活動を休止していた身ですが、少しずつ執筆を再開していこうかと思います。
感想や読了報告等くださると筆者の励みになります故、何卒宜しくお願いいたします。
尚、今回の話では現在では差別的とされている言葉を使っております。
これらの使用は、決して差別を助長するために使っているわけではないということを、どうかご了承ください。
【イメージOP】
THE RiCECOOKERS - 波のゆくさき for SPEC【辛】
【イメージST】
得田真裕 - TBS系 金曜ドラマ「MIU404」オリジナル・サウンドトラック
颯太が因縁に決着をつけてから数日が経過した。
だがしかしこれと言って何かが変わることは無い。寧ろ前よりも穏やかになったような気がする。
それが颯太にとってはあまりにも不可思議で落ち着かない。誰かと戦う者が陥るのは、こんな状態なのだろう。
夜も深くなった中、颯太はパソコンを観ながら満と通話をしていた。
今回はどうやらビデオ通話は厳しいらしいので、スマートフォンで電話をかけるだけである。
「そう言えばさ」
『? どうした?』
「城島お前さ、りみの家で働いていた小宮さんと、連絡取ったことある?」
『え? 無いけど』
「ああ、そう」
右手を頬に被せて何かを考える颯太。
『しかし驚いたよな。まさか小宮さんがあんな事件を起こしただなんて』
「ああ。同感だよ」
『大丈夫か? その……色々と、メンタルは』
「大丈夫大丈夫。別に気にしていないし」
そうは言ったが、どうにも思っていないわけではない。
恋人が殺された。犯人と疑われて襲われた。そしていざ真犯人を見つけたと思ったら顔見知りだった。
不幸中の幸いと言う言葉を人はよく使うが、不幸の中で見つけた物もまた不幸だった時、それを何と呼ぶのか颯太には分からなかった。
『何かして気紛らわしたらどうだ?』
「ああ。明後日出掛けて来るよ」
『そうか。因みに訊きたいんだけど、お前がぶらぶらしている時って佐藤さん何しているんだ?』
「さぁ? 別にお互い何処に行っても気にしないし」
所詮は一つ屋根の下で暮らしているだけの話だ。
いちいち気を遣っていたのでは疲弊してしまう。
そもそも、本人も勝手に出掛けるのに、自分だけが彼女の行先を把握してああだこうだ言うのは何だか変な話である。このチャラチャラとした男も、一応はまともな思考を持っていると言うわけだ。
「話は変わるんだけどさ、お前、人探しの調子はどうなの?」
『ああ。実はもう見つかってな、今度その人に会いに行く予定になった』
「そうか。じゃあお互い忙しくなりそうだな」
以降、殆ど特に何も話さず、5分程して通話は終わった。
要は話のネタが無くなったのである。
と言うより、最初から話したいことなど無かった。ただ何となく声を聞いてみたいと思うだけ。しかしそうだからこそ、話したいことが頭の中で浮かんで来る。特別何かを持って臨む必要など、会話では皆無なのだ。
現に部屋の壁に付けられた丸い時計は21時を示し、通話が始まってから2時間弱経ったことを無言で伝える。
そう言えば何も腹に入れていない。時間の経過は無理矢理に空腹を呼び起こし、颯太をキッチンへ誘導する。
今日は何だか何も作る気力になれない。
仕方が無いので非常食用に蓄えた袋麺を棚から取り、封を開けて白い大きな
欠けた端の部分を多少の屑として、カランと音を立てながら入ったそれに、後は湯をかけるだけになった。
しかし、置かれてある白色のポットから流れる物を見て、颯太は首を傾げた。
熱せられた水は放たれる際、多少の白みを帯びて目的地に向かう筈であるのに、目に見えている物は文字通り無色透明である。
おまけに丼からは一切の湯気が立っていない。
つまりはただの緩い真水だったのだ。そういえばポットの中に湯を入れてから1日以上経っている。ならば保温性のある容器に入れていたとしても、その熱は確実に失われる。
膝を曲げて顔を机に突っ伏し、自分の馬鹿加減に参ってしまう。
すると後ろから風呂から出て来た由姫が話しかけてきた。
「何しているの?」
「
「ああそう。私もう自分で食べたから大丈夫」
「別にアンタの分は無いから」
思えば最初はこんなやり取りも鬱陶しくて仕方が無かった。
