俺の隣人が悪の首領達ってどういう事なんだよ 作:塩焼きそば啜郎
「遅かったではないか、龍成」
「そりゃあいきなりの招集でしたからね」
屋上の扉を開くと、ベガさんを始めとした住人達が集合していた。先程彼から『屋上へ来い』とのメールが来たのでこうして来た訳である。
「椅子に、団子に、すすきに……お月見ですか?」
「正解だ!今日は中秋の名月。やろうと言い出したのはギースだがな」
「ギースさんが!?」
「……言いたい事は分かる。だが……な?」
「全く、いい迷惑だ。俺は変温動物だぞ……寒い」
「でもクルールさんなんにも服来てないですよね。僕のも穴空いてますけど」
「お月見か……興味が湧いて来たな」
皆で話しながら、ベガさんが用意した椅子に座る。おお、安物かと思ったら結構高級な奴だな、この椅子。
「何か失礼な事を考えなかったか?」
「いいえ滅相もございませんッ」
「なら良いが……では乾杯するとしよう!」
「「「「「「乾杯〜」」」」」」
クルールさんとドッピオさん以外はギースさんが取り寄せた高級な日本酒を頂いた。遮る物が何一つ無い所でお月見をして、日本酒まで味わえるとは中々に洒落ている。
「……フン、たまにはこうして集まるのも悪く無い……」
「素直じゃないな、ギースよ。貴様がそんなに寂しがり屋だとは……」
「黙れ」
「やはり可愛げの無い奴だ」
ギースさんから飛んできた拳を、ベガさんが軽く受け止める。隣で騒ぎを起こすのは勘弁してもらいたいが、これがこの人達の当たり前だからしょうが無い。クルールさんとドッピオさんは暖かい緑茶を飲み、シグマさんは一人で静かに月を眺めていた。
俺も争う二人から視線を外し、空に大きく輝く月を見る。地上とは対照的に真っ暗な夜空に浮かぶ月を見ていると、なんとも言えない気持ちになってきた。
「綺麗ですね、龍成さん。こういうのは初めてです」
「俺も何年ぶりにお月見なんてしたか……」
「共に月を見る仲間がいなかったか、龍成よ」
「あんたは月を見る事すら無かったでしょうが」
からかってくるシグマさんをいなしていると、ギースさんが皆に団子を配り始めた。これも中々美味い。美味いのだが……ここで問題が一つ。
「寒い……」
「確かに……気になりますね」
ここは風を遮る物が何も無い為、かなり冷え込んでいる。クルールさんはもうガチガチに震えていた。
「なんだそんな事か。この私に任せておけ!」
そう言ってベガさんはワープで姿を消し、瞬時に戻って来た。両脇に木材を抱えて、手にはチャッカマンを持っている。
「いやぁまさか焚き火なんて訳は無いですよね?」
「焚き火な訳あるだろう」
「この風じゃ速攻で消えるわッ」
「やはりバカだな。ベガよ」
「寒い……どうにかしろ……」
「やべぇクルールさんが限界だァ!」
「なんか毛布!ベガさん毛布持って来て!」
なんで楽しいお月見でこんな惨事になるんだよ!?
この後ベガさんがクルールさんに絞られてた。南無。