仮面ライダーインテグラ Enhanced Episodes   作:虎ノ門ブチアナ

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#+3 両親

 中国時間、4月13日、午後16時22分。

 福建省、福州市、台江区。

 

 黒いスーツ姿にサングラスをかけた怪しい男たちがアジトにて盛り上がっていると、ホールの扉を蹴り倒す鈍い破壊音が場の雰囲気を打ち破った。

 

「マフィア組織、惡冠龍(ウーグァンロン)…お前らがアイアスを強奪したのはお見通しだぜ。観念して返せ!」

 

 何十人もの構成員が居座るホールに響いたその声は、案の定彼らを激昂させた。

 

你到底是什么东西(なんだテメェ)!?」

那家伙不是假面骑士吗(アイツ仮面ライダーか)!?」

「ふふ、我同意(そのとおり)快点(さあ)把腰带还给我(ベルトを返しな)

 

 相手を挑発するように中国語で返した声の主―――火島(かしま) 勇太郎(ゆうたろう)は不敵な笑みと共にマフィアらをなぎ倒していく。

 

「オラオラ! とっとと出さねぇとアンタらのファミリーがブッ飛ばされまくるぜ!?」

如果他们是假面骑士(アイツが仮面ライダーなら)我们也必须为他们服务(こっちもアレを出すしかねぇな)!」

 

 そう言うと、マフィアの幹部らは懐に置いていたアタッシュケースからロインクロス・トループを取り出した。

 

「盗んだ上で使うのかよ!? 最悪~!」

 

 連中からベルトを取り返そうと走る勇太郎であったが、他の構成員による銃撃に阻まれる。

 

变身(ヘンシン)!」

 

 その叫びと共に3体の仮面ライダーアイアスが変身完了する。正義のための力を悪に染めた彼らに勇太郎は静かに憤慨する。

 

「往生際の(わり)ぃ奴らだな全くよ!」

 

 怒りと共に勇太郎は自身の携帯から専用バイク、ライドサイクロンを呼び出す。

 物質転送機構『ライドシステム』によってその場に転送されてきたライドサイクロンが構成員を蹴散らしながら勇太郎の前に停車する。

 

「こないだ追加された自動走行システム、いい仕事するな…さっすが金剛さんだぜ!」

 

 そう言いながらライドサイクロン後部のアタッシュケースからライドツールを取り出し、勇太郎は久しぶりにバーンイートリッジを手にする。

 

《Account・Burn》

 

我不会让你变身(変身などさせるか)ッ!!」

 

 構成員らは再び銃撃して勇太郎の動きを阻むが、ライドサイクロンの走行によってほとんどの銃弾が防がれる。

 

《Burn》

 

「―――変身」

 

《Change・Burn》

 

 赤に染まった勇ましき姿が勇太郎を包み、その上からカブトムシを思わせる装甲が纏う。

 仮面ライダーバーン。(たけ)る炎の戦士がマフィア達の目に焼き付く。

 

放弃吧(観念しな)傻子们(バカ共)

 

 バーンの放つ気迫に圧されながらも、アイアスらが突撃する。

 

「テメーらみたいな悪モンに負けるほど仮面ライダーは甘くない!」

 

《Burn・Attack》

 

 バーンが能力を解放させると、拳が炎を放ち、アイアスらの腹部へと強烈な一撃を見舞う。

 一瞬の間にアイアス全員へと攻撃を加え、勝負を終わらせる。

 

「で? …你还想做吗(まだやるかい)?」

 

 倒れた幹部からロインクロス・トループを回収したバーンは、ホール最奥(さいおう)で睨んでいる惡冠龍のボスへと歩を進める。

 

谁在发号施令(誰の指示だ)?」

「……」

 

 口を割らないボスに痺れを切らした勇太郎は彼の頭の横をかすめて殴る。

 やれやれ、と呟きながら変身解除した勇太郎は呆然とするボスの懐から拳銃と携帯を抜き出すと、彼の指を強引に掴んでロックを解除させて機密情報を閲覧する。

 

