俺の隣人が悪の首領達ってどういう事なんだよ 作:塩焼きそば啜郎
「ベガさん、着きましたよ。シグマさんも起きて下さい」
「厶……もう着いたのか」
俺は眠っていた二人を起こし、新幹線から降りた。俺自身も寝ていたが、小さめにアラームを設定しておいて助かったな。駅に降りる俺の後ろには、眠そうに目を擦るベガさんと真顔で続くシグマさん。
「しかし混んでいるな」
「全くだ。こうもギュウギュウ詰めだと、落ち着こうにも落ち着けん」
「あなた達がスペースを取りまくってる元凶って事忘れないで下さいね?」
周りから変な目で見られるのを我慢しながら、巨体の総帥と隊長を連れて駅の外へと出る。ここからはバスに乗り、旅館の最寄りまで乗せてもらった後に徒歩の予定。トラブルが無ければいいが……。
「おいシグマ!中々美味そうな物が売ってあるぞ!」
「興味深いな……」
「ちょっと待てェッ」
ギースさんを連れてきた方が良かったかもしれねぇな、これ。(後悔)
◇ ◇ ◇ ◇
なんとか二人をバスに乗せた。これで一安心……と思いきや、どこまでも不安は付き纏うもので。
「……」
「……」
(馬鹿程気まずい……)
乗客が沢山いる車内では、流石の二人も無言を突き通していた。普段の俺なら関心して感謝するだろうが、今回はそれがまずかった。ここまでのはっちゃけっぷりで忘れかけていたが、この二人は犯罪組織の総帥とレプリロイド部隊の隊長である。しかもデカい。無言の圧がとんでもなく凄まじいのだ。当然他の乗客はめっちゃ怖がっている。俺は最寄りのバス停に着くと、急いで降りた。
「ふぅ……」
「どうした?」
「いや、なんでも……そろそろ着きますよ」
俺は遠くに目的地が見えたのを確認して、そう伝えた。
「ほう!ではいっその事私のワープで……」
「行ける訳ねぇだろッ」
「最近キレが増してきて無いか?龍成」
「誰のおかげだと思ってんすかね」
まぁ一悶着ありながら、無事に到着。色々と案内をされ、部屋に通された頃には俺はすっかり疲れ果てていた。
「疲れた……」
「体力が無いな」
「精神的に、ですよ……ちょっと寝ますね」
「さてシグマよ!実は小さい卓球台を持って来たのだ。ここにもあると言うが、練習でやってみないか?」
「ほう……反応速度で上回る私に挑戦するとは、覚悟するがいい!」
「マジに寝させろ……」
こいつら害悪すぎんか?(バチギレ)疲れた人が寝ようとしてんのに隣で卓球するとか最早狂気の沙汰だろこれ。
「フン、そこらへんの対策は出来ている!」
「はぁ?どうやって……!?」
「どうだ?これで何も聞こえないだろう」
「何をしたのだ?」
「何、サイコパワーで奴の両耳に膜を作った。これで防音効果はバッチリよ!」
「……?」
何も聞こえない。まぁこれなら大人しく眠りに付けるだろう。卓球を始める二人を横目に、俺は目を瞑る。
ドンッドンドン!ドドドッドドッドン!!
「ドンドン言わせるなァーッ!」
「ヌゥゥ盲点ッ」