今回でシーズン1『如:BOOTLEG』は完結致します。シーズン2は雰囲気だとかが諸々ガラリと変わりますのでご期待ください。
それから、ハージェネの新作(https://syosetu.org/novel/334569/)も明日投稿致しますので、そちらもご覧になっていだだけると幸いです。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
(今日で一段落つくので、出来れば長めの感想をください……!)
【イメージED】
King Gnu - 破裂
【イメージST】
牛尾憲輔 - Chainsaw Man Original Soundtrack Complete Edition - chainsaw edge fragments -
黒いコートを羽織り花蓮から買って貰ったものを模した赤色のマフラーを靡かせる優司が、ユーザーズストライカーに乗って向かって停車をした先は、とある大きな寂れた工場であった。人気は一切無く、恐らく今後も誰も出入りをしないだろう。
その中にいるのは優司と野宮、そして花蓮が入った白い棺桶だ。透明な面から花蓮の顔が見えた時、優司はどうとも言えない気持ちになった。
「来たね」
「はい。来ました」
向かい合う優司と野宮。
「答えは見つかったかね?」
「……はい。僕は、貴方を倒します。色んな人を巻き込んで犠牲にした貴方が僕は許せません。なので、せめて一発殴らせて欲しいと思います」
「そっかぁ……」
野宮は笑顔で溜息を吐いた。だがすぐに優司を睨む形となる。
「残念だよ」
野宮の姿がイーグルユーザー 怪人態に変わる。
それは目の前の相手をねじ伏せるために必要不可欠なものであった。
「君は実に愚かだね。私を倒して彼女を殺すことになるとは」
「違いますよ。僕は花蓮さんを救いに来たんですよ」
「何を言っているんだ? 君にはどちらかしか選択肢が無いんだよ」
鼻で笑うイーグルユーザー。
しかし優司の目は至って真剣らしく、何が起こるのかと少しずつ怯え始めてしまった。
「言っておきますけど、僕は貴方に提示された選択肢だけを選ぶ気は一切ありません。僕が選ぶ道は、僕自身が全部決める……!」
すると優司の上から何かが降って来た。
日光を反射しながら降臨をするそれは、花蓮が使っていたヴァイラスガジェットであった。
右手で掴み、虹色に輝く羽根達を人差し指を一周させることによって仕舞い、ドライバーに装填する。
『
ホッパーフォームになる際と同じEDMサウンドが流れる。
その中で優司は右腕を左側に伸ばすと、右側にゆっくりと回し、右腕を腰の左側に移す代わりに左腕を右側に伸ばした。
そして力強く叫ぶのであった。
「変身!」
両腕を下ろして左手をレバーに巻き付けて下げる。
『変身シークエンスを開始します』
優司の身体が黒くなると、今度は逆に白く輝いて変形していく。
出来上がった新たな身体は、まるで白銀のホッパーフォームであった。形は一切変わらず、靄のような薄い虹色の装飾が全身に描かれている。そして首元には花蓮がくれたマフラーが、複眼と同じように赤く輝いているのだ。
『VIRUS』
究極の形態──仮面ライダーブートレグ ヴァイラスシェープの誕生である。
「そんな姿になったからといって、何になるというんだっ!」
イーグルユーザーが全身から黒い羽を飛ばして来る。
昨日のよりも更に量を増したそれを真面に喰らえば、ひとたまりも無いだろう。
するとブートレグは首元のマフラーを伸ばすと、それで全ての羽を打ち落とす。
何度やっても同じであるために、イーグルユーザーは痺れを切らして彼の方へ飛び、右の拳をぶつけようとした。
だがそれは左手で軽々と受け止められてしまう。
透かさず残った左手で再度パンチを試みるのだが、ブートレグは自身の身体を全て粒子状にすることで避けて後ろに回り、振り返ったイーグルユーザーの胸部に握った右手を喰らわせた。
「ハァッ!」
「グァッ……!」