你在干什么(何をするんだ)!」

「こん中にある情報が欲しいんでな。どうせアンタらにはもう必要無いモノだ」

 

 勇太郎が彼の携帯を懐にしまうと、先程こじ開けた扉の奥から次々と地元警察がやって来る。

 回収したロインクロス・トループも含めてライドサイクロンに積載すると、勇太郎はその場を後にする。

 

「スマホん中の情報によると…やっぱ“あの組織”が指示してたんだな」

 

 繁華街まで出た勇太郎は風露へと情報共有を兼ねた連絡をする。

 

「もしもし風露さん? 例のマフィアから情報貰えました」

「今回の任務は以前の戦闘の際奪われてしまったロインクロス・トループの回収のみだった筈ですが…」

「はは…まぁ、こっちも色々と事情がありまして。曰く今回の事件を牛耳ってたのは天渡会(あまとかい)…だったら見過ごす事は出来ませんよ」

 

 勇太郎の身を案じ、溜息をつく風露だったが、勇太郎の事情も相まってそれ以上の叱責は避ける。

 

「勇太郎様が天渡会を追おうとする気持ちは分かります。しかし、先日体調を崩したばかりなのですからくれぐれも深追いしすぎない様に」

 

 はい、と返すと電話を切る。

 ムンムとの決着後、勇太郎は正体不明の意識消失に襲われしばらく昏睡していた。

 快復期間を経て勇太郎はようやく動けるようになったのだが、あれが何かの病気なのか、戦いによる疲労なのか、見当が付かなかった。

 試しに楓に聞いてみたところ、どうやら“ラフムの進化”に酷似した状況が起きていたらしい。彼曰く、勇太郎は“近い内に進化したラフムになる”らしい。

 

(もしかしたら天渡会と対峙している時に俺の新しい力が芽生えるかも知れねぇ…なら、このチャンスを逃す訳にはいかねぇよな)

 

 風露の心配をよそに、勇太郎は情報を手掛かりに天渡会の本拠地へと向かう。

 

――

 

 『天渡会』。

 それはかつて勇太郎の両親が所属していた新興宗教であった。

 “神世界(しんせかい)へと至る道”を教義とした彼らは、王の導きによって正しき行いをし、人を超越した生命へと転生することを目的としていた。

 が、その実態は王の思し召しと言う名目で信者を洗脳し、暴力で従わない者を(しいた)げ、独善的な正義を実行する危険な集団であった。

 

 勇太郎の両親が行方不明になってから間も無く、テロ等準備罪で教祖が逮捕され同時に解体されたと思われていたが、最近この中国にて名を変えず暗躍している事が明らかになったのだ。

 以前ロインクロス・トループを強奪し、運び屋に渡した後即逮捕された惡冠龍下級構成員らが語った、“これらの行動が正しき神世界への道となる”と言う発言で勇太郎は全て勘付いていた。

 

(人生の中でもう二度と関わる事の無い名前だと思っていたが……ここで会ったが100年目ってヤツだな)

 

 

 午後17時43分。

 福州市、晋安区。

 

 まさしく都市といった様相の続いた台江区と打って変わって、森林の生い茂るその土地に天渡会の本拠地がある、とボスの携帯には示されていた。

 罠の可能性も当然考慮したが、自力で突破できると考え、そのまま突き進む。

 

 しばらくライドサイクロンを走らせていると、森の奥地に白塗りの立派な建物が見えて来た。

 

 勇太郎が強引に侵入しようとしたその矢先、天渡会の信者と思われる黒いローブの女性2人が正面玄関から出て来た。

 

「お待ちしておりました、火島勇太郎様」

「俺を…待ってた……?」

 

 (いぶか)しむ勇太郎だったが、敵意の無い丁寧な案内に戸惑いつつも付いていく事にした。

 

