ネタメモのまとめ   作:星茸

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牧師さんの知らん鷲(アニメ未登場)(確か)


空狙クロス 4

 

 

ネットシティ裏、開発予定区画。

まだほとんど道となるパネルしか敷かれていないこのエリアで、ホロウは誘い込んだホロウナビ・トマホークマンと向かい合う。

大して広くもない通路に弾丸とトマホーク、そして鷲型プログラムが飛び交う混戦模様。

 

『いや何その知らん鷲!?〈トーテム〉はどうしたお前ェ!』

 

PET越しに八神が叫んだ。

対〈トーテム〉用の〈カキゲンキン〉が早々に無駄になったことを嘆きながらも、素早く意識を切り替え転送するチップを再選出する。

PETからの支援に慣れていないホロウに無理に攻撃系チップを送りつけリズムを崩させるよりは、別途でPETから操作できる〈キャノン〉系で支援射撃する方が戦いやすいだろう。あとは〈シールド〉が間に合わない時の防御用チップぐらいだろうか。

 

やがて追いついたクラッシュマンも参戦するが、ホロウトマホークマンは乱入者に目もくれずホロウばかり狙い続けている。

それにイラついたように舌打ちをひとつ。ホロウへ振るわれるトマホークの間合いに無理やり割り込み、クラッシュマンはその刃をドリルで受け止めた。打ち合わされた斧とドリルが擦れ合う嫌な音が響く。

それでもまだ視線を向けないホロウトマホークマンに、ついにクラッシュマンが吠えた。

 

「こ、のやろっ……こっち見ろっての!〈ガトリングマウント〉ッ!」

 

組み合ったまま至近距離でぶっぱなされたガトリング砲をもろに受けて、ホロウトマホークマンが大きく後退する。その隙を狙い〈スコープガン〉を構えるホロウ。

チャージが溜まりあとはトリガーを引くだけというタイミングで、センサーがこちらへ飛んでくる何かを捉えた。

 

ガッ、と音を立てて床パネルに突き立ったそれを見て、紬が声を上げる。

 

『ッ──逃げて!』

 

マイクを通したその音声が変換され、電脳へと届くと同時。

チカ、と点滅したそれ──〈クラッシュボム〉が、轟音を上げて炸裂した。

 

 

 

爆風に吹き飛ばされ地を転がったホロウが身体を起こす。

幸い、ボムの着弾地点はホロウからは離れていたのでそれほど大きなダメージにはならなかった……逆に言えば、クラッシュマンとホロウトマホークマン側に近かったということだが。

爆煙の舞う中を見れば、ノーダメージとは行かないまでもなんとか立っているクラッシュマンの姿が見えた。ホロウトマホークマンは……あの爆発がトドメになったのかデータ分解が始まっている。

 

ボムの飛んできた先へサーチ機能を走らせる。

下手人はすぐに見つかった。爆煙のさらに向こう側に立つ、もうひとりのクラッシュマン。

間違いなくホロウナビだ。それは判る。だが──ホロウナビの照合用データに()()()()()()()()()()()()()()()()()()

つまり、あれは──

 

『──ザ、ザザ──、ロ──ホロウ、聞こえるか!?』

 

「っ……八、神、牧師……」

 

ノイズ混じりの声に、思考が中断される。爆発の衝撃で途絶えていたPETとの通信が復旧したようだ。

クラッシュマンの方も通信が回復したのか、送られた〈リカバリー〉で立て直している。仕切り直し、と言うには足りないだろうが、これで何とかするしかない。

こちらを視認し真っ直ぐに突き進んでくるホロウクラッシュマンを見据えながら、ふたりもまた構え直した。

 

 

 

ホロウクラッシュマンのガトリング砲を旋回移動で回避しながら、クラッシュマンもまた〈ガトリングマウント〉を起動、反撃とばかりに容赦なく撃ち込んでいく。

降り注ぐ弾丸の雨を気にすることなく突き出されるドリルを打ち払えば、突如死角から放たれた弾丸がホロウクラッシュマンを襲った。〈コウガクメイサイ〉で姿を隠したホロウによる支援射撃だ。

