○○××年・7月28日・妖怪の山上空
七月、には似合わない灰色の空、今日は曇りである。その中を椛率いる天狗の飛行隊が雲の中を飛んでいく。
渡り鳥の様な隊列を組み飛行していく。彼女達の目はキョロキョロすることは無くまっすぐと前を向いていた。
椛「………。」
彼女達に出された命令は以下のものである。
『北側より敵が確認された。数は七、迎撃部隊は直ちに出動しこれを殲滅せよ!』
甲機(後に称された敵の名)が幻想郷に出現してから3年、幻想郷に存在する勢力はこの甲機を無視することが出来なくなっていた。
最後の最後まで乗る気では無かった地霊殿もいきなり現れたミサイルにより大破、これは痛手だったのだろう、幻想連合に加盟したのだった。
しかし事態は変わらず、一年前に現れた『英雄』達の活躍以外に進展は無かったのである。
白狼天狗「………椛、まだ見えない?」
飛行していると一人の白狼天狗が椛に聞いてくる。椛が今回この隊を指揮しているのは彼女の能力が影響しているのである。
椛「まだ見えな………!前方!敵影確認!来る!!」
椛の声と共に全員が警戒する。すると前方からうるさいレベルのエンジン音と共にそれは現れた。
七機の戦闘機、かつて戦時下の日本を火の海に変えたB29である。
トンボの様なその姿は幻想郷では完全に浮いている存在である。しかし今日は曇りの為ぼんやりとしか姿しか見えない。
すると双方視界に入ると同時に弾幕を張る。
B29は胴体の部分にある突起から火を吹く。
この戦いを例えるならB29を戦艦と例えてその周りを飛ぶ椛達はそれを攻撃する飛行機である。
B29は周りを飛び弾幕を飛ばす椛達を撃ち落そうとしながら前進していく。
椛「全部破壊して下さい!!」
白狼天狗一同「了解!!」
やがて一機撃墜されると後を追う様に次々と破壊されていく。
しかし最後の一機は羽から火を出しただけであった。
白狼天狗1「しまった!一体逃がした!!」
椛「地上に降りる気です!追って下さい!!」
高度を下げていくB29の後を追う。
B29は木々が生えている林の地面すれすれになると光りだしトンボの様な姿はやがて家一軒分の大きさのロボットになる。
B29『………地球人がぁぁ!!』
そう叫ぶと持っていたマグナムの様なものを着陸した椛達に撃つ。マグナムから放たれた弾は地面に着弾と同時に地面をえぐり土煙と土を巻き上げながら爆発する。何人かは避けたものの二人爆発に巻き込まれ死亡する。無残な事に一人は下半身がなくなっている。
椛「………くっ!怯まないで下さい!!」
天狗達は暴れ、銃で撃ってくるロボを破壊しようとする。
しかしその巨体に似合わない動きで動く為狙いが定まらない。
B29『………らああああ!!』
椛「しまっ………ああ!!」
ロボの放った弾の爆風に巻き込まれ椛は吹き飛び木に激突する。
打ち所が悪かったらしく段々と意識が薄れていく。
椛(こんな………所で………!)
