ポケットモンスター金銀クリスタル 【水縛りの冒険】/ポケモン 作:美容室
語句の意味がわからない人はggって下さいまし('□c_,□` )
ヒワダタウン
マツリ side
「着いたーーー!!」
ウバメの森を抜けた頃にはもう、日は沈んでいた。
関門を通り、町の歩道に足を踏み入れる。
山や森に囲まれた、自然の中に溶け込むように拠点している町並。薄暗い夜になってくると、街明かりが点々と灯り始める。
「まずは〜、ポケモンセンターだね〜。」
アタシはボールに入って疲れ果ててる3匹の子達をひと撫でし、歩く足を早めた。
「では、3匹ともお預かり致します。」
「お願いしまーーす!」
アタシはジョーイさんにポケモンを預けて、外に出る。
「ふぅぅうあぁ……!空気が美味し〜〜!」
自然と一体化してる小さな町だから、コガネシティよりも涼しくて爽やかな空気が身体の中に流れ込む。
アタシは夜の田舎町をぶらぶらしながら、水場を求めて散策を始める。
………プ〜ン……。
パシン!……プ〜ン……。
「むぅ、虫が多い〜。」
ヒワダタウンは森や山が近いだけあって、小さな虫や蚊がたくさん群がっている。身体についた虫を叩きながら、アタシは歩き続けた。
町の北の方へやってきた。
歩道の道端に立ててあった看板を読む。
『東エリア。このさき、ヤドンの井戸。』
ありゃ〜、東だったんだ〜♪
自分の方向音痴に目もくれず、アタシは町外れへと歩いていく。
「綺麗な池、はっけ〜〜ん!」
アタシは泳ぎ場を見つけ、なんとか飛び込みたい衝動を抑える。遅くなったらおやぶんに叱られるからね〜♪
この池への道を覚えながら、来た道を戻って町へ帰る。
すると、道の真ん中に一匹のヤドンが寝ていた。
「うわああ!!かっわいいいい!!」
アタシはすかさずヤドンに近づき、寝ているにもお構いなしに上から覆いかぶさるように抱き着いた。
「にへへぇ〜〜♪プニプニでジトジトだね〜〜♪んでも気持ちいい〜〜♪」
まるで抱きまくらのように愛玩する。
「…………ヤァ……。」
ヤドンが目を覚ます。寝ぼけ眼を見せつけながら、重たいまぶたを上げようとうつらうつらとしている。
「(ありゃ……このヤドン……?)」
アタシは今のしかかっているヤドンの体を念入りに触ってみた。
すべすべでヌルヌルのヤドンの潤いのある皮膚。んだけど、虫刺されの跡がたくさんあり、赤みや湿疹、腫れ物がきわめて目立つ。
「そっか〜、町外れまで散歩して寝ちゃうから、虫に刺されるんだね〜。」
アタシはう〜〜んと唸って考え、かわいそうなヤドンを見つめた。
「んしょ…んしょ…。」
「…………ヤァ……。」
アタシは重たいヤドンを背負い、町へと引き返す。
町中だったら虫はそんなにいないから、安全だからね〜♪
15分くらい時間をかけて、アタシは町の中に到着し、ヤドンを降ろした。
「ふぃ〜、重かった〜。」
アタシはぐっと身体をのけ反り、背中や腰をストレッチした。
「おい嬢ちゃん。なにしてんのこんな時間に。」
すると、町の人かな?髭の生えたおじさんがやって来た。
「こんばんわーーー♪」
「はい、こんばんわ。嬢ちゃんはトレーナーかい?こんな夜遅くまでダメだよ、出歩いてちゃ。」
「えへぇ、ゴメンなさーい。ヤドン運んでたんだー。」
「運ぶだと!?さては泥棒か!最近ヤドンが滅多にみかけないのはアンタのせいか!」
「ほぇ!?違う違う〜!」
アタシは町外れで寝ていたヤドンを町中に担いで来たことを話した。
「やぁ、そいつは悪かったねぇ。なんて優しいトレーナーもいたもんだ。ありがとう。」
「にへへぇ〜♪どーいたしましてー♪」
「嬢ちゃん一人で担いで来たんか?重かっろ?一匹40Kgあるんだぞ?」
「だいじょぶ!アタシパワフルだから!」
ホントはけっこー重かったけど、ちょっと見栄っ張っちった♪
「ヤドン達は移動がのっそりとしてるから、たまに町に返らずに外で寝ることが多くてな、たくさん蚊や虻に食われちまうんだ。たまに週一くらいに町の皆でヤドン担いで町に運ぶんだけど、この町若い衆が少ないから結構しんどくてな。」
「ほぇ〜〜〜?」
アタシはスヤスヤと寝ているヤドンの鼻チョウチンを指でツンツンした。
チョウチンは割れて、ヤドンは眉にシワを寄せながら、眠りに没頭する。
「あはは〜、かっわいい〜。」
「そうだろ〜。ここの住人みな、ヤドンが好きなんだ。」
おじさんはヤドンを、まるで我が子の様に首筋を撫でた。
次の日の早朝。
アタシは、おやぶん、ワニッペ、ゼルをボールから出し、ポケモンセンターの外へ出る!
