ポケットモンスター金銀クリスタル 【水縛りの冒険】/ポケモン   作:美容室

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30ばんどうろ(後書きにてキャラ紹介)

マリル(おやぶん) side

 

 

 

 

・・・・・。

 

 

ここらは、ヨシノとキキョウの中間ぐれぇだな。

周りは木々におおわれ、暑い太陽の日差しを遮るように、日陰が広々と横たわっている。

 

歩道から離れた森の中。

 

俺の傍らでは、疲弊したワニノコがぜーぜーいいながら汗だくになって倒れてる。

 

・・・・・・・さて。

 

.

 

「どこ行きやがったアイツーーー!!!」

 

.

 

あんのバカ女が!

あの方向音痴に先行させて走らせるんじゃなかったぜ!

 

ちょっと目を離した隙に姿を眩ませやがって!

 

「・・・ぜぇ・・・あれ、ウチのリーダーさんは・・?」

 

ワニッペが息を乱しながら聞いてくる。

 

「・・・迷子だ。」

 

「(ま、迷子って・・・・。)」

 

「マツリは天性の方向音痴だ。超のつく、な。・・・アイツは一度はぐれだすと、当分見つけられねぇし、帰ってもこねぇ。」

 

「・・・ど、どうなるんですか?」

 

「決まってんだろ。」

 

.

 

 

『ポケモン金銀クリスタル【水縛りの冒険】』  完

 

.

 

 

 

 

「じゃあ、ワカバへ帰るぞ〜。」

 

「えええええ!?」

 

「・・・冗談に決まってんだろ。・・・お前、『ええええ』とか言ってる割には嬉しそうだな?」

 

「へ?ソンナコトナイデスヨ。」

 

.

 

 

 

 

 

5分が経った。涼しい風が木々の隙間を通り、葉を揺らしながら俺達の身体を冷ませる。

 

「あの〜、おやぶんさん、探しに行かないんですか?」

 

ワニッペが聞いてきた。

 

「静かにしてろ。こういう時はむやみに動くもんじゃねえ。入れ違いが一番怖ぇからな。・・・俺にまかせとけ。」

 

俺は自前の耳をピクピクと動かしながら、辺りの音をすまして聞いている。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・見つけたぜ。・・・あのヘラヘラした笑い声は・・・・・マツリのバカだな。行くぞ。」

 

「は、はい。(・・・?・・僕には全然聞こえないな?)」

 

戸惑うワニッペを引き連れ、俺達はバカのいる元へと向かった。

 

 

マツリ side

 

 

「えへへ♪アタシってば、昔から筋金入りの方向音痴で〜。」

 

「ハハハ、だからこの辺りをウロウロしていたのか。まあ、ゆっくりしていきなさい。」

 

 

アタシは森の中で迷っていたところを、ポケモンじいさんという人に会う。今はその人の家でお茶を頂いていた。

 

「おじょうさんはトレーナーかい?」

 

「昨日からです!あ、お茶ご馳走様でした!」

 

「せんべいもあるよ。」

 

「いただきまーす!」

 

見ず知らずの人だけど、話をしているうちに仲良くなり、ついつい長居してしまう。

 

「おや、その子は誰じゃ?」

 

んにゃ?

白衣をきたおじさんがやってきた。

 

「ああ、ついさっき知り合ってな。キキョウシティを目指していて、迷子になったらしい。」

 

「えへへへ♪お恥ずかしい。」

 

アタシは頭をかいた。

 

「ん?君はワカバから来たのか?」

 

「はい!ワカバタウンから来ました!マツリです!よろしくー!」

 

意気揚々と挨拶した。

 

「ほほう、元気がいいのう。ワシの名は・・・ バン!!

 

ほえ? 目の前のおじさんが自己紹介した時、家のドアが勢いよく開いた。

 

 

「見つけたぞゴラァ!!」

 

あ!おやぶんだ!ワニッペもいる!

そだった、この子達置いて来たんだったっけ♪

 

「おやぶん、ワニッペ、おかえり〜!!」

 

おやぶんのアクアジェット!

 

ドッゴオオオォォン!!