「アンタらは俺が来るのを分かっていたのか? って、まぁ嗅ぎ回ってる事くらいお見通しだよな」

「いえ、我々の導師(どうし)穣司(じょうし)には見えていたのです。貴方がこの森に立ち入るのが」

 

 は? と勇太郎が返すが、ローブの女性らは微笑みながらも何も答えない。

 彼女らはただゆっくりと歩き、大講堂へと導く。

 

「どうぞ、こちらへ。導師がお待ちです」

「導師に穣司って、誰だっつーんだよ―――」

 

 勇太郎を出迎える様に大勢の拍手がかき鳴らされる。

 困惑する勇太郎への配慮は一切無く、彼らの向ける不気味な笑顔と拍手の応酬は止まない。

 

 と、大講堂入り口から下の階層にある、奥の講壇にスポットライトが照らされると、一斉に拍手が消え、無音の空間となる。

 

「待っていたよ、勇太郎」

 

 講壇から聞こえる男性の声。そこには、見知った顔があった。

 

「―――クソ親父!」

「乱暴な言葉は良くない。我々の信道に反するからね」

 

 信者らと似通った笑みを見せるその男は、数年前に行方不明になった筈の勇太郎の父であった。

 

「お前生きてたのか……まさか導師ってのは―――」

「私の事だ。母さんも、今は穣司と呼ばれている」

 

 そう言うと、紹介に預かった勇太郎の母が講壇に上がる。

 

「それで、俺を歓迎してるって事は、お前らの目的について洗いざらい話してくれるって事だよな?」

 

 ああ、と返して導師が笑うと、講壇に来る様に手招きする。

 それを受けて、勇太郎は大講堂の入り口から講壇へと飛び降りる。

 長い年月を経た親子の再開は、あまりにも重苦しい雰囲気の中で果たされた。

 

「―――では、我々の目的を話そう」

「…頼むぜ」

 

 勇太郎が凄むが、導師はなおも落ち着き払いながら話を始める。

 

「かつてティアマトと言う組織が全人類をラフムにしようと活動していたが、我々はその計画を踏襲しながらも、新たなる王に従う世界を作りたいと考えている」

「つまり、お前らも人々をラフムにしようってのか?」

「ああ…大いなる神格であるティアマト様では無く、この世界を統べるに相応しきお方…CD様を崇拝する神世界こそが、我々の理想なのだ」

「そんなにCD(カンケルデータ)が偉いかよ」

 

 ああ、と導師が笑う。

 

「貧富の差を無くし、誰も飢えず、争いの消えた世界…それこそがCD様の統治によって実現するのだ」

「そう言って多くの独裁者が擁立され、苦しみ、消えていった。その過去を忘れて今お前らは人々を傷付けている…分かっているのか」

「だとしても、だよ勇太郎。だとしても世界を変えなくてはならないんだよ、現世に蔓延るいくつもの哀しみを乗り越える為には変革が必要なんだ」

 

 確固たる意志でそう語る導師に、勇太郎は決して相容れる事が出来ないと確信し、拳を握る。

 

「力ずくでもアンタを止める。この世界に今生きている人達の自由は、絶対に奪わせない」

「どうして幸せになろうとする者の気持ちを理解しない? お前は幸せになりたくないのか?」

「俺の幸せを理解しなかったお前らが、よくもそんな事をッ!!」

 

 勇太郎の拳が導師へと振るわれる。が、その拳は母である穣司によって受け止められた。

 

「なっ、手加減してたがラフムのパンチだぞ!?」

「私も…ラフムだからよ」

 

 そう告げると、穣司がその姿を女性型の異形へと変貌させた。

 

「地を司る神の御力、ニンフルサグラフム……かつて叶わなかった“終焉の契り”、今果たさせて貰うわ」

 

 終焉の契り、それは天渡会の人間が教えに従わない家族を殺す時の儀式。

 かつて勇太郎はその儀式によって殺されかけたが、彼らは再び勇太郎を手にかけようと言うのだ。

 

