ポケットモンスター金銀クリスタル 【水縛りの冒険】/ポケモン   作:美容室

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ヨシノシティ

 

さあさあさあさあ!

今からアタシの旅が始まるよ〜!

これからイッショーケンメー特訓して、強くなって、ジョウトのバッジ全部ゲットして、ポケモンリーグで優勝したるかんね~~!熱血ぅぅうう~~~!!

 

「ワカバタウンを出てみました!」

 

ここは29番どうろ。

雑木林や野生のポケモンの出る草むら、段差や曲がり道が、アタシ達の行方を阻む。

 

アタシはポケギアのアプリを開いた。

 

「えーとー、地図検索地図検索っと。」

 

ピ、ピ、ピ、ピ。

 

「アサギシティ?ちがうよ、ヨシノシティだから・・・あれ?ルート検索ってどれ?・・・あれ?画面変わっちゃった・・・・・・う、うぇ?あーーもーーわからないよーー!!おやぶーん!助けてー!」

 

アタシのモンスターボールからおやぶんこと、マリルが出てきた。

 

ゲシッ!

 

「いったぁ!?」

 

「てめぇ!ポケギアぐらい扱えねぇのかよ!んとに甲斐性ねー奴だなぁ。」

 

「ぶぅ、だってちんぷんかんぷんだもん。」

 

「貸してみな、・・・・・ふむ、ここからヨシノシティまで、徒歩で6時間ってとこか。」

 

「・・・徒歩で6時間か・・・、走った場合は?」

「・・・・・・・・てめぇ、まさか。」

 

「その、まさか!」

 

アタシはワニノコをボールから出した。

 

「ワニ?」

 

「それではー!記念すべき第一回目の修業内容を発表しまーす!」

 

アタシはカバンからスニーカーを出し、ビーチサンダルを脱いで履き替える。

 

「おやぶん、ヨシノまで何Km?」

 

「てめ・・・本気みてぇだな?」

 

「ワニ?」

 

アタシはスニーカーの靴紐をギュッと締める。

 

「・・・およそ24Kmだ。」

 

「よ〜し!今から2時間20分間!その間までにヨシノに着かない者は、罰ゲーーーム!」

 

「ワニャーーーー!?」

 

「ん?どしたのワニっぺ?」

 

「ワニワニワニャーーー!」

 

「・・・・・持病のヘルニアが再発したから休ませてくれだと。」

 

「さあ!張り切っていくよー!」

 

「ワニワニワーーー!!!?」

 

「……まぁ、気持ちはわかるが観念しろや。恨むんなら……自分の運命を恨みな…。」

 

「おやぶん!ワニッペ!しっかりアタシについて来て!」

 

アタシはクラウチングスタートの構えをとった。

 

利き足に重心をのせていく。

筋肉を捩らせるように、瞬発力を溜める。

 

「いくよ・・・・・・・ドン!!」

 

29番どうろを、ぶっちぎりでかけていく。

 

「おやぶーん!ワニッペー!先に行くからー!」

 

アタシは更に加速する。呼吸が乱れない程度に、少しずつ少しずつ、ギアを上げていく。

余分な動作をすりおとし、持続的な走りを意識して、素早く、風のように前へと進む。

 

旅の初日だしね〜!

 

この高揚感を!高まる気持ちを!

 

全部エネルギーに!!

 

アタシはスピードを落とす事なく、木々を抜けていった。

 

 

 

 

 

ヨシノシティ

 

 

先に街に着いたアタシはポケギアの時計を見た。

約束の定刻まで、あと30秒でタイムオーバーになる。

 

おやぶんとワニッペを、ヨシノシティの入口から見守っていると、蒼い体の2匹が、せっせと走ってくる。

 

「頑張れ〜!あと10秒だよ〜!」

 

「うおおおおおおおおお!!」

「ワニャァァーーーーー!!」

 

おやぶんとワニッペは、アタシの10秒という単語を聞いて、目のいろを変えて、がむしゃらにラストスパートをかける。

 

「ゴ〜〜〜ル!みんなお疲れ様〜〜!罰ゲームは無し〜!」

 