 

「おかえりじゃねぇぇえええ!!」

「うぃゃああぁぁーーー!?」

 

おやぶんの技をモロ受けたアタシは、イスから転げ落ちた。

 

「てめぇは何度迷子になりゃ気が済むんだ!!探す方の身になれってんだ馬鹿野郎がああぁぁ!!」

 

「ぅう〜、ごめんなさ〜い!」

 

おやぶん、キレたら母さんより恐いし痛い・・・。

 

「マ・・・マリルがしゃべってる。」

「・・・しゃべるマリルだと?・・・む、ひょっとして、クドーのマリルか!?」

 

 

へ?白衣のおじさん、父さんを知ってる?

 

「おお!そういうアンタはオーキドのジジイじゃねーか!?まだ生きてやがったか!!」

 

「相変わらずじゃな・・・。おぬしより先にくたばってたまるか。」

 

あれ?おやぶんもこのおじさんを知ってる?へ、どうなってんの?

 

「何年ぶりになるか?3年ぶりか?全然変わらねぇな、てめぇの風貌ぶりはよ。」

 

「そういうおぬしこそ、今のアクアジェット、キレが全く衰えておらなんだ。未だ現役かの?」

 

「実は結構ヤベェんだ。ハハハ!」

 

「そうか。・・・クドーが死んでもう3年か・・・。ところでマリル、アサギシティに住んでたのではないのか。」

 

「一ヶ月前に引っ越したんだよ、ワカバタウンによ。」

 

・・・・・・・・もお!二人だけしゃべって!

 

 

「はーーーい!アタシの父さんは『クドー』って名前でーーーす!」

 

無理矢理会話に入った。

 

「黙ってろ。」

 

「はぅっ!?」

 

むぅ・・・おやぶんが冷たい。

 

「ほぉ、クドーの娘じゃと?・・・なるほどのぉ、確かに面影があるわい。」

 

「コイツはマツリって言うんだよ。クドーの一人娘だ。昨日からトレーナー修業を始めさせたのさ。」

 

「ワニ!」

 

「このポケモンは・・・ワニノコか。珍しいポケモンじゃな。・・・マツリちゃんだったかの?ワシはオーキドという者じゃ。皆からはポケモン博士と親しまれておるよ。」

 

オーキド博士が自己紹介をした。

 

「オーキードはかせは、父さんと知り合いですか?」

 

「・・オーキードではない、オーキドじゃ。クドーとは15年前に知り合っての。ギルドの仕事関係から始まって、ポケモンバトルをする仲になったのじゃ。

どうかな?ポケモントレーナーの旅は?」

 

「はい!楽しみです!」

 

今もとっても楽しいけどね♪

笑顔でアタシは答えた。

 

 

オーキドはかせは、ラジオの収録があるらしいから、先に出ていった。・・・今度父さんの話を聞かせてもらお!

 

 

 

「それじゃ、アタシ達も出発します!お茶ご馳走様でしたー!」

「ワニー!」

「バカ女が世話かけたな。」

 

アタシ達は、ポケモンじいさんにお礼を言って、家の外に出た。

 

 

「おっと、待ってくれんか?」

 

んにゃ?なんだろ?

 

「君にこれを渡しておきたいんだ。」

 

アタシはポケモンじいさんから、大きなタマゴを受け取った。

 

「うわあ!ありがとう!さっそくみんなで食べよ!」

 

ボカッ!

 

「バカかてめぇ!そりゃポケモンのタマゴだ!食ってどうする!?」

 

・・おやぶん、最近怒りっぽい。カルシウム不足かな?

 

「・・・ゴホン、マリル君のいう通り、それは正真正銘ポケモンのタマゴだよ。以前までは稀少で、なかなか発見ができなかったんだけど、成り行きでタマゴが手に入ったんだ。

タマゴを孵すには、元気なトレーナーと一緒にいると、元気に生まれてくるらしいから、マツリちゃんに持ってって欲しいんだ。」

 

アタシはタマゴを見た。

 

バレーボールくらいの大きなで、タマゴにしては意外と軽いかも。白色の殻の上から、青いシマシマがついていた。

 

「ねえねえ!何が生まれるんですか!?」

 

ワクワクしてきた!早く孵らないかな!?