後退するイーグルユーザー。
早めに終わらせようと、ブートレグはレバーを下げて再度身体を自ら粉砕。立ち上がったイーグルユーザーの前で再構成をした。
『VIRUS FINISH』
「ライダーパンチ!」
虹色に鮮やかに輝く身体に付けられた右手を、イーグルユーザーのユーザーズドライバーに激突させた。
その瞬間にイーグルユーザーは吹き飛ばされ、彼のドライバーが少し発光をする。
立ち上がったイーグルユーザーにブートレグは語り掛け始めた。
「今、貴方のドライバーの情報を操作して、もし僕に倒されたとしても、花蓮さんが死なないようにさせていただきました」
「⁉︎ 馬鹿なっ! ヴァイラスガジェットでは、ユーザーズシステムの一部を破壊することや、書き換えることは不可能だ!」
「そうですか。……けど、僕はどれもやっていません。僕がやったのは、破壊でも改竄でもなく、創造です」
「創造……?」
「はい。貴方と花蓮さんを分離するプログラムを作ってそれを埋め込んだ。ただそれだけのことですよ」
ヴァイラスユーザーが自分に都合が良いように世界を作り変えた際、『人の考えや認識を変える能力』を使った。
だが優司はそれに引っ掛かりを覚えていた。もしそれだけの能力なのであれば、モスキートユーザーを生み出すことは出来ない筈である。
そこで彼はある結論に至った。
彼女の能力は何かを改竄する能力ではなく、『新たなものを一から創造する能力である』と。
人の考えや認識を変えたのではなくて、新しい考えや認識を生み出して植え付けたと考えれば、モスキートユーザーを自らの身体から発生させたことに合点がいくのだ。
「これで、後は貴方を倒すだけですね……!」
「……ふざけるなぁっ!」
ヴァイラスガジェットをドライバーから排出したブートレグは、跳んで来たホッパーガジェットを変形させてスロットに装填。レバーを下げた。
『変身シークエンスを開始します』
「これで絶対に決める……!」
ホッパーフォームに変身をしてすぐに再度レバーを下げると、ブートレグは跳躍力が凄まじい跳躍力でジャンプ。右足を前に出した状態でイーグルユーザーの前に現れた。
突然のことに全く太刀打ちが出来ず、キックをただ喰らうだけになってしまった。
『HOPPER FINISH』
「ライダーキック!」
強烈な一撃をお見舞いされたイーグルユーザーは再び吹き飛ばされてしまい、倒れた彼の黒い背中を日光が照らす形となる。今までの姿勢からは考えられない程に惨めなものであった。
ブートレグがじっと睨んでいる中で、イーグルユーザーは融解していく身体を使いながらやっと立ち上がる。
そして震える声で彼に叫んだ。
「これで終わりだと思うなぁぁぁ……! 私はまだ終わっていない! 私はっ、まだぁぁぁ……!」
言葉が終わる前に黒い身体は粒子となって消え去った。残ったのはブートレグだけとなる。
いや、もう1人いる。
ブートレグは振り返って歩き出し、立たされている白い棺桶の前に立つと、その表面を左手で叩き割った。
固定された花蓮が前の方に倒れてきたので、抱えて棺桶の中から出す。
彼女の身体を抱き抱えたブートレグは、ゆっくりとその場から離れ始めた。
────────────
「ん……」
目を覚ますと、曇り空の下にある線路の上でも、凍えてしまうくらいに寒い棺桶の中でもなく、住み慣れた自室のベッドの上に身体はあった。
「目、覚めました?」
そして優司と絵麻が彼女の顔を眺めていた。
ゆっくり起き上がって絵麻と顔を見合わせる。
その瞬間に花蓮は表情を変え、涙を流し始めた。
「ごめん……。ごめんね……。ごめんなさい……」
ただひたすらに懺悔を始める花蓮を、絵麻はそっと抱き締めた。
背中を軽く優しく掌で摩ったり叩いたりして、姉のことを落ち着かせようとするのだ。
「大丈夫だよ」
「でも……。でも……」
「もう怒ってないよ。辛かったよね? もう大丈夫だよ」
絵麻の胸に顔を埋める花蓮。
暫く服の上で泣き叫んだ後、絵麻から離れる。
すると、