しかしいくつも続けて日常になった瞬間、いつの間にか慣れてしまって何も感じなくなってしまった。
苛立ちも糸瓜も覚えず、由姫はパジャマ姿でベッドに仰向けで寝そべり、スマートフォンの画面を眺める。
職場では決して見せることは無いであろうあられもない姿に、颯太は声をかける。
「佐藤さんさ。明後日休みでしょ?」
「そうだけど」
「何処にも出かけずに家にいたら?」
「何で?」
「何となく。俺と二人でいるのは嫌だ?」
「……まぁ」
多少の間を置いて答える由姫。
こう言う流れの時はいつも、ニヤついた颯太に何だかんだ会話の主導権を握られ、それが発端となって軽い口論が始まってしまう。
回避をするために由姫は話題を変える。
「ずっと気になっていたんだけどさ、何で私って公安第五課に呼ばれたんだろうね?」
「どうしたの急に」
「だってそうでしょ。壱宮君はユーザーになれる、柿沢さんは電子機器の開発が出来る。私には、何も無いし……」
「それ言ったら渋谷さんとかどうなのよ」
「凄いペースで足で稼いでくれるじゃん」
「確かにそうか」
岩田は銃の扱いに優れているからとは言ってくれた。しかし何だかそれがお世辞のような気がしてならないのである。
自分で言って少し凹んでしまったのか、重い吐息が口から出てしまった。
「……まぁ、俺は佐藤さんがいてくれるだけで嬉しいけどね」
「……ホントそういうのズルい」
由姫の呟きに颯太が気が付くことは無く、何事も無かったように冷蔵庫の中を漁っていた。
言った本人は高まってきた体温をどうにかしようと、ベッドの上で右往左往し始める。
その間にもスマートフォンからは目を離さない。
すると突如として由姫が回転を止め、空いた左手で静かにガッツポーズを決めた。
画面に表示されているのは「おめでとうございます! H-WATCHの先行販売に当選いたしました。」とのメール。
待ちに待った出来事に胸を躍らせる彼女のことなど全く気にせず、颯太は冷蔵庫の中を漁る。
そのうち、ブザーが短く鳴って制限時間を告げられてしまった。
────────────
非番の日、浩介は必ず地域のボランティア活動に参加する。
最初はただ就職に有利になるための行為で、そこに慈善の想いも糸瓜も無かった。ただ与えられた作業を行なって点数を稼ぐだけの、単純作業の類だった。
しかし就活で箸にも棒にも引っ掛からず、目的も無く警察学校に進学したことで、その流れは変わったと言える。
「世のため人のため」という常套句のために働く警察官の姿勢を学ぶということは、これまで殆ど惰性で生きてきた浩介の中の義侠心を燻り、そして何もかもを変えたのだ。
その結果が、正義感が強く暑苦しくい今の状態と言える。
そして今も洋平を誘い、碧と共に地元の沿道のゴミを拾っている。
全員で緑色のゼッケンを羽織り、見えない汚れを一掃していくのだ。
誘った当初は来てくれるかどうか不安だった。洋平のことだし、休日は家族とゆったり過ごしたいと思ったからである。
だが意外にも乗り気だった。というのも、どうやら家族はそれぞれの都合で出かけてしまっているらしく、独りで時間を潰す予定だったのだ。なので誘ってもらったのは良い機会だったのである。
3時間の仕事が終わった。
街の中央付近にある公民館の大きな会議室に、数十人のボランティア全員が集まる。長机とパイプ椅子が用意された会場では区から支給された礼代わりの弁当が用意されており、それを全員で頬張る。
三人が横並びは座り、中に入っているおにぎりとゆで卵に舌鼓を打った。
「そういえば、渋谷君ってまだ佐藤さんのこと好きなの?」
唐突な質問に浩介は飲んでいた緑茶を吹き出しそうになる。
必死に耐えてペットボトルを置いた浩介の右隣で、碧は興味津々に彼のことを見ていた。
「何? 渋谷君って好きな人いるの?」
「い、いや、好きっていうか、それは……」
「図星なんだね」洋平が言う。
「流石にもう諦めましたよ。だって佐藤さんには壱宮さんがいるし……」
「その人って確か仕事のバディみたいな人でしょ? だったら勝ち目あるんじゃない?」
「どうでしょう……。多分無いかもしれないです……」
「確かに、最近佐藤さんの壱宮君を見る目が何となく変わったというか……」