おやぶんはなで肩で息をして疲れていて、ワニッペは到着してすぐ倒れこんでしまった。

 

「・・・・ば・・・・・相変わらず・・・化けもんだな・・・マツリは・・・・・・・スタミナ・・・・無尽蔵・・かよ・・。」

「・・・ワニニ・・・・。」

 

「ま〜〜、こちとら4歳からとーさんにしごかれてたかんね〜。」

 

アタシはおやぶんとワニッペを抱き上げ、最寄りのポケモンセンターに連れていった。

 

水ポケモンは、酸素の供給能力がパワーの源となる。

これは死んだとーさんの受け入りなんだけど、小さな水ポケモンが自分の体積以上の水を繰り出せるのはなんでかと、聞いた事があった。

とーさん曰く、『水ポケモンの体内にはイオンを生成する部位があり、体外から吸い込んだ酸素とイオン結合させて、科学的に水をつくりだし、水鉄砲やハイドロポンプ等を使えるようになっている』と話してくれた。

 

うん、全然意味不明だったけどね。アタシ理科苦手だし♪

でも、こうして心肺能力を向上させる他に、体力づくりの『イッカンセー』としてランニングは大事だから、これからも特訓に取り入れていこうと思う。

 

 

 

 

 

 

「・・・回復まで時間がかかるし、ちょっと散歩しよ〜っと。」

 

ジョーイさんにポケモンを預けた後、ヨシノを散策中〜♪

 

「(・・・あれぇ?さっきの入口から、誰か走ってくる。)」

 

29番どうろから息を切らして走ってきた上下黒い服の男の子。同い年くらいかな?

 

オレンジの髪に纏わり付く汗を払いながら、ヨシノの入口にその男の子は入ってきた。

 

・・・・・あり?・・・・・さっきまであんな子見なかったよ?・・・走ってた道中にも、あんな派手な髪の色の人いなかったし・・・・それじゃ、ワカバタウンから走ってきたって事かな・・・?

 

・・・・ほうほう、アタシも走りには自信があるけども・・・あの子もなかなかだねぇ?

 

 

 

 

 

??? side

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」

 

・・・ここまで撒けば追ってこねぇだろう。

フン、マヌケな連中だぜ。侵入者のひとりも気付かねぇなんてよ。

おかげで、俺はヒノアラシを頂く事ができた。本来ならワニノコを頂きたかったんだがな・・・。弱そうな女が先に貰ってやがったぜ。

弱い奴がポケモン持ってても、宝の持ち腐れだ。俺が効率よく使ってやって何が悪い・・・!

 

・・・・・まあいい、少し休むか、何時間も走って、クタクタだ・・・。

 

「ほぇ〜〜〜〜。」

 

・・・あ”?

 

誰だ間抜けな声で。

俺は顔を上げた。

 

「・・・・・!」

 

「にししし〜、速いね!キミ!」

 

こ、こいつはさっきまで研究所でワニノコを貰ってた奴!

 

・・・い、いや、それよりも。

 

「(何で俺よりも速くヨシノに居やがるんだ・・・!? )」

「ほえ?」

 

俺は、こいつが研究所を出て直ぐにヒノアラシを奪い、29番どうろを走った。

自慢じゃないが、俺の足はそこらへんの奴に遅れるほどヤワじゃねぇ。

 

「(この俺様よりも先回りして、この街へ着いてたのか・・・!?)」

 

「どこからきたの〜!?ワカバタウン!?」

 

・・・いけしゃあしゃあと話し掛けてきた女。っつーか、汗ひとつかいてねーなこのアマ。

 

「・・・馴れ馴れしいんだよ、失せろ。」

 

ゴロツキを追い返すかのように睨んで脅す。

 

「えへへへへ〜。」

 

「・・・何笑ってんだお前。」

 

「131,55」

 

「は?」

 

何言ってんだ、コイツ。

 

「キミのタイムが、2,11,55!!」

 

・・・・は?