そして皆が戦っている中で椛の意識は途切れた。
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椛「………ん………?」
意識が戻り目を開ける。そこには灰色の空………では無く土の天井が見えた。
椛「………!?」
慌てて起き上がると自分が洞窟の中にいることが分かった。
洞窟と言ってもそれほど巨大な物では無かった。
大体、何故洞窟に?そう思っていると声がかかる。
???「………大丈夫?」
椛「………?あなたは?」
洞窟の入り口から男が姿を現す。
恐る恐る名前を聞いてみるとその人は笑顔で答えてくれた。
龍「………蒼翼 龍だ、よろしく。」
椛「………犬走 椛です。」
そう言うと二人は握手する。
そこで椛はあることに気がつく。
椛「………仲間は!?私と同じ格好をした人達を知りませんか!?」
そう聞くと龍の表情が曇る。
椛は顔色をを青くする。
龍「残念だけど………俺が来た時には既に彼女達の息は無かった。周りは血が飛び散ってひどい有り様だった。」
龍が見た光景は地獄絵そのものだった。
辺りは血が飛び散り地面はえぐり取られ、木々は折られて………言葉にするには無理があるほどの物だった。
椛「………そんな………。」
そう言って倒れかけた椛の体を龍が支える。
龍「あの中であなたを見つけられたのが奇跡だろう。………すまない、もっと早く来れてたら………。」
そう言うと龍は唇を噛み締める。
椛には分からなかった、何故この人はこれほど悔しがっているのか、他人の私達の死をこれほどにまで悔しがるこの人の意味が分からなかった。
龍「………とにかく、あなたは狙われている。ここからは俺があなたを守る。これ以上あんな悲劇を産まない様に………。」
そう言う龍の私を見る瞳には偽りは無かった。
椛「………します。」
龍「ん?」
もう私が頼れるのはこの人しかいない………。
椛「お願いします、私を守ってください!」
龍「………勿論です!」
龍はまた笑顔で言ってくれた。この言葉はとても優しく感じた。
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王牙「………ここは………。」
彼は何故か地霊殿周辺にいた。つまり旧地獄である。しかも妖怪達が行き来する道のど真ん中。
彼は自分の身に起きた事を思い出す。
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王牙「………助けて欲しい?」
夜中、霊夢と酒を飲んでいた。霊夢がトイレに行った後、俺の元に現れたのは白い帽子を被り白い服を着た男だった。
想陰「そ、実はだね、僕らの世界の幻想郷は今侵略行為を受けていてね。それを何とかして欲しいんだ。」
想陰と名乗った男は笑みを浮かべながら言う。俺の勘に何か引っかかる。
こいつ、怪しい………。
王牙「嫌だ、と言ったら?」
そう言うと想陰は帽子を抑えながら笑う。
想陰「この世に存在する全ての幻想郷が消滅する。」
王牙「………!?」
どう言うことだ!?聞いたことが無い、しかもこの世に存在する全ての幻想郷!?
すると想陰は話を続ける。
想陰「今の幻想郷は本家を種にし、それを元に他の神達が『描いた』幻想郷がそれを中心に根を伸ばす様な形で繋がっている。いわばネットワークとも言えよう。」
この後の想陰の話の内容はこうだ。
それぞれの神達が『描いた』幻想郷は全て無縁だがお互い繋がることによってその世界を維持している。もしその繋がりの一つでも切れれば本家を除く全ての幻想郷が崩壊すると言う物だった。
王牙「………そんないきなりな話を信じろと?」
霊夢はトイレに行っていて今この部屋にいるのは俺ら2人だけである。
こんな突飛な話を信じろと言うのが無理である。だが想陰は顔色一つ変えずに喋る。
想陰「君のいるここでも………何かおかしなことは無かったか?」
王牙「おかしな事?そんな事は………」
そう言いかけてやめる。
そう、おかしな事はあった。
ついこの前の話だが魔法の森に巨大な鉄の塊が落ちて来たのだ。
結局原因は分からずじまいになってしまったがその鉄の塊はオーバーテクノロジーの塊だと誰かが言っていた。
王牙「あったな、オーバーテクノロジーの塊が落ちて来やがった。」
そう言うと想陰はニヤリと笑う。
