ノア「ここで隠れてて下さい!」
ノアは棚に隠れていた女の子にそう言うと、棚の扉を閉じて見えない様にする。そしてあらかじめ持ってきておいた鉄パイプを持ち、音が近づいてくる方に構える。
ノア(ここで倒せるか……もしくはあの子から遠ざけられればこちらの勝ちだ!)
やがて音が手術室の前で止まり、音を出していたマネキンの姿が現れる。
その時、ノアは思った。
待てよ?相手はマネキンだと言っていたよな……?自分のマネキンに対する知識が無いのか、それともこのマネキンがおかしいのか……。
ノア「マネキンってこんなにデカくて形が変だったか?」
ノアの目の前に現れたのは『怪物』とでも言えるだろう存在だった。
巨大な顔を中心にあちこちからマネキンの手足がたくさんくっついている。
中心の顔の赤く光る目玉二つがノアを凝視する。
……無理だ。
こんな怪物、鉄パイプでどうこうなる相手なんかじゃ無い。
ノアがそう思った時、ノアの腹に衝撃が走り、ノアは吹き飛んで機材にぶつかる。
ノア「ゲホッ、ゲホッ!」
相手を倒す事は出来ない事は見てわかる。ならば……。
ノアはそう思うと、立ち上がり走り出す。
ノア(あの子から少しでも離れられれば……!)
幸い、あの怪物は女の子が隠れている事に気づいてはいない。
ノアが走ると、マネキンの怪物もこちらを追う為に動き始める。狙い通りだ。後はどうやってこのマネキン怪物を巻くかだ。
ノア「何処か、隠れられそうな場所は……!?」
ノアが隠れる場所を探しているとある部屋が目に止まる。
それは倉庫であった。倉庫と言っても資料ばかりの部屋である。
ノアはその中に入り、散乱している本や紙、本棚を上手く使い、隠れる。
ノアが隠れた後、続いてカツカツカツとヒールで歩いてくるような足音が聞こえ、倉庫の中にマネキン怪物が入って来る。
ノア(……バレるなよ。)
ノアが息を潜めながらマネキン怪物を隠れながら見る。
すると、とある資料が目につく。
ノア(……これは?)
ノアが拾った資料は、まるで小説でも読んでいるような内容だった。
『ある日、病院に一つの人形が送られて来ました。
その人形がかなり古い人形の為、今の人形の様な可愛さはありません。むしろ、今の子供達にはホラーなどを連想させました。
人形は悲しみました。そんな中、一人の少女がその人形を見つけると嬉しそうにその人形を抱えて自分の部屋に持って行きました。
人形はそこでその女の子に遊んでもらって、楽しい日々を過ごしました。その日々の中で、人形はある事を知りました。
人形を拾ってくれた女の子は重い病にかかっていたのです。
その為、親とは会える機会は少なく、友達も出来ませんでした。それを知った時、人形は思ったのです。女の子に友達がいないのだったら自分が女の子の隣にいるのだと……。
しかし、そんな人形の思いを裏切る出来事があったのです。
ある日、女の子は急に死んでしまったのです。
女の子の親は悲しみました。病院の医者も「残念です。」と悲しそうな顔をしていました。女の子の親はその悲しみを人形にぶつけることにしました。何かのせいにしなければこの悲しみを乗り越える事は出来なかったのです。
女の子の死は自分のせいにされた人形は捨てられてしまいました。
人形も特に不満はありませんでした。自分は近くにいつもいたのに何も出来なかった。そんな思いが人形を取り巻いていました。
けど、人形はある日それがただ病気のせいでは無い事を知りました。
医者は患者を助けようとします。だけどその医者は女の子にいつも出していた薬をここしばらく出さなかったのです。忘れていた訳では無く、わざとそうしていたのです。
そして、女の子が死んでしまった事に焦った医者は自分のミスを女の子が抱えていた病気のせいにしたのです。
人形は怒りました。
こんな事があってたまるか、あの医者は女の子が死んだと言うのに捨てられた人形の前をニコニコとしながら歩いていたのです。しかもこんな事を言っていたのです。
「いやぁ〜、薬代を稼ぐ事が出来た。あの女の子には感謝しなければならないな。」
人形は怒り狂いました。
この男は最低最悪な医者だ。
そして、人形の声は死の念となって出たのです。
『殺してやる。』』
ノア「……これは。」
ノアはあり得ない物を見るような目をした。
そして、ノアは気づかなかった。
この資料に釘付けになり過ぎた。
自分の後ろに……
『……ミィツゥケェタァ♪』
ノア「!!しまっ……」
マネキン怪物がいることに……。
▽△▽△▽△○△▽△▽△▽
ノア「……はぁ!はぁ!はぁ!!」
ノアは勢い良く飛び起きた。
しばらく冷や汗をかきながら息を荒くしていた。
息を整えるとノアはポツリと呟いた。
ノア「……悪い夢を……見てたのか……?」
ノアの頭の中ではその後、よく分からないノイズがしばらくなっていたのだ……。
END23 『少女の悲鳴』
謎の声:恐怖の起源は必ずしも一つとは限らない様ですねぇ……。これはまた勉強になりましたねぇ……ヒヒ!ヒヒヒヒヒ!
それでは、またのご来夢、お待ちしています。ヒヒ、ヒヒヒ、ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!