俺の隣人が悪の首領達ってどういう事なんだよ 作:塩焼きそば啜郎
休日の正午。いつもなら自室でゴロゴロしているか簡単な昼食を作るかしている時間帯だが、今日はベガさんの部屋来ている。ここに集まっているのは俺だけではなく、ギースさん、ドッピオさん、シグマさんもだ。
「まさかクルールの奴、本当にライブ中継を決行するとはな」
「全くですよ。びっくりしましたもん」
「一体何があったのだ?ドッピオとシグマも何も知らないぞ」
「クルールさんが新兵器で島をぶっ飛ばす様子を生中継で見ます」
「いつもの事ですけどやっぱり訳分かんないですね……」
ドッピオさんの言う通りだな。シグマさんとギースさんは島をぶっ飛ばすよりも新兵器というワードに興味を引かれたらしい。世も末だなこりゃ。
『全員集まったようだな!』
「これビデオ電話なんですね」
『その通りだ。これで奴らの島を破壊しようとしたが……』
「何かあったのか?」
『なんと船内に敵が侵入してきたァ!』
「セキュリティーガバガバじゃねぇかよ!」
『だから俺が直々にひっとらえ、目の前でブラストマティック砲を発射してやるのだ!……と、早速来たな。ここからはドローンでの撮影だ!』
と、視点が空中に切り替わる。準備早いなこの総帥そしてクルールさんの反対から現れたのは、巨大なゴリラと小さな猿。ゴリラは『DK』と書かれたネクタイを着けていて、猿は赤い帽子を被っている。なんともまぁ微妙な格好だった。
「始まるか」
「妙な対戦カードですがね」
互いに睨み合い、咆哮を上げる。それが合図となったのか、三体は一斉に走り出した。クルールさんのストレートと……確か「ドンキーコング」って名前だったか。ドンキーのストレートが激突する。その衝撃で少しだけ間合いが離れるが、再度接近。ドンキーが飛び上がり腕を振り下ろすが、カウンターで放たれたクルールさんのドロップキックの方が速かった。ふっ飛ばされたドンキーの隙を埋めるかの用に猿が伸びきった足を引っ掻く。
「フハハハ!クルールめ、中々素早い動きではないか!」
「重量級は見てて楽しいものよ」
同じく総帥二人が意見しながら戦いは続いていった。だが揺れる船上での戦いだった為次第にクルールさんが優勢になっていき、遂にドンキー達が疲弊した所を部下が一斉に飛び出して縄で捕獲する。
『よし、後は島をぶっ飛ばすのみ!ブラストマティック砲の準備を急げ!』
クルールさんの命令でドンキー達は船首に括り付けられ、クルールさん自身はブラストマティック砲の操縦席に登った。
『これで奴らも終わりだな!……む、ベガよこれは何だか分かるか?』
画面に映り込んだレバーには、「出力増強用」と書いてあった。
「よし、限界までそれを引けい、クルール!レーザーの威力が増すだろう!」
「ベガさん!?」
『それはいい!』
レバーが勢い良く引かれる。だが勢いが良すぎて……
バキッ!
『!?』
「あっ」
『ブラストマティック砲、発射まで残り十秒』
アナウンスが鳴り響く。
『ベガァ!貴様どうしてくれるのだ!?』
「貴様の力が強すぎるのだこの鰐めが!」
「あんたが引けっつったんだろうが!?」
『五、四、三、二、一……』
「うおっ!?」
画面が一瞬で眩い光に包まれた。放たれた巨大なレーザーは、島を跡形もなく破壊……はせず、その上空を突っ切っていった。
『なんて事をしてくれるのだ!』
「あーあ……」
「あのレーザー、どこまで行くんでしょうね」
そんなドッピオさんの一言に、俺はハッとした。
「クルールさん、カメラを外に出して後ろに向けてもらえます?」
『こうか?』
その画面の奥から迫ってきていたのは、青白いレーザー。なんとなくだが悟った。
「……南無三」
『は?何を言って
画面が光に包まれて、そこで通話は終了した。
「……悪い事って、やっぱり出来ないものですね」
「……だな」