 

「それは私にもわからないさ。生まれてからのお楽しみだね。(確か・・・・ホウエン地方から取り寄せたって聞いたような・・・。)」

 

「ほぇ〜。」

 

アタシはタマゴを大事にバスタオルに包み、カバンに入れた。

 

「落として割るなよ。」

 

おやぶんが言った。

 

「大丈夫大丈夫〜♪どうもありがとうございまーす!」

 

 

 

 

31ばんどうろ

 

 

ワニノコ(ワニッペ) side

 

 

 

僕達は、森を抜け、歩道に差し掛かった。

 

登り坂の中腹。下へと視線を送ると、朝まで僕達がいたヨシノシティが小さく見える。

 

・・・結構走ってたんだなぁ。

 

「さあ!キキョウシティ目指してーゴー!!」

 

明るくハツラツとグングンと進む、僕のリーダーさんのマツリ。

 

僕は後に続いてきつい坂をのぼる。

 

「えっと、おやぶんさん?」

 

「あん?」

 

「僕達のリーダーさんは、キキョウに何か用事でもあるんですか?」

 

「用事もなにも、ジム戦に挑むに決まってんじゃねぇか。」

 

「・・・ジム戦ですか。なんか大変ですね。」

 

「あぁ?何言ってやがる、お前が出るんだぞ。」

 

「あ、そうなんですか。じゃあ頑張りますってええええええええ!!!?何で僕ぅぅ!!?」

 

「何でもクソも、てめぇはマツリのパートナーだろうがよ。ウツギ博士から話を聞いてなかったのか?」

 

「トレーナーのポケモンになれとは聞いてましたけど・・・、僕じゃやっぱり荷が重いっていうか、まだチコリータの方がいいっていうか・・・・。」

 

バトルは嫌いじゃないけど・・・、やっぱりその・・決心つかないっていうか、・・平穏な暮らしの方ががいいっていうか・・・。

 

「・・・さっきの家で、クドーって名前を聞いたろ?ソイツはマツリの親父でよ、昔、俺はクドーのパートナーだったのさ。」

 

「え、おやぶんさんも昔に旅を?」

 

「おうよ。ジョウトリーグで殿堂入りを果たしてんだ。」

 

「でんどういり・・・?」

 

「殿堂入りっつーのは、チャンピオンぶっ飛ばして新たにチャンピオンになったっつー事だ。」

 

「ええええ!?」

 

す、凄い人達に関わっちゃった・・・。

 

「ま、マツリのヤローも親父を目標にしてるから・・・・・・・・・おい。」

 

「へ?」

 

「マツリはどこだ?」

 

・・・そういえば・・。

 

さっきまでリーダーさんは、目の前を歩道を歩いていた。

 

僕とおやぶんさんがしゃべってる間に、姿を眩ましていた。

 

・・・あ、あははは。ひょっとして。

 

「またかぁぁああああ!!!?」

 

おやぶんさんが叫んだ。

 

・・・え、えっと、僕のせいじゃないよね?おやぶんさんに話しかけたのは僕だけど、違うよね?

 

・・・・ガザガサ!

 

歩道の端の茂みから音がした。

 

その茂みから誰か飛び出してきた。

 

「おぉ!ゴメ〜ン!また道に迷っちった♪」

・・・服についた茂みの葉や枝を掃いながら、マツリがニコニコと現れた。

 

おやぶんの頭突き!

 

ズドオオォォン!

 

「どうやったら一本道を迷うんだぁぁああ!!?」

「いぎぃっ!!?」

 

・・・うちのリーダーさん、レベル65のおやぶんさんのツッコミをものともしてない・・・・・。

 

「ほら、見て見て!見つけちった♪」

 

リーダーさんの手には、きのみが3つ乗っていた。

 

「見つけちったじゃねぇよ!しまいにゃてめぇ、鎖で繋いでやろうか?」

 

「えへへへ♪」

 

「褒めてねぇ!!」

 

「はぅっ!?」

 

・・・・・・・・誰が僕と代わってください。・・・・気苦労が絶えない気がします・・・。

 

 

 

マツリ side

 

ぅわあ!トレーナーさん達だー!

 

開けた歩道で、ふたりのトレーナーがバトルしてる!

 

アタシも早速やりたーい!

 

「ねぇねぇ!アタシもバトル混ぜてくださーい!」

 

両手をパタパタ振りながら大きな声で言った。

 

「コラッタ!体当たり!」

「かわして電光石火だ!」

 

目の前で戦ってるのは、帽子をかぶった短パンの男の子二人。そしてコラッタとポッポ。

 

「しっぽをふるだ!」

「ポッポ!砂かけ!」

 

アタシは、目の前で繰り広げられるバトルをずっと眺めていた。

 

「(久しぶりにポケモンバトルを見た。・・・うわ〜、早くやりたいな、やりたいな♪)」

 

.