・・・段々と開いた口が塞がらなくなる。

 

「ワカバタウンからヨシノシティまでの距離が、約24Kmらしいんだって♪大体1Kmあたりで計算すると〜、・・・えぇ〜っと・・・・うーん・・・。」

 

女は突然考え始めた。

 

関わるだけでウザい。俺はその場を後にした。

 

「解った〜!時間÷距離だ〜!」

 

「公式の話かよ!!」

 

・・・思わずツッコミを入れてしまった。

 

「えへへへへ〜♪」

 

「褒めてねぇよカス。」

 

今度こそはと、足を速めてコイツから離れる。

 

「あー待って!解った!計算解けたから!」

 

「(ッチ、いい加減どついてやろうか?)」

 

「えっとね〜、131を24で割って、10のくらいが〜・・・0!・・んで1のくらいが・・・・・・・・・5!・・・・・・少数点が・・んと・・4だ!だから、クロちゃんは1Kmあたり5分24秒近くで走ってたんだよ!」

 

「・・・・・・・クロ?」

 

「あ、真っ黒い服だからクロちゃん。・・・・他の名前がいい?」

 

・・・・・・・っち!

 

面倒くさくなった俺は、追われないように。ソイツを全速力で置き去りにして走った。

・・・これだから女は嫌いだ。馴れ馴れしく近づいてきてはチャチャを入れやがる暇人みたいな連中だからな・・・。

 

 

「速いね!クロちゃん!」

「な!?」

 

 

・・・ば・・・馬鹿な!?

こいつ、アスリートか何かか?

俺のペースに磁石のようにひっついてきて、駆け足で伴走してくる緑髪。

 

「あ、アタシの足が速い理由?小さい頃からとーさんに鍛えられたんだよね〜。」

 

勝手に照れ出す女。

 

俺はそれでも振り切ろうとした。

 

だが、ちっとも振り切れない。俺は体力尽きるまで、コイツから逃げ続けた。

 

 

 

 

 

3分後・・・。

 

 

 

・・・くそ・・・・っ・・・たれが・・!

 

何なんだこの女!

 

走っても走っても引き離せねぇ!

 

「ぅわあ、綺麗な湖〜!」

 

・・・しかも何で息切れひとつも無いんだよ!

 

「・・・おい女!」

 

「マツリ。」

 

・・・は?祭?

 

「アタシはマツリっていうの。そう呼んで。」

 

ソイツはそういいながら、俺に目線を交わす。

 

「・・・なんか俺に用かよ。」

 

コイツが付き纏う理由がわからねぇ。何が目的だ?

 

・・・まさか、ヒノアラシの事で既に連絡が回ってるのか!?

 

俺は顔を強張らせた。

 

「名前、聞いてないもん。」

 

「・・・・・・?」

 

「キミの名前。」

 

ソイツ・・・マツリとかいう女は、視線を俺から目の前に広がる湖に移した。

 

「・・・・何で教えなきゃならねぇ。」

 

「じゃあ、クロちゃんでいっか♪」

 

「・・・・・・・・・・ブラックだ。」

 

「ブラックか・・・、じゃあ、ラックで♪」

「CDラックみたいに言うな!?」

 

「じゃあ、ブラにする?」

 

「・・・・・・・・・勝手にしろ。」

 

「じゃあ、ラックにするね〜♪」

 

ニカッと、マツリは歯を見せて笑った。

 

・・・コイツは何がしたいんだ?俺を狙ってるんじゃねぇのか。

 

 

 

湖の奥から向かい風が吹いた。

 

・・・だいぶ息が整ったな。

 

俺は足を崩す。

隣を見た。あの緑髪の女は・・・?

 

・・・・・!?

カバンを置いたと思ったら、急に服を脱ぎ始めた。俺は顔を瞬時に背けた。

 

「な、なにやってんだお前…?」

 

「にしししし!せっかく綺麗な湖だし!泳ぐの!」

 

は?泳ぐ?何故今?

