俺の隣人が悪の首領達ってどういう事なんだよ 作:塩焼きそば啜郎
午後六時。いつもなら何気なく過ごすこの時間も、今日に限っては特別な時間と化す。こたつの上に置かれたみかんを頬張りながら、時計を見た。
「……早いもんですね」
「だな。もう今年も終わりか!」
12月31日。今日は大晦日だ。久々にベガさんの部屋にお邪魔し、晩御飯を奢って貰う事になった。にしても大晦日にあのオムライスが出されるのか……(困惑)
「しかし年越しにオムライスかぁ……洋風ですね」
「仕方無い。私はオムライスしか作らんのだからな!」
「だからどうしてオムライス一点張りなんですか……?」
そこは本当に気になるが、今更料理を教えても無駄だろう。それは一旦置いておく。
「それにしても……」
「なんだ?」
「今年は色んな事がありましたねぇ……主にベガさんが中心でしたけど」
「フフフ、私はどこでも目立つのだ」
「そりゃそんな格好ですからね。初めて見た時は腰抜かしそうになりましたよ」
「どう思った?」
「何だこの化け物ォ!?って思いました」
「フン、失礼な。一般人がこのベガの事を化け物呼ばわりするなぞ本来ありえん事だからな」
腕を組んで分かりやすく不機嫌になるベガさん。いや、今更弁解してももう十分手遅れだからな。みかんを更に頬張り、テレビをつけた。どのチャンネルでも、二時間だとか三時間だとかの特番だ。
「それにしても大変なものよ。長い間席に座って喋り続けねばならん」
「そういうもんなんじゃないですか?知りませんけど」
テレビを見ながらの他愛も無い会話。これももう何回目だろうか?そんな時、ベガさんの電話がなった。
「何だ?……何ィイイィィィイイ!?」
「へっ!?」
「ヌゥゥゥ……すまん龍成!少し用が出来た!」
「どうしたんですか!?」
「ICPOがシャドルー本部に突撃して来おったァ!!大晦日だからといってほぼ全員に休暇を与えたのが間違いだったか……」
「そりゃあ悪の犯罪組織ですからね!!」
ベガさんはワープで消えていった。大晦日でもやっぱりこうなるのか……。
◇ ◇ ◇ ◇
ベガさんが消えてから五時間後。何もする事が無いので、部屋でスマホを弄っていると……
「フハハハーッ」
「あ、帰って来た……相当やられましたね」
「フン、この私にかかればICPO共なぞ敵では無い!……だが、苦戦しない訳でも、無い!!」
「その誇らしく言う癖はなんとかなりませんかね?」
「ならん!」
全身青痣だらけで高らかに笑うベガさん。最早畏敬の念を抱くな、これは。生まれたての子鹿の様に足をプルップル震わせながらこたつに入り、みかんをそっと頬張る。
「これが悪の総帥かぁ……」
「私も所詮は人間よ」
その言葉が何故か重く感じられた。流石経験者は言う事が違う。さて、今年も後……十分になった。ん?何か忘れているような……
「あっ!ベガさんオムライスは!?」
「忘れていたわ!くそうICPO共めぇぇ!!」
「仕方無い、オムライスは年明けに食べるとして年越しは乾杯で迎えません!?」
「ようしその案に決定!!」
俺は急いで冷蔵庫開け、酒とつまみを持って来た。年越しオムライスは食べられないかぁ……残念。ベガさんがタンスの奥から鏡餅を引っ張り出している内に、どんどん時間は過ぎていった。
「準備完了!後……一分!」
「ようし、注ぐぞ!」
コップにビールが注がれる。残り三十秒。
「ちょっと急ぎ気味だったけど、今年はありがとうございました!来年もお願いします!!」
「フフフ……楽しい一年だったぞ、龍成!」
残り十秒。間もなく零時、新年が始まる。それに合わせて、コップを合わせた。
「「乾杯!」」
新年の始まりと共に、ビールを一気に流し込む。
バァン!(扉大破)
「ベガ!お前の体に付けたGPSでここまで来れた!覚悟しろ!」
「ブッフォォオオォォ!?」
「ヌゥゥゥICPO、年越しをも邪魔するかーッ!!」
「何やってんだこのケツアゴマッチョ総帥がぁぁぁ!!!」
その後騒音を聞きつけてやって来た他の面々を加えて大乱闘に発展したとか……。
これにて完結です!沢山のご閲覧、ありがとうございました!