 

「よっし!俺の勝ちだ!」

「くっそー、負けた。」

 

勝負が終わったみたい。

よし!次はアタシの番ーー!

 

「こんにちはー!誰かアタシとバトルしてくださーい!」

 

二人の男の子がコッチを見た。

 

「ええ!?さ、さすがにムリだよ。今からポケモンセンターに行くんだから。」

「ゴメンね、ねーちゃん。」

 

そういうと男の子達は、アタシの横を通り、ヨシノの方へ行ってしまった。

 

「・・・・ぶぅ。」

 

もう!せっかく待ったのに!

 

「ヘッヘヘ、まあ気を落とすなって、トレーナーくらいすぐ見つかるだろ。」

「ワニ。」

 

おやぶんとワニッペは言った。

 

「・・・・そだね。・・・お!」

 

「どした?」

 

「・・・という事は、今の勝負は不戦勝!?やったーーー!」

 

やったー!初めての勝負で勝ったーーー!

 

「ボソッ(おいワニッペ、コイツの頭かじれ。)」

「・・・ワニャ。」

 

「んにゃ?何か言ったー?」

 

「全然。」

「ワニ。」

 

「バトルがしたいなら、俺が相手してやるぜ!」

 

目の前に新たに現れたのは、帽子をかぶった短パンの男の子。さっきの子達より少し背が高いかな?

 

「俺は短パン小僧のゴロウ!勝負しようぜ!」

 

「わあーい!勝負勝負!よろしくー!」

 

やった!ポケモンバトルだ!

 

ゴローちんがボールを投げた。

 

中からコラッタが出てきた。

 

「うわあ、ドキドキしてきた!じゃあコッチは、ワニッぺ!レッツゴー!」

 

「ワニャーー!?」

 

「ん?どしたのワニッペ?」

 

「ワニワニ・・・。」

 

「おやぶん、ワニッペ何て言ってるの?」

 

「・・・急に腹が痛くなっただと、胃ガンらしい。」

 

「絶対勝とーね♪ワニッペ♪」

 

「・・・・・・・ワニ。」

 

「そーそー、諦めが肝心だぜ。さっさと行ってこい。」

 

おやぶんがワニッペの背中をポンと押す。

 

「・・ふぇ?どしたの、ゴローちん?びっくりした顔して。」

 

「誰がゴローちんだ!?・・いや、ちょっとな、言ってもいい?」

 

「いいよ♪」

 

「マリルがしゃべった!!?」

 

ゴローちんがビックリしたように叫んだ。

 

「んだテメー、見せモンじゃねぇぞ?喋る事がそんなに可笑しいか?てめぇらよりも遥かに喋るぜ俺は。」

 

「まーまーおやぶん。」

 

おやぶんが怒っちった。アタシはおやぶんを宥める。

 

「すげーな、世界は広いや。てゆーか、そのマリルと戦いたいんだけど。」

 

ゴローちんが言った。

 

「・・!・・ワニワニ。」

 

ワニッペが嬉しそう。

・・ワニッペはバトルが嫌いなのかな?

 

「ご指名はありがてぇが俺はしねぇ、やるのはワニッペだ。」

 

「・・・・・ワニャ。」

 

ワニッペはしぶしぶとコラッタの前へと歩きだす。

 

 

「よっし!じゃあゴローちん!バトルしよっか♪」

 

「誰がゴローちんだ!?」

 

 

短パン小僧のゴローちんが勝負を仕掛けてきた。

 

 

コラッタの体当たり!

 

「ワニッペ!水鉄砲!」

 

ワニッペの水鉄砲!

 

バッシャアアアアン!!

 

コラッタに大ダメージ!

 

コラッタの体当たり!

 

ドンッッ!

 

ワニッペに小さなダメージ。

 

「やべ!力負けしてる!」

 

「ワニッペ!水鉄砲!」

 

ワニッペの水鉄砲!

 

バッシャアアアアン!

 

コラッタは倒れた!

 

ゴローちんとの勝負に勝った!

 

.

 

 

 

「やったーー!ワニッペ!イェーーーイ!!」

 

「ワ・・・ワニャワニャ。」

 

ワニッペとハイターッチ!