「花蓮さん。一つ、提案があるんですけど……」
突然優司が話し掛けてきたため、彼の方を見る。
「僕は絵麻のことが好きです。……けど、だからって花蓮さんを独りにはさせたくないし、僕のことを好きでいてくれる気持ちを無駄にはしたくない。……だから、僕はずっと三人で一緒にいたいです。皆で幸せになりたいんです……」
彼の言葉に花蓮は暫く固まってしまう。
だが飲み込めたために目が潤み始めた。
「本当に良いの……?」
「うん。私も大丈夫。お姉ちゃんと私と優司の三人で、一生楽しく幸せに暮らしたい。だから、ね……?」
笑顔で微笑む絵麻に花蓮は再度涙を流した。
そんな彼女のことを絵麻と優司が優しく抱き締める。
「……うん……!」
太陽が地面と垂直になった。
日光が数多く窓の中へと入り、そして花蓮の涙と抱きしめる二人の背中を照らす。
それは誰にも知られることは無いであろう絶景であり、言葉というもの如きで表せるものではなかった。
────────────
荒い息を出しながら野宮はオフィスの廊下を歩いていた。
あの後に目覚めたらもう既に陽は殆どが暮れていて、会社の中は警備員以外が出払っている暗いだけのものとなってしまった。なので今はほぼ自分独りだけとなっている。
敗北を帰してしまった。まさか並のガジェットであそこまで追い込まれるとは思ってもいなかった。
けれどもこれで終わりなわけではない。終わる筈が無いのだ。確証は無いのだが、そんな気がする。
なので歩きながら次の計画を練り始めていた。
すると何故か左耳の方から拍手が聞こえてきた。
向くとどうやら音源はそこにあった会議室らしい。
恐る恐る入ってみると、その中では自社の重役達が拍手をしていた。
彼等が喝采の対象にしているのは、奥に座っている白装束の男と、緑色のジャージに身を包み髪の毛をピンク色に染めた長身の童顔の男であった。
「何をしている……⁉︎ ここは私の会社だぞ!」
「もう君の会社じゃないよ」
「は……?」
「先程、我々ゲルダム団が野宮コーポレーションが所有する株の55パーセントを買わせてもらった。これで、本社は我々のものだよ」
白装束の男の言葉に、野宮は動揺を隠せない。
折角計画を再度進めようとしていたのにも関わらず、いきなり出鼻を挫かれてしまったのだから。
重役達が野宮を見る。
彼等の目線はあまりにも冷たいものであり、嘗ての部下にそのように見られることは屈辱であった。
「ふざけるな! 元はと言えば、私は貴方のためにユーザーズシステムの開発を急いだんだろ!」
野宮が童顔の男を指差す。
けれども両腕を挙げて「さぁ?」と誤魔化すだけだ。それに怒りを覚え、益々激昂をする。
「何故そんな態度が取れるんだ! とうさ──」
「五月蝿い」
すると童顔の男はジャージの中から黒い拳銃を取り出し、引き金を引いた。
乾いた音が広い室内に響き渡ると、野宮は前を見据えたまま額から血を流して倒れた。それは全てを仕組んでいた黒幕の、あまりにも呆気の無い最後であった。
「もう名前とかは決めてあるの?」
ゴミを見るかのように野宮を眺めていた童顔の男が訊く。
「もう決めてあるよ。これだ」
白装束の男は自身の前に置いていたパソコンのエンターキーを押す。
すると彼の後ろでスクリーンがガラガラと降り始め、部屋が暗くなる。そしてそこに一つのマークが映し出された。
それはショッカーのマークに金色の枝が伸びて覆い隠そうとしている上から白い巻きついていて、双頭の化け物のようになっている。
「良いじゃん。格好良いじゃん」
童顔の男が褒めたため、白装束の男はどうやら満更でも無いようだ。
そして低く渋い声で静かに堂々と宣言をした。
「現時刻より、我々の名前は『ゲルショッカー』。この世界を一つにするための、究極の組織だ」
彼の言葉に重役達は再度拍手をする。
また高らかに響く音に二人は笑みを浮かべる。
それが新たなものが始まった瞬間であり、ただの肉塊となった古い者には何も聞こえなかった。
────────────