ちょっと曇っててムシムシするけど、暑いよりはだいぶマシだった。
「さぁ!池まで走るぞ!」
「なんか久々だなぁ。」
「ワニ……。」
「ブイ……。」
「ありゃ〜、みんな元気ないな〜。頑張るぞぉ!!オオォォーーー!!!!」
「お〜。(なんだよコイツのテンションは…。)」
「ワ、ワニー!」
「ブーイ!」
ポケモンセンターから昨夜見つけた池を目指して走る事30分。
朝もやの中、森に囲まれた広くて綺麗な池が見えた!
「ほらね!あったでしょーーー!」
「ぜぇ…ぜぇ……マツリ、速すぎる…。」
「………。←(酸欠)」
「……ブ……イ……。」
アタシ達は早速、早朝のトレーニングを始める!
静かで広々とした場所で泳ぐのは、すごい『ゆーが』な気持ちにさせた
おやぶん side
………ふぅ〜。
眠たさを噛み締め、俺は気を引き締めて、声を張った。
「着水!」
「はーい!」
ドボンと音を立てて、マツリが池に飛び込む。水深2〜3m、奥行き約50m。生息ポケモンも少ねぇ。
マツリにしちゃあ、いい場所を見つけたもんだ、珍しい。
水着姿で水面からマツリが顔を出す。
「ウォーミング開始しろ。」
「うーっす!」
マツリは水中に潜り、身体の各部をひとつずつ動かしながら、ゆっくりと泳ぎ始めた。
「ワニッペとゼルはショットだ!300本!始めろ!」
「「はい!」」
ワニッペ達は池の縁の陸上で、水鉄砲の反復練習。朝に300本。昼に100本。寝る前に200本。毎日欠かさず反復練習を重ねる。
ワニッペとゼルは文句ひとつ言うことなく、真剣に水鉄砲の練習を行っている。……まぁ俺の目の前で文句言うヤツはいねぇだろう。
ワニッペとゼルは自由な構えで、撃ちやすい体勢で体内から水を放出する。そして音を立てて、的にしている大木が濡れていく。
バシャァアン!
「ワニッペ!身体が流れてるぞ!腰を低く、内股で踏ん張れ!」
「はい!」
バシャァアン!