最近の由姫の姿を同時に思い浮かべ、何かに納得したようだ。
「ま、まだ若いから次があるよ」
「有り難うございます……」
浩介の落とされた肩にそっと手を添える洋平。
二人の様子を見ていた碧は無言で微笑み、正面の方を向いた。
その時、何故か碧の口角が下がり、目が少し大きく開かれた。
彼女の様子を見ていたわけではないのだが、おかしな空気を感じた浩介と洋平は無言で同じ方を見る。
開かれたドアの先から、誰かが去って行くのが目視出来た。全員が食事に集中をしている中だったため、恐らく自分達の目線を感じてようやく逃げたのだろう。
一瞬のうちに確認出来た情報を頭の中で整理する。
背丈はドアと同じくらい。黒いスーツに眼鏡の格好には既視感があった。
──あれって……。
頭に思い浮かべた人物はただ一人。
颯太に影から協力をする男──滝口万太郎だ。
しかしどうして彼がこんな所にいるのか、まるで見当がつかない。
元々本人のことがよく分からない男だ。なので寧ろ何をしていようが驚かないのだが、ここにいるということは明らかに不自然であること間違い無かった。
いくら考えても頓珍漢な答えの一つも浮かんで来ない。
疑問は頭の片隅に移動させて放置し、そして再び食事に手をつけた。
────────────
そろそろ正午になる頃の話である。
満は平日の公園にいた。平日だからということもあってか、敷地内にいるのは、まだ幼稚園や保育園に入っていない子供を連れた保護者が2組程と、仕事に疲れた休憩中のサラリーマンが1人ベンチに座ってだけである。
別のベンチに座りながらスマートフォンをいじる満。
まるで何かを待っているような様子でいて、触るのに飽きては周りの景色を微かに眺め、また画面に集中をすることを何度か繰り返す。
すると、
「こんな所で何しているんだ?」
右から聞き慣れた声がした。
まさかと思ってその方を見ると、一人誰かが立っている。中学校の頃から変わらない、腐れ縁で繋がっている男である。
「なんだ、お前か。どうした?」
「それはこっちの台詞だよ。こんな所で何しているんだ?」
別に、とだけ答えが返ってきた。
ペールブラウンの大きなメッセンジャーバッグを傍らに満の隣に座ってから、暫し沈黙が流れた。子供達の声が遠ざかっていくにつれて満は少しずつ上体を下げるが、颯太は風に揺れるブランコを真っ直ぐと見つめている。
「お前が探している人って、結局誰なんだ?」
「……それは言えない。俺にも守秘義務というものがある」
「だろうな。言えないよな。……じゃあ、これは答えられるか?」
「お前、ゲルダム団の一員だろ」
ブランコの動きが止まった。どうやら風が止まったらしい。
満の目線はじっと地面を見つめている。砂粒一つとして微動だにしない殺風景であるが、それ以外に見つめるような気には決してなれなかった。
「知り合いに色々と調べてもらった。お前、親御さんと一緒に変な集会行ったりしているよな?」
これは万太郎に調べてもらったことだ。
満は月に何度か、家族と共に地域の公民館で開催されているイベントに参加をしているとのことだった。名目上はセラピー教室となっていて、職員が覗いてみると椅子を円形に並べながら小鳥の囀りのように小さな声で話し合っているらしい。
ありふれたセラビー教室だ。
職員の記憶通りにペンダントの模様を絵に再現した。
丸の中に大樹が収まったそれは万太郎曰く、ゲルダム団のものであるらしい。
「知らないよ。まず何だよ、ゲルダム団って」
顔を上げて早口で捲し立てる満。
口の端は転換をして笑顔を作り出しているのだが、颯太が「それだけじゃない」と続けたことで、口角は地面とほぼ並行になり、それはただのその場しのぎのものであったことが判明した。
「小宮さんが逮捕される前に俺の小説のタイトルを言っていたんだけどさ──」
「あれだろ? 『季節は沈黙する』っていうやつだろ?」
「……何でそのタイトルを知っているんだろうな?」
「何でって、そりゃあ
小宮明里が逮捕されたその日、颯太が作品を連載している週刊誌にて、新作のタイトルがお披露目となった。颯太と由姫が明里を尋ねたのは早朝だったものの、電子書籍を使えばすぐに読むことが出来る。
別に知っていても何の問題も無いだろう、と満は言っているのだ。