 大地の力をその身に宿したニンフルサグは、地面から樹木を生やして勇太郎を拘束する。

 

「さぁ、導師様。あなたの手で我らが子の運命を流転させて下さい」

「ああ…一緒に王へと魂を還そう」

 

 今度は導師までもがラフムに変貌する。

 

「天を司る神の御力…アヌラフム。CD様より賜ったこの強大なる力で、お前を裁く」

 

 犬にも似た獣頭の人型異形と化した導師は、その鋭い爪を立て、勇太郎の心臓へと狙いを定める。

 が、バーンラフムに変貌した事で樹木を焼き払い、その場を脱する。

 

「みすみすやられてたまるか!」

 

《Account・Burn》

《Change・Burn》

 

 バーンが回避したところで手元にあったライドツールを用いて変身、仮面ライダーバーンとなる。

 変身完了と同時にニンフルサグへと再び殴打を与えんと迫るが、その瞬間、頭上から飛来した“何か”によってバーンが押し潰された。

 

「がぁぁぁぁッ!」

「これなるは、アヌの逸話…娘に与えたと言われる天の牡牛、グガランナ。その巨脚によって全ての敵を圧死させる…ところだが、生きていたのか」

 

 グガランナに踏み潰され瀕死の重傷を負った勇太郎を見下ろしながら、アヌラフムは止めを刺す為に歩み寄る。

 

「これで終わりだ…痛みも、苦しみも」

 

 今度こそ命が尽きる。そう感じたバーンは、今なお自分を責め立てる忌まわしい血縁から解放された過去の事を思い出していた。

 

(楓がいなけりゃ俺はあそこで死んでいた…ここまで生きて来れた事…本当に嬉しかった)

「さらばだ、勇太郎」

(だから感謝しないとな…俺を助けてくれた楓や皆に。それと―――)

 

 バーンの体が灼熱に燃え上がる。

 あまりもの温度に一歩退いたアヌ、ニンフルサグは目の前で起きた発火現象に困惑する。

 

「炎の力を使って牽制した…? それにしては先程と熱量が違い過ぎる…」

「勇太郎の性質は現象に分類されると聞いていたけれど、この力は……概念の性質を持ったラフムに匹敵しているじゃない…!」

「……現象? 概念? そんなモン超えたさ」

 

 生死の淵から復活したバーンが再起する。

 炎を滾らせながら立ち上がったその戦士は、あまりもの熱量で装甲の一部を溶かしながら変わり果てた親の姿を見据えた。

 

「今の痛みで俺はラフムとして進化を迎えた。そして、新たに性質を与えられた…それこそが」

 

《Soleil》

 

 ソレイユ。“太陽”の意味を持つその名が、バーンの持っていたブランクイートリッジから鳴る。

 彼の進化に呼応する様にソレイユイートリッジは形状を変化させ、炎の揺らめく意匠を冠した太陽の如き形になった。

 

「な…進化、ですって!?」

「現象や概念を超えた…? 戯言を!」

「戯言じゃないさ、太陽の性質を持ったソレイユの分類は、“天体”。現在確認している中で初めての、星の性質を持ったラフムなんだよ今の俺は」

 

 絶句するアヌとニンフルサグを前に、バーンはロインクロスへとソレイユイートリッジを装填する。

 

「最後に、一つだけ言っておく―――」

 

「―――俺を生んでくれて、ありがとう」

 

《Change・Of・Final》

《Soleil……Burn!!》

 

 爆炎がバーンを包み、その姿を赤と橙の神々しき戦士へと変身させる。

 バーンの最終形態が今ここに、誕生したのだ。

 

「歪んだ正義を燃やして散らさん、陽光照らしてライドする…仮面の戦士! その名もまさしく……」

 

 名乗りを上げている最中に攻撃しようとするニンフルサグの樹木を一瞬で灰にしながら、その戦士は叫ぶ。

 

「……仮面ライダーソレイユバーン!!」

 