「ゼル!また首が動いてるぞ!鎖骨の内側を水が流れる様にイメージしろ!」
「了解!」
「おやぶん!ウォーミングおわり!」
「よし、SKIPS入れ!」
マツリはいつものメニューを開始する。池の淵から蹴伸びして、ドルフィンキックで水面から顔を出さないように推進する。
ある程度推進したら顔を出し、腕と足を使ってクロールで泳ぐ。
向こう岸まで行ったら次はサイドキックで戻る。足だけで元来たラインを推進する。
こちら岸に戻ればすぐさまサイドキックし、プルアンドタッチ。両腕で水を掻き、大きく腕を旋回させて真っ直ぐ垂直に腕を伸ばし、繰り返し腕のみで推進する。
また向こう岸につけば、バサロキック(仰向け)やドルフィンキックし、普通のクロール。長水路推定だから多少きつい。1セット200m泳ぐわけだ。 マツリは池の中央、残り25mをクロールで泳いでこちらに戻って来る。
「マツリ!ノーブレ!(無呼吸)」
「……はっ……ぷはっ…!」
人間の世界ではまずありえない光景。残り25からのノーブレ。マツリは苦しむそぶりを見せる事なく、岸にたどり着いた。
「はっ……!はっ……!」
息を切らしながら水面から顔を出す。
「インターバル20秒!次!カールス!」
「はぁ……!は、はい……!」
俺は池の淵から、マツリの泳ぎ、ワニッペ達の技の指導に専念する。
「次!ダイブダッシュからのストローク!エアロビック!」
ザブンッ!!
早朝のトレーニングを始めてだいぶ時間が経つ。既に登りかけていた太陽が真上にさしかかり、さっきまで浮かんでた曇り空が嘘のように消え去っていた。……ち、雲のバカヤロめ。
「……。」
「………。」
ワニッペとゼルは300本を撃ち終わり、マツリの練習する姿に釘付けになっている。
静かな自然の空間に、マツリの水掻く音が響きわたる。
マツリが向こう岸からストロークで帰ってくる。
「次!ベーシック!フォームを意識しろ!」
「……はっ!……はぁっ!」
再びマツリは縁に到達、直ぐさまサイドキックで池を往復する。
「次!スレッショルト!少しずつ上げていけ!」
「ぷはっ……はっ……!」
マツリが行って帰る毎に、俺は指示を重ねていく。泳ぎの段階を少しずつ上げていき、スピードも持久力も最終段階で搾り切るように…。
故に、マツリがどれだけへばろうが知ったことではない。
「次!オーバーロート!」
「次!ラクテートトレランス!馬鹿野郎!ペース落としてんじゃねぇ!」
「次!ラステートピーク!スピード緩めたらぶっ殺すぞ!」
「……!……っは……!」
そして、マツリは岸にたどり着いた。メニューを終えたマツリは、腕に力が入らないのか、池の淵の草をつかんだまま、苦しそうにもがいている。
マツリは完全に疲弊していた。
「休むな!最後クール!」
俺はマツリ池に蹴り落とした。
「がぼっ……ごほ、ごほ!」
マツリは池に落とされ、もはや動かない身体に力を入れようにも、どんどん身体が沈んでいく。
「リーダーさん!」
「リーダー!」
ワニッペ達がマツリの身の危機を感じ、池に飛び込もうとするのを俺は遮る。
「手ぇ出すなよ。」
「で、でも!溺れてるじゃないですか!」
「何故蹴り落とすんだ!」
生意気にもワニッペ達は俺に抗議する。
「『水難救助』に携わろうってヤツが溺れ死ぬくらいなら、俺が殺す!」
射殺す思いでワニッペ達を睨み返す。……ワニッペ達は、不満げな表情を残しながら退いた。
「……マツリが……俺に頭を下げて『トップシー』を再建したいと言ってきたんだ。……俺達は遊びでこんな事やってんじゃねぇ。」
マツリはなんとか水面に顔を出したようだ。激しく息をしながら、最後のサイクルに移行する。
「バサロで泳ぐな!筋肉痛で死にてぇのか!?」
仰向けに泳ごうとしたマツリを制し、ブレストまたはキックアンドプルで泳がせた。
マツリ side
………は……………はぁ……。
あ、新しい……プール(池)になって………、いきなりメニューがきつくなった………!