「そうだな。
「? どういうことだ?」
すると颯太はバッグの中から厚い冊子を取り出した。
松の木や紅白の錦鯉が抽象画のように描かれている表紙の上に、隷書体の白い文字で『週刊檸檬』と書かれている。それはまさしく、数日前に発刊されたものだった。
数百あるページをパラパラとめくり、全体の半ばを過ぎた辺りで指を引っ掛ける。そして見開きの状態を左手で上から鷲掴みにし、中身を満に見せた。
【本日の新作】
壱宮颯太「静寂の冬」
思わず満は目を少しばかり開いた。自分の中で結び付けていたものがバラバラに崩壊をしていっているようで、視線は逸らされ瞬きが多くなっている。
「ギリギリの所でさ、編集の人に変えてもらったんだよ。流石に怒られたけどな」
自虐的な笑みを浮かべる颯太。
事実、電話越しにお願いをしてみたら編集部に呼び出され、担当の編集者に数十分に渡ってこっぴどく説教を受けた。
これで済んだだけではなく、とんでもないお釣りが来たために、颯太は驚きながらも幸運なことであると誰に向けてでもない感謝をした。
「念の為調べてみたけど、編集部の中にゲルダム団に関係のある人間はいなかった。このタイトルを知っている人物は……お前しかいないんだよ」
そして、彼は小宮明里と大きな接点を持っている──。
つぎはぎだらけではあるが、出来上がった地図は確実に目的地へと導いてくれている。
「……もし、俺がお前の思っている通りの人間だとして、どうするつもりだ?」
満が重い口を開いた。
対する颯太はいつものような軽い口調で答える。
「信教の自由が認められているこの国じゃ、別に一員だからと言って罰せられることは無い。ただ……色々と訊きたいことはある。ゲルダム団は何を企んでいるのか。それから、お前が探している人間は誰なのか──っ⁉︎」
次の瞬間、左の脇腹に鈍い痛みが走った。
恐る恐る見てみると、細長い何かが当てられている。透明な管の中から無色の液体が押し出されている。
あまりのことに呆然としてしまったが、それが注射器であることを認識するのに時間は掛からなかった。
「お前っ……!」
液体が途中までしか入っていないが、ここで掴み掛かられては面倒になりかねないので、引き抜いて颯太の前方、ほんの少し離れた場所に立つ。
「お前のことだから、どうせ真相に辿り着いているだろうと思っていたよ。全部想定内だ」
満の表情は元々ある程度のポーカーフェイスであるからか、然程変わらない。しかし、顔の奥から滲み出ていたある種の焦燥感は消え失せ、代わりに自身を追い詰めようとした人間に対する優越を覚えた。
颯太は刺された部分を左手で押さえながら倒れ、ベンチから転がり落ちてしまった。薬の影響と背中から地面にぶつかったことが起因したのか、徐々に意識が薄れていく。手から力が抜け、目の焦点が定まらずに景色がモザイク画のように崩れ始めた。
「倒れる前に教えてやろうか? 俺が何を探していたのか」
「……?」
「
背中──。
何か引っ掛かる。だが、断片的にしか捉えられていないもの同士を結び付けようとすることは、かなりの重労働である。ましてや、今この不調の中では、頭が通常通り働いてくれない。
しかしその中で何とか、他の点達を見つけ結び付けた。
──ゲルダム団は、
──それはラシャの娘のことである。
──彼女の背中には翼のような蒙古斑があり、そこにSDカードが埋め込まれている。
──現在の年齢は20代前半。
「……まさか……!」
「そう。そのまさかだ。そして、今、俺達の仲間が彼女を迎えに行っている」
標的は自身の家で優雅に昼食を楽しんでいた。
同居人がどのような苦境にあるのかも知らず、コーヒーを嗜みスマートフォンを操作している。
颯太に今日の外出を強く反対された時、最初は軽く
その結果として、由姫は生産性の無いネットニュースをコーヒーで流し込むことしか出来なくなっている。
一体どうやって暇を持て余そうか。
──何で壱宮君がいないんだろう……。
スマートフォンが手中から落ちそうになり、慌てて再度手の中に収める。
その動きでコーヒーの表面は揺れて波を立て、溢れる寸前の所まで来たが少しして静かになる。
ただの話し相手が欲しいだけだとは思う。
しかし本当にそれだけだろうか?