 

マツリは着ている物を全部脱いだ。すると、既に着込んでいたのだろう、純白の水着を着ていた。

 

「ラックも泳がない?」

 

「・・・・・(プイ)」

 

マツリが俺の顔を覗く。

俺は顔を背ける。

 

 

目の前の湖は、雑草の生えた土手を淵にして、綺麗な円形を保っている。だが、目の前の淵は決して浅くはない。湖の水が綺麗だから水深がよく見える。光が射さない程、底が深い。

 

「じゃあ泳ごっと♪」

 

マツリはそういい、両足を揃えて湖にジャンプした。

 

・・・・・思わず見入ってしまった自分が恥ずかしくなる。

 

まるで、イルカのようだった。

 

イルカのようにたくましく、そして、美しい姿が、水の中に消えるまで、確かにソイツがそう見えた。

 

 

 

水しぶきを上げて、波紋が綺麗にゆっくりと広がっていった。

 

「・・・・・・・・・・・?」

 

・・・・・ん?

 

「(・・・全然・・浮いてこねぇな。)」

 

俺は足を伸ばして湖を傍観するつもりだった。

・・・だがアイツ今、飛び込んだよな?

 

考えるに増して、時間も経過していく。

 

・・・もう30秒経つな。

 

「(・・・・・けっ。)」

 

俺は立ち上がり、その場を後にした。

 

さっさと逃げりゃよかったぜ。

 

アイツのほうからふっ切れやがったんだ。もう二度と会うのはゴメンだぜ。

 

おそらく、アイツが水から上がって俺がいない事に、わなわな震えるんだろうよ、ざまあみろってんだ。

 

湖を背にして離れていく。

 

・・・・・・・・・・・・。

 

「(・・・・そろそろ一分だぞ?)」

 

俺は振り返ろうかと試みたが、

 

「(ま、大方俺を脅かすつもりだろうよ・・・その手にはのるか。)」

 

俺はポケットに手をつっこみ、鼻で笑った。

 

再び歩き出す。

 

・・・・・だが、なぜだろうか。

進む歩幅が、段々と、狭くなっていくのは?

 

「(・・・・・この俺が心配だと?・・・・ざけんな。)」

 

俺はいきり立った。

 

・・・・・しかし、言葉とは裏腹に、身体が前へ進む事を拒絶する。

 

そしてついに、俺は立ち止まってしまった。

 

・・・・・・・・・・・・・。

 

「(・・・もう2分経ったはずだぞ・・・?)」

 

俺は湖を遠目で見た。

 

さっきまでと何も変わらない景色だった。

 

「(・・・・・・・・・・・。)」

 

時間は過ぎていく。

 

「(・・・・・・・・・・・。)」

 

・・・もうすでに、最悪のシナリオを想定してしまい、俺は踵を返した!

 

「(・・何やってんだあのバカ!?)」

 

俺は上着を脱いで投げ捨て、全速力で湖に駆け込む!

 

あまり言いたくはないが、マツリに追っかけられてる時よりも、自分の自己ベストの時よりも、今走ってる瞬間が、おそらく『決死』のトップスピードだと自負する。

 

俺はアイツを助ける為に、湖に飛び込んだ!

 

・・・・・・・そう、飛び込んだ。

 

 

ザバッ!

 

 

「ラック〜♪見てみて〜、綺麗な宝石でしょ・・・え!?」

 

「は!!?」

 

 

俺の身体は萎縮し、精神的には唖然としたまま、

 

 

ドッポーーーーンッッ!!!

 

 

無人の湖に吸い込まれていった・・・。

 

.

 

.

 

.

 

.

 

.

 

マツリ side

 

「お前!どういうつもりだ!」

 

ラックが、アタシのタオルで身体を拭きながら、声を荒げた。

 

「いや〜〜、湖の底に綺麗な石みたいな宝石みたいなのがあってね〜。コケが多くってさ〜、なかなか掴めなかったんだよね〜。」

 

アタシは右手に握ってた石を、ラックに見せる。水色の勾玉の形をした石だった。

 

「理由になると思ってんのか!カス!ったく、神秘の雫ぐらいで・・・。」

 

ラックがぶつぶつと愚痴をこぼす。

 

「ラック。」

 

アタシはラックの前に歩みよる。

 

「・・・?」

 

「ラック、泳げなかったの?」

 

「るせぇ!」

 

.

 

・・・・・それなのに・・・、

 

アタシの事心配して、飛び込んでくれたんだよね・・・。、

 

.