ヒワダタウンの近くの森の中。大きな広い池を往復する。それだけで、身体がひきちぎれそうだった。
アタシは池から上がる。
身体に浸る水滴が、草や土につく。
太陽がチクチクとアタシの肌を焦がした。
「ワニ…。」
「ブイ。」
ワニッペとブイゼルが、アタシを心配そうに見上げていた。
「はあ…!はあ…!……っ……えへへ……♪」
アタシはニッカリと笑みを浮かべ、ゼル達を撫でた。
そして、おやぶんの所へ行く。
「……本来なら人を担ぎながら泳ぐんだ。これくらいで根をあげんじゃねぇ。」
「はあ……!あ、ありがとーござましたー!」
おやぶん side
マツリはそういうと、膝を崩して地面に倒れてしまった。
「おい、寝るんならポケセンで寝ろ。」
俺は、倒れたマツリに言い放った。
……あぁ、今日も暑ぃなぁ〜。
………この町のジム戦、課題を決めとかねぇとなぁ……。
おやぶん side out
??? side
どうして、たのしいことってすぐに終わっちゃうのかな?
たのしいことって、ずーっと続けばいいのに。
ボクの友達のイシツブテくんとサンドくん。夕方になれば遊びは終わり、みんなおうちに帰ってしまう。
………はぁ。
ボクは空を見上げた。
茜色のお日様が、向こうのお山に沈んでいき、反対側のお山から夜がやってくる。
たのしいことが終わるとき。
ぼくはそれが一番いやだなぁ……。
「ただいま〜。」
広い池に、ボクはあいさつをする。
ボクはおうちに帰ると、まずゴハンを食べる。今日のゴハンは『カワムツ』だ。
それを食べた後は、座ってるだけ。
「(……おとうさんも、おかあさんも、会えなくなっちゃったから、ボクは、この時間がとてつもなくいやだった。)」
目をつむると、鈴虫達がチロチロと、草むらからおうたを歌っているのが聞こえる。
目を開けると、いつもと変わらない池が、静かにゆらゆらと揺れている。
少し顔を上げれば、向こうの森が小さくならんで見える。
もっと顔を見上げれば、暗くて青い空に、キラキラ光る変な虫さん達が、輝いてみえた。
あの虫さんは、毎晩数が違うって、サンドくんが言ってた。
ボクは最高188個数えた事がある。
「今日は、虫さんが少ないや……。」
ボクは草の上にじっと座って池を見つめる。
「(もしこの池が、にぎやかだったらなぁ……。)」
まず、お空がパーって明るく光って、お魚達がダンスをする。
草むらでうたってる虫さんがハードロックに目覚めてビートを刻む。
友達のイシツブテくんもサンドくんも呼んで、わいわい遊ぶんだ。
でも、いずれはだんだんと疲れてきて、みんなヘトヘトになって眠ってしまう。
そこへお腹を空かせたゴルバットやアーボックがやってきて………。
ゴルバット『けけけ!こいつらグッスリ寝てやがるぜ!血を吸い取りまくってやるぜ!』
アーボック『わはは!ミイラにしたら俺様に寄越せよ!丸呑みにしてやるぜ!』
『『ぎゃはははははは!!』』
「うわああああ!!いやだああああ!!」
いやだよ〜〜!こわいよ〜〜!
ガサッ……!
うわあ!?
な、なんの音……?
ボクは振り向くのが恐くなった。
もしゴルバットやアーボックだったらもうおしまいだ。
ボクは泣きながらゆっくりと、後ろを見た。
「焼いて喰ってやろうかあああ!!!」
「うわあああああああああああ!!!」
ワニッペ side
ヒワダタウンに来て2日目。
その日の朝と昼に練習を終え、これから夜練(よるれん)が行われる。
リーダーさん、おやぶんさん、ゼルと一緒にあの池へと向かっていた筈なのに。
………またリーダーさんが行方不明になりました……。
「どこ行きやがったあああ!!」
おやぶんさんが地団駄踏みながら怒っている。もう、この風景に慣れてしまった自分が恐ろしい……。
途中で逸れてしまったリーダーさん。ひょっとしたら池にいるかもしれないと、先に目的地に行ってみることに……。
練習場の池のほとりには、やっぱり誰もいなかった。
「イライライラ……。」
「…さ、先に練習始めます……か?」
「探すと時間がなくなるぞ。」
あぁ、おやぶんさんが今にも狂い出しそうな形相を浮かべている。
そしておやぶんさんは、溜めていた怒りを爆発させた。
「焼いて喰ってやろうかあああ!!!」
「うわあああああああああああ!!!」
…!?