万太郎が知らせを受けたのは、それから少し経った時であった。
「もしもし」
『野宮小五郎が、遺体となって発見された』
「⁉︎」
電話越しの報告に万太郎は目を少しばかり開ける。それは彼がかなり驚いている証拠であった。
相手から続きを教えてもらおうと、電話越しの男に訊く。
「それで、ショッカーは解体ってことですか?」
『いや、別の組織に買収をされたらしい。ただ、それが何処なのかは一切不明だ』
「そうですか……」
『というわけで、引き続き頼んだ』
「……了解です」
通話を切った万太郎は、スマートフォンを仕舞いながら溜息を吐いた。
まだこんなことが続くのかとうんざりしてしまう。
けれどもこれが仕事なのだと割り切り、そして天を仰ぎながら呟いた。
「……もうすぐ3歳か……」
如:BOOTLEG、終
「──っていうのが始まりらしいぜ」
「……すみません。存じ上げています」
「あ、マジで?」
「
東京の高速道路というのはあまりにも車が多い。そのため追越車線に入ったとしてもすぐに渋滞に嵌り、追い越すどころか十数分も出られないことが殆どだ。
二人が運転をしている車もそうだ。
外見こそ2トントラックのようだが、『沖縄珈琲のお店 キジムナーコーヒー』のオレンジ色の文字に、円の中にハイビスカスを頭部の左側に着けた妖怪が描かれた同じオレンジ色のロゴマークや、それらと同じ色の模様が白い車体に彩りを添えている移動販売車であるこのバンは、他の車両の中では異質を放っているのだが、高速に嵌って大変という点では何ら変わらない。
その運転席では青みがかった黒髪をショートカットにし、無地の灰色のカーディガンに黒いチノパンツを纏ったスタイルの良い女性が運転を担当している。
隣の助手席に座るのは、様々な模様が歪に入った派手なペールブラウンのスウェットにジーンズを着、丸いサングラスを掛けた少しチャラそうな茶髪の男だ。
まるで対照的な二人が乗っているというのは、さぞかし滑稽であろう。
「それにしても、私達の出番、まるで無いですね?」
女が丁寧かつ無愛想な口調で言う。
「うーん。それだけ平和ってことじゃない?」
「そう、ですか……」
男の回答に女は少しホッとする。
ならば問題は無い。何せ自分達の職業というのものは、寧ろ呼ばれない方が良い職業なのだから。
「高速乗っちゃって大丈夫なんでしょうか……?」
「捜査帰りだから大丈夫でしょ。日野だぜ。一般道で帰るの面倒じゃん? 後で請求書切っておこうぜ」
「あー、はい」
他愛も無い会話を繰り広げていると、二人の中央に設置されている無線機が短い音を鳴らし、伝達事項を伝え始めた。
『警視庁から各局。調布署管内、覆面を被った謎の集団が暴れているとの通報あり。
「近いな……。公安501、高井戸から向かいます、どうぞ」
『警視庁了解』
男が無線機で応答をしたところで、丁度渋滞から抜け出すことが出来たために出口から降りる。
一般道に降りると男は足元から赤色のパトライトを取ると、窓から身を乗り出しながら車の天井に着け、起動をして赤色の光を出しながらけたたましい音を流す。
「ちょっと飛ばしますね」
「良いね〜。行こうか!」
女の言う通り、バンは出せるだけの速度で走行を始めた。
その外壁に着いたものと見た目がミスマッチであるために通行人からは好奇の目線を向けられるが、今となっては全く気にしないし、緊急事態であるためにそれどころではない。
そして移動販売車の皮を被った車両は、猛スピードで都会を疾走して行くのだ。
派:REMODEL、始
【参考】
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(https://www.hino.co.jp/dutrozev/)
一文字隼人|仮面ライダー図鑑|東映
(https://www.kamen-rider-official.com/zukan/characters/1410)
MIU404:現在地. TBS, 2020-08-07