 

「えへへへへへ♪ラック、カッコよかったじゃない!」

 

アタシは顔をラックにぐいっと近づけて、ニカッと笑った。

 

「・・・・・・・近ぇよ///」

 

「うにゃ?・・・あ!何!照れてんの?いや〜ん!ラックったらも〜!」

 

アタシは前屈みになって突き出た胸を、照れながら隠すように腕を交差した。

 

「・・・アホ。」

 

ラックはそっぽを向いた。

 

 

 

 

 

アタシは濡れた身体をバスタオルで拭いていると、ラックが立ち上がった。

 

 

「・・・・フン。あばよ。」

 

ラックが立ち上がり、その場を立ち去る。

 

「えーラック、もういっちゃうの?」

 

・・・せっかく仲良くなったのに。

 

「っせえよ、俺もヒマじゃねぇんだ。お前と違ってな。」

 

そういうとラックは、背中を見せてサッサと歩いていく。

 

「忙しいんだー?」

 

「俺はいずれは最強のトレーナーになる。こんな所で油売ってる場合じゃねぇ。」

 

ラックはそういった。

 

アタシは、走ってラックの正面に回りこむ。そして、両手を広げて歯を見せるように笑った。

 

.

 

「えへへ、アタシも最強になるんだー!」

 

.

 

ラックと一緒だ〜♪

ついつい顔が綻ぶ。

 

「・・・・・お前がが?ムリだな。」

 

「・・!む〜、ムリじゃないもん!」

 

「お前と俺じゃ、覚悟が違う。」

 

鋭く睨むラック。アタシもじーーっとラックをしかめて見つめる。

 

「アタシのとーさんも、最強の水使いになったから、アタシもなるんだもん。」

 

ラックに言った。

 

するとラックは、目を見開いた。

そして、蔑むように笑い出す。

 

「・・・フン、くだらねぇ。親父なんて、形だけの強さで威張ってるような奴さ。お前みたいな甘っちょろいヤローに出し抜かれてたまるか。」

 

「あー!とーさん馬鹿にしてー!」

 

アタシは頬を膨らませて、手をグーにして怒った。

 

「あぁ”?」

 

ラックも負けずと睨む。

 

「・・・上等じゃねーか。相手してやるぜ、圧倒的な差を見せてやろう。」

 

.

 

ラックが勝負をしかけてきた!

 

ラックは、ヒノアラシを繰り出した。

 

「(ほえ?このヒノアラシ、研究所の?ラックもウツギ博士から貰ったんだ〜。)」

 

「・・・フ、どうした怖じけづいたか?」

 

「むむむ〜!よ〜し!アタシも負けないんだから!」

 

ラックとのバトルが始まった。

 

.

 

.

 

.

 

.

 

「あ!」

 

「・・・・・?」

 

「あちゃ〜。アタシ、ボール預けたまんまだった〜♪」

 

えへへ〜、これじゃバトルできないね。

 

「ちょっと待っててね!直ぐに戻ってくるから〜〜!」

 

アタシはラックを残して、全速力でポケモンセンターに向かった。

 

「・・・・・・・・・。」

 

.

 

「ジョーイさんジョーイさん!回復終わりました!?」

 

「はい、この通りで 「ありがとうございまーす!!」

 

ジョーイさんが渡してくれた2つのボールを受け取り、踵を返してポケモンセンターを出る。

 

アタシは再びラックの所へと走り出す。

 

.

 

「ありゃ?」

 

湖の近くにやってきた。なのに、ラックどころか、人影ひとつ何もなかった。

 

「ラック〜!どこ〜?ポケモン連れてきたよ〜!」

 

大声で呼んでも、静かな空気があるだけだった。

 

「も〜〜!!待っててって言ったのに!」

 

折角走って来たのにな〜。

 

すると、ボールからおやぶんが出てきた。

 

「何だ何だ、どうしたってんだ一体?」

 

「あ、おやぶん、待っててって約束したのに、勝手にどっか行っちゃった。」

 

「はぁ?誰が?」

 

「ともだちになったラック。」

 

はぁ、とため息をついた。

 

「・・・・・へぇ、ひょっとしてマツリのこれか、おい?」

 

マリルの親分が、指を突き立てる。

 

「もう、そんなんじゃないもん!」

 

またおやぶんはからかって・・・!

