「お兄さん、その……クイックマンを、借りてもいい?」
「僕は構わないけれど……いいかい、クイックマン?」
『ああ。ちょっと行ってくるよ、ダイスケ』
そう言ってPETの画面からクイックマンの姿が消える。そのままちゃんと紬のPETへと移動したようだ。
ありがとう、と礼の言葉を残して自室へと戻っていく妹を、ダイスケはリビングから見送った。
『それで、紬ちゃん。僕に何か用かな?バスティングなら……キミのナビが居るだろう?』
キミのナビ、という瞬間に若干嫌そうな顔をしたのは、まだ彼のことを認めていないからだろう。
……先日、ナビを失った紬の元に突如現れ、学校で大暴れしたクラッシュマン。
自身のオペレーターの妹……自分にとっても妹分のような紬を危険な目に晒した彼のことを、クイックマンはあまり気に入っていないらしい。
「えっと、クラッシュマンは今科学省で定期検査をしてるから居なくって……じゃなくて、その、バスティングじゃなくて……そろそろ、お兄さんの誕生日が近いでしょう?だから、何かプレゼントをしてあげたくて……」
『ああ……なるほど、だから僕なんだね。任せなよ、ダイスケの好みはバッチリ把握してるからさ!』
「ありがとう!それで、今の予算がこれぐらいで……」
『ふむふむ、となると手が届きそうなのはこの辺りかな……』
いくつかの商品広告を広げながら、あーでもないこーでもないと話し合うふたり。
そうして過ごす久しぶりの妹分との交流に、水を差す影がひとつ。
『紬!ただいま!何も無かったか……あ、クイックマン、居たのか』
「お、おかえり……うん、大丈夫だよ」
『………』
めちゃくちゃ渋顔のクイックマンが、広げた広告データをしまいながら立ち上がる。
『紬ちゃん、とりあえずこのデータは置いておくから、決まったらまたこっそり聞いてくれればいいよ。それじゃ、僕はダイスケのところに戻るから』
「う、うん……ありがとう、クイックマン」
『………僕は!絶対に!認めないからな!!!』
ずびし!とクラッシュマンを指さしながらの謎の宣言と共に画面から消えるクイックマン。
そこに残されたのは、なんかあったかな……?と首を傾げるクラッシュマンとあわあわしっぱなしの紬だけだった……
▼シスコンクイックマン。
大事な妹分のナビがアステロイドなんて危険物認められるわけないだろ!!!のクイックさん。
今まで(ゴスペル事件前)も時々紬のオペレート練習に付き合ったりして付き合いが長いといいな……
……ピーキー性能クイックマンをオペレートできる腕と頭脳を持つ紬ちゃん……!?(気付き)
ダイスケさんほどじゃないけど速度に追いつけるタイプのオペレーターなんやろな……むしろそれで鍛えられてるんだろうな……
※アニメ39話より
ピンク色に染められた巨大ウイルスが、現実世界の街を蹂躙している。
頼みの綱のネットセイバーも、ディメンショナルジェネレーターを破壊されたことでクロスフュージョンを封じられ抵抗の手段を失っていた。
このままネオWWWの思うままになってしまうのか、と思われた時。
「あらァ?」
ビデオマン率いるウイルス軍団の前に、ひとりの少女が立ち塞がる。
「おやおや、逃げ遅れかな?」
「怪我ァしたくねぇならさっさと逃げな。逃げねぇと……どうなるかは保証しねぇぞ」
鞭を手に凄む犬飼を前にしても一歩も引く様子のない少女。
舌打ち一つ、背後に控えるガルー達に指示を出そうと犬飼は鞭を振り上げた。
「……逃げません、」
「あァ?」
「これ以上は、好きにはさせません。絶対に」
「あら怖い。でもこーんなリトルガールに何ができるのかしら?」
ぐ、と手にしたそれを祈るように握り、PETと共に構える。
そこに添えられたチップが見えた瞬間、彼らの顔色が変わった。
「〈
ごう、と噴き上がる光の柱。
アステロイドが実体化する時のそれは、彼女の持つそれらが本物であることの証明に他ならない。
現れたのは、オレンジ色の重装甲に身を包み、両腕のドリルを構えた人型のアステロイド。
バイザー越しにもわかる敵意に燃える翠の瞳に、ビデオマンが思わず後退った。
「……お願い、クラッシュマン。……みんなを、助けて!」
「……ああ。それが、紬の望みなら!!!」
▽そういえば回収されたディメンショナルチップってどうなってるんでしょうね……?
たぶん科学省で研究解析されてると思うんですけどね……
ここでは解析して改変(暴走しないように出力が抑えられたりとか)されてるものを紬ちゃんが勝手に持ち出したアレソレ的な……
この後熱斗くんと合流してがんばるけど数の暴力でピンチになったところで旧WWW登場的な流れです、たぶん。
「紬さん、ちょっとオレたちの名前呼んでみて」
「え」
いつもの(?)待機任務中、唐突にそんなことを言い出す熱斗。
それに戸惑いながらも言われた通りに紬は彼らの名を呼んでいく。
「ええと……熱斗くん」
「おう」
「炎山くん」
「ああ」
「ライカさん」
「なn 「それ!!!」 ……何だ急に」
ガタン!と勢いよく立ち上がり指差す熱斗に訝しげな視線を向けるライカ。
人を指差すな、とその手をはたく炎山もまた似たような目で熱斗を見る。
「なんでライカだけ“さん”なんだよ!オレたちの立場って同じはずだろ!」
「え、だって……ライカさんは歳上、ですよね?」
「まあ、確かにお前たちより歳は上だが……よく分かったな。言った記憶は無いはずだが」
「やっぱ見た目なのか!?」
「えっと、以前バイクに乗っていたじゃないですか。確か、シャーロの二輪免許取得は16歳からだったはずなので、じゃあそれ以上なのかなって」
「思ったより論理的思考だった」
▼シャーロ(の元ネタの国)での免許取得の話。あと紬の敬称付け方。
ふわっと調べただけなので違う部分はあるかもしれないんですけどまあ……原作では13歳で軍属だしな……そんくらいの差異はええか……となったので作者の作品全般でアニメ版ライカは16歳設定で書いていく予定です。
紬が男子を呼ぶ時は自分と同年~歳下には「くん」、歳上・目上には「さん」付けです。女子は全員「さん」。あとナビは一律呼び捨て。