同時に何か引っ掛かった。よく見ると帽子のひさしが刃先に刺さってる。その持ち主のヒヨリは頭に手を当てていた。

 

「あっ…、ごめん」

「うわぁぁん!!」

 

───

 

時刻は午後11時台、空のヘイローのみ輝く中、二つの地点で待機する戦力があった。それに気付いたのは不意に意思なき彼等が横から衝撃を感じた時だった。

 

「作戦開始」

『了解』

 

一つは巡回していたオートマタに向けて射撃を開始したガスマスクのゲリラ達。遮蔽物を使い、時には狙撃爆撃で次々無力化する。

 

「しゅ、襲撃だ!トリニティに連絡」

「させないよ」

「かっ……」

 

もう一つは校舎内に常駐していた職員を刃にて沈黙させた獣の仮面。切り、突き、蹴り内部から食い荒らす。

 

「斬り捨て御免。経路は?」

「射撃場が先だ。向かうぞ」

 

音無く真っ先に無力化するジャガーの前では実質ナビゲーターだが離されずサオリは着いてきていた。俊敏さでは彼に分があるのが事実であったが、ゲリラらしく警報器の類いを無力化し、室内用ドローンを打ち落としている。どちらにしろ相手に何かをさせる隙を与えないままマップのクリアリングを終えた。

 

「…そうか。了解。輸送の準備をしろ」

「向こうも終わった?」

「敵オートマタの排除は終了した。倉庫の前で待機だ」

「はいはい。正直味気無いね」

「無駄口を叩くな」

 

不完全燃焼に思いながら両腕の刃を閉まってサオリに追随する。キヴォトスのヘイローが無いロボットの職員も多少傷つきプラーナを少なく吸った程度では致命傷に程遠いと知っただけでも収穫としよう。

 

しばらくして倉庫の弾薬、備蓄、機密情報の塊のPCや金庫を自分も手伝いながらトラックに詰め込み終わり任務完了、とは行かなかった。

 

『リーダー、バイト傭兵が乗ったトラックが……向かってます……』

「何っ?!」

「増援?」

「間に合わなかったか……」

 

ジャガーが気になってヒヨリとの通信に割り込む。

 

「数とルートは?」

『2台が北門と南門から、挟み撃ちです……』

「片方は一発で壊せるよ?」

「本当か?」

「大丈夫。片方に戦力を集中させてもう片方はボクだけで壊す。その後適当なポイントで落ち合う、でどう?」

「……総員、南側に集合、グレネードとランチャーを用意だ」

「OK。行って来る」

 

無惨に破壊された中庭を通り過ぎて、校舎の窓を通じて反対側に出ていった。校門に着いた頃には低いエンジン音が響き渡る。トラックと聞いて軽トラ辺りを想像したが、幌を張った大きめの軍用トラックだった。

 

≪どうにかなんのかよアレ≫

「行けるよネルちゃん。その為の貯金がある」

 

破壊は同僚の役割だったがあの規模なら想定内。ブレードを伸ばし、胸の前で交差させる。ライトが己を照らす度に刃が徐々に虹色に伸びる。敵意を持って立っている相手は轢き飛ばすと言わんばかりに、ブレーキを切らず真っ直ぐ向かうトラックが衝突まで2mという所でその姿がぶれて無くなった。

 

「傭兵トラックの燃料切り、ってね」

 

瞬間、トラック一台分の爆発が起こりガラス、金属片、布切れ、銃器、傭兵の何もかもが吹き飛んだ。焦げ臭い熱風と破片が落ちる音と共に、残心の様構えを解かず振り返った。燃えながら崩れ落ちた車体に転がるタイヤ、倒れるツナギの傭兵達のヘイローは消えた者、弱々しく光る者とこちらに襲いかかる者はいないと見た。

 

「う……何なんだ……」

「夜勤バイトの報酬が……」

「こんの……バイトリーダー舐めんな!」

 

不意に一人が立ち上がってアサルトライフルを乱射してきた。ヘイロー持ちはタフだと思いつつ顔や胸に当たる弾丸を左の刃を盾に、瞬発力で近付き銃身を真っ二つにした。ガラクタを持ったまま驚愕した相手の首元に切っ先を向けて問いかける。

 

「いつ誰に呼ばれた?」

「20分前、ここの職員に……」

「他に仲間は?南側以外で」

「そいつら以外他に呼んでなきゃ……いないよ」

「ふーん、そう。ふん!」

「ぐえ!」

 

ブレードを閉じた右手でオーグメント基準の軽い拳を腹に当て、バイトリーダーのヘイローは消えた。呼吸は続けているのでマスクの殺意の中でも手加減は出来たらしい。

 

「こちらジャガー、片付いたよ。そっちは?」

『トラックは破壊、第二ルートで移動中だ』

「どこで待てばいい?」

『使われていない公園がある』

 

そう遠くない場所を聞いて歩きで向かう。帰りも含めて任務、油断はしないが一休みしたい。

 

「どうだった任務?」

≪黙らせる手際はいいんじゃねえか?≫

「なるほど…。ふー耳痛い、アイスコーヒー飲みたい」

≪耳痛いって何だよ≫

「それね、実は……」

 

夜中に独り言を言って歩けば不審者、裏道茂みを通りつつマスクの同居人と話し続けた。

 

───

 

結論から言えば任務は成功、襲撃した学園の物資は奪取、警備システムはボロボロと収穫とダメージを与えられた。

 

「やったねサオリさん!いい物入ってるといいね」

「……そうだな」

「もっと喜んでも良くない?」

 

先手を打たれて傭兵を呼ばれるトラブルはあった物の、目的は完全に果たした。なのにアリウス生はその成果に無関心に見える。

 

「全ては虚しい。喜んだ所でまた次の任務があるだけだ」

 

サオリの視線が冷たい。SHOCKERでもこんな目をした者はいなかった。

 

「幸せになるとか美味しい物を食べれるとか興味無い?」

「幸せって何でしょうか……いくら襲撃して物資を集めても、この世は痛くて苦しいだけなのに……」

「食事なんて燃料補給に過ぎない。味なんてただの感覚。食べれたら何だっていい」

 

ジャガーオーグはヒヨリとミサキの返答で改めて理解した。同僚より可愛らしく取っ付きやすいと思っていたが、別方向に厄介な思想で喜びや幸せすら正面から受け止められない。

 

「それに私には別件がある。確認を終え次第、下がる事にする」

「ボクも帰る。アイスコーヒーとかある?」

「そんな物あると思うな」

「お小遣い」

「マダムに聞け」

「そうだ、アツコちゃんは?」

 

ジャガーが彼女の方に向くと手話で何かを伝えた。

 

「ごめん、手話はさっぱり」

「『次も上手く行くといい』と言っている」

「そっか、その時もよろしく」

 

一仕事終えたのにスッキリしないまま部屋に戻る事にした。誰ともすれ違わないのでマスクの中に問い掛ける。

 

「ネルちゃん、君に幸せってある?」

≪は?そうだな……。あたしにとっちゃ相手をぶちのめして勝つ事か?≫

「ボクはこの世界に無いモノを取り戻したいかな。ここじゃどうやっても幸せに向かえないよ」

≪何だそれ≫

「ボクと…あの人達の全てだよ。その為に手に入れた力なんだ」

 

軋んだ音と共に部屋の扉が開き、鍵が閉まった後にはその会話の続きを誰も聞くことは無かった。




トラック切りはライダーキックの要領でできた

誰もジャガーに急所を切られたり死んでない

ジャガーオーグならサクラコの覚悟礼装を先に発掘(発見)する展開はあり?

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