ある一つの答えに帰結はしかけているのだが、それを認めることは出来ない。そもそも許されるわけがない。
胸が疼く。同時に背中に若干の寒気を感じる。妙な感触だ。
今までの人生で感じたことの無い胸の高鳴りと、不吉な予感である。
気を紛らわせようと再度コーヒーを胃に入れた瞬間、インターホンが押された。
モニターに映ったのは黄色の制服とキャップに身を包み、縦に長い大きな段ボールを抱えた3人組だ。曰く宅配業者の人間らしい。
事務的なやり取りだけとはいえ、独りに退屈をしていた自分にとっては良い話し相手に思える。すぐにドアを開けて対応した。
印鑑をお願いします。
伝票を差し出されたため、すぐ隣にあるケースから印鑑を取り出そうと横を向いた瞬間だった。
「ッ⁉︎」
刹那、無防備な首筋に激痛が走り、由姫はあまりのことに思わず意識を失ってその場に倒れ込んだ。
彼女の様子を見て配達員達はキャップの影の元ニヤリと口角を上げる。
そして抱えていた大きな段ボールを二人がかりで動かし、作戦を始めた。
「じゃあ、そろそろ俺も役目を果たさせてもらう」
すると満の腹部が変形し、これまで颯太が戦ってきた者達と同じドライバーが出現した。
どうやら思っていた以上に用意周到だったらしい。
同時に一つの小さな機械が遠くの方から走って来て、跳び上がった所を満が右手でキャッチした。
藤納戸*1の六角形で、表面には灰汁色で薄らとカーブをした三角形が2つ描かれ、『L09』『ORGE』と白く印字されている。
人の形を作っている頭部や両腕両脚を仕舞い込んでただの六角形に変えると、ドライバーのスロットに装填した。
『L:
ゆっくりと右手をドライバーの表面に添える。
視線を前に向けてじっと睨む。先にいるのは倒れている颯太だ。薄れる意識の中で一連のことに驚きを隠せないようだ。
そんな彼に、満は真の姿を見せることにした。
「変身……!」
『変身シークエンスを開始します』
静かにドライバーを押し込むと、満の体が黒く変色。全く違う形へと変貌すると、黒色だった体はガジェットと同じ藤納戸に変わった。
筋肉質な体に灰汁色の線が数多の傷跡のように入り、上から全身に金色や赤色などが煌びやかな鎧を身に纏っている。
般若の面を思わせる体色と同じ色をした頭部は、彼が隠し持っている闘争心の表れと捉えても不自然ではない。その証拠に、両手に1本ずつ握られた刺股の柄には無数の棘があって、下った先で10センチメートル程の鋭利な刃が陽の光を反射して輝いている。
『ORGE』
「
一説では江戸時代に将軍・徳川綱吉が発布をした生類憐れみの令によって、動物や人間の死骸を処理する穢多や非人に対する差別が横行したことで、彼等が社会から隔離されて隠れて生きてきたことが所以だとも言われている。
鬼とは、隠された存在。目に見えない存在。存在しない存在。
誰にも認識をされることは無く、只管全てを隠しながら生きてきた。
では、満──オルグユーザーは何を隠し生きてきたのか。
それを考える余裕は、今の満には無かった。
【裏話・余談】
今回のサブタイトルは
それから、来年配信開始予定の新作のイメージCVを公開させていただきました。
こちらからご覧ください↓
https://x.com/KotoShimura06/status/1821529038407835883
後、受験が終わってから最後半分を仕上げたんですけど、文体が結構変わっていて自分でもびっくりしました(笑)
それはそれで楽しんでいただければ有り難いです。
【参考】
君が手にするはずだった黄金について
(ISBN978-4-10-355311-3, 新潮社, 小川哲 著, 2023年)
ムジカ2021年3月号
これだけ知っていれば大丈夫!メンズバッグの種類まとめ!特徴や用途をご紹介! - LL.cool-F
(https://ll-cool-f.com/bag-category-men/)
【フォントの基礎】書体の種類と違い フォント形状の特徴などを解説|321web
(https://321web.link/fonts-type/)
鬼 - Wikipedia
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%e9%ac%bc)
「赤鬼」と「青鬼」と「黒鬼」と「黄鬼」と「緑鬼」の違いって?|ことくらべ
(https://kotokurabe.com/oni/)
刺股 - Wikipedia
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%e5%88%ba%e8%82%a1)