誰かの声が近くで響いた。
ボクとゼルは、おやぶんさんの元へ駆け付ける。するとおやぶんさんの目の前には、小さな水色のポケモンが、ビクビクと泣きながら恐がっているのが見えた。
「わりぃわりぃ、ビビらせちまって。悪かったな。」
おやぶんが頭をかきながらそのポケモンに謝る。
「ぐす……ううう………。」
「このポケモンは………ウパーだな。」
ゼルが思い出したように言った。
僕とゼルは、いつものように構えをとり、水鉄砲を放つ!
バシャァアン!
バシャァアン!
2つの水弾が、20m先の木の幹に命中する。今日でもう500発、ゼルと一緒だから1000発当たってる木は、皮がめくれて今にも倒れそうでなかなか倒れない。
「ワニッペ!息を吸うのが少し遅ぇ!お前のは『…スゥ、ハァ!』だ。じゃなくて『スッ…ハア!』だ!解るか?」
……なんか、だんだんとおやぶんさんの説明が抽象的になってきた気が……。
「……テメェ、俺の指導じゃ役不足だっつうのか。」
「ああああいやいやイエイエ!そんなコトアリマセン!?」
結局おやぶんさんに殴られた…。
おやぶんさん、心が読めるの忘れてた……。
僕はちらっと横をみた。
池の淵に座りながら、ずっと水面を見つめてるウパー君。でもたまに、こっちをチラチラと見ていた。
僕と目が合うと、ウパー君はビクッとして、俯いてしまう。
ウパー side
ボクのおうちにやって来たのは、マリルのおじさんと、ワニッペくんに、ゼルさんというポケモンだった。
その3匹は、僕のおうちで水鉄砲の練習をしている。トレーナーのポケモンかな?
野生のポケモンなら仲良くできたかもしれない。
でもトレーナーのポケモンは旅をする。
だから、仲良くなってもお別れが早いのだ。
ボクはワニッペくん達をたまに横目に見ながら、目の前の池をいつものようにながめる。
「よぉ。」
「うわああ!ああ!あ!び、びっくりした……。」
さっきの怖いマリルおじさんが、ボクの隣に座った。ボクは怖くて身体が固まる。
「んなにビビるこたないだろ、ウー太。」
「……?……ボク、ウー太?」
「そうだよ。名前持ってんのか?」
「……おとうさんとおかあさんは、『ぼーや』って呼んでた。」
「そっか、じゃあウー太って呼ばせてもらうぜ。ありがとよ、場所貸してもらってよ。」
「あ、う……うん。」
ちょっと顔が熱くなった。
「ねぇ、おじさん。」
「なんだ?」
「さっきから、なにしてるの?」
「見りゃわかんだろ?技を磨いてんのさ。」
「わざ?」
「技を磨いて、強くなって、バトルに勝つ為に練習してんだ。んで、俺はコーチ。」
「……ふーん。……たのしい?」
「楽しいわけねぇだろ。」
「ええーーー!?」
ボクは驚いた。
たのしくないのに、なんでやっているのだろう。
「どうしてたのしくないのにするの?」
ボクは気になって気になって聞いてみた
「……最初から楽しい事なんざ、限られてんだろ?……練習はつらいのが当たり前なんだ。本当に楽しいのは、努力して結果が報われた時だな。」
「そ、それって、どんなふうに?」
「一生懸命練習してバトルに勝つ。一生懸命身体を鍛えて、誰かの助けになる。それが出来た時、思わず飛び上がりたくなるもんだ。」
マリルのおじさんが池を見つめながら言う。
バシャァアン!
バシャァアン!
「おいコラゼル!腹に力入れねぇか!」
ビクッ!?