 

「へっ、やっぱり男か。旅の初日からやるじゃね〜か。」

 

ニヤニヤとおやぶんがからかう。もう、違うったら・・・。

 

すると、アタシのポケギアが鳴った。

 

「ほえ?」

 

アタシはポケギアの画面をみた。『ウツキはかせ』と書いてあった、電話みたい。

 

アタシはボタンを押して話し掛ける。

 

「はい、もしもし〜。」

 

ツー、ツー、ツー、

 

ありゃ?なんで終話音が鳴ってるの?

 

「馬鹿かテメーは!?そりゃ終話ボタンだ!!」

 

「えぇ!?」

 

博士の電話きっちゃった〜。えへへ。

 

「えっと、じゃあ、履歴で!」

 

着信履歴から、今度はこっちから電話する。

 

プルルル・・、プルルル・・。

 

『接続ミスです。もう一度おかけ直しください。』

 

「ありゃ?繋がらな 「互いに発信かけてどーすんだよ!!?」

 

おやぶんのツッコミが炸裂した。

 

「え、えーと、今度はどっちにしたらいい?掛ける?待つ?」

 

「・・・まあ、ウツギ博士も二回もかけてきたんだ。急ぎの用事なんだろうよ。待ってようぜ。そのうちまたくるぜ。」

 

.

 

5分後。

 

「全然かかってこねえええぇぇ!!?」

 

「えへへ〜。向こうも待ってるんだね〜。」

「・・・けっ、マツリ!さっさと掛けちまえ!」

 

「は〜い♪」

 

おやぶんが電話するように急かす。アタシはポケギアでウツギ博士を繋ぐ。

 

プルルル・・、プルルル・・、

 

『接続ミスです。もう一度おかけ直 「てめーら一体何なんだあああぁぁぁ!!?」

 

「えへへへ〜♪」

 

「褒めてねぇ!」

 

「はぅっ!」

 

 

『も、もしもし!?マツリちゃん!?やっと繋がったよ〜。』

 

「そだね〜♪どうしたんですか?」

 

『そうだった!大変なんだ!マツリちゃん!』

 

すっごい慌ててるウツギ博士。何かあったのかな?

 

『泥棒に入られたんだ!君が研究所を出てから少し後に!ヒノアラシが奪われちゃったんだ!』

 

 

・・・・・・・・・・え・・・。

 

 

『赤い髪の黒い服を着た、鋭い目つきの男だったんだ!今、警察の事情聴取が済んだんだけど・・・、マツリちゃん見てないかい?』

 

「(・・・・・ラック・・・。)」

 

『ど、どうしたのマツリちゃん。ま、まさか会ったのかい!?どこで見かけたの!?』

 

「え?いいえ会ってないですよ〜、チコリータは無事だったんだ〜。」

 

『そ、そうか。いやそうなんだ。たまたま机の上においていたヒノアラシを目を離した隙にさ・・・。悪い様に使われなきゃいいけど。』

 

「・・・・・えっと、あ、じゃあもし見かけたら電話しま〜す。」

 

『うん、よろしく頼むよ。』

 

 

 

ピッ。

 

アタシはポケギアの通話を切った。

 

「おいマツリ。」

 

「ほえ?」

 

おやぶんが話し掛けてくる。

 

「何でウソついた?」

 

・・・・・・やっぱり敵わないな、おやぶんには・・・。

 

「え、えっとね、」

 

「あ〜〜、大体検討ついたぜ。お前の事だ。さっきのダチとかいう男を疑いたくないって訳だろ。けっ、お優しいこった。」

 

「えへへへ、まあ、それもあるんだけどさ〜。」

 

「ニヤニヤすんな、テメー泥棒をかばって共犯した事になるんだぞ?」

 

 

 

・・・・・ラック。

 

ポケモンを盗んだのにはビックリしたけど、

 

・・・アタシは単にともだちだからという理由でラックを庇ったりなんかしない。

 

約束したよね。アタシが来るまで待っててって。

 

・・・・・次会ったらさ、ちゃんとバトルしてね♪

 

 

 

 

 

次の日

 

「さあさあ!キキョウシティへ向けて出発〜!」

 

気持ちを切り替えて次の街へ〜♪

 

キキョウシティにはポケモンジムがあるよ〜。ジョウトのジムで勝って勝ってバッジをゲットして、とうさんと同じようにジョウトリーグで殿堂入りしてやる〜!