想陰「それを使っている奴がここに侵略に来るのも時間の問題になるだろうね。」
王牙「………!どうすれば?」
正直言えば未知の敵と戦うのは嫌だった。ましてやあんなのが来るなんてもっての他。
想陰「君のいる幻想郷を守る為にも僕のいる幻想郷を守る………どうだい?この賭け、乗ってみないかい?」
王牙「………。」
いずれ戦わなければならなくなる。なら最小限の事態収集が一番だろう。
王牙「いいだろう、俺は行くぞ。」
そう言うと想陰は拍手をした後手をこちらに伸ばす。
想陰「それでは招待しよう、我らの幻想郷へ。それと警告だ、『第三勢力』には気を付けたまえ。」
その言葉を聞いた後、視界が暗くなり意識が飛ぶ。
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さくら「………ふぅ。」
私は紅魔館での仕事を終え少しの休憩に入る。
お母さんはもっと忙しかったらしい………。
想陰「………うん、流石十六夜の娘だ。いい仕事をする。」
さくら「………!?誰ですか!?」
私は声のした方を向く。
するとそこには全身白色と言って良いほどの服装の男の人が立っていた。
想陰「おっと失礼、僕は想陰、怪しい物じゃ無いさ。」
さくら「………ここに入って来ている時点で怪しいですけど………。」
想陰「………ククッ!厳しいねぇ。」
この人は何がしたいのかよく分からない。言うならば行動が読めないと言った方が良いのだろう。
この人には警戒しておこう………。
想陰「で、話をーーー!?」
そう言いかけた想陰さんに何処から現れたのか、赤い髪の女性が殴りかかっていた。それを想陰さんは片手で受け止めている。
本当に一瞬だったがあの女性が地面から生えて来た様に見えたのは気のせいだろうか?
テュワナ「どきな、ニセの神。」
想陰「これはこれは………オーバーな登場だな!」
想陰さんが女性を振り払いお互い間を取る。想陰さんは私の前に立つ。
想陰「まだ招待もしていない人を襲うのはマナー違反だよ。」
テュワナ「それはお前の勝手な規則だ。お前の規則には従わない。」
そう言うと女性が手を伸ばす。すると私の体が浮く。
さくら「………!?何これ!?」
想陰「………!?冗談無しかい!」
さっきまで笑っていた想陰さんの顔に焦りの色が現れる。
私は浮いたのでは無く後ろの壁から現れた巨大な黒い手によって体を掴まれていた。
想陰「さくらを離………!?」
そう言いながらこっちに手を伸ばそうとしていた想陰さんが横に吹き飛ぶ。
想陰さんが吹き飛んだ反対側から想陰さんを吹き飛ばしたと思われる男二人組が歩いてくる。
バベル「済まないな、我々の計画の為だ。」
スキアー「クカカカカ!ショータイムだ!」
テュワナ「………クク、お前が必要なんだよ十六夜の娘。」
さくら「………私を?」
よく分からないが彼らは私を必要としているらしい。
彼らの雰囲気は悪者そのものだった。
バベル「さて、行くぞ。」
マズイ、これ私連れ去られる?そう思っていると美鈴さんが割り込んで来て片方の男の人に蹴りを入れる。
美鈴「さくらさんを離せ!!」
スキアー「!?クカカカカ!そんな蹴りじゃ………!」
男の人はそう言うと華麗な動きをした後美鈴さんの視界から消える。
美鈴「………!?何処へ!?」
スキアー「こっちだ馬鹿め。」
美鈴「………!?」
いつの間にか美鈴さんの後ろに回り込んでいた男の人は美鈴さんの背中に蹴りを入れ美鈴さんを吹き飛ばし壁に激突させる。
美鈴「ガッ………!」
そのまま美鈴さんは意識を失う。
さくら「美鈴さん!!」
バベル「………もういいだろ、行くぞ。」
そのまま私を含めた四人は黒い球体に飲み込まれ姿を消す。
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想陰「………あいたたた、まさかねぇ………。」
紅魔館の屋根の上に座りながら首をバキバキ鳴らしていた。
想陰「こりゃ幻想郷救うどころか『幻想郷を目覚めさせちまうぞ』?流石に今回は非常事態かな?」
そう言うと指を鳴らして姿を消す。
これから起こる事態に備えて………。
まずは手始めと言う感じですがまぁこんな感じと言うのが分かってもらえれば嬉しいです。
誤字等などがあったら連絡下さい。(((o(*゚▽゚*)o)))