NTロリ娘、避難所   作:にゃあたいぷ。

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33.激戦の後。

 ロサンゼルスの長い夜が明ける。

 しかしキャリフォルニアベースでは高官達が忙しなく動いており、北米方面軍の指揮を執るガルマ少将もまた忙殺されている。そして私もまた錯綜する情報の精査に協力していた。ニューヤークが連邦軍の手に落ちたのは昨晩の事、防衛線の再設定をした後、公国軍の高官は近場の戦力に片っ端から呼びかけているのが今になる。

 木馬はといえば、太平洋に進路を取ってアジア方面へと向かっていった。

 おかげで北米大陸から追撃を出すこともできず、指を咥えて見送る事しか出来ない。まあ今の侵攻を受けている状態で北米を彷徨い続けられるよりもマシなのだが──出来る事なら、この手で決着を付けたかった。

 私、シャア・アズナブルは今、木馬追跡の任を解かれ、緊急的に北米方面軍の配属となっている。

 

 ニューヤーク陥落の話を聞いたドズル中将が、何時もの即断即決で私をガルマの配下に組み込んだのだ。これは一時的な処置である為、所属は宇宙攻撃軍のままになっている。

 

 とりあえずニューヤーク、東部戦線にはノイジー・フェアリー隊を派遣してある。

 彼女達のモビルスーツは木馬に破壊されてしまった為、急場凌ぎのモビルスーツを持たせた上での話。パイロットに大きな怪我がなかったのは不幸中の幸いである。後で良い機体を送ってやらないといけないな。とガルマが言っていた。

 事のついでに私にも新型機を用意してくれないだろうか?

 イアン中尉が率いるザクキャノン部隊は南部戦線に戻しており、中米に駐在する連邦軍への牽制としている。西海岸からの備えには私が率いる部隊で対処する予定だったのだが、ここでひとつ問題が起きた。ニムバス准尉が宇宙に帰ってしまうのだ。木馬との戦闘データを持ち帰らせる事が目的のひとつ。最初はニュータイプ研究所だけの要請であったが、そこに総司令部と総帥府が乗っかった為、断るに断り切れなくなってしまった。

 補佐官には、ドレン少尉がいる。またペッシェ准尉が地球に残ってくれているが、これでは人手が足りなかった。かといってガルマも人材に余裕がある訳ではない。

 そこで私は直属の上官であるドズル中将に泣きつくことにした。

 

「俺のとこも人手に余裕がある訳じゃ……ああ、いや、丁度良いのが二人ほど居たな」

 

 ふと思い出したように告げるドズルの言葉にニュータイプ能力的な嫌な予感を感じ取った。

 とりあえずペッシェ准尉が用意してくれた珈琲を啜る。

 ……カナリアはW・コムで木馬を追いかける事が決まった。太平洋の各地にある拠点を経由した後、アジア方面軍の指揮を執っているランバ・ラル大佐と合流する手筈となっている。その時にまた新しいモビルスーツも受領する予定だ。それまではザクⅡで我慢して貰うしかない。

 嗚呼、自分の足で戦場に出れない事が、此処までもどかしいとは思いもしなかった。

 

◆

 

 当然の話だけど、W・コムには居住スペースがない。

 元となったコムサイが軍部の提示する要求性能を満たす為に無理やり増設したモビルスーツ格納庫である為、単独での活動は必要最低限に留められている。それでもW・コムを使わないといけないのは、今の北米方面軍に木馬の追跡に戦力を割ける余裕がない為だ。グフ・フライトタイプの代わりに配備されたザクⅡもまた初期生産型である事から、その苦しい懐事情が見え隠れしている。

 部隊長のカナリアは部下のシーマ大尉に「ヅダちょーだい♪」と猫撫で声で強請るも「アンタはすぐ壊すから嫌だね」とすげなく断られていた。頰を膨らませたカナリアは後部にあるモビルスーツの格納スペースの隅で仮眠を取っている。

 艦の運用はシーマ大尉に委任しているらしい。宇宙でも、そうだったようだ。

 

 私、メイ・カーウィン技術少尉は今、死んだ目でW・コムに乗せられている。

 理由は単純明快、今の北米方面軍にチベットまで私を輸送する足を用意する余裕がない為だ。木馬追跡に託けて、出発日に予定変更と相成った。本来はガウ級攻撃空母で悠々自適の旅をするはずだったのだが、そのガウがロサンゼルスの戦いで撃墜されてしまったので仕方ない。そんな訳でカナリアを含めた部隊との縁は今もなお続いている。

 ……別に嬉しい訳じゃない。寂しかった訳でもない。むしろ清々していた程だ!