 

「くっそー、負けたぜ。そのワニノコ強いな。」

 

「えへへへ♪」

 

「てめぇじゃねーよ。」

 

おやぶんがツッコム。そして、ワニッペの側に歩いていく。

 

「どうだ?初バトの感想は?」

 

おやぶんは、ワニッペの肩に手を回すようにして言った。

 

「・・・ワニ。」

 

「・・・・・・へっ、そうか。」

 

「ん?ワニッペなんて?」

 

「あぁ?男の話だよ。」

 

「あー、差別ー!」

 

 

 

 

 

マリル(おやぶん) side

 

 

「(・・・その〜、あの、やっぱり痛いですよね。バトルって・・・・。)」

 

 

・・・ワニッペは・・・バトルが嫌いなんかじゃねぇ。ただ単に優しいだけだ。

 

まあ俺から言わせりゃ、『笑わせんじゃねぇ!それでも○○たま付いてんのかぁ!?』と普通なら怒鳴り散らす。

 

さっきのバトルでも、相手にも、気を使うように技の力を調節して出していたしな。

 

.

 

まあ、性格はバカに出来ねぇもんだ。

 

ポケモンバトルは、ワニッペのいう通り、相手を技で傷つけてぶったおせば勝ちだ。

 

それを普通に捉えられねぇのが、ワニッペみたいなヤツだ。

 

・・・悪いことじゃねぇ。むしろ、そう考えるのが正しい。

 

互いに傷つくのが嫌で、自分も痛いのは嫌。

 

 

「・・・なあ、ワニッペ。俺達トレーナーは何故バトルをすると思う。」

 

「え、えっと・・・、・・・強くなるため・・ですか?」

 

「まあ、そうだわな。じゃあ何の為に。」

 

「さ・・・さぁ。」

 

「たいていの奴は、栄光が欲しいから強くなるんだよ。トレーナーは優劣競い合ってなんぼの仕事だ。」

 

「そうなんですか・・。」

 

俺はワニッペの表情を見た。

 

ワニだけあって、なかなか感情が読み取りにくい。が、なんとなくわかる。

 

・・・戸惑ってるな・・・・・。

 

「別に無理してついてくる必要はねぇさ。何なら俺がマツリに言ってやろうか?」

 

「い、いや、大丈夫です。」

 

 

 

 

ワニノコ(ワニッペ) side

 

 

 

 

・・・何度もいうけど、僕はバトルは嫌いじゃない。

 

 

だけど、トレーナーのポケモンになるって事は、ずっとバトルをしなくちゃいけない。

 

死ぬほどきつい練習や修業を繰り返し繰り返しやって、何度も何度もバトルで戦う。

 

 

・・・正直いやだ。恐い。

 

 

でもそれ以上に、そのたび相手が傷つき、それが当たり前のようになってしまうのが一番恐い。

 

・・・僕には荷が重いと言いたい。

 

けど、意気揚々と旅を始めた人に、辞めますって言いづらいしなぁ・・・。一緒になって2日だけど、明るくて元気な女の子のトレーナー。そんな人をガッカリさせたくないのもあるんだよな・・・。

 

・・・・・結局、僕は迷っていた。

 

 

 

 

 

 

リーダーさんとおやぶんさんと道を歩いていた時だった。

 

閑散とした道のりを進行していた時、突然強い突風が吹いた。

 

そこらの草むらや地面を薙ぎ払うかのような衝撃が、足を伝って響いてくる。

 

・・・風が止んだ。

 

 

・・・・・その後。

 

 

「助けてぇぇええええ!!!」

 

 

登り坂の向こうから声が響いた。ここから近い。

 

「ほぇ?何だろ?行くよみんな!」

 

 

 

 

リーダーさんが走りだし、それに続いておやぶんさんと僕も走り出す。

 

・・・リ、リーダーさん速い・・・。

 

 

 

きつい坂を駆け上がり、足が悲鳴を上げるけど我慢して、ようやく坂が終わった。平地に着いたようだ。

 

辺りを見回すと、目の前にある大きな池に目を奪われた。

 

大きな池の側に、小さなトレーナーが3人、大声で泣き叫んでいる。

 

リーダーが真っ先に駆け寄った。

 

「どしたの?みんな?」

 

リーダーが泣いている理由を聞く。

 

「か、風に飛ばされたんだ!!」

「ボールも飛んじゃったーー!」

「このままじゃ死んじゃうよーーー!」

 

男の子二人、女の子一人。泣きべそをかきながら声を上げた。

 

「へ?何?どゆこと?」

 

リーダーさんが頭にハテナを浮かべて再度聞いた。

 

「ぼ、ぼくのキャタピーが溺れちゃうーー!」

「私達泳げないの!!」

「うわーーん!コラッターー!」

 

・・・・・あ!!

