東方混純録♦︎次元を超えた希望   作:秘幻

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限られた選択

零侍「ハァ………ハァ………ハァ………!」

 

 

 

僕は走っていた。いや、走らなければ殺られるからだ。『奴』は強すぎる!!

 

 

 

零侍「ハァ………!」

 

 

 

走りながら後ろを振り返る。すると木がメキメキと言う音を立てながらこちらに倒れてくる。

それを横に避け再び走る。間違い無い、完全に追って来てる。

もう少し走れば開けた場所に出る、そうすれば………。

 

 

 

零侍「ハァ………グハッ!?」

 

 

 

もう少しの所で僕の体は土煙と共に宙に浮く。爆発音が鳴り響き視界は回る。視界が定まった時には自分が横に倒れた時だった。

 

 

 

零侍「イタッ!!グッ!」

 

 

 

どうやら後ろから撃たれて僕は吹き飛んだらしい。

慌てて立ち上がり人邪剣を構える。すると林の中からその敵は出てきた。

 

 

 

零侍「………コイツ。」

 

 

 

そいつは体長2mはありそうな人………なのか分からない。

ヘルメットを被りゴーグルを着けている、そして口元にはマスクと完全に顔を隠している状態だった。

そいつは片手を上げる。するとその手の鉄の部分が変化し巨大な針の様になる。そしてその手で僕を攻撃して来た。

 

 

 

零侍「グッ!食らえ!!」

 

 

 

巨体の攻撃を弾き肩に斬撃を入れる。しかし………。

 

 

 

???『………!』

 

 

 

零侍「………!?ウオッ!?」

 

 

 

巨体は全く怯むことなく僕の剣を掴むと僕ごと刀を地面に叩きつける。

 

 

 

零侍「ゲホッ!………!」

 

 

 

咳をしていると巨体は針をこちらに向け刺そうとしてくる。剣技『勢斬 in空気』を放とうとした次の瞬間………巨体の頭が爆発する。

 

 

 

???『………!』

 

 

 

巨体は横に吹き飛ぶ。

いきなりの事に呆然としていると声がかかる。

 

 

 

華扇「何をしてる!早く逃げろ!!」

 

 

 

零侍「………!」

 

 

 

声を出している女性の方へ走る。

すると巨体は起き上がりこちらを向く。追って来ないので諦めたのかと思っていたが違った。

 

 

 

???『………。』

 

 

 

針にしていた手を何やら不思議な形にする。そしてその手をこちらに向けると………。

 

ドゴォン!!

 

 

 

華扇・零侍「「………!」」

 

 

 

逃げようとしていた二人の横の地面が土煙を上げながら爆発する。どうやら何かを撃って来ている様だ。

 

 

 

華扇「走れ!」

 

 

 

零侍「わ、分かってる!!」

 

 

 

二人は走っていく。その後を立ち上がった巨体は走って来る。

巨体はやはり早く今にも追いつかれそうだ。

 

 

 

華扇「ハァ………ハァ………いいか!私が止めとくから先に逃げろ!」

 

 

 

その女性は立ち止まり僕に背を向ける。彼女は奴と戦うつもりだ。それなら………。

 

 

 

華扇「………!?何をしてる!早く逃げろ!!」

 

 

 

零侍「断る。」

 

 

 

華扇「何を言っている!死ぬぞ!」

 

 

 

彼女は立ち止まり自分の横に来る僕に声を荒げながら言う。

 

 

 

零侍「………生き残っても僕はきっと後悔してしまう。なら『例えどんな結末になろうとこの人は守る』。それが僕の答えだ。」

 

 

 

華扇「………!………そうか、礼は言わない………からな。」

 

 

 

彼女は目を見開き零侍を見た後再び巨体の方を向く。

巨体は再び手を針にして攻撃して来る。

 

 

 

華扇「挟み撃ちをするぞ!!」

 

 

 

零侍「了解!」

 

 

 

振り下ろされた針を二人は避け零侍が巨体の横顔に真符『一刀両断』を撃ち込む。

巨体の顔はバキバキと言いながら裂ける。そこへ華扇が力強い一撃を入れる。華扇の攻撃を食らい巨体は吹き飛ぶ。

 

 

 

零侍「チャンスだ!逃げるぞ!」

 

 

 

華扇「分かっている!」

 

 

 

巨体を吹き飛ばした後二人は走り出す。

その後は巨体が追って来る様子は無かった。

 

 

 

▽△▽△▽△▽△○△▽△▽△▽△▽

 

 

 

華扇「土壇場で良くやったな。私の名は華扇だ。」

 

 

 

巨体から逃げ切った後、森の中で華扇は自己紹介をする。

 

 

 

零侍「平野零侍だ。さっきはありがとな華扇。」

 

 

 

華扇「気にするな。むしろ礼を言わなければならないのはこちらだ。」

 

 

 

何故零侍が巨体に追われていたのかと言うと、零侍はこの世界の神、想陰によってここへ来た瞬間あの巨体に襲われている華扇を見つけたのだ。

そこへ華扇を助ける為に巨体に戦いを挑み今の状況にまで来た。

 

 

 

零侍「………なぁ華扇。」

 

 

 

華扇「………?何だ?」

 

 

 

零侍「奴は一体何なんだ?」

 

 

 

零侍がそう聞くと華扇はため息をついた後零侍に奴の事を話し始めた。

 

 

 