 夜な夜な二人が互いを抱き枕にしていたり、風呂で互いを洗いっこしている姿を見せ付けられて──それが今後も続くかと思うとほんとうんざりする! なにかに目覚めそうで本当に困る!

 W・コムの進路はアジア方面、ヨーソローと青い空を翔ける。

 

◆

 

 ニューヤーク陥落、連邦軍の編成には新型機の姿もあった。

 それは公国軍のザクⅡを連邦軍仕様に改造したザニーに似た姿をしていたが、しかし性能はザクⅡを遥かに凌駕していたと云う。それが初期生産型ジムであった事を、この時の公国軍は知る由もない。

 連邦軍のニューヤーク攻略作戦には、多くの思惑は入り混じっている。

 先ず最初に本作戦を立案したのは、レビル大将ではなくて、ティアンム中将によるものだ。逐一、諜報部の情報に目を通していた彼は公国軍がホワイトベース隊の動きに翻弄されている事をいち早く見抜いていた。各前線からエース部隊が引き抜かれている事を知った彼は、敵国の重要拠点を目的に据えた幾つかの作戦を立案し、何時でも動き出せるように部隊編成までも行っていた。

 そこに新型機のモビルスーツ部隊を組み込んだのはゴップ大将の手腕である。

 

 レビル大将にはモビルスーツの実践的な運用データを取る為と説明し、半ば産廃と化していた初期生産型を本作戦に使う事を認めさせる。粗製乱造と揶揄される初期生産型ではあったが、それでもザクⅡと比較して高性能だ。モビルスーツ戦の心構えが出来ていなかったニューヤークは、碌な抵抗も出来ないまま蹂躙される事になる。

 

 この成果にレビル派に属していない者達は歓喜した。

 レビル本人はホワイトベース隊の救出に使えなかった事を心苦しく思ったが、この襲撃で敵の注意を自分達に向ける事ができると諌められる。実際、たったひとつの部隊の為に軍全体を危険に晒す訳にはいかなかった。それに太平洋まで突破した後の事を考えれば、確実に追撃の手は緩められるのは本当のことだ。

 間接的にはホワイトベース隊の助力になっている、と詭弁で自らを納得させる他にない。

 実践で運用されるモビルスーツのデータが手に入る事は、レビル大将にとっても悪い話ではないものでホクホク顔で紅茶を啜った。

 それはそれ、これはこれ。である。

 

 ニューヤークを奪取された事で北米大陸の情勢は大きく動き出す事になる。

 疲弊した公国軍では、すぐに奪い返す事はできず、勢いのまま領土を拡大する連邦軍を防衛戦で食い止めるのが精一杯だった。だが、そこで活躍したのが闇夜のフェンリル隊とノイジー・フェアリー隊。二部隊の獅子奮迅の活躍によって敵戦線を突破。特にノイジー・フェアリー隊の活躍は凄まじく、彼女達が居る場所では勝利を積み重ね、彼女達の居ない場所で敗北するという事が繰り返されるようになった。

 その為、連邦軍がノイジー・フェアリー隊に対抗する為の独自の部隊を立ち上げる事になるのは……また別の話になる。

 

 さておき物語は次章へと続く、

 アジア大陸を巡る戦いに入る前にひとつ、幕間が入る。

 日本諸島のとある場所に設立された某研究所。

 連邦軍の所有物である当施設では、クルスト博士が持ち込んだ情報を基に、

 一年戦争初期からニュータイプ能力の研究が推し進められていた。

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