 

 

あの池を見た。

 

池の水面に、散乱したように浮いているカバンやモンスターボール。

 

そして、もがきにもがいて苦しそうにしているキャタピーとコクーンとコラッタが、池の真ん中にいた。

 

さっきの突風で池の真ん中まで飛ばされたんだ!でも淵から20mもあるよ?

 

 

「うわーーん!キャタピーー!」

「どうしよ!?どうしよーー!?」

「死んじゃやだーーーー!」

 

子供達が泣き叫ぶ。

 

 

 

ザブン!! ザブン!!

 

 

 

・・・・へ?

 

何の音だと思考する。

 

・・・・・水の音。飛び込んだ時の音。

 

あれ?リーダーとおやぶんがいない!?

 

・・・・まさか・・・・・!

 

 

 

 

 

水面からおやぶんが顔を出した!

 

「ワニッペーーー!てめぇはコクーンを頼む!任せたからなーーー!」

 

そういうと、おやぶんさんは水中に潜って、池の中央へ向かっていった。

 

・・・・・!

 

タンッ・・・バッシャアアァァン!

 

一瞬呆然としたけど、僕も池に飛び込んだ!

 

「(・・・ウチのリーダーさんって、泳げるのかな・・?)」

 

前後の足をかきながら、尻尾で水の抵抗を消しながら、必死に前へ前へと泳ぐ。

 

僕は急いで池で溺れているポケモン達のいる、中央へ急いだ!

 

・・・!?

コクーンが沈んでいる!?

 

僕はスピードを上げて、コクーンの元へ潜った!

 

 

 

・・・・・あ。

 

深く青く光りの届かない所まで沈んでいたコクーンは、重力に逆らうように、真上へと上昇していく。

 

・・・僕は目を凝らしてよく見た。

 

そのコクーンは、リーダーの両手に抱えられながら、グングンと水面へと誘われていく。

 

僕はリーダーさんを追いかけた!

 

 

 

 

 

ザバッ!!

 

「ぷはっ!」

 

水面から顔を出す!

 

「ワニッペ!コクーンをお願いね!」

 

ジャケットを脱いで、カッターシャツ姿になっていたリーダーさんは、僕にコクーンを手渡した。

 

そして、リーダーさんは再度池に潜った!

 

僕は手渡されたコクーンを見た。

 

ブルブルと痙攣している・・・!

・・・生きてた・・!

 

 

僕は陸地へと急いで泳ぐ!

 

 

 

速く、そして深い池を急いで泳いだ!

 

コクーンを背中におぶりながら泳いでいるから、僕の視界は暗い水深の底。

 

果てしない闇が広がっていた。

 

.

 

・・・・・・・・!?

 

.

 

その暗黒の深い空間から、何かがぽっつりと現れた。

 

・・・なんだ?

 

だんだんと近づいて来る・・・!

 

 

光に照らされたソレは、僕を追い抜いた!

 

・・・・速い!

 

 

 

まるで、伝説の人魚のようだった。

 

細くしなやかな脚から、とんでもない水流を生み出していた。

 

まるで水に逆らうことなく、イルカのように身体を上下させていた。

 

キャタピーを胸の所で抱えながらも、生成される水泡よりも速く上昇していた。

 

・・・僕は、碧色の髪をした人魚に、見覚えがあった。

 

 

 

 

 

 

 

ザバァ!!

 

僕は池から陸地に上がる!

 

そこには、おやぶんさんとコラッタ。リーダーさんとキャタピー。そして涙ぐんだ小さい子達がいた。

 

そのうちの女の子が、僕に駆け寄ってきた。

 

「コクーン!!コクーンは大丈夫なの?死んでない!?死んでないよね!?」

 

僕より少し目線の高い場所で、女の子がグッと迫る。

 

僕は慌ててコクコクと頷き、背中に担いでいたコクーンを渡してあげた。

 

「うぅ・・・ぐす・・・ありがとう、ワニちゃん。」

 

.

 

・・・僕はこの子の表情を、きっと忘れないと思う。

 

 

.

 

 

おやぶんさんが歩いてきた。

 

バシッ!

 

「痛っ・・!?」

 

な、なんで!?