華扇「正直な所は私もわからない。だが奴は幻想郷にいる者達を全員殺そうとしているようね。」

 

 

 

そう言うと零侍は額にシワを寄せる。

 

 

 

零侍「………ジェノサイドか………。しかし一体何の為に?」

 

 

 

華扇「さぁ、幻想郷そのものに恨みがあるのか。それともただの自己満足か………。」

 

 

 

零侍「『命令』………か?」

 

 

 

華扇「………!命令?」

 

 

 

零侍の言葉に今度は華扇が額にシワを寄せる。

 

 

 

零侍「もしこれが妖怪を嫌う人間による攻撃と考えたら………?幻想郷は数多くの妖怪や妖精、ましてや神もいる何でもありな世界だ。考えられる線とすればそれが………。」

 

 

 

零侍がそう言いかけたが華扇がそれを遮る。

 

 

 

華扇「恐らく人間では無いだろう。ここの人間の仕業だとしてもあの様な者を操ることは容易では無い。それに今人間は妖怪達と手を組んでいる、妖怪を攻撃する理由が見つからない。」

 

 

 

零侍「………人間が手を組んでいる?」

 

 

 

零侍はその言葉を信じられなかった。それは零侍が過去に人間にやられた仕打ちを否定する物だった。

 

 

 

零侍「あり得ない。人間は妖怪と敵同士だ。そんな事は………「あるのよ。」………何?」

 

 

 

またしても零侍の言葉を華扇は遮る。

 

 

 

華扇「確かに私も人間と戦った時はあった。お前が思っていることは恐らく間違いでは無い。」

 

 

 

零侍「じゃあ何で手を組んでいる?」

 

 

 

零侍の目線が少し冷たくなっていることに華扇は気づき零侍の人間に対する評価が分かった。

きっと零侍は外の妖怪か何かだ。しかし分かって貰わなければならない。今の幻想郷がどの様な状況に陥っているのかを………。勿論彼自身の為にだ。

 

 

 

華扇「今の幻想郷はある強大な力によって脅かされている。」

 

 

 

零侍「………強大な力?」

 

 

 

華扇はコクリと頷き話を進める。

 

 

 

華扇「二年前………穏やかだった幻想郷に異変が訪れた。最初は私を含めここに住む者が全て『博麗の巫女がどうにかしてくれる。』、そう思っていたのだ。何せここはそう言ったことが度々起きるからな。しかしその異変は訳が違った。」

 

 

 

そう言うと華扇の顔が少し暗くなる。

少しいい加減に聞いていた零侍だったが華扇の顔を見てかなりの訳ありだと気づき華扇の話に耳を傾ける。

 

 

 

華扇「その異変はあっという間に幻想郷中に広まった。挙句の果てには幻想郷の有力者達が動き出すほどだった。………あの隙間妖怪でさえも………。奴らは幻想郷のルールなど御構い無し、つまり『侵略行為』だった。博麗が作り出したルールで勝敗などをつけていた幻想郷の住民達は次々と奴らに殺られて行った。」

 

 

 

零侍「待て、幻想郷中の有力者が動いたんだろ?何故被害を抑えられない?」

 

 

 

幻想郷の有力者と言えば僕も少なからず知っている。彼女達の力ならば抑えることも出来るのでは………?

だが華扇から帰ってきた言葉はより一層気分を沈める物だった。

 

 

 

華扇「今までの様な奴らなら問題は無かっただろう。だが来た相手は今まで経験もしたことが無い敵ばかりだったのよ。」

 

 

 

零侍「妖怪以上の奴がいるってのか?まさか神が攻めて来たのか?」

 

 

 

華扇「神の方が話し合いとかで何とかなったのかもね。実質、霊夢は神にも勝ったから………。」

 

 

 

零侍「神じゃ無いのか?」

 

 

 

華扇「………言うならば最初は金属生物、そして見たことも聞いたことも無い妖怪、そして能力者………今に至ればあの巨体よ。」

 

 

 

零侍「あんなのがここ二年間も攻撃して来てるって事か?」

 

 

 

華扇「そうよ。」

 

 

 

あまりにも酷い話に眉間を抑える。

すると華扇は「でもね、」と言葉を発した。

 

 

 

華扇「やられてばかりでは無かったのよ。ここ二年間、ある外の者達が来て奴らを倒して行ったのよ。」

 

 

 

零侍「………外の者?」

 

 

 

零侍はあることを想像する。

自分はある白色の服を着た男によってこの世界に呼び出された。もしその外の者達も同じ様にここに来ているとすれば………?もしかしたら何か有益な情報が得られるかもしれない。

 

 

 

零侍「………その人達はどこにいる?」

 

 

 

零侍はそう聞くが華扇は首を横に振った。

 

 

 

華扇「残念だが『一年前の召喚』の者達も『召喚者の再来』の者達も今はいない………。しかしあくまで仮説だがもしも零侍、お前が『一年前の召喚』や『召喚者の再来』と同じ原理でここに来たとするならば………。」

 

 

 

零侍「………するならば?」

 

 

 

華扇「少なくとも後数人はお前と同じ境遇の者がいるはずだ。その人達を見つけ出せれば何か状況が変わるかもしれない。」

 

 

 

信用するには少し不安が残る話だが乗ることにした。

何も分からないままで終わるわけにはいかない。きっと『一年前の召喚』や『召喚者の再来』の時の人達も同じ事をしたはずだ。

零侍達のいる森の木々は少し不安そうに枝を揺らしていた。




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