俺の隣人が悪の首領達ってどういう事なんだよ 作:塩焼きそば啜郎
夏祭り。八月の中旬辺りにある、海水浴と肩を並べる夏の二大イベント。周りを見てみると、家族や友達と来ている人々が多くいるのだが……。
「なんでレプリロイドと一緒に夏祭りに来なくちゃならないんですかね」
「それが人生というものだろう」
「シグマさん人じゃ無いでしょ」
俺の隣を浴衣を着て歩くのは、レプリロイドのシグマさん。相変わらず肩幅がゴツいので浴衣で隠しても目立つ目立つ。
「しかし災難だな。まさか誰も来れないとは……」
「ベガさんとギースさんは組織の経営、ドッピオさんは試験勉強だもんなぁ。……てかシグマさん、食べ物とかって食べれますか?」
「いや、流石に無理だ」
「ですよね」
となると金魚すくいとかお化け屋敷とかそこら辺のしか楽しめないという訳だ。たこ焼きとか美味いのになぁ……まぁ俺がどう言おうと解決しない問題なので、そこは置いておく。しばらく二人で何か無いかと探していたが、シグマさんが何か見つけた。
「龍成よ、あれは?」
「あぁ、射的ですね」
「なんだ?それは」
「ほら、客が銃を持ってるじゃないですか。弾を景品に当てて、落としたら貰えるんですよ」
「なる程、面白そうだ……」
シグマさんは早速列に並び始める。その横にいた俺が周りから好奇と警戒の目線を浴びたのは言うまでも無い。
「はぁ……」
「どうした?」
「いえ、なんでも。あ、順番来ましたよ」
シグマさんが前を向くと、若干引きつった笑みを浮かべる店主が。まぁそうなるよね。俺はシグマさんを見てもなんとも無いから、余程耐性が付いたのだろう。
「射的を一回」
「に、二百円頂戴いたします……まいど」
店主から銃を渡されたシグマさんは、なんと片手で構えた。機械なので銃の反動を気にする事無く撃てるらしい。ギリギリまで引き伸ばされた銃は景品の僅か三十センチ前で止まった。
「ほれ」
そのまま引き金を引き、勿論景品は落ちる。店主が唖然としながら景品を渡し、シグマさんは満足そうに振り向き、俺にガッツポーズ。
「いやあの状態で取ってガッツポーズされてもねぇ……」
◇ ◇ ◇ ◇
数分後、俺と景品を抱えたシグマさんは広場の中央に集まっていた。夏祭りの目玉、打ち上げ花火が始まる。
「ベガのとは違う本格的な奴だな」
「あれは花火って言っていいもんじゃ無いですよ」
話していると、空に一筋の光が上がって行く。風切り音を出しながら上がって行ったそれは、空中で巨大な光の花と化した。
「おぉ……」
「シグマさんにとっては何もかも初めてですもんね」
それを皮切りに、次々と打ち上げられていく。夜空はあっという間に満開の花で満たされた。彼はそれをじっと見つめている。
「私は人に造られた存在だが……こんなにも夢中になるとはな」
「花火を見たら誰だって夢中になりますよ。人とか機械とか関係無しに」
「……何いい感じに閉めようとしているのだ。これ一応ギャグ小説だぞ?」
「だあーッそういう事言わない!やっぱ機械ですよあんたは!」
横で楽しそうに笑うシグマさんは、どこか満足げだった。