俺の隣人が悪の首領達ってどういう事なんだよ 作:塩焼きそば啜郎
二キロにも及ぶレースが終わった後、俺達は体を吹いてビーチの小屋に来ていた。ここで昼食を頂く訳だが、勿論ベガさんの奢り。
「ぬぅぅ……」
「拗ねないで下さいよ。勝負に乗ったのはベガさんなんですから」
「分かっとるわ!……好きなのを頼むんだな!」
「さっさとそう言えば良いものを……俺はこのメロンソーダを一つ」
「じゃ、俺はカレーで」
「こいつが言ったカレーも追加してくれ。ベガ、貴様はどうするのだ」
「……カレー」
「あ、辛さが選べるみたいですよ」
「甘口に決まっておろうッ」
「なんでキレるんだ……?」
しばらくして、俺達の元にカレーとメロンソーダが運ばれて来た。疲れているのか、より一層美味しそうに見える。
「いただきます!」
早速スプーンでカレーを掬い、豪快に一口。ルーの熱さと旨味が一気に口内に広がる。
「美味いッ」
「そんなに美味いのか、どれ……中々行けるな」
「フー、フー……熱っ、熱い……」
「猫舌めが。さっさと冷まして食え」
「貴様、私の奢りという事を忘れているようだな……熱っ」
隣で二人がガヤガヤしているが、俺は夢中でカレーを掻き込んでいた。疲れて冷えた体に段々と熱がこもっていくのが分かる。あっちも言い合いながら結構食べ進めてるし、ちゃんと美味しいのだろう。
「そんなにがっつきおって。余程美味いらしいな」
「そりゃ美味いですよ」
「メロンソーダもいいぞ」
「私は麦茶派だ」
「貴様ァッ」
「はいはい喧嘩しない。ここ一応公共の場ですよ?」
二人をなだめながら、カレーを食べ続ける事二十分。ようやく全員が完食した。約束通りベガさんが全額を奢り、小屋を出る。
「くそう、私の財布が……」
「残念だったな。もう戻らない物だ」
「フン!まぁいい……おい龍成!この後何をするか分かっているだろうな!」
「え?もう帰るんじゃ無いんですか?」
「何を言う!ここからが本番だろう!おいギース、あそこに潜るぞォ!」
「良いだろう!」
またもや駆けて行く二人。あの人達に付き合わなきゃ行けないのか……(絶望)
「あぁ~もう!分かりましたよ!付き合えば良いんでしょ付き合えば!」
「物解りが良いな龍成!ではさっさと付いてこい!」
どうやら海水浴はまだ終わらないらしい。
◇ ◇ ◇ ◇
夕暮れのビーチ。昼間は大勢の人がいたこの砂浜も、今は波が打ち付ける音だけが響いていた。そんな静かな所に、俺とベガさんとギースさんは腰を下ろしている。
「……疲れたな」
「ですね……あそこから五時間も遊び続けるとか最早狂気の沙汰ですよ」
「フハハハ!良いではないか!お陰でいい土産物が見つかったのだからな」
「……それもそうですね」
「続きは帰ってからにするぞ。俺は疲れた」
「勝手な奴だ」
「まぁ俺も疲れましたしね。帰りましょ」
立ち上がる俺達。ベガさんはしきりに手の中を覗いていた。
「下見てると転びますよ?」
「こいつから目が離せんのだ。仕方無かろう」
とはいっても、俺とギースさんもそこを見ている。その手には、海底で拾った淡く輝く綺麗な天然石が握られていた。夏の思い出が、また一つ増えた瞬間だった。