俺の隣人が悪の首領達ってどういう事なんだよ   作:塩焼きそば啜郎

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屈強な男二人に挟まれて投稿です


俺の隣人がハワード・コネクション総帥ってどういう事なんだよ

「はぁ……朝っぱらからいろいろありすぎだろ」

 

あの後屋上から降りて来たベガさんとギースさんは、それぞれ自分の部屋へと帰って行った。俺はというと、キッチンで朝食作りの真っ最中だ。いつもは少し眠いが、今日はめっちゃ冴えている。

 

「ん?」

 

昨日の残り物をレンジに入れた所で、チャイムが鳴った。宅配便の覚えは無いが……取りあえず玄関に行き、扉を開ける。

 

「は~い……ってベガさんか」

「なんだそのめんどくさい奴が来たような反応は」

「早朝から騒ぎ起こした張本人って立場分かってます?で、どうかしたんですか?」

「なに、ふと貴様の名前が気になったから来ただけの事よ」

「それだけ?」

「そう、それだけ」

 

なんてめんどくさい人なんだこの人……とは言っても、確かに名前を教えて無かったな。昨日はガチガチに緊張してたってのもあるが、これからここで暮らすんだし自己紹介しないとまずいよな。

 

「俺、黒木龍成(くろきりゅうせい)って言います」

「そうか龍成か!では今後ともよろしく頼もう、龍成!」

 

そう言うとベガさんは扉をバタンと閉めて行った。マジでそれだけだったらしい。半ば呆れていると、奥からレンジの音が鳴った。再びキッチンに戻り、温めた豚肉の炒め物を盛り付ける。今日の朝食は白ご飯に豚肉の炒め物にミニトマト、そして緑茶。こんな感じで質素だが、これで充分働ける。早速いただこう。 

 

「いただきま~……あ?」

 

またチャイムだ。ベガさん本当に面倒くさいな。

 

「どうしたんですか?俺今から朝食……ってへぇ!?」

「ベガではなく俺だ」

「ギースさん!?」

「ここでは話せない事情があってな……悪いが、中に入れさせて貰うぞ」

 

小声でそう言うと、無断で中に入って来た。この人あれだ。多分ベガさんよりマシだけど普通に傲慢な人だ。

 

「……」

「あの~、ご用件は?」

「簡潔に言おう。朝食を食べさせてくれ」

「え?」

 

なんで?(疑問)え?この人あれだった?自炊滅茶苦茶下手くそな人?俺そんな事実信じたくないよ!?

 

「貴様、何か失礼な事を考えただろう」

「いえっそんな事ありませんッ」

「そうか。ならこれと同じ物を頼む」

「はいッ」

 

俺は急いで同じ朝食を作った。テーブルで待っていたギースさんに持っていく。

 

「おお、これが……」

「ちなみに、なんで俺の朝食を?」

「実はな……俺には複数の部下がいるのだが、そいつらが『安い食事で済ませたらハワード・コネクション総帥の威厳が無い』と文句を付けて来てな。それで今まで体調不良の日も豪勢な食事でもううんざりしていたのだ」

「は?(殺意)」

「それは俺に向けてか、それとも部下に向けてか」

「両方に決まってるじゃないっすか」

「素直だな。という訳で、今日貴様に朝食を頼んだ」

 

なる程、まさか世界的大企業の裏ではこんな苦悩があったとは……まぁ、客人をもてなすのと変わらないだろう。せめてこの時間だけでも楽しんでいって貰おう。

 

「んじゃ、食べますか。いただきます」

「……イタダキマス」

「なんでそこだけ片言?」

 

片言で食べ始めたギースさんは、黙々と朝食を食べ進めた。俺もうかつに話しかける事は出来ず、地味に重い空気が流れる。そんな中、とある事が思い浮かんだ。

 

「あ、ギースさん」

「どうした?」

「なんでさっきはベガさんと戦ってたんですか?」

「……駅前のコンビニがあるだろう。あそこの期間限定プリンを俺の分と部下の分を買ったら丁度売り切れになってな。……ここまで言えば察しはつくはずだ」

「……ベガさんもプリンが欲しかったと」

「あぁ。それで文句を言いに来たベガを部下が煽り散らしてこうなった」

「そいつ戦犯じゃないですか」

「全くだ……ん?」

「え?」

 

ふと窓の外を見る。そこにはワイヤーでぶら下がった男が二人。男はなんの躊躇いも無く磁石で窓のロックを外し、中に入って来た。

 

「社長、こんな所で何をなさっているのです!早く自室にお戻り下さい!」

「ギースさん、ベガさんを煽ったのは?」

「右だ」

 

それを聞いて俺の体は反射的に動いた。男の足を蹴り、ヘッドロックを決める。

 

「お前のせいでなぁ、俺の一時間が奪われたんだよなぁオォン!?どうしてくれるんだお前社会人の睡眠奪った罪は大きいぞコラァ!!」

「し、社長なんですかこの男……」

「誰か喋っていいっつったオラァ!!」

「貴様ぁ!」

 

もう一人が俺に襲いかかる。だがその顔面に、ギースさんの拳がめり込んだ。

 

「朝食の礼に、一つ舞でも見せるとしよう!デッドリーレイブ!!」

 

その瞬間、男の体に次々と拳が炸裂する。そうしてベランダまで追い詰められ、最後は掌底で吹っ飛ばされた。

 

「良いんですか?確実に落ちますけど」

「安心しろ、パラシュートを付けている」

「なる程」

「た、助けて……!」

「じゃあ死ね!!(宣告)」

 

ベランダに出て、思いっきり腹を蹴飛ばす。ふぅ~っ、すっきりした。

 

「助けてに対して『じゃあ』は文脈がおかしいだろう」

「そうですね」

 

この後ワープで現れて「うるさい」とだけ言い残したベガさんに対しては何も言えなかった。




なんか長くなった……
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