 超高熱の戦士が放つ熱風が講壇を中心にして施設の外壁を燃やしていく。

 それを見たアヌはため息をつくと、信者らへ避難する様指示する。

 

「逃げなさい、君達がここで死ぬ必要は無い」

「いいえ、我らが命は導師様と一つ…ここで共に―――」

「良いから逃げなさい! 私の願いを、信道を無下にするつもりか!!」

 

 アヌの叱責を受け、悔しさを抱きながらも信者らが逃げていく。

 

「ここに来て人の優しさを見せるのかよ、導師サマ」

「そうじゃ、ないさ…ただこの炎を見ていたら、きっとここで私と母さんの信道は終わるのだろうと思ってね。最後くらいは家族でいたいじゃないか」

「そうかい、だが…実の息子の苦しみを理解してくれなかったお前が今更、家族などと語るなよ」

 

 悲しみも含んだ勇太郎の言葉に言い返す言葉も無く、ニンフルサグが突撃してくる。

 

《Soleil・Attack・Flame》

 

 ソレイユの能力一段階解放、ソレイユ・アタック・フレイムによってニンフルサグが燃やされる。

 たった一撃で神の性質を持ったラフムが撃破され、余裕を見せていたアヌも焦燥する。

 

「母さん!?」

「安心しろ、お前らと違って殺しはしないさ。だが…ブッ倒したぜ」

 

 アヌが再びグガランナを呼び出し、ソレイユバーンを押し潰そうとするが、今度は受け止められてしまう。

 

「新進気鋭のバーン最強フォームだぜ…こんなんでやられてたまるか!!」

 

 グガランナを持ち上げ、そのまま放り出すと、能力を更に解放させる。

 

《Soleil・Crush・Blaze》

 

 ソレイユ・クラッシュ・ブレイズ…噴火の如き猛火がグガランナを焼き尽くす。

 

「なッ…天の牡牛を……複製とは言え神獣だぞ!?」

「悪に(くみ)するなら燃やすだけだ…! アンタもな!」

「ッ!」

 

 敗北を察知したアヌが逃亡を図るが、燃えた講壇が崩れ、足場を取られて転んでしまった。

 

「おっと、天がお前を見放した様だな」

「まだだ…まだ、私は―――!!」

 

 苦し紛れに飛び出したアヌだったが、混乱した彼にソレイユバーンは止めを刺す。

 

《Soleil…ImpactIgnite》

 

 ソレイユ・イグナイトインパクトがアヌを焼却する。

 

――

 

 完全に灰と化した施設から両親を連れて出て来た勇太郎は、謎の男が立っている事に気付いた。

 

「ブラボー、火島勇太郎。ここまで俺の計画を木っ端微塵にしてくれるとは、もはや清々しささえあるぜ」

「お前……CDだな」

「そう、俺こそがこの世界をぶっ壊す癌、カンケルデータこと―――」

 

 男が不敵な笑みを浮かべると、勇太郎の肩を叩く。

 

CD(コンキスタ・ドール)、ヴァレド・オクスカ侯爵」

「ヴァレド…オクスカ……」

「挨拶もほどほど、それじゃあな…仮面ライダー」

 

 そう言ってその場から立ち去ろうとするCD…ヴァレド・オクスカに、勇太郎は睨みを効かせる。

 

「ここで戦いをおっ(ぱじ)めようって魂胆は無い様だな…だったらこっちも挨拶しとくぜ」

「ハッ、聞いてやろう」

「俺達は、絶対に負けない……!!」

 

 勇太郎の宣言を聞いたヴァレド・オクスカは気味の悪い笑みを浮かべるとその場から姿を消した。

 彼を見送った勇太郎は、肩に乗せた両親を見ると、笑顔を取り戻す。

 自分の手で、過去の因縁にケリを付けられた。それだけで勇太郎は満足していた。

 

「俺さ、生きていくからよ…アンタらが生んでくれたこの世界で!」

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