俺の隣人が悪の首領達ってどういう事なんだよ 作:塩焼きそば啜郎
「つまりそういう事だ!」
「いやマジでどういう事なんですか?」
寒い中、眠気を我慢して朝食を用意しようとキッチンに向かったら隣人にスケートへ行こうと提案される俺はもう少し休んでいいと思う。(懇願)
本人曰くスキーとスケートはセットというアホ程訳わからん理論らしいが、これにさほど驚かなくなってきた俺も末期だな。
「しかしスケートですか。出来るとこ近くにありましたっけ?」
「何、当てはある。朝食を食い終わったらシグマを尋ねると良いだろう!」
そう言い残してワープで消えるベガさん。シグマさんを尋ねろ?また何か企んでるんじゃ……そんな不安を抱えながら、俺は改めて朝食の準備に取り掛かった。
◇ ◇ ◇ ◇
「なんだこのスケートリンクゥ!?」
「馬鹿デカいッ!そして寒いッ!」
「それは貴様が一人で突っ走って来たからだろう。あれ程上着を用意しておけと言ったのだがな」
なんとシグマさんの地下施設には巨大なスケートリンクが建設されていた。話によると、彼の部下の一人が一夜で作り上げたらしい。むっちゃ有能じゃん。
「着替えはこっちにある」
案内された部屋に入ると、二人分のスケートシューズとその他諸々の道具が一式。品揃え良いな。
「うおッ、意外と重……」
「ヌゥゥゥ、足が入れ辛いな」
「そんなに難しい物か?」
「これを必要としないレプリロイド風情には分からんだろうな」
「当たり前だ。なんせ体に収納してあるからな」
そう言って足裏からブレードを出すシグマさん。どうなってんだあの人の足裏?ジェットを噴射したりブレード出したりなんか詰め込みましたよ感が半端ない。
「ようし、では出発よ!」
「ベガさん、スケートやった事は?」
「勿論無っ……」
コケた。そりゃあ初心者が後ろ向きながらスケートリンクに突撃したらそうなるよね。いつもなら絶叫を上げているが、今回は顔面が氷で塞がれている為声を上げない。ケツアゴマッチョが無言で氷の上を漂うというなんともシュールな光景を楽しんでいたのも束の間、ベガさんがワープで戻って来た。
「フ、フフフフ……フハハハーッ」
「あぁやべぇベガさんが壊れた!」
「不様なものだ」
唇を青くして涙目で笑って見せる彼を見ると、なんだか哀れみの念すら浮かんで来る。まぁしばらく放って置こう。(無慈悲)
「滑りますか」
「だな」
改めてリンクに出る。最初は壁沿いに滑っていたが、ここにはシグマさんと俺しかいないのだ。思い切って中央に出る。
「おおーッ、結構速ッ!?」
「貴様もか、龍成」
俺もコケた。まぁまぁ冷たいし痛い。なんとか立ち上がると、さっきよりゆっくりめに滑り出す。
「フン、遅いぞ龍成!」
「壁沿いを走ってるくせに何言ってんですか。ベガさんもこっちに来て滑りましょうよ!」
「フフフフ、私がもっと凄い物を見せてやろう!」
「シグマさん、退避をお願いします(即決)」
「分かった」
上空へと避難する。下ではベガさんがサイコパワーを纏いながら加速していった。
「これ施設の耐久持ちます?」
「奴に破られる程柔くは無い」
そのまま加速は続いてゆき、終いには紫色の円が出来上がる程速くなっていった。なんだろう、オチが見えてきた気がする。
「ヌゥゥォオオォォ!速い!速すぎる!どうやって止まれば良いのだこれはァ!」
「えぇ……」
「諦めろ!」
「諦めん!諦めんぞあっ……(衝突)ぶるぅあぁあああぁぁぁああぁああぁああ!!!!!(大破)」
「あーあーあー……」
「哀れな男よ……」
引っかかって激突したが最後、跳ね返ってぶつかって跳ね返ってぶつかってを繰り返すループに陥った。なんか本当に可哀想になってきたな。
「何か救出する方法は?」
「無い(無慈悲)」
「じゃあ見とこう(超無慈悲)」
その後も幾度となくぶつかり続けたベガさんは、中央でようやく止まった。降りて様子を伺う。
「フ、フフフフ……気を付けろよ龍成……!」
「誰が気を付けられるかァーッ」