突然振り返って大声を出すマリルのおじさん。やっぱり怖いな。
あんなにつらい事をしているのは、達成した時に楽しくなるから。
………でも、たのしいことって、いつかおわるのに……。
ボクは聞いてみた。
「どうして、今つらいことするの?……たのしいことって、ずっとつづかないのに……。」
たのしい時間はすぐに終わる。それもあっという間に。気づいたら、すでにないもの。
反対に、つらい時間はいつまでもつづく。おとうさんもおかあさんもいなくなり、悲しい日が続いていた。すっごく長かった。気づいたら、また思い出してつらくなるのだ。
「…………。」
マリルのおじさんがため息をついて、ボクの目を見ながら言った。
「だってそりゃ、つまんねぇだろ?」
「………つまら……ない?」
つまらないって、なんだろう?
「お前の楽しい時ってなんだ?」
「え?えっと……その……ご、ごはんを食べたり……そ、そうだ、友達とあそんで、……またごはんを食べて……。……………。」
……考えてみれば、僕の思うたのしい事って、それくらいしかなかった……。
「これが、『つまらない』って事?」
「ああ、つまんねぇ。」
「…………ねぇ、おじさん。」
「なんだ?」
一番気になっている事を聞いてみた。
「どうしてたのしい事ってすぐに終わっちゃうのかな。……たのしい事って、ずーーーっと、ずーーーーーっと続いたらいいのに。」
「お前は『どうして』が多すぎるな。自分で考えろ。」
「……あ…う……。」
「………もしそれに、自分で気づいたら、楽しいんじゃねぇのか?」
う……う…ん。
楽しい事はすぐに終わっちゃう。
それに気づいた時が、楽しい時。
「ねぇ、どうしたら楽しいことに気づい 「ああああ!!テメェはさっきから聞いてばっかりいやがってぇぇえ!!どうでもいいんだよんな事ぁぁあああ!!」
「うわああああああああ!食べないでええええええ!」
「誰が食うかぁぁあああ!!?」
「ううう、怖かった……。」
マリルのおじさんはプンプンしながらあっちへ行ってしまう。
「(………。)」
ボクは、『つまらない』のだろうか。
どうやったら『つまる』ようになるのだろうか。
「(あそこにいる、ワニッペくんに聞いてみようかな?)」
ボクは立ち上がり、トコトコとワニッペくんの側に近づいた。
「あ、あの…。」
「あ、ど、どうしたのウパー君?」
「あ、ぼ、ボクは『ウー太』。さっき、マリルおじさんがつけてくれたから……。」
「そ、そうなんだ…。(お、おやぶんさん…。)」
ワニッペくんは練習で汗びっしょりだった。息もぜぇぜぇ言ってて大変そうだ。
「えと……だいじょうぶ?」
「うん、少し、疲れてきたけど大丈夫。」
「………ワニッペくんのたのしい時って、どんなとき?」
「へ?僕?……ど、どうだろうな………毎日練習したり、走ったりして、嫌だしつらいけど、……でも、今が楽しかったりする……のかな?」
「ええーーー!?つらいのがたのしいのーーー!?」
「あ゙!い、いやいや!そういう事じゃなくて!?」
「ワニッペ、近寄るな。」
「違うんだってゼル!?」
つらいのが、たのしい……。
ぼくにはよくわからなかった……。
「誤解だから!ウー太!忘れて!」
あっちにいるゼルさんに聞いてみた。
「えっと……ゼルさん?」
「どうした?」
ゼルさんは鋭い目をしていて、ちょっと怖かったけど、その声はとても柔らかで優しそうで、ちょっと恥ずかしくなった。
「ゼルさんの……たのしいときって、どんなとき?」
「ワニッペを弄りながらアタフタする顔を見るときだ。」
「なにそれええぇぇ!?」
ワニッペくんが目を見開いている……。
「冗談だ。そうだな………。こんなやりとりが、一番、楽しいのかもしれないな。」
ボクは少し俯いて考えた。
「(ふたりとも、つらい事をしながらも『たのしい』と言っていた。……ボクもこんなふうに一緒になれば、あの事がいつかわかるかもしれない………。)」
「えっと……ワニッペくん。ゼルさん。」
「ウー太?」
「どうしたんだ?」
ボクは、少し照れ臭い気持ちになりながら、勇気を出して言った。
ウー太 side out
おやぶん side
「じゃ、自己紹介しな。」
「え、あ、う……ボ、ボクはウー太。好きなものは 「声が小せぇ!!やり直し!!」……ううう……。」
『ボクも一緒についていってもいいですか?』
ウー太は俺達の仲間になりたいと言ってきた。
コイツなりに、本当の『楽しさ』を見つけようと思い切って決断したんだろう。
「ほれ、でかい声で!」
「お、おやぶんさん…恐がりますって。」
「ほら、ウー太。泣くんじゃない。もう一回だ。」
「うう、ぐす………ボ、ボクはウー太!!好きなものはドジョウ!!嫌いなものはヘビ!!よ……よろしくお願いします!!」
目の前で鼻垂れながら自己紹介したウー太に、俺達は拍手して迎えてやった。
「さぁて、一度入ったからには容赦しねぇからなぁ?」
「う……。」
ウー太が後ずさる。
「(………コイツは、ワニッペやゼルよりも、鍛えがいがあるぜ。)」
ガサガサ……!!