 

「んんん〜!やる気が上がってきた〜!」

 

「やる気は結構だが、また走るとか言うなよ!」

 

「ワニワニ〜!」

 

おやぶんとワニッペがアタシにすがるように言う。

 

「えへへ〜、大丈夫大丈夫。昨日はやり過ぎたから、そこまできつい事しないよ。」

 

おやぶんはホッとする。

 

ワニッペは冷や汗をかいた。

 

「ワニ〜。」

 

「ほぇ?おやぶん、ワニッペ何て言ってるの?」

 

 

「・・・まさかペースダウンして結局走るのかって言ってるぞ。」

 

「うん♪」

 

「ワニャーー!?」

 

「えへへ、楽しいね〜ワニッペ♪」

 

「・・・ジョーイにドクターストップかけられたから、ボールに戻してくれって言ってるぞ。」

 

「しっかりついてきてね、ワニッペ♪」

 

「・・・・ワニャ。」

 

「そうそう、コイツの手持ちになった以上、諦めが肝心だぜ。

 

(はぁ、クドーの野郎と居たときは、のんびりやってたんだかな〜。どうやったらこんな天真爛漫な娘が出来るんだ?)」

 

おやぶんがあくびをする。

 

「ほんじゃ、ワニッペ。気合い入れろよ。俺がコーチしてやる。少しでも遅れてみやがれ、LEVEL:65の”転がる”が待ってるぜ。」

 

「ワーー二ーー!!?(←LEVEL:6)」

 

「出〜発!よ〜い・・・・どん!」

 

キキョウシティまでの山道をグングンと進む。おやぶんの話だと、このあたりからトレーナーがたくさんいて、バトルを挑んでくるらしい。

 

じゃあ、山道の中腹ぐらいで休憩を入れよ♪

 

・・・ワニッペ、一緒に頑張ろうね♪

 

 

 

 

ワニノコ(ワニッペ) side

 

 

 

 

え〜っと、みなさん、こんにちは。

 

 

ワカバタウンの研究所で博士から、新米のトレーナーのパートナーになりなさいと言われたとき、

 

”平凡で平和主義な普通の人”がいいなあと思ってました・・・。

 

いやいやいやいやいやいやいや!

 

ちょっと待って、いやマジで。

 

なにこの女の子、すっっっごい目が爛々としてるよ。やる気が半端ないよ。

 

そして凄いのが・・・ノリ。

 

いきなり走らされた・・・。

 

仮病も見抜かれてムシされた・・・。

 

ははは、本人には悪気はないんだろうな〜。

 

これから先、どれだけ破天荒な毎日を過ごさなきゃならないんだろ・・・・・・。

 

一緒にいたマリルのおやぶんさん曰く、『ま、マツリのヤローも初日だし、トレーナーも初めてだからよ、多めに見てやってくれや。俺はこう見えてベテランだからよ、困った時は何時でも言いな。』

 

・・・おやぶんさんっていい人(ポケモン)だよな〜。うん。

 

・・・・・そう思っていた時期がありました。

 

 

 

 

 

 

 

「おらおら!チンタラ走ってんじゃねぇ!転がる2発目ェ!!」

 

ドッカーーーン!

 

「ぎゃあああああ!!」

 

勾配な坂道をグングンと先導するマツリ。

 

それを死に物狂いで追い掛ける僕。

 

そして、その僕を追い詰めるように迫るおやぶんさん・・・。

 

「次は転がる三発目ェ!避けねぇと死ぬぞぉおお!」

 

ドッゴーーーーン!

 

「ひぃぃぃいいいいい!!」

 

お、おやぶんさーーーん!

な、何か主旨違ってきてません!?

 

死ぬから!コレ絶対に死ぬから!!

 

誰かーーー!代わって下さいーーー!!

 

 

 

 

 




タウンマップをくれるおじいさんは空気となったのだ…。
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