 

 

「よくやった!!ご苦労!!」

 

・・・・・・へ?

 

おやぶんさんがニッと笑っている。

 

「お前がいなけりゃ、コクーンは死んでたんだぜ。」

 

「へ?・・・えと、まあ、一応水ポケモンだし。」

 

「水ポケモンだから、だよ!」

 

おやぶんさんが僕の胸をこついた。

 

 

 

「溺れたポケモンはコッチーー!」

 

リーダーさんがカバンを探りながら、手をチョイチョイとさせて、皆を呼ぶ。

 

リーダーさんは、カバンからきのみを三つ取り出した。

 

溺れて衰弱したキャタピー、コクーン、コラッタ達に、リーダーがゆっくりと木の実を食べさせた。

 

.

 

「・・・よっし!これでだいじょぶだよ!」

リーダーさんがニカッと子供達に対して笑った。

 

 

 

リーダーさんのいう通り、キャタピーとコクーンとコラッタは、元気を取り戻した。

 

「キャタピーーーー!よかったーー!」

「うわーーん!コクーン!」

「コラッターーーーー!!」

 

子供達は、泣きじゃくりながらポケモン達に抱きついた。

 

「お姉ちゃん!ありがとう!」

「ごめんなさい!私達、およげなくて!」

「ねーちゃん、泳ぎ速いね!!」

 

「えへへ♪どういたしまして〜♪」

 

ウチのリーダーさんは、照れながら頭をかいた。濡れたカッターシャツから水を滴らせながら、笑顔をふりまく。

 

 

 

リーダーさんがコッチにやってきた。

 

「ワニッペ!おやぶん!イェーーーイ!!」

パチンと、トライアングルハイタッチ。

 

そして、僕の手を握り、ブンブンと上下に振る。

 

 

「ワニッペ!泳げたよね!泳げた泳げた!」

・・・へ?

 

僕は首を傾げた。

 

.

 

「ワニッペが泳いだから、助けれたんだよ!!」

 

 

 

 

.

 

ニカッと、碧色の髪の少女は笑った。

 

 

 

・・・・・おやぶんに言われた時は実感なかったけど・・・。

 

・・・・身体中から溢れるゾクゾク感。

 

・・・・・僕のリーダーに手を握られて。

 

・・・・僕の胸のモヤモヤが消えた。

 

 

 

 

 

「おい、ワニッペ。」

 

おやぶんさんが呼んだ。

 

「さっき、トレーナーの話したよな、バトルで勝つために強くなる話。」

 

目の前で、子供達にやんややんやとちやほやされてるリーダーがいる。

 

「俺達は、確かに強さは必要だ。」

 

おやぶんさんは目を細めた。

 

「俺達が目指してんのは、コレなんだ。」

 

コレと指差すおやぶんさんの指先を見た。

 

.

 

―お前がいなきゃ、コクーンは死んでたんだぜ?―

 

.

 

 

 

.

 

きっと、僕がいなければ決してなかった光景。

 

小さい子達が、笑い声をあげて、じゃれあう。そして抱かれていたポケモン達は、にこやかに顔を胸に埋める。

 

「悪かねぇだろ?」

 

おやぶんさんが言った。

 

「・・・・・・・はい。・・・僕、すごく好きです。」

 

「ヘヘヘ、マツリを頼むぜ。パートナーさんよ!!」

 

おやぶんさんは、そう言って肩を叩いてくれた。

 

 

 

 

マツリ side

 

いや〜、よかったよかった!

 

ギリギリセーフってヤツ?

 

「えへへ♪良いことした後って、気持ちいいね!」

 

「けっ、調子にのるな!単に泳げてよかったって話だろうが!てめぇ、ちっと泳ぎが遅くなったな!?今度みっちりしごいてやる!」

 

「お願いしまーす!」

 

「・・・てめぇもだ、ワニッペ。」

 

「ワニ!?」

 

・・・・・・・・・・あれ?

 

「ワニッペ?」

 

アタシはワニッペの顔を見た。

 

「ワニ?」

 

「(じぃ〜)・・・・・・・・・。」

 

「ワ・・・・ワニャ?」

 

・・・さっきより・・・元気になった?

 

「・・えへへへ♪」

 

アタシはワニッペの頭を撫でた。

 

「さって!もうすぐゆーがただよ!おやぶん!キキョウまであと何キロ?」

 

 

「・・・てめぇ、まさか。」

 

「その、まさか!」

 

アタシはスニーカーにはきかえた!