「おお!?ごめ〜ん♪また道に迷っちっ 「もうお呼びじゃねえんだよ!!」
草薮からひょっこり出てきたマツリに、俺は水鉄砲をぶちまけた!
「……ねぇ、今のだれ?」
ウー太が首を傾げて聞いてきた。
「ウチのトレーナーだ……。」
「ウチのリーダーさん。」
「リーダー。」
水鉄砲を受けて怯みながら、マツリがこっちへ走って来て早々……。
「うわあああ!かわいいいいい!?」
ウー太はマツリのフロントダイビングホールドの餌食となり、がっちりと抱きしめられた。
……チク。
マツリは毒状態になった。
「あ、あれ〜?力が入んない……?」
マツリは糸が切れたように、その場にズルズルと倒れ伏した。
「言っとくが、ウパーのヒレには毒針がついている。」
「……え、えへへへ 「黙れ。」 「はぅっ!?」
俺はマツリにモモンの実を食わせた。
ウー太が仲間になった。
新たなキャラの紹介
ウパー♂ Lv.13(ウー太)
性格
のんびり屋
ワニッペ以上に恐がり
備考
・あまりにも想像力が豊かすぎるため、変な妄想にまで発展する
・ヘビの類が大の苦手
・のほほんとした外観とは裏腹に、物事によく疑問を抱き、探究心が強い。
ステータス
HP:40
攻撃:22
防御:20
特攻:13
特防:15
素早さ:12
この度は『ポケモン金銀クリスタル【水縛りの冒険】』を御閲覧頂き、誠にありがとうございます。 中には当作品をご愛顧して頂いておられます読者の皆様にも、感謝の気持ちでいっぱいです。
次回、オリジナルトレーナーを投入致します。
これまで『ポケモン金銀クリスタル(水縛りの冒険)』は、FC2小説で活動されている、ポケモン作家さんにお話を持ちかけ、時々コラボ回を執筆して投稿しています。
この趣旨として作者同士の『コミュニケーション』を前提にやらせていただいたのですが、思いのほかに大好評だった為、当小説サイトにも掲載しようと考えています。
というわけで、次回登場する新キャラクター(既存キャラ)をご紹介します。
ミズキ(ポケモントレーナー:女)
・カントー地方のトキワシティ出身。
・相棒のガーディと共に様々な旅をこなしてきた。
・いくつかのポケモンリーグで優秀な成績を残し、想像力豊かでそれをよくポケモンバトルに活かしている。
・ポケモンが大好きなあまり周りが見えなくなることがしばしば。
・色んな世界へ行ってたくさんのポケモンと仲良くなるのが夢。
・マツリと同じく、ジム巡りをしている。
・ポケモンの心を読み取り、会話をする能力を持っている。
※このキャラクターは、FC2小説に掲載されている『【ポケモン】ポケットモンスター アクセル【二次創作】』(作者:のっく)から、コラボの了承を得てお借りしたものです。
基本的にはシナリオ進行に支障は無く、水縛り本編に他キャラが加わったという形でお送りしていきたいと存じますので、宜しくお願いします(`・ω・´)ゞ