一瞬、その意識が射手の方へと向く。だが、クラッシュマンの振るうドリルを認識してすぐにそちらへと集中し直し、再び打ち合いを始めるホロウクラッシュマン。

 

……やはり挙動に違和感がある、と、身を隠したままホロウは思考を巡らせる。

“蠱毒”を確実に成すために、ホロウナビは基本的にホロウナビを最優先して狙うように作られている。

確かに“強者のデータ”を求める性質上、その大元であるオリジナルを狙う場合もなくはない……が、それは他にホロウナビ(獲物)が存在しない場合に限ってのことだ。

今、ホロウは姿こそ消してはいるがその気配(識別シグナル)までは隠していない。通常のホロウナビであれば、それを検知した時点でホロウナビ以外を認識しなくなるはずだ……先程のホロウトマホークマンのように。

それなのに今、このホロウクラッシュマンはホロウの存在を認識しながらも、クラッシュマンとの戦闘を優先した。

 

思考も感情も持たないホロウナビが、自律的にそんな判断が下せるとは思えない。

可能性としてはホロウのようにバグで自己を確立したか、もしくは……何者かに制御されているか。

前者に関しては、痛みも感情も感じていないようなホロウクラッシュマンの様子を見る限りありえないだろう。そもそも“ホロウ”が発生したのが奇跡のような確率なのだから。ならばやはり、ホロウクラッシュマンの存在も含めて何者かの介入があったと考えるべきだ。

厄介なことになったかもしれない、と考えながら、ホロウは再び無防備なホロウクラッシュマンの背へ〈スコープガン〉を撃ち込んだ。

 

 

 

腕のドリルを向けたまま突っ込んでくるホロウクラッシュマンを、こちらも両腕のドリルを交差させ真正面から受け止めるクラッシュマン。

ギャリリ、とドリル同士が絡み、火花を散らす。

 

『バトルチップ〈サイドバンブー〉、スロットイン!』

 

文字通りの横槍にホロウクラッシュマンの体勢が崩れた。

そのまま横に流してやれば、その勢いを殺せずたたらを踏んで、ドリルが床パネルに突き刺さり動きが止まる。

 

「こいつはお返しだ!〈クラッシュボム〉!」

 

両腕のアームパーツが開き現れた射出口から杭付きのボム……〈クラッシュボム〉がいくつも放たれた。

それらは真っ直ぐにホロウクラッシュマンへと向かい、その装甲へ突き刺さると同時に爆発を起こす。

 

大火力の〈クラッシュボム〉の直撃、それが複数発ともなればいくら重装甲のナビがベースになっていても耐え切れることはない。爆煙とともにデータ粒子となって消えていくホロウナビを確認して、彼らはようやく息を吐き出した。

 

 

 

 

 

なんだかここに来てから連戦ばかりな気がする……と思いながら、オレは周囲のスキャニングを行う。……少なくとも知覚できる範囲内にホロウナビや敵性反応は検知できない。今度こそひと段落だと息を吐いて、〈スコープガン〉を仕舞った。

 

「はー、なんとかなったか……ホロウ?」

 

「……ん、だい、じょうぶ。それよ、り、今から、“穴”、へ、向かう、のか?」

 

『……そうだな、ちょうど少年らの方もケリがついたようだし……合流ののち、目的地へ向かおう。皆が来るまでそのまま待機していてくれ』

 

『わかりました。クラッシュマン、〈リカバリー〉は足りてる?』

 

 

 

それから少しして合流した3人も別の場所でホロウナビと戦っていたと聞いて、オレの疑念はさらに深まっていく。

やはり、早く“穴”へ向かうべきだ。そこまで行けば“あちら側”との通信ぐらいはできるはず。そうなればこの疑念は確信に変わるだろう。

 