 

「・・・約3キロだ。」

 

「よっし!じゃあ、キキョウシティに11分以内に着けなかったら、罰ゲーム!」

 

「ワニャーーーーー!?」

 

「おいマツリ!ワニッペが何か言ってるぜ。ヘルニアが再発したらしい!」

 

「みんな準備オッケー!?」

 

「・・・・・・ワニ。」

 

「ヘヘヘ、諦めろ。・・・さて、ワニッペ!俺から遅れてみやがれ、level:65の捨て身タックルをかますぜ!」

 

「ワニャーーー!?(←level:7)」

 

「ようい・・・・・・・ドン!!」

 

アタシは駆け出した!

 

綺麗な夕日にかざされながら!

 

ワニッペ!これからもヨロシク!

 

んでも、父さんのギルドつくるには、もうちっと強くならなきゃね♪

 

さあさあさあーーーー!!

走るぞーーーーーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワニッペ side

 

 

 

やっぱ、誰が代わって下さーーーーーーーい!!!!

 

 




登場キャラ紹介

主人公 女

マツリ(13歳) CV豊崎愛生
身長 154cm
体重 41kg
血液型 A

スリーサイズ
B77W56H69

容姿
・碧のショートヘア、毛先がシャープ。左右にピンクの蝶々リボン。
・肌は茶色く焼けた小麦色。
・大きな紺色の瞳が印象的。
・歯は白く、小さな八重歯が覗く。
・ツン、と突き出た唇。

服装
・深緑迷彩ジャケットに白いカッターシャツ
・焦げ茶のミニスカート
・基本は裸足。外では青のビーチサンダル。
・常時白い水着を着用済み。(何時でも泳げるように。)
・カバンは、黒白のエナメルのビーチバッグ。手提げにも肩掛けにもできる。

性格
・とにかく明るく元気。
・一人称は「アタシ」。
・人なつっこく誰に対してもフレンドリーだが、とてつもなくマイペース。
・ワイルド精神(?)で、一般常識では計りきれない言動をとる事も。
・落ち着きがなく、じっとしていない性格。
・健康優良児。
・走りが大得意。
・泳ぎも大得意。
・極度の方向音痴で、自宅にまともに帰れない事もしばしば。
・母のグレン火山ハンバーグが好物。
・花や野菜を育てるのが好き。その他、植物や木の実や果物等に詳しい。

カバンの中身
・水着のスペア
・タオル
・下着
・日焼けクリーム
・すごい釣竿

備考
・夢は水ポケモンマスター。
・母は健在。父は昔ポケモントレーナーで、水ポケモンのみでバトルを極め、ジョウトのポケモンリーグで唯一、水ポケモン統一の殿堂入りを果たしている。その後、ギルドを設立して、海や川に関する依頼を熟(こな)していった。マツリが産まれて10年後に、潜水病で亡くなっている。
・父の事を尊敬している。
・父に教わった釣りや泳ぎや潜りに関しては、本能的にうまい。
・アクティビティだが、頭で考えるのは苦手。



ワニノコ(ワニッペ)(♂)

性格
庶民派。
意外と臆病。

備考
・マツリの事をリーダーさんと呼ぶ。
・同時に、おやぶんの事もさん付けで呼ぶ。

ステータス
ワニッペ Lv.7(特性:激流)
HP:25
攻撃:14
防御:12
特攻:13
特防:10
すばやさ:12


マリル(おやぶん)

性格
負けず嫌い。
義理人情が厚い。

備考
・かつて父の所持していたマリル。
・マツリは『おやぶん』と呼んでいる。
・主にマツリの世話役に、バトルの教鞭を行う。
・喋る。
・レベル65。だが、個体値がカンストしていて計測不能。努力値もカンスト。

ステータス
おやぶん Lv.65(特性ちからもち)
HP:540
攻撃:561
防御:237
特攻:420
特防:220
すばやさ:568


ブラック (12歳)
身長
体重
血液型⇒wikiを参考にしてください。

・主人公のライバルとして、目の前に立ちはだかる・・・・・・が、出鼻をくじかれてマツリに振り回されていく。
・最強のトレーナーを目指す。ロケット団と因縁があるらしい。
・マツリの事を、心の底から鬱陶しく思っている。
・マツリからはラックと呼ばれ、以降は愛称となってしまう。……本人は乗り気ではないが。
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