気が急いて早足になるのを窘められつつ、オレは皆を先導する。

そうして進んだ先に、目的の“穴”……オレが通った空間の亀裂が発生した場所へとたどり着いた。

亀裂の大きさは成人型ネットナビ程。それほど大きく口を開けているわけではないが、その端はピキ、と小さくヒビが広がっている。

 

「亀裂の先は……さすがに見えんな。この先がお前のいた場所なのか?」

 

「ん、識別信号、が、出てる。……間違い、なく、ここが、繋が、ってる」

 

一歩踏み出し、“あちら側”へ向けて通信を飛ばす。ノイズは多いが接続エラーは出ていない。周波数を調整し、安定するポイントを探る。

 

「……こ、ちらホロウ。応答、願う……」

 

【──、─ちら──省───ホロウ?】

 

「! よ、かった、繋が、った……!」

 

【本当にホロウなのか?世界中どの電脳からも反応が消えて、何処へ飛ばされたのかと……】

 

ヴン、と目の前にウインドウが開いた。映像までは表示できないが、なんとか通信できそうだ。

いつ切れるかも分からないそれをなんとか維持しながら、オレは確認要件を伝えるため口を開いた。

 

「時間、が、ない。報告、は、戻って、から。確認し、たい、ことが、ふたつ」

 

【……内容は】

 

「ひとつ、“こちら側”、に、入った、ホロウナビ、の、数。ふたつ、鋳造プログラム、のデータ、に、“クラッシュマン”が、ある、か」

 

間が開く。

あちらでデータの確認をしているのだろう。あの(ナビ)ならすぐに戻ってくるはずだ。

思った通りにすぐに戻ってきた彼の解答は、やはりオレの想定通りのものだった。

 

【………そちらへ渡ったホロウナビは5()()。亀裂のある電脳のログではそうなっている。そして、ホロウナビの鋳造プログラム、そこに登録された設計データに()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ホロウナビとしてそのナビが造られることは基本無いだろう】

 

『え』

 

「ちょ、ちょっと待て、それって……!」

 

「……や、はり……」

 

【なるほど……概ね状況は理解した。ホロウ、追加任務だ。お前に鋳造プログラムの捜索を命じる】

 

「了解、した」

 

【……ただし、無理をする必要は無い。……必ず、ワタシたちの元へ無事に戻ってくるように】

 

いいな、と念押しする声を最後に通信が途切れた。

ノイズしか吐き出さなくなった通信ウインドウを消し、振り返る。

そこに立つ彼らは明らかな困惑の顔。おそらくオペレーターたちも似たような顔をしているのだろう。

 

「ねえ、今の話って……?」

 

「お、れも、さっき、ホロウクラッシュ、マンを、見て、その、可能性、に、気付いた。だから、今、確認し、たが……ホロウナビを、造る、鋳造プログラム……研究所、を、押さえ、た時に、飛び散った、それ、が、“こちら側”、に、ある。しかも、そ、れを使って、新た、なホロウナビ、を、生み出、している、何者かが、いる」

 

 

 

 

 

現地に設置された計測器から送られてくるフォッサアンビエンスのデータを確認しながら、八神はひとつ息を吐き出した。

 

あの場で明かされた新たな事実と“敵”の可能性。

ホロウナビの鋳造プログラム……ホロウ曰く、複数あったうちの一つだろうとの事だが。そんなものがこっちに来ているとは。

それに、それを悪用している存在の示唆。

 

元はブルースとサーチマンがそれぞれに遭遇したという偽物の話から始まったはずなのに、どうしてこんなにも広がってしまったのか。

この世界は本当になかなか平和が長続きしないな……とひとりごちる八神。

再び大きく息を吐き出しながら、ミーティングへ向かうため椅子から立ち上がり、PETを取り上げるのだった。

 

 

 




なんか敵とか生やしてますが多分次回ナレ壊滅します(キンクリ)
そこら辺はもう……背景なので……ネッ

ちなみにホロウの世界から来たホロウナビは
・ゲートマン(本編前ブルース遭遇)
・クイックマン(本編前サーチマン遭遇)
・ナパームマン
・カーネル
・トマホークマン
の5体